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できる日本語 中級 第11課「ライフスタイル」の教案
『できる日本語 中級 本冊 第2版』 ・ できること4つ(耳でキャッチ・見つけた!・こんなときどうする?・伝えてみよう)
さまざまな人の暮らし方を聞く・読む ことから入り、最後に結婚という、考え方が人によって分かれる話題について自分の考えを控えめに述べる ところまで進む課です。1 ではニュースの解説で大学生の生活の平均像を聞き取り、2 では生活情報誌で衣食住の新しい傾向を読み、3 では親しい友達との約束を事情を説明して取り消すやり取りをします。4 では、それまでに集めた調査の数字や傾向の言い方を使い、グラフを見ながら自分の考えを話します。前の課(旅行)で練習した「自分の体験を紹介する」話し方を、ここでは「社会の傾向を説明し、それについて意見を言う」話し方へ広げます。
このページについて 教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目 13時間 90分×4コマ場面 4
このページの内容
この課のねらい(Can-do)
進め方と時間配分
1 耳でキャッチ
2 見つけた!
3 こんなときどうする?
4 伝えてみよう
語彙の扱い
宿題と次のコマ
よくある質問
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課のねらい(Can-do)
ニュースで調査結果の解説を聞いて、大学生の生活の平均や違いを数字とともに聞き取れる
生活情報誌の記事を読んで、衣食住について最近広がっている暮らし方とその背景をつかめる
親しい人との約束を、事情を説明しておわびし、代わりの案を出して取り消せる
結婚についての記事とデータを読んで、読み取ったことを根拠に自分の考えを控えめに話せる
進め方と時間配分 目安は 90分×4コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
段 時間 やること
導入(前の課とのつなぎ) 15分 教師が自分の一日の時間の使い方を円グラフで見せ、学習者にも自分の一日を円グラフに書かせて隣の人と比べる。前の課の「思い出の旅行を紹介する」話し方から、「自分と他の人の暮らしを比べる」話題へ移ることを伝える
1 耳でキャッチ 90分 架空の調査のグラフを見て数字を予想 → 解説の音声を3回聞く(数字・比べているもの・ただし書き)→「〜ということだ」「〜に対して」「〜ものの」「〜といっても」→ 聞き取った内容を隣の人に伝え直す
2 見つけた! 90分 記事の見出しの新しい言葉の意味を推測 →「〜とは〜ことだ」で意味を確かめる → 本文を読んで傾向(〜つつある)とその結果(〜結果)を表にまとめる →「どれを選ぶにしても」で自分が大切にしたいことを言う
3 こんなときどうする? 60分 約束を断る順番(切り出し・事情・おわび・代わりの案)を考える →「〜づらい」で切り出す →「〜んだから」は断られた側が受け入れる一言として練習 → 役を交代してロールプレイ
4 伝えてみよう 75分 結婚についての記事とグラフを読む →「〜からすると」で立場ごとの見方を出す →「〜というより」で自分の見方を言い直す →「〜のではないでしょうか」で締めて1分の発表 → 聞き手は根拠を一つ質問する
課のまとめ 30分 1〜4で集めた数字・新しい言葉・自分の意見をワークシートにまとめ、「自分の暮らしで変えてみたいこと」を一つ書いて、グループで理由とともに紹介し合う
1 耳でキャッチ
できること ニュース番組の調査結果の解説を聞いて、大学生の平均的な暮らしぶりを数字や比較とともに理解できる。
場面 テレビのニュース番組で、解説者が大学生の生活についての調査結果をグラフを使って説明する場面です。教室では教師が架空の調査 (一週間のアルバイトの時間・自炊の割合・睡眠時間・勉強時間)の棒グラフを1枚作り、それを読み上げる1分ほどの解説を自分で録音して流します。1回目は数字だけ、2回目は比べている二つのもの、3回目は「ただし」「〜といっても」のあとの補足を聞き取らせます。
アナウンサー:大学生の暮らしについての調査結果がまとまりました。
解説者:全国の大学生千人を対象に、ふだんの一週間の過ごし方を聞いたということです。
解説者:アルバイトをしている学生は七割を超え、一週間の平均は十二時間でした。
解説者:自炊をよくする学生が四割なのに対して、ほとんどしない学生も三割いました。
解説者:勉強の時間は前回の調査より増えたものの、まだ一日一時間に届いていません。
アナウンサー:増えたといっても、わずかなんですね。
解説者:はい。睡眠時間も平均六時間半と、少し短めだということです。
学習項目 1 〜ということだ/〜とのことだ
意味・はたらき
人から聞いたことや、調査・報道で伝えられたことを、そのまま聞き手に伝える伝聞 の形です。ニュースの解説では「〜を対象に調べたということです」のように、情報の出どころが話し手自身ではないことを示します。「〜そうだ」より改まった言い方で、「〜とのことだ」はさらに硬く、ニュースや仕事の伝言(「部長は少し遅れるとのことです」)でよく使います。「〜らしい」と違って話し手の推測は入らず、また伝聞の「〜そうだ」は過去の形にできませんが、「〜ということでした」は言えます。
接続 普通形+ということだ/とのことだ(ナA・N は「だ」を付けても付けなくてもよい:休みだということだ・休みとのことだ)
形
学生の七割がアルバイトをしているということです 調査は昨年の秋に行われたとのことです 結果は来月発表されるということでした
導入
伝言を受け取って伝える 教師が教室の外で電話を受けるふりをして戻り、「事務の人から電話がありました。明日の説明会は三時からだということです」と伝える。学習者に「誰が言ったこと?」と聞き、話しているのは教師でも情報は事務の人のものだと確かめてから、ST1 の解説の音声で同じ形を聞かせる。板書は「[聞いたこと(普通形)]+ということです/とのことです」とし、前に出どころ(〜によると・〜の話では)を足せる枠にする。
板書案
[聞いたこと(普通形)]+ということです/とのことです
〔青〕出どころ:〜によると・〜の話では
事務の人によると、説明会は三時からだということです。
〔赤〕過去の伝言:〜ということでした(*三時からだそうでした)
硬さの段:〜んだって < 〜そうです < 〜ということです < 〜とのことです
場面と発話(自作)
アルバイト先で、店長からの伝言を同僚に伝える。 店長は、今日は三十分ほど遅れて来るとのことです。
授業の前に、休んだクラスメートのことを先生に伝える。 山田さんは熱があるので、今日は休むということです。
テレビのニュースで、アナウンサーが調査の方法を伝える。 調査は全国の大学生千人を対象に行われたということです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が伝言メモのカード(「田中さん:明日は来られない」「事務:書類の締め切りは金曜日」など)を見せ、学習者が「〜ということです/〜とのことです」で第三者に伝える。次に ST1 の解説の音声を聞いて、聞き取った数字を「〜ということです」で隣の人に伝え、二人のメモを突き合わせる。
口頭 教師が伝言メモのカード(「事務:書類は金曜まで」「店長:今日は臨時休業」「山本さん:駅の北口で待っている」「先生:小テストは来週に延期」)を見せ、学習者が「〜によると、〜ということです」で全体→個人の順に伝え直す。同じカードを次は「〜ということでした」で過去の伝言にして言い直し、最後に硬いほうの「〜とのことです」でも言わせる。
ペア A は電話を受けた人で、伝言主と内容2点を書いたメモカードを持つ。B は伝言を受け取る人でメモ用紙だけを持つ(情報差)。A が「〜さんから電話があって、〜とのことです」と伝え、B は「何時からですか」のように一つ聞き返してメモを完成させる。カード3枚で役を交替する。
産出 「30秒ニュース解説」。ST1 の架空の調査のグラフから数字を一つ選び、「〜を対象に調べたところ……ということです」で30秒の解説を話す。教師は、出どころの言い方があるか、自分の意見(〜と思います)と伝聞を混ぜていないか、過去の伝言を「ということでした」にできているかを見る。
つまずきと手当て
伝聞の「そうだ」と同じように考えて過去にし、「*説明会は三時からだそうでした」と言う。過去の伝言は「三時からだということでした」と、板書で二つを並べて確かめる
自分が見たことや自分のことに使い、「わたしは昨日映画を見たということです」と言ってしまう。人から聞いた情報を伝えるときの形で、自分の体験には使わない
友達との会話でも「〜とのことだよ」と言って硬く聞こえる。友達には「〜んだって」「〜って」、先生や仕事の場では「〜ということです」、ニュースや伝言では「〜とのことです」と、硬さの段を板書で並べる
既習の文型との違い
〜そうです(伝聞)(初級第15課) 意味は同じ伝聞ですが、「〜そうです」は過去や否定の形にできず、「〜ということでした」は言えます。硬さは「〜そうです」より「〜ということです」が上です。「*説明会は三時からだそうでした」と言う学習者には、二つを並べて板書します。
〜んだって(初中級第15課) 「〜んだって」は友達どうしのくだけた伝聞です。友達との会話で「〜とのことだよ」と言うと硬さがちぐはぐになるので、相手と場面で選ぶことを段の板書で確かめます。
〜らしいです(伝聞)(初中級第12課) 「〜らしい」は聞いた話を、話し手が少し距離を置いて、確かでないものとして伝える響きがあります。「〜ということだ」は出どころのある情報を、話し手の判断を入れずにそのまま渡す形なので、ニュースや仕事の伝言に向きます。
関連する文型
学習項目 2 〜に対して
意味・はたらき
二つのものを並べて、一方はこうだが、もう一方はそれと反対・大きく違う、と対比 する形です。調査の解説では「自炊する学生が四割なのに対して、ほとんどしない学生も三割いる」のように、数字の違いをはっきり示すのに使います。初級の「〜は〜が、〜は」より改まっていて、書き言葉やニュースでよく使われます。「〜一方(で)」も対比に使えますが、「一方」は同じものの別の面を付け足すときにも使える点が違います。第12課で学ぶ「〜に対して(対象)」(「先生に対して失礼だ」)は気持ちや行動を向ける相手を表す別の用法なので、ここでは二つを比べる用法に絞ります。
接続 N+に対して/V・イA普通形+のに対して/ナA・N+な(である)+のに対して
形
都市部に対して、地方では車を使う人が多い 一年生が平均三冊なのに対して、四年生は一冊だ 兄が外で遊ぶのが好きなのに対して、弟は家で本を読むのが好きだ
導入
二本の棒グラフを並べる 棒グラフを二本だけ黒板に貼り(例:一か月に読む本の冊数、一年生は平均三冊、四年生は平均一冊)、学習者に違いを言わせてから、教師が「一年生が平均三冊なのに対して、四年生は一冊です」とまとめる。板書は「A は〜(な)のに対して、B は〜」とし、A と B が同じ種類の二つであること、後ろに必ず比べる相手が来ることを矢印で示す。
板書案
A は 〜(な)のに対して、B は 〜
〔青〕N:都市部に対して、地方では車を使う人が多い。
〔青〕述語:一年生が三冊なのに対して、四年生は一冊だ。
〔赤〕A ↔ B は同じ種類の二つ
〔緑〕第12課の「先生に対して(対象)」とは別の用法
場面と発話(自作)
ゼミの発表で、アンケートの結果を比べて説明する。 平日の睡眠時間が六時間なのに対して、休日は八時間を超えています。
自分の国と日本の生活の違いを紹介する。 わたしの国では夕食が夜九時ごろなのに対して、日本では七時ごろに食べる家庭が多いようです。
ゼミのレポートで、回答の違いを書く。 男性の六割が「自炊はほとんどしない」と答えたのに対して、女性は三割にとどまった。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、二つの数字を書いたカード(「朝食をとる:一年生8割/四年生5割」など)を見せ、「〜のに対して、〜」の一文にさせる。次に ST1 の解説で聞いた数字を使い、グループで二つを比べる文を三つ作って発表させる。
口頭 二つの数字を書いたカード(「朝食をとる:一年生8割/四年生5割」「通学時間:自宅生40分/下宿生10分」「スマホの時間:平日3時間/休日6時間」)を見せ、全体で「〜のに対して、〜」の一文にする。名詞だけで比べるカード(都市部/地方)を混ぜ、「の」が要るときと要らないときを交互に言わせてから個人に当てる。
ペア 情報差の棒グラフ。A には「留学生」の値だけ、B には「日本人学生」の値だけが入った同じ4項目のグラフを渡す。互いに数字を聞き合い、「留学生が〜なのに対して、日本人学生は〜」の文を項目ごとに書き、最後に二枚を重ねて確かめる。
産出 「わたしの国と日本 比べて紹介」。食事の時間・通学や通勤の手段・家賃など自分で選んだ項目を二つ比べ、3文で書いて発表する。教師は、比べる二つが同じ種類か、述語のあとの「の」があるか、ただの逆接(のに)の代わりに使っていないかを見る。
つまずきと手当て
述語のあとの「の」を落とし、「*一年生が平均三冊に対して、四年生は一冊だ」と言う。名詞だけなら「に対して」、述語があれば「(な)のに対して」と、板書の二段で確かめる
対比ではない、ただの逆接に使ってしまう(「雨が降ったのに対して、試合は行われた」)。二つのものを並べて違いを示すときの形で、「のに」「けれど」の代わりにはならない
第12課の「〜に対して(対象)」と見分けられず、「先生に対して」を比べる意味だと取る。前後に比べる二つのものがあるかどうかで見分けさせる
既習の文型との違い
〜は〜が、〜は(対比)(初級第11課) どちらも二つのものの対比ですが、初級の形は会話でそのまま使え、「〜に対して」は改まった説明や書き言葉向きです。発表やレポートで「〜が、〜は」を使っても誤りではありませんが、ニュースの解説の文体に合わせるなら「〜のに対して」にします。
〜に比べ(て)(第6課) 「〜に比べて」は一方を基準にして程度の差を言う形で(去年に比べて増えた)、「〜に対して」は二つを並べて違いを際立たせる形です。基準と変化を言いたいときは「に比べて」、二つの違いを並べたいときは「に対して」と、文の目的で選ばせます。
〜一方(で)(第13課) 「〜一方で」も対比に使えますが、同じものの別の面を付け足すとき(便利な一方で、高い)にも使えます。「〜に対して」は別々の二つのものを比べるときに使います。
関連する文型
学習項目 3 〜ものの/〜とはいうものの
意味・はたらき
前のことを事実として認めながら、後ろで、そこから期待されることとは違う結果や状態を言う逆接です。解説では「勉強の時間は増えたものの、まだ一時間に届かない」のように、よい変化を認めたうえで足りない点を言うのに使います。「〜けれど」「〜のに」より硬い書き言葉寄りの表現で、「〜のに」のような不満の気持ちはあまり強くありません。「〜とはいうものの」は「〜とは言われているが、実際は」の気持ちで、季節や世間一般の言い方を受けることが多く(「十月とはいうものの」)、文の始めで「とはいうものの、〜」と接続詞 のようにも使えます。
接続 V・イA普通形+ものの/ナA+な(である)+ものの/N+である+ものの/普通形+とはいうものの(N・ナA は「だ」なしでもよい:十月とはいうものの)
形
免許は取ったものの、ほとんど運転していない 値段は安いものの、品質に少し不安がある 十月とはいうものの、まだ夏のように暑い 一人暮らしを始めた。とはいうものの、週末は実家に帰っている
導入
期待と現実を二つの吹き出しで 教師が「ジムに入会しました」と言い、学習者に「そのあとどうなった?」と予想させる(毎日行った・やせた)。次に現実の絵(ソファで寝ている)を見せて「ジムに入会したものの、一度も行っていません」と言う。板書は「[事実]ものの、[期待と違う結果・状態]」とし、前半の事実に丸、後半に「予想と違う」の印を付ける。続けて十月の暦と汗をかく人の絵で「十月とはいうものの、まだ暑いです」を出し、「〜と言うけれど、実際は」の気持ちを確かめる。
板書案
[事実]ものの、[期待と違う結果・状態]
〔青〕ジムに入会したものの、一度も行っていない。
〔赤〕ナA:便利なものの/N:学生であるものの
[季節・呼び名]とはいうものの、[実際は]
〔青〕十月とはいうものの、まだ夏のように暑い。
〔緑〕後ろ:結果・状態(依頼・命令・誘いは来ない)
場面と発話(自作)
ニュースの解説で、調査の数字の変化を伝える。 自炊をする学生は増えたものの、毎日作る人はまだ一割ほどです。
先輩に一人暮らしの様子を聞かれる。 一人暮らしを始めたとはいうものの、実家が近いので、晩ご飯はよく家で食べています。
レポートで、新しいサービスの課題を書く。 服を借りるサービスは便利なものの、サイズが合わないことがあるという声もある。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、事実のカード(「日本語能力試験 に合格した」「自転車を買った」「早起きすると決めた」)を引かせ、期待と違う続きを自分で考えて「〜ものの、〜」で言わせる。次に季節や呼び名のカード(春・都会・休日)で「〜とはいうものの、〜」を作らせ、最後に ST1 のグラフで増えた・減った項目について「〜ものの」で一言コメントさせる。
口頭 事実カード(「免許を取った」「新しいパソコンを買った」「早起きすると決めた」「ダイエットを始めた」)を見せ、全体で「〜たものの」まで言い、個人が期待と違う後半を自由に付ける。次に季節や呼び名のカード(春・都会・休日・日曜日)で「〜とはいうものの、〜」を作らせ、ナA・N の接続カード(便利・学生)も混ぜる。
ペア A が「〜を始めたんだって?」と聞き、B が「始めたものの、〜」と現実を答え、A が「どうして?」と理由を一つ聞く。B は理由まで答えたら役を交替し、カード4枚を回す。
産出 「計画と現実のふりかえり」。今年決めたこと・買ったもの・始めたことを二つ選んで「〜ものの、〜」で書き、最後に「とはいうものの、〜」で前向きな一言を足して3〜4文で発表する。教師は、接続(な・である)、後半が事実・状態になっているか、会話の部分で硬くなりすぎていないかを見る。
つまずきと手当て
後ろに依頼や命令を続け、「*値段は高いものの、買ってください」と言う。後ろは事実や状態を述べる文になる、と板書の後半の枠に「結果・状態」と書いて確かめる
接続を誤り、「*便利だものの」「*学生ものの」と言う。ナA は「便利なものの」、N は「学生であるものの」と、品詞ごとに板書で並べる
友達との会話でも「〜ものの」を使って硬く聞こえる。会話では「〜けど」で十分で、「〜ものの」は解説・作文・発表で使う、と場面で分ける
既習の文型との違い
〜のに、〜(初中級第10課) 「〜のに」は話し手の不満や意外な気持ちが強く、会話でもよく使います。「〜ものの」は事実を認めてから冷静に限定する書き言葉寄りの形です。「せっかく作ったのに、食べてくれない」の不満を「ものの」にすると気持ちが消えてしまうので、気持ちを言いたいのか、事実を述べたいのかで選ばせます。
〜ながら(も)(第7課) 「〜ながらも」は「狭いながらも楽しい家」のように、主に状態を表す語に付いて、同じものの二つの面を言います。「〜ものの」は「〜した」のような動作の事実にも広く付きます。
〜といっても(第11課) 同じ課の「〜といっても」は前の言葉の程度を小さく言い直す形で、「〜ものの」は期待と違う結果を言う形です。後ろが「実際の大きさ」か「予想と違う結果」かで見分けます。
関連する文型
学習項目 4 〜といっても
意味・はたらき
前で言ったことから聞き手が思いうかべる程度を、後ろで「実際はそれほどではない」と小さく言い直す形です。解説では「勉強の時間が増えたといっても、十分ほどです」のように、数字の印象を正確に言い直すのに使います。「〜ものの」が期待と違う結果を言うのに対して、「〜といっても」は前の言葉の中身や程度を限定するのが中心で、会話でもよく使います。文の始めで「といっても、〜」と接続詞のようにも使います。
接続 普通形+といっても(N・ナA は「だ」を付けないことが多い:旅行といっても・料理が得意といっても)
形
旅行といっても、近くの温泉に一泊しただけです 料理ができるといっても、カレーぐらいです 利用者が増えたといっても、全体から見ればまだ一割です
導入
大きく聞こえることを言い直す 教師が「週末、海外旅行に行きました」と言って学習者を驚かせてから、「海外旅行といっても、となりの国に一泊しただけです」と言い直す。学習者に「最初はどんな旅行だと思った?」と聞き、実際は思ったより小さいことを確かめる。板書は「A といっても、[実際は小さい・少ない]」とし、後半に「〜だけ」「〜ぐらい」「〜ほど」が来やすいことを下線で示す。
板書案
A といっても、[実際は小さい・少ない]
〔青〕海外旅行といっても、となりの国に一泊しただけです。
〔赤〕後ろによく来る:〜だけ・〜ぐらい・〜ほど・それほど〜ない
〔緑〕文の始めで:といっても、〜(接続詞として)
場面と発話(自作)
アルバイトをしていると言ったら、友達に「すごいね」と言われた。 アルバイトといっても、週に一回、二時間だけだよ。
ニュースで、増えた数字の大きさを補って説明する。 参加者が増えたといっても、前の年より二十人多いだけです。
自己紹介で、日本に長く住んでいると言ったあとで補う。 日本に住んで三年といっても、ずっと同じ町なので、ほかの地方のことはよく知りません。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が大きく聞こえる文(「毎日運動しています」「日本語が話せます」「家に庭があります」)を言い、学習者が「〜といっても、〜だけです/〜ぐらいです」で言い直す。次にペアで、自分のことを一つ大げさに言い、相手に「本当?」と聞かれたら「〜といっても」で直す、のやり取りを回す。
口頭 大げさに聞こえる文のカード(「毎日運動しています」「日本語が話せます」「家に庭があります」「料理が得意です」)を教師が読み、全体で「〜といっても、〜だけです」と言い直す。後半を「〜ぐらいです」「それほど〜ありません」に変えて3種の結び方を回し、個人に当てる。
ペア 「すごいね→実は」のやり取り。A が自分のことを一つ大きく言い(「週末、山に登りました」)、B が「すごいですね」と反応し、A が「〜といっても、〜」と小さく言い直す。B は続けて一つ質問する。3往復で役を交替する。
産出 「数字の言い直し解説」。ST1 のグラフから「増えた」「多い」項目を選び、「〜が増えたといっても、〜」で数字の大きさを補う解説を2文書いて読み上げる。教師は、後半が実際の程度になっているか、仮定の「〜ても」「〜としても」と混ぜていないかを見る。
つまずきと手当て
程度を小さくする気持ちがないのに、ただの逆接に使う(「雨が降ったといっても、試合は中止にならなかった」)。前の言葉から思いうかぶ程度を、後ろで実際の大きさに直すときに使う
仮定の「〜ても」「〜としても」と取り違え、「明日雨が降るといっても、出かけます」と言う。「〜といっても」は、すでに言ったこと・本当のことを受けて言い直す形
聞き取りで「〜といっても」を「誰かが〜と言っても」の意味に取る。話している人が自分の言葉を言い直していることを、解説の音声を止めて確かめる
既習の文型との違い
〜わけではない/〜というわけではない(第9課) 「〜わけではない」は「全部・必ずそうだというのではない」と部分的に打ち消す形です。「〜といっても」は先に言ったことは認めたまま、程度だけを小さくします。「料理ができるといっても、カレーぐらいだ」と「料理ができないわけではない」を並べると、向きの違いが見えます。
〜ても(初級第15課) 「〜ても」は仮定や逆接の条件で、まだ起きていないことにも使えます。「〜といっても」はすでに言ったこと・本当のことを受けて言い直す形なので、「明日雨が降るといっても」のような仮定には使いません。
関連する文型
この場面のことば・表現
調査の内容や結果を説明するときに使われることば・表現 ニュースの解説は「調査の対象と方法 → 数字(割合・平均)→ 前の調査や別のグループとの比較」の順で進むことが多いので、板書でこの3つの欄を作り、聞きながらメモさせます。数字は聞き取りの山なので、「〜割」「〜パーセント」「〜人に一人」が同じ大きさを違う言い方で表すことも、ここで確かめます。例:「大学生千人を対象に調査を行いました」「〜と答えた人が全体の六割にのぼりました」「平均すると一日二時間です」「前回の調査を三ポイント上回りました」「四人に一人が〜しているという結果になりました」「最も多かったのは〜でした」
2 見つけた!
できること 生活情報誌の記事を読んで、衣食住について最近話題になっている暮らし方を知ることができる。
場面 駅や店に置いてある無料の生活情報誌の「いま話題の暮らし方」というコーナーを読む場面です。教室では教師が、衣(服を借りるサービス)・食(作り置き)・住(シェアハウス)の三つを紹介する300字ほどの記事を自作し、見出しと短いリード文を付けた紙面ふうのプリントにします。読む前に見出しの言葉の意味を推測させ、読んだあとは「何が・どう変わりつつあるか・その結果どうなったか」の表にまとめさせます。
記事:「服のサブスク」とは、毎月決まった料金を払って、服を借りて着るサービスのことだ。
記事:服を買わずに借りる人が、若い世代を中心に増えつつある。
記事:週末に何日分かのおかずを作っておく「作り置き」も、忙しい家庭に定着しつつある。
記事:ある利用者は、平日の家事のやり方を見直した結果、夜の自由な時間が一時間増えたと話す。
記事:住まいでは、台所や居間を何人かで使うシェアハウスを選ぶ人もいる。
記事:どの暮らし方を選ぶにしても、自分にとって何が大切かを考えることが出発点になりそうだ。
学習項目 1 〜とは〜ことだ/〜とは〜ということだ
意味・はたらき
新しい言葉や聞き慣れない言葉の意味を説明・定義する形です。情報誌の記事では、話題の言葉を出したすぐあとに「〜とは、〜のことだ」で意味を示してから本題に入ります。「〜とは」は「〜というのは」の書き言葉で、会話では「〜って、〜のことだよ」になります。後ろが名詞なら「〜のことだ」、ある行為を言うなら「V(辞書形)ことだ」、その言葉が結局どういう意味を持つのかを文で言い換えるなら「〜ということだ」を使います。
接続 N+とは、[名詞修飾]N+のことだ/N+とは、V辞書形+ことだ/N+とは、普通形+ということだ
形
シェアハウスとは、台所や居間を何人かで使う家のことだ 作り置きとは、何日分かのおかずをまとめて作っておくことだ 物を減らすとは、本当に必要な物を自分で選ぶということだ
導入
記事の見出しの言葉から 情報誌の見出しふうに「ミニマリスト」「作り置き」「シェアハウス」と新しい言葉だけを板書し、知っているか聞く。教師が「ミニマリストとは、必要な物だけを持って暮らす人のことです」と説明し、ほかの言葉は学習者に知っていることを言わせて、教師が同じ形で言い直して書く。板書は「X とは、[説明]N のことだ」「X とは、V ことだ」の二段にし、最後が名詞か動詞かで形が変わることを色で分ける。
板書案
X とは、[説明]N のことだ
X とは、V(辞書形)ことだ
X とは、[普通形]ということだ(=意味の言いかえ)
〔青〕シェアハウスとは、台所や居間を何人かで使う家のことだ。
〔赤〕名詞のあと「のこと」/動詞のあと「こと」
〔緑〕会話では:X って、〜のことだよ
場面と発話(自作)
日本の友達から聞いた新しい言葉を、クラスで紹介する。 「推し」とは、特に応援している人やもののことです。
レポートで、日本の住まいの変化について書く。 シェアハウスとは、台所や居間を何人かで使いながら暮らす家のことである。
アルバイト先で、新しく入った人に店の言葉を説明する。 ラストオーダーとは、その日の最後の注文を受ける時間のことです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、言葉のカード(定期券・ゴミの分別・テレワーク・自炊など)を伏せて引き、「〜とは、〜のことです/〜ことです」と説明だけを言い、ほかの人に何の言葉か当てさせる。次に ST2 の記事に出た新しい言葉を一つ選び、自分の国の言葉では何と言うかも添えて説明させる。
口頭 言葉のカード(テレワーク・自炊・定期券・ゴミの分別・ミニマリスト)を見せ、教師が説明を言いかけて止め、学習者が全体で「〜のことです/〜ことです」と結ぶ。説明が名詞で終わるか動詞で終わるかを教師が手の合図で示し、「のこと」と「こと」を言い分けさせてから個人に当てる。
ペア 「ことば当て」。A がカードを伏せて引き、言葉そのものは言わずに「これは、〜のことです」で説明し、B が当てる。当たったら B が「〜とは、〜ということですね」と意味を言い直して確かめ、役を交替する。
産出 「新語ミニ辞典」。自分の国や日本で最近使われる新しい言葉を一つ選び、定義(〜とは〜のことだ)・例(たとえば〜)・その言葉が示すこと(〜とは〜ということだ)の3文で辞典カードを書き、クラスで一冊にまとめる。教師は「のこと/こと」の使い分けと、書き言葉の硬さがそろっているかを見る。
つまずきと手当て
動詞のあとに「の」を入れ、「*作り置きとは、おかずをまとめて作るのことだ」と言う。名詞のあとは「のこと」、動詞のあとは「こと」と、板書の二段で確かめる
会話でも「〜とは」を使って硬く聞こえる。友達には「〜って、〜のことだよ」、レポートや記事では「〜とは」と使い分ける
記事の中の、文の終わりに来る驚きの「とは」(「こんなに人気が出るとは」)を定義の「とは」と読み違える。後ろに「〜のことだ」が来るかどうかで見分けさせる
既習の文型との違い
Nというのは〜(初中級第14課) 同じく言葉の意味を説明する形です。「〜というのは」は話し言葉にも書き言葉にも使え、「〜とは」は書き言葉寄りで、記事や辞書のような説明に向きます。ST2 の記事を読む場面では「とは」、口で説明するときは「というのは」と場面で分けます。
Nって何ですか(初中級第14課) 「〜って」は会話でたずねたり答えたりする形です。友達に新しい言葉を説明するなら「〜って、〜のことだよ」、記事やレポートなら「〜とは」と、同じ中身を二つの文体で言わせると違いがはっきりします。
関連する文型
学習項目 2 〜にしても/〜にしろ/〜にせよ
意味・はたらき
「たとえ〜の場合でも」「〜ということは認めるが、それでも」の気持ちで、前の条件に関係なく後ろが成り立つと言う形です。記事では「どの暮らし方を選ぶにしても、〜が大切だ」のように、疑問詞(どこ・どれ・何・いつ)と組んで「どの場合でも」の意味でよく使います。「〜ても」と意味は近いですが、「〜にしても」は前のことを一度受け入れてから話し手の判断を言う響きがあり、後ろには意見・評価・忠告が来やすいです。「〜にしろ」「〜にせよ」はさらに硬い書き言葉で、会話では「〜にしても」を使います。第12課では「〜にしても〜にしても」と二つを並べる形を学びます。
接続 V・イA普通形+にしても(にしろ・にせよ)/ナA・N+(である)+にしても(にしろ・にせよ)/疑問詞+〜V辞書形+にしても(どこに住むにしても・いずれにしても)
形
どこに住むにしても、家賃と駅までの距離は大事だ 忙しいにしても、連絡ぐらいはしてほしい いずれにせよ、一度試してみる価値はある 冗談にしろ、言っていいことと悪いことがある
導入
どれを選んでも変わらないこと 住まいの写真を三枚(シェアハウス・ワンルーム・ホームステイ)並べ、「どれを選んでも、大切なことは何?」と学習者に聞く(家賃・安全・駅に近い…)。出た答えを使って教師が「どこに住むにしても、安全がいちばん大事です」とまとめる。板書は「[疑問詞]〜にしても、[意見・判断]」とし、後ろの枠に「〜が大事だ・〜ほうがいい・〜てほしい」を書いておく。続けて、遅れてきた友達の絵で「電車が遅れたにしても、連絡はしてほしかった」と、事情を認めてから意見を言う使い方も見せる。
板書案
[疑問詞]〜にしても、[意見・判断・忠告]
〔青〕どこに住むにしても、安全がいちばん大事だ。
[事情]にしても、[それでも言いたいこと]
〔青〕忙しかったにしても、ひとこと連絡がほしかった。
〔赤〕硬さ:にしても < にしろ < にせよ
〔緑〕後ろはただの事実にしない
場面と発話(自作)
一人暮らしを始める後輩に、部屋選びのアドバイスをする。 どの部屋にするにしても、一度は夜に周りを歩いてみたほうがいいよ。
情報誌の記事の最後で、筆者が読者に呼びかける。 どの方法を選ぶにせよ、無理なく続けられることが何より大切だ。
友達が約束の時間に連絡なしで遅れてきた。 忙しかったにしても、ひとこと連絡がほしかったな。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、状況カード(「旅行:どこへ行く?」「アルバイト:何をする?」「引っ越し:いつ?」)を見せ、「[疑問詞]〜にしても、〜ほうがいい」で忠告させる。次に事情のカード(電車が遅れた・体調が悪かった)で「〜にしても、〜」と意見を言わせ、最後に ST2 の記事の三つの暮らし方について、どれを選ぶにしても大切だと思うことをグループで話させる。
口頭 状況カード(「旅行:どこへ行く?」「アルバイト:何をする?」「引っ越し:いつ?」「部屋:どれにする?」)を見せ、全体で「[疑問詞]〜にしても、〜ほうがいい」と忠告を言う。次に事情カード(電車が遅れた・体調が悪かった・忙しかった)で「〜にしても、〜てほしかった」を言わせ、個人に当てる。
ペア 「アドバイス相談」。A が決めかねていること(どのアルバイトにするか・どこに住むか)を相談し、B が「どれを選ぶにしても、〜」で大切なことを一つ言う。A は「なるほど。じゃあ〜」と受けて、次の相談で役を交替する。
産出 「記事の結びを書く」。ST2 の三つの暮らし方から一つ選び、「〜を選ぶにせよ、〜」で読者に呼びかける記事の結びを2文書く。教師は、後ろが意見・判断・忠告になっているか、ナA・N に「な」を付けていないか、「にせよ」を書き言葉の中で使えているかを見る。
つまずきと手当て
ナA に「な」を付け、「*不便なにしても」と言う。ナA・N はそのまま(不便にしても)か「である」を付ける、と板書で確かめる
後ろにただの事実を続ける(「どこに住むにしても、わたしは駅の近くに住んだ」)。後ろは「〜が大事だ」「〜ほうがいい」のような意見・判断・忠告になる
会話で「〜にせよ」「〜にしろ」を使って硬すぎる。会話は「〜にしても」、記事や作文で「〜にせよ」「〜にしろ」と、硬さで分ける
既習の文型との違い
〜ても(初級第15課) 「〜ても」は条件と結果をつなぐだけで、後ろにただの事実も来ます(雨が降っても、試合をした)。「〜にしても」は前のことを一度受け入れてから、話し手の判断や忠告を言う形です。
〜としても(第13課) 「〜としても」は「仮にそうだとしても」と、仮定の色が強い形です。「〜にしても」は実際にあった事情(忙しかった・遅れた)を受けて言うことも多い、という違いを例で見せます。
〜にしても〜にしても/〜にしろ〜にしろ/〜にせよ〜にせよ(第12課) 二つを並べて「どちらの場合でも」と言う形で、次の課で学びます。この課では、疑問詞と組む形と、一つの事情を受ける形だけを扱います。
関連する文型
学習項目 3 〜つつある
意味・はたらき
変化が今まさに進んでいて、少しずつある方向へ向かっていることを表す書き言葉です。情報誌や新聞で「〜が広がりつつある」「〜が定着しつつある」のように、生活の傾向を伝えるのによく使います。「〜ている」でも進行は言えますが、「増えている」が今の状態も表せるのに対して、「増えつつある」は変化の途中であることを強調します。前に来るのは「増える・減る・変わる・広がる・回復する」のような変化を表す動詞で、「食べる・読む」のような動作の動詞には付きません。
接続 Vます形(「ます」を取った形)+つつある
形
増えつつある 変わりつつある 定着しつつある 失われつつある
導入
折れ線グラフの途中を指す 右上がりの折れ線グラフ(例:自転車で通勤する人の数)を描き、線の先に矢印を付けて「まだ上がっていますね」と確かめる。教師が「自転車で通勤する人が増えつつあります」と言い、同じ場面を「増えています」とも言えることを見せたうえで、「つつある」は線の途中で、これからも続く感じだと矢印で示す。板書は「V(ます形)+つつある」とし、付く動詞の例(増える・減る・広がる・変わる)を並べる。
板書案
V(ます形)+つつある = 変化のとちゅう →
〔青〕増えつつある・減りつつある・変わりつつある・広がりつつある
〔青〕服を買わずに借りる人が増えつつある。
〔赤〕変化に向かう動詞(今している動作の進行には使わない)
〔緑〕会話では:だんだん〜てきている
場面と発話(自作)
情報誌の記事で、新しい暮らし方の広がりを伝える。 服を買わずに借りるという考え方が、少しずつ広がりつつある。
ゼミの発表で、住んでいる町の変化を説明する。 駅前の商店街は、若い人向けのカフェが並ぶ町に変わりつつあります。
ニュースで、地方の町の変化を伝える。 古い空き家を直して店を開く若い人が、少しずつ増えつつあります。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、主語と変化の動詞のカード(「スマホで払う人・増える」「現金を使う人・減る」「古い家・なくなる」)を組み合わせて「〜つつある」の文にさせる。次に、ST2 の記事や自分の国で最近起きている変化を一つ選び、「最近、〜つつあります」で紹介し合う。
口頭 右上がり・右下がりの折れ線グラフのカードを見せ、主語のカード(スマホで払う人・現金を使う人・古い商店街・一人で暮らす人)と変化の動詞のカード(増える・減る・なくなる・変わる)を組み合わせて、全体で「〜つつあります」と言う。教師はグラフの線の先を指でなぞり、ます形への接続を個人で確かめる。
ペア 「町の変化インタビュー」。A が「〜さんの町では、最近何が変わりつつありますか」と聞き、B が二つ答える。A はメモして、別のペアに「〜さんの町では、〜つつあるということです」と伝える(同じ課の伝聞の形も使う)。
産出 「傾向の見出しづくり」。ST2 の記事の形にならい、自分の国の暮らしの最近の変化を一つ選んで、見出し(〜が広がりつつある)とリード文2文を書く。教師は、動詞が変化を表す動詞か、ます形に付けているか、会話の文に使っていないかを見る。
つまずきと手当て
今している動作の進行に使い、「*今、手紙を書きつつある」「*毎朝コーヒーを飲みつつある」と言う。動作の進行は「〜ている」、少しずつの変化や完成へ向かう途中に「〜つつある」と、動詞の仲間分けで確かめる
接続を誤り、「*増えるつつある」「*増えてつつある」と言う。ます形から「ます」を取って付ける
会話で使って硬く聞こえる。友達には「だんだん〜てきている」でよい、と場面で分ける
既習の文型との違い
〜ようになっている(第2課) 「〜ようになっている」は変化した結果、いまそうなっている状態を言います。「〜つつある」は変化がまだ途中であることを言います。グラフの線の終わりの点と、線の途中を指して比べます。
Vていきます(初中級第15課) 「〜ていく」は今からこれから先へ変化が続く向きを言い、会話でも使います。「〜つつある」は今まさに進んでいる途中を書き言葉で言う形です。
〜つつ(第16課) 「〜つつ」は「〜ながら」の書き言葉で、「〜つつある」とは別の形です。見た目が似ているので、後の課で混ぜないよう、ここでは「つつある」を一続きで覚えさせます。
関連する文型
学習項目 4 〜結果
意味・はたらき
何かをしたこと・何かがあったことを経て、その後どうなったか・何がわかったかを言う形です。記事では「調べた結果、〜がわかった」「見直した結果、〜が増えた」のように、行動や検討のあとに出た結論や変化を示します。原因の「〜ため(に)」が原因そのものを言うのに対して、「〜結果」は前のことをやり終えたあとに出たものを言い、前には調査・話し合い・努力のように、ある程度時間のかかる行動が来やすいです。書き言葉やニュースで多く、会話では「〜たら、〜」で言うことが多いです。
接続 Vタ形+結果/N+の+結果
形
話し合った結果、旅行は来月に延ばすことになった 調査の結果、自炊する学生が増えていることがわかった 毎日練習した結果、日本語で発表できるようになった
導入
やったこと → わかったこと 教師が「一週間、使ったお金を全部メモしました」と言い、レシートの束とメモを見せる。学習者に「何がわかったと思う?」と予想させてから、「メモした結果、コンビニで毎日五百円ぐらい使っていることがわかりました」と言う。板書は「[行動]た結果、[わかったこと・変化]」の矢印にし、前に「調べた・話し合った・続けた」、後ろに「〜がわかった・〜になった・〜ことにした」が来ることを並べる。
板書案
[行動]た結果、[わかったこと・変化]
N の結果、〜(調査の結果・話し合いの結果)
〔青〕一週間メモした結果、毎日コンビニで五百円使っていることがわかった。
〔赤〕後ろ:〜がわかった・〜になった・〜ことにした
〔緑〕前はタ形(*調べる結果)
場面と発話(自作)
情報誌の記事で、利用者の体験を紹介する。 家事のやり方を見直した結果、夜の自由な時間が一時間増えたそうだ。
ゼミで、クラスでとったアンケートの結果を報告する。 クラスの二十人に聞いた結果、朝ご飯を食べない人が半分いることがわかりました。
会社の会議で、話し合いの結論を伝える。 話し合いの結果、来月から朝の会議はオンラインで行うことになりました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、行動のカード(「三か月ジョギングを続けた」「家族と話し合った」「十の部屋を比べた」)を引かせ、そのあとどうなったかを「〜た結果、〜」で言わせる。次にクラスで小さなアンケート(一日にスマホを使う時間など)をとり、グループで「聞いた結果、〜ことがわかりました」と報告させる。
口頭 行動のカード(三か月ジョギングを続けた・家族と話し合った・十の部屋を比べた・アンケートをとった)を見せ、全体で「〜た結果」まで言い、個人が後半を「〜がわかりました」「〜になりました」「〜ことにしました」の3種で言い分ける。名詞の形(調査の結果・話し合いの結果)も同じカードで言わせる。
ペア 「やってみた報告」。A が「最近、〜をやってみたんです」と言い、B が「それで、どうなりましたか」と聞き、A が「〜た結果、〜」と答える。B は「つまり、〜ということですね」とまとめて確かめ、役を交替する。
産出 「ミニアンケート報告」。クラスで小さなアンケート(一日にスマホを使う時間・朝ご飯を食べるか)をとり、グループで「〜人に聞いた結果、〜ことがわかりました」で始まる3文の報告を発表する。教師は、タ形への接続、後半が結論や変化になっているか、小さな出来事に大げさに使っていないかを見る。
つまずきと手当て
辞書形に付け、「*調べる結果、〜がわかった」と言う。行動が終わったあとのことなのでタ形、と矢印の板書で確かめる
後ろに誘いや依頼を続ける(「話し合った結果、一緒に行きましょう」)。後ろは出た結論や変化を言う文で、「〜ことにしました」「〜ことになりました」なら自然
ちょっとした出来事にも使い、「雨が降った結果、傘を買った」と大げさに聞こえる。ふだんの小さなことは「雨が降ったので」「〜て」で言う
既習の文型との違い
〜ために、〜(原因)(初中級第15課) 「〜ために」は原因そのものを言い、「〜結果」は行動をやり終えたあとに出たものを言います。「大雨のために電車が止まった」と「話し合った結果、延期することにした」を並べ、前が出来事か、人がした行動かを見させます。
Vたら、〜た(発見)(初中級第5課) 会話では「調べたら、〜がわかった」で十分です。「〜結果」は報告・記事・発表向きの硬い言い方なので、同じ中身を二つの文体で言わせます。
〜たところ(第7課) 「〜たところ」は「〜してみたら」に近く、思いがけない発見を言うことが多い形です。「〜結果」は調査や話し合いのような、時間をかけた行動を経た結論を言います。
関連する文型
この場面のことば・表現
生活スタイルの傾向を紹介するときに使われる表現 情報誌の記事は「新しい言葉を出す → 意味を説明する → 広がっている様子を言う → 利用者の声」の順で書かれることが多いので、段落ごとにどの役目かを書き込ませます。傾向を言う表現は、まだ注目され始めた段階か、増えている途中か、もう当たり前になったのか、の違いを矢印の長さで区別させます。例:「〜が若い世代を中心に広がっている」「〜を選ぶ人が目立つ」「〜が注目を集めている」「〜派が増えている」「〜離れが進んでいる」「〜がすっかり定番になった」
3 こんなときどうする?
できること 親しい人と交わした約束を、事情を説明して角が立たないように取り消せる。
場面 週末に一緒に出かける約束をしていた友達に、急な用事ができて行けなくなったことを電話で伝える場面です。教室では、約束の内容と断る理由を書いたカード(理由は「アルバイトの代わりを頼まれた」「レポートの締め切りが早まった」「家族が急に日本に来る」など)を配り、切り出し → 事情 → おわび → 代わりの案、の4段の枠を板書してロールプレイにします。断られる側のカードには「残念がる」「事情を受け入れる」と書いておき、両方の役をさせます。
留学生:もしもし、今ちょっといい? 土曜日のことなんだけど……ちょっと言いづらいんだけど。
日本人の友達:うん、どうしたの?
留学生:実は、バイト先から急に代わりに入ってほしいって頼まれちゃって、行けなくなっちゃったんだ。
日本人の友達:えー、そうなんだ。楽しみにしてたのに。
留学生:本当にごめん。せっかくチケットまで取ってくれたのに。
日本人の友達:まあ、仕事なんだから、しかたないよ。気にしないで。
留学生:ありがとう。来週の日曜なら空いてるんだけど、どうかな。
学習項目 1 〜づらい
意味・はたらき
その動作をするのに、心や体の負担・抵抗があってしにくい、という気持ちを表します。約束を断る場面では「ちょっと言いづらいんだけど……」と切り出し、相手に悪いと思っている気持ちを先に伝えるのに使えます。「〜にくい」と似ていますが、「〜にくい」は物の性質や客観的なしにくさ(「割れにくいコップ」)にも広く使えるのに対して、「〜づらい」はその動作をする人が感じる苦しさや気まずさが中心です。第9課の「〜がたい」は「信じがたい」のように、ほとんどできないという硬い言い方です。
接続 Vます形(「ます」を取った形)+づらい(イ形容詞と同じに活用する:言いづらくて・言いづらかった)
形
言いづらい 断りづらい この靴は歩きづらい 字が小さくて読みづらかった
導入
言いにくそうな顔をして見せる 教師が学習者に頼みごとをされたふりをし、困った顔で「うーん……ちょっと言いづらいんですけど……」と言いよどんでから断ってみせる。学習者に「先生はどんな気持ち?」と聞き、相手に悪い・気まずいという気持ちだと確かめる。板書は「V(ます形)+づらい」とし、「言いづらい・断りづらい・聞きづらい」の心の負担の例と、「歩きづらい靴・読みづらい字」の体の負担の例を左右に分ける。
板書案
V(ます形)+づらい = する人が感じる負担・気まずさ
〔青〕心:言いづらい・断りづらい・聞きづらい
〔青〕体:歩きづらい靴・読みづらい字
〔赤〕物の性質は:割れにくいコップ(〜にくい)
活用はイA:言いづらくて・言いづらかった
場面と発話(自作)
友達に、約束を取り消す電話をかける。 ごめん、ちょっと言いづらいんだけど、土曜日、行けなくなっちゃって。
新しい靴で一日歩いた。 この靴、かわいいけど、かかとが痛くて歩きづらいんだ。
アルバイト先の先輩に、同じことをもう三回も聞いている。 また聞くのは聞きづらいなあ。メモしておけばよかった。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、場面カード(「先生に成績のことを聞く」「先輩の誘いを断る」「字が小さいメニュー」)を見せ、「〜づらい」と理由を一文で言わせる。次に ST3 のロールプレイの切り出しに「ちょっと言いづらいんだけど」を入れ、言いよどむ間や声の調子もまねさせる。
口頭 場面カード(先輩の誘いを断る・先生に成績のことを聞く・字が小さいメニュー・かかとの高い靴で歩く)を見せ、全体で「〜づらいです」、個人で「〜づらいです。〜から」と理由を付けて言う。イ形容詞の活用(〜づらくて・〜づらかった)もカードを替えて代入する。
ペア 「言いづらいお願い」。A が言いにくい用件のカード(貸したお金を返してほしい・夜の音を小さくしてほしい)を引き、「ちょっと言いづらいんだけど……」と切り出す。B は「うん、何?」と受け、A が用件と理由を言う。言いよどむ間と声の調子もまねさせ、役を交替する。
産出 「切り出しの一言」。最近言いづらかった・しづらかった経験を「〜のは〜づらかった。〜から」で2〜3文話し、そのまま ST3 のロールプレイの切り出しに使う。教師は、ます形への接続、物の性質に使っていないか、イ形容詞の活用ができているかを見る。
つまずきと手当て
辞書形に付け、「*言うづらい」「*断るづらい」と言う。ます形から「ます」を取って付ける
物の性質に使う(「割れづらいコップ」)。物の性質は「割れにくいコップ」がふつうで、「〜づらい」は人がする動作の負担を言うときに使う、と左右の板書で確かめる
イ形容詞として活用できず、「*言いづらいだから」と言う。「言いづらいから」「言いづらくて」と、イ形容詞の活用表に当てはめる
既習の文型との違い
Vにくいです(傾向・性質)(初中級第12課) 「〜にくい」は物の性質や、誰がやってもしにくい客観的なしにくさにも使えます(割れにくいコップ)。「〜づらい」はその動作をする人が感じる苦しさや気まずさが中心なので、物の性質には「〜にくい」を使います。
〜がたい(第9課) 「〜がたい」は「信じがたい」「許しがたい」のように、気持ちの上でほとんどできないことを言う硬い書き言葉です。「〜づらい」は会話でふつうに使え、できないわけではないが負担がある、という程度です。
関連する文型
学習項目 2 〜んだから/〜のだから
意味・はたらき
話し手も聞き手も知っている、または当然受け入れるはずの事情を理由として示し、だから〜するのが当たり前だ、と後ろで判断・忠告・依頼・不満を言う形です。約束を断られた側が「仕事なんだから、しかたないよ」と相手の事情を受け入れるとき、また「明日早いんだから、もう寝たら?」と忠告するときに使います。「〜から」「〜ので」はただ理由を述べるだけですが、「〜のだから」は「わかっているでしょう」と相手に納得を求める響きがあります。そのため、断る側が自分の事情に使うと押しつけがましく聞こえることがあり、断る側は「〜んだ」「〜て」で事情を言うほうが角が立ちません。「〜んだから」は会話、「〜のだから」は書き言葉や改まった話し方です。
接続 V・イA普通形+のだから(んだから)/ナA・N+な+のだから(なんだから)
形
仕事なんだから、しかたないよ せっかく来たんだから、もう少し見ていこう 明日は試験なのだから、早く寝たほうがいい 自分で決めたんだから、最後までやってみたら?
導入
同じ理由を二つの言い方で 教師が「明日テストだから、今日は勉強します」と「明日テストなんだから、今日は勉強しなさい」を並べて言い、どちらが相手に強く言っているかを学習者に選ばせる。後ろが自分の予定か、相手への働きかけかを確かめてから、「〜んだから」の前の事情は二人とも知っていることだと示す。板書は「[二人とも知っている事情]んだから、[当然だという判断・忠告・依頼]」とし、ST3 では断られた側が受け入れる一言で使うことを書き添える。
板書案
[二人とも知っている事情]んだから、[当然の判断・忠告・依頼]
〔青〕仕事なんだから、しかたないよ。
〔青〕明日早いんだから、もう寝たら?
〔赤〕N・ナA:〜なんだから(*仕事だんだから)
〔緑〕断る側は:〜ちゃったんだ。ごめんね(んだから は使わない)
場面と発話(自作)
約束を断ってきた友達に、気にしないでと伝える。 バイトなんだから、気にしないで。また今度行こうよ。
ルームメイトが夜遅くまでゲームをしている。 明日一限があるんだから、もう寝たら?
遠くの町まで来たのに、すぐ帰ろうとする友達に。 せっかくここまで来たんだから、あの店にも寄っていこうよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、事情のカード(「明日は試験」「せっかくの休み」「自分で選んだ大学」)と相手の様子のカード(夜ふかししている・一日中寝ている・やめたいと言っている)を組み合わせ、「〜んだから、〜」で忠告させる。次に ST3 のロールプレイで、断られる役が「〜なんだから、しかたないよ」と受け入れる一言を入れ、断る役は「〜んだから」を使わずに事情を言う練習をする。
口頭 事情のカード(明日は試験・せっかくの休み・自分で選んだ大学)と相手の様子のカード(夜ふかししている・一日中寝ている・やめたいと言っている)を組み合わせて見せ、全体で「〜んだから、〜たら?」と忠告する。名詞・ナAの事情カード(学生・大切な日)を混ぜて「〜なんだから」の接続を個人で確かめる。
ペア ST3 の短いロールプレイ。断る役は「〜ちゃって。ごめんね」と事情とおわびで言い、断られる役は「〜なんだから、しかたないよ。気にしないで」と受け入れる一言を返す。断る役が「〜んだから」を使ったら、教師が止めて言い換えさせる。役を交替する。
産出 「受け止めの返信」。友達から約束を取り消すメッセージが届いた、という自作のスマホ画面を見せ、「〜んだから、気にしないで」と代わりの日の提案を入れた返信を書く。教師は、事情が相手と共有されたものか、後ろが判断・忠告・誘いになっているか、相手を責める調子になっていないかを見る。
つまずきと手当て
ナA・N の接続で「な」を落とし、「*仕事だんだから」「*休みのだから」と言う。「仕事なんだから」「休みなのだから」と、初級の「〜んです」の接続と同じだと確かめる
断る側が自分の事情に使い、「仕事なんだから、行けないよ」と相手を責めるように聞こえる。断る側は「仕事が入っちゃったんだ。ごめんね」と、事情とおわびで言う
後ろにただの事実を続ける(「明日は試験なんだから、昨日は勉強した」)。後ろは判断・忠告・依頼など、話し手の考えや相手への働きかけになる
既習の文型との違い
どうして/〜から(初級第5課) 「〜から」は理由を述べるだけですが、「〜んだから」は相手も知っている事情を持ち出して「当然〜だ」と働きかけます。「明日テストだから勉強する」と「明日テストなんだから勉強しなさい」を並べ、後ろが自分のことか相手への働きかけかを見させます。
〜ものですから/〜ものだから/〜もので(第8課) 「〜ものだから」は自分の事情を言い訳として言うときの形で、謝る側・断る側が使えます。「〜んだから」は相手への判断や忠告なので、断る側が使うと押しつけがましくなります。
どうしたんですか/〜んです(初級第12課) 接続は初級の「〜んです」と同じで、N・ナA は「〜なんです」「〜なんだから」になります。「*仕事だんだから」と言う学習者には、「仕事なんです」から作らせます。
関連する文型
この場面のことば・表現
友達との約束を断るときに使う表現 親しい相手でも、いきなり「行けない」と言わず、切り出しのクッション → 事情 → おわび → 代わりの案、の順にすると角が立ちにくいことを、順番を入れ替えたやり取りと聞き比べて気づかせます。友達言葉の「〜ちゃって」「〜なくなっちゃった」や、言いよどむ「……」の間も、ここで聞いてまねさせます。例:「ごめん、ちょっと言いにくいんだけど……」「実は急に〜ことになっちゃって」「せっかく誘ってくれたのに、ごめんね」「どうしても抜けられなくて」「〜の日なら大丈夫なんだけど、どうかな」「この埋め合わせは必ずするから」
4 伝えてみよう
できること 結婚について書かれた記事を読んで、データをもとに自分の考えを話せる。
場面 結婚についての記事とグラフを読み、クラスで1分ほど自分の考えを発表する場面です。教師が短い記事を自作し、架空のアンケート (「結婚は必ずしもしなくてよい」と答えた人の割合を世代別に示した棒グラフと、結婚する年齢の平均の移り変わりを示した折れ線グラフ)を添えます。結婚は個人の事情に触れやすい話題なので、自分の予定を言わせるのではなく「社会の傾向」として話す枠にし、話しにくい学習者は自分の国の様子を紹介するだけでもよいことにします。
留学生:このグラフを見ると、結婚する年齢の平均が少しずつ上がってきていることがわかります。
留学生:二十代の人からすると、結婚は「しなければならないもの」というより「自分で選ぶもの」になっているようです。
留学生:一方で、親の世代から見れば、結婚するのが当たり前だと感じる人もまだ多いのではないでしょうか。
留学生:わたしの国でも、都市に住む若い人は結婚が遅くなる傾向があります。
留学生:ですから、どちらが正しいかというより、世代によって考え方が違うことを知るのが大切なんじゃないでしょうか。
クラスメート:グラフのどの部分から、そう考えましたか。
学習項目 1 〜からすると/〜からすれば/〜から見ると/〜から見れば
意味・はたらき
「〜の立場や視点で考えると」の意味で、後ろにその立場から見た判断や評価を言います。結婚の話では「親の世代からすると」「若い人から見れば」のように、立場によって見え方が違うことを示すのに使います。「〜からすると/すれば」は「この数字からすると、〜だろう」のように判断の根拠を示す使い方もよくします。似た「〜にとって」(第3課)は後ろに「大切だ・難しい」のような評価が来やすく、「〜からすると」は意見や推測まで言えます。第8課の「〜にしたら/〜にすれば」は、その人の気持ちになって考える言い方です。
接続 N+からすると/からすれば/から見ると/から見れば
形
親からすると、子どもの結婚は大きな心配ごとだ このグラフからすると、結婚する年齢は上がってきている 外国人から見れば、日本の結婚式は少しふしぎかもしれない
導入
一つの絵を二人の目で 結婚式の絵を一枚見せ、吹き出しを二つ(新郎新婦の親・招待された二十代の友達)描いて、それぞれが何を思うかを学習者に言わせる(「やっと安心した」「お祝いのお金が大変」など)。教師が「親からすると、安心する日です。でも、友達から見ると、お祝いのお金が大変です」とまとめる。板書は「[立場]からすると/から見ると、[その立場の判断]」とし、立場の部分を人・世代・数字・データと入れ替えられることを示す。
板書案
[立場]からすると/からすれば + 判断・推測
[立場]から見ると/から見れば + 見え方
〔青〕親の世代からすると、三十代の結婚は遅いと感じるかもしれない。
〔青〕このグラフからすれば、一人で暮らす人は増えていくだろう。
〔赤〕N にそのまま付ける(*親だからすると)
場面と発話(自作)
結婚についての記事を読んで、クラスで意見を言う。 親の世代からすると、三十代で結婚するのは遅いと感じるのかもしれません。
グラフを見て、これからの傾向を説明する。 この数字からすれば、一人で暮らす人はこれからも増えていくでしょう。
自分の国の結婚式の習慣を紹介する。 日本人から見ると、わたしの国の結婚式は招待する人が多すぎるように見えるかもしれません。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、立場のカード(親・子ども・会社・外国人・学生)と話題のカード(一人暮らし・テレワーク・早い結婚)を組み合わせ、「〜からすると、〜」で一言ずつ言わせる。次に ST4 の記事のグラフを見て、「このグラフからすると、〜」で読み取れることと、「〜から見れば、〜」で立場ごとの見え方を、二文続けて言わせる。
口頭 立場のカード(親・子ども・会社・外国人・学生)と話題のカード(一人暮らし・テレワーク・早い結婚・共働き)を二枚並べて見せ、全体→個人で「〜からすると、〜」と一言ずつ言う。次にグラフのカードで「このグラフからすると、〜」と、データを根拠にする使い方を練習する。
ペア 「立場を入れ替えて」。一つの話題(たとえば、大学生が実家から通うこと)について、A は親の立場、B は子どもの立場で「〜から見ると、〜」と意見を言い合う。2分で立場を入れ替え、最後に二人で一番違った点を一文でまとめる。
産出 「二つの目で見る意見文」。ST4 の結婚のグラフについて、二つの立場から見た見方を「〜からすると、〜。一方、〜から見れば、〜」で2文、自分の考えを1文書いて、1分発表の材料にする。教師は、前に立場やデータの語が来ているか、個人の価値を言う文に使っていないかを見る。
つまずきと手当て
名詞に「だ」を付け、「*親だからすると」と言う。名詞にそのまま付く
思い出のような個人の気持ちの価値にも使い、「わたしからすると、この指輪は大切です」と言う。個人にとっての価値は「わたしにとって、この指輪は大切です」がふつう
「〜から見ると」を目で見る意味に取り、「窓から見ると」と区別できない。前に立場を表す語(人・世代・データ)が来ているかどうかで見分けさせる
既習の文型との違い
〜にとって(第3課) 「〜にとって」は後ろに「大切だ・難しい」のような評価が来やすく、個人にとっての価値にも使います。「〜からすると」は立場からの判断や推測まで言え、数字やデータを根拠にすることもできます。「わたしにとって大切な指輪」を「からすると」にしないよう、二つを並べます。
〜にしたら/〜にすれば/〜にしてみたら/〜にしてみれば(第8課) 「〜にしたら」は「その人の気持ちになって考えると」で、相手の気持ちを思いやるときに使います。「〜からすると」は立場や観点からの判断で、気持ちより見方・評価が中心です。
〜からいうと/〜からいって/〜からいえば(第16課) 「〜からいうと」は「味からいうと」「経験からいって」のように判断の基準となる観点を言う、やや硬い形です。後の課で、人の立場より物事の面に付きやすいことを確かめます。
関連する文型
学習項目 2 〜というより(も)
意味・はたらき
あることを言い表すのに、A という言い方より B という言い方のほうが合っている、と言い直す形です。結婚の話では「結婚は個人の問題というより、家族の問題だ」のように、自分の見方をはっきりさせるのに使います。初級の「A は B より〜」が二つのものの程度を比べるのに対して、「A というより B」は一つのものについて、どう言うのがより正確かを比べている点が違います。「むしろ」と一緒に「〜というより、むしろ〜」とも言います。
接続 普通形+というより(も)(N・ナA は「だ」を付けないことが多い:趣味というより・静かというより)
形
趣味というより、もう仕事だ この部屋は静かというより、さびしい 結婚は二人の問題というよりも、家族どうしの問題だ 怒っているというより、悲しんでいるように見える
導入
ぴったりの言い方に言い直す とても辛そうなカレーの絵を見せて「このカレーは辛いですか」と聞き、教師が顔をしかめて「辛いというより、痛いです」と言い直してみせる。学習者に「辛い」と「痛い」のどちらが本当の感じに近いかを聞き、後ろの言葉のほうがぴったりだと確かめる。板書は「A というより(むしろ)B」とし、A と B に同じものについての二つの言い方が入ることを矢印で示して、「カレーはラーメンより辛い」のような二つのものの比べ方と並べて違いを見せる。
板書案
A というより(むしろ)B = B のほうがぴったり
〔青〕このカレーは、辛いというより痛い。
〔青〕結婚は、ゴールというより、新しい生活のスタートだ。
〔赤〕二つのものの比べは:A は B より〜(初級)
〔緑〕言いたいのは後ろの B(→ B)
場面と発話(自作)
結婚についての自分の考えを発表する。 わたしにとって結婚は、ゴールというより、新しい生活のスタートだと思います。
毎日料理していると言ったら、友達に「料理が好きなんだね」と言われた。 好きというより、外食が高いから作っているだけだよ。
グラフの説明で、数字の見方を言い直す。 この十年の動きは、減ったというより、ほぼ横ばいだと言えます。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が人や物の絵を見せて一つ目の言い方を言い(「この先生は厳しいですね」)、学習者が「厳しいというより、まじめなんだと思います」と言い直す。次に ST4 のテーマで「結婚は〜というより、〜だ」の一文を各自作り、理由を一つ添えて発表させる。
口頭 人や物の絵カード(とても厳しい先生・とても静かな部屋・毎日料理する人・とても辛いカレー)を見せ、教師が一つ目の言い方(「厳しいですね」)を言い、全体で「〜というより、〜」と言い直す。次に「むしろ」を入れた形でも言わせ、個人に当てる。
ペア 「言い直しキャッチボール」。A が相手について一言(「〜さんは料理が好きなんですね」)言い、B が「好きというより、〜」と直して理由を一つ足す。A は「なるほど」と受けて、話題を変えて役を交替する。
産出 「わたしの言い直し」。ST4 のテーマで「結婚は(家族は・一人暮らしは)〜というより〜だ」を1文、理由を2文書き、1分発表の中心の文にする。教師は、二つのものの比べに使っていないか、A と B の順が逆になっていないか、ナA に「な」を付けていないかを見る。
つまずきと手当て
二つのものを比べるのに使う(「東京というより大阪が好きだ」)。二つの町の好みなら「東京より大阪のほうが好きだ」で、「〜というより」は一つのものの言い方を直すときに使う
ナA に「な」を付け、「*静かなというより」と言う。ナA・N はそのまま付ける
言いたいほう(より正確なほう)を前に置いてしまい、「痛いというより辛い」と意味が逆になる。本当に言いたいのは後ろの B だと、矢印の向きで確かめる
既習の文型との違い
〜は〜よりAです(初級第6課) 「より」は二つのものの程度を比べる形です。「〜というより」は一つのものについて、どの言い方がより正確かを比べています。「東京より大阪のほうが好きだ」と「好きというより、慣れているだけだ」を並べて違いを見せます。
Nじゃなくて、〜/Vるんじゃなくて、〜(初中級第4課) 「〜じゃなくて」は A を打ち消して B にする形です。「〜というより」は A も少しは当たっているが、B のほうがもっと近い、という柔らかい言い直しです。
〜というか(第17課) 「〜というか」は言い直しを会話でぼかして言う形で、後の課で学びます。発表では「〜というより」を使います。
関連する文型
学習項目 3 〜のではないでしょうか/〜んじゃないでしょうか
意味・はたらき
自分の意見や推測を、言い切らずに控えめに相手に示す形です。発表や話し合いで「〜と思います」より柔らかく、聞き手に「そう思いませんか」と考えを差し出す響きがあります。形は否定の疑問ですが意味は肯定で、「必要なのではないでしょうか」は「必要だと思う」ということです。文の終わりは質問のように上げず、下げて言います。「〜のではないでしょうか」は発表や作文向き、「〜んじゃないでしょうか」は話し言葉で、友達どうしなら第3課の「〜んじゃない?」になります。
接続 V・イA普通形+のではないでしょうか(んじゃないでしょうか)/ナA・N+な+のではないでしょうか(N・ナA は「〜ではないでしょうか」とも:大切ではないでしょうか)
形
結婚の形は、これからもっと多様になるのではないでしょうか 親の考えも大切なんじゃないでしょうか 二人で話し合って決めればいいのではないでしょうか これは社会全体の問題ではないでしょうか
導入
言い切りと控えめを比べる 教師が同じ意見を「結婚しなくてもいいです」と言い切る言い方と、「結婚しなくてもいいのではないでしょうか」と控えめに言う言い方で二回言い、どちらが聞いている人に考える余地を残すかを学習者に選ばせる。次に、否定の形でも意味は「〜と思う」だと確かめるため、「先生は結婚しなくてもいいと思っている? いない?」と聞いて、思っていると答えさせる。板書は「[意見(普通形)]のではないでしょうか(↘)」とし、文末の下げ調子の矢印を大きく書く。
板書案
[意見(普通形)]のではないでしょうか(↘)
〔青〕結婚の形は、もっと多様になるのではないでしょうか。
〔赤〕N・ナA:大切なのでは/大切ではないでしょうか
〔赤〕否定の形でも意味は「〜と思う」
〔緑〕事実 →〜ことがわかります/意見 →〜のではないでしょうか
場面と発話(自作)
結婚についての記事を読んだあと、クラスで意見を言う。 結婚するかどうかは、それぞれが自分で決めていいのではないでしょうか。
ゼミの話し合いで、別の意見の人に配慮しながら自分の考えを出す。 でも、親の気持ちも少しは考えたほうがいいんじゃないでしょうか。
地域の集まりで、ごみ出しのルールについて意見を言う。 ルールをいくつかの言葉で掲示すれば、もっと守られるのではないでしょうか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が言い切りの意見カード(「テレワークは便利だ」「一人暮らしは大変だ」)を読み、学習者が「〜のではないでしょうか」に言い換える。そのあと教師が文末を上げた言い方と下げた言い方を聞かせて、どちらが意見かを当てさせる。最後に ST4 の発表の締めくくりの一文として使わせる。
口頭 言い切りの意見カード(「テレワークは便利だ」「一人暮らしは大変だ」「結婚の形は自由でいい」)を見せ、全体で「〜のではないでしょうか」に言い換える。教師が手で文末の下げ調子を示し、上げた言い方と下げた言い方のどちらが意見かを当てるクイズもはさむ。
ペア 「控えめな反論」。A が意見を言い切り、B が「そうですね。でも、〜んじゃないでしょうか」と別の見方を控えめに出す。A は「確かに、〜ですね」と受ける。話題を三つ回して役を交替する。
産出 「1分グラフ発表」(ST4 の本番)。事実(〜ことがわかります)→ 立場(〜からすると)→ 言い直し(〜というより)→ 意見(〜のではないでしょうか)の4段で話し、聞き手は根拠を一つ質問する。教師は、事実の文に付けていないか、文末の下げ調子、N・ナA の「な」を見る。
つまずきと手当て
ナA・N の接続で「な」を落とし、「*大切のではないでしょうか」「*問題のではないでしょうか」と言う。「大切なのでは」「問題なのでは」、または「大切ではないでしょうか」と板書で並べる
否定の形なので反対の意見だと受け取り、「必要なのではないでしょうか」を「必要ではない」と理解する。聞き取りでは「〜と思う」と同じ意味だと、言い換えさせて確かめる
文の終わりを上げて言い、本当の質問に聞こえる。下げ調子で言う練習を、教師の手の動きに合わせてくり返す
どの文にも付けて、自信がない印象になる。グラフの数字のような事実には付けず、自分の考えを言う文にだけ使う
既習の文型との違い
〜と思います(意見)(初級第14課) 「〜と思います」は自分の考えとしてはっきり言う形です。「〜のではないでしょうか」は言い切らずに聞き手に考えを差し出す控えめな形で、反対の人がいそうな話題や発表の締めに向きます。
〜じゃない?/〜んじゃない?(第3課) 友達どうしの話し言葉の形です。クラスでの発表や話し合いでは「〜のではないでしょうか」「〜んじゃないでしょうか」と丁寧にします。
〜でしょうか(第2課) 「〜でしょうか」だけなら、わからないことを丁寧にたずねる言い方として使い、文末を上げることが多いです。「〜のではないでしょうか」は意見なので文末を下げます。
関連する文型
この場面のことば・表現
グラフやデータを見て自分の考えを述べるときに使う表現 グラフの説明(事実)と自分の考え(意見)を混ぜないように、「〜ことがわかります」で事実を言ってから「〜と思います」「〜のではないでしょうか」で考えを言う、という順を板書で色分けします。数字の変化を言う動詞(増える・減る・上がる・下がる・横ばいだ)は、折れ線を指でなぞりながら確かめます。例:「このグラフは〜を表しています」「十年前と比べると、〜が二倍になっています」「〜は年々減っています」「〜はほぼ横ばいです」「このデータから、〜と言えるのではないでしょうか」「その背景には〜があると考えられます」
語彙の扱い
この課の語彙は、調査とデータ(対象・平均・割合・上回る・横ばい)、衣食住の新しい言葉(シェアハウス・作り置き・サブスクなど)、約束と断り(都合・急用・埋め合わせ)、結婚と家族(晩婚・共働き・価値観)の四つのかたまりに分かれます。データの語は 1 と 4 の両方で使うので、グラフを指しながら言う練習を 1 でしっかりしておきます。衣食住の新しい言葉は移り変わりが速く、学習者のほうが詳しいこともあるので、教師が全部教えるより「〜とは〜のことだ」で学習者に説明させる場にします。
この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)
対象 (たいしょう) 調査や働きかけを受ける人や物の範囲。 〜にする・学生を〜に・〜者 ニュースで、調査の方法を伝える。調査は全国の大学生千人を対象に行われました。
平均 (へいきん) いくつかの数を合わせて、その数で割った、ならした値。 〜する・〜を上回る・〜で〜時間 アンケートの結果を発表する。アルバイトの時間は、平均すると一週間に十二時間でした。
割合 (わりあい) 全体の中で、ある部分がどのくらいを占めるか。 〜が高い・〜が増える・〜で言うと グラフを見ながら説明する。自炊をする学生の割合は、四割でした。
上回る (うわまわる) 数や量が、比べるものより多くなる。 前回を〜・平均を〜・予想を〜 前の調査と比べて報告する。今回の数字は、前回の調査を三ポイント上回りました。
横ばい (よこばい) 数字が上がりも下がりもせず、ほとんど同じであること。 〜が続く・ほぼ〜だ・〜の状態 折れ線グラフの線をなぞりながら言う。睡眠時間は、この五年ほとんど横ばいです。
傾向 (けいこう) 物事がある方向へ向かいやすいこと。 〜がある・〜が強い・増える〜 発表で、自分の国の様子を紹介する。都市に住む若い人は、結婚が遅くなる傾向があります。
定着する (ていちゃくする) 新しいやり方や考えが広く受け入れられて、当たり前になる。 習慣が〜・〜しつつある・すっかり〜した 記事で、新しい暮らし方の広がりを伝える。週末の作り置きは、忙しい家庭に定着しつつある。
見直す (みなおす) 今までのやり方をもう一度考えて、よりよくする。 生活を〜・家事のやり方を〜・〜した結果 生活の工夫について話す。お金の使い方を見直した結果、毎月少しずつ貯金できるようになりました。
都合 (つごう) 何かをするのに、時間や事情がよいか悪いか。 〜がいい・〜が悪くなる・急な〜 友達に、約束の日を変えてもらう。ごめん、急に都合が悪くなっちゃって。
埋め合わせ (うめあわせ) 迷惑をかけたことの代わりに、あとで何かをして返すこと。 〜をする・この〜は・今度〜する 約束を取り消したあとで、友達に言う。この埋め合わせは、今度必ずするから。
価値観 (かちかん) 何が大切か、何がよいかについての、その人の考え方。 〜が違う・〜が合う・〜の違い 結婚についての話し合いで意見を言う。世代によって、結婚についての価値観はずいぶん違うのではないでしょうか。
共働き (ともばたらき) 夫婦が二人とも仕事を持って働いていること。 〜の家庭・〜が増える・〜で子育てをする グラフの変化を説明する。共働きの家庭が増えつつあるのに対して、片方だけが働く家庭は減っています。
宿題と次のコマ 宿題は、身の回りの人(家族・友達・アルバイト先の人)二、三人に一日の過ごし方か最近始めた暮らしの工夫を聞いて、「〜ということです」「〜に対して」「〜結果」を使って五、六文の報告を書いてくること。次のコマの最初に報告を読み合い、「聞いた結果、〜」でクラス全体の傾向をまとめてから、第12課「心と体の健康」に入ります。第12課の最初の、気持ちが落ち込んだときに身近な人に話して助言をもらうやり取りには、この課の 3 で練習した、親しい人に事情を説明する話し方がそのままつながります。
よくある質問
第11課「ライフスタイル」は何コマで終わりますか?
90分なら4コマが目安です。1コマ目に導入 と 1 の聞き取り(〜ということだ・〜に対して・〜ものの・〜といっても)、2コマ目に 2 の記事(〜とは・〜にしても・〜つつある・〜結果)、3コマ目に 3 の断りのロールプレイと 4 の記事・グラフの読み取り、4コマ目に 4 の1分発表と課のまとめをします。文型が13あるので、1 の音声と 2 の記事を前のコマの宿題で一度見せておくと、3コマ半ほどに縮められます。
「〜ものの」と「〜といっても」はどう教え分ければいいですか?
「〜ものの」は前の事実を認めて、後ろで期待と違う結果を言う形です。「〜といっても」は前の言葉から思いうかぶ程度を、後ろで実際の小さな程度に言い直す形です。「ジムに入会したものの、一度も行っていない」と「ジムに通っているといっても、月に二回だけだ」を並べ、後ろが「予想と違う結果」か「実際の大きさ」かを板書で色分けすると混ざりにくくなります。
約束を断る場面で、学習者が「仕事なんだから、行けない」と言ってしまいます。どう直しますか?
「〜んだから」は、相手も知っている事情を持ち出して「当然〜だ」と相手に働きかける形なので、断る側が自分の事情に使うと、相手に納得を迫る響きになります。断る側は「仕事が入っちゃったんだ。ごめんね」と事情とおわびで言い、「仕事なんだから、しかたないよ」は断られた側が受け入れる一言として練習します。ロールプレイで両方の役をさせると、どちらの口から出る形かが体で分かります。
「〜のではないでしょうか」を反対の意見だと受け取る学習者がいます。どう導入しますか?
同じ意見を言い切りの形と並べて言い、「先生はそう思っている? いない?」と聞いて、否定の形でも意味は「〜と思う」だと確かめます。次に文末を上げた言い方(本当の質問)と下げた言い方(意見)を聞き分けさせ、板書の文末に大きな下げ矢印を書きます。グラフの数字のような事実には付けない、という線も同じ時間に引いておきます。
「〜つつある」と「〜ている」はどう違いますか?
「増えている」は変化の途中にも、増えた結果の今の状態にも使えますが、「増えつつある」は変化がまだ途中で、これからも続く感じを強めた書き言葉です。前に来るのは「増える・減る・広がる・変わる」のような変化の動詞が中心で、「今、手紙を書いている」のような今している動作の進行には使いません(「小説を書きつつある」のように完成へ向かう途中なら言えます)。折れ線グラフの線の途中を指して「つつある」、線の終わりの点を指して「ている(結果)」と見せると区別しやすくなります。
この課に関係する用語・解説・練習問題 この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。