日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

できる日本語 初級 第8課「大切な人」の教案

『できる日本語 初級 本冊 第2版』 ・ ST「家族・友達」「こんな人」「プレゼント」

自分の家族や友達を、日本で知り合った人に写真を見せながら紹介できるようになる課です。ST1 で何人いるか・どこに住んでいるか・何の仕事をしているか、ST2 でどんな人か、ST3 でその人とのプレゼントのやり取りと、一人の人について話す中身を少しずつ増やしていきます。第7課で覚えたテ形と「Vています」がそのまま「住んでいます」「働いています」「〜くて、〜」の土台になるので、テ形の作り方を最初に確かめてから入ります。家族の呼び方(自分の家族は「兄」、相手の家族は「お兄さん」)もこの課で毎回使うので、語彙として早めに整理しておきます。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目10時間90分×2コマ場面3

この課のねらい(Can-do)

  • 家族や友達が何人いるか、どこに住んでいるか、何の仕事をしているかを言える
  • 家族や友達の見た目・性格・得意なことを、二つの言葉をつないで説明できる
  • プレゼントを何にするか友達と相談し、だれに何をもらったかを話せる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第7課のテ形を動詞カードで速く確かめ、「今、何をしていますか」(進行)を2〜3問。そのあと教師が自分の家族の写真(または絵)を黒板に貼り、「わたしの家族です」と見せて、この課の話題に入る
ST1 家族・友達55分家族の呼び方(父・母・兄…/お父さん・お母さん…)→「〜が(〜人・匹)います」→「〜に住んでいます」と「[〜人]で」→「Vています(職業)」。家族の絵カードと世界地図で、自分の家族を紹介し合う
ST2 こんな人50分(1コマ目に25分・2コマ目に25分)体の部分と性格の語を絵で出す →「〜は〜がAです」→「〜はNが上手です・下手です」→「イAくて、〜/ナA・Nで、〜」で二つをつなぐ。写真の人物を当てるクイズにする
ST3 プレゼント45分矢印つきの絵で「あげます」→「もらいます」→「くれます」の順に。友達の誕生日に何をあげるか相談し、今までにもらったうれしいプレゼントを話す
課のまとめ20分自分の家族か友達の写真(または絵)を1枚持ってきて、人数・住んでいるところ・仕事・どんな人か・その人にもらった物を続けて話す。聞く人は一つずつ質問する

ST1 家族・友達

できること家族や友達が何人いるか、どこに住んでいて何の仕事をしているかを話せる。

場面

日本で知り合った人に、スマホの家族の写真を見せながら家族のことを聞かれる場面です。教室では学習者に家族の写真(なければ絵カード)を用意させ、世界地図を黒板に貼って、住んでいる町を指しながら話せるようにします。

  • 日本人の友達:家族は何人ですか。
  • 留学生:5人です。父と母と兄と妹がいます。
  • 日本人の友達:みなさん、ベトナムに住んでいますか。
  • 留学生:父と母と妹はハノイに住んでいます。兄は大阪に住んでいます。
  • 日本人の友達:そうですか。お兄さんは何をしていますか。
  • 留学生:車の会社で働いています。
  • 日本人の友達:日本では一人で住んでいますか。
  • 留学生:いいえ、友達と二人で住んでいます。
学習項目 1 〜に住んでいます

意味・はたらき

今どこで生活しているかを言う形です。「住む」は今の住まいを言うとき「住んでいます」の形で使い、「住みます」は引っ越しの予定など、これからのことになります。場所には「で」ではなく「に」をつけます。家族を紹介するときに、だれがどこにいるかを伝えるのに使います。文法の見方では、「ている」が動作の進行ではなく、今の状態が続いていることを表す用法です。

接続

[場所]+に+住んでいます(「住む」のテ形「住んで」+います)

形
東京に住んでいます父と母はハノイに住んでいますどこに住んでいますか来月、大阪に住みます(予定)

導入

  • 地図の上に家族を置く世界地図と日本地図を黒板に貼り、教師が家族の絵カードを地図の上に置きながら「母は福岡に住んでいます」「わたしは東京に住んでいます」と言う。板書は「[場所]に 住んでいます」とし、「に」を赤くする。第7課のテ形の表を横に出し、「住む→住んで」が「飲む→飲んで」と同じ作り方だと確かめる。

板書案

[場所]〔赤〕に 住んでいます
住みます → 住んで(む → んで)
わたしは さくら町に 住んでいます。
父と母は 国に 住んでいます。
〔青〕今 = 住んでいます / 来月 = 住みます(予定)

場面と発話(自作)

  • 交流会で、どこに住んでいるかを聞かれる。どこに住んでいますか。——さくら町に住んでいます。
  • 日本人の友達に、国の家族のことを話す。両親はタイに住んでいます。
  • 引っ越しの予定を友達に伝える。来月から駅の近くに住みます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、地図の町を指して「〜に住んでいます」を言わせ、次に家族の絵カードと町の名前を組み合わせて「兄は〜に住んでいます」にする。最後にペアで「〜さんの家族はどこに住んでいますか」と聞き合い、地図に名前を貼っていく。

  1. 口頭教師が地図の町を指す、または家族の絵カードと町の名前カードを組にして見せ、全体 → 列 → 個人の順で言わせる。キューは「東京(地図を指す)」→「東京に住んでいます」、「母+福岡」→「母は福岡に住んでいます」、「どこ?」のカード →「どこに住んでいますか」。2周目にカレンダーの「来月」カードを混ぜ、「来月、〜に住みます」と言い分けさせる。
  2. ペア情報差で行う。A は家族5人の住む町が書かれた家族カード、B は町の名前だけの白地図を持つ。B が「お父さんはどこに住んでいますか」と聞き、A が「父は〜に住んでいます」と答え、B が地図に家族の絵を置く。5人終わったら別のカードで交替する。聞く側は「お父さん」、答える側は「父」と呼び方が変わる点も見る。
  3. 産出「家族マップ」。学習者が白地図に自分の家族(または友達)の住む町を描き入れ、グループで「父と母は〜に住んでいます。わたしは〜に住んでいます」と3文以上で紹介する。家族のことを話したくない人は、架空の家族や友達でよいと先に言っておく。教師が見るのは「に/で」の取り違え、「住んで」の音、「住みます」との言い分けの3点。

つまずきと手当て

  • 「*東京で住んでいます」と「で」を使う。第3課の「[場所]で」と混ざりやすいので、「住んでいます」は「に」と組で覚えさせ、板書の赤い「に」を毎回指す
  • 今の住まいを「*東京に住みます」と言う。「住みます」はこれからの予定になると、カレンダーで「今」と「来月」を指して対比する
  • 「*住みています」「*住んています」とテ形を間違える。第7課のテ形の表(む→んで)に戻って確かめる

既習の文型との違い

  • [場所]で(第3課)第3課の「[場所]で」は、図書館で勉強する・店で買うのように動作をする場所に付きます。「住む」は動作というより、そこにいる状態なので「に」を使います。「*東京で住んでいます」が出たら、二つの文を上下に板書して助詞だけを色で比べます。
  • Vています(動作の進行)(第7課)第7課の「今、料理を作っています」は目の前で進んでいる動作で、少しあとには終わります。「住んでいます」は毎日続いている今の状態で、「今、何をしていますか」の答えにはなりません。形は同じなので、「今」と書いたカードと、カレンダー全体を指すしぐさで意味の違いを見せます。
関連する文型
学習項目 2 [〜人]で

意味・はたらき

何人でいっしょに何かをするかを言う形で、人数のあとに「で」をつけます。「一人で」は「だれといっしょでもなく」という意味です。ST1 では「友達と二人で住んでいます」「家族4人で住んでいます」のように、だれとどう暮らしているかを言うのに使います。人数には自分も入ることを押さえます。

接続

人数(一人・二人・3人…)+で+V

形
一人で住んでいます友達と二人で住んでいます家族4人で住んでいます3人で旅行に行きます

導入

  • 人の絵を並べて数える人の絵を1枚、2枚、3枚と黒板の家の絵の中に入れながら「一人で住んでいます」「二人で住んでいます」と言う。先に一人(ひとり)・二人(ふたり)・3人・4人(よにん)の読みを表にし、読みが変わるものを赤で囲む。板書は「[〜人]で 住んでいます」。

板書案

[〜人]〔赤〕で V
一人で 住んでいます。
友達と 二人で 住んでいます。
〔青〕ひとり・ふたり・さんにん・よにん(ひとり・ふたり・よにん を丸で囲む)
〔赤〕友達と = いっしょの人 / 二人で = 全部の人数(わたしも入る)

場面と発話(自作)

  • 日本人の友達に、アパートの暮らしを聞かれる。一人で住んでいますか。——いいえ、友達と二人で住んでいます。
  • 週末の予定を話す。日曜日、クラスの友達と3人で海へ行きます。
  • 国の友達に、日本で行った旅行の写真を見せる。クラスの友達と4人で京都へ行きました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、家の絵に入れる人の数を変えて「〜人で住んでいます」を言わせ、次に「友達と」「家族」を足す。最後に自分のことで「〜と〜人で住んでいます」「一人で住んでいます」を言い、隣の人に聞く。

  1. 口頭黒板の家の絵に入れる人の絵の数を変えて言わせる。キューは「人の絵1枚」→「一人で住んでいます」、「わたし+友達の絵」→「友達と二人で住んでいます」、「家族4人の絵」→「家族4人で住んでいます」、「3人+海の絵」→「3人で海へ行きます」。人数の読みは全体で速く数回くり返してから文に入る。
  2. ペアA が質問カード(「一人で住んでいますか」「だれと住んでいますか」「何人で住んでいますか」)を読み、B が自分のこと(または教師が配る設定カード)で答える。A は答えを聞いて、ノートの家の絵に人の数だけ丸を描く。3問終わったら交替し、最後に二人の絵を見比べて人数が合っているか確かめる。
  3. 産出「週末プランの報告」。グループで今度の週末にだれと何人でどこへ行くかを決め、「〜さんと〜さんと3人で〜へ行きます」とクラスに報告する(住まいの話を避けたいクラスではこちらを主にする)。教師が見るのは人数の読み、「と」と「で」の位置、自分を数に入れているかの3点。

つまずきと手当て

  • 「友達と二人で」の「二人」を友達の数だと思い、自分と友達一人のときに「*友達と一人で」と言う。人の絵に自分の絵も入れて、自分も数に入ることを見せる
  • 「*二人と住んでいます」「*二人に住んでいます」と助詞を取り違える。第5課の「[人]と」は相手、「[〜人]で」は人数、と2行並べて板書する
  • 一人・二人・4人を「*いちにん」「*ににん」「*よんにん」と読む。赤で囲んだ3つを毎回声に出させる

既習の文型との違い

  • [人]と(第5課)第5課の「友達と行きました」の「と」は、いっしょにする相手を示します。「二人で」の「で」は、自分も入れた全部の人数を示します。二つを合わせると「友達と二人で」になり、自分と友達一人なのに「友達と一人で」と言う誤りが出たら、絵で自分の分の人を足して数え直させます。
関連する文型
学習項目 3 〜が(〜人・匹)います

意味・はたらき

家族やペットなど、人や動物がいることと、その数を言う形です。数は「が」のあと、「います」の前に入れます。人は「〜人」、犬や猫など小さい動物は「〜匹」で数え、聞くときは「何人いますか」「何匹いますか」です。家族を紹介するときは、自分の家族を「父・母・兄・姉・弟・妹」と呼ぶことも、この項目といっしょに練習します。文法の用語では存在文の仲間で、数(数量詞)が名詞から離れて動詞の前に置かれる形(遊離数量詞)にあたります。

接続

N+が+数(〜人・〜匹)+います

形
兄が二人います犬が1匹います兄弟がいますか——はい、姉が一人います猫が何匹いますか

導入

  • 家族の絵を数える教師が自分の家族の絵を黒板に貼り、「わたしは兄が二人います」「妹が一人います」と言いながら絵を数える。続けて犬の絵を貼って「犬が1匹います」。板書は「[N]が [数] います」の枠にし、数の位置を赤い四角で示す。1匹〜10匹の読み(いっぴき・さんびき・ろっぴき・はっぴき・じゅっぴき)を表にして赤で囲む。
  • 自分の家族と相手の家族同じ家族の絵を2セット用意し、片方に「わたしの」、もう片方に「〜さんの」と札をつける。教師が「わたしの兄」「〜さんのお兄さん」と言い分けて見せ、呼び方の表(父/お父さん、母/お母さん、兄/お兄さん、姉/お姉さん、弟/弟さん、妹/妹さん)を板書する。

板書案

[N]が 〔赤〕[数] います
兄が 二人 います。
犬が 1匹 います。
〔青〕人 = 〜人 / 動物 = 〜匹(いっぴき・さんびき・ろっぴき・はっぴき・じゅっぴき)
わたしの家族:父・母・兄・姉・弟・妹 | 相手の家族:お父さん・お母さん・お兄さん・お姉さん・弟さん・妹さん

場面と発話(自作)

  • 日本人の友達に、兄弟のことを聞かれる。兄弟がいますか。——はい、姉が一人と弟が一人います。
  • ホームステイ先で、国のペットの写真を見せる。うちに猫が3匹います。
  • クラスの自己紹介で、家族のことを一言足す。わたしは弟が二人います。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、家族の絵カードと数字カードを組み合わせて「〜が〜人います」を言わせ、動物の絵で「〜匹」に切り替える。次にペアで「兄弟がいますか」「何人いますか」と聞き合い、答えを聞いた人は「お兄さん」「お姉さん」の呼び方で報告させる。

  1. 口頭家族の絵カードと数字カードを組にして見せる。キューは「兄+2」→「兄が二人います」、「犬の絵+3」→「犬が3匹います」、「妹+1」→「妹が一人います」、「?」→「兄弟が何人いますか」。人と動物のカードを混ぜて、「人」と「匹」、匹の読みの切り替えを速くする。
  2. ペア家族の絵カードを裏にして何枚か引かせ、それぞれ「わたしの家族」のセットを作る。A が「兄弟がいますか」「何人いますか」「ペットがいますか」と聞き、B が自分のセットで答える。聞いた A はクラスに「B さんはお兄さんが二人います」と、相手の家族の呼び方に変えて報告する。
  3. 産出「家族紹介スピーチ(30秒)」。写真か絵を見せながら「わたしの家族は〜人です。〜と〜がいます。犬が〜匹います」と話す。聞く人は一つ質問する。教師が見るのは数の位置(「が」と「います」のあいだ)、匹の読み、自分の家族と相手の家族の呼び方の3点。

つまずきと手当て

  • 「*兄が二人がいます」と助詞を重ねたり、「二人の兄がいます」と数を名詞の前に出したりする(後者は誤りではないが、家族の紹介では「兄が二人います」がふつう)。枠の赤い四角(「が」と「います」のあいだ)に数だけを入れる練習をくり返す
  • 「*犬が1匹あります」と動物に「あります」を使う。第7課の「います・あります」の区別に戻り、動くもの(人・動物)は「います」と確かめる
  • 1匹・3匹・6匹・8匹・10匹を「*いちひき」「*さんひき」と読む。表の赤い読みを毎回声に出させる
  • 自分の家族を人に話すときに「わたしのお母さんは…」、相手の家族を「田中さんの母は…」と、呼び方を逆にする(文法の誤りではないが、大人の会話では幼く聞こえたり失礼に聞こえたりする)。2セットの絵と札で、だれの家族かを先に確かめてから言わせる

既習の文型との違い

  • 〜が(〜枚)あります(第6課)第6課の「チケットが2枚あります」と、形の並びは同じ(が+数+動詞)です。違うのは、物は「あります」と「枚」、人や動物は「います」と「人・匹」になる点です。「犬が1匹あります」が出たら、動くもの・動かないもので絵カードを二つの山に分けて確かめます。
  • 〜に〜があります・います(第7課)第7課はどこに何がいるか(場所)を言う形でした。この課の「わたしは兄が二人います」は、場所ではなく「わたしにはこんな家族がいる」と言う使い方です。場所の「に」を足して「わたしに兄が…」と迷う学習者には、この課では「わたしは」で話す形だけを使うと決めておきます。
関連する文型
学習項目 4 Vています(職業)

意味・はたらき

その人がふだん続けている仕事を言う形です。第7課の「Vています」は今している動作でしたが、ここでは「銀行で働いています」「小学校で英語を教えています」のように、毎日続いていることを表します。「父は会社員です」(第1課の名詞文)の代わりに、どこで何をしているかまで言えるので、家族の紹介がくわしくなります。聞くときは「何をしていますか」「お仕事は?」です。

接続

[場所]で+V(テ形)+います/[会社]に+勤めています

形
父は銀行で働いています姉は小学校で英語を教えています兄は車の会社に勤めていますお父さんは何をしていますか

導入

  • 「今」と「毎日」を比べる料理をしている人の絵を2枚出す。1枚には時計(今)をつけて「今、料理を作っています」(第7課)、もう1枚にはレストランの絵とカレンダー(毎日)をつけて「兄はレストランで料理を作っています。コックです」と言う。板書は「[場所]で Vています = 仕事」とし、仕事の絵カード(会社・銀行・学校・病院・店)を差し替えて全員でくり返す。

板書案

[場所]〔赤〕で Vています = 仕事(毎日)
姉は 銀行で 働いています。
兄は 車の会社〔赤〕に 勤めています。
〔青〕今:今、料理を作っています(第7課) | 毎日:レストランで料理を作っています(仕事)

場面と発話(自作)

  • 日本人の友達に、家族の仕事を聞かれる。お母さんは何をしていますか。——病院で働いています。看護師です。
  • アルバイト先で、自分の兄弟のことを話す。兄は東京の会社に勤めています。
  • 交流会で、隣に座った人に仕事を聞く。お仕事は?——駅の近くのレストランで働いています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、仕事の場所の絵と動詞カード(働く・教える・作る・売る)を組み合わせて「〜で〜ています」を言わせる。そのあと ST1 の家族の紹介に「〜は〜で働いています」を1文足し、聞く人に「何をしていますか」と質問させる。

  1. 口頭仕事の場所の絵と動詞カードを組にして見せる。キューは「銀行+働く」→「銀行で働いています」、「学校+教える+英語」→「学校で英語を教えています」、「会社+勤める」→「会社に勤めています」、「父+病院」→「父は病院で働いています」。「働く=で」「勤める=に」はカードを色分けしておく。
  2. ペア「仕事当て」。A は職業名を伏せた仕事カード(場所と動詞だけが書いてある)を持ち、B が「お姉さんは何をしていますか」と聞く。A が「〜で〜ています」と答え、B が「看護師ですか」のように職業名を当てる。5枚で交替する。
  3. 産出「家族紹介スピーチ」に仕事の1文を足して話し直す。聞く人は「どこで働いていますか」「何を教えていますか」と一つ質問する。教師が見るのは「働く・勤める」の助詞、仕事を「働きます」だけで言っていないか、「何をしていますか」に今の動作で答えていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 「*兄は会社で勤めています」「*銀行に働いています」と、「勤める」と「働く」の助詞を入れ替える。「働く」は「で」、「勤める」は「に」と、動詞と助詞を一つの組でカードにする
  • 仕事を「父は毎日銀行で働きます」とだけ言う。間違いではないが、仕事を紹介するときは「働いています」がふつうだと、「今」と「毎日」の絵で確かめる
  • 「何をしていますか」を今の動作の質問だと思い、「今、テレビを見ています」と答える。家族の写真を見せながら聞くときは仕事の質問になることを、場面ごと見せる

既習の文型との違い

  • Vています(動作の進行)(第7課)形は同じ「Vています」ですが、第7課は今目の前でしている動作、この課は毎日続けている仕事です。区別は文の中の「今」の有無と場面(家族の写真を見せて話しているか)でつきます。導入で「今」の絵と「毎日」のカレンダーを並べておくと、学習者が自分で見分けられます。
  • 〜はNです(第1課)第1課の「父は会社員です」は職業名を言う名詞文です。「父は銀行で働いています」はどこで何をしているかまで言えるので、職業名を知らないときの言い換えにも使えます。二つを続けて「姉は看護師です。病院で働いています」と言わせると、紹介がくわしくなります。
関連する文型

ST2 こんな人

できること家族や友達がどんな人か、見た目や性格や得意なことを話せる。

場面

写真を見た相手に「どんな人ですか」と聞かれて、その人の見た目や性格を説明する場面です。教室では体の部分(背・髪・目)と性格の語を絵カードで出し、学習者の家族の写真を使って「だれでしょう」クイズにすると、説明する必要が生まれます。

  • 日本人の友達:これ、誰の写真ですか。
  • 留学生:兄です。
  • 日本人の友達:背が高いですね。
  • 留学生:はい。兄は背が高くて、やさしいです。
  • 日本人の友達:お兄さんは料理が上手ですか。
  • 留学生:はい、とても上手です。わたしは下手です。
学習項目 1 〜はNが上手です・下手です

意味・はたらき

人が何をうまくできるか・できないかを言う形で、できることは「が」で示します。家族や友達の紹介で「姉は歌が上手です」のように、その人の得意なことを伝えるのに使います。「上手」は人をほめる言葉なので、自分のことには使わず、自分のことは「下手です」「あまり上手じゃありません」と言うのが自然です。ほめられたら「いいえ、まだまだです」と返す習慣も合わせて見せます。

接続

[人]+は+N+が+上手です/下手です(「上手」「下手」はナ形容詞)

形
兄は料理が上手ですわたしは歌が下手です妹は絵があまり上手じゃありません日本語が上手ですね——いいえ、まだまだです

導入

  • うまい絵とへたな絵教師が黒板に、とても上手な絵の写真と、教師自身がわざと下手に描いた絵を並べる。上手な絵を指して「姉は絵が上手です」、自分の絵を指して「わたしは絵が下手です」と言い、学習者を笑わせてから板書を「[人]は [N]が 上手です/下手です」にする。「が」を赤くし、「を」ではないことを示す。

板書案

[人]は [N]〔赤〕が 上手です/下手です
姉は 歌が 上手です。
わたしは 料理が 下手です。
〔青〕否定:上手じゃありません(ナA)
〔赤〕ほめられたら → いいえ、まだまだです

場面と発話(自作)

  • 日本人の友達に、写真の妹のことを話す。妹はダンスが上手です。
  • 店の人に日本語をほめられる。日本語が上手ですね。——いいえ、まだまだです。
  • 友達にカラオケに誘われて、断りたい。わたしは歌が下手ですから、ちょっと…。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、スポーツ・料理・歌・絵などの絵カードと、人物カードに○×をつけたものを見せ、「〜は〜が上手です/下手です」を言わせる。次に ST2 のやり取りで家族の得意なことを一つずつ言い、聞いた人が「上手ですね」と返す。

  1. 口頭人物カードと活動の絵に○・×・△をつけたものを見せる。キューは「兄+料理+○」→「兄は料理が上手です」、「わたし+歌+×」→「わたしは歌が下手です」、「妹+絵+△」→「妹は絵があまり上手じゃありません」、「?」→「お姉さんは何が上手ですか」。
  2. ペアA が「お母さんは何が上手ですか」と相手の家族について聞き、B が答える。続けて A が「日本語が上手ですね」とほめ、B が「いいえ、まだまだです」と返すやり取りを1往復入れる。役を替えて、ほめる語(料理・歌・サッカー)を変えながら3回。
  3. 産出「得意なこと紹介」。家族か友達一人の得意なことを、「〜は〜が上手です。〜も好きです」と2文で紹介し、聞く人は「すごいですね」と返す。教師が見るのは「が」と「を」、ナ形容詞の否定、自分のことに「上手です」を使っていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 「*兄は料理を上手です」と「を」を使う。「上手・下手」の前は「が」と、第5課の「Nが好きです」と同じ形だと並べて見せる
  • 自分のことを「わたしは日本語が上手です」と言う。文としては正しいが、自慢に聞こえることが多いので、自分のことは「下手です」「あまり上手じゃありません」を使わせる
  • 否定を「*上手くないです」と言う。「上手」はナ形容詞なので「上手じゃありません」と、第4課の否定の表で確かめる

既習の文型との違い

  • Nが好きです・嫌いです(第5課)第5課の「音楽が好きです」と同じく、「が」とナ形容詞の形です。「好き」は気持ち、「上手」はうまさで、「歌が好きですが、上手じゃありません」のように一つの文に並べられます(第4課の「〜が、〜」)。形が同じなので、「*料理を上手です」の誤りは「好き」の文を横に書くと直りやすいです。
関連する文型
学習項目 2 〜は〜がAです

意味・はたらき

人やものについて、その一部分や一つの面がどうかを言う形です。「は」で話題の人を出し、「が」でその部分(背・髪・目・声など)を示して、形容詞で説明します。「兄は背が高いです」は「兄の背」の話ではなく、「兄はどんな人か」を説明する文です。ST2 では、写真の人の見た目や特徴を言うのに使います。文法の用語では、「は」で主題を、「が」でその中の部分を示す文(「象は鼻が長い」と同じ型)で、「は」と「が」の違いを考えるときによく例にされる形です。

接続

N1(話題の人)+は+N2(部分)+が+A+です

形
兄は背が高いです姉は髪が長いです友達は声がきれいです父は目が大きいです

導入

  • 人の絵を描きながら説明する教師が黒板に人の絵を描き、背を高く描いて「この人は背が高いです」、髪を長く描いて「髪が長いです」と一つずつ足していく。板書は「[人]は [部分]が [A]です」の3つの枠にし、部分の絵カード(背・髪・目・鼻・足・声)と形容詞カード(高い・低い・長い・短い・大きい・小さい・きれい)を差し替えられるようにする。

板書案

[人]〔赤〕は [部分]〔青〕が [A]です
兄は 背が 高いです。
姉は 髪が 長いです。
〔青〕背が 高い/低い 髪が 長い/短い 目が 大きい/小さい

場面と発話(自作)

  • 日本人の友達に、写真の弟のことを聞かれる。弟は背が高いです。
  • 空港に友達を迎えに行く人に、その友達の見た目を教える。友達は髪が短いです。目が大きいです。
  • 友達に、ホームステイ先の犬の写真を見せる。この犬は足が短いです。目がかわいいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、人物の絵を見せて部分を指し、「〜は〜が〜です」を言わせる。そのあと学習者が家族の写真を見せずに説明し、ほかの人がいくつかの絵の中からその人を当てる「だれでしょう」クイズにする。

  1. 口頭黒板の人物の絵の部分を指して言わせる。キューは「背を指す」→「この人は背が高いです」、「髪を指す」→「髪が長いです」、「目を指す」→「目が大きいです」、「耳を指して歌うしぐさ」→「声がきれいです」。部分と形容詞の組(背が高い・髪が長い)を全体でくり返してから個人に当てる。
  2. ペア情報差の絵を使う。A と B は少しずつ違う6人の人物の絵を持ち、A が1人を選んで「この人は髪が短いです。背が高いです」とヒントを言う。B は自分の絵の中からその人を指す。当たったら交替する。
  3. 産出「だれでしょうクイズ」。学習者が写真を見せずに家族か友達を3文で説明し、ほかの人が教師の用意した数枚の絵の中から選ぶ。教師が見るのは「は」と「が」の位置、部分と形容詞の組み合わせ、形容詞の否定の形の3点。

つまずきと手当て

  • 「*姉は髪を長いです」と、部分のあとに「を」を使う。「姉は髪は長いです」は対比の「は」として言える文だが、ほかの部分と比べている意味に聞こえる。話題の人は「は」、部分は「が」と、枠の色を分けて板書する
  • 「背が大きいです」と言う(話し言葉で聞くこともあるが、ふつうは「背が高い」)。背は「高い・低い」で言うと、語の組み合わせ(背が高い・髪が長い・目が大きい)をカードで一組ずつ覚えさせる
  • 「わたしの兄の背は高いです」と「の」で長くつなぐ。誤りではないが、人の説明としては「兄は背が高いです」のほうが自然だと、二つを並べて聞かせる

既習の文型との違い

  • 〜はAです(第4課)第4課の「わたしの町は大きいです」は、話題のもの全体がどうかを言いました。この課の「兄は背が高いです」は、人の一部分を「が」で取り出して説明します。「兄の背は高いです」とも言えますが、人を紹介するときは「兄は背が高いです」がふつうだと、二つを聞かせて比べます。
  • 〜はNが上手です・下手です(第8課)同じ「〜は〜が」の形で、こちらは部分+イ形容詞、「上手・下手」はできること+ナ形容詞です。並べて板書すると、「は」で人を出し「が」で中身を言う型が一つだと分かります。
関連する文型
学習項目 3 イAくて、〜/ナA・Nで、〜

意味・はたらき

形容詞や名詞の文を二つつなぐ形で、イ形容詞は「〜い」を「〜くて」に、ナ形容詞と名詞は「で」にします。人を説明するときに「兄は背が高くて、やさしいです」「母は元気で、明るいです」のように、特徴を続けて言えます。つなぐ二つは、どちらもよいこと、またはどちらもよくないことにするのが自然で、よいことと悪いことを並べるときは第4課の「〜が、〜」を使うことが多いです。形容詞と名詞の「テ形」(中止の形)で二つの性質を並べる形と整理できます。

接続

イA(〜い→〜くて)、〜/ナA・N+で、〜(「いい」は「よくて」)

形
背が高くて、やさしいですきれいで、親切です姉は先生で、30歳ですいい→よくて

導入

  • カードを2枚つなぐ人物の絵の横に形容詞カードを1枚ずつ貼り、「兄は背が高いです。やさしいです」と2文で言ってから、2枚のあいだに「くて」の札をはさんで「兄は背が高くて、やさしいです」と1文にする。ナ形容詞と名詞のカードでは「で」の札をはさむ。板書は「〜い→〜くて」「〜な・N→〜で」の2行にし、第7課のテ形の表の横に置く。

板書案

イA:高い → 高〔赤〕くて  いい → 〔赤〕よくて
ナA:元気(な) → 元気〔赤〕で  N:学生 → 学生〔赤〕で
兄は 背が高くて、やさしいです。
母は 元気で、明るいです。
〔青〕よい+よい/よくない+よくない → くて・で | よい+よくない → 〜が、〜

場面と発話(自作)

  • 日本人の友達に、国の親友のことを話す。友達は明るくて、おもしろいです。
  • ホームステイ先の家族に、自分の母のことを聞かれる。母は料理が上手で、やさしいです。
  • クラスに新しく来た人を、友達に説明する。あの人は韓国の人で、20歳です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、形容詞カードを2枚ずつ引かせて「〜くて、〜です」「〜で、〜です」を言わせ、「いい」「きれい」「有名」など間違えやすいカードを多めに混ぜる。次に ST2 の「だれでしょう」クイズで、ヒントを二つずつつないで出させる。

  1. 口頭まず形だけを変える。キューは「高い」→「高くて」、「いい」→「よくて」、「元気」→「元気で」、「学生」→「学生で」。次にカードを2枚並べて文にする。「高い+やさしい」→「背が高くて、やさしいです」、「元気+明るい」→「元気で、明るいです」、「学生+20歳」→「学生で、20歳です」。「きれい」「有名」のカードを多めに混ぜる。
  2. ペア「人物づくり」。形容詞カードの山から A と B が1枚ずつ引き、二人で「この人は〜くて、〜です」と1文にする。よいことと困ることの組になったら、「〜ですが、〜です」に言い換えるかを二人で決める。5回引いて交替で言う。
  3. 産出「わたしの親友」。親友か家族一人を、「くて/で」を2回入れて3文で紹介し、ノートに書いてから発表する。聞く人は「どんな人ですか」と一つ質問する。教師が見るのは「いい→よくて」、ナ形容詞をイ形容詞の形にしていないか、よいことと困ることを「くて」でつないでいないかの3点。

つまずきと手当て

  • 「*いくて」と言う。「いい」は「よくて」になる、と表の中で赤くする
  • 「*きれいくて」「*有名くて」と、「い」で終わるナ形容詞や漢字のナ形容詞をイ形容詞の形にする。カードの裏に「イ」「ナ」の印をつけておき、つなぐ前に確かめさせる
  • 「*高いで」「*学生くて」とイ形容詞と名詞の形を入れ替える。板書の2行を指して、どちらの行かを先に選ばせる
  • 「この部屋は広くて、高いです(家賃が高い)」のように、よいことと困ることを「くて」でつなぐ。不自然に聞こえることが多いので、その場合は「広いですが、高いです」と第4課の形を使わせる

既習の文型との違い

  • 〜が、〜(第4課)「くて・で」は同じ向きの二つ(どちらもよい、どちらも困る)を並べ、第4課の「〜が、〜」は反対の向きの二つをつなぎます。「広くて、高い(家賃が高い)」は不自然に聞こえやすいので「広いですが、高いです」に。プラスとマイナスの印をカードに付けて選ばせると分かりやすいです。
  • テ形(第7課)動詞のテ形は「書いて」「読んで」と音が変わり、形容詞は「〜くて」、ナ形容詞と名詞は「で」になります。どれも「て・で」で文をつなぐ点は同じなので、第7課の表の横に形容詞と名詞の行を書き足して、一つの表として見せます。
関連する文型

ST3 プレゼント

できること友達にあげるプレゼントを相談し、自分がもらったプレゼントについて話せる。

場面

日本人の友達の誕生日が近く、何をあげるかを留学生どうしで相談する場面と、自分がもらってうれしかったプレゼントを話す場面です。教室ではプレゼントの絵カード(花・本・CD・ケーキ・かばん・時計など)を並べ、だれからだれへ物が動くかを矢印で黒板に描きます。

  • 留学生A:来週、日本人の友達の誕生日です。プレゼントは何がいいですか。
  • 留学生B:本はどうですか。
  • 留学生A:本はちょっと…。友達は音楽が好きですから、CDをあげたいです。
  • 留学生B:いいですね。わたしも去年、CDをもらいました。うれしかったです。
  • 留学生A:誰がくれましたか。
  • 留学生B:国の友達がくれました。
学習項目 1 あげます

意味・はたらき

物が自分(または話し手)から相手へ動くときの言い方で、あげる人を「は/が」、もらう人を「に」で示します。友達の誕生日に何をあげるか相談するときや、あげたことを話すときに使います。自分の家族や友達がほかの人にあげるときも使えますが、だれかが「わたし」にくれるときには使いません。文法の用語では授受表現(やりもらい)の一つで、物が話し手の側から外へ動くときの動詞です。

接続

[あげる人]は/が+[もらう人]に+N+を+あげます

形
わたしは友達に花をあげました誕生日に何をあげますか姉は先生にケーキをあげました友達にCDをあげたいです

導入

  • 矢印で物を動かす黒板に「わたし」と「友達」の絵を描き、教師が花の絵カードを持って「わたし」から「友達」へ矢印の向きに動かしながら「わたしは友達に花をあげます」と言う。板書は「[人]は [人]に [物]を あげます」とし、矢印は「わたし→相手」の向きにする。

板書案

わたし 〔赤〕→ 友達
[あげる人]は [もらう人]〔赤〕に [物]を あげます
わたしは 友達に 花を あげました。
〔青〕矢印が「わたし」から出る = あげます

場面と発話(自作)

  • 友達の誕生日のプレゼントを考えている。友達に何をあげましょうか。——花はどうですか。
  • 国に帰る前に、クラスメートに記念の物をあげた。クラスの友達に国のお菓子をあげました。
  • 旅行のあと、アルバイト先の人にお土産を配った。店の人に京都のお菓子をあげました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、人の絵2枚とプレゼントの絵カードを組み合わせ、矢印を描いて「〜は〜に〜をあげました」を言わせる。そのあと ST3 の相談のやり取りで「〜に〜をあげたいです」「〜はどうですか」を使い、何をあげるか決めさせる。

  1. 口頭人の絵2枚と物のカードを並べ、矢印を描いて言わせる。キューは「わたし→友達+花」→「わたしは友達に花をあげました」、「姉→先生+ケーキ」→「姉は先生にケーキをあげました」、「友達+?」→「友達に何をあげますか」、「友達+CD+たい」→「友達にCDをあげたいです」。
  2. ペア「プレゼント相談」。A は友達の情報カード(好きなもの・ほしいもの)、B はプレゼント候補のカードを持つ。B が「〜はどうですか」と出し、A が「〜が好きですから、〜がいいです」「〜はちょっと…」と答えて、最後に「〜をあげましょう」と決める。役を替えて別の友達で。
  3. 産出「プレゼント会議」。グループでクラスの架空の友達の誕生日プレゼントを決め、「わたしたちは〜さんに〜をあげます。〜さんは〜が好きですから」とクラスに報告する。教師が見るのは、もらう人の「に」、矢印の向き(わたしが受け取る話に使っていないか)、「あげたいです」の形の3点。

つまずきと手当て

  • 「*友達はわたしに本をあげました」と、わたしが受け取るときにも「あげます」を使う。矢印が「わたし」に向くときは「くれます」と、黒板の矢印の向きで言い分ける
  • 「*友達を花をあげます」と、もらう人の助詞を取り違える。もらう人は「に」と、板書の赤い「に」で確かめる
  • 先生や目上の人に直接「先生、これをあげます」と言う。押しつけるように聞こえることがあるので、手渡すときは「どうぞ」と言わせ、「あげます」は人に話すときの言い方だと示す

既習の文型との違い

  • Nがほしいです(第5課)第5課の「時計がほしいです」は、自分が受け取りたい物を言いました。「友達に時計をあげたいです」は、自分が渡したい物です。プレゼントの相談では「〜さんは何がほしいですか」と本人に聞くこともあるので、二つを一つのやり取りに入れて、物が動く向きを確かめます。
関連する文型
学習項目 2 もらいます

意味・はたらき

物を受け取る人の側から言う形で、もらう人を「は/が」、くれた人を「に」か「から」で示します。自分がもらったプレゼントを話すときに「わたしは姉にかばんをもらいました」のように使います。くれたのが学校や会社など人でないときは「から」を使います。

接続

[もらう人]は/が+[くれた人]に/から+N+を+もらいます

形
わたしは姉にかばんをもらいました友達から手紙をもらいました学校から本をもらいました誕生日に何をもらいましたか

導入

  • 矢印の終わりの人から言う「あげます」で使った黒板の絵の横に、「姉」から「わたし」へ花のカードが動く矢印を描き、教師が「わたし」の側に立って花を受け取るしぐさをしながら「わたしは姉に花をもらいました」と言う。続けて第三者どうし(姉→妹)の絵で「妹は姉に本をもらいました」と言い、文の始まりが矢印の終わりの人(もらう人)になることを見せる。板書は「[もらう人]は [人]に/から [物]を もらいます」。

板書案

わたし 〔赤〕← 姉
[もらう人]は [くれた人]〔赤〕に/から [物]を もらいます
わたしは 姉に かばんを もらいました。
わたしは 学校から 本を もらいました。
〔青〕文の始まり = 矢印の終わり(もらう人)

場面と発話(自作)

  • 友達に、時計がすてきだと言われる。この時計、去年、父にもらいました。
  • 日本語学校の修了式のあとで話す。学校から辞書をもらいました。
  • 日本人の友達に、誕生日のことを聞かれる。誕生日に何をもらいましたか。——母に手紙をもらいました。うれしかったです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、矢印つきの絵を見せて、同じ場面を「あげます」と「もらいます」の両方で言わせる。そのあとペアで「誕生日に何をもらいましたか」「誰にもらいましたか」と聞き合い、もらった物と人をメモさせる。

  1. 口頭同じ矢印の絵を二通りに言わせる。キューは「姉→妹+本」→「姉は妹に本をあげました」「妹は姉に本をもらいました」、「父→わたし+時計」→「わたしは父に時計をもらいました」、「学校→わたし+辞書」→「わたしは学校から辞書をもらいました」、「?」→「誕生日に何をもらいましたか」。
  2. ペア「もらった物インタビュー」。A が「誕生日に何をもらいましたか」「だれにもらいましたか」と聞き、B が答える。A は表(物・くれた人)にメモし、最後に「B さんはお母さんに手紙をもらいました」と読み上げる。交替する。
  3. 産出「思い出のプレゼント」。今までにもらってうれしかった物を写真か絵で見せ、「〜に〜をもらいました。〜くて、〜です」と2〜3文で話す。教師が見るのは、文がもらう人から始まっているか、「に」と「から」、ST2 の「くて・で」が使えているかの3点。

つまずきと手当て

  • 「*姉はわたしにかばんをもらいました」と、くれた人を文の始まりに置く。「もらいます」の文は、もらう人から始まると黒板の矢印の終わりを指して確かめる
  • 「*友達を本をもらいました」と「を」を二つ使う。くれた人は「に」か「から」と、色を分けて板書する
  • 学校や会社から受け取ったときに「学校に本をもらいました」と言う。人でないときは「から」が自然だと、場面のカードで見せる

既習の文型との違い

  • あげます(第8課)同じ出来事を、あげる人から言うか、もらう人から言うかの違いです。「に」が付く人が逆になり、「あげます」ではもらう人、「もらいます」ではくれた人に「に」が付きます。矢印の絵を消さずに残し、始まりの人と「に」の人を指で押さえて言わせます。
  • どうして/〜から(第5課)「友達から手紙をもらいました」の「から」は物の出どころで、名詞のあとに付きます。第5課の「〜から」は理由で、文のあとに付きます。「から」が二つの意味で出てくるので、学習者が混ぜたら、前に来るのが人・場所か、文かを見させます。
関連する文型
学習項目 3 くれます

意味・はたらき

ほかの人が「わたし」に物をくれるときの言い方で、くれる人を「は/が」で示します。もらう人は「わたし」か、自分の家族など自分の側の人です。「わたしに」はよく省き、「友達がCDをくれました」だけで「わたしに」の意味になります。「もらいます」と同じ出来事を、くれた人を主にして言う形で、くれた人への感謝の気持ちがこもることが多いです。

接続

[くれる人]は/が+(わたしに)+N+を+くれます

形
友達がCDをくれました姉はわたしに時計をくれました兄が妹にお菓子をくれました誰がくれましたか

導入

  • 矢印を「わたし」に向ける黒板の矢印の向きを逆にして、「友達」から「わたし」へ花のカードを動かし、教師が花を受け取るしぐさをしながら「友達がわたしに花をくれました」と言う。「あげます」と「くれます」の絵を左右に並べ、矢印が「わたし」から出るか「わたし」に向くかで言葉が変わることを板書する。

板書案

友達 〔赤〕→ わたし
[くれる人]が (わたしに) [物]を くれます
友達が CDを くれました。
〔青〕あげます:わたし → | くれます:→ わたし(わたしの家族)
〔赤〕「わたしに」は言わなくてもいい

場面と発話(自作)

  • 友達に、かわいいペンを持っていると言われる。日本人の友達がくれました。
  • 日本人の友達に、誕生日のことを聞かれる。母がケーキをくれました。
  • ホームステイ先のことを友達に話す。ホームステイのお母さんがお弁当をくれました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、矢印の向きがいろいろな絵を見せ、「あげます」「くれます」「もらいます」のどれを使うか学習者に選ばせてから文を言わせる。最後に ST3 のやり取りで、もらったプレゼントについて「誰がくれましたか」「〜がくれました」と聞き合う。

  1. 口頭矢印の向きがいろいろなカードを見せ、動詞を選ばせてから文を言わせる。キューは「友達→わたし+CD」→「友達がCDをくれました」、「わたし→友達+CD」→「わたしは友達にCDをあげました」、「母→妹+ケーキ」→「母が妹にケーキをくれました」、「?→わたし+ペン」→「だれがくれましたか」。
  2. ペア「三つの言い方」。A が矢印カードを1枚見せ、B が「あげます・くれます・もらいます」のどれかで言う。A は同じ場面をほかの動詞で言い直す(くれました → もらいました)。5枚で交替し、言えなかったカードは最後に二人でもう一度。
  3. 産出「プレゼントの話」(ST3 のまとめ)。自分がもらったプレゼントを「〜がくれました」と「〜にもらいました」の両方で話し、聞く人は「いいですね」「だれがくれましたか」と返す。教師が見るのは矢印の向き、「わたしは〜にくれました」の誤り、「わたしに」を毎回言っていないかの3点。

つまずきと手当て

  • 「*友達はわたしに本をあげました」と、自分が受け取るときに「あげます」を使う。母語では一つの動詞で言い分けないことが多いので、矢印の向きで毎回選ばせる
  • 「*わたしは友達にCDをくれました」と、わたしが渡すときに「くれます」を使う。「くれます」の矢印はいつも「わたし(の側)」に向くと確かめる
  • 「Vてください」の「ください」も「わたしの側へ来る」言い方の仲間(目上の人がくれるときの形)なので、「くれます」と結びつけて質問する学習者がいる。この課では物のやり取りだけに絞り、動作の「〜てくれる」は扱わないと伝えて先へ進む

既習の文型との違い

  • もらいます(第8課)「友達がくれました」と「友達にもらいました」は同じ出来事ですが、「くれます」はくれた人が文の始まりになり、もらうのは「わたし」か自分の側の人だけです。「もらいます」はもらう人がだれでも使えます(ただし、わたしが渡す側のときは「もらいます」も「くれます」も使わず、「あげます」で言います)。家族以外の二人のやり取り(姉→田中さん)を見せて、「くれます」が使えない場面を確かめます。
  • Vてください(第7課)「Vてください」の「ください」も、何かが「わたし」の側へ来ることを頼む言い方です。ただしこの課では物のやり取りだけを扱い、「〜てくれる」は出しません。学習者が気づいて質問したら、あとの課で扱うと答えて先へ進みます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の語は、家族の呼び方、人や動物の数え方(〜人・〜匹)、仕事と仕事の場所、体の部分、性格を表す形容詞、プレゼントの品物のまとまりに分かれます。家族の呼び方は「自分の家族(父・母・兄…)」と「相手の家族(お父さん・お母さん・お兄さん…)」を2列の表にして毎時間見せ、ST1〜ST3 のどの練習でも使わせます。体の部分と形容詞は「背が高い」「髪が長い」のように組で覚えさせ、性格の語は学習者が家族を説明したい語が人によって違うので、絵カードにない語はその場で教えます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 住みます(すみます) ある場所に家があって、そこで毎日生活します。 東京に〜・一人で〜・アパートに〜
    交流会で、どこに住んでいるかを聞かれる。
    どこに住んでいますか。——駅の近くのアパートに住んでいます。
  • 働きます(はたらきます) 会社や店や病院などで、仕事をします。 会社で〜・病院で〜・レストランで〜
    日本人の友達に、姉の仕事を話す。
    姉は東京の病院で働いています。
  • 勤めます(つとめます) ある会社などの社員として、そこで仕事をします。場所には「で」ではなく「に」を使います。 会社に〜・銀行に〜
    家族の写真を見せながら、父の仕事を話す。
    父は銀行に勤めています。
  • 兄弟(きょうだい) 同じ親から生まれた兄・姉・弟・妹のことです。 〜がいる・〜は何人
    初めて会った人と、家族の話をする。
    兄弟がいますか。——はい、妹が一人います。
  • 匹(ひき) 犬や猫など、小さい動物を数える言葉です。1・6・8・10は「ぴき」、3は「びき」になります。 犬が1〜・猫が何〜
    ホームステイ先で、国のペットの話をする。
    うちに猫が2匹います。
  • 背(せ) 人が立ったときの、足から頭までの高さです。 〜が高い・〜が低い
    写真の兄のことを、友達に話す。
    兄は背が高いです。
  • 髪(かみ) 頭に生えている毛です。 〜が長い・〜が短い・〜がきれい
    友達に、写真の妹のことを聞かれる。
    妹は髪が長くて、きれいです。
  • やさしい(やさしい) 人の気持ちを考えて、親切にする性格です。 〜人・〜お母さん
    日本人の友達に、母のことを話す。
    母はやさしくて、おもしろいです。
  • 明るい(あかるい) 性格では、よく笑って元気な様子です。部屋や外の光が多いときにも使います。 〜人・〜部屋
    国の親友のことを話す。
    友達は明るくて、元気です。
  • 上手(な)(じょうず(な)) あることをうまくできる様子です。ほかの人をほめるときに使い、自分のことにはあまり使いません。 料理が〜・歌が〜・日本語が〜
    友達の家で、お姉さんの料理を食べた。
    お姉さんは料理が上手ですね。
  • プレゼント(プレゼント) 誕生日やお祝いの日に、人にあげる物です。 〜をあげる・〜をもらう・誕生日の〜
    友達の誕生日の前に、ほかの友達と相談する。
    誕生日のプレゼントは何がいいですか。

宿題と次のコマ

宿題は、自分の家族か友達一人について、人数・住んでいるところ・仕事・どんな人か・その人にもらった物を入れて6文書いてくること(写真があれば持ってくる)。次のコマの最初に何人かに読んでもらい、聞く人に「〜さんの趣味は何ですか」と質問させてから、第9課の ST1「いろいろな趣味」に入ります(第1課の「趣味は〜です」を、第9課では動詞の辞書形を使った「〜ることです」に広げます)。

よくある質問

  • 第8課の「あげます・もらいます・くれます」はどの順で教えればいいですか?

    「あげます」→「もらいます」→「くれます」の順にします。「あげます」で描いた矢印の絵を消さずに残し、同じ場面をもらう人の側から言うのが「もらいます」、矢印が「わたし」に向くときだけ使うのが「くれます」と、一つの絵で三つを見せます。最後に矢印の向きがいろいろなカードで、どの動詞を使うか先に選ばせてから文を言わせると、「*友達はわたしに本をあげました」が減ります。

  • 「住んでいます」はなぜ「に」で、「住みます」ではいけないのですか?

    「住む」は動作をする場所ではなく、そこにいる状態を言う動詞なので、場所には第3課の「で」ではなく「に」を付けます。また今の住まいは、続いている状態として「住んでいます」で言い、「住みます」はこれからの予定(来月から〜に住みます)になります。板書では「に」を赤くし、「今」と「来月」のカードで二つの形を言い分けさせます。

  • 「〜くて、〜」と「〜が、〜」の使い分けはどう教えますか?

    「くて・で」は同じ向きの二つ(どちらもよい、どちらも困る)を並べる形、第4課の「〜が、〜」は反対の向きの二つをつなぐ形と説明します。形容詞カードにプラス・マイナスの印を付けておき、つなぐ前に印を見て形を選ばせます。「広くて、高い(家賃)」のような組は誤りというより不自然に聞こえるので、「広いですが、高いです」に言い直させます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は導入、ST1(住んでいます・人数・家族の数・仕事)と ST2 の前半(上手・下手)まで、2コマ目は ST2 の後半(〜は〜がA・くて/で)と ST3 の授受、課のまとめのスピーチです。授受に時間がかかるクラスでは、まとめのスピーチを次のコマの最初に回します。

  • 自分の家族と相手の家族の呼び方は、いつどう教えますか?

    ST1 の最初に、「わたしの家族(父・母・兄…)」と「相手の家族(お父さん・お母さん・お兄さん…)」の2列の表を貼り、この課の間ずっと見えるところに置きます。練習では、聞くときは相手の家族の呼び方、答えるときは自分の家族の呼び方になるやり取りを毎回入れます。家族の写真を出したくない学習者には、架空の家族カードや友達の紹介でよいと先に伝えておきます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。