できる日本語 中級 第2課「楽しい食事・上手な買い物」の教案
『できる日本語 中級 本冊 第2版』 ・ できること5つ(耳でキャッチ・こんなときどうする?・見つけた!・こんなときどうする?・伝えてみよう)
外食と買い物の場面で、まわりから得になる情報を集め、自分の希望をうまく伝えて、納得のいく選び方ができるようになる課です。1でレストランの紹介を聞いて得な点をつかみ、2で友達の希望に合う店と調べ方を薦め、3で店頭の看板やチラシの決まった書き方を読み、4で店の人の説明を確かめながらやわらかく頼み、5で買い物の成功談・失敗談を話して共有します。聞く・読む・話すが一つの流れになっているので、1と3で集めた情報を2と4のやり取りで使わせると、場面のつながりが学習者に見えます。第1課の「〜でしょう/〜だろう」(推量)は、この課の「〜はずだ」「〜でしょうか」につながります。
このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目13時間90分×4コマ場面5
この課のねらい(Can-do)
- 飲食店の紹介を聞いて、値段・量・時間・限定のサービスなど、得になる点を聞き取れる
- 友達の好みや予算を聞いたうえで、合いそうな店とその探し方を薦められる
- 店頭の看板やセールのチラシを見て、いつ・だれが・どんな条件で得をするかを読み取れる
- 店の人の説明を確かめたうえで、取り置き・サイズ違い・包装などの希望をていねいに頼める
- 自分の買い物の経験を話し、聞いた人の経験も次の買い物に生かせる
進め方と時間配分
目安は 90分×4コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
| 導入 | 10分 | 前の課の「新しい環境に飛び込む」から、生活の場面へ。学習者に「最近おいしかった店」「失敗した買い物」を一言ずつ聞き、黒板に「食事」「買い物」の2列で書き出してから、この課でできるようになる5つを示す |
| 1 耳でキャッチ(店の紹介を聞く) | 70分 | 自作のグルメ紹介の音声(1分程度)を2回聞く → 1回目は店の場所と料理、2回目は値段・時間・量・限定の欄にメモ → 紹介文から「〜ている」「〜によって」「〜うちに」「〜わりに」の文を取り出して意味を確かめる |
| 2 こんなときどうする?(友達に薦める) | 50分 | 相談役が希望カード(予算・人数・好み)を引く → 薦める役は希望を2つ聞いてから「〜がいいんじゃない?」で店を薦める → 予約サイトやアプリの仕組みを「〜ようになっている」で説明する |
| 3 見つけた!(看板・チラシを読む) | 60分 | 自作の看板・チラシを3〜4枚配り、「いつ」「だれが」「いくつまで」に線を引く →「〜に限り」「〜につき」「〜こそ」の意味をチラシの中で確かめる → 自分がその条件に入るかを答える |
| 4 こんなときどうする?(店の人に頼む) | 60分 | 店員の説明を「〜ということですね」で確かめ、希望を「〜でしょうか」でやわらかく伝えるロールプレイ。在庫・取り置き・包装の3場面を役を替えて回す |
| 5 伝えてみよう(経験を共有する) | 60分 | 買ってよかったもの・失敗した買い物を1つずつメモ →「〜はずだったのに」「〜向け」を入れて1人1分で話す → 聞き手が質問を1つ返し、最後に「次はこうする」を言わせる |
| 課のまとめ | 50分 | グループで「クラスのお得情報マップ」を作る。店の紹介文(〜ている・〜わりに)、薦め方(〜いいんじゃない?)、注意書き(〜に限り・〜につき)を1枚にまとめ、ほかのグループに説明する |
1 耳でキャッチ
できること店の紹介を聞いて、値段・時間・量などの得になる情報を聞き取れる。
場面
テレビやラジオのグルメコーナー、動画サイトの店の紹介を聞いて、行ってみたい店かどうかを判断する場面です。教室では、教師が自作した1分ほどの紹介文を録音しておき(またはその場で読み上げ)、「値段」「時間」「量」「限定」の4つの欄があるメモ用紙を配って聞かせます。聞き終わったら「行くならいつ行くか」を学習者に決めさせると、得な情報を聞き取る目的がはっきりします。
- アナウンサー:今日ご紹介するのは、駅の北口から歩いて3分の定食屋さんです。
- アナウンサー:このお店では、毎朝、近くの農家から届く野菜を使っています。
- アナウンサー:日替わり定食は820円。ご飯とみそ汁はおかわり自由になっています。
- アナウンサー:おかずは日によって変わるので、何度来ても飽きないのがうれしいですね。
- アナウンサー:値段のわりにボリュームがあると、学生さんにも人気です。
- アナウンサー:揚げたての天ぷらは、ぜひ熱いうちに召し上がってください。
- アナウンサー:ランチは11時半から。12時を過ぎると混むので、早めがおすすめです。
学習項目 1 〜ている
意味・はたらき
店や料理を紹介する文の「〜ている」は、今動いている動作ではなく、いつもそうしていること(習慣)、そうなっている状態(結果の状態)、店や料理の性質を表すことが多いです。「毎朝パンを焼いている」は、今焼いている最中ではなく、店のいつものやり方の紹介です。初級で別々に習った進行・習慣・結果の状態が紹介の文ではまとめて出てくるので、どの用法かを聞き分けることが店の特徴をつかむことにつながります。結果の状態は自動詞の「〜ている」(「サラダがついている」)で言い、他動詞の「〜てある」(「メニューが貼ってある」)は、だれかが準備のためにした結果に目を向ける点が違います。
接続
Vテ形+いる(話すときは「〜てる」にもなる)
形
毎朝パンを焼いている(習慣)ランチにはサラダがついている(結果の状態)このスープはしょうががきいている(性質)10年前から同じ場所で営業している
導入
- 紹介文を「今」と「いつも」に分ける教師が店の写真を見せながら「この店は毎朝6時からパンを焼いています」「セットにはコーヒーがついています」と紹介し、「今、焼いていますか?」と聞いて、今の動作ではないことに気づかせる。板書は「いつも(習慣)」「そうなっている(状態)」「店・料理の性質」の3列にし、紹介の文を1つずつ列に振り分ける。
板書案
店の紹介の「Vて + いる」= 今の動作 ではない
〔青〕いつも:毎朝 パンを 焼いて いる(習慣)
〔緑〕そうなっている:ランチに サラダが ついて いる(結果の状態)
〔赤〕店・料理の性質:この スープは しょうがが きいて いる
〔赤〕手がかりの語に丸:毎朝・いつも・〜年前から
場面と発話(自作)
- グルメ番組で、店のこだわりが紹介される。この店では、スープを12時間かけて作っています。
- 友達にランチの店を説明する。あそこ、ランチにデザートがついてるよ。
- 店の入口の紹介文を声に出して読む。当店は地元のお米だけを使っています。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、店の写真と「毎朝・手作り」「セット・飲み物」などの語カードを見せ、「〜ています」の紹介文を作らせて、どの用法かを言わせる。次に ST1 の紹介文をもう一度聞き、「〜ている」の文を全部書き出して3列に分ける。最後に、自分の知っている店を「〜ている」を3つ入れて紹介させる。
- 口頭店の写真と語カードを見せ、「〜ています」の紹介文を全体→個人で言う。キューの例: 「毎朝・手作り」→「毎朝パンを手作りしています」、「セット・コーヒー」→「セットにはコーヒーがついています」、「30年前から・同じ場所」→「30年前から同じ場所で営業しています」、「地元・野菜」→「地元の野菜を使っています」。言えたら教師が紹介文を1つずつ読み、学習者は「習慣」「状態」「性質」の3色カードを上げて用法を答える。
- ペア情報差。A は店の情報カード(値段・時間・量・限定の4つ)を持ち、B は空欄の同じ4欄のメモを持つ。A が「〜ている」を使って店を紹介し、B はメモを埋めながら「飲み物もついていますか」のように一つ質問する。終わったら B のメモと A のカードを見比べ、カードを替えて役を交替する。
- 産出「わたしの推し店ラジオ」。自分の知っている店を、ラジオのグルメコーナーのつもりで40秒で紹介し、「〜ている」を3つ以上入れる。聞き手は聞こえた「〜ている」を3色で分けてメモする。教師は①自動詞・他動詞の取り違え(ついている/つけている)②「有名している」のような付けすぎ ③友達向けの「〜てる」と紹介向けの「〜ています」の使い分け、を見る。
つまずきと手当て
- 「*この店は有名している」と、「有名だ」に「ている」をつける。「有名だ」「人気がある」はそれだけで状態を表すので「ている」は要らない、と板書で並べる。動詞を使うなら「よく知られている」
- 「毎朝パンを焼いている」を「今焼いている」と取る。紹介の文に時を表す語(毎朝・いつも・〜年前から)があれば習慣、と聞き分けの手がかりを示す
- 「*サラダがつけている」と、自動詞・他動詞を取り違える。「Nが+自動詞+ている(ついている)」「Nを+他動詞+ている(つけている)」の組を板書で対にする
既習の文型との違い
- Vています(動作の進行)(初級第7課)初級の「今、パンを焼いています」は、目の前で進んでいる動作です。紹介文の「毎朝パンを焼いています」は形が同じでも、「毎朝」があるので店のいつものやり方を言っています。紹介を聞いて「今行けば焼いているところが見られる」と取る学習者には、時を表す語に丸を付けさせて区別します。
- Vてあります(初中級第2課)「メニューが貼ってあります」は他動詞+てあるで、だれかが準備のためにした結果に目を向けます。「サラダがついています」は自動詞+ているで、結果の状態だけを言います。「*メニューが貼っています」のように他動詞に「が+ている」を付ける誤りが出やすいので、自動詞・他動詞の対の表で確かめます。
関連する文型
学習項目 2 〜によって(さまざまだ)
意味・はたらき
「Nによって」は、Nが違えばそれに応じて中身も違う、という意味で、後ろには「さまざまだ」「違う」「異なる」「変わる」のような違いや変化を表すことばが来ます。「日によっておかずが変わる」は、日ごとにおかずが同じではないことを言っています。後ろが一つの結果(「安い」)のときは、「店によっては安い」(一部の店では安い)と「は」を入れます。原因を表す「〜によって」(第5課)や、受身の動作主を表す「〜によって」とは別の使い方です。話し言葉でも書き言葉でも使え、硬い文では「〜により」「〜によりさまざまである」になります。
接続
N+によって+さまざまだ/違う/異なる/変わる
形
日によっておかずが変わる店によって値段がさまざまだ人によって好みが違う店によっては(一部の店では)予約が要る
導入
- 同じ料理の値段を比べるラーメン1杯の値段を3つの店の写真で見せ(650円・900円・1,200円)、「ラーメンの値段は同じですか」と聞く。「違います」を受けて「店によって値段がさまざまです」と言い、板書は「[N]によって+違う・さまざまだ・変わる」の枠にする。続けて[N]に季節・曜日・時間を入れ替えて言わせる。
板書案
N + によって + 違う/さまざまだ/変わる
店によって ラーメンの 値段が 違う。
〔青〕季節によって デザートが 変わる。
〔赤〕一部だけ:店によっては 安い。(「は」に丸)
〔青〕後ろに「違い・変化」の語があるか 確かめる
場面と発話(自作)
- レストランの紹介で、メニューが変わることが伝えられる。デザートは季節によって変わります。
- 友達にどの店がいいか聞かれて答える。人によって好みが違うから、一回行ってみたら?
- 日替わり定食の店で、友達にどんなおかずか聞かれておかずは日によって違うけど、どれもおいしいよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「季節」「曜日」「店」「人」などの語カードと、「変わる」「違う」「さまざまだ」のカードを組み合わせて文を作らせる。次に「店によって安い」のような文を示して、「店によっては安い」に直させる。最後にクラスで「国によって違う食事のマナー」を話し合う。
- 口頭語カード(季節・曜日・店・人・国)と述語カード(変わる・違う・さまざまだ)を左右に貼り、教師が指した組み合わせで全体→個人の順に文を作る。キューの例: 季節+変わる→「季節によってメニューが変わる」、店+違う→「店によって値段が違う」、人+さまざまだ→「人によって好みがさまざまだ」。続けて教師が「店によって安い」と言い、学習者が「店によっては安い」に直す反応練習を入れる。
- ペア情報差。A は店X、B は店Y のメニューカード(同じ品が5つ・値段と量が違う)を持ち、見せずに「カレーはいくら?」「量は?」と聞き合う。最後に2人で違いを「店によって〜が違う」「店によっては〜」の2文にまとめ、カードを交換して2回目を行う。
- 産出「国によって食卓ちがい調べ」。3〜4人で朝ご飯・食事の時間・よく飲む物を聞き合い、「国によって〜が違う」「人によっては〜」を入れて30秒で発表する。教師は①後ろに違い・変化を表す語が来ているか ②一部だけを言う文で「は」が入っているか ③「さまざまだ」をナ形容詞として使えているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*店によって安いです」と、後ろに違いを表さないことばを置く。後ろが一つの結果なら「店によっては」と「は」を入れる、と2つの文を並べて意味の違いを見せる
- 原因の「〜によって」(「台風によって電車が止まった」)と混ぜ、どちらの意味か取れない。後ろに「違う・変わる・さまざまだ」があれば「〜に応じて違う」の意味、と見分けの手がかりを示す
- 「*人によってさまざましています」と「さまざまだ」を動詞のように使う。「さまざまだ」はナ形容詞で、「さまざまです」「さまざまな〜」になると確かめる
既習の文型との違い
- 〜は〜が、〜は(対比)(初級第11課)「Aの店は安いですが、Bの店は高いです」は、店を一つずつ挙げて比べる言い方です。「店によって値段が違う」は、一つずつ挙げずに、違いがあること全体をまとめて言います。紹介文で店名を全部並べようとする学習者には、まとめの一文を先に言ってから例を1つ足す順を見せます。
- 〜と〜とどちらがAですか/〜のほうがAです(初級第6課)2つを比べてどちらかを選ぶ言い方で、答えは一つに決まります。「によって」は3つ以上の場合や、条件ごとに答えが変わる場合に使います。「どちらが安いですか」と聞かれて「店によります」「日によって違います」と答えれば、一つに決められない理由を言う返事になります。
関連する文型
学習項目 3 〜うちに
意味・はたらき
「〜うちに」は、今の状態が終わってしまう前に、その間に何かをすることを表します。「温かいうちに食べる」には、冷めたらおいしくなくなるから冷める前に、という気持ちが入ります。「〜前に」がただ順番を言うのに対し、「〜うちに」は「今ならできるが、あとではできない・損をする」というあせりや勧めを含みます。そのため店の紹介でも「数量限定なので、あるうちに」のように、得な情報を伝えるときによく使われます。「〜ないうちに」(「暗くならないうちに」)は「〜前に」に近い意味です。変化に気づかないうちに何かが起きる、という別の使い方は第7課で扱います。
接続
V辞書形/Vている/Vない+うちに・イAい+うちに・ナAな+うちに・Nの+うちに
形
温かいうちに召し上がってください安いうちに買っておく学生のうちに一度行ってみたい売り切れないうちに注文する
導入
- 冷める前と冷めたあと湯気の出ている料理の写真と、冷めた料理の写真を並べて見せ、「どちらがおいしいですか」と聞く。「温かいうちに食べましょう」と言い、板書は時間の矢印の上に「温かい」の区間を囲み、その中に「食べる」を書く。「冷める前に」とも言えるが、「うちに」は「今のあいだに(しておこう)」という気持ちだと矢印で示す。
板書案
〔青〕時間の矢印 ──[温かい]──→ 冷める
温かい うちに 食べる。(区間の中に〔赤〕食べる)
安い うちに 買って おく。/学生の うちに 行って みたい。
〔赤〕〜ない うちに:売り切れない うちに 注文する。
Vる・Vている・Vない/イAい/ナAな/Nの + うちに
場面と発話(自作)
- 店員が、出したばかりの料理をすすめる。焼きたてですので、熱いうちにどうぞ。
- セールの最終日、友達をさそう。安いうちに、冬のコートを買っておこうよ。
- 留学生が、日本にいる間にしたいことを話す。日本にいるうちに、いろいろな地方の料理を食べてみたいです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「温かい・食べる」「明るい・帰る」「若い・旅行する」などの組を出し、「〜うちに〜」の文を作らせる。次に「〜前に」と言い換えられるか、言い換えると気持ちがどう変わるかをペアで話させる。最後に、ST1 の紹介文の情報(数量限定・ランチの時間)を使って、友達に「〜うちに行こう」とさそわせる。
- 口頭状態カード(温かい・明るい・セール中・空いている・学生・売り切れない)と動作カード(食べる・帰る・買っておく・入る・留学する・注文する)を組み合わせ、「〜うちに〜」を全体→個人で言う。キューの例: 温かい+食べる→「温かいうちに食べる」、セール中+買っておく→「セールをやっているうちに買っておく」、売り切れない+注文する→「売り切れないうちに注文する」。言えたら教師が「冷めてから?」と返し、学習者が「いいえ、冷めないうちに」と言い直す。
- ペアA が「今だけの状態」カード(桜が咲いている・半額セール中・日本にいる)を読み、B が「じゃあ、〜うちに〜ない?」と誘う。A は受けるか、理由をつけて断る。3枚ごとに役を替え、最後に同じ文を「〜前に」に言い換えて、気持ちがどう変わるかを2人で話す。
- 産出「今のうちにやりたいことリスト」。日本にいるうち・学生のうち・若いうちにやりたいことを3つ書き、1つずつ理由をつけて話す。聞き手は一番いいと思ったものを選んで感想を言う。教師は①前の部分を過去形にせず現在の形のまま使えているか ②区間のない動作に「うちに」を使っていないか ③「〜ないうちに」の接続、を見る。
つまずきと手当て
- 「日本に来るうちに日本語を勉強した」と、ただの順番に使って意味が通じない。終わってしまう区間のあいだに、という意味がないときは「来る前に」と、時間の矢印に区間があるかどうかで確かめる
- 「*温かかったうちに食べた」と、過去の話だからと前を過去形にする。文全体が過去でも「温かいうちに食べた」と前は現在の形のまま、と板書で示す
- 「若いうちに」と「若いときに」を同じだと思う。「うちに」には「若さが終わる前に(しておこう)」という気持ちがあり、昔の思い出を話すだけなら「若いとき」が自然、と例を並べる
既習の文型との違い
- Vる前に、〜/Nの前に、〜/[時間]前に、〜(初級第12課)「前に」は二つの出来事の順番だけを言い、あせりや勧めは入りません。「うちに」は今の状態が続いているあいだという区間を言い、終わったらできない・損をする、という気持ちを含みます。「日本に来るうちに」のように区間のない動作に「うちに」を付けると意味が通じなくなるので、「来る前に」に戻して比べさせます。
- Vている間に、〜(初中級第7課)「間に」は区間の中で何かが起きる・何かをする、というだけで、気持ちは入りません。「子どもが寝ている間に料理をする」と「子どもが寝ているうちに料理をしてしまおう」を並べると、「うちに」には「起きる前に済ませよう」という急ぎが加わることが分かります。
関連する文型
学習項目 4 〜わりに
意味・はたらき
「〜わりに」は、ある程度(値段・年・大きさなど)からふつう考えられることと、実際が違うことを表します。「値段のわりに量が多い」は、この値段ならこのくらいだろうという予想より量が多い、という意味で、よい方向にも悪い方向にも使えます(「高いわりにおいしくない」)。「〜のに」は事実どうしの食い違いへの驚きや不満が強く出ますが、「〜わりに」は程度を比べて評価する言い方です。「〜にしては」(第7課)は「子どもにしては」のように、立場や身分から期待される基準と比べるときに多く使います。会話では「〜わりには」の形もよく使います。
接続
Nの+わりに・イAい+わりに・ナAな+わりに・V普通形+わりに
形
値段のわりに量が多い駅から近いわりに静かだ有名なわりに並んでいないたくさん食べたわりに安かった
導入
- 予想を先に言わせるおかずの多い定食の写真を、値段を隠して見せ、「いくらだと思いますか」と聞いて予想を言わせる。値段(500円)を見せて「500円です。値段のわりにおかずが多いですね」と言う。板書は「予想(500円なら少なそう)」→「実際(多い)」の二段にし、その食い違いをつなぐのが「わりに」だと矢印で示す。
板書案
〔青〕予想:500円なら 少なそう
〔赤〕実際:多い! → 値段の わりに 量が 多い。
Nの/イAい/ナAな/V普通形 + わりに
〔赤〕悪い方へも:高い わりに おいしくない。
後ろは 評価の文(頼み・誘いは 来ない)
場面と発話(自作)
- グルメ番組で、安い店が紹介される。値段のわりにボリュームがあると評判です。
- 友達と入った店の感想を言う。人気があるわりに、すぐ座れたね。
- 古着屋で買ったコートを友達に見せて古着のわりにきれいでしょう? 3,000円だったんだ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「値段・安い・量が多い」「駅の近く・家賃が安い」などのカードを出して「〜わりに〜」を作らせる。次に、写真と値段を見て予想と実際を言い、「〜わりに」でまとめさせる。最後に、学習者が知っている店や品物を「〜わりに」で1つずつ評価させる。
- 口頭写真と基準のカードを見せ、予想と実際を「わりに」でつなぐ。キューの例: 定食の写真+「500円」→「値段のわりに量が多い」、駅前のアパート+「静か」→「駅から近いわりに静かだ」、人気店+行列なし→「有名なわりに並んでいない」、古い自転車+よく走る→「古いわりによく走る」。全体→個人。接続を落とした学習者には、品詞の表を指して言い直させる。
- ペアA は値段や条件だけが書いてある品物カード(例: 300円のTシャツ・3,000円のラーメン)を出し、B が予想を言う。A がカードの裏の実際(「でも、とても丈夫」「でも、量が少ない」)を読み、B が「〜わりに〜ね」でまとめる。予想が外れるほどやり取りが盛り上がるので、カードは教師が作っておく。
- 産出「わりに口コミ」。最近行った店か買った物を1つ選び、「〜わりに」を使った短い口コミ(2〜3文・星の数つき)を書いて読み上げる。聞いた人は行きたい・買いたいかを答える。教師は①比べる基準(値段・場所など)が前にあるか ②後ろが評価の文になっているか ③「の」「な」の接続、を見る。
つまずきと手当て
- 「*値段わりに」「*静かわりに」と接続を落とす。名詞は「の」、ナ形容詞は「な」が要る、と品詞ごとの接続を板書の表で確かめる
- 「*安いわりにたくさん買ってください」と、後ろに頼みやさそいを置く。「わりに」の後ろは評価や事実を言う文で、頼み・さそいには使えない、と例を並べて示す
- 副詞の「わりと(わりに)」(「わりとおいしい=けっこうおいしい」)と混ぜ、比べる基準がないのに使う。「わりに」の前に比べる基準(値段・年など)があるかを確かめる
既習の文型との違い
- 〜のに、〜(初中級第10課)「のに」は事実と事実の食い違いへの驚きや不満を強く表し、「高いのにおいしくない」は話し手のがっかりした気持ちが前に出ます。「わりに」は値段や年などの程度と比べて評価する言い方で、よい方向にも悪い方向にも落ち着いて使えます。口コミで「のに」ばかり使うと不満の文に聞こえる、と2つの口コミを読み比べさせます。
- 〜が、〜(初級第4課)「安いですが、おいしいです」は二つのことを逆の向きにつなぐだけです。「安いわりにおいしい」は「安いならおいしくないだろう」という予想がまずあり、それと実際が違うことを言います。予想が想像できない組み合わせには「わりに」は合いにくい、と例で見せます。
関連する文型
この場面のことば・表現
- 飲食店のメニューの特徴を紹介するときに使われる表現店や料理の紹介では、量・作り方・限定のサービスを短い決まった言い方で伝えます。聞くときはこれらの表現を手がかりにすると、得な点だけを取り出せるので、メモ用紙の「量」「作り方」「限定」の欄に分けて書かせます。例:「ボリューム満点」「おかわり自由」「〜が自慢の店」「手作りの〜」「数量限定」「ドリンク付き」
2 こんなときどうする?
できること友達の希望を聞いてから、合いそうな店とその調べ方を薦められる。
場面
友達から「週末、安くておいしい店ない?」「新しい靴、どこで買えばいい?」と相談され、相手の希望を聞いてから店と探し方を薦める場面です。教室では、相談する役に予算・人数・好み・場所を書いた「希望カード」を配り、薦める役には近所の店のリストと、自作のグルメアプリの画面(地図・クーポン・ポイントの説明つき)を渡します。親しい友達どうしのやり取りなので、普通体で話させます。
- 留学生A:ねえ、土曜日に友達と4人で食べに行きたいんだけど、どこかいい店ない?
- 留学生B:予算はどのくらい?
- 留学生A:一人2,000円ぐらいかな。辛いものが好きな人が多いんだ。
- 留学生B:じゃあ、駅前の韓国料理の店がいいんじゃない? 量も多いし。
- 留学生A:予約したほうがいい?
- 留学生B:このアプリで予約すると、クーポンが使えるようになってるよ。
- 留学生A:へえ、便利だね。入れてみる。
学習項目 1 〜(が)いいんじゃない?
意味・はたらき
友達や家族など親しい相手に、「〜がいいと思う」とやわらかく薦める・提案するくだけた言い方です。「〜がいいよ」と言い切るより、相手に判断を残すので押しつけに聞こえません。名詞のあとでは「〜がいいんじゃない?」(「が」は落ちることもある)、動作を薦めるときは「〜たらいいんじゃない?」「〜たほうがいいんじゃない?」になります。文末は上げ調子で言います。目上の人には使わず、「〜はいかがですか」「〜がいいと思いますが」にします。下げ調子でも「それでいいんじゃない↘」のようにふつうに勧められますが、強く言い切る感じになることがあります。
接続
N(+が)+いいんじゃない?/Vたら・Vたほうが+いいんじゃない?(丁寧に言うときは「〜がいいんじゃないですか」)
形
駅前の店がいいんじゃない?安いのがいいんじゃない?アプリで調べたらいいんじゃない?早めに予約したほうがいいんじゃない?
導入
- 相談に乗ってみせる教師が学習者から「安い店を教えて」と相談される設定にし、「駅前の店がいいよ」と「駅前の店がいいんじゃない?」の2通りで答えてみせて、どちらがやわらかいかを学習者に聞く。板書は「N(が)いいんじゃない?↗」「Vたらいいんじゃない?↗」の2行にし、文末に上げ調子の矢印を書く。
板書案
N(が)+ いいんじゃない? ↗
Vたら/Vたほうが + いいんじゃない? ↗
駅前の 店が いいんじゃない? 安いし。
〔青〕友達・家族に 〔赤〕先生・店長には:〜は いかがですか
〔赤〕「ん」に丸:いいじゃない(=それでいい)とは 別
場面と発話(自作)
- 友達に、誕生日のプレゼントを何にするか相談される。ハンカチがいいんじゃない? 何枚あっても困らないし。
- 寮の友達に、安い食材の買い方を聞かれる。夕方にスーパーに行ったらいいんじゃない? 値引きのシールがつくよ。
- 友達が新しい靴をどこで買うか迷っていて駅ビルのセール、今週までだから、行ってみたらいいんじゃない?
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、相談カード(「安いランチ」「雨の日に行ける店」など)を教師が読み、学習者が「〜がいいんじゃない?」で答える。次に、ペアで希望カードを使い、相手の希望を2つ聞いてから薦める。薦めたあとに理由を「〜し」で1つ足すまでを1回のやり取りにする。
- 口頭相談カードを教師が読み、学習者が上げ調子で答える。キューの例: 「安いランチの店、ない?」→「駅前の定食屋がいいんじゃない?」、「雨の日に行ける所は?」→「駅ビルがいいんじゃない?」、「混んでたらどうしよう」→「予約したほうがいいんじゃない?」。全体で言ったあと、教師が下げ調子で言ってみせ、聞こえ方の違いを確かめてから個人で言わせる。
- ペア相談役が希望カード(予算・人数・好み・場所)を見せずに持ち、薦める役は「何が食べたい?」「予算は?」と2つ聞いてから「〜がいいんじゃない? 〜し」と薦める。相談役は1回は「うーん、ほかには?」と断り、薦める役が2つ目を出す。3回ごとに役を替える。
- 産出「なんでも相談窓口」。学習者が本当の小さい悩み(安い自転車がほしい・週末にどこへ行くか)をメモに書いて箱に入れ、引いた人がクラスの前で「〜いいんじゃない?」で答え、理由を1つ足す。最後に「先生に聞かれたら」の設定で、同じ答えを「〜はいかがですか」に言い換える。教師は①上げ調子 ②「ん」の落ち ③相手の上下での言い分け、を見る。
つまずきと手当て
- 「ん」を落として「駅前の店がいいじゃない?」と言う。「いいじゃない」は「いいね、それでいいよ」という別の意味になるので、「ん」の有無で意味が変わることを2つの例で聞かせる
- 先生やアルバイト先の店長にも「〜がいいんじゃない?」と言ってしまう。親しい相手向けの言い方なので、目上には「〜はいかがですか」と、相手の上下で言い分ける練習を入れる
- 下げ調子で言うと、強く言い切る感じになることがある。誤りではないが、相手に判断を残したいときは上げ調子がやわらかいと、文末を手で示し、録音して自分の音を聞かせる
既習の文型との違い
- Vたらどうですか(初中級第12課)「〜たらどうですか」は丁寧体で相手に行動を勧める言い方で、言い方によっては押しつけに聞こえることもあります。「〜たらいいんじゃない?」は友達どうしの普通体で、「私はそう思うけど、どう?」と相手に判断を残します。友達に「〜たらどうですか」と言って硬すぎる、という誤りが出やすいので、相手の絵を見せて形を選ばせます。
- Nなんかどうですか(初中級第14課)「なんか」は例を一つ挙げて「たとえばこれは?」と軽く出す言い方で、ほかの選択も残ります。「〜がいいんじゃない?」は話し手がよいと思うものを一つ推す言い方です。まず「〜なんかどう?」で候補を出し、相手の希望を聞いてから「じゃあ、〜がいいんじゃない?」と絞る流れにすると、2つの役割が分かります。
関連する文型
学習項目 2 〜ようになっている
意味・はたらき
機械・アプリ・店のサービスなどが、そうなる仕組みに作られていることを説明する言い方です。「このアプリは近くの店が地図で見られるようになっている」は、アプリがそう作られていることを言っています。初中級の「〜ようになります」が「できなかったことができるようになる」という変化を言うのに対し、「〜ようになっている」は今の仕組みや状態の説明です。規則として決まっていることを言う「〜ことになっている」とも違い、こちらは物や仕組みのはたらきに目を向けます。「〜と、〜ようになっている」の形で、操作と結果をセットで説明することが多いです。
接続
V辞書形・Vない形・可能形+ようになっている
形
ボタンを押すと店員が来るようになっている地図で近くの店が探せるようになっている会員になるとポイントがたまるようになっている10時を過ぎると注文できないようになっている
導入
- アプリの画面を説明する自作のグルメアプリの画面(地図・クーポン・予約ボタン)を見せ、教師が「ここを押すと、近くの店が出るようになっています」と説明する。次に「このアプリは前からこうでしたか」と聞き、「〜ようになった」(変化)と「〜ようになっている」(今の仕組み)を板書の2行で比べる。
板書案
V辞書形/Vない形/可能形 + ように なって いる
〔青〕操作:ボタンを 押すと、
→ 〔赤〕結果:店員が 来るように なって いる。
〔赤〕今の仕組み:〜ように なって いる 〔青〕変化:〜ように なった
10時を 過ぎると、注文できないように なって いる。
場面と発話(自作)
- 友達に、レストランの注文用タブレットの使い方を教える。ここで注文すると、そのまま厨房に届くようになってるんだよ。
- 薬局のポイントカードの仕組みを説明する。このカードは、100円の買い物で1ポイントたまるようになっています。
- 駐輪場の機械の前で、使い方が分からない友達にここにカードをタッチすると、ロックが外れるようになってるんだよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、券売機・セルフレジ・注文用タブレットなどの写真を見せ、「〜と、〜ようになっている」で仕組みを説明させる。次に、ST2 のやり取りの中で、薦めた店の予約サイトやアプリの仕組みを1つ説明に足させる。
- 口頭機械やサービスの写真を見せ、「〜と、〜ようになっている」で仕組みを言う。キューの例: 券売機(お金を入れる→ボタンが光る)、注文用タブレット(注文する→厨房に届く)、ポイントカード(100円買う→1ポイントたまる)、自動ドア(前に立つ→開く)。全体→個人。教師が「前からそう?」と聞き、変化の「〜ようになった」との違いを一言で確かめる。
- ペア情報差。A はアプリの画面の絵(地図・クーポン・予約ボタン)と仕組みの説明カードを持ち、B は同じ画面の絵だけを持つ。B が「ここを押すとどうなるの?」と聞き、A が「〜と、〜ようになってるよ」と説明する。B は分かったことを画面に書き込み、最後に A のカードと合っているか確かめてから役を替える。
- 産出「お店の仕組み案内係」。自分の国や町の便利な仕組み(セルフレジ・食券・アプリの予約)を一つ選び、来たばかりの留学生に説明するつもりで、操作と結果を3組「〜と、〜ようになっている」で話す。教師は①「ように」の前を辞書形・ない形・可能形にしているか ②人の努力の「〜ようにしている」と混ぜていないか ③変化の文になっていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 今の仕組みを言うつもりで「このアプリは地図が見られるようになりました」と言い、最近変わったという意味になる。変化を言いたいのか、今の仕組みを言いたいのかを確かめてから形を選ばせる
- 「*ポイントがたまりますようになっている」と丁寧形をつなぐ。「ように」の前は辞書形・ない形・可能形、と接続を板書で確かめる
- 「〜ようにしている」(人が気をつけてそうしている)と混ぜ、アプリの説明なのに「予約できるようにしています」と言う。主語が人の努力か、物の仕組みかで形が変わることを並べて示す
既習の文型との違い
- Vるようになります(能力の変化)(初中級第1課)「泳げるようになりました」は、できなかったことができるようになった変化を言います。「〜ようになっている」は今そう作られている仕組みで、いつ変わったかは問題にしません。アプリの説明で「見られるようになりました」と言うと、最近そう変わったという意味になる、と2つの文を並べます。
- Vることになっています/Vないことになっています(規則)(初中級第9課)「〜ことになっている」は人が決めた規則や約束を言い、守る側の話になります。「〜ようになっている」は機械や仕組みのはたらきで、守るかどうかは関係ありません。「10時を過ぎると注文できないようになっている」は機械がそう動くこと、「10時以降は注文しないことになっている」は店の決まりです。
- Vるようにしています/Vないようにしています(初中級第12課)「〜ようにしている」は人が気をつけて続けている習慣で、主語は人です。「〜ようになっている」は主語が物や仕組みです。主語に丸を付けて、人なら「している」、物なら「なっている」と選ばせると混ざりにくくなります。
関連する文型
この場面のことば・表現
- お得な情報を薦めるときに使える表現友達に得な情報を伝えるときは、「何をすると」「どう得か」をセットで言うと伝わります。「〜と」「〜たら」の条件のあとに得の中身を続ける形を練習させます。例:「アプリで予約すると、100円安くなるよ」「学生証を見せたら、飲み物がつくよ」「水曜日がねらい目だよ」「使わないともったいないよ」「ポイントがたまるから、カードを作ったら?」
3 見つけた!
できること看板やチラシを見て、どんなサービスがどんな条件で受けられるかを読み取れる。
場面
スーパーやドラッグストアの入口の看板、駅前の店のポスター、郵便受けに入るセールのチラシを見て、自分が得をするのか、条件は何かを読み取る場面です。教室では、教師が自作した看板とチラシを3〜4枚(「本日に限り」「お一人様につき」「改装中につき」などを含む)用意し、読む前に「いつ」「だれが」「いくつまで」の3つの問いを配ります。読み終わったら、自分がその条件に入るかどうかを答えさせます。
- 看板:本日に限り、全品10%引き
- チラシ:会員様限定 ポイント2倍デー(毎月5日・15日・25日)
- チラシ:卵1パック98円 お一人様につき1点限り
- ポスター:この冬こそ、あたたかい新しいコートを。
- 張り紙:改装工事中につき、2階売り場はご利用いただけません。
- チラシ:数に限りがございます。なくなり次第終了となります。
学習項目 1 〜に限り
意味・はたらき
看板やチラシで、特別なサービスが受けられる条件(日・人・数)をしぼるときの書き言葉です。「本日に限り」は「今日だけ」、「先着20名様に限り」は「最初に来た20人だけ」という意味です。意味は「〜だけ」に近いですが、硬く改まった言い方なので、ふつうの会話では「今日だけ」と言います。名詞を修飾するときは「本日限りのセール」のように「限りの」の形になります。「〜に限る」(第6課・「暑い日は冷たいそばに限る」=それがいちばんいい)や、「〜に限って」(「急いでいるときに限って」=よりによって)とは意味が違います。
接続
N+に限り(条件を表す名詞:本日・平日・会員・先着〜名様など)
形
本日に限り全品半額会員の方に限り送料無料先着30名様に限り平日の午前中に限り
導入
- 「だけ」の看板を書き直す教師が手書きで「きょうだけ やすい!」と書いた紙を見せ、次に店の看板ふうに「本日に限り 全品2割引」と書いた紙を並べる。「同じ意味ですか」と聞き、看板では改まった書き方になることに気づかせる。板書は「今日だけ(話す)=本日に限り(看板)」「会員だけ=会員の方に限り」の対にする。
板書案
〔青〕話す:今日だけ = 〔赤〕書く(看板):本日に 限り
N + に限り(本日・平日・会員の方・先着〇名様)
本日に限り 全品2割引
名詞の前:本日 限りの セール
〔赤〕別のもの:数に 限りが ございます(=少ない)
場面と発話(自作)
- ドラッグストアの入口の看板を読む。本日に限り、ポイント5倍。
- チラシの「会員様に限り送料無料」を、友達に伝える。会員の人だけ送料が無料なんだって。
- ドラッグストアの入口の張り紙を見て、友達に雨の日に限りポイント2倍だって。今日来てよかったね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「今日だけ」「学生だけ」「最初の10人だけ」などを看板の言い方に直させ、逆に看板の文を話し言葉に直させる。次に、チラシを読んで「この条件に自分は入るか」を答える。最後に、クラスのイベントの告知を「〜に限り」を使って書かせる。
- 口頭話し言葉のカードを看板の言い方に直し、逆も言う。キューの例: 「今日だけ半額」→「本日に限り半額」、「会員だけ送料無料」→「会員の方に限り送料無料」、「最初の20人だけ」→「先着20名様に限り」、「平日の午前だけ」→「平日の午前中に限り」。読み方(本日・先着・名様)を全体で確かめてから個人で言わせる。
- ペアA は条件が3つ入った自作のチラシを持ち、B は客カード(会員か・来る日・何番目に来たか)を持つ。B が自分の条件を言い、A がチラシを見て「〜に限りなので、大丈夫ですよ/残念ですが…」と答える。チラシを替えて3回行い、役を交替する。
- 産出「クラスの特売チラシ作り」。グループで架空の店(学校の売店・寮の朝ご飯など)のチラシを作り、「〜に限り」を2つ以上入れる。ほかのグループがそれを読み、自分が得をするかを話し言葉で答える。教師は①「に限り」の前が条件を表す名詞か ②「に限る」「限りがある」と混ぜていないか ③話すときに話し言葉に戻せているか、を見る。
つまずきと手当て
- 会話で「今日に限り安いよ」と言い、かたく不自然に聞こえる。看板・掲示の言い方と話す言い方を対にして覚えさせる
- 「〜に限る」(いちばんいい)と混ぜ、看板の条件を「本日に限るセール」と書く。条件をしぼるのは「に限り」、名詞の前では「本日限りのセール」、と2つを並べて示す
- 「数に限りがございます」を見て、これも条件をしぼる「に限り」だと取る。「限りがある」は量が少ないという意味で、条件の「〜に限り」とは別、とチラシの中で線を引き分けて確かめる
既習の文型との違い
- 〜だけ/〜だけの(中級第1課)意味はほぼ同じで、「本日に限り」は「今日だけ」と言い換えられます。違いは硬さと場面で、「〜に限り」は看板・チラシ・お知らせで条件をしぼるときの書き言葉です。友達との会話で「今日に限り安いよ」と言うと、張り紙を読み上げたように聞こえます。
- [〜個、〜時間、〜杯…/N]しか〜ない(初中級第12課)「会員しか買えない」は「それ以外はだめ」という否定の側から言い、残念な気持ちが入りやすい言い方です。「会員の方に限り購入できます」は同じ条件を、受けられる人の側から改まって案内します。チラシを話し言葉に直すとき、「しか〜ない」と「だけ」の両方で言わせると、どちらの向きで言っているかが分かります。
関連する文型
学習項目 2 〜こそ/〜からこそ
意味・はたらき
「Nこそ」は、ほかではなくまさにそれだと強く取り立てる言い方で、広告では「今こそ」「この冬こそ」のように、今が買いどき・行きどきだと強く呼びかけます。「〜からこそ」は理由を強めて、ほかの理由ではなく、まさにその理由でと言います。「手作りだからこそ、この味が出せる」のように、話し手が大事だと思う理由に使い、「から」よりも主張が強くなります。「は」「が」とちがって話し手の評価や意志が込められるので、だれでも分かるただの事実を言うときには向きません。書き言葉でも話し言葉でも使えますが、広告やスピーチのような強い調子になります。
接続
N+こそ/普通形+からこそ(ナA・Nは「だからこそ」)
形
今こそ買いどき今年こそ早めに準備したい手作りだからこそおいしい安いからこそ品質を確かめたい
導入
- 広告の一言を比べる「今、買いましょう」と「今こそ、買いどき」の2枚のポスター(自作)を見せ、どちらが強く感じるかを聞く。次に教師が「この店のパンは手作りだから、おいしいです」「手作りだからこそ、おいしいです」と言い比べ、「理由はほかにない、これだ」という気持ちを、手で一つを指す動作で示す。板書は「N+こそ」「〜から+こそ(ナA・Nは だから+こそ)」の2行。
板書案
N + こそ (ほかではなく、まさに これ)
今こそ 買いどき!/今年こそ 早めに 準備する。
普通形 + からこそ 〔赤〕ナA・N は「だからこそ」
手作りだから おいしい。→ 手作りだからこそ おいしい。
〔青〕一つを指す印 ☞ を「こそ」の上に
場面と発話(自作)
- 家電店のポスターを読む。この冬こそ、電気代の安いエアコンに。
- 友達に、高くても専門店で買う理由を話す。毎日使うものだからこそ、いいものを選びたいんだ。
- 友達に、なぜいつも同じパン屋に行くのか聞かれて毎朝食べるものだからこそ、ちょっと高くてもおいしいのがいいんだ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「今」「今年」「この夏」などを入れて広告の一言を作らせる。次に、「安い・品質を確かめる」「毎日使う・いいものを選ぶ」などの組で「〜からこそ」の文を作り、「〜から」の文と並べてどう違うかをペアで話させる。最後に、自分が大事にしている買い物のこだわりを「〜からこそ」で一言言わせる。
- 口頭キューの語を入れて、広告の一言や決意を言う。キューの例: 「今」→「今こそ買いどき」、「今年」→「今年こそ日本語の試験に受かりたい」、「この冬」→「この冬こそ鍋を」。次に理由の組(毎日使う・いいものを選ぶ/安い・品質を確かめる/手作り・おいしい)で「〜からこそ」を作り、全体→個人で言う。ナ形容詞・名詞のときは教師が「だから」と小さく言って補う。
- ペアA が「から」で理由を言い(「安いから、よく確かめたい」)、B が「そう、安いからこそ確かめたいよね」と強めて返す。B は自分も大事だと思う理由のときだけ「からこそ」を使い、そう思わないときは「そうかな?」と返す、という決まりにして、何でも強めないようにする。3回ごとに役を替える。
- 産出「こだわり一言スピーチ」。買い物や食事で大事にしていることを一つ選び、「〜からこそ、〜」を入れて30秒で話す(何を・なぜ・だからこそどうする、の順)。聞き手は一番共感したスピーチに投票する。教師は①「だからこそ」の接続 ②だれでも分かる事実に使っていないか ③「こそ」を入れた文が話し手の主張になっているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*便利からこそ」「*安いだからこそ」と接続を誤る。ナ形容詞と名詞は「だからこそ」、イ形容詞と動詞は普通形にそのまま「からこそ」、と表で確かめる
- 「雨だからこそ傘を持っていく」のように、だれでも分かるただの理由に使い、大げさに聞こえる。話し手がとくに言いたい理由のときに使う、と「から」の文と並べて見せる
- 「こそ」を「は」の代わりにどこにでも入れ、「今日こそ休みです」のような事実の報告に使う。「こそ」には「ほかではなくこれ」「今度こそ」という強い気持ちがある、と広告や決意の例で確かめる
既習の文型との違い
- どうして/〜から(初級第5課)「から」は理由を述べるだけで、ほかの理由があってもかまいません。「からこそ」は「ほかの理由ではない、まさにこれが理由だ」と一つにしぼって強く言います。「雨だから傘を持っていく」のような当たり前の理由に「からこそ」を付けると大げさに聞こえる、と並べて見せます。
- 〜のは〜です(強調構文)(初中級第6課)「私が行きたいのは駅前の店です」は文の形で一つを取り出し、そこに焦点を当てます。「こそ」は語のすぐ後ろに付けて、評価や意志を込めて強めます。「駅前の店こそ行ってほしい」のように主張や呼びかけの文になる点が違います。
関連する文型
学習項目 3 〜につき
意味・はたらき
張り紙や掲示で使う、とても改まった書き言葉で、二つの使い方があります。一つは理由で、「改装中につき休業」は「改装中なので休みます」という意味です。もう一つは単位ごとで、「お一人様につき2点まで」は「一人あたり2点まで」という意味です。理由の「につき」は「〜のため」に近いですが、さらに硬く、店や施設のお知らせでおもに使います。似た形の「〜について」(話題・「値段について聞く」)とは意味がまったく違います。
接続
N+につき(理由:工事中・定休日・貸し切りなど/単位:一人・1回・1枚など)
形
改装中につき休業本日は貸し切りにつきお一人様につき3点まで1回につき100円
導入
- 張り紙を話し言葉に直すシャッターに貼った「本日、棚卸しにつき休業いたします」の張り紙(自作)を見せ、「お店は今日、開いていますか」「どうしてですか」と聞く。もう1枚「卵 お一人様につき1パック」を見せ、「何パック買えますか」と聞く。板書は「理由:〜なので」「単位:〜あたり・〜ごとに」の2列にし、張り紙の文を振り分ける。
板書案
N + につき
〔青〕理由:改装中に つき 休業 = 改装中なので 休み
〔赤〕単位:お一人様に つき 2点まで = 一人 2つまで
〔青〕につき(理由・単位)⇔ について(話題)
〔赤〕話すときは「〜なので」「一人〜まで」
場面と発話(自作)
- ラーメン屋のドアの張り紙を読む。本日は貸し切りにつき、一般のお客様はご入店いただけません。
- スーパーの特売の張り紙を読む。お一人様につき2パックまで。
- レストランの入口に立てた札本日は満席につき、ご予約のお客様のみのご案内となります。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、張り紙の文を読んで「理由」か「単位」かを答えさせ、それぞれ話し言葉(「〜なので」「一人2つまで」)に直させる。次に、教師が出す状況(「工事で休み」「一人1枚」)を張り紙の言い方で書かせる。
- 口頭張り紙カードを読み、「理由」か「単位」かを全体で答えてから、話し言葉に直す。キューの例: 「棚卸しにつき臨時休業」→理由・「棚卸しなので休み」、「1回につき200円」→単位・「1回200円」、「満席につきしばらくお待ちください」→理由・「席がいっぱいなので待って」、「お一人様につき1枚」→単位・「一人1枚」。次に教師の状況(工事で休み・一人3個まで)を張り紙の言い方で言わせる。
- ペアA は店員役で張り紙を3枚持ち、B は客役で「卵を3パック買いたい」「今日入りたい」などの希望カードを持つ。B が希望を言い、A が張り紙を見せながら「申し訳ありません。お一人様につき〜」と説明し、B が話し言葉で「じゃあ、〜ということですね」と確かめる(ST4 の形の先取り)。
- 産出「張り紙職人」。学校や寮で使えそうな張り紙(「エアコン故障につき」「お一人様につき」)を2枚作り、それぞれを友達に口で伝える一言も書く。教師は①「につき」の前が名詞か ②理由と単位を書き分けているか ③口で伝える一言が硬い言い方のままになっていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*本日休みますにつき」と動詞につなぐ。「につき」の前は「休業」「工事中」「定休日」のような名詞、と張り紙の例で確かめる
- 「〜について」と見分けられず、「改装中につき」を「改装中のことについて」と読み違える。「につき」は理由か単位、「について」は話題、と板書の対で示す
- 会話で「今日は休みにつき、行けません」と言い、かたすぎて不自然になる。話すときは「〜なので」でよいと確かめる
既習の文型との違い
- 〜ので、〜(初中級第1課)「改装中なので、休みます」は話し言葉にも書き言葉にも使える理由の言い方です。「改装中につき休業」は同じ理由を、張り紙や掲示の短く硬い形で書いたものです。張り紙を読み上げるときは「〜なので」に戻して言う、と対にして覚えさせます。
- [原因]で(初級第15課)「雨で電車が遅れた」のように、「で」は名詞に付いて原因を言う、ふだんの話し言葉の形です。「につき」も名詞に付きますが、店や主催者がお知らせで事情を伝えるときの形で、「雨につき電車が遅れた」のように出来事を説明する文には合いません。「雨天につき中止」のように、お知らせの形なら使えます。
関連する文型
この場面のことば・表現
- セールのチラシや看板でよく使われることばチラシや看板は、短い名詞の組み合わせで条件を伝えます。読み方と意味をペアで確かめたあと、友達に話すときの言い方に言い直させると、ST2 のやり取りにもそのまま使えます。例:「先着20名様」「お一人様2点限り」「なくなり次第終了」「期間限定」「3割引・30%オフ」「税込・税抜」
4 こんなときどうする?
できること店の人の説明を確かめながら、自分の希望をていねいに頼める。
場面
服屋や雑貨店で、店の人に「この色のMサイズはないか」「入荷したら取っておいてほしい」「プレゼント用に包んでほしい」などの希望を伝える場面です。客は店員に、店員は客に、それぞれ丁寧体で話します。教室では、店員役に在庫やサービスを書いた店のカード(「Mは明後日入荷」「取り置きは2日まで」)を、客の役に希望のカードを配ってロールプレイをします。店員の説明をいったん自分の言葉でまとめて確かめてから頼む、という2段の流れにします。
- 客(留学生):すみません、このシャツのMサイズはないでしょうか。
- 店員:申し訳ありません。Mは明後日の入荷になります。
- 客:じゃあ、今日は買えないということですね。
- 店員:はい。よろしければ、入荷したらお取り置きもできますが。
- 客:そうですか。では、取っておいていただけるでしょうか。土曜日に来ます。
- 店員:かしこまりました。お名前とお電話番号をお願いします。
学習項目 1 〜ということだ
意味・はたらき
相手の説明や読んだ情報を受けて、「つまり〜だ」と言い換えたり、結論をまとめたりする言い方です。店員の説明を聞いて「じゃあ、今日は買えないということですね」と言うと、自分の理解が合っているかを確かめられ、行き違いを防げます。「〜そうだ」は聞いた話をそのまま伝えるだけですが、「〜ということだ」は聞いたことから話し手が引き出した中身を言います。聞いた話を人に伝える「〜ということだ/〜とのことだ」(伝聞)は第11課でくわしく扱うので、この課では確かめの「〜ということですね」「〜ということですか」を中心にします。
接続
普通形+ということだ(ナA・Nは「だ」がなくてもよい:「明後日入荷ということですね」)
形
今日は買えないということですねつまり、明後日なら買えるということですか会員じゃないと割引にならないということだ交換にはレシートが必要ということですね
導入
- 説明を聞いて、まとめてみせる教師が店員役で「Mサイズは今ありません。明後日、入ります」と言い、学習者に「じゃあ、今日は?」と聞く。答えを受けて教師が「今日は買えないということですね」とまとめてみせる。板書は「相手の説明」→「つまり(自分のまとめ)+ということですね」の矢印にし、まとめの部分に下線を引く。
板書案
〔青〕店員:Mサイズは 今 ありません。明後日 入ります。
→ 〔赤〕客:じゃあ、今日は 買えない ということですね。
普通形 + ということだ(ナA・N は「だ」がなくてもよい)
まとめは 大事な 1点だけ(〔赤〕下線)
〔青〕〜そうです(聞いた話を伝える)⇔ 〜ということですね(自分のまとめを確かめる)
場面と発話(自作)
- 店員から交換の条件を聞いたあと、確かめる。レシートがあれば、1週間以内なら交換できるということですね。
- レストランで、店員から待ち時間の説明を聞く。30分ぐらい待つということですか。じゃあ、名前を書いておきます。
- 電話でレストランの予約を相談して7時は満席で、8時からなら4人で入れるということですね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が店員の説明(在庫・交換・配送)を1〜2文で言い、学習者が「〜ということですね」でまとめる。まとめが長くならないよう、自分にとって大事な1点だけを言うように指示する。次に ST4 のロールプレイで、説明を確かめてから頼むまでを通す。
- 口頭教師が店員役で短い説明を言い、学習者が大事な1点を「〜ということですね」でまとめる。キューの例: 「この服は手洗いだけです」→「洗濯機は使えないということですね」、「レシートがあれば1週間以内なら交換できます」→「1週間を過ぎたら交換できないということですね」、「配達は明日の午後になります」→「今日は届かないということですね」。全体→個人。説明をそのままくり返した学習者には「つまり、困る?困らない?」と聞いて結論を引き出す。
- ペアA は店員カード(在庫・交換・配送の情報を2〜3文)を読み上げ、B はメモを取らずに聞いて「〜ということですね」で確かめる。合っていれば A は「はい、そうです」、違えば「いえ、〜ということです」と直す。B が2回続けて合ったら役を替える。
- 産出「確かめロールプレイ」。店員と客で、在庫がない・取り置き・プレゼント包装の3場面を、確かめ(〜ということですね)→頼み(〜でしょうか)→お礼の順で通す。教師は①「ということ」の前を普通形にしているか ②まとめが自分にとって大事な結論になっているか ③「〜そうですね」と取り違えていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*今日は買えませんということですね」と、中に丁寧形を入れる。「ということ」の前は普通形にし、丁寧さは最後の「です」で出す、と板書で示す
- 相手の説明をそのまま全部くり返すだけになる。まとめは自分にとって大事な結論(買えるか・いつか・いくらか)を一つにしぼる、と説明カードで練習する
- 自分の理解を確かめたいのに「今日は買えないそうですね」と「そうだ」を使い、人から聞いた話を伝えているように聞こえる。確かめるときは「ということですね」と、2つの文を並べて違いを見せる
既習の文型との違い
- 〜そうです(伝聞)(初級第15課)「〜そうです」は人から聞いた話を、自分の判断を加えずにそのまま伝えます。「〜ということですね」は、相手の説明から自分が引き出した結論を、その相手に確かめる言い方です。店員の前で「今日は買えないそうですね」と言うと、ほかの人から聞いた話をしているように聞こえる、と2文を並べます。
- どういう意味ですか/〜という意味です(初中級第2課)「〜という意味です」はことばや記号が何を表すかの説明で、辞書のような言い換えです。「〜ということです」は説明全体から「つまりどうなるのか」という結論を言います。「『入荷待ち』は、まだ店にないという意味ですね」と「じゃあ、今日は買えないということですね」を比べると、語の意味と話の結論の違いが見えます。
関連する文型
学習項目 2 〜でしょうか
意味・はたらき
「〜ですか」の代わりに使う、やわらかく丁寧な質問の言い方です。相手に答えを強く求めない聞き方になるので、店の人に在庫を聞いたり、無理かもしれない頼みごとをしたりするときに向いています。頼むときは「〜ていただけるでしょうか」「〜てもらえないでしょうか」の形がよく使われ、「〜てもらえますか」よりも遠慮した言い方になります。第1課の「〜でしょう」(推量)と形は同じですが、ここは話し手が予想を言うのではなく、相手にたずねる使い方です。
接続
普通形+でしょうか(ナA・Nは「だ」を取る:「大丈夫でしょうか」「これでいいでしょうか」)
形
Mサイズはないでしょうか取り置きをお願いできるでしょうか包んでいただけるでしょうか試着してもいいでしょうか
導入
- 同じ頼みを3段階で教師が客の役で「包んでください」「包んでもらえますか」「包んでいただけるでしょうか」の3つを言い、どれがいちばんていねいか、どんなときに使うかを聞く。板書は3段の階段にし、いちばん上に「〜でしょうか」を書く。店が混んでいるときや、無理かもしれないお願いのときは上の段を使う、と場面と結びつける。
板書案
〔青〕包んで ください。
包んで もらえますか。
〔赤〕包んで いただける でしょうか。(いちばん ていねい)
普通形 + でしょうか 〔赤〕ナA・N は「だ」を取る:大丈夫でしょうか
〔赤〕文末 ↗(推量の「でしょう ↘」と区別)
場面と発話(自作)
- 服屋で、ほかの色があるか聞く。これの黒はないでしょうか。
- 花屋で、プレゼント用の包装を頼む。プレゼントなので、リボンをつけていただけるでしょうか。
- レストランで、ご飯の量を変えてもらえるか聞く。ご飯を少なめにしてもらえないでしょうか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、希望カード(「青がほしい」「明日まで取っておいてほしい」)を見て「〜でしょうか」で言わせ、次に同じ希望を「〜てもらえますか」で言い、場面によって言い分けさせる。ST4 のロールプレイでは、確かめ(〜ということですね)→頼み(〜でしょうか)→お礼の順に通す。
- 口頭希望カードを見て「〜でしょうか」で言う。キューの例: 青い色がほしい→「青はないでしょうか」、明日まで取っておいてほしい→「明日まで取り置きをお願いできるでしょうか」、プレゼント用に包んでほしい→「包んでいただけるでしょうか」、試着したい→「試着してもいいでしょうか」。全体→個人で言ったあと、同じ希望を「〜てもらえますか」でも言い、場面カード(店が混んでいる・無理かもしれない頼み)でどちらを使うか選ばせる。
- ペアA は店員役で、在庫とサービスが書いてある店のカード(できることとできないことがある)を持つ。B は客役で希望を3つ「〜でしょうか」で頼む。A はカードを見て受けるか、「申し訳ございません、〜は…」と断って代わりの案を出す。B は断られたら「じゃあ、〜ということですね」で確かめる。
- 産出「むずかしいお願いチャレンジ」。少し無理かもしれない頼み(閉店間際の取り置き・別の店からの取り寄せ・値札を外した包装)をくじで引き、店員役の教師に頼む。断られても1回は別の頼み方で頼み直す。教師は①「だ」の取り外し ②「ありますでしょうか」のような重ね ③文末の上げ調子と、頼む前に事情を一言添えているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*静かだでしょうか」「*学生だでしょうか」と「だ」を残す。ナ形容詞・名詞は「だ」を取ってつなぐ、と表で確かめる
- 「ありますでしょうか」「よろしいですでしょうか」と「ます」「です」に重ねる。店ではよく耳にするが、教室では「あるでしょうか」「よろしいでしょうか」を基本の形にする
- 下げ調子で言い、推量の「〜でしょう」のように聞こえる。質問のときは文末を少し上げる、と音で比べさせる
既習の文型との違い
- Vていただけませんか(初中級第5課)「〜ていただけませんか」も目上や知らない人への丁寧な頼みですが、相手が受けてくれそうな頼みによく使います。「〜ていただけるでしょうか」は、受けてもらえるかどうか分からない、という遠慮をさらに加えます。店の決まりで無理かもしれない頼みには「でしょうか」、よくあるサービスなら「ませんか」で十分、と場面で分けます。
- 〜でしょう/〜だろう(中級第1課)第1課の「〜でしょう」は話し手の推量で、文末は下がります。この課の「〜でしょうか」は相手にたずねる形で、文末を少し上げます。「明日は雨でしょう↘」と「黒はないでしょうか↗」を音で比べさせると、推量とたずねる形の違いがすぐ分かります。
関連する文型
この場面のことば・表現
- 店の人にやわらかく希望を伝えるときに使える表現頼む前に前置きを入れ、希望は「できれば」「もし〜なら」でやわらげます。「〜んですが」で言いさすと、店の人のほうから応じてくれることも多いと伝えます。例:「ちょっとお聞きしたいんですが」「できれば青がいいんですが」「もう少し小さいのはありませんか」「包んでもらうことはできますか」「無理なら大丈夫です」
5 伝えてみよう
できること自分の買い物の経験を話して、聞いた人の経験も次の買い物に生かせる。
場面
クラスや寮の友達と、買ってよかったもの・失敗した買い物の経験を話し合い、次の買い物の参考にする場面です。教室では、話す前に「何を・どこで・いくらで買ったか」「どうだったか(よかった・失敗した)」「次はどうするか」の3つをメモさせ、1人1分で話します。聞き手には質問を一つ返す役を決めておくと、経験の共有がやり取りになります。
- 留学生A:先月、ネットで安いリュックを買ったんですけど、失敗しました。
- 留学生B:え、どうしてですか。
- 留学生A:説明では大きいはずだったのに、届いたら子ども向けのサイズだったんです。
- 留学生B:ああ、サイズを確かめなかったんですか。
- 留学生A:はい。次からは、商品の説明を最後まで読むことにします。
- 留学生B:わたしも、口コミを見てから買うようにしています。
学習項目 1 〜はずだ
意味・はたらき
話し手が何かの根拠(知っていること・計算・経験)から、当然そうだと判断することを表します。「あの店なら売っているはずだ」は、前に見たなどの根拠があっての判断です。「〜だろう」より確かさが高く、「〜に違いない」(第18課)が話し手の強い確信や直感を表しやすいのに対し、「はずだ」は筋道を立てた判断です。「〜はずだったのに」は、そうなると思っていたのに実際は違った、という経験を話すときによく使います。自分の意志や予定には使わず、それは「〜つもりだ」で言います。
接続
V普通形・イAい・ナAな・Nの+はずだ(「そうではないと判断する」は「〜ないはずだ」、「そんな可能性はない」は「〜はずがない」)
形
セールは日曜日までのはずだあの店なら売っているはずです安いはずだったのに、送料で高くなったレシートがあれば返品できるはずだ
導入
- 根拠を言ってから判断する教師が「先週このスーパーで卵が98円でした」「毎週火曜日は特売です」「今日は火曜日です」と根拠を3つ板書し、「今日の卵は?」と聞いて「98円のはずです」を引き出す。次にレシートを見せて「でも今日は198円でした」と言い、「98円のはずだったのに」とつなげる。板書は「根拠 → はずだ」「はずだった → のに(実際)」の2段。
板書案
〔青〕根拠:先週 卵が 98円。毎週 火曜日は 特売。今日は 火曜日。
→ 〔赤〕今日の 卵は 98円の はずだ。
V普通形/イAい/ナAな/Nの + はずだ
〔赤〕はずだった のに → 実際は 198円!
確かさ:〜かもしれない < 〜と思う < 〜はずだ
場面と発話(自作)
- 友達に、店の営業時間を聞かれる。あそこは夜10時まで開いてるはずだよ。
- 買い物の失敗を話す。このセーターは洗えるはずだったのに、洗ったら小さくなってしまいました。
- ネットで注文した荷物が届かず、友達に昨日届くはずだったのに、まだ来ないんだよね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、根拠のカード(「先週見た」「チラシに書いてある」)と判断のカードを組み合わせて「〜はずだ」を作らせる。次に、自分の買い物の失敗を「〜はずだったのに、〜」で一文にさせ、ST5 の経験談に入れる。
- 口頭根拠カードと判断カードを組み合わせて「〜はずだ」を言う。キューの例: 「チラシに日曜日までと書いてある」→「セールは日曜日までのはずだ」、「前にあの店で見た」→「あの店なら売っているはずだ」、「レシートを持っている」→「返品できるはずだ」。全体→個人。次に教師が「でも…」と実際を言い、学習者が「〜はずだったのに、〜」で受ける。
- ペアA が困ったこと(「駅前のパン屋が閉まってた」「送料がかかった」)を言い、B が「え、〜はずだよね?」と根拠を出して驚く。A が「そう、〜はずだったのに」と受けて理由を一つ言う。根拠のない判断に「はず」を使ったら、相手は「どうして?」と聞き返す決まりにする。
- 産出「買い物しくじり話」。自分の買い物の失敗を「〜はずだったのに、〜」を入れて1分で話し、最後に「次は〜ようにする」で締める。聞き手は似た経験を一つ返す。ここで話したことは ST5 の経験談にそのまま入れる。教師は①根拠のあることに使っているか ②自分の予定に「はずだ」を使っていないか ③名詞・ナ形容詞の接続、を見る。
つまずきと手当て
- 自分の予定や意志を言うつもりで「明日、新しい靴を買うはずです」と言い、人ごとのように聞こえる。自分が決めていることは「買うつもりです」、根拠からの判断が「はずです」、と並べて確かめる
- 「*日曜日はずだ」「*便利はずだ」と接続を落とす。名詞は「の」、ナ形容詞は「な」が要る
- 根拠がないのに「はずだ」を使い、強く言い切りすぎる。根拠がはっきりしないときは「〜と思う」「〜かもしれない」にする、と確かさの段階を板書で示す
既習の文型との違い
- 〜と思います(推量)(初級第15課)「〜と思います」は根拠の有無にかかわらず、話し手の考えを広く言えます。「〜はずです」は知っていることや計算から筋道を立てた判断で、根拠を聞かれたら答えられる場合に使います。根拠のない判断に「はず」を使うと言い切りすぎに聞こえるので、迷ったら「と思う」に下げる、と確かさの段階で示します。
- 〜かもしれません(初中級第5課)「〜かもしれない」は可能性がある、という程度の弱い判断で、そうでない可能性も十分に残ります。「〜はずだ」は当然そうなる、と強く判断します。「開いているかもしれない」「開いているはずだ」を並べ、どちらなら確かめずに行くかを聞くと、確かさの差が実感できます。
- 〜でしょう/〜だろう(中級第1課)「〜だろう」は根拠をそれほど問わない推量で、予報や見通しによく使います。「〜はずだ」は根拠から当然だと判断するので、予想が外れたときに「はずだったのに」と言える点が特徴です。「*だろうだったのに」とは言えないので、経験談で外れた予想を言うのは「はず」の役目になります。
関連する文型
学習項目 2 〜向け
意味・はたらき
「N向け」は、その人たちのために作られた・用意されたことを表します。「一人暮らし向けの家電」は、一人暮らしの人を相手に作られた家電です。似た形の「〜向き」(第18課)は、作った目的に関係なくその人や場面に合っていることを言います(「この靴は雨の日向きだ」)。「向け」は売る側・作る側が相手を決めている、と考えると分けやすくなります。後ろに名詞が来るときは「〜向けのN」、動詞につなぐときは「〜向けに作る」です。
接続
N+向け(N+向けのN/N+向けに+V)
形
子ども向けの絵本一人暮らし向けのセット観光客向けに作られた案内初心者向けの料理教室
導入
- 売り場の看板から「子ども向け」「シニア向け」「一人暮らし向け」と書いた売り場の看板(自作)を見せ、「だれのための売り場ですか」と聞く。次に「この靴は雨の日向き」の札を見せ、「雨の日のためだけに作った靴ですか」と聞いて、「向け」は作る側が相手を決めている、「向き」はその場面に合っている、を板書の2列で比べる。
板書案
N + 向け = その人たちの ために 作った・用意した
〔赤〕N向けの N:子ども向けの 絵本
N向けに V:観光客向けに 作られた 案内
〔青〕向け(作る側が 相手を 決めた)⇔ 向き(合っている・第18課)
〔赤〕*子ども向けな 本 → 子ども向けの 本
場面と発話(自作)
- 家電量販店で、店員に商品をすすめられる。こちらは一人暮らし向けの小さい冷蔵庫です。
- 友達に、買ってよかったものを話す。留学生向けの家具のセットを買ったら、すごく楽だったよ。
- 家電の売り場で、店員が客にこちらは留学生向けに、説明書が5つの言葉で付いています。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、商品の写真を見せて「〜向けの〜」と言わせる。次に、「向け」と「向き」のどちらが合うかを選ぶ問題を口頭で出す。最後に、ST5 の経験談に「〜向けだと思って買ったら〜」の一文を入れさせる。
- 口頭商品やサービスの写真を見せ、「〜向けの〜」で言う。キューの例: 大きい字の携帯電話→「お年寄り向けの携帯電話」、小さい炊飯器→「一人暮らし向けの炊飯器」、英語の地図→「観光客向けの地図」、やさしい料理の本→「初心者向けの料理の本」。全体→個人。続けて教師が「この料理教室は、だれ向け?」と聞き、学習者が答える形で質問の言い方にも慣らす。
- ペアA は商品カード(写真と特徴)を持ち、B は人物カード(一人暮らしの大学生・小さい子どものいる家族・料理を始めたばかりの人)を持つ。B が自分の状況を言い、A が「それなら、こちらは〜向けなので…」と薦める。B は「〜向けだと思って買ったら〜」と後日談を一言足して終わる。
- 産出「〇〇向けセット企画会議」。グループで「新しく来た留学生向け」「日本で初めて一人暮らしをする人向け」などのスタートセットを企画し、中身5点と理由を発表する。ほかのグループは自分が買いたいか、足りない物は何かを言う。教師は①「向けの」「向けに」の接続 ②「に向けの」の誤り ③合っているという評価を言いたいのに「向け」を使っていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「〜向け」と「〜向き」を取り違え、作られた目的を言いたいのに「子ども向きの番組」と言う。作る側が相手を決めているなら「向け」、と看板の例で確かめる
- 「*子ども向けな本」と、ナ形容詞のようにつなぐ。名詞が続くときは「向けの」、と板書で示す
- 「*学生に向けのセット」と「に」を入れる。「学生向けのセット」、または動詞の形で「学生に向けたセット」、と2つの形を並べる
既習の文型との違い
- Vるために、〜/Nのために、〜(目的)(初中級第3課)「子どものために絵本を買う」は、話し手がだれかのために行動することを言います。「子ども向けの絵本」は、作る側・売る側が相手を決めて作った物の性質を言い、買う人がだれかは関係ありません。大人が自分で読んでも「子ども向けの絵本」と言えることを確かめると、二つの違いが見えます。
- Vるのに〜/Nに〜(目的・用途)(初中級第12課)「このバッグは旅行にいい」「料理するのに便利だ」は使い道を言う形です。「旅行者向けのバッグ」は、旅行者を相手に作られたことを言います。使い道を評価するなら「〜にいい・便利だ」、作られた相手を言うなら「向け」と、文の後ろの語で選ばせます。
関連する文型
この場面のことば・表現
- 経験したときの気持ちを伝える表現経験談は、事実だけでなくそのときの気持ちを一言足すと、聞き手が共感しやすくなります。よかったとき・失敗したときの両方の言い方をそろえ、話の終わりに置かせます。例:「買ってよかったです」「得した気分です」「思ったより丈夫でした」「がっかりしました」「急いで買ってしまって後悔しています」「次は気をつけようと思います」
語彙の扱い
この課の語は、飲食店の紹介(定食・日替わり・おかわり・ボリューム)、チラシや看板(割引・先着・限定・入荷・税込)、店での手続き(取り置き・交換・返品・試着・包装)の3つのかたまりに分かれます。チラシと看板の語は読めて意味が分かれば十分なものが多いので、話す練習は ST2・ST4・ST5 で使う語にしぼります。漢字語の多い看板のことばは、読み方を確かめてから話し言葉に言い直させます。
この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)
- 日替わり(ひがわり) 日ごとに中身が変わること。定食やランチのメニューでよく使う。 〜定食・〜ランチ・〜メニュー
店の前の黒板を見て、友達に説明する。日替わりだから、日によっておかずが違うんだよ。
- おかわり(おかわり) 同じ食べ物や飲み物を、もう一杯・もう一皿もらうこと。 ご飯の〜・〜自由・〜をする
定食屋の紹介を聞いて、友達に伝える。ここ、ご飯のおかわりが無料になってるんだって。
- ボリューム(ぼりゅーむ) 料理の量が多く、食べごたえがあること。店の紹介では「量が多い」の意味でよく使う。 〜がある・〜満点・〜たっぷり
食べ終わって、店を出たところで。値段のわりにボリュームがあって、おなかいっぱいになった。
- 限定(げんてい) 数・期間・人などをしぼって、それ以外には売らない・出さないこと。 数量〜・期間〜・〜メニュー
人気のパン屋の前で、友達に。数量限定だから、あるうちに買っておこうよ。
- 先着(せんちゃく) 先に着いた順番。早く来た人から決まった数だけ、という条件に使う。 〜順・〜〇名様・〜で配る
チラシを読んで、クラスメートに知らせる。先着50名様に限り、エコバッグがもらえるんだって。
- 値引き(ねびき) 決まった値段から、いくらか安くすること。 〜する・〜のシール・閉店前の〜
スーパーで夕食の買い物をする友達に。閉店の1時間前から値引きが始まるはずだよ。
- 入荷(にゅうか) 店に品物が届き、売れるようになること。 〜する・〜待ち・再〜
在庫のない服について、店員の説明を確かめる。Mサイズは来週入荷ということですね。
- 取り置き(とりおき) 買う予定の品物を、お金を払う日まで店に取っておいてもらうこと。 〜をお願いする・〜の期限・〜できる
財布を忘れて、店員に頼む。明日の夕方まで取り置きをお願いできるでしょうか。
- 試着(しちゃく) 服や靴を買う前に、着たりはいたりして合うかどうかを確かめること。 〜する・〜室・〜してみる
服屋で、店員に声をかける。すみません、こちら、試着してもいいでしょうか。
- 返品(へんぴん) 買った品物を店に返して、お金を返してもらうこと。 〜する・〜できる・〜の期限
サイズの合わない靴を前に、友達と話す。レシートがあれば、1週間以内なら返品できるはずだよ。
- 税込(ぜいこみ) 消費税が入った値段であること。反対は「税抜き」。 〜価格・〜〇円・〜で
値札を見て、店員にたずねる。この値段は税込でしょうか。
宿題と次のコマ
宿題は、近所の店のチラシや看板(自分で撮った写真でよい)を1枚選び、条件(いつ・だれが・いくつまで)を書き出して、友達に薦める一言を「〜がいいんじゃない?」で書いてくること。次のコマの最初にペアで見せ合ってから、第3課の最初の「見つけた!」に入ります(この課の「〜はずだ」が、次の課の「〜はずがない」につながります)。
よくある質問
『できる日本語 中級』第2課「楽しい食事・上手な買い物」は何コマで終わりますか?
学習項目が13と多いので、90分なら4コマが目安です。1コマ目に導入と1(〜ている・〜によって・〜うちに・〜わりに)、2コマ目に2と3の前半、3コマ目に3の後半と4、4コマ目に5と課のまとめを置きます。看板・チラシのことば(〜に限り・〜につき)は読んで分かれば足りるので、時間が足りないときはここを短くし、話す練習の多い2・4・5に時間を回します。
「〜うちに」と「〜前に」の違いはどう説明すればいいですか?
「〜前に」は出来事の順番を言うだけですが、「〜うちに」は今の状態が続いているあいだという区間と、終わったらできない・損をするという気持ちを含みます。時間の矢印の上に「温かい」の区間を囲んで見せ、その中に動作を置くと区間の考え方が伝わります。「日本に来るうちに」のように区間のない動作には使えない、という例を並べると境目がはっきりします。
「〜に限り」「〜につき」のような看板のことばは、話す練習までさせますか?
この課では、読んで意味が取れ、自分が条件に入るかを判断できれば十分です。話す練習は「本日に限り」→「今日だけ」、「お一人様につき2点まで」→「一人2つまで」のように、話し言葉に言い直すところまでにします。会話で看板の言い方を使うと硬く聞こえるので、書き言葉と話し言葉を対にして板書しておくと混ざりません。
「〜はずだ」と「〜だろう」「〜に違いない」はどう違いますか?
「〜だろう」は根拠をそれほど問わない推量、「〜はずだ」は知っていること・計算・経験という根拠から筋道を立てた判断です。「〜に違いない」(第18課)は話し手の強い確信や直感を表しやすい形です。この課では根拠を3つ板書してから「〜はずです」を引き出し、根拠が言えないときは「〜と思う」「〜かもしれない」に下げる、と確かさの段階で整理します。
「〜向け」と「〜向き」の違いは?
「〜向け」は作る側・売る側がその相手のために作った・用意したこと、「〜向き」(第18課)は目的に関係なくその人や場面に合っていることを言います。「子ども向けの番組」は子どもを相手に作った番組、「この靴は雨の日向きだ」は雨の日に合っている靴です。この課では「向け」を中心に練習し、「向き」は違いを示す例として1つ見せる程度にします。
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。