物や恩恵のやりとりを表す「あげる・くれる・もらう」の3系列と、その補助動詞用法「〜てあげる・〜てくれる・〜てもらう」。日本語ではだれの側から見るか(視点)によって使う動詞が決まる。
あげるは与え手が話し手側(私が友達に本をあげた)、くれるは受け手が話し手側で与え手を主語に立てる(田中さんが私に本をくれた)、もらうは受け手を主語に立てる(私が田中さんに本をもらった)。待遇に応じて さしあげる/くださる/いただく が対応する。
「×田中さんが私に本をあげた」が不自然なのは視点の制約に反するためで、ここが最大のひっかけ。母語に視点の区別がない学習者は「先生が私に教えてあげました」のような誤用を起こす。ウチ・ソトの線引きとも連動し、「〜てくれる/〜てもらう」の恩恵表現は依頼や感謝の場面指導の中心になる。