ST1 週末
できること休みの日にしたことを言い、相手にもどこへ行ったか、誰と何をしたかを聞ける。
場面
月曜日の朝、教室やアルバイト先の休憩室で、友達と週末のことを話す場面です。教室では学習者に、週末にしたことを3つ絵か語で紙に書かせてから始めると、言うことがあるので話が続きます。教師も自分の週末の写真を2〜3枚持ってくると導入に使えます。
- 日本人の友達:週末、何をしましたか。
- 留学生:土曜日、アルバイトをしました。
- 日本人の友達:日曜日、どこかへ行きましたか。
- 留学生:はい、友達と新宿へ行きました。買い物をしました。それから、映画を見ました。
- 日本人の友達:そうですか。
- 留学生:〜さんは?
- 日本人の友達:わたしはどこへも行きませんでした。家で本を読みました。
学習項目 1 Vました/Vませんでした活用
意味・はたらき
「Vます」の過去が「Vました」、「Vません」の過去が「Vませんでした」で、休みの日などにしたこと・しなかったことを言います。第3課の「Vます」は予定や習慣を表しましたが、ここで「きのう・先週・週末」のような過去の時の語といっしょに使うと、終わったことを話せるようになります。グループに関係なく「ます」を「ました」に替えるだけなので、形の負担は軽く、時の語との組み合わせに練習の時間を使います。文法の用語で言えば、丁寧形の述語にテンス(過去)が加わった形で、ここで初めて「過去と非過去」の対立を扱います。
接続
Vます → Vました/Vません → Vませんでした(どの動詞も「ます」の部分だけ替える)
形
行きます → 行きました見ません → 見ませんでしたします → しました来ません → 来ませんでした
導入
- カレンダーで「これから」と「もう終わった」を分ける黒板に1週間のカレンダーを描き、今日に印をつける。教師が来週の土曜日を指して「土曜日、映画を見ます」、先週の土曜日を指して「土曜日、映画を見ました」と言い、今日より左の日には「ました」、右の日には「ます」と板書で欄を分ける。続けて、しなかったことを「テニスをしませんでした」と首を振りながら言い、「ません → ませんでした」を下の段に書く。
- 教師の週末の写真教師が週末の写真を見せて「公園へ行きました」「お弁当を食べました」と言い、学習者に「先生は何をしましたか」と聞いて写真から答えさせる。板書は「Vます/Vました」「Vません/Vませんでした」の2×2の表にする。
板書案
きのう・先週 | 今日 | あした・来週
Vました/Vませんでした | | Vます/Vません
土曜日、映画を見ました。
日曜日、テニスをしませんでした。
〔赤〕ます → ました 〔青〕ません → ません+でした
場面と発話(自作)
- 月曜日の朝、教室で隣の人に週末のことを聞かれる。土曜日、アルバイトをしました。
- アルバイト先で、店長にきのう何をしたか聞かれる。きのうは病院へ行きました。
- 友達に、先週の日曜日に一緒にテレビの番組を見たかと聞かれる。いいえ、見ませんでした。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、動詞の絵カードと「きのう」「あした」の時の語カードを組み合わせて出し、「きのう+テニス」なら「テニスをしました」、「あした+テニス」なら「テニスをします」と言わせる。慣れたら否定の印(×)を足して4つの形を混ぜ、最後に学習者が書いてきた週末の3つのことで「週末、何をしましたか」と聞き合う。
- 口頭教師がカレンダーの日を指しながら動詞の絵カードを見せる。キューは「きのう+テニス」「あした+買い物」「先週の日曜日+×映画」「今朝+×朝ご飯」のように時の語と○×を組み合わせ、全員→列→個人の順で「テニスをしました」「買い物をします」「映画を見ませんでした」と返させる。2周目は教師が時の語を言うだけにして、絵は学習者が自分で引く。
- ペアA は1週間の表(したこと・しなかったことに○×が付いたもの)、B は白紙の表を持つ。B が「月曜日、何をしましたか」「火曜日、アルバイトをしましたか」と聞いて表を埋め、7日分そろったら交替する。最後に二人の表を見比べて合っているか確かめさせる。
- 産出「わたしの週末3コマ」:週末にしたこと・しなかったことを3つ、絵か語で紙に書き、それを見ながらグループで2〜3文ずつ話す。教師が見るのは、時の語に「に」を付けていないか(*きのうに)、過去の質問に「ます」で答えていないか、「ませんでした」の「でした」が落ちていないかの3点。
つまずきと手当て
- 「*きのうに映画を見ました」「*先週にアルバイトをしました」と、第3課の「[時間]に」をつける。「きのう・先週・今朝」のような今日を基準にした語には「に」をつけない、と時の語を2列(「に」がつく:7時・土曜日/つかない:きのう・先週)に分けて板書する。「週末」は「に」があってもなくてもよい語なので、最初は「に」なしで練習させる
- 「*行きませんでしたです」「*行きましたでした」と、過去を二重に重ねる。「ました」で文が終わることを、表の形を指でなぞって確かめる
- 過去のことを聞かれているのに「*はい、行きます」と「ます」で答える。カレンダーの今日より左を指しながら質問し、答えの形を表の左の欄から選ばせる
既習の文型との違い
- Vます(予定)・Vます(習慣)(第3課)第3課の「Vます」はこれからの予定と、毎日・毎週の習慣の両方を表し、形だけでは時が分かりませんでした。この課の「Vました」は終わったことで、「きのう・先週」のような時の語と合わせて使います。「毎週土曜日、アルバイトをします」を「先週の土曜日、アルバイトをしました」に言い換えさせると、習慣と一回の出来事の違いが見えます。
関連する文型
学習項目 2 どこかへ行きましたか
意味・はたらき
「どこか」は場所をはっきり言わない言い方で、「どこかへ行きましたか」は「出かけましたか、出かけませんでしたか」を聞く「はい/いいえ」の質問です。答えは「はい、〜へ行きました」か「いいえ、どこへも行きませんでした」。第3課の「どこへ行きますか」(場所を聞く質問)とは答え方が違うので、二つを並べて教えます。休み明けの会話の入り口としてよく使うので、ST1 のやり取りの2番目の質問として定着させます。
接続
どこか+へ+Vましたか/答え:はい、[場所]へVました・いいえ、どこへも Vませんでした
形
どこかへ行きましたかはい、海へ行きましたいいえ、どこへも行きませんでした
導入
- 「どこへ」と「どこかへ」を並べる教師が学習者Aに「週末、どこへ行きましたか」と聞き、Aが「新宿へ行きました」と答えたあと、学習者Bには「週末、どこかへ行きましたか」と聞いて「はい/いいえ」を引き出す。板書は「どこへ行きましたか → 新宿へ」「どこかへ行きましたか → はい/いいえ」の2行にして、「か」の一字で答え方が変わることを赤で示す。いいえの答えには第3課の「どこへも行きません」を過去にした「どこへも行きませんでした」を書き足す。
板書案
どこへ 行きましたか。→ 新宿へ 行きました。
どこかへ 行きましたか。→ はい、海へ 行きました。
→ いいえ、どこへも 行きませんでした。
〔赤〕「か」に丸 〔青〕「どこへも」+否定
場面と発話(自作)
- 連休のあと、クラスメートに休みのことを聞く。休み、どこかへ行きましたか。——はい、大阪へ行きました。
- 日曜日は雨で、家にいた。友達に聞かれて答える。いいえ、どこへも行きませんでした。
- 連休明けに、アルバイト先の店長に聞かれる。連休、どこかへ行きましたか。——いいえ、どこへも行きませんでした。アルバイトをしました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が「どこへ行きましたか」と「どこかへ行きましたか」をランダムに聞き、場所カードを持った学習者は場所で、×のカードを持った学習者は「いいえ、どこへも行きませんでした」で答える。そのあとペアで、聞く順番を「どこかへ行きましたか → はい → どこへ? → 誰と?」と続けさせ、ST1 のやり取りにつなげる。
- 口頭学習者に場所カード(海・新宿・公園)か×のカードを1枚ずつ配っておき、教師が「週末、どこかへ行きましたか」と聞く。場所のカードなら「はい、海へ行きました」、×なら「いいえ、どこへも行きませんでした」と答えさせる。時の語を「週末」「きのう」「先週の土曜日」と替えて3回以上回し、慣れたら「どこへ」と「どこかへ」を混ぜて答え方を切り替えさせる。
- ペアA と B が、行った場所が書かれたカード(または×)を伏せて持つ。B は「どこかへ行きましたか」で始め、「はい」なら「どこへ行きましたか」まで聞いて場所を当てる。当たったら交替。聞く順番(どこかへ → どこへ)を崩さないことがねらい。
- 産出「週末インタビュー」:クラスの3人に「週末、どこかへ行きましたか」と聞いて回り、行った人は場所を、行かなかった人は「どこへも」とメモする。最後に「〜さんは海へ行きました。〜さんはどこへも行きませんでした」とクラスに報告する。教師は「*いいえ、どこかへ行きませんでした」と否定でも「どこか」を使う誤りと、「どこへ行きましたか」に「はい」を付ける誤りを聞き分けて直す。
つまずきと手当て
- 「どこかへ」の質問に「はい」とだけ答えて、会話が止まる。誤りではないが、「はい」のあとに場所を言うと会話が続く、と答えの枠を「はい、[場所]へ行きました」で板書する
- 「*いいえ、どこかへ行きませんでした」と、否定でも「どこか」を使う。否定は「どこへも」と決まっていると、第3課の「何もVません」「どこへも行きません」と並べて見せる
- 「どこへ行きましたか」に「*はい、新宿へ行きました」と「はい」をつける。疑問詞の質問には「はい/いいえ」をつけないと、2行の板書を指して確かめる
既習の文型との違い
- どこへも行きません(第3課)第3課の「どこへも行きません」は、習慣や予定として出かけないことでした。この課では同じ形を過去にして「どこへも行きませんでした」と答えに使います。質問の「どこか」と答えの「どこへも」が組になっていることを並べて見せないと、「*いいえ、どこかへ行きませんでした」が出ます。
- どこ/〜はどこですか(第2課)第2課の「どこ」は場所そのものを聞く疑問詞で、答えは場所の名前でした。「どこか」は場所を決めずに出かけたかどうかを聞くので、答えは「はい・いいえ」から始まります。疑問詞に「か」が付くと質問の種類が変わる、と見せておくと、あとで「何か」「誰か」が出たときにも使えます。
関連する文型
学習項目 3 [人]と
意味・はたらき
「[人]と」は、いっしょに何かをする相手を表します。休みの話では「友達と映画を見ました」「家族と旅行しました」のように、誰とその出来事をしたかを足すのに使い、「誰と行きましたか」と聞けます。「友達と一緒に」と「一緒に」を足しても同じ意味で、話し言葉ではよく足します。格助詞の用語では「共同」(いっしょに動作する相手)の「と」で、第1課の名詞を並べる「と」とは役割が違います。
接続
[人]+と+V(聞くときは「誰と」)
形
友達と映画を見ました家族と旅行しました誰と行きましたか
導入
- 写真の人を指さす教師の週末の写真(教師と友達が写っているもの)を見せて「公園へ行きました」と言ったあと、写真の友達を指して「友達と公園へ行きました」と言い直す。板書は「[人]と [場所]へ 行きました」にして、[人]の枠に「友達・家族・クラスの人」のカードを差し替える。次に学習者に「誰と行きましたか」と聞いて答えさせる。
板書案
[人]と [場所]へ 行きました。
友達と 新宿へ 行きました。
誰と 行きましたか。
〔赤〕と 〔青〕一人で(「と」は使わない)
場面と発話(自作)
- 月曜日に、週末に誰と出かけたか聞かれる。誰と行きましたか。——クラスの友達と行きました。
- 日本人の家族の家に招かれた話をする。日曜日、ホストファミリーと晩ご飯を食べました。
- 日本語の授業で、先週の土曜日のことを話す。土曜日、ルームメートと公園へ行きました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、人のカード(友達・家族・先生・ルームメート)と、したことのカードを組み合わせて「〜と〜ました」を言わせる。そのあとペアで「どこかへ行きましたか → 誰と行きましたか」まで聞き合い、答えをメモさせる。
- 口頭教師が人のカード(友達・家族・クラスの人・ルームメート・一人)と、したことのカード(映画・買い物・晩ご飯)を2枚組で見せ、全員で「友達と映画を見ました」「家族と晩ご飯を食べました」と言わせる。「一人」のカードが出たら「一人で」に替えさせる。キューの例は「友達+買い物」「家族+旅行」「一人+映画」の3つ以上。
- ペアA は週末の絵カード(誰と・どこへ・何を の3枚組)を持ち、B は「どこかへ行きましたか → どこへ行きましたか → 誰と行きましたか → 何をしましたか」の順に聞いてメモする。メモを A に見せて合っていたら交替。
- 産出「誰と?ビンゴ」:3×3のマスに「友達と」「家族と」「一人で」などを書いた紙を配り、教室を歩いて「週末、誰と何をしましたか」と聞く。合う答えの人の名前をマスに書き、一列そろったら報告する。教師は「*友達に映画を見ました」「*一人と行きました」の誤りと、答えで「と」が落ちていないかを見る。
つまずきと手当て
- 一人でしたことを「*一人と行きました」と言う。一人のときは「一人で」と、人の数のカードの横に「一人で」のカードだけ別の色で置く
- 第1課の「NとN」と混同して「*友達とわたしと行きました」のように並べる。この「と」は相手を表すので、自分は文の初めの「わたしは」に置くと板書の位置で見せる
- 「*友達に映画を見ました」と相手に「に」を使う。いっしょにする相手は「と」だけ、と枠の「と」を赤で書く
既習の文型との違い
- NとN(第1課)第1課の「NとN」は、名詞と名詞を並べる「と」でした。この課の「[人]と」は動作をいっしょにする相手で、動詞の前に置きます。「友達とわたし」のように並べる「と」と混ぜると、自分を相手の側に入れてしまうので、主語の「わたしは」は文の初めに置くと板書で分けます。
- [交通手段]で(第4課)第4課の「バスで」は手段の「で」でした。「一人で」も「で」の形ですが人数を表し、「一人と」とは言いません。人数の「で」はあとの課で広げるので、この課では「一人で」だけを決まった言い方として扱います。
関連する文型
学習項目 4 それから
意味・はたらき
「それから」は、出来事を起きた順に並べて、次にしたことを足す接続詞です。休みの話では「買い物をしました。それから、映画を見ました」のように、文を二つに分けて順番に言えるので、長い文を作らなくても話が続きます。第4課の「そして」と似ていますが、この課では「その次に」という順番を言うときに「それから」を使わせます。
接続
文。それから、文。
形
買い物をしました。それから、映画を見ました朝ご飯を食べました。それから、学校へ行きました
導入
- 絵カードを順番に並べる教師の土曜日の出来事を絵カード3枚(買い物・昼ご飯・映画)で黒板に左から順に貼り、1枚ごとに「〜ました」と言ってから、カードのあいだに「それから」のカードをはさんで通して言う。学習者にもカードを並べ替えさせて、並べた順に言わせる。
板書案
① 買い物を しました。
② それから、昼ご飯を 食べました。
③ それから、映画を 見ました。
〔赤〕それから、= その次に 〔青〕①→②→③ の矢印
場面と発話(自作)
- 週末に何をしたか聞かれて、二つ答える。公園でサッカーをしました。それから、友達の家へ行きました。
- 日本語の授業で、きのうの夜にしたことを順番に話す。晩ご飯を食べました。それから、宿題をしました。
- 連休のあと、旅行の一日にしたことを友達に話す。お寺を見ました。それから、温泉へ行きました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、出来事の絵カードを2〜3枚配り、並べた順に「〜ました。それから、〜ました」と言わせる。最後に学習者が書いてきた週末の3つのことを、した順に「それから」でつないで話させる。
- 口頭教師が出来事の絵カード3枚を左から貼り、全員で1枚ずつ「〜ました」と言ってから、カードの間に「それから」のカードをはさんで通して言わせる。キューは「朝ご飯→学校→アルバイト」「買い物→昼ご飯→映画」「宿題→テレビ→寝る」のように順番がはっきりした組を3つ以上用意し、並べ替えては言わせる。
- ペアA は自分の土曜日の出来事を3枚のカードに書き、順番を見せないまま「それから」でつないで話す。B は聞きながら、カードを話の順に並べる。並びが合っていたら交替。
- 産出「わたしの日曜日 30秒スピーチ」:自分の日曜日の朝から夜までを3〜4文、「それから」でつないで話す。聞く人は「誰と行きましたか」など一つ質問する。教師は時間の順になっているか、「それから」のあとに読点の間が取れているか、助詞を付けていないかを見る。
つまずきと手当て
- した順番と逆に並べる(映画のあとに買い物をしたのに「買い物をしました。それから、映画を見ました」と言う)。文としては正しいが話の中身が逆になるので、絵カードを時間の順に並べてから言わせる
- 「*それからに、映画を見ました」と、時の語のように「に」をつける。「それから」のあとは読点だけ、と板書で示す
- 店で物を足す「それから、コーヒーもください」という使い方を聞いて、迷う学習者がいる。そういう使い方もあるが、この課では出来事の順番だけで練習し、物を足す使い方は聞いて分かればよいと伝える
既習の文型との違い
- そして(第4課)第4課の「そして」は、「きれいです。そして、にぎやかです」のように、ようすを付け足すのに使いました。「それから」は出来事を時間の順に並べ、「その次に」の意味がはっきりしているので、休みの日の話の順番にはこちらを使わせます。出来事を「そして」でつないでも誤りではありませんが、この課では二つの役割を分けて練習します。
関連する文型
ST2 休みの後で
できること休みの日の出来事がどうだったかを言い、相手の感想を聞いて、理由もやり取りできる。
場面
連休のあと、クラスメートや職場の人と、旅行や出かけた先がどうだったかを話す場面です。学習者に休みの日の写真(スマートフォンの中の1枚でよい)を見せ合わせると、「どうでしたか」と聞く必要が自然に生まれます。写真が無い学習者には、旅行先の絵カードを1枚引かせて、その場所へ行った設定にします。
- 日本人の友達:京都の旅行はどうでしたか。
- 留学生:とても楽しかったです。
- 日本人の友達:天気はどうでしたか。
- 留学生:土曜日は雨でした。日曜日はいい天気でした。
- 日本人の友達:どうして京都へ行きましたか。
- 留学生:古いお寺がたくさんありますから。
- 日本人の友達:ホテルはどうでしたか。
- 留学生:あまりきれいじゃありませんでした。そして、高かったです。
学習項目 1 イAかったです/イAくなかったです活用
意味・はたらき
イ形容詞の過去の形で、休みの日や旅行などが終わったあとの感想を言います。肯定は最後の「い」を「かった」に、否定は第4課の「くないです」を「くなかったです」にします。ST2 では「楽しかったです」「おいしかったです」「寒かったです」のように、「どうでしたか」に答える形としてまず肯定を定着させ、否定を足します。文法の用語で言えばイ形容詞のタ形(過去)で、過去は「い」の部分が受け持ち、「です」は丁寧さを足すだけです。
接続
イAい → イAかったです/イAくない → イAくなかったです(「いい」は「よかったです」「よくなかったです」)
形
楽しい → 楽しかったです高い → 高くなかったですいい → よかったです・よくなかったですおいしい → おいしかったです
導入
- 第4課の形容詞の表を右に伸ばす第4課で作った「楽しいです/楽しくないです」の表を黒板に書き、右に「きのう」の欄を足す。教師が旅行の写真を見せて「京都は楽しかったです」と言い、「い」を消して「かった」を書き足す。続けて「ホテルは高くなかったです」と言い、「くない」に「かった」を足す動きを見せる。「いい」だけは「よかった」になることを別の色で書く。
板書案
今 | きのう・先週
楽しいです | 楽し〔赤〕かったです
楽しくないです | 楽しくな〔赤〕かったです
いいです → 〔青〕よかったです・よくなかったです
旅行は とても 楽しかったです。
場面と発話(自作)
- 連休のあと、友達に旅行の感想を聞かれる。とても楽しかったです。
- 日本人の友達に、週末に食べたラーメンのことを話す。おいしかったです。あまり高くなかったです。
- 雪の日に出かけた話をする。とても寒かったです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、イ形容詞のカードを見せて、教師が「きのう」と言ったら過去、「×」を見せたら否定の過去にする変形練習を速く回す(「いい」を多めに出す)。そのあと旅行先の絵カードを引いて、「どうでしたか」に形容詞の過去で答えさせる。
- 口頭イ形容詞のカード(楽しい・おいしい・寒い・高い・いい)を見せ、教師が「きのう」と言ったら「楽しかったです」、「きのう+×」なら「楽しくなかったです」と返させる。全員→列→個人で速く回し、「いい」は2回に1回出す。キューの例は「寒い+きのう」「高い+きのう×」「いい+きのう」「おいしい+きのう×」。
- ペアA は旅行の絵カード(行った場所と、天気・食べ物・ホテルに○×が書いてある)を持ち、B は「天気はよかったですか」「食べ物はおいしかったですか」と聞く。A はカードの○×で「はい、よかったです」「いいえ、おいしくなかったです」と答える。B は聞いたことを表に書き、カードと見比べてから交替。
- 産出「旅行の感想カード」:最近行った所を一つ選び、イ形容詞の過去を使った感想を3文カードに書いて、隣の人に読む(「京都は楽しかったです。お寺は大きかったです。ホテルはあまり高くなかったです」)。教師は「*楽しいでした」「*いかったです」「*楽しいかったです」の3つの型を見て、カードに印を付けて返す。
つまずきと手当て
- 「*楽しいでした」と「です」を過去にする。イ形容詞は「です」ではなく「い」の部分が変わる、と表で「い」を消す動作を何度も見せる
- 「*いかったです」「*いくなかったです」と、「いい」を規則どおりに変える。「いい」は過去と否定で「よ」になると、毎回カードで確かめる
- 「*楽しいかったです」と「い」を残したまま「かった」をつける。「い」を消してから足す、と板書の消す・足すを順番に見せる
- 否定の過去を「楽しくありませんでした」と言う学習者がいる。誤りではないが、この課では「くなかったです」にそろえて練習する
既習の文型との違い
- イAくないです/ナAじゃありません(第4課)第4課の否定「くないです」は、この課で「くなかったです」になります。「ない」もイ形容詞と同じく「い」で終わるので、「ない」の「い」を「かった」に替える、と肯定と同じ規則で説明できます。第4課の表の右に列を足す形で見せると、新しく覚える規則は一つで済みます。
関連する文型
学習項目 2 ナA・Nでした/ナA・Nじゃありませんでした活用
意味・はたらき
ナ形容詞と名詞の過去の形で、「にぎやかでした」「いい天気でした」「休みでした」のように、終わったことのようすを言います。ナ形容詞と名詞は「です」を「でした」に、「じゃありません」を「じゃありませんでした」に替えます。イ形容詞と作り方が違うので、ST2 では二つの表を色分けして並べ、どちらの作り方かを形容詞ごとに判断させます。名詞の「雨でした」「休みでした」も同じ表に入るので、名詞の文の過去も一緒に扱えます。
接続
ナA・N+でした/ナA・N+じゃありませんでした(「です」の部分だけ替える)
形
にぎやかです → にぎやかでしたきれいじゃありません → きれいじゃありませんでした雨です → 雨でした休みじゃありません → 休みじゃありませんでした
導入
- イ形容詞の表と並べるイ形容詞の過去の表の隣に、ナ形容詞と名詞の表を別の色で書く。教師が祭りの写真を見せて「にぎやかでした」、雨の日の写真を見せて「雨でした」と言い、こちらは「です」だけが「でした」に変わることを示す。最後に「きれい」「きらい」のカードを見せ、「い」で終わってもナ形容詞の表に入ることを確かめる。
板書案
イ形容詞 楽し〔赤〕かったです
ナ形容詞・名詞 にぎやか〔青〕でした/雨〔青〕でした
きれいじゃありま〔青〕せんでした
〔青〕きれい・きらい・有名 → ナ形容詞の表(「い」で終わっても)
日曜日は いい天気でした。
場面と発話(自作)
- 連休のあと、行った町のようすを話す。町はとてもにぎやかでした。
- 日曜日の天気を聞かれる。日曜日は雨でした。
- 泊まったホテルのことを聞かれる。あまりきれいじゃありませんでした。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、イ形容詞・ナ形容詞・名詞のカードを混ぜて出し、過去の肯定と否定に変えさせる(「きれい」「有名」を多めに)。そのあと写真や絵カードを見せて、天気・町・食べ物・ホテルのようすを過去の形で2文言わせる。
- 口頭イ形容詞・ナ形容詞・名詞のカードを混ぜて見せ、全員で過去の肯定・否定に変える。カードの裏に表の色(イ形容詞は赤、ナ形容詞・名詞は青)を付けておき、迷ったら裏を見させる。キューの例は「にぎやか」「きれい+×」「雨」「休み+×」「有名」「寒い」で、イ形容詞を1枚おきにはさむ。
- ペア情報差の表:A は月〜日の天気(晴れ・雨・雪の絵)の表、B は同じ週の町のようす(にぎやか・静か)の表を持つ。互いに「月曜日は雨でしたか」「月曜日、町は静かでしたか」と聞いて、相手の表を自分の紙に写す。全部埋まったら見せ合って確かめる。
- 産出「写真で一言感想」:学習者のスマートフォンの写真か絵カードを1枚見せ、「〜は〜でした/〜じゃありませんでした」を2文、イ形容詞の過去を1文入れて言う。教師は「*きれいかったです」「*にぎやかなでした」のように表を取り違えた形が出たら、色のカードを見せて本人に直させる。
つまずきと手当て
- 「*きれいかったです」「*きれいくなかったです」と、「い」で終わるナ形容詞をイ形容詞の形にする。「きれい」「きらい」「ゆうめい」は表の色で区別し、出るたびにどちらの表かを言わせる
- 「*にぎやかなでした」「*雨だでした」と、名詞の前の「な」や「だ」を入れる。文の終わりは「にぎやか+でした」と板書の枠で示す
- 「*雨かったです」と名詞をイ形容詞の形にする。名詞はナ形容詞と同じ表に入ると、表に「雨・休み・誕生日」も書き込んでおく
既習の文型との違い
- 〜はAです(第4課)第4課の「にぎやかです」「楽しいです」は今のようすで、どちらも「です」で終わるため違いが見えにくい形でした。過去になると、ナ形容詞と名詞は「です」が「でした」に、イ形容詞は「い」が「かった」に変わるので、ここで初めて二つの違いが目に見えます。第4課でナ形容詞と覚えた語を、過去の表でもう一度分け直させます。
関連する文型
学習項目 3 (〜は)どうでしたか
意味・はたらき
「どうでしたか」は、相手が経験した出来事の感想を聞く言い方です。第4課の「〜はどうですか」が今のようすを聞くのに対し、「どうでしたか」は終わったことを聞くので、答えは形容詞や名詞の過去になります。「旅行はどうでしたか」「天気はどうでしたか」のように、話題を「〜は」で前に出して聞くと、感想を一つずつ広げられます。目上の人には「いかがでしたか」と言うことがあることも一言添えます。
接続
N+は+どうでしたか(答え:イAかったです・ナA/Nでした など)
形
旅行はどうでしたか天気はどうでしたかパーティーはどうでしたか
導入
- 写真を見せて聞く教師が自分の旅行の写真を見せて「わたしは先週、海へ行きました」と言い、学習者に「どうでしたか」と聞くように手で合図して、教師が「とても楽しかったです」と答えてみせる。板書は「〜はどうですか(今)」「〜はどうでしたか(終わったこと)」を上下に並べ、答えの欄に形容詞の過去を書く。
板書案
〜は どうですか。(今)→ 楽しいです。
〜は どうでしたか。(終わったこと)→ 楽しかったです。/にぎやかでした。
旅行は どうでしたか。
〔赤〕でした に下線 〔青〕目上の人には「いかがでしたか」
場面と発話(自作)
- 連休のあと、旅行へ行ったクラスメートに聞く。北海道はどうでしたか。——寒かったです。
- 初めて日本の温泉へ行った友達に聞く。温泉はどうでしたか。——とてもよかったです。
- 日本人の家に招かれた次の日、日本語の先生に聞かれる。きのうはどうでしたか。——とても楽しかったです。料理もおいしかったです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、旅行先・食べ物・天気の絵カードを見せて、学習者が「〜はどうでしたか」と聞き、カードを持った人が形容詞の過去で答える。そのあと写真を見せ合うペア活動で、一つの話題について「どうでしたか」を2〜3回続けて聞かせる。
- 口頭教師が話題のカード(旅行・天気・ホテル・食べ物・パーティー)を見せ、全員で「旅行はどうでしたか」と聞く形を言う。続けてカードの裏の形容詞を見て、指名した学習者が答える。キューの例は「パーティー→楽しい」「天気→雨」「ホテル→きれい×」「食べ物→おいしい」の4組以上。
- ペア「写真見せ合い」:二人がそれぞれ休みの日の写真(または絵カード)を3枚持ち、一人が1枚見せて「海へ行きました」と言う。相手は「海はどうでしたか」「天気はどうでしたか」のように1枚に2回聞く。3枚終わったら交替。
- 産出「休み明けインタビュー」:教室を歩いて、休みにどこかへ行った人を探し、「どうでしたか」を2回以上使って感想を聞いてメモする。最後に「〜さんは北海道へ行きました。とても寒かったです」と一人を紹介する。教師は、答えが今の形(楽しいです)になっていないか、聞く側が「〜は」の話題を替えて話を広げられているかを見る。
つまずきと手当て
- 過去のことを聞かれて「*楽しいです」と今の形で答える。「どうでしたか」には「〜かったです・〜でした」と、上下の板書を指して答えの形を選ばせる
- 「*どうでしたですか」「*どうですでしたか」と形を重ねる。「どうでした+か」で一つの言い方と、カードにして覚えさせる
- 目上の人に「どうでしたか」だけを強い調子で言う。誤りではないが、先生や職場の上の人には「いかがでしたか」もあると、場面を替えて聞かせる
既習の文型との違い
- 〜はどうですか(第4課)第4課の「〜はどうですか」は、相手の国や町の今のようすを聞くのに使いました。この課の「どうでしたか」は相手が経験し終わったことの感想を聞くので、答えも過去の形になります。二つを上下に並べ、答えの欄も「楽しいです/楽しかったです」と対にして書くと、聞かれた形で答える習慣がつきます。
関連する文型
学習項目 4 どうして/〜から
意味・はたらき
「どうして」は理由を聞く疑問詞で、答えには理由のあとに「から」をつけます。「どうして京都へ行きましたか」「古いお寺がたくさんありますから」のように、感想や出来事に理由をそえると、会話が一往復で終わらずに続きます。理由と結果を一つの文にするときは「〜から、〜」の順で、理由が先に来ます。この課では「から」の前は「です・ます」の形(「高いですから」「雨でしたから」)で練習します。
接続
どうして+〜か/理由(です・ますの形)+から(一文にするときは「理由から、結果」)
形
どうしてですか高かったですから雨でしたから、どこへも行きませんでした
導入
- 教師の話に「どうして?」を言わせる教師が「日曜日、どこへも行きませんでした」と言い、学習者に「どうしてですか」と聞かせてから、窓の外の雨の絵を指して「雨でしたから」と答える。板書は「どうしてですか → 雨でしたから」と、一文にした「雨でしたから、どこへも行きませんでした」を並べ、理由に下線を引いて「から」の前にあることを示す。
板書案
どうして 行きませんでしたか。
→ 雨でしたから。
雨でしたから、どこへも 行きませんでした。
〔赤〕理由 に下線 + から 〔青〕理由 → 結果 の矢印
場面と発話(自作)
- 友達に、週末どこへも行かなかったと話したら理由を聞かれる。どうしてですか。——アルバイトがありましたから。
- 旅行の感想のあとで、レストランに入らなかった理由を言う。高かったですから、レストランへ行きませんでした。
- 先週の授業を休んだ理由を、友達に聞かれる。どうしてですか。——国から家族が来ましたから。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、出来事のカードと理由のカード(雨・高い・忙しい・遠い・休み)を組み合わせ、教師が出来事を言ったら学習者が「どうしてですか」と聞き、別の学習者が理由のカードで「〜から」と答える。慣れたら「理由から、出来事」の一文で言わせ、ST2 の写真のやり取りの中で一回は理由を聞くようにさせる。
- 口頭教師が出来事を言い、学習者全員で「どうしてですか」と聞き返す。続けて理由のカード(雨・忙しい・遠い・高い・アルバイト)を見せ、指名した学習者が「雨でしたから」と答える。キューの例は「どこへも行きませんでした+雨」「パーティーへ行きませんでした+忙しい」「レストランへ行きませんでした+高い」。慣れたら「理由から、出来事」の一文に組み立てさせる。
- ペアA はカード(表に出来事、裏に理由)を見て出来事を言い、B が「どうしてですか」と聞く。A は裏の理由で「〜から」と答え、B はそれを「理由から、出来事」の一文に言い直す。5枚で交替。
- 産出「わたしの休み 理由つき」:ST1・ST2 の話に理由を一つ足して、「京都へ行きました。古いお寺がたくさんありますから。とても楽しかったです」のように3〜4文で話す。聞く人は必ず一回「どうしてですか」と聞く。教師は「から」の前の形(*高いでしたから)と、一文にしたときの理由と結果の順を見る。
つまずきと手当て
- 一文にするとき「レストランへ行きませんでしたから、高かったです」と、理由と結果を逆に言う。文の形は正しいが、意味が逆になる。理由に下線を引いた板書で、「から」の前が理由と確かめる
- 「*高いでしたから」「*雨かったですから」と、「から」の前の過去の形を間違える。ST2 の形容詞の過去の表をそのまま使って、表の形に「から」を足すだけと見せる
- 「どうして」と聞かれて、理由だけ言って「から」をつけない(「雨でした」)。誤りではないが、理由の答えだと分かるように「から」をつける練習をする
既習の文型との違い
- 〜が、〜(第4課)第4課の「〜が、〜」は、前と後ろが反対の内容をつなぎました(「安いですが、おいしくないです」)。「〜から、〜」は前が理由で後ろが結果です。どちらも「です・ます」の形のあとに付くので形は似ていますが、意味の向きが違うことを、矢印の向きで板書し分けます。
関連する文型
ST3 今度の休みに
できること次の休みにほしい物やしたいことを言い、相手の好きなことや予定を聞ける。
場面
連休の前の週に、友達と次の休みに何をするか話す場面です。教室では次の連休のカレンダーを黒板に描き、学習者に「したいこと」を書き込ませてから話させます。同じことをしたい人を探す活動にすると、ST3 の形を何度も聞き合うことになります。
- 日本人の友達:今度の休みに何をしますか。
- 留学生:北海道へスキーに行きたいです。
- 日本人の友達:いいですね。スキーが好きですか。
- 留学生:はい、大好きです。〜さんは?
- 日本人の友達:わたしは寒い所があまり好きじゃありません。家でゆっくり休みたいです。
- 留学生:そうですか。
- 日本人の友達:それから、新しいパソコンがほしいですから、電気屋へ見に行きます。
学習項目 1 Nがほしいです
意味・はたらき
「Nがほしいです」は、話し手が物を手に入れたいという気持ちを言います。ほしい物は「が」で表し、「ほしい」はイ形容詞なので「ほしくないです」「ほしかったです」とST2 で習ったイ形容詞の過去と同じように変わります。基本は自分の気持ちを言う形で、相手には「何がほしいですか」と聞けますが、ほかの人の気持ちをそのまま「〜さんは〜がほしいです」とは言いません。
接続
N+が+ほしいです(「ほしい」はイ形容詞と同じに変わる)
形
新しいパソコンがほしいです何がほしいですか車はほしくないです時間がほしかったです
導入
- 店の広告のちらしを見る電気屋のちらし(絵でよい)を見せ、教師がパソコンを指して「新しいパソコンがほしいです」と言い、ほしそうな顔をしてみせる。学習者にちらしの中から一つ選ばせて「何がほしいですか」と聞く。板書は「[物]が ほしいです」にして、「が」を赤で書く。
板書案
[物]が ほしいです。
新しい パソコンが ほしいです。
何が ほしいですか。
ほしい → ほしくないです・ほしかったです(イ形容詞と同じ)
〔赤〕が 〔青〕わたしの気持ち・相手への質問 だけ
場面と発話(自作)
- 誕生日の前に、友達に何がほしいか聞かれる。何がほしいですか。——新しいかばんがほしいです。
- 連休の前に、休みにしたいことの話から、ほしい物の話になる。今、自転車がほしいです。
- 日本に来て最初の月。日本人の友達に、生活で何がほしいか聞かれる。自転車がほしいです。駅から家まで遠いですから。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、物の絵カードを見せて「〜がほしいです」を言わせ、×を見せたら「〜はほしくないです」にする。そのあとペアで、ちらしを見ながら「何がほしいですか」と聞き合い、理由を「〜から」でそえさせる。
- 口頭物の絵カード(パソコン・自転車・かばん・時計・車)を見せ、全員で「〜がほしいです」と言わせる。×を見せたら「〜はほしくないです」に替える。教師が「何がほしいですか」と聞いてカードの物で答えさせる個人練習も混ぜる。キューの例は「自転車」「車×」「新しいかばん」「大きいテレビ」の4つ以上。
- ペア「ちらしで買い物相談」:A と B が電気屋とデパートのちらし(絵と値段だけ)を1枚ずつ持ち、「何がほしいですか」「〜がほしいです。〜はいくらですか」と聞き合う。値段は相手のちらしにしか書いていないので、聞かないと分からない。一人2つ聞いたら交替。
- 産出「ほしい物リスト」:自分がほしい物を3つ、理由をつけて書いて発表する(「新しいかばんがほしいです。今のかばんは古いですから」)。教師は「*パソコンをほしいです」の「を」と、ほかの人の気持ちを言い切る文が出ていないかを見る。
つまずきと手当て
- 「*パソコンをほしいです」と「を」を使う。母語で「ほしい」が動詞の学習者に多いので、「ほしい」は形容詞で、物は「が」と、赤い「が」を指して確かめる
- 「*ルームメートはパソコンがほしいです」と、ほかの人の気持ちを言い切る。ほかの人の気持ちを言う言い方は後で習うので、ここでは自分のことと相手への質問だけで使わせる
- 「*ほしいでした」と過去にする。ST2 のイ形容詞の表に「ほしい」を書き足して「ほしかったです」と確かめる
既習の文型との違い
- Nをください(第2課)第2課の「Nをください」は、店で物を頼む言い方で、物は「を」で表しました。「ほしいです」は手に入れたい気持ちを言う形で、物は「が」になります。店で頼むときは「〜をください」、気持ちを言うときは「〜がほしいです」と、場面と助詞をセットで分けて見せます。
関連する文型
学習項目 2 Nが好きです・嫌いです
意味・はたらき
好きなもの・嫌いなものを「Nが好きです」「Nが嫌いです」で言います。好き・嫌いの対象は「が」で表し、「好き」「嫌い」はナ形容詞なので、否定は「好きじゃありません」になります。「嫌いです」ははっきりしすぎる場面が多いので、日常の会話では「あまり好きじゃありません」(第4課の「あまり〜ない」)を使うことが多いと、場面とセットで教えます。ST3 では、相手の好きなことを聞いて、次の休みにしたいことの話につなげます。
接続
N+が+好きです・嫌いです(「好き」「嫌い」はナ形容詞と同じに変わる)
形
スキーが好きです寒い所があまり好きじゃありません何が好きですか大好きです
導入
- 顔のマークで分ける黒板に笑顔・普通の顔・困った顔のマークを描き、教師が食べ物やスポーツの絵カードを1枚ずつ貼りながら「ラーメンが大好きです」「サッカーが好きです」「野菜はあまり好きじゃありません」と言う。学習者にも1枚ずつカードを貼らせて言わせる。板書は「[N]が 好きです/好きじゃありません」にし、「嫌いです」は小さく書いて「強い言い方」と添える。
板書案
[N]が 好きです/好きじゃありません
スキーが 大好きです。
野菜は あまり 好きじゃありません。
〔赤〕が 〔青〕好き・嫌い → ナ形容詞の表
(嫌いです = 強い言い方)
場面と発話(自作)
- 次の休みの話で、友達がスキーに誘いたいかを考えて聞く。スキーが好きですか。——はい、大好きです。
- ホームステイ先で、食べられない物がないか聞かれる。魚があまり好きじゃありません。
- 日本語の授業で、好きなスポーツを聞かれる。サッカーが好きです。テニスはあまり好きじゃありません。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、絵カードを見せて、学習者が自分の気持ちで「好きです/あまり好きじゃありません」を答える。そのあと「何が好きですか」で聞き合って、同じものが好きな人を探し、見つけたら第1課の「Nも」を使って「〜さんもラーメンが好きです」と報告させる。
- 口頭食べ物・スポーツ・季節の絵カード(ラーメン・魚・サッカー・夏・冬)を1枚ずつ見せ、学習者が自分の気持ちで「大好きです/好きです/あまり好きじゃありません」と答える。教師が「〜が好きですか」と個人に聞き、はい・いいえで答えさせる。同じカードを違う学習者に当てて、答えが分かれるようにする。
- ペア「好き嫌いアンケート」:5項目の表(ラーメン・魚・スキー・夏・映画)を持ち、相手に「〜が好きですか」と聞いて◎○△を付ける。全部聞いたら、二人とも好きなものを一つ見つけて「わたしたちは〜が好きです」と言う。
- 産出「同じ好きさがし」:教室を歩いて「何が好きですか」と聞き、自分と同じものが好きな人を2人探して、「〜さんもラーメンが好きです」と報告する。最後に、日本人の家で料理を出された場面のロールプレイを1回入れ、「あまり好きじゃありません」を使わせる。教師は「*スキーを好きです」の「を」と「*好きくないです」の形を聞き分ける。
つまずきと手当て
- 「*スキーを好きです」と「を」を使う。母語で「好き」が動詞の学習者に多いので、「ほしい」と同じく「が」と、赤い「が」の板書を並べる
- 「*好きくないです」「*嫌いかったです」と、イ形容詞の形にする。「好き」「嫌い」はナ形容詞の表に入ると、ST2 の色分けの表に書き足す
- 初めて会った人や家に招いてくれた人に、出された物について「嫌いです」と言い切る。気持ちを伝えるときは「あまり好きじゃありません」がやわらかいと、場面を替えて二つを聞き比べさせる
既習の文型との違い
- 〜はAです(第4課)第4課の形容詞の文は「この町はにぎやかです」のように、「〜は」のあとにようすを言うだけでした。「好き」「嫌い」は同じナ形容詞の形でも、好きな物を「が」で表して「わたしはラーメンが好きです」の形になります。「は」は人、「が」は物、と板書で位置を分けて見せます。
- Nがほしいです(第5課 ST3)「ほしい」はイ形容詞、「好き」はナ形容詞なので、否定は「ほしくないです」「好きじゃありません」と形が分かれます。どちらも対象を「が」で表す点は同じなので、助詞は一緒に、活用は別の表で、と分けて整理させます。
関連する文型
学習項目 3 Vたいです
意味・はたらき
「Vたいです」は、話し手がその動作をしたいという気持ちを言います。ST3 では「北海道へ行きたいです」「家でゆっくり休みたいです」のように、次の休みの希望を言うのに使います。作り方は「Vます」の「ます」を取って「たい」をつけるだけで、「たい」はイ形容詞と同じに「たくないです」「たかったです」と変わります。「Nがほしいです」と同じく基本は自分の気持ちを言う形で、相手には「何をしたいですか」と聞けます。
接続
Vます の「ます」を取って+たいです(たくないです・たかったです)
形
行きます → 行きたいです食べます → 食べたくないですします → したいです見ます → 見たかったです
導入
- 旅行のポスターを見せる観光地のポスター(絵でよい)を貼り、教師が「北海道へ行きたいです」「温泉へ行きたいです」と、ポスターを見ながら言う。板書で「行きます」の「ます」を消して「たい」を書き足し、続けて「たくないです」「たかったです」をイ形容詞の表と同じ形で並べる。学習者にポスターを1枚選ばせて「何をしたいですか」と聞く。
板書案
行き〔赤〕ます → 行き〔赤〕たいです
たい → たくないです・たかったです(イ形容詞と同じ)
今度の休みに 何を したいですか。
→ 家で ゆっくり 休みたいです。
〔青〕わたしの気持ち・相手への質問 だけ
場面と発話(自作)
- 連休の前に、友達に休みの予定を聞かれる。今度の休みに何をしますか。——家でゆっくり休みたいです。
- 日本に来て半年。日本人の友達に、日本で何をしたいか聞かれる。富士山を見たいです。
- 週末に雨で出かけられなかった話をする。海へ行きたかったです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、動詞の絵カードを見せて「Vたいです」に変える練習を速く回し、×を見せたら「Vたくないです」にする。そのあと次の連休のカレンダーに「したいこと」を書かせ、「何をしたいですか」と聞き合って、同じことをしたい人を探させる。
- 口頭動詞の絵カード(行きます・見ます・食べます・休みます・します)を見せ、教師がます形を言ったら全員で「たいです」に替える。×なら「たくないです」、「きのう」のカードなら「たかったです」。キューの例は「温泉へ行きます」「富士山を見ます」「×仕事をします」「きのう+海へ行きます」と、目的語つきで4つ以上。
- ペアA は次の連休の「したいことカード」3枚、B は「したくないこと」を1枚混ぜた3枚を持つ。互いに「今度の休みに何をしたいですか」と聞いて相手のカードを当て、当たったら「わたしも〜たいです」か「わたしは〜たくないです」と一言返す。
- 産出「連休したいことカレンダー」:次の連休のカレンダーに、したいことを日ごとに書き、グループで「〜曜日に〜へ行きたいです」と発表する。同じことをしたい人が見つかったら名前を書き込む。教師は「*行きますたいです」の作り方と「*行きたいでした」の過去、目上の人に希望を直接聞いていないかを見る。
つまずきと手当て
- 「*行きますたいです」「*見るたいです」と、「ます」を取らずに、または別の形に「たい」をつける。板書で「ます」を消す動作を毎回見せ、「ます」の前の部分に「たい」をつけると確かめる
- 「*行きたいでした」と過去にする。「たい」はイ形容詞と同じに変わると、ST2 の表に「行きたい」を書き足して「行きたかったです」と確かめる
- 先生や職場の上の人に「先生、何を食べたいですか」と聞く。目上の人の気持ちを直接聞くのは失礼に聞こえることがあるので、ここでは友達どうしの会話で使わせ、誘う言い方は第6課で扱うと伝える
- 目的語の助詞を「を」と「が」で迷う。「スキーをしたいです」「お寿司が食べたいです」はどちらも使われるが、この課では第3課の「〜をVます」に合わせて「を」で練習する
既習の文型との違い
- Vます(予定)(第3課)第3課の「Vます」は決まっている予定で、「来週、京都へ行きます」と言えば行くことが決まっています。「Vたいです」はしたいという気持ちだけで、行くかどうかはまだ分かりません。「行きます」と「行きたいです」を並べ、どちらが決まっているかを学習者に聞くと違いがつかめます。
- Nがほしいです(第5課 ST3)物を手に入れたいときは「Nがほしいです」、動作をしたいときは「Vたいです」と分けます。「*旅行がほしいです」のように動作を「ほしい」で言う誤りが出たら、絵カードを物と動作の二つの山に分けて選ばせます。
関連する文型
学習項目 4 〜へ〜に行きます
意味・はたらき
行き先を「〜へ」、何をしに行くか(目的)を「〜に」で表して、「北海道へスキーに行きます」「デパートへ買い物に行きます」のように言います。目的の部分には、「Vます」の「ます」を取った形(見に・食べに)か、「スキー・買い物・旅行・食事」のような動作を表す名詞が入ります。ST3 では「Vたいです」と合わせて「〜へ〜に行きたいです」と、次の休みの希望を具体的に言わせます。「来ます」「帰ります」にも同じ形が使えます。
接続
[場所]へ+Vます の「ます」を取った形/動作の名詞+に+行きます(来ます・帰ります)
形
北海道へスキーに行きます電気屋へパソコンを見に行きます友達の家へ遊びに行きます日本へ日本語を勉強しに来ました
導入
- 地図と絵カードで「どこへ」と「何をしに」黒板に町の地図を描き、教師が人形を動かして「デパートへ行きます」と言ったあと、買い物の絵カードを人形の横に置いて「デパートへ買い物に行きます」と言い直す。次に映画館まで動かし、映画を見る絵カードを置いて「映画館へ映画を見に行きます」。板書は「[場所]へ [目的]に 行きます」にして、目的の枠に「買い物」「見(ます)」のカードを差し替え、「ます」を消す動作を見せる。
板書案
[場所]へ [目的]に 行きます。
デパートへ 買い物に 行きます。
映画館へ 映画を 見に 行きます。(見ます の「ます」を取る)
北海道へ スキーに 行きたいです。
〔赤〕に 〔青〕「で」は 動作をする場所
場面と発話(自作)
- 連休の前に、友達に休みの予定を話す。北海道へスキーに行きたいです。
- 日曜日の午後、ルームメートにどこへ行くか聞かれる。スーパーへ買い物に行きます。
- 週末に何をしたか聞かれて答える。友達の家へ遊びに行きました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、場所のカードと目的のカード(動詞の絵・動作の名詞)を組み合わせて「〜へ〜に行きます」を言わせ、「Vます」の絵のときは「ます」を取ることを毎回確かめる。慣れたら「行きました」「行きたいです」にも変え、ST3 の連休の予定表の発表に入れる。
- 口頭場所のカードと目的のカード(買い物・スキー・食事・見ます・食べます・遊びます)を2枚組で見せ、全員で「デパートへ買い物に行きます」と言わせる。動詞の絵のときは、教師が「ます」を手で消す動作をしてから言わせる。キューの例は「公園+散歩」「レストラン+晩ご飯を食べます」「友達の家+遊びます」「北海道+スキー」。慣れたら「行きました」「行きたいです」にも変える。
- ペア地図の情報差:A の地図には人の絵と行き先、B の地図には同じ人の目的の絵(何をするか)だけが描いてある。B が「田中さんはどこへ行きますか」、A が「田中さんは何をしに行きますか」と聞き合い、二人で「田中さんは〜へ〜に行きます」の文を完成させる。4人分で終わり。
- 産出「連休の旅行プラン発表」:行きたい場所と目的を2つ選んで「〜へ〜に行きたいです。〜が好きですから」と発表し、聞く人は「誰と行きたいですか」と一つ質問する。教師は「*デパートで買い物に行きます」の「で」と、「*見ますに」の作り方を見る。
つまずきと手当て
- 「*映画を見ますに行きます」「*映画を見るに行きます」と、「ます」の形や別の形に「に」をつける。地図の板書で「ます」を消してから「に」をつける動作を見せる
- 「*デパートで買い物に行きます」と、行き先に「で」を使う。「で」は動作をする場所(第3課)、行き先は「へ」と、「デパートで買い物をします」と並べて違いを見せる
- 「*公園へ散歩を行きます」と、目的の名詞に「を」をつける。目的は「に」と、枠の「に」を赤で書く
既習の文型との違い
- [場所]へ・[場所]で(第3課)第3課の「[場所]へ行きます」は行き先だけ、「[場所]でVます」は動作をする場所でした。この課では行き先の「へ」に目的の「に」が加わり、「デパートへ買い物に行きます」と「デパートで買い物をします」の二つの言い方ができます。「へ・に・行きます」と「で・を・します」の助詞の組み合わせを2行で並べて見せると、取り違えが減ります。
関連する文型