ST1 一緒に行きませんか
できること友達をイベントや食事に誘い、誘われたら受けたり、理由を添えてやわらかく断ったりできる。
場面
クラスの休み時間や放課後に、週末のお祭り・コンサート・映画に友達を誘う場面です。教室では町のイベントのチラシと、一人ひとりに「土曜日:アルバイト」のような予定を書いたカードを配り、予定が合う日を探しながら誘い合う設定にします。
- 日本人の友達:土曜日に公園でお祭りがあります。一緒に行きませんか。
- 留学生:すみません。土曜日はちょっと…。アルバイトがあります。
- 日本人の友達:そうですか。日曜日もお祭りがあります。
- 留学生:日曜日はアルバイトがありません。行きたいです。
- 日本人の友達:じゃあ、日曜日に行きましょう。夜、公園でコンサートもあります。チケットが2枚あります。
- 留学生:ありがとうございます。一緒に行きましょう。
学習項目 1 Vませんか/Vましょう
意味・はたらき
「Vませんか」は、相手の気持ちを聞きながら誘う言い方で、形は否定の質問でも意味は「一緒にどうですか」です。誘われて受けるときや、もう一緒にすると決まったことを進めるときは「Vましょう」と言います。誘う側はまず「Vませんか」で聞き、相手が受けたら二人で「Vましょう」と言う、という順で使うと押しつけになりません。形は否定の疑問文でも、はたらきは誘いなので、文の形とはたらきがずれる例(間接的な発話行為)として説明できます。
接続
Vます形の「ます」を「ませんか」/「ましょう」に変える(一緒に+Vませんか)
形
一緒に映画を見ませんかええ、見ましょう一緒に晩ご飯を食べませんかじゃあ、駅の前で会いましょう
導入
- 「したいこと」から誘いへ導入で集めた「したいこと」の中から、教師が「わたしも映画を見たいです」と言い、学習者の一人に向いて「一緒に見ませんか」と誘う。学習者がうなずいたら、教師が「ええ、見ましょう」と答えの形を言ってみせる。板書は「一緒に Vませんか」「ええ、Vましょう」の2行にし、第3課の「Vません」と形は同じでも意味が違うことを、矢印(相手に向かう誘い)で示す。
板書案
誘う:一緒に Vませんか 〔矢印〕相手へ
受ける:ええ、Vましょう
一緒に 映画を 見ませんか。——ええ、見ましょう。
〔青〕Vません(第3課・しない) 〔赤〕Vませんか(誘い)
場面と発話(自作)
- 授業のあと、同じクラスの友達を昼ご飯に誘う。一緒に昼ご飯を食べませんか。——ええ、食べましょう。
- 週末に出かけたい場所があり、日本人の友達を誘う。日曜日、一緒に海へ行きませんか。
- アルバイトの仲間と、仕事のあとの予定を決めた。じゃあ、駅の前で会いましょう。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、絵カード(映画・カラオケ・買い物・ラーメンなど)を見せて「一緒に〜ませんか」を作らせ、教師がうなずいたら「ええ、〜ましょう」と言わせる。慣れたらイベントのチラシを配り、ペアで誘う役と受ける役を交代して、最後は席を立って3人を誘って回る。
- 口頭絵カード(映画・カラオケ・ラーメン・買い物)を出し、教師が「映画」と言えば全体で「一緒に映画を見ませんか」。次に「昼ご飯」「海」「テニス」と語だけをキューにして個人に当て、教師がうなずいたら別の学習者に「ええ、〜ましょう」で受けさせる。海のように動詞が決まりにくい絵は「行きます」を添えて出す。
- ペアA は誘いのカードを3枚、B は何も持たない。A が誘い、B が「ええ、Vましょう」「いいですね。Vましょう」で受ける。B は受けたあと「じゃあ、駅の前で会いましょう」を一言足す。3枚で役を交替。
- 産出「週末さそいリレー」。第5課の「Vたいです」で言った自分のしたいことを一つ選び、席を立って3人を誘い、受けてくれた人の名前をメモする。教師は①「一緒に」が付いているか ②受ける側が「Vましょう」で返しているか ③誘う側が最初から「Vましょう」で決めていないか、を見て回る。
つまずきと手当て
- 「Vませんか」を否定の質問と取り、「いいえ、行きます」と答える。誘いの「Vませんか」には「ええ」「いいですね」で答えると、受け答えの2行を対にして練習する
- 誘うのに「一緒に行きたいですか」と言う。相手の希望を直接たずねる形になり、誘いとしては不自然に聞こえやすい。誘うときは「Vませんか」と決めて覚えさせる
- 最初から「一緒に行きましょう」と言って、相手の都合を聞かずに決めてしまう。まず「Vませんか」で聞く、受けたら「Vましょう」、の順を板書で番号をつけて示す
- 「一緒に」を落として「映画を見ませんか」だけで言い、相手が自分だけで見るかを聞かれたと取ることがある。誘いでは「一緒に」を添える習慣をつける
既習の文型との違い
- Vません(第3課)形は「Vません」に「か」が付いただけですが、第3課の「Vません」は自分がしないことを言う否定です。「Vませんか」は誘いなので、「いいえ」で答えると断ったことになります。二つを混ぜると「いいえ、行きます」のようなちぐはぐな答えが出ます。
- Vたいです(第5課)「Vたいです」は自分の希望を言う形で、「一緒に行きたいですか」と相手の希望を聞くと、誘いとしては直接すぎます。この課では「わたしは〜たいです。一緒に〜ませんか」と2文にして、希望を言ってから誘う流れにします。
関連する文型
学習項目 2 〜はちょっと…
意味・はたらき
誘いや提案を断るとき、「いいえ」「行きません」とはっきり言わずに、都合の悪いもの(日・時間・場所など)を「〜は」で出して「ちょっと…」と言いよどむ言い方です。言葉の後ろを言わないことで、相手に悪いと思っている気持ちが伝わります。前に「すみません」、後ろに理由(「アルバイトがあります」など)を添えると、ていねいな断り方になります。
接続
N+は+ちょっと…(後ろは言わずに語尾を下げて止める)
形
土曜日はちょっと…すみません、明日はちょっと…カラオケはちょっと…
導入
- 断られる教師を見せる教師が二役で「土曜日、一緒に行きませんか」「すみません。土曜日はちょっと…」とやってみせ、「ちょっと…」で困った顔をして言葉を止める。学習者に「行きますか、行きませんか」と聞いて、言わなくても断ったことが伝わると気づかせる。板書は「すみません。[ ]は ちょっと…。[理由]」の枠にし、「…」の部分は声を下げて止めることを手の動きで示す。
板書案
すみません。[ ]は ちょっと…。[理由]
土曜日は ちょっと…。アルバイトが あります。
〔青〕「…」は 声を 下げて 止める(↘)
〔赤〕強い:いいえ、行きません → やわらかい:〜は ちょっと…
場面と発話(自作)
- 土曜日にアルバイトがある日に、友達から誘われる。すみません。土曜日はちょっと…。アルバイトがあります。
- 辛い料理が苦手で、友達に辛い料理の店に誘われる。辛い料理はちょっと…。
- 朝早い時間に集まろうと言われる。すみません。朝7時はちょっと…。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が予定カードの日を指して「〜日に〜ませんか」と誘い、予定がある日なら「すみません。〜はちょっと…」、ない日なら「ええ、Vましょう」と答えさせる。そのあとペアで誘い合い、断るときは必ず理由を一つ添えさせる。
- 口頭予定カード(月:テスト、土:アルバイト、日:何もない)を黒板に貼り、教師が「土曜日、一緒に行きませんか」と誘う。学習者は全体で「すみません。土曜日はちょっと…」と声を下げて止める。キューを「月曜日」「辛い料理」「カラオケ」「朝7時」と替えて個人に当て、日・物・時間のどれでも「〜は」で出せることを確かめる。
- ペア二人に中身の違う予定カードを配る(情報差)。A が日を変えて誘い、B は予定がある日は「すみません。〜はちょっと…。〜があります」、ない日は「ええ、Vましょう」で返す。二人とも空いている日が見つかったら交替。
- 産出「断り上手ロールプレイ」。苦手な食べ物・忙しい日などの状況カードを引き、誘いを一度断ってから理由を一つ添え、「日曜日は何もありません」のように空いている日を伝える。教師は①「…」のあとを言い切っていないか ②「すみません」と理由が付いているか ③声が下がって止まっているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「いいえ、行きません」とはっきり断る。文法は正しいが、日本語の誘いへの答えとしては強く聞こえやすいので、断るときは「〜はちょっと…」をまず使うと練習する
- 「ちょっと…」のあとを「*ちょっとです」「ちょっと行きません」と言い切る。言わずに止めるのがこの言い方だと、教師が止めて見せる
- 「ちょっと」を「少し」の意味に取り、「少しなら行ける」と受け取る。この形では「ちょっと…」が断りのサインになると、二役の寸劇で確かめる
既習の文型との違い
- どうして/〜から(第5課)第5課の「〜から」は理由をはっきり言う形で、「アルバイトがありますから、行きません」と続けると、文法は正しくても断り方としては固く強く聞こえます。この課では理由を「アルバイトがあります」と独立した文にして後ろに置き、「行きません」は言わないのが「〜はちょっと…」の芯です。
関連する文型
学習項目 3 〜があります
意味・はたらき
テスト・アルバイト・パーティー・お祭りのような予定や催しが「ある」ことを言います。第4課の「[場所]に〜があります」は物や建物がある(存在する)ことでしたが、ここでは決まった日や時間に何かが行われることです。誘いを断る理由として「アルバイトがあります」と言うときにもよく使います。
接続
[時間](に)+N(催し・予定)+が+あります
形
土曜日にパーティーがあります明日、テストがありますアルバイトがあります日曜日はアルバイトがありません
導入
- 教師の手帳を見せる大きく描いたカレンダーに「月:テスト」「土:アルバイト」「日:パーティー」と書き、教師が指しながら「月曜日にテストがあります」「土曜日にアルバイトがあります」と言う。何も書いていない日は「火曜日は何もありません」と言う。板書は「[いつ]に [予定]が あります」の枠にする。
板書案
[いつ]に [予定・催し]が あります
土曜日に アルバイトが あります。
火曜日は 何も ありません。
〔赤〕Nが あります 〔青〕Nを します(第3課)
場面と発話(自作)
- 友達に週末の予定を聞かれる。土曜日はアルバイトがあります。日曜日は何もありません。
- クラスの先生が、来週の予定を伝える。金曜日にテストがあります。
- アルバイト先の人に、来週休みたい日を伝える。来週の水曜日にテストがあります。水曜日は休みたいです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、カレンダーの日を指して「〜日に何がありますか」と聞き、「〜があります」で答えさせる。そのあと各自の予定カードで、ペアで「土曜日に何かありますか」「アルバイトがあります」を聞き合い、予定のない日を探す。
- 口頭大きなカレンダーの日を指して「月曜日は?」と聞き、全体で「月曜日にテストがあります」。キューを「テスト・アルバイト・パーティー・授業・試合」の絵に替え、空いている日は「何もありません」。個人に当てるときは日だけを言う(「金曜日」→「金曜日にパーティーがあります」)。
- ペア中身の違う1週間の予定表を A 用・B 用に配る。「土曜日に何かありますか」「アルバイトがあります」で聞き合い、二人とも何もない日を探して丸をつける。
- 産出「わたしの1週間」。自分の今週の予定を3つ「〜に〜があります」で言い、最後に「〜は何もありません」で空いている日を言う。聞いた人はその日に「一緒に〜ませんか」で誘う。教師は「を」と「が」の取り違えと、「何もありません」の形を見る。
つまずきと手当て
- 予定に「*アルバイトをあります」と「を」を使う。第3課の「アルバイトをします」と混ざる。「します」なら「を」、「あります」なら「が」と2行を並べて見せる
- 予定が何もない日に「*何がありません」と言う。第3課の「何もVません」と同じく「何もありません」とひとまとまりで言うと、カレンダーの空いた日で確かめる
- 過去の予定を言うとき「*テストがありますでした」と言う。「あります」も第5課の動詞と同じく「ありました/ありませんでした」になると、カレンダーの先週の欄で言わせる
既習の文型との違い
- [場所]に〜があります(第4課)第4課は「駅の前に銀行があります」のように、物や建物がある場所を言う存在の文でした。この課の「〜があります」は予定や催しが行われることで、前に来るのは場所より時間(〜に)が多くなります。どちらも「が+あります」なので、何が「ある」のかと、前に何が来るかで見分けさせます。
- 〜をVます(第3課)「アルバイトをします」は自分がする動作、「アルバイトがあります」は予定として入っていることを言います。誘いを断る理由には「アルバイトがあります」のほうが合います。二つが混ざると「*アルバイトをあります」が出ます。
関連する文型
学習項目 4 [場所]で〜があります
意味・はたらき
お祭り・コンサート・試合のような催しが、どこで行われるかを言う形です。催しが「ある」ときは、場所に「で」を使います。第4課の「[場所]に〜があります」(公園に池があります)は物がそこに存在することで「に」を使うので、催しか物かで助詞が変わります。誘うときは、この形で催しを伝えてから「一緒に行きませんか」と続けることが多いです。
接続
[場所]+で+N(催し)+が+あります
形
公園でお祭りがあります駅の前でコンサートがあります大学でパーティーがあります
導入
- チラシで「に」と「で」を比べる町の公園の絵を貼り、まず第4課の形で「公園に池があります」「公園に木があります」と言う。次にお祭りのチラシを絵の上に重ねて「土曜日、公園でお祭りがあります」と言う。板書は「公園に 池が あります(物)」「公園で お祭りが あります(催し)」の2行にし、助詞の違いを色で示す。
板書案
[場所]で [催し]が あります
公園で お祭りが あります。(催し)
公園に 池が あります。(物)
〔赤〕で=催し 〔青〕に=物
場面と発話(自作)
- 日本人の友達に、週末の町のイベントを教える。日曜日、駅の前でお祭りがあります。
- 大学の掲示を見て、留学生の友達に知らせる。金曜日に大学でパーティーがあります。一緒に行きませんか。
- クラスで、国の大きなお祭りを紹介する。4月にバンコクで大きいお祭りがあります。とても楽しいです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、イベントのチラシ(場所・日・催しの名前を書いたもの)を次々に見せて「〜日に〜で〜があります」を言わせる。物の絵カードを混ぜて「に」と「で」を選ばせ、最後はチラシを使って ST1 のやり取りの最初の一文にする。
- 口頭町の地図に催しのシール(お祭り・コンサート・試合)と物のシール(池・銀行・木)を貼っておく。教師がシールを指すと、全体で「公園でお祭りがあります」「公園に池があります」と言い分ける。日を足して「土曜日、公園でお祭りがあります」まで広げ、個人には場所だけを言って当てる。
- ペアA は場所と日が書いてある催しのチラシ、B は何も書いていない地図を持つ。A が「〜日に〜で〜があります」と言い、B が地図に書き込む。終わったら答え合わせをして交替。
- 産出「わたしの町のイベント紹介」。自分の国や住んでいる町の催しを一つ選び、「〜月に〜で〜があります」と紹介して「一緒に行きませんか」で終える。教師は「で」と「に」、催しと物の取り違えを見る。
つまずきと手当て
- 「*公園にお祭りがあります」と、第4課の存在の「に」を使う。催しは「で」と、チラシと物の絵を並べて何度も選ばせる
- 「*公園でお祭りをあります」と「が」を「を」にする。「あります」の前は「が」と、前の項目の板書と同じ枠で確かめる
- 場所を聞くときに「*お祭りはどこにありますか」と存在の「に」に戻る。催しの場所は「どこでありますか」と聞くと、問いと答えの「で」を同じ色で書いて見せる
既習の文型との違い
- [場所]に〜があります(第4課)どちらも「〜があります」ですが、物が置かれている・建っているときは「に」、催しが行われるときは「で」です。池は動かない物、お祭りは人が集まってすること、と分けると判断がつきます。混ぜると「*公園にお祭りがあります」が出ます。
- [場所]で(第3課)第3課の「図書館で勉強します」の「で」は動作をする場所でした。催しも人がする出来事なので同じ「で」が付く、と第3課の板書を指してつなぐと、新しい規則として覚えずに済みます。
関連する文型
学習項目 5 〜が(〜枚)あります
意味・はたらき
持っている物の数を言う形で、チケットや写真のような薄い物は「〜枚」で数えます。数は「チケットが2枚あります」のように、「が」のあと「あります」の前に置きます。誘うときに「チケットが2枚あります」と言うと、一緒に行こうという気持ちも伝わります。文法の用語では「2枚」のような数と助数詞のまとまりを数量詞と呼び、「が」のあとに離して置くこの形を遊離数量詞の文として説明できます。
接続
N+が+数(〜枚)+あります(何枚ありますか)
形
チケットが2枚ありますチケットは何枚ありますか1枚(いちまい)・4枚(よんまい)・7枚(ななまい)・9枚(きゅうまい)
導入
- チケットを数えて見せる教師が自作のチケットを扇のように持ち、1枚ずつ机に置いて「1枚、2枚、3枚」と数える。最後に「チケットが3枚あります」と言い、学習者に「何枚ありますか」と聞いて答えさせる。板書は「[物]が [数]枚 あります」の枠と、1〜10枚の読みの表にする。
板書案
[物]が [数]枚 あります
チケットが 2枚 あります。
チケットは 何枚 ありますか。
〔赤〕4枚(よんまい) 7枚(ななまい) 9枚(きゅうまい)
場面と発話(自作)
- コンサートのチケットを持っていて、友達を誘う。コンサートのチケットが2枚あります。一緒に行きませんか。
- 映画館の窓口で、残っている席を聞く。チケットは何枚ありますか。
- 家族の写真を友達に見せる。家族の写真が5枚あります。これは母です。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、チケットや写真の枚数を変えて見せ、「〜が〜枚あります」を言わせる。そのあとペアで「何枚ありますか」と聞き合い、最後はチケットの数を誘う理由にして ST1 のやり取りに入れる。
- 口頭教師がチケット・写真・紙の枚数を変えて持ち、全体で「チケットが3枚あります」。次に読みの難しい4枚・7枚・9枚だけを続けて出して個人に当てる。最後に教師が「何枚ありますか」と聞き、学習者が答える。
- ペアA の封筒にチケットを何枚か入れておく。B が「チケットは何枚ありますか」と聞き、A は中を見て「2枚あります。一緒に行きませんか」と答え、B が「ええ、行きましょう」で受ける。封筒を渡して交替。
- 産出「チケットで誘おう」。コンサート・映画・試合のチケット(枚数はばらばら)を一人ずつ持って席を立ち、自分の分を除いた枚数の人数を誘う(3枚なら2人)。教師は数の位置と「枚」の読みを聞いて直す。
つまずきと手当て
- 数を前に出して「2枚のチケットがあります」と言う。文としては言えるが、持っている数を言うときは「チケットが2枚あります」がふつうなので、この課ではこの順に固定する。「*チケットが2あります」のように「枚」が抜ける誤りも出るので、数字には「枚」を付けると枠で見せる
- 4枚・9枚を「*しまい」「*くまい」と読む。7枚は「しちまい」とも言い誤りではないが、この課では「ななまい」にそろえる。表の3つを赤で示し、数えるたびに確かめる
- 薄くない物にも「*かさが2枚あります」と「枚」を広げる。この課では紙・チケット・写真のような薄い物だけ「枚」で、ほかは第2課の「〜つ」でよいと、実物を2つの箱に分けて見せる
既習の文型との違い
- Nを(〜つ)ください(第2課)第2課では「コーヒーを二つください」のように、数を助詞のあと、動詞の前に置きました。この課の「チケットが2枚あります」も数の位置は同じです。違うのは数え方で、薄い物は「〜つ」ではなく「〜枚」を使います。両方が混ざると「*チケットを2つあります」が出ます。
関連する文型
ST2 どちらがいいですか
できること行き先や食べ物などを比べながら、相手の考えを聞いて、どれにするか一緒に決められる。
場面
出かける日が決まったあとで、どこで何を食べるか、どの店に行くかを友達と相談する場面です。教室では値段・近さ・味などを書いた店のチラシを2枚、または3枚以上の表にして配り、比べて一つに決める活動にします。
- 日本人の友達:晩ご飯はラーメンとお好み焼きとどちらがいいですか。
- 留学生:お好み焼きのほうがいいです。わたしはお好み焼きが好きです。
- 留学生:この町でどこのお好み焼きがいちばんおいしいですか。
- 日本人の友達:駅の前の「さくら」がいちばんおいしいです。
- 留学生:「さくら」は高いですか。
- 日本人の友達:いいえ、高くないです。「さくら」は「ひまわり」より安いです。
学習項目 1 〜で〜がいちばんAです
意味・はたらき
三つ以上のもの、またはある範囲(町・クラス・一年)の中で、一つが最も〜だと言う形です。範囲を「〜で」で示し、選ばれるものを「が」で表します。聞くときは「この町でどこがいちばんおいしいですか」のように、疑問詞(何・どこ・いつ)に「が」をつけて聞きます。相談の場面で、いくつかの候補から一つに決めるときに使います。
接続
[範囲]+で+N+が+いちばん+A+です(疑問詞+が+いちばん+Aですか)
形
この町で「さくら」がいちばんおいしいです日本の料理で何がいちばん好きですか一年でいつがいちばん暑いですかクラスでどこの国がいちばん遠いですか
導入
- 店の表で一番を探す三つの店の名前と値段・近さを書いた表を貼り、教師が「この町でどこがいちばん安いですか」と聞いて、学習者に表から探させる。指さした店について教師が「『ひまわり』がいちばん安いです」と言う。板書は「[範囲]で [何・どこ・いつ]が いちばん Aですか」「[N]が いちばん Aです」の2行にする。
板書案
[範囲]で [何・どこ・いつ]が いちばん Aですか
この町で どこが いちばん 安いですか。
「ひまわり」が いちばん 安いです。
〔赤〕疑問詞+が → 答えも N+が
場面と発話(自作)
- 日本に長く住んでいる先輩に、おいしい店を聞く。この町でどこのラーメンがいちばんおいしいですか。
- 国の料理について日本人の友達に聞かれる。タイの料理で何がいちばん好きですか。——トムヤムクンがいちばん好きです。
- 日本の季節の話をする。日本は一年で8月がいちばん暑いです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、店・季節・料理の表を見せて「〜で何/どこ/いつがいちばん〜ですか」を聞き、表から答えさせる。そのあとクラスで「日本の料理で何がいちばん好きですか」を聞き合ってランキングを作り、最後に ST2 の相談で行く店を決める根拠にする。
- 口頭三つの店の表(値段・駅から何分・味の星の数)を貼り、教師が「安い」「近い」「おいしい」とキューを出す。学習者は全体で「この町でどこがいちばん安いですか」と問いを作り、指名された学習者が表を見て「〜がいちばん安いです」と答える。次に範囲を「日本の料理で」「一年で」に替え、疑問詞を何・いつに変える。
- ペアA は季節の表、B は料理の表を持ち、相手の表について「〜で何/いつがいちばん〜ですか」と聞く(情報差)。聞いた答えを自分のメモに書き、二つ聞いたら表を交換する。
- 産出「クラスのいちばん調べ」。「日本の料理で何がいちばん好きですか」「国でどこがいちばんきれいですか」のような問いを各自一つ作り、5人に聞いて結果を「〜がいちばん多いです」と発表する。教師は疑問詞のあとの「が」と、範囲の「で」を見る。
つまずきと手当て
- 「*どこはいちばんおいしいですか」と疑問詞に「は」をつける。疑問詞のあとは「が」、答えも「Nが」と、問いと答えの「が」を同じ色で書く
- 範囲の「で」を落とす、または「*この町にどこがいちばん…」と「に」にする。範囲は「で」と、表の枠を丸で囲んで「この表で」と言わせて確かめる
- 二つしかないものに「*どちらがいちばん…」と使う。二つなら次の項目の「どちらが」、三つ以上なら「いちばん」と、カードの枚数で分けて見せる
既習の文型との違い
- 〜はAです(第4課)第4課の「この町は静かです」は一つのものの様子を言う文で、主題に「は」を使いました。「いちばん」の文は候補の中から選ばれるものを言う文なので、問いでも答えでも「が」になります。「*どこはいちばん…」は第4課の「は」の習慣がそのまま出た誤りです。
関連する文型
学習項目 2 〜と〜とどちらがAですか/〜のほうがAです
意味・はたらき
二つのものを比べてどちらかを聞く形と、その答え方です。聞くときは「AとBとどちらが〜ですか」、答えるときは選んだほうに「のほう」をつけて「Bのほうが〜です」と言います。友達と行き先や食べる物を決めるとき、「どちらがいいですか」と相手の考えを聞くのに便利です。
接続
N1+と+N2+と+どちら+が+A+ですか/N+の+ほう+が+A+です
形
ラーメンとお好み焼きとどちらがいいですかお好み焼きのほうがいいです電車とバスとどちらが速いですか電車のほうが速いです
導入
- 二枚のチラシを両手に持つ教師が二つの店のチラシを左右の手に持ち、学習者に「『さくら』と『ひまわり』とどちらが近いですか」と聞く。学習者が片方を指したら、教師がそちらを上げて「『ひまわり』のほうが近いです」と言う。板書は「Aと Bと どちらが [A]ですか」「Bの ほうが [A]です」の2行にし、「のほう」を赤で示す。
板書案
Aと Bと どちらが [形容詞]ですか
Bの ほうが [形容詞]です
ラーメンと カレーと どちらが いいですか。
カレーの ほうが いいです。
〔赤〕のほう=選んだほう 〔青〕二つ→どちら
場面と発話(自作)
- 友達と晩ご飯の相談をする。ラーメンとカレーとどちらがいいですか。——カレーのほうがいいです。
- 週末に行く場所を、交通の便で比べる。海と山とどちらが近いですか。——山のほうが近いです。
- 日本の季節について、友達と話す。春と秋とどちらが好きですか。——秋のほうが好きです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、二枚一組の絵カード(電車とバス、夏と冬、ラーメンとカレーなど)と形容詞のカードを出し、「〜と〜とどちらが〜ですか」を作らせて別の学習者に答えさせる。そのあと ST1 で決めたイベントの日の行き先・食事を、ペアで「どちらがいいですか」と相談して決める。
- 口頭二枚一組の絵(電車とバス・夏と冬・海と山)を左右の手に持ち、形容詞カード(速い・暑い・近い)を上に置く。学習者は全体で問いを作り、教師が片方を上げたら「〜のほうが〜です」で答える。慣れたら形容詞だけを替えて個人に当て、「いい」「好き」も混ぜる。
- ペア週末の計画カード(行き先2つ・食べ物2つ・会う時間2つ)を二人で1枚持つ。A が「〜と〜とどちらがいいですか」と聞き、B が自分の好みで「〜のほうがいいです」と答え、A がメモして次の項目へ。3項目で交替。
- 産出「週末プランの相談」。ST1 で決めた日に何をするか、行き先と食べ物を二択で相談して決め、決まったプランを「わたしたちは〜へ行きます。〜を食べます」とクラスに発表する。教師は「どちら」と「のほう」、答えの「が」を見る。
つまずきと手当て
- 答えで「お好み焼きがいいです」と「のほう」を落とす。誤りとまでは言いにくいが、比べた答えだとはっきりしないので、この課では「のほうが」で答えると決めて練習する
- 二つのものに「*どれがいいですか」と「どれ」を使う。「何がいいですか」も、候補を決めずに聞く形になる。二つを比べるときは「どちら」と、チラシ2枚の場面で固定する
- 答えの「が」を「は」にして「*お好み焼きのほうはいいです」と言う。問いの「どちらが」に答えるので「のほうが」と、問いと答えの「が」を同じ赤で書く。なお問いの「AとBとどちらが」の二つ目の「と」は会話では落ちることもあり、「AとBはどちらが」も自然な言い方なので、そちらは直さなくてよい
既習の文型との違い
- Nが好きです・嫌いです(第5課)「Nが好きです」は一つのものが好きかどうかを言う形で、比べてはいません。「〜のほうが好きです」は二つを並べたうえで片方を選ぶ言い方です。好きかどうかを聞かれただけで「〜のほうが好きです」と答えると、何と比べたのか相手にわかりません。
- 何/〜は何ですか(第1課)「何がいいですか」は候補を決めずに聞く形で、「どちら」は候補が二つに決まっているときの形です。チラシが2枚あるのに「何がいいですか」と聞くと、相手はほかの店を答えてもよいと受け取ります。
関連する文型
学習項目 3 〜は〜よりAです
意味・はたらき
二つのものを比べて、話題にしているほう(「〜は」)が、もう一方(「〜より」)と比べて〜だと言う形です。「より」は比べる基準のほうにつきます。相談の中で、選んだ理由を説明するときに使います(「『さくら』は『ひまわり』より安いです」)。「どちらが〜ですか」への答えとしては「〜のほうが〜です」と同じことを、基準を見せて言い直す形になり、「より」は比べる基準を示す助詞として扱います。
接続
N1+は+N2+より+A+です(N1 のほうが A)
形
「さくら」は「ひまわり」より安いです電車はバスより速いです東京は大阪より大きいです
導入
- 乗り物を並べて比べて見せる電車とバスの絵を左右に並べ、教師が「電車はバスより速いです」と言う。続けて二つの店の値段カードで「『さくら』は『ひまわり』より安いです」と言う。板書は「Aは Bより [A]です」にし、「より」のついている B が基準だと、B の下に線を引いて示す。
板書案
Aは Bより [形容詞]です
電車は バスより 速いです。
「さくら」の ほうが 安いです。=「さくら」は「ひまわり」より 安いです。
〔青〕「より」の ついた ほう=基準(下に線) 〔赤〕「は」の ほうが もっと〜
場面と発話(自作)
- 友達に、選んだ店の理由を言う。「さくら」は「ひまわり」より安いです。そして、おいしいです。
- 国の町と日本の町を比べて話す。バンコクは東京より暑いです。
- 友達に、どちらの店が駅から近いか聞かれる。「ひまわり」は「さくら」より駅から近いです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、二つ一組の絵と形容詞のカードで「〜は〜より〜です」を作らせる。慣れたら前の項目の問い「どちらが〜ですか」に「〜のほうが〜です。〜は〜より〜です」と2文で答えさせ、ST2 の相談で選んだ理由を言う形にする。
- 口頭値段や時間を書いた二枚一組のカード(「さくら」800円と「ひまわり」1000円、電車20分とバス40分)を見せ、形容詞カードを替えて全体で「〜は〜より〜です」。次に教師がわざと逆の文を言い、学習者に「いいえ、〜は〜より〜です」と直させる。最後は二つの物だけを見せ、形容詞を学習者に選ばせて個人で言わせる。
- ペアA が「〜と〜とどちらが〜ですか」と聞き、B は「〜のほうが〜です」に続けて「〜は〜より〜です」と理由の文を足す。カード3組で交替。
- 産出「わたしの国と日本」。国の町と日本の町、または国の料理と日本の料理を比べて3文書き、クラスで読み合う。聞いた人は「そうですか。〜は〜より〜ですか」と確かめる。教師は書いた文の「より」に丸をつけ、基準のほうに付いているかを見る。
つまずきと手当て
- 「より」の位置を逆にして「『ひまわり』は『さくら』より安いです」と、意味と反対のことを言う。どちらが安いかを先に絵で確かめてから、安いほうを「は」の位置に置かせる
- 「『さくら』は『ひまわり』よりもっと安いです」のように、形容詞の前に「もっと」を入れたがる。誤りではないが、この課では「より」だけで比べられることを先に練習する
- 前の項目の形と重ねて「*『さくら』は『ひまわり』よりのほうが安いです」と言う。「Aは Bより」と「Aの ほうが」は別々の文の形だと、2つの枠を上下に分けて板書する
既習の文型との違い
- 〜はAです(第4課)第4課の「東京は大きいです」は東京だけを言う文で、比べる相手がありません。「より」が入ると、もう一方を基準にした比べる文になります。比べる相手が会話の中で分かっているときは「『さくら』は安いです」だけでも通じるので、「より」は基準をはっきりさせたいときに入れる、と見せます。
関連する文型
ST3 約束
できること行ったことがあるかを確かめ、会う場所と時間を提案し合って、最後に約束の中身を確認できる。
場面
行き先が決まったあとで、待ち合わせの場所と時間を決める場面です。教室では駅のまわりの簡単な地図と、針を動かせる時計を使い、ペアで場所と時間を出し合って、最後に二人で同じ約束をメモできたかを見せ合います。
- 日本人の友達:「さくら」にもう行きましたか。
- 留学生:いいえ、まだです。
- 日本人の友達:とてもおいしいですよ。日曜日の夜、「さくら」で食べましょう。
- 留学生:いいですね。どこで会いますか。
- 日本人の友達:駅の前はどうですか。5時はどうですか。
- 留学生:5時はちょっと…。6時はどうですか。
- 日本人の友達:いいですよ。
- 留学生:じゃあ、日曜日の6時に駅の前ですね。
学習項目 1 もうVました(経験)/まだです
意味・はたらき
日本に来てから、ある場所に行ったか、ある物を食べたり見たりしたかを確かめる言い方です。「もう行きましたか」と聞き、行ったなら「はい、もう行きました」、まだなら「いいえ、まだです」と答えます。約束を決める前に、相手がまだ行ったことのない場所を選ぶために使うことが多いです。「まだです」は短い決まった答え方で、「まだ行きませんでした」とは言いません。
接続
もう+Vました(か)/いいえ、まだです
形
もう行きましたかはい、もう行きましたいいえ、まだですもう食べましたか
導入
- 町の名所の写真で聞く日本の有名な場所や食べ物の絵カードを貼り、教師が一枚ずつ指して「わたしはもう行きました」「これはまだです」と言い、自分の印(○・まだ)をつける。次に学習者に「〜さんはもう行きましたか」と聞き、「はい、もう行きました」「いいえ、まだです」を引き出す。板書は「もう Vましたか」「はい、もう Vました」「いいえ、まだです」の3行にする。
板書案
もう Vましたか
はい、もう Vました。
いいえ、まだです。
〔赤〕「まだ 行きませんでした」とは 言わない
場面と発話(自作)
- 日本に来たばかりの友達に、町の名所のことを聞く。お寺にもう行きましたか。——いいえ、まだです。
- 友達と、話題の食べ物の話をする。お好み焼きをもう食べましたか。——はい、もう食べました。おいしかったです。
- 週末に誘う前に、友達がその映画を見たか確かめる。あの映画、もう見ましたか。——いいえ、まだです。——じゃあ、一緒に見ませんか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、名所と食べ物の絵カードを見せて「もう〜ましたか」と聞き、自分のことで答えさせる。そのあと全員が立って「もう〜ましたか」と聞いて回り、「まだです」と答えた人を誘う相手として見つけ、ST3 のやり取りの最初につなげる。
- 口頭名所・食べ物・行事の絵(お寺・富士山・お好み焼き・花火)を一枚ずつ出し、教師が「もう行きましたか」と全体に聞く。行った人は「はい、もう行きました」、まだの人は「いいえ、まだです」と手を挙げて答える。次に絵に合わせて動詞を替え(食べました・見ました)、個人に当てる。
- ペア名所と食べ物を6つ並べたチェック表を一人1枚持ち、「もう〜ましたか」を聞き合って相手の答えを○かまだで書き込む。全部聞いたら、相手が「まだ」の所を一つ選んで「一緒に行きませんか」と誘う。
- 産出「まだですビンゴ」。3×3 のビンゴ表に名所や食べ物を書き、クラスを回って「もう〜ましたか」と聞き、「まだです」と答えた人の名前をマスに書く。一列そろったら、その人と ST3 の流れで約束を決める。教師は「まだです」がひとまとまりで出ているか、「もう」が抜けていないかを聞く。
つまずきと手当て
- 「いいえ」の答えで「*いいえ、まだ行きませんでした」と言う。「行きませんでした」だけで答えると、特定の日に行かなかった話に聞こえやすい。「まだです」をひとまとまりで覚えさせる
- 「もう」を落として「お寺に行きましたか」と聞き、相手がいつの話かわからない。「日本に来てから」の意味で聞くときは「もう」を付けると、カレンダーではなく名所の写真の場面で確かめる
- 第10課で扱う、やるべきことが終わったかを聞く「もう〜ましたか」と同じ形なので、後で混ざりやすい。この課では行った・食べた・見たことの確認に絞って練習する
既習の文型との違い
- Vました/Vませんでした(第5課)第5課の「Vました/Vませんでした」は「土曜日に海へ行きました」のように、決まった時の出来事を言う形でした。「もう〜ましたか」は「今までに」の範囲で、したかどうかを聞きます。この違いがあるので、否定の答えは「行きませんでした」ではなく「まだです」になります。
関連する文型
学習項目 2 〜よ
意味・はたらき
文の終わりに「よ」をつけて、相手が知らないと思うことを教えたり、自分の考えを伝えて相手の背中を押したりします。誘うときに「おいしいですよ」「楽しいですよ」と添えると、行ってみようと思わせる言い方になります。強く言いすぎると押しつけに聞こえるので、目上の人には使いすぎないように気をつけます。文法の用語では文の終わりで話し手の伝え方を表す終助詞で、「ね」と並べて、相手と自分のどちらが情報を持っているかで使い分けを説明するのが分かりやすいです。
接続
文(〜です・〜ます)+よ
形
おいしいですよ日曜日もお祭りがありますよ駅から近いですよ
導入
- 教師だけが知っている情報を出す教師が店のチラシを自分だけ見て、学習者に「この店、知っていますか」と首を振らせてから、「とてもおいしいですよ」「安いですよ」と教えるように言う。板書は「[文]よ = 相手の知らないことを教える」にし、下に ST1・ST2 で使った文(日曜日もお祭りがあります など)を書いて「よ」を足させる。
板書案
[文]+よ = 相手の 知らないことを 教える
あの店、とても おいしいですよ。
日曜日も お祭りが ありますよ。
〔青〕語尾は 軽く(強く 上げない)
場面と発話(自作)
- まだ行ったことのない友達に、おすすめの店を教える。あの店、とてもおいしいですよ。
- 土曜日しか知らない友達に、別の日の予定を教える。日曜日もお祭りがありますよ。
- 駅を探している人に、駅が近いことを教える。駅はあそこですよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、店やイベントのカードを一人だけに見せ、その人が「〜ですよ」と教え、聞いた人が「そうですか」と返す。そのあと前の項目の「まだです」と答えた相手に「〜ですよ」で店をすすめ、「一緒に行きませんか」につなげる。
- 口頭教師だけが見ている店・催しのカードを持ち、学習者が全体で「この店はどうですか」と聞くと、教師が「安いですよ」と答えてみせる。次に学習者が順にカードを引いて「〜ですよ」「〜がありますよ」を言う。キューは形容詞(安い・近い・おいしい)・催し(お祭り・コンサート)・時間(9時から)。
- ペアA だけが店の情報カード(値段・場所・味)を持ち、B が「〜は高いですか」「〜は駅から近いですか」と聞く。A は「いいえ、安いですよ」のように答え、B は「そうですか」で受ける。カードを替えて交替。
- 産出「おすすめ紹介」。自分の町や国のおすすめの店・場所を一つ選び、「〜は〜ですよ」を入れて3文ですすめ、最後に「一緒に行きませんか」で誘う。教師は、相手がもう知っていることに「よ」を付けていないかと、語尾の強さを聞く。
つまずきと手当て
- 相手がもう知っていることや、自分のことを言うだけの文に「よ」をつけ、「わたしは学生ですよ」のように強く聞こえる。「よ」は相手の知らないことにつけると、知っている・知らないのカードで確かめる
- 先生や店の人に「いいですよ」「違いますよ」を多用して、ぶっきらぼうに聞こえる。目上の人には「よ」をつけない文でも十分だと、二つを聞き比べさせる
- 「よ」を強く上げて言い、怒っているように聞こえる。この課では語尾を軽くつけるだけでよいと、教師の言い方をくり返させる
既習の文型との違い
- 〜ね(共感)(第4課)第4課の「おいしいですね」は、相手も同じように感じていると思うときの「ね」でした。「よ」は反対に、相手が知らない・まだ気づいていないと思うときに付けます。同じ料理を一緒に食べながら「おいしいですよ」と言うと、相手に教えている言い方になり、場面に合いません。
関連する文型
学習項目 3 〜はどうですか(提案)
意味・はたらき
相手に一つの案(場所・時間・日など)を出して、それでいいかを聞く言い方です。第4課の「〜はどうですか」は相手の考えや様子を聞くものでしたが、ここでは「駅の前はどうですか」「5時はどうですか」のように、自分の案を相手にすすめます。答えは「いいですね」で受けるか、「〜はちょっと…。〜はどうですか」と別の案を出して返します。
接続
N(場所・時間・日)+は+どうですか
形
駅の前はどうですか5時はどうですか日曜日はどうですかいいですね
導入
- 地図と時計で案を出す駅のまわりの地図を貼り、教師が「どこで会いますか」と学習者に聞いてから、地図の駅の前を指して「駅の前はどうですか」と言う。次に時計の針を5時に合わせて「5時はどうですか」と言う。板書は「[場所・時間]は どうですか」「いいですね/[ ]は ちょっと…」の2行にし、第4課の「日本の料理はどうですか(考えを聞く)」と並べて違いを示す。
板書案
[場所・時間]は どうですか
駅の前は どうですか。 5時は どうですか。
——いいですね。/ 5時は ちょっと…。6時は どうですか。
〔青〕第4課:日本の料理は どうですか(考えを聞く)
場面と発話(自作)
- 友達と待ち合わせの場所を決める。どこで会いますか。——駅の前はどうですか。
- 提案された時間が都合が悪く、別の時間を出す。5時はちょっと…。6時はどうですか。
- 友達と、出かける日を決める。土曜日はちょっと…。日曜日はどうですか。——いいですね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、地図の場所と時計の時刻を指して「〜はどうですか」を言わせ、聞いた人に「いいですね」か「〜はちょっと…。〜はどうですか」で返させる。そのあと予定カードを持ったペアで、二人とも都合のいい場所と時間が見つかるまで案を出し合う。
- 口頭地図の場所と時計の時刻を教師が指し、学習者は全体で「駅の前はどうですか」「5時はどうですか」。教師が「いいですね」か「〜はちょっと…」で返し、断られたら学習者が別の案を出す。キューは場所(駅の前・公園・店の前)・時間(5時・6時半)・日(土曜日・日曜日)。
- ペア空いている時間が一部だけ重なる予定カードを A と B に配り、「〜はどうですか」で案を出し合って、二人とも空いている時間と場所を一つ決める。決まったらメモを見せ合う。
- 産出「待ち合わせ決めゲーム」。3人組で、一人ずつ都合の悪い時間を書いたカードを隠して持ち、「〜はどうですか」「〜はちょっと…」をくり返して、全員の都合が合う時間と場所を決める。早く決まった組から発表する。教師は答えが「はい」「いいえ」だけになっていないか、案を「Nは」の形で出せているかを見る。
つまずきと手当て
- 提案に「はい」「いいえ」だけで答える。提案には「いいですね」か「〜はちょっと…」で答えると、答えのカードを2枚にして選ばせる
- 案を出すときに「駅の前でどうですか」「5時にどうですか」と場所や時間の助詞を残す。会話では聞く言い方だが、この課では「Nは どうですか」にそろえ、「で」「に」を消して「は」に書き替える板書で見せる。決まったあとの「駅の前で会いましょう」で「で」が戻ることも合わせて見せる
- 第4課の考えを聞く「〜はどうですか」と区別できず、提案された場所の感想を答える。案を出す場面か、感想を聞く場面かを、地図を指すかどうかで見分けさせる
既習の文型との違い
- 〜はどうですか(第4課)第4課は「日本の料理はどうですか」と相手の感想や考えを聞く言い方で、答えは「おいしいです」のような様子の文でした。この課は自分の案を出して相手の判断を求める言い方で、答えは「いいですね」か「〜はちょっと…」です。地図や時計を指しながら言うか、相手の経験を聞くかで見分けさせます。
- Vませんか/Vましょう(第6課 ST1)「Vませんか」は何をするかを誘う形、「〜はどうですか」は誘いが決まったあとで場所や時間などの細かい点の案を出す形です。「一緒に行きませんか」→「ええ、行きましょう」→「どこで会いますか」→「駅の前はどうですか」と、やり取りの順に板書で並べます。
関連する文型
学習項目 4 〜ね(確認)
意味・はたらき
決まったことや、自分が聞いたことが合っているかを、相手に確かめるときに文の終わりにつけます。約束の最後に「じゃあ、日曜日の6時に駅の前ですね」と言うと、二人の約束がそろっているかを確かめられます。第4課の「〜ね(共感)」は同じ気持ちを表すものでしたが、こちらは確かめるためのもので、相手の「はい」を待つ言い方になります。
接続
文(〜です・〜ます)+ね(相手の返事を待つ)
形
日曜日の6時ですね駅の前ですねチケットは2枚ですね
導入
- メモを読み上げて確かめるST3 の相談で決まった場所と時間を教師がメモに書き、学習者に向かって「じゃあ、日曜日の6時に駅の前ですね」と読み上げ、相手の「はい」を待つ間を取ってみせる。板書は「[決まったこと]ですね = 合っていますか」にし、第4課の「おいしいですね(同じ気持ち)」と並べて、使う場面の違いを示す。
板書案
[決まったこと]ですね = 合っていますか(→ 相手の「はい」を待つ)
じゃあ、日曜日の 6時に 駅の前ですね。——はい。
〔青〕第4課:おいしいですね(同じ気持ち)
〔赤〕確認の「ね」= いつ・どこを 全部 入れる
場面と発話(自作)
- 友達との約束が決まり、最後に確かめる。じゃあ、土曜日の10時に公園ですね。——はい。
- 店の人に、注文した数を確かめる。チケットは2枚ですね。
- 先生に、テストの日を確かめる。テストは金曜日ですね。——はい、金曜日です。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が約束の中身を言い、学習者がメモを見ながら「〜ですね」と確かめて、教師が「はい」または「いいえ、〜です」と返す。そのあとペアで ST3 のやり取りを通し、最後の一文を必ず「〜ですね」にして、二人のメモが同じか見せ合う。
- 口頭教師がメモ(「土・10時・公園」)を見せ、学習者は全体で「土曜日の10時に公園ですね」と確かめる。教師が「はい」と返すときと、わざと「いいえ、11時です」と返すときを混ぜ、学習者に言い直させる。キューは日時・場所・枚数(チケットは2枚)。
- ペアA が約束の中身を口で伝え(「日曜日、6時、駅の前」)、B がメモを取って「〜ですね」で確かめる。A は合っていれば「はい」、違えば直す。B が全部そろえて言えたら交替。
- 産出「約束メモ合わせ」。ST3 のやり取りを通して約束を決め、最後の一文を必ず「じゃあ、〜ですね」にする。終わったら二人のメモを並べて同じか確かめ、ずれていた組はどこで確認が抜けたかを話し合う。教師は「ね」のあとに返事を待つ間があるかと、いつ・どこが全部入っているかを見る。
つまずきと手当て
- 確かめるのに「日曜日の6時ですよ」と「よ」を使い、相手に教えている(言い直している)ように聞こえる。確かめるときは「ね」、相手の知らないことは「よ」と、二つのカードを見せて選ばせる
- 日時や場所が抜けて「6時ですね」だけで確かめ、どの日のことかずれる。約束の確認では、いつ・どこを全部入れると板書の枠で示す
- 「ね」を下げて言って、共感の「ね」のように聞こえる。確かめるときは返事を待つ間を取ると、教師の言い方をくり返させる
既習の文型との違い
- 〜ね(共感)(第4課)共感の「ね」は「暑いですね」「おいしいですね」のように、同じ物を見て同じ気持ちだと伝えます。確認の「ね」は、決まったことや聞いたことが合っているかを確かめ、相手の返事を求めます。同じ形なので、文の中身が気持ちか事実かと、言ったあとに返事を待つかどうかで区別させます。
関連する文型