同じ出来事を、だれを主語に立てて述べるかに関わる文法カテゴリー。能動文「先生が太郎をほめた」・受身文「太郎が先生にほめられた」・使役文「母が太郎を行かせた」のように、視点の置き方を変えて言い表す仕組みを指す。
日本語では受身「(ら)れる」・使役「(さ)せる」・使役受身「(さ)せられる」が中心で、可能・自発も「られる」を共有する。自動詞と他動詞のペア(開く/開ける)も、語彙のレベルで同じ働きをするためヴォイスの周辺として扱われる。
テンス(時の位置づけ)・アスペクト(出来事の局面)・モダリティ(話し手の態度)と並ぶ文法カテゴリーの一つで、4つの説明を入れ替えた選択肢に注意。ヴォイスは「だれを主語に立てるか」に関わる、と押さえる。
「田中さんが山田さんを呼んだ」と「山田さんが田中さんに呼ばれた」は、同じ出来事を、呼んだ側から述べるか、呼ばれた側から述べるかの違いである。どちらを主語に立てるかで、動詞の形(呼ぶ/呼ばれる)と格助詞(を/に)が連動して変わる点が、ヴォイスの見どころになる。授業では、一つの絵を見せて二通りに言わせる練習がしやすい。
学習者が「先生が私の名前を呼びました」と言うのは誤りではないが、日本語の会話では「私は先生に名前を呼ばれました」のように、話し手自身を主語に立てる言い方も選ばれる。同じ出来事をどの人物の立場から述べるかを選ぶ、という発想そのものを授業で示しておくと、受身や授受表現を学ぶときの理解の土台になる。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。