ST1 今の生活
できること今の生活で続けていることや、休みの日・困ったときにすることを話したり、相手に聞いたりできる。
場面
日本に来て数か月たったころ、クラスメートや地域の日本語教室のボランティアと、ふだんの暮らしについて話す場面です。教室では学習者に平日と週末の1週間の表を書かせ、それを見ながらペアで「何をしていますか」「休みの日は何をしますか」と聞き合う設定を作ります。
- 留学生A:今、アルバイトをしていますか。
- 留学生B:はい。コンビニで働いています。
- 留学生A:わたしはしていません。平日は忙しいですが、週末は暇です。
- 留学生B:そうですか。休みの日は何をしますか。
- 留学生A:掃除したり、洗濯したりします。友達と買い物にも行きます。
- 留学生B:寂しいとき、どうしますか。
- 留学生A:国の家族に電話します。
学習項目 1 〜は〜が、〜は(対比)
意味・はたらき
二つのことを「は」で並べ、違いをはっきりさせる言い方です。「平日は忙しいですが、週末は暇です」のように、前と後ろで反対のこと・違うことを言います。今の生活を話すとき、曜日や時間、食べ物などを比べて言うのに使います。「が」は第4課の「〜が、〜」、「は」は第10課の取り立ての「は」(ほかと比べて、それを特に取り上げる)と同じはたらきです。
接続
N1+は+〜が、N2+は+〜(「を」「が」の場所に入るときは「を」「が」を消して「は」、「で」「に」などのあとは「では」「には」)
形
平日は忙しいですが、週末は暇です肉は食べますが、魚は食べません学校では日本語を話しますが、家では話しません
導入
- 教師の1週間の表で比べる黒板に教師の1週間の表を描き、月〜金に「仕事」、土日に「休み」と書く。教師が「月曜日から金曜日まで忙しいです。土曜日と日曜日は暇です」と2文で言ったあと、表の平日と週末を両手で指しながら「平日は忙しいですが、週末は暇です」と1文にしてみせる。板書は「[ ]は〜が、[ ]は〜」の枠にし、二つの「は」を同じ色で書く。
板書案
N1 は 〜が、N2 は 〜 〔赤〕二つの「は」を同じ色で
平日は 忙しいですが、週末は 暇です。
肉を 食べます → 肉〔赤〕は 食べますが、魚〔赤〕は 食べません。(「を」に×)
学校で → 学校〔青〕では/家に → 家〔青〕には(「で」「に」は残る)
場面と発話(自作)
- 地域の日本語教室で、ボランティアの人に今の生活を聞かれる。平日は学校へ行きますが、週末はアルバイトをしています。
- ホームステイ先で、食べられない物を家族に伝える。肉は食べますが、魚はあまり食べません。
- クラスメートに、家で日本語を使うかを聞かれる。学校では日本語を話しますが、家では国の言葉を話します。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が「平日/週末」「朝/夜」「肉/魚」の対の語カードを出し、学習者が自分のことで「〜は〜が、〜は〜」を言う。慣れたら1週間の表を見せ合いながら、ペアで相手の生活を比べて言わせる。
- 口頭対になる語カード(平日/週末・朝/夜・肉/魚・学校/家・漢字/カタカナ・夏/冬)を左右の手に1枚ずつ持ち、教師が「平日、忙しい。週末、暇」と2語ずつ言うと、全体で「平日は忙しいですが、週末は暇です」と1文にする。次に後ろの語だけ変えて(週末、忙しくない)言い換えさせ、全体→列→個人の順に回す。「を」の入る文(肉を食べる)は、カードの裏に「を」を書いておき、裏返して消す動作をさせる。
- ペアA は自分の1週間の表を見せずに持ち、B が「平日は何をしていますか」「週末は?」と2回聞く。A は「平日は〜が、週末は〜」で1文にまとめて答え、B は聞いたことを自分の紙のメモ欄に書く。2組の語カードで答えたら役を交替する。
- 産出「わたしの くらべっこ」: 自分の生活から比べたい対を2つ選び(朝ごはん/夜ごはん、学校/家など)、「〜は〜が、〜は〜」で2文書いて、3人に話す。聞き手は「そうですか。わたしは〜」と一言返す。教師は①「をは」「がは」と重ねていないか ②前と後ろで違うことを言えているか(同じなら「も」)③「では」「には」が残せているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*肉をは食べますが」と「を」と「は」を重ねる。「を」「が」のところに入るときは消して「は」だけ、と板書で「を」を消す動作を見せる(「では」「には」は重ねてよいことも並べて示す)
- 「肉は食べますが、魚を食べません」と後ろの「は」を落とす。誤りとまでは言えないが、比べている感じが弱くなるので、二つの「は」を対にして言わせる
- 前と後ろが同じ内容なのに「平日は忙しいですが、週末は忙しいです」と言う。同じときは「週末も忙しいです」と、第1課の「も」との使い分けを確かめる
既習の文型との違い
- 〜が、〜(第4課)第4課の「〜が、〜」は「この町は小さいですが、きれいです」のように、一つのことについて前と後ろで反対の感じを言います。この課は「は」が二つ付いて、二つのもの(平日と週末)を比べる形です。学習者が「は」を一つしか付けないと、比べている感じが弱くなります。
- Nも(第1課)比べた二つが同じなら「も」を使います(「平日は忙しいです。週末も忙しいです」)。違うときは「は〜が、〜は」、同じときは「も」と、板書で二つの文を上下に並べて選ばせます。
- Nは(取り立て)(第10課)第10課の取り立ての「は」は、ほかと比べて一つを取り上げる形でした。この課はそれを二つ並べ、後ろの「は」で反対側をはっきり出す形だと説明すると、新しい文型ではないことが伝わります。
関連する文型
学習項目 2 Vています(習慣)
意味・はたらき
ある期間ずっと続けていることを言う形です。「毎朝ジョギングしています」「週に3回アルバイトしています」のように、今の生活で続けていることを話します。第3課の「Vます(習慣)」でも習慣は言えますが、「Vています」は「このごろ・今の生活で続けている」という感じが出やすく、今の暮らしを紹介する場面によく合います。形は第7課の動作の進行、第8課の職業と同じです。
接続
テ形+います
形
毎朝ジョギングしています週に3回コンビニでアルバイトしています今、日本語学校に通っています
導入
- 教師の毎日の写真(絵)を見せる教師が朝走っている絵、夜日本語の本を読んでいる絵を見せ、「わたしは毎朝走っています。去年から、毎日です」と言う。次に「みなさんは毎日何をしていますか」と聞き、アルバイト・料理・運動などの答えを引き出す。板書は「毎朝・毎日・週に〜回 + Vています」とし、時を表す語と一緒に書いて、第7課の「今Vています」(進行)と横に並べる。
板書案
毎朝・毎晩・週に〜回 + Vて います 〔青〕今の生活
毎朝 ジョギングして います。/ 週に3回 アルバイトして います。
〔赤〕今 Vて います(第7課・いま見えている動作)と左右に並べる
〔青〕今は 日本語学校に 通って います。
場面と発話(自作)
- アルバイトの面接で、ふだんの生活を聞かれる。平日は日本語学校に通っています。
- 地域の交流会で、健康のためにしていることを話す。毎朝、公園でジョギングしています。
- ホームステイ先の家族に、夜何をしているか聞かれる。毎晩、国の家族とビデオで話しています。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「毎朝」「毎晩」「週に2回」などの時のカードと、行動の絵カードを組み合わせて「〜Vています」を言わせる。そのあと自分の本当の習慣を2つ書き、ペアで「何をしていますか」と聞き合い、相手のことをクラスに伝える。
- 口頭時のカード(毎朝・毎晩・毎日・週に2回・週に3回)と行動の絵カード(ジョギング・アルバイト・料理・日本語の勉強・ジム・ビデオ電話)を組にして見せ、全体で「毎朝ジョギングしています」と言う。教師が時のカードだけ取りかえて(毎晩→週に2回)言い直させ、次に絵カードを取りかえる。テ形が崩れた語(通って・泳いで)は、テ形だけを先に3回言わせてから「います」を付ける。
- ペアA は「何をしていますか」と聞き、B は手もとのカード2枚(時+行動)で答える。A は「いつからですか」と聞き、B は「去年から」「4月から」など答える。カードを4組使ったら交替。B のカードは A に見せないので、聞かないとわからない形にする。
- 産出「わたしの いまの生活インタビュー」: 自分が今続けていることを3つメモし、クラスの3人に「何をしていますか」と聞いて表に書く。最後に一人を選んで「〇〇さんは毎晩、〜ています」とクラスに紹介する。教師は①時の語と一緒に言えているか ②テ形が正しいか ③前のこと(子どものとき)に「ています」を使っていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 習慣の「Vています」を、いまこの瞬間の動作だと思い、「毎朝ジョギングしています」を聞いて「今、走っているの?」と混乱する。「毎朝」「週に〜回」などの語があると習慣になることを、板書の2つの列を指して確かめる
- テ形の誤りがそのまま出て「*行きています」「*帰ています」と言う。第7課のテ形の表を見ながら作り直させる
- 前の習慣も「*子どものとき、毎日サッカーしています」と言う。前のことは ST2 で「〜とき、Vました」を使うので、ここでは「今は〜ています」と「今」をつけて言わせる
既習の文型との違い
- Vます(習慣)(第3課)第3課の「毎朝7時に起きます」もくり返しを言えます。「Vています」はそれを「今の生活で続けている」こととして紹介する感じが出るので、自己紹介や近況の話によく合います。学習者がどちらを使っても誤りではないので、この課では「今の生活を話すときは〜ています」と場面で選ばせます。
- Vています(動作の進行)(第7課)第7課の「今、テレビを見ています」は目の前で動いている動作です。この課は「毎晩」「週に2回」のような語と一緒になり、何日にもわたってくり返すことを言います。形が同じなので、意味は前にある時の語で決まる、と板書の左右の列で見せます。
- Vています(職業)(第8課)「銀行で働いています」のような職業の言い方も、続いている今の状態を言う点で習慣と近い仲間です。この課の「アルバイトしています」は職業と習慣の間にあるので、両方の列に貼って見せると、一つの形の広がりとしてとらえやすくなります。
関連する文型
学習項目 3 タ形活用
意味・はたらき
動詞の「た」の形です。第7課のテ形の「て・で」を「た・だ」にかえるだけで作れるので、テ形が言えればタ形も言えます。この ST では「VたりVたりします」を作るために使い、ST3 では友達言葉で「行った」「食べた」のように「Vました」の代わりに使います。第13課の「Vたことがあります」にもつながります。
接続
テ形の「て」→「た」、「で」→「だ」
形
1グループ:書く→書いた(行く→行った)、泳ぐ→泳いだ、話す→話した、待つ・帰る・買う→待った・帰った・買った、飲む・遊ぶ・死ぬ→飲んだ・遊んだ・死んだ2グループ:食べる→食べた、見る→見た、起きる→起きた3グループ:する→した、来る→来た(きた)
導入
- テ形の表に1列足す黒板に貼っておいたテ形の表(書いて・行って・飲んで・食べて・して・来て)の右に1列あけ、教師が「て」を消して「た」に書き替えて見せる(書いて→書いた)。何語か続けたあと、残りは学習者に言わせて埋める。板書の上に「て→た/で→だ」とだけ書き、新しい規則はないことを見せる。
板書案
テ形の「て」→「た」/「で」→「だ」
書いて → 書いた 行って → 行った(〔赤〕行く だけ特別)
〔青〕飲んで → 飲んだ 泳いで → 泳いだ(「で」の行は「だ」)
食べて → 食べた して → した 来て(きて)→ 来た(きた)
場面と発話(自作)
- クラスの壁に貼る「わたしの休みの日」のカードを書く。本を読んだり、料理を作ったりします。
- 休み時間に、友達に週末は何をするか聞かれる。週末は、映画を見たり、友達と話したりします。
- 月曜日の朝、クラスメートに週末のことを聞かれる。週末は、買い物したり、映画を見たりしました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、動詞カードを見せて辞書形→テ形→タ形の順に言わせ、慣れたらテ形を飛ばして辞書形からすぐタ形を言わせる。グループを混ぜて速く回し、行く・来る・する・帰るのような間違えやすい動詞を多めに出す。
- 口頭動詞カード(書く・行く・泳ぐ・話す・待つ・帰る・買う・飲む・遊ぶ・食べる・見る・する・来る)を出し、全体で「書く、書いて、書いた」と3つ続けて言う。2周目はテ形を声に出さず口の中で言わせ、辞書形→タ形だけを声に出す。帰る・入る・切る(「〜る」で終わる1グループ)と行く・来るを多めに混ぜ、列ごと→個人の順で速さを上げる。
- ペアA が辞書形のカードを見せ、B がタ形を言う。B が迷ったら A は「テ形は?」とだけ助けを出す。10枚で交替し、二人とも迷った語はカードを別の山にして、最後にもう一度言い合う。
- 産出「わたしの週末 動詞カード」: 自分が週末によくする動詞を5つ選び、カードの表に辞書形、裏にタ形を書く。そのカードを使って、次の「VたりVたりします」で自分の休みの日を言う準備にする。教師は①「行った」「来た」「帰った」が正しいか ②「で」になる動詞を「だ」にしているか、をカードで見て直す。
つまずきと手当て
- 「*行いた」と、行くを「書く→書いた」と同じに作る。行くだけは「行って→行った」と、テ形と同じ例外だと確かめる
- 「*帰た」「*入た」と、「〜る」で終わる1グループの動詞を2グループのように作る。テ形の「帰って」から作れば間違えないので、迷ったらテ形を言ってから「た」にさせる
- 「来た」を「*くた」と読む。来るは「来て(きて)→来た(きた)」と、テ形の読みのまま「て」をかえることを確かめる
- 「*泳いた」「*飲った」と、「だ」になる動詞を「た」にする。テ形で「で」になる動詞(泳いで・飲んで・遊んで)は「だ」になる、と表の「で」の行に色をつける
既習の文型との違い
- テ形(第7課)作り方はテ形と全く同じで、最後の音が「て・で」か「た・だ」かだけが違います。テ形が崩れている学習者はタ形も同じところで崩れるので、タ形の誤りを見つけたら、まずテ形を言わせて直します。
- Vました/Vませんでした(第5課)「行きました」と「行った」は、どちらも前のことを言います。違いは丁寧さで、「行った」は友達どうし(ST3)で使い、先生には「行きました」を使います。ST1 ではタ形を文の終わりではなく「〜たり」の中で使うので、まだ丁寧さの問題は出ません。
関連する文型
学習項目 4 VたりVたりします
意味・はたらき
いくつかの行動の中から代表的なものを二つほど挙げ、ほかにもあることを伝える言い方です。第3課の「NやNなど」の動詞版と考えるとわかりやすいです。休みの日にすることのように、決まった順番がなく、いろいろなことをするときに使います。いつのことかは最後の「します」「しました」で表します。文法の用語では動作の例を並べる言い方で、「たり」を1つだけ使う「掃除したりします」(ほかにもする)という使い方もありますが、この課ではまず二つ並べる形で練習します。
接続
V1タ形+り、V2タ形+り+します
形
掃除したり洗濯したりします本を読んだり音楽を聞いたりします買い物に行ったり映画を見たりしました
導入
- 休みの日の絵カードを2枚選ぶ教師が休みの日の絵カード(掃除・洗濯・買い物・料理・映画・散歩)を黒板に貼り、「日曜日、わたしは掃除します。洗濯します。買い物します。料理します……」と全部言ってから、2枚だけ取って「日曜日は掃除したり、洗濯したりします」と言い直し、残りのカードを手で指して「ほかにもします」と示す。板書は「V1たり、V2たり+します」とし、最後の「します」を四角で囲む。
板書案
V1たり、V2たり + 〔赤〕□します□
日曜日は 掃除したり、洗濯したり します。(ほかにも する)
〔青〕先週の 週末は 映画を 見たり、買い物に 行ったり しました。
〔赤〕順番どおりなら → 起きて、顔を 洗って、〜(第9課)
場面と発話(自作)
- クラスメートに、休みの日にすることを聞かれる。家で掃除したり、洗濯したりします。
- 地域の日本語教室で、夏休みにしたことを話す。友達と海へ行ったり、花火を見たりしました。
- アルバイト先の店長に、冬休みのことを聞かれる。国へ帰って、家族と買い物したり、料理を作ったりします。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、絵カードを2枚ずつ引いて「〜たり〜たりします」を言わせ、次に「先週の週末」のカードを出して「〜たり〜たりしました」に変えさせる。そのあと ST1 のやり取りで、「休みの日は何をしますか」への答えに入れる。
- 口頭休みの日の絵カード(掃除・洗濯・料理・買い物・散歩・映画・音楽・ゲーム)を黒板に並べ、教師が2枚を指すと全体で「掃除したり、洗濯したりします」と言う。次に「先週の週末」のカードを横に出して「〜たり〜たりしました」に変え、「します/しました」だけを言いかえさせる。最後に「たり」を1つ落とした文を教師がわざと言い、学習者に直させる。
- ペアA と B は、それぞれ別の「休みの日の予定表」(絵が4つ)を持つ。A が「休みの日は何をしますか」と聞き、B は4つのうち2つを選んで「〜たり〜たりします」と答える。A は聞いた2つに丸をつけ、「ほかには?」と聞いて残りを当てる。終わったら交替。
- 産出「休みの日インタビュー」: クラスの4人に「休みの日は何をしますか」「先週の週末は何をしましたか」と聞き、表に書く。最後に「〇〇さんは休みの日、〜たり〜たりします」と一人を紹介する。教師は①「たり」が2回あるか ②最後の「します/しました」が合っているか ③順番のことに使っていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*掃除したり、洗濯します」と2つ目の「たり」を落とす。「たり」は2回、そのあと「します」、と板書の枠を指でなぞらせる
- 「*掃除したり洗濯したりです」と最後の「します」を落とす。「たり」のあとには必ず「する」が来ると確かめる
- 「朝起きたり、顔を洗ったりします」と、決まった順番のことに使う。順番どおりにするときは第9課の「Vて、〜」(起きて、顔を洗って、〜)を使うと、2つを並べて見せる
既習の文型との違い
- NやNなど(第3課)「パンや卵などを買います」は物を例として並べる言い方で、「〜たり〜たり」はその行動版です。物なら「や」、行動なら「たり」と、二つを上下に並べて見せると覚えやすくなります。
- Vて、〜(第9課)「起きて、顔を洗って、ご飯を食べます」は、した順番どおりに並べる言い方です。「〜たり〜たり」は順番を問わず、いくつかの例を出すだけです。朝の決まった流れを「たり」で言った学習者には、二つの文を並べて「順番があるときはテ形」と選ばせます。
関連する文型
学習項目 5 〜とき、Vます
意味・はたらき
「〜とき」で場面や状態を示し、その場面でいつもすることを言う形です。「暇なとき、映画を見ます」「寂しいとき、家族に電話します」のように、後ろが「Vます」なので、ふだんのこと・習慣になります。今の生活を話すとき、気持ちや天気、困ったことなど場面ごとにすることを伝えるのに使います。文法の用語で言うと「〜とき」は時を表す従属節で、後ろの文(主節)が「ます」か「ました」かで、いつもすることか前にしたことかが決まります。
接続
Nのとき/イAいとき/ナAなとき/V辞書形・Vないとき+、Vます
形
暇なとき、映画を見ます寂しいとき、家族に電話します雨のとき、バスで学校へ行きます漢字がわからないとき、辞書で調べます
導入
- 顔の絵カードで場面を作る教師がうれしい顔・寂しい顔・疲れた顔の絵と、晴れ・雨の絵を黒板に貼る。寂しい顔を指して「わたしは寂しいです。家族に電話します」と2文で言ったあと、「寂しいとき、家族に電話します」と1文にする。板書は「Nのとき/イAいとき/ナAなとき/Vる・Vないとき」の4行にし、「の」「な」を赤で書く。
板書案
Nの とき/イAい とき/ナAな とき/V(る・ない)とき +、Vます
寂しい とき、家族に 電話します。
暇〔赤〕な とき、映画を 見ます。/ 雨〔赤〕の とき、バスで 行きます。
〔青〕後ろの「ます」=いつも すること
場面と発話(自作)
- クラスメートに、暇なときにすることを聞かれる。暇なとき、アニメを見ます。
- ホームステイ先の家族に、雨の日の通学を聞かれる。雨のとき、バスで学校へ行きます。
- 日本語教室で、勉強のしかたを話す。漢字がわからないとき、先生に聞きます。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が場面のカード(暇・寂しい・雨・疲れた・わからない)を出し、学習者が「〜とき、〜ます」を自分のことで言う。慣れたら次の「どうしますか」と組み合わせ、ペアで場面のカードを引いて聞き合う。
- 口頭場面のカード(寂しい・暇・雨・疲れた・病気・漢字がわからない)を見せ、教師が「寂しい、家族に電話」と言うと全体で「寂しいとき、家族に電話します」と1文にする。次に場面だけ取りかえて言わせ、Nの「の」・ナAの「な」が入るカード(雨・病気・暇・元気)を続けて出す。後ろは学習者が自分のことで自由に言ってよい形に移す。
- ペアA が場面のカードを1枚引いて「〜とき、何をしますか」と聞き、B が自分のことで答える。A は「わたしも〜」か「わたしは〜」で一言返す。6枚引いたら交替し、同じ答えだったものに印をつけておく。
- 産出「こんなとき、わたしは」カード: 「〜とき、〜ます」の文を自分のことで3つ書き、クラスの壁に貼る。ほかの学習者のカードを読んで、同じことをする人を探す。教師は①「の」「な」の付け方 ②後ろが「ます」(いつも)になっているか ③「とき」の前に「です」を入れていないか(*寂しいですとき)、を見る。
つまずきと手当て
- 「*暇のとき」「*元気のとき」とナ形容詞に「の」をつける。板書の4行を指して、ナAは「な」、Nは「の」と確かめる
- 「*雨とき」「*寂しいなとき」と「の」を落としたり、イ形容詞に「な」をつけたりする。第4課の「〜はA+Nです」(名詞の前の形)と同じだと思い出させる
- 「日本へ来るとき」と「日本へ来たとき」の違いを聞かれる。「とき」の前の動詞の形で意味が変わることがあるが、この ST では深入りせず、ST2 で前の場面を「〜たとき」で言うところまでにする
既習の文型との違い
- [時間]に(第3課)「7時に起きます」は時計やカレンダーで決まる時を言います。「〜とき」は「寂しいとき」「雨のとき」のように、気持ちや天気など、決まった日時ではない場面を言います。「*寂しいに」と言う学習者には、時計の絵と顔の絵を並べて違いを見せます。
- 〜とき、Vました(第11課 ST2)同じ「〜とき」でも、後ろが「Vます」ならいつもすること、「Vました」なら前にしたことです。ST1 で「ます」の形を固めてから、ST2 で後ろだけ「ました」に変えると、学習者は「とき」の前ではなく文の終わりで時を決めることに気づきやすくなります。
関連する文型
学習項目 6 どうしますか
意味・はたらき
ある場面で相手がどうするか、どう動くかを聞く言い方です。「病気のとき、どうしますか」のように「〜とき、どうしますか」の形でよく使い、答えは「〜ます」や「〜たり〜たりします」です。「何をしますか」はどんな活動をするかを聞くのに対して、「どうしますか」は困ったときなどにどうするかを聞く感じが強いです。文法の用語で言うと疑問詞を使った疑問文の一つで、答えは「はい・いいえ」ではなく行動の中身になります。
接続
(〜とき、)どうしますか
形
病気のとき、どうしますか道がわからないとき、どうしますか——友達に電話します
導入
- 困った場面の絵を見せて聞く道に迷った人の絵を見せ、教師が「道がわからないとき、どうしますか」と聞く。答えが出ないときは教師が「わたしは、駅の人に聞きます」と答えてみせ、もう一度同じ質問を学習者に向ける。板書は「〜とき、どうしますか」と「——〜ます」の2行にする。
板書案
〜 とき、どう しますか。 〔赤〕「どう」に「を」は付かない
—— 〜ます。/ 〜たり 〜たり します。
病気の とき、どう しますか。—— 病院へ 行きます。
〔青〕何を しますか(活動) / どう しますか(困ったときに すること)
場面と発話(自作)
- 日本語教室のボランティアに、病気のときのことを聞かれる。病気のとき、どうしますか。——病院へ行きます。
- クラスメートと、日本語がわからないときの話をする。わからないとき、どうしますか。——スマホで調べたり、友達に聞いたりします。
- ホームステイ先で、地震のときのことを家族に聞く。地震のとき、どうしますか。——机の下に入ります。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、困った場面の絵カード(道がわからない・病気・財布がない・電車がない)を教師が出して「どうしますか」と聞き、学習者が答える。そのあと学習者が自分でカードを引いて質問する側になり、ST1 のやり取りの最後に入れる。
- 口頭困った場面の絵カード(道がわからない・病気・財布がない・電車がない・雨でかさがない・言葉がわからない)を出し、教師が「〜とき、どうしますか」と聞いて全体で答えを考える。教師は答えの例を2つ板書して(駅の人に聞きます/スマホで調べます)、次は学習者が自分の答えを言う。後半は質問する側を学習者に替え、カードを見て「〜とき、どうしますか」を全体→個人で言わせる。
- ペアA が場面のカードを引いて質問し、B が答える。A は答えを聞いたら「いいですね」か「そうですか。わたしは〜」で返す。B が答えに詰まったら、黒板の答えの例を使ってよい。5枚で交替。
- 産出「困ったときアンケート」: 一人一つ、自分で困った場面を考えて「〜とき、どうしますか」の質問を作り、クラスの5人に聞いて答えを数える。最後に「〜とき、〇人は〜ます」と結果を発表する。教師は①「どう」に「を」を付けていないか ②答えを「〜ます」(いつも)で言えているか ③「どうですか」と混ぜていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「病気のとき、どうですか」と第4課の「〜はどうですか」と混ぜる。「どうですか」は様子や感想、「どうしますか」はすること、と答えの形(Aです/Vます)を並べて見せる
- 「*どうをしますか」と「を」を入れる。「何をしますか」と「どうしますか」を2行並べ、「どう」には「を」がつかないことを確かめる
- 「病気のとき、どうしますか」に「病院へ行きました」と、前に一度したことで答える。いつもすることを聞かれているので「行きます」で答える、と質問と答えの文の終わりを線で結んで確かめる
既習の文型との違い
- 〜はどうですか(第4課)「日本の生活はどうですか」は様子や感想を聞き、答えは「楽しいです」のような形容詞の文です。「どうしますか」はすることを聞き、答えは「〜ます」です。答えの形を2行並べて、学習者に質問と答えを線で結ばせると区別がつきます。
- どうやって(第9課)「駅までどうやって行きますか」は行き方・やり方の手段を聞きます。「どうしますか」は困ったときなどに、どんな行動を取るかを聞きます。「雨のとき、どうしますか」に「バスで行きます」と答えるのは自然ですが、それは手段ではなく行動として答えているからだと説明できます。
関連する文型
ST2 今の私・前の私
できること子どものときや国にいたときなど、前の自分のことを話したり、相手に聞いたりできる。
場面
日本語学校の休み時間や交流会で、お互いの子どものころや日本に来たばかりのころの話をする場面です。教室では学習者に子どものころの写真(なければ絵)を持ってこさせ、写真を見せながら話すと、聞く人の質問も自然に出てきます。
- 留学生A:子どものとき、どんな子どもでしたか。
- 留学生B:元気な子どもでした。よく外でサッカーをしました。
- 留学生A:日本に来たとき、何が大変でしたか。
- 留学生B:電車が大変でした。駅が大きくて、わかりませんでした。
- 留学生A:そうですか。わたしは国にいたとき、毎日バスで学校へ行きました。
- 留学生B:今は?
- 留学生A:今は毎朝、自転車で学校へ来ています。
学習項目 1 〜とき、Vました
意味・はたらき
前のある時期や場面を「〜とき」で示し、そのときにしたことを言う形です。「子どものとき、よく外で遊びました」「日本に来たとき、空港で写真を撮りました」のように、後ろを「Vました」にして前のことを話します。「子どものとき」「学生のとき」のように、「とき」の前は過去の形にしなくても、後ろの「ました」で前のことだとわかります。ST1 の「今は〜ています」と並べると、今の私と前の私を比べられます。
接続
Nのとき/イAいとき/ナAなとき/Vたとき・Vるとき+、Vました
形
子どものとき、よく川で遊びました高校生のとき、毎日自転車で学校へ行きました日本に来たとき、空港で写真を撮りました
導入
- 教師の子どものころの写真(絵)を見せる教師が子どものころの写真(なければ子どもの絵)を見せて「これはわたしです。6歳です」と言い、「子どものとき、よく川で遊びました」と続ける。次に今の教師を指して「今は毎晩、日本語の本を読んでいます」と言う。板書は左に「前:〜とき、Vました」、右に「今:今は Vています」と2列にする。
板書案
〔青〕前:〜 とき、Vました 〔赤〕今:今は Vて います
子どもの とき、よく 川で 遊びました。
日本に 来た とき、空港で 写真を 撮りました。
前は 毎日 バスで 行きましたが、今は 自転車で 来て います。
場面と発話(自作)
- 交流会で、子どものころのことを聞かれる。子どものとき、よく友達とサッカーをしました。
- 日本語学校の作文の時間に、日本に来た日のことを話す。日本に来たとき、駅が大きくて、びっくりしました。
- アルバイト先の人に、日本に来る前のことを聞かれる。国にいたとき、日本語の試験を受けました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「子ども」「高校生」「日本に来た」「国にいた」のカードを出し、学習者が「〜とき、〜ました」を言う。そのあと子どものころの写真や絵を見せ合いながらペアで聞き合い、最後に「前は〜ましたが、今は〜ています」と今と比べて一人ずつ言わせる。
- 口頭「子ども」「高校生」「国にいた」「日本に来た」の時期カードと、行動の絵カードを組にして見せ、全体で「子どものとき、よく川で遊びました」と言う。次に教師が「今は?」と聞き、「今は〜ています」で続けさせる。後ろを「遊びます」と今の形にした文を教師がわざと言い、学習者に「ました」に直させる。
- ペアA と B は、それぞれ「前の私」(子どものとき・国にいたとき)と「今の私」の絵を2枚ずつ描いた紙を持つ。A が「子どものとき、何をしましたか」と聞き、B が答えたら A は「今は?」と続ける。B は「今は〜ています」で答え、A は聞いたことを表に書く。終わったら交替。
- 産出「前の私・今の私 写真スピーチ」: 子どものころや国にいたときの写真(なければ絵)を1枚持ってきて、「〜とき、〜ました」を2文、「前は〜ましたが、今は〜ています」を1文で、30秒ほど話す。聞き手は一つ質問する。教師は①前のことに「ました」を使っているか ②「の」の抜け(*子どもとき)③今と前を「〜が、〜は」でつなげているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*子どものとき、よく川で遊びます」と後ろを今の形にする。前のことは文の最後の「ました」で決まる、と板書の左の列を指して確かめる
- 「*子どもとき」「*高校生とき」と「の」を落とす。ST1 と同じく、名詞のあとは「の」と確かめる
- 「国にいるとき」と「国にいたとき」のどちらを使うか迷う。前のことを話すときはどちらも使われることが多いので、まずは「国にいたとき」で練習させ、細かい違いには深入りしない
既習の文型との違い
- 〜とき、Vます(第11課 ST1)ST1 は後ろが「ます」で、いつもすることでした。この ST は後ろが「ました」で、前にしたことです。「子どものとき」のように、「とき」の前の形は同じままでよいことを、二つの文を上下に並べて見せます。
- Vました/Vませんでした(第5課)第5課では「昨日」「先週」のような日を付けて前のことを言いました。この課は「子どものとき」「国にいたとき」のように、長い時期をまとめて言える形です。「よく」「毎日」(第9課)と一緒に使うと、その時期にくり返したことが言えます。
関連する文型
ST3 友達と
できること仲のいい友達と、「です・ます」を使わない話し方で、週末や今の生活のことを話せる。
場面
同じクラスの友達や、アルバイト先で仲よくなった同じ年ぐらいの日本人と、休み時間に話す場面です。教室では、同じやり取りを「先生と話す」「友達と話す」の2回で演じて見せ、どこが変わったかを学習者に言わせてから、ペアで友達どうしの役で話させます。
- 日本人の友達:週末、何した?
- 留学生:友達と海へ行った。
- 日本人の友達:いいね。楽しかった?
- 留学生:うん、楽しかった。でも、人が多かった。
- 日本人の友達:そう。今度、一緒にカラオケに行かない?
- 留学生:うん、行きたい。
学習項目 1 友達言葉
意味・はたらき
友達や家族など親しい人と話すときの話し方です。「です・ます」を使わずに普通形で話し、「はい/いいえ」の代わりに「うん/ううん」と言います。質問は「か」をつけずに、文の終わりを上げて「行く?」「楽しかった?」と言い、「は」「を」などの助詞もよく省きます。誘うときは第6課の「Vませんか」の代わりに「Vない?」と言います。初めて会った人や先生、アルバイト先の店長などには使わないので、相手を見て話し方を切り替えることも大切です。
接続
文の終わりに普通形を使う(です・ますを使わない)。質問は上げ調子で「か」をつけない
形
うん/ううん週末、何した?一緒に行かない?——うん、行くこれ、おいしいね
導入
- 同じ話を2回演じて違いを探させる教師が2人の役を演じ、1回目は「先生と学生」で「週末、何をしましたか」「友達と海へ行きました」、2回目は「友達どうし」で「週末、何した?」「友達と海へ行った」と言う。学習者に「何が違いましたか」と聞き、「です・ます」がない・「を」がない・「うん」と言う、などを引き出す。板書は左に「先生と」、右に「友達と」の2列で、違うところに線を引く。
板書案
〔青〕先生と 〔赤〕友達と
週末、何を しましたか。 → 週末、何 した?(↗)
はい、楽しかったです。 → うん、楽しかった。
一緒に 行きませんか。 → 一緒に 行かない?——うん、行く。
場面と発話(自作)
- 同じクラスの友達に、休み時間に週末のことを聞く。週末、何した?
- アルバイト先で仲よくなった同じ年の人を、カラオケに誘う。今度、一緒にカラオケに行かない?
- 友達に「お昼、もう食べた?」と聞かれて答える。ううん、まだ。一緒に食べない?
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師がです・ます体の文(「週末、何をしましたか」「一緒に行きませんか」)を言い、学習者が友達言葉に言い換える。そのあと「友達」「先生」と書いた相手のカードを引き、同じ質問を相手に合わせた話し方で言わせて、切り替えを練習する。
- 口頭教師がです・ます体の文を言い(週末、何をしましたか/一緒に行きませんか/はい、行きます/いいえ、行きません)、全体で友達言葉に言い換える。質問の文は手で上げ調子の矢印を見せながら言わせる。次に「先生」「友達」の相手カードを教師が上げ、同じ質問を相手に合わせて言い分けさせる。全体→列→個人の順。
- ペアA が相手カード(先生・アルバイトの店長・クラスの友達・同じ年の日本人)を1枚引き、そのカードの人として B に話しかける。B はカードに合わせて、です・ます体か友達言葉で返す。話題は「週末」「昼ごはん」「今度の休み」の3つ。4枚で交替する。
- 産出「先生?友達?ロールプレイ」: 二人一組で、休み時間に友達と話していると先生が来る、という場面を作り、同じ話題を友達には友達言葉で、先生にはです・ます体で話す。1分ほど演じてクラスに見せる。教師は①相手で話し方を切り替えられたか ②一つの文の中で混ぜていないか ③質問が上げ調子になっているか、を見る。
つまずきと手当て
- 友達言葉を覚えると、先生やアルバイト先の店長にも「これ、何?」「うん」と言ってしまう。相手のカードで、誰に使うかを毎回確かめる
- 「うん、楽しかったです」「ううん、行きません」と、友達言葉とです・ます体を1つの文に混ぜる。話す相手が友達なら最後まで普通形、と線を引いた板書で確かめる
- 質問の文の終わりを上げずに「週末、何した。」と言い、質問に聞こえない。手で上げ調子の矢印を示しながら言わせる
既習の文型との違い
- Vませんか/Vましょう(第6課)第6課の「一緒に行きませんか」は、友達言葉では「一緒に行かない?」になります。ナイ形(第10課)に上げ調子を付けるだけなので、新しい形は覚えなくてよいことを見せます。「行きましょう」にあたる友達言葉の形はまだ出ていないので、誘われたときの答えは「うん、行く」で言わせます。
- 〜よ(第6課)・〜ね(共感)(第4課)「よ」「ね」はです・ます体でも使いましたが、友達言葉ではとてもよく出ます(「おいしいね」「行くよ」)。ないと冷たく聞こえることもあるので、答えの文に「ね」を付けて返す練習を入れます。
関連する文型
学習項目 2 普通形活用
意味・はたらき
「です・ます」をつけない形で、友達言葉の文の終わりに使います。動詞・イ形容詞・ナ形容詞と名詞の3つに分け、それぞれ「今」「今の否定」「前」「前の否定」の4つの形があります。動詞は辞書形・ナイ形・タ形に「なかった」を足すだけで、新しく覚える形は多くありません。このあと第12課の「〜んです」、第14課の「〜と思います」、第15課の「〜そうです」など、普通形につく文型にもつながります。
接続
動詞:辞書形・ナイ形・タ形・Vなかった/イA:〜い・〜くない・〜かった・〜くなかった/ナA・N:〜だ・〜じゃない・〜だった・〜じゃなかった
形
動詞:行く・行かない・行った・行かなかったイA:おいしい・おいしくない・おいしかった・おいしくなかった(いい→よかった)ナA:元気だ・元気じゃない・元気だった・元気じゃなかったN:雨だ・雨じゃない・雨だった・雨じゃなかった
導入
- です・ます体の表の右に普通形を並べる黒板に「行きます・行きません・行きました・行きませんでした」の4つを縦に書き、その右に「行く・行かない・行った・行かなかった」を書いて、辞書形・ナイ形・タ形の表とつなげる。同じように「おいしいです」「元気です」「雨です」の列を作り、学習者に右側を埋めさせる。最後に ST3 のやり取りを見せ、文の終わりの形がこの表の右側から来ていることを確かめる。
板書案
今 今の否定 前 前の否定
動詞 行く 行かない 行った 行かなかった
イA おいしい おいしくない おいしかった おいしくなかった(〔赤〕いい→よかった)
ナA 元気だ 元気じゃない 元気だった 元気じゃなかった
N 雨だ 雨じゃない 雨だった 雨じゃなかった 〔青〕質問は「元気?」「雨?」
場面と発話(自作)
- 友達に旅行の感想を聞かれる。うん、すごく楽しかった。でも、ホテルはきれいじゃなかった。
- 友達に、明日の授業に行くかを聞かれる。ううん、行かない。明日はアルバイト。
- 友達に、昨日の授業はどうだったか聞かれる。うん、難しかった。漢字が多かった。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、動詞・イA・ナA・N のカードと「今・今の否定・前・前の否定」の4つの印を組み合わせて、普通形を速く言わせる。慣れたら教師が友達言葉で「昨日、忙しかった?」「日曜日、暇?」と聞き、学習者が普通形で答える。最後にペアで、週末のことを友達言葉で話させる。
- 口頭品詞のカード(行く・食べる・する・おいしい・いい・元気・きれい・雨)と、「今・今の否定・前・前の否定」の4つの印を組にして出し、全体で普通形を言う。1周目は表を見ながら、2周目は表を隠して言う。ナ形容詞の「きれい」「有名」と、イ形容詞の「いい」は必ず出して、ほかの語より回数を多くする。
- ペアA が「昨日」「明日」「週末」の時のカードと語のカードを組にして友達言葉で質問し(昨日、忙しかった?/明日、暇?)、B が「うん」「ううん」で始めて普通形で答える。B は答えに一言足す(ううん、暇じゃない。アルバイト)。8問で交替する。
- 産出「週末トーク(友達言葉で1分)」: 二人で、先週の週末にしたこと・どうだったか・今度の週末にすることを、です・ますを使わずに1分話す。教師はタイマーで時間を計り、終わったら相手の話を一つ、です・ます体でクラスに紹介させる。教師は①ナAをイAのように変えていないか(*きれいかった)②イAに「だ」を付けていないか ③「ある」の否定を「ない」にしているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*きれいかった」「*元気くない」と、ナ形容詞をイ形容詞のように変える。「きれい」「有名」のように「い」で終わるナ形容詞に多いので、板書のナAの列を「だ・じゃない・だった・じゃなかった」で毎回確かめる
- 「*おいしいだ」「*おいしいだった」とイ形容詞に「だ」をつける。イAは「い」のまま、前は「かった」と確かめる(「いい」は「よかった」「よくない」になることも)
- 友達言葉の質問で「元気だ?」「学生だ?」と「だ」をつける。ナA・N の質問は「元気?」「学生?」と「だ」を取ると示す。答えの「だ」も、言い方によっては強く聞こえることがあるので、「うん、元気。」「うん、元気だよ。」のような形をまず聞かせる
- 「ある」の否定を「*あらない」と言う。「ある」だけは「ない」「なかった」になると、表に印をつけて覚えさせる
既習の文型との違い
- 辞書形(第9課)・ナイ形(第10課)動詞の普通形の4つのうち、「行く」は辞書形、「行かない」はナイ形、「行った」はこの課のタ形で、もう習っています。新しいのは「行かなかった」だけなので、表を埋める形で見せると、学習者の負担が軽くなります。
- イAくないです/ナAじゃありません(第4課)第4課の「おいしくないです」から「です」を取ると、そのまま普通形の「おいしくない」になります。ナA・N は「じゃありません」が「じゃない」に変わるので、この違いだけを赤で示します。
関連する文型