テンス(時制)は出来事を基準時に対して位置づける文法カテゴリーで、日本語ではル形とタ形の対立が担う。アスペクト(相)は始まり・継続・終わりといった出来事の内部の局面を表し、「ている」「てある」「ておく」「〜はじめる」などが担う。
日本語のテンスは従属節で相対的に働く点が特徴である。「東京へ行くとき、切符を買う」は出発前、「東京へ行ったとき、切符を買う」は到着後を指すように、従属節のル形・タ形は主節の時を基準にした前後関係を表す。
アスペクトは動詞の語彙的性質と結びつく。金田一春彦の分類では状態動詞(ある・できる。「ている」が付かない)、継続動詞(読む・走る。「ている」は進行)、瞬間動詞(死ぬ・結婚する。「ている」は結果状態)、第四種の動詞(そびえる・優れる。常に「ている」の形で使う)に分かれる。「ている=進行形」と単純に対応づけるのが最大のひっかけ。
「国へ帰るとき、お土産を買います」は、帰る前に日本で買う。「国へ帰ったとき、家族と旅行します」は、帰り着いてから旅行する。どちらも主節は未来の話なのに、従属節に「帰った」とタ形が使われる点が学習者には分かりにくい。時間の線を書いて、主節の出来事との前後関係で説明するとよい。「寝る前に」はル形、「食べた後で」はタ形になるのも、同じ相対的な時の考え方で説明できる。
「雪が降っている」は今まさに降っている進行、「窓ガラスが割れている」は割れた結果が残っている状態を表す。どちらも「ている」だが、「降る」は継続動詞、「割れる」は瞬間動詞なので意味が分かれる。アスペクトの意味は、形式と動詞の性質の組み合わせで決まる。動詞を導入するときに、どちらの種類かを一緒に示しておくと誤用を防ぎやすい。
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