「は」は主題・対比を表す取り立て助詞(係助詞)、「が」は主格を表す格助詞で、そもそも品詞が違う。この整理が使い分けを考える出発点になる。
情報構造の面では、「は」が既知の主題を示して後ろに説明を導き(象は鼻が長い)、「が」は新情報のほか、答えを一つに絞る総記(だれが行きますか→私が行きます)や、事態をそのまま描く中立叙述(あ、雨が降っている)を担う。疑問詞は「が」を取り、その答えも「が」で受ける。
文法的な制約も要点。従属節の中では「は」が現れにくく「が」になる(雨が降ったら中止です)一方、対比や否定、文をまたぐ主題では「は」が選ばれる。学習者は「は」を多用しがちで、「昨日、私は友達に会いました。その友達は…」のような不自然な連続が起こる。
「だれが窓を開けましたか」と聞かれたら、答えは「私が開けました」となる。「私は開けました」と答えると、ほかの人は開けていないかのような対比の含みが出てしまう。疑問詞を「が」で受けた問いには「が」で答える、という原則を、場面の中で問いと答えを組にして練習させる。「だれが」「何が」「どこが」など、疑問詞を変えて繰り返すと定着しやすい。
昔話ふうの書き出しを自作して比べると、「ある村におじいさんがいました。おじいさんは毎日山へ行きました」のように、初めて出てくる人物には「が」、二度目からは「は」が使われる。新情報か、すでに話題になった主題かの違いが、文章の流れの中で見えやすい例である。学習者の作文で「は」と「が」が入れ替わっていたら、その人物が初出かどうかを確かめさせる。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。