話し言葉で音が縮まった形。「〜ている→〜てる」「〜ておく→〜とく」「〜てしまう→〜ちゃう/〜じゃう」「〜なければ→〜なきゃ」「〜のだ→〜んだ」「〜という→〜って」などがある。
教科書は書き言葉に近い形を提示するため、学習者は教室の外で初めて縮約形に出会い、聞き取れないことが多い。一方、早い段階から縮約形ばかりを使うと改まった場面で不適切に響く。理解のためには早めに、産出は場面を限ってという扱いが一般的な考え方である。
縮約形は「くずれた日本語」ではなく、話し言葉というレジスターに属する正規の変異である。ドラマなどの生教材を扱うときは、縮約形とスピーチレベルをセットで意識させる必要がある。
学習者がアニメや友達との会話で「やっちゃった」「行かなきゃ」を聞いても、教科書で習った「やってしまった」「行かなければならない」と結びつかないことがある。授業で縮約の前と後の形を対にして聞かせると、聞き取りの手がかりになる。音の対応には「ては→ちゃ」「では→じゃ」のような規則性があるので、いくつかを組にして示すと、新しい形にも類推が利く。
一方、就職の面接で「ちょっと緊張してて」「準備しとかなきゃと思って」のような縮約形が続くと、くだけた印象を与えることがある。改まった場面では「緊張しておりまして」「準備しておかなければと思い」のように元の形で話す練習も、あわせて行っておく。縮約形を禁止するのではなく、相手と場面で使い分ける意識を育てることがねらいである。
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