日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

できる日本語 初級 第9課「好きなこと」の教案

『できる日本語 初級 本冊 第2版』 ・ ST「いろいろな趣味」「できること・できないこと」「楽しい週末」

サークルの集まりや交流イベントで初めて会った人と、好きなこと・できること・週末にしたことを話せるようになる課です。第1課では「趣味は映画です」と名詞でしか言えなかった趣味を、ST1 で辞書形を覚えて「本を読むことです」と動詞で言えるようにし、どのくらいするかも頻度の副詞と助数詞で添えます。ST2 では同じ辞書形を使って「〜ことができます」で自分の能力を伝え、ST3 では第7課のテ形を使って「Vて、Vて、Vました」と週末の行動や料理の手順を続けて話します。辞書形とテ形という二つの活用が、自己紹介を一段深くするための道具としてつながる課です。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目8時間90分×3コマ場面3

この課のねらい(Can-do)

  • 自分の趣味を「〜ことです」で言い、どのくらいするかを頻度の言葉や「1週間に2回」のような言い方で伝えられる
  • 表や案内を見ながら、自分や周りの人ができること・できないことを話せる
  • 週末にしたことを順番に話し、自分が知っている料理などのやり方を「どうやって」と聞かれて説明できる

進め方と時間配分

目安は 90分×3コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第1課の「趣味は何ですか」をもう一度聞き、名詞で答えさせる。教師が「わたしの趣味は料理です。……料理を作ることです」と言い直してみせ、動詞で趣味を言う形があることに気づかせる。第7課のテ形の表を黒板の端に貼っておく
ST1 いろいろな趣味110分ます形から辞書形を作る(グループごと)→「Vることです」で趣味を言う → いつも・よく・ときどき・あまり・全然 で頻度 →「1週間に2回」「1か月に3冊」→「でも」で自分の場合を足す。趣味のインタビューをする。1コマ目は辞書形と「Vることです」までで、終わりに辞書形ビンゴで作り方を確かめる。2コマ目の初めに頻度・「でも」・助数詞を入れる
ST2 できること・できないこと60分「Nができます」から「Vることができます」へ。交流イベントの係を決める表を見て、誰が何ができるか話し合う(イベント係決め会議)
ST3 楽しい週末60分「Vて、〜」で週末の行動を順に言う →「どうやって」で作り方・行き方を聞き、テ形をつないで手順を説明する。自分の国の料理の作り方を紹介する(わたしの国の料理の作り方紹介)
課のまとめ30分交流イベントの自己紹介カード(趣味・頻度・できること・週末にしたこと)を書き、初めて会う設定で3人と話す。最後に一人、得意な料理の作り方をクラスに説明させる

ST1 いろいろな趣味

できること趣味を動詞で言い、どのくらいするかも添えて、相手の趣味を聞ける。

場面

大学のサークルの新入生歓迎会や、地域の国際交流イベントで、初めて会った人と趣味の話をする場面です。教室では趣味の絵カード(本・映画・ギター・写真・料理・走る など)を配り、カードの裏に「1週間に2回」のような頻度を書かせてから、席を立って聞き合う活動にします。

  • 日本人の学生:趣味は何ですか。
  • 留学生:本を読むことです。
  • 日本人の学生:そうですか。よく読みますか。
  • 留学生:はい。1か月に3冊読みます。
  • 日本人の学生:わたしはあまり読みません。でも、映画をよく見ます。
  • 留学生:わたしも映画が好きです。1週間に1本見ます。
学習項目 1 辞書形活用

意味・はたらき

辞書形は、辞書に載っている動詞の形で、ます形のもとになる形です(「読む」から「読みます」ができる)。この課では「本を読むことです」「ギターを弾くことができます」のように、「こと」の前に置いて使います。作り方は第7課のテ形と同じ3つのグループで決まるので、まず自分の動詞がどのグループかを確かめさせます。日本語教育で「辞書形」と呼ぶこの形は、学校の国語文法では動詞の「終止形」(名詞の前では「連体形」)にあたるので、教材や参考書の呼び名が違っても同じ形だと知っておくと迷いません。

接続

ます形の「ます」の前の音で作る(1グループは i段→u段、2グループは「ます」→「る」、3グループは覚える)

形
1グループ:かきます→かく、のみます→のむ、かいます→かう、まちます→まつ、とります→とる2グループ:たべます→たべる、みます→みる、おきます→おきる3グループ:します→する、きます→くる

導入

  • 辞書を引かせる教師が「『読みます』を辞書で引いてください」と言い、紙の辞書か辞書アプリで「読みます」が見つからないことを体験させる。「よむ」で引くと出てくることを見せ、「辞書の形=辞書形」と名前をつける。板書はテ形の表と同じ3列(1グループ・2グループ・3グループ)にし、ます形の横に辞書形を書き足していく。
  • 50音図で i段→u段を見せる1グループは五十音図の「い」の段から「う」の段へ一つ下がることを、表の上で指でたどって見せる(き→く、み→む、い→う、ち→つ、り→る)。2グループは「ます」を消して「る」をつけるだけ、3グループは2つだけなので丸ごと覚える、と分けて板書する。

板書案

ます形 → 〔赤〕辞書形
〔1グループ〕かきます → かく のみます → のむ (〔青〕い段 → う段 の矢印)
〔2グループ〕たべます → たべる みます → みる (「ます」を消して「る」)
〔3グループ〕します → する きます → くる (枠で囲む)
テ形の表(第7課)の横に、辞書形の列を足して書く

場面と発話(自作)

  • わからない言葉を辞書アプリで調べる。(「泳ぎます」を)およぐ……ありました。
  • 交流イベントで趣味を聞かれて、動詞で答える。写真を撮ることです。
  • 交流イベントの申し込み用紙の「趣味」の欄に書く。趣味:ギターを弾くこと

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、教師がます形の動詞カード(第3課〜第8課で出た動詞)を見せ、学習者が辞書形を言う。慣れたらグループを混ぜて速く回し、最後は辞書形を聞いてます形に戻す逆向きもする。そのあと「趣味は〜ことです」に入れて言わせ、ST1 のやり取りにつなぐ。

  1. 口頭教師がます形のカードを見せ、全体で辞書形を言わせる(「のみます」→「のむ」、「おきます」→「おきる」、「きます」→「くる」)。初めはグループごとに5枚ずつ、次にグループを混ぜ、最後は教師が辞書形を言って学習者がます形に戻す。全体→列→個人の順に当て、詰まった学習者にはテ形(のんで・おきて)を先に言わせてグループを思い出させる。
  2. ペアA はます形のカード、B は辞書形のカードを10枚ずつ持つ。A が1枚読むと B が対応するカードを探して辞書形で読み上げ、A は自分のカードの裏の答えで確かめる。B のカードには作り方を間違えた形を2枚混ぜておき、A が「違います」と言えたら1点。5枚で役を交替する。
  3. 産出「辞書形ビンゴ」。5×5のマスに第3課〜第9課の動詞の辞書形を学習者が自分で書き入れ、教師がます形を読み上げてビンゴを進める。そろった学習者は、そろった列の動詞から1つ選んで「趣味は〜ことです」の文を言う。教師はマスに書いた辞書形のつづり、特に「ます」の前が「い段」の2グループと1グループの取り違えを見て回って直す。

つまずきと手当て

  • 「*のみる」「*かいる」「*いきる」のように、「ます」の前が「い」の段の1グループの動詞に、2グループの作り方を当てる。テ形の表で何グループだったかを毎回確かめさせる
  • 「*きる(きます)」「*しる(します)」と3グループを2グループのように作る。3グループの2つだけは板書の枠で囲み、丸ごと覚えさせる
  • 「*みむ」「*おきく」と2グループを1グループのように作る。「みます」「おきます」は2グループ、とテ形(みて・おきて)と並べて確かめる
  • 「待つ」「撮る」の読みや書き方があいまいになる。辞書形はかなで書いて言えるのを先にし、漢字は後でよいと伝える

既習の文型との違い

  • テ形(第7課)どちらもグループで作り方が決まりますが、テ形は1グループの中で音便(書いて・飲んで・待って)が分かれ、辞書形は「い段→う段」の一つの規則で済みます。グループの判断はテ形で一度した結果がそのまま使えるので、「テ形で何グループだったか」を毎回の手がかりにします。2つの作り方が混ざって「*のんる」のような形を作る学習者には、2つの表を横に並べて見せます。
  • Vます(予定)(第3課)第3課から使ってきたます形は丁寧な文の終わりの形で、そのまま文が終わります。辞書形はこの課では「こと」の前に置く形として出し、文の終わりには使わせません(文を終える使い方は第11課の普通形)。「あした学校へ行く。」のように辞書形で文を終える学習者には、今は「こと」の前だけ、と伝えます。
関連する文型
学習項目 2 Vることです

意味・はたらき

「趣味は+Vることです」で、趣味を動詞を使って言います。第1課の「趣味は映画です」は名詞だけでしたが、「映画を見ることです」「日本の映画を見ることです」のように、何をどうするかまで詳しく言えるようになります。動詞を「こと」で名詞のようにして「です」の前に置く形です。文法の用語でいうと、この「こと」は動詞を名詞のはたらきにする形式名詞で、「Vること」のかたまり全体が「趣味は」の述語になります。

接続

V辞書形+こと+です(「趣味は」の後ろに置く)

形
趣味は本を読むことです趣味は写真を撮ることです趣味は国の料理を作ることです

導入

  • 名詞の答えを動詞に言い直す教師が「わたしの趣味は料理です」と言い、少し間をおいて「タイの料理を作ることです」と言い直す。板書は第1課の「趣味は [N]です」の下に「趣味は [Vる]ことです」を書き、「こと」を赤で示す。学習者に第1課で言った趣味を思い出させ、動詞で言い直させる。

板書案

趣味は [N] です。 趣味は 映画 です。(第1課)
趣味は [Vる]〔赤〕こと です。
趣味は 映画を 見る〔赤〕こと です。
〔青〕矢印:「見る」+「こと」=名詞の かたまり

場面と発話(自作)

  • サークルの歓迎会で、先輩に趣味を聞かれる。趣味は日本のアニメを見ることです。
  • アルバイト先の店長に、休みの日のことを聞かれる。趣味は公園を走ることです。
  • 交流イベントで名札の趣味を見た人に話しかけられる。趣味はギターを弾くことです。一緒に弾きませんか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、趣味の絵カード(本・ギター・写真・料理・走る など)を見せて「趣味は〜ことです」を言わせる。次に「を」の前の語を足して長くする(「本を読むこと」→「日本の本を読むこと」)。最後にペアで「趣味は何ですか」と聞き合い、本当の趣味で答える。

  1. 口頭絵カード(本・ギター・カメラ・包丁・走る人・プール)を見せ、全体で「趣味は本を読むことです」と言わせる。次に教師が語を足すキュー(「日本の」「国の」「友達と」)を出し、「趣味は友達とテニスをすることです」のように長くする。個人に当てるときは、教師がその学習者の第1課の答え(名詞)を言い、本人に動詞で言い直させる。
  2. ペアA は趣味の絵カードを1枚引いて伏せ、B が「趣味は何ですか」と聞く。A は「〜ことです」で答え、B は「そうですか。わたしの趣味は〜ことです」と自分の趣味で返す。3枚で役を交替し、最後は本当の趣味で同じやり取りをする。
  3. 産出「趣味のインタビュー」。席を立って3人に趣味を聞き、表(名前・趣味)に「〜こと」の形で書き取る。最後に一人ずつ「〇〇さんの趣味は〜ことです」とクラスに紹介する。教師は「こと」の落ちと、ます形のまま入れる誤りを聞き取り、紹介のあとでまとめて直す。

つまずきと手当て

  • 「*趣味は本を読みます」と、ます形のまま文を入れる。「趣味は〜です」の文なので、真ん中は「〜こと」と、板書の枠で形を固定する
  • 「*趣味は読むです」と「こと」を落とす。「こと」が動詞を名詞にする、と名詞のカード(映画)と「見ること」のカードを同じ枠に入れて見せる
  • 「*趣味は本を読むのことです」と「の」を入れる。第1課の「NのN」と混ざっているので、動詞の後ろはすぐ「こと」と確かめる

既習の文型との違い

  • 〜はNです(第1課)第1課の「趣味は映画です」は名詞を置くだけで、何をするかまでは言えません。「映画を見ることです」は動詞に「を」の語をつけられるので、「日本の古い映画を見ること」のように中身を足せます。「*趣味は見るです」と名詞の枠に動詞をそのまま入れる学習者には、「こと」で名詞にする、と第1課の文の真下に並べて見せます。
  • Nが好きです・嫌いです(第5課)「映画が好きです」は好みを言うだけで、自分が続けてしていることまでは言いません。「趣味は〜ことです」は自己紹介の決まった言い方で、聞かれたら1つか2つに絞って答えます。好きなものを全部「趣味は〜」で並べる学習者には、好きなもの(好きです)と、よくすること(趣味)を分けさせます。
関連する文型
学習項目 3 いつも・よく・ときどき・あまり・全然語彙

意味・はたらき

どのくらいの回数その動作をするかを表す副詞です。多い順に「いつも」「よく」「ときどき」と並び、「あまり」「全然」は後ろに「〜ません」をつけて、少ないこと・まったくしないことを言います。趣味を話すときに「よく読みます」「あまり読みません」と添えると、相手の話に応じた返事ができます。

接続

いつも・よく・ときどき+Vます/あまり・全然+Vません

形
いつも朝ご飯を食べますよく映画を見ますときどき料理を作りますあまりテレビを見ません/全然お酒を飲みません

導入

  • 目盛りで並べる黒板に100%から0%までの横線を引き、教師の1週間のカレンダー(コーヒーを飲む日に印)を見せながら、毎日なら「いつも」、5日なら「よく」、2日なら「ときどき」と目盛りに言葉を置いていく。「あまり」「全然」は線の0%に近い側に置き、後ろに「〜ません」を赤で書き足す。

板書案

100% いつも ― よく ― ときどき ― あまり〜ません ― 全然〜ません 0%
よく 映画を 見ます。
あまり テレビを 見ません。
〔赤〕「あまり」「全然」の後ろの「〜ません」を枠で囲む

場面と発話(自作)

  • 交流会で、映画が好きかと聞かれる。はい、よく見ます。
  • 日本人の友達に、自分で料理をするか聞かれる。いいえ、あまり作りません。
  • アルバイト先の店長に、休みの日に何をするか聞かれる。ときどき友達と買い物に行きます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、行動の絵カードと目盛りの位置を見せて文を言わせる(例:テレビ・20%→「ときどき見ます」)。そのあとペアで「よく〜ますか」と聞き合い、自分のことで答えさせる。

  1. 口頭目盛りの位置を指で指し、行動の絵カード(コーヒー・テレビ・料理・走る人・お酒)と組み合わせて全体で言わせる(コーヒー・100%→「いつもコーヒーを飲みます」、お酒・0%→「全然お酒を飲みません」)。次に教師が「よく」「あまり」と副詞だけを言い、学習者が肯定・否定を切り替えて文を言う。個人には、教師の質問「よくテレビを見ますか」に自分のことで答えさせる。
  2. ペアA と B に、別の人の1週間のカレンダー(行動の印の数が違う)を配る。相手のカレンダーの人について「この人はよく走りますか」と聞き合い、印の数を見て副詞で答える。聞いた答えを自分の紙の目盛りに書き込み、最後にカレンダーを見せ合って合っているか確かめる。
  3. 産出「頻度アンケート」。料理・運動・映画・本・ゲームなど8項目のアンケート用紙に、学習者が自分の答えを副詞で書く。4人グループで比べ、「わたしはよく料理を作りますが、〇〇さんはあまり作りません」とグループの結果を報告する。教師は「あまり」「全然」の後ろが「〜ません」になっているかと、「よく」を否定の文に使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*あまり見ます」「*全然飲みます」と、後ろを肯定にする。板書の「あまり」「全然」の後ろに「〜ません」を固定して書き、セットで言わせる。日本人どうしの話し言葉では「全然」を肯定の文で使うのを聞くこともあるが、この段階では否定とセットで覚えさせる
  • 「*よくません」と「よく」を否定に使う。「よく」は回数が多いほうだけ、と目盛りの位置で確かめる
  • 「ときどき」と「よく」の差があいまいで、何でも「よく」と言う。カレンダーの印の数で、どちらが多いかを比べさせる

既習の文型との違い

  • とても・少し/あまり〜ない(第4課)第4課の「あまり」は「あまり大きくないです」のように形容詞につき、程度が低いことを言いました。この課の「あまり」は動詞の文につき、回数が少ないことを言います。どちらも後ろが否定になる点は同じなので、「あまり+否定」を一つの決まりとしてまとめて見せると覚えやすくなります。
  • Vます(習慣)(第3課)第3課の「毎日7時に起きます」は、くり返すことをます形だけで言いました。頻度の副詞を足すと、毎日ではないことの回数の多さ・少なさも言えます。「毎日」と「ときどき」を一つの文に重ねる学習者には、「毎日」は時の言葉、副詞は目盛りの言葉と分けて、どちらか一つを選ばせます。
関連する文型
学習項目 4 でも

意味・はたらき

前の文と反対のことや、予想と違うことを次の文の初めで言うときに使う接続の言葉です。「わたしはあまり読みません。でも、映画をよく見ます」のように、相手の話を受けて自分の場合を足すと会話が続きます。第4課の「〜が、〜」は一つの文の中でつなぎますが、「でも」は文を一度切ってから使います。

接続

文。でも、文。(次の文の初めに置く)

形
料理が好きです。でも、上手じゃありませんあまり本を読みません。でも、映画をよく見ます

導入

  • 二つの文のあいだに置く教師が「わたしはギターが好きです」と言って笑顔、「……上手じゃありません」と言って困った顔を見せる。2つの文を板書し、あいだに「でも、」のカードを置いて続けて読む。第4課の「〜が、〜」の文も並べて書き、どちらも反対のことをつなぐと確かめる。

板書案

文。〔赤〕でも、文。
料理が 好きです。でも、上手じゃ ありません。
(第4課)料理が 好きですが、上手じゃ ありません。
〔青〕笑顔の絵 → 困った顔の絵(反対のとき だけ「でも」)

場面と発話(自作)

  • サークルで、スポーツが好きかと聞かれる。サッカーをあまりしません。でも、テニスをよくします。
  • 日本人の友達に料理を作るか聞かれる。料理が好きです。でも、あまり作りません。
  • サークルの先輩に、日本の生活はどうか聞かれる。楽しいです。でも、少し忙しいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、教師が前の文を言い(「本が好きです」)、学習者が「でも、〜」で反対の文を続ける。慣れたらペアで、相手の話に「わたしは〜。でも、〜」で自分の場合を返す練習をする。

  1. 口頭教師が前の文を言い、学習者が「でも、〜」で反対の文を全体で続ける(「このレストランはおいしいです」→「でも、高いです」、「日本語が好きです」→「でも、漢字が難しいです」、「よく映画を見ます」→「でも、本をあまり読みません」)。次に反対でない組(「おいしいです」→「安いです」)を混ぜ、「でも」と「そして」のどちらでつなぐかを選ばせる。
  2. ペアA が自分の好きなことを1文言い、B は「そうですか。わたしは〜。でも、〜」で自分の場合を返す。4往復したら役を交替する。B が反対でないことを「でも」でつないだら、A が「そして?」と聞き返す決まりにして、二人で気づけるようにする。
  3. 産出「でもリレー」。5〜6人で円になり、一人目が自分のことを1文言うと、次の人が「でも、〜」で前の人と反対の自分のことを言い、その次の人がまた「でも、〜」でつなぐ。教師は前の文と反対の関係になっているかと、「でも」の前で文がいったん切れているかを聞いて、一周したところで直す。

つまずきと手当て

  • 「料理が好きです。でも、よく作ります」のように、反対でないことを「でも」でつなぐ。足すだけなら「そして」、反対のときだけ「でも」と、顔の絵(笑顔→笑顔/笑顔→困った顔)で見せる
  • 「*料理が好きですでも、上手じゃありません」と、文を切らずに続ける。一つの文でつなぐなら「〜が、〜」、「でも」は文を切ってから、と板書を2行に分けて見せる
  • 相手の文に答えずに、いきなり「でも、〜」から話し始めて反論のように聞こえる。この段階では「そうですか。わたしは〜。でも、〜」のように、相手の話を受ける一言を先に置かせる

既習の文型との違い

  • 〜が、〜(第4課)第4課の「〜が、〜」は一つの文の中で反対のことをつなぎ、「でも」は文をいったん「。」で切ってから次の文の初めに置きます。意味は近いですが、話すときは「でも」のほうが、相手の話に自分の場合を足す返事として使いやすい形です。書くときに「*好きですでも、〜」と切らずに続ける誤りが出るので、句点の位置を確かめます。
  • そして(第4課)「そして」は同じ向きのことを足し、「でも」は反対のことを続けます。学習者は「でも」を「そして」「それから」のように何でもつなぐ言葉として使いがちなので、前の文と後ろの文で気持ち(よい・よくない)が変わるかどうかで選ばせます。
関連する文型
学習項目 5 [期間]に[〜回・冊・本](助数詞)

意味・はたらき

「1週間に2回」「1か月に3冊」のように、ある期間の中でどのくらいの回数・量をするかを言います。「に」は「その期間の中で」という意味です。数えるものによって助数詞が変わり、回数は「回」、本や雑誌は「冊」、映画は「本」で数えます。頻度の副詞より具体的に言えるので、趣味の話がはっきりします。

接続

[期間]+に+数字+助数詞(+Vます)。「何回」「何冊」「何本」で聞く

形
1週間に2回テニスをします1か月に3冊本を読みます1年に10本映画を見ます1か月に何回……?/何冊?/何本?

導入

  • カレンダーに印をつける教師の1か月のカレンダーに、本を読み終えた日に本の絵を3つ貼り、「1か月に3冊読みます」と言う。次に1週間の欄でテニスの日に丸を2つつけて「1週間に2回」と言う。板書は「[1週間・1か月・1年]に [数][回・冊・本]」の枠にし、読みの変わる数(いっかい・ろっかい・はっかい・じゅっかい、いっさつ、いっぽん・さんぼん・ろっぽん)を表にして赤で囲む。

板書案

[期間]〔赤〕に [数][回・冊・本] Vます
1週間に 2回 テニスを します。
1か月に 3冊 本を 読みます。
〔青〕読みの変わる数:いっかい・ろっかい・はっかい・じゅっかい/いっさつ/いっぽん・さんぼん・ろっぽん
何回? 何冊? 何本?

場面と発話(自作)

  • サークルの先輩に、どのくらい練習するか聞かれる。1週間に3回練習します。
  • 映画好きの友達と、どのくらい映画を見るか話す。1か月に4本見ます。
  • 日本語の先生に、家でどのくらい勉強するか聞かれる。1週間に4回勉強します。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、カレンダーと絵カード(テニス・本・映画)を見せて「〜に〜回/冊/本〜ます」を言わせ、読みの変わる数を多めに出す。そのあとペアで「1か月に何冊読みますか」のように聞き合い、ST1 のインタビューの答えに足させる。

  1. 口頭カレンダーに印をつけた絵カードを見せ、全体で「1週間に3回走ります」「1か月に2冊読みます」「1年に5本見ます」と言わせる。次に数字だけを変えるキュー(1・3・6・8・10)を速く出し、読みの変わる数を集中してくり返す。個人には「1か月に何冊読みますか」と聞き、自分のことで答えさせる。
  2. ペアA は「本・映画・テニス・料理」の4枚のカードを持ち、B に「1か月に何冊読みますか」のように物に合った助数詞で聞く。B は本当の数で答え、A は答えをメモする。4つ聞いたら交替し、最後にメモを見せ合って助数詞が合っているか確かめる。
  3. 産出「わたしの数字クイズ」。学習者が自分のことを数字で3つ書き(「1週間に4回」「1か月に2冊」など)、クラスの前で数字だけを見せる。ほかの学習者は「1週間に4回、何をしますか」「走りますか」と質問して当てる。教師は「に」の有無、助数詞と物の組み合わせ、読みの変化を聞き取り、クイズのあとで黒板の表に戻って確かめる。

つまずきと手当て

  • 「1週間で2回」「1週間2回」と、「に」を別の助詞にしたり落としたりする。「1日3回」「週2回」のように「に」なしでもふつうに言うので誤りではないが、この段階では期間の後ろは「に」と板書の枠で固定する
  • 「*いちかい」「*さんほん」「*いちさつ」と読みの変化を落とす。赤で囲んだ表を見ながら声に出させ、特に「本」の「ぽん・ほん・ぼん」の3つをくり返す
  • 映画を「*3冊」、本を「*3本」と数えるものを取り違える。絵カードの裏に助数詞を書いておき、言う前に確かめさせる

既習の文型との違い

  • Nを(〜つ)ください(第2課)第2課の「りんごを3つください」は、物の数を「つ」で言いました。この課は物によって「冊」「本」と助数詞を変え、さらに回数の「回」が入ります。本も映画も「3つ」と第2課の「つ」で数える学習者には、本・映画・回数の3つの絵を並べて助数詞を選ばせます。
  • 〜が(〜人・匹)います(第8課)第8課の「兄が2人います」「猫が1匹います」も助数詞ですが、ある・いるの文で数を言うだけでした。この課は「1週間に」のような期間を前に置き、その中で何回・どれだけするかを言うので、「期間+に」が新しい部分です。
関連する文型

ST2 できること・できないこと

できること表や案内などの情報を見ながら、自分や周りの人ができること・できないことを伝えられる。

場面

国際交流イベントの準備の集まりで、日本人のスタッフと留学生が係(料理・音楽・写真・受付)を決める場面です。教室では「名前・できること・できないこと」を書いた表を配り、表を見ながら誰にどの係を頼むか話し合わせると、「できますか」「できません」を使う必要が生まれます。

  • 日本人のスタッフ:料理ができますか。
  • 留学生:はい、できます。国の料理を作ることができます。
  • 日本人のスタッフ:いいですね。ピアノを弾くことができますか。
  • 留学生:いいえ、全然できません。でも、ギターが少しできます。
  • 日本人のスタッフ:そうですか。じゃ、誰が写真を撮ることができますか。
  • 留学生:(表を見て)山田さんができます。山田さんの趣味は写真を撮ることです。
学習項目 1 Nができます/Vることができます(能力)

意味・はたらき

その人に、ある力や技があることを言います。スポーツ・料理・言葉など「〜をすること」が中に入っている名詞なら「テニスができます」「日本語ができます」、そうでなければ辞書形を使って「ギターを弾くことができます」「漢字を読むことができます」と言います。できないときは「できません」で、「少し」「あまり」「全然」を添えると程度も伝えられます。文法の用語では可能表現の一つで、のちに習う可能動詞(弾ける・泳げる)と同じ意味を、辞書形と「ことができる」で表す形です。

接続

N+が+できます/V辞書形+こと+が+できます

形
テニスができます日本語が少しできますギターを弾くことができます漢字を読むことができません

導入

  • 教師ができること・できないこと教師が泳ぐ・ピアノ・料理・車の運転の絵カードを順に見せ、「わたしは料理ができます」とうなずき、「ピアノを弾くことができません」と首を振る。板書は「[N]が できます」「[Vる]こと が できます」の2行にし、「が」を赤で示す。
  • 係を決める表を見るST2 の場面の表(名前と、料理・ギター・写真・受付の欄に○×)を配り、教師が「誰が料理ができますか」と聞いて、表を見て答えさせる。○なら「できます」、×なら「できません」と、情報をもとに話す流れを作る。

板書案

[N] 〔赤〕が できます。 テニスが できます。
[Vる] こと〔赤〕が できます。 ギターを 弾く ことが できます。
できません/少し できます/あまり できません/全然 できません
〔青〕絵カードの ○ × で できる・できない

場面と発話(自作)

  • 交流イベントのスタッフに、手伝える係を聞かれる。料理ができます。国の料理を作ることができます。
  • アルバイトの面接で、話せる言葉を聞かれる。英語と中国語ができます。日本語も少しできます。
  • 友達に、日本の新聞が読めるか聞かれる。いいえ、漢字を読むことがあまりできません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、絵カードを見せて「〜ができます」と「〜ことができます」を言い分けさせ、○×の印でできる・できないを切り替える。そのあとST2 の表を使い、グループで「誰が〜ができますか」「〜さんができます」と話して係を決めさせる。

  1. 口頭絵カード(テニス・料理・車・泳ぐ人・ピアノ・漢字)に○か×をつけて見せ、全体で「テニスができます」「ピアノを弾くことができません」と言わせる。名詞のカードと動詞のカードを交互に出し、「こと」の要る・要らないを切り替えさせる。個人には「泳ぐことができますか」と聞き、「少し」「全然」を添えて自分のことで答えさせる。
  2. ペアA と B に、係を決める表の半分ずつ(A は料理と音楽の欄、B は写真と受付の欄に○×が入っている)を配る。相手の欄を「〇〇さんは写真を撮ることができますか」と聞いて埋め、表がそろったら、二人で誰にどの係を頼むか決める。
  3. 産出「イベント係決め会議」。4人グループで、クラスの交流イベントの係(料理・音楽・写真・受付・ポスター)を決める。一人ずつ自分ができること・できないことを言い、「じゃ、〇〇さんは料理ですね」と係を決めて、最後に結果をクラスに発表する。教師は「が」と「を」の取り違えと「こと」の落ちを記録し、会議のあとでまとめて直す。

つまずきと手当て

  • 「*テニスをできます」「*ギターを弾くことをできます」と「を」を使う。「できます」の前は「が」と、板書の赤い「が」を指して確かめる。「ギターを弾く」の「を」はそのまま残ることも、カードの並びで見せる
  • 「*泳ぐができます」と「こと」を落とす。動詞の後ろには「こと」、名詞ならそのまま、とST1 の「Vることです」と並べて見せる
  • 自分のことを「わたしは料理が上手です」と言う。第8課の「上手」は人をほめるときに使うことが多く、自分のことは「できます」で言うほうが自然だと伝える
  • できないことを「*料理ができますじゃありません」と言う。否定は「できません」だけ、と肯定と否定を対にして板書する

既習の文型との違い

  • 〜はNが上手です・下手です(第8課)「上手です」は人の技をほめたり評価したりする言い方で、「〇〇さんは料理が上手です」のように他人について使うことが多い形です。「できます」はその力があるかないかを言うだけなので、自分のことにも使えます。自分のことを「上手です」と言うと自慢に聞こえることがあるので、自分のことは「できます」「少しできます」で言わせます。
  • Vたいです(第5課)「ギターを弾きたいです」は希望で、まだできなくても言えます。「弾くことができます」は今の力です。「弾くことができません。でも、弾きたいです」と2つを並べて言わせると、希望と能力の違いがはっきりします。
関連する文型

ST3 楽しい週末

できること休みの日にしたことを順番に話し、自分が知っている料理などのやり方を説明できる。

場面

月曜日の朝、日本人の友達と週末のことを話していて、自分の国の料理の話になる場面です。教室では学習者に週末の行動を3つ書いたメモと、自分の国の料理の写真を持ってこさせ、ペアで「何をしましたか」「どうやって作りますか」と聞き合わせます。

  • 日本人の友達:週末、何をしましたか。
  • 留学生:土曜日に友達の家へ行って、一緒に国の料理を作りました。
  • 日本人の友達:いいですね。何を作りましたか。
  • 留学生:春巻きです。
  • 日本人の友達:春巻きはどうやって作りますか。
  • 留学生:野菜と肉を切って、皮で巻いて、油で揚げます。
  • 日本人の友達:へえ。わたしも作りたいです。作り方を教えてください。
学習項目 1 Vて、〜

意味・はたらき

テ形で文をつなぎ、動作を起こった順番に続けて言います。「朝起きて、公園を走って、朝ご飯を食べました」のように、いくつかの動作を一つの文で話せます。過去か今かは最後の動詞で決まるので、テ形の部分は過去の話でも「〜て」のままです。手順を説明するときにも同じ形を使います。文法の用語では、テ形の「継起」(動作が続いて起こること)の用法にあたります。

接続

Vテ形、Vテ形、V(ます/ました)(時は最後の動詞で表す)

形
友達の家へ行って、料理を作りました朝起きて、シャワーを浴びて、学校へ行きます野菜を切って、炒めます

導入

  • 絵を順に並べる教師の週末の絵カード(起きる・公園を走る・カフェへ行く)を3枚、左から順に黒板に貼り、第5課の形で「起きました。それから、公園を走りました」と言ってみせる。次に同じ絵を指しながら「起きて、公園を走って、カフェへ行きました」と言い直し、板書の最初の2つの動詞を「〜て」に、最後だけ「〜ました」にして色を変える。

板書案

Vて、 Vて、 V〔赤〕ました。
起きて、 公園を 走って、 カフェへ 行きました。
〔青〕絵カード3枚の下に、左から右へ時間の矢印
野菜を 切って、 炒めます。(作り方)
〔赤〕時(ます・ました)は 最後の 動詞だけ

場面と発話(自作)

  • 月曜日の朝、友達に週末のことを聞かれる。日曜日は図書館へ行って、本を読みました。
  • ホームステイ先の家族に、朝の過ごし方を話す。毎朝6時に起きて、走って、シャワーを浴びます。
  • 学校のあとの予定を、友達に聞かれる。スーパーへ行って、買い物をして、うちへ帰ります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、行動の絵カードを2〜3枚並べて「〜て、〜て、〜ました」を言わせ、カードの順番を入れ替えて文も入れ替えさせる。そのあと学習者が書いてきた週末のメモで、ペアに週末のことを話させる。

  1. 口頭絵カードを2〜3枚並べ、全体で「起きて、シャワーを浴びて、学校へ行きます」と言わせる。教師がカードの順番を入れ替えたら文も入れ替え、最後の絵の上に「きのう」「毎日」のカードを置いて「〜ました」「〜ます」を切り替えさせる。個人には教師がテ形の動詞だけを言い(「買って」「帰って」)、学習者が文に入れて続けさせる。
  2. ペアA は自分の週末の絵カード3枚を伏せて持ち、B に「週末、何をしましたか」と聞かれたら、カードを見ずに「〜て、〜て、〜ました」で話す。B は聞いた順にカードを並べてみせ、カードを表にして合っているか確かめてから役を交替する。
  3. 産出「週末メモの発表」。学習者が自分の週末の行動を3〜4つメモしてきて、ペアを3回替えながら「土曜日に〜て、〜て、〜ました」と話し、聞いた人は「どうでしたか」と一つ質問する。最後に何人かにクラスで発表させる。教師はテ形の作り方と最後の動詞の時(ました)を聞き取り、発表のあとで直す。

つまずきと手当て

  • 「起きました、走りました、食べました」とテ形を使わずに並べる、または改まった「起きまして」を使う。最後以外は「〜て」、と板書の色分けで見せる
  • 過去の話なのに「公園を走って、ご飯を食べます」と最後を現在にする。時は最後の動詞で決まるので、最後だけ「ました」と確かめる
  • テ形の作り方を間違える(「*いきて」「*よみて」「*かえて」)。第7課のテ形の表を出して確かめ、つなぐ前に動詞1つずつテ形を言わせる
  • 起こった順番と違う順で並べる。絵カードの左から右が時間の順、と並べ方で確かめる

既習の文型との違い

  • それから(第5課)第5課の「起きました。それから、公園を走りました」は、文を一つずつ切って順番を言いました。「Vて、〜」は一つの文にまとめるので、話が短くなり、続いて起こった感じが出ます。動作が2つ3つなら「Vて」でつなぎ、それより長くなるときは「それから」で文を切る、と使い分けを見せます。
  • イAくて、〜/ナA・Nで、〜(第8課)第8課は形容詞や名詞のテ形で、「優しくて、おもしろい人です」のように様子を並べました。この課は動詞のテ形で、動作を起こった順に並べます。同じ「て」でも、形容詞は順番を持たず、動詞は時間の順になる点が違います。
関連する文型
学習項目 2 どうやって

意味・はたらき

やり方や手段を聞く疑問詞です。「春巻きはどうやって作りますか」と聞かれたら、テ形をつないで手順を答え、「駅までどうやって行きますか」と聞かれたら、第4課の「[交通手段]で」で答えます。理由を聞く「どうして」(第5課)や、様子を聞く「どうですか」と音が似ているので、何を聞いているかを区別させます。

接続

〜は+どうやって+Vますか

形
春巻きはどうやって作りますか駅までどうやって行きますかこの漢字はどうやって読みますか

導入

  • 教師の作り方を当てさせる教師がおにぎりの写真を見せ、学習者に「どうやって作りますか」と聞かせる。教師はご飯・塩・のりの実物か絵を順に使いながら「手に水をつけて、ご飯を持って、塩をつけて、のりを巻きます」と答える。板書は「〜は どうやって Vますか」と、答えの「Vて、Vて、Vます」を上下に並べる。

板書案

〜は 〔赤〕どうやって Vますか。
おにぎりは どうやって 作りますか。
── 手に 水を つけて、ご飯を 持って、のりを 巻きます。
駅まで どうやって 行きますか。── 電車で 行きます。
〔青〕どうして → 〜から(理由) どうやって → 〜て、〜/〜で(やり方)

場面と発話(自作)

  • 友達が自分の国の料理を作ってくれて、作り方を知りたい。これはどうやって作りますか。——肉を切って、焼きます。
  • 新しいアルバイト先への行き方を、先輩に聞く。お店までどうやって行きますか。——電車で行きます。
  • 授業のあと、読めない漢字を友達に聞く。この漢字はどうやって読みますか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、料理の写真や駅の地図を見せて「どうやって〜ますか」と聞かせ、教師が答える役から始めて、学習者が答える役に移す。そのあとペアで、自分の国の料理の作り方を2〜3の手順で説明し合う。

  1. 口頭料理の写真・駅の地図・漢字のカードを見せ、全体で「これはどうやって作りますか」「駅までどうやって行きますか」「この漢字はどうやって読みますか」と質問を言わせる。次に教師が答え(「電車で行きます」「切って、焼きます」)を言い、学習者がその答えに合う質問を作る逆向きの練習をする。最後に「どうして」と「どうやって」のカードを混ぜ、答えに合うほうを選ばせる。
  2. ペアA は料理のカード(作り方が3段階の絵で描いてある)、B は町の地図のカード(家から店まで交通手段の印つき)を持つ。B が A に「〜はどうやって作りますか」、A が B に「〜までどうやって行きますか」と聞き、相手は自分のカードの情報で答える。聞いた人は手順や交通手段を自分の紙に書き取り、最後にカードと見比べる。
  3. 産出「わたしの国の料理の作り方紹介」。学習者が自分の国の料理を一つ選び、写真を見せて3〜4の手順で作り方を説明し、聞いている人は「どうやって〜ますか」で一つ質問する。教師は質問の形(どうやって+Vますか)と答えのテ形のつなぎを聞いて直し、手順の動詞が足りない学習者には切る・焼く・入れる・揚げるなどを板書で補う。

つまずきと手当て

  • 「どうして作りますか」と、理由を聞く「どうして」と取り違える。「どうして」の答えは「〜から」、「どうやって」の答えは「〜て、〜」か「〜で」と、答えの形を並べて見せる
  • 「春巻きはどうですか」と様子を聞く形にしてしまう。作り方・行き方を知りたいときは「どうやって+Vますか」と、動詞まで言わせる
  • 答えを「*どうやって切って、揚げます」のように「どうやって」から始める。答えには「どうやって」を入れない、と質問と答えの板書を重ねて見せる

既習の文型との違い

  • どうして/〜から(第5課)「どうして」は理由を聞き、答えは「〜から」です。「どうやって」はやり方や手段を聞き、答えはテ形の手順か「[交通手段]で」です。音が似ていて取り違えやすいので、意味の説明より、答えの形を並べて見せるほうが早く区別できます。
  • [交通手段]で(第4課)第4課では「電車で行きます」のように、手段を「で」で答えました。「どうやって行きますか」はやり方全体を聞くので、「電車で」だけでなく「駅まで歩いて、電車に乗ります」のように手順で答えることもできます。「で」の答えとテ形の答えの両方を板書し、場面で選ばせます。
  • (Nの)V方(第7課)第7課の「作り方」は名詞で、「作り方を教えてください」のように頼むときに使いました。「どうやって作りますか」は同じことを質問の文で聞く形です。聞くときは「どうやって」、頼むときは「〜方を教えてください」と、場面で選べるようにします。
関連する文型

語彙の扱い

この課の語は、趣味の動作(読む・弾く・撮る・走る など)、頻度の言葉、期間(1週間・1か月・1年)と助数詞、料理の手順の動詞(切る・炒める・揚げる・巻く など)の4つのかたまりに分かれます。動詞はます形と辞書形を対にして覚えさせ、どのグループかを毎回確かめます。料理の手順の語は学習者が紹介したい料理によって違うので、全員に覚えさせる語(切る・焼く・入れる)と、本人だけが覚える語を分けます。

この課の練習で使う語(10語・意味・連語・例文)

  • 趣味(しゅみ) 仕事や勉強ではなく、好きでよくすること。 〜は何ですか・〜の話
    交流イベントで初めて会った人に聞く。
    趣味は何ですか。——写真を撮ることです。
  • 弾きます(ひきます) ギターやピアノを指で鳴らして、音楽をする。 ギターを〜・ピアノを〜
    イベントの音楽の係を探している。
    ギターを弾くことができますか。——はい、少しできます。
  • 撮ります(とります) 写真や動画を、カメラやスマホに残す。 写真を〜・動画を〜
    スマホの写真を見せながら、趣味を話す。
    週末はよく公園へ行って、花の写真を撮ります。
  • 泳ぎます(およぎます) 水の中で手と足を動かして進む。 プールで〜・海で〜
    夏休みの予定を友達と話す。
    わたしは泳ぐことが全然できません。
  • 運転します(うんてんします) 車やバイクを動かして、道を走らせる。 車を〜・バイクを〜
    アルバイトの面接で、車の運転について聞かれる。
    はい、車を運転することができます。
  • 練習します(れんしゅうします) 上手になるために、同じことを何回もする。 ギターを〜・毎日〜・1週間に3回〜
    サークルの先輩に、練習の回数を聞く。
    1週間に何回練習しますか。
  • 〜冊(〜さつ) 本やノート、雑誌を数えることば。 本を1〜・何〜
    図書館で、友達とよく読む本の話をする。
    1か月に2冊本を読みます。
  • 切ります(きります) 包丁やはさみで、物を分ける。 野菜を〜・肉を〜・小さく〜
    国の料理の作り方を説明する。
    野菜を小さく切って、なべに入れます。
  • 焼きます(やきます) 火やフライパンで、肉や魚、パンなどに火を通す。 肉を〜・魚を〜・パンを〜
    週末に友達と公園で料理をした話をする。
    公園で肉を焼いて、みんなで食べました。
  • 週末(しゅうまつ) 1週間の終わりの、土曜日と日曜日。 〜に・楽しい〜
    月曜日の朝、友達と話す。
    週末、何をしましたか。——友達と映画を見ました。

宿題と次のコマ

宿題は、自分の趣味(「〜ことです」と頻度)・できること・週末にしたことを入れた自己紹介を5文と、国の料理の作り方を3つの手順で書いてくること。次のコマの最初に何人かに読んでもらい、聞いている人に「どうやって行きましたか」「どうやって作りますか」と一つずつ質問させてから、第10課の ST1「集合」に入ります(ST3 の「どうやって行きますか」が、集合場所への行き方を友達に聞く場面につながります)。

よくある質問

  • 第9課「好きなこと」は何コマで終わりますか?

    90分なら3コマが目安です。1コマ目で導入と辞書形・「Vることです」、2コマ目で頻度の副詞・「でも」・助数詞と ST2 の「できます」、3コマ目で ST3 の「Vて、〜」「どうやって」と課のまとめを行います。辞書形の作り方に時間がかかるクラスは、1コマ目の最後の辞書形ビンゴで定着を確かめてから先へ進みます。

  • 辞書形はどの順で、どう導入すればいいですか?

    第7課のテ形でグループ分けがすんでいるので、テ形の表の横に辞書形の列を足す形で入ると、新しく覚えるのは作り方だけになります。板書は1・2・3グループの順に並べますが、口頭の練習は作り方の簡単な2グループと3グループから始め、1グループは五十音図の「い段→う段」を指でたどって規則として見せてから練習します。「ます」の前が「い段」の2グループ(みます・おきます)は1グループと取り違えやすいので、テ形(みて・おきて)と並べて確かめます。

  • 「Nができます」と「Vることができます」はどう使い分けますか?

    スポーツ・料理・言葉のように「〜をすること」が名詞の中に入っているものは「テニスができます」「日本語ができます」と名詞で言い、それ以外は「ギターを弾くことができます」と辞書形を使います。どちらも「が」をとる点は同じなので、板書では「が」だけを赤にして2行を上下に並べます。迷う学習者には、名詞だけで何をするかが伝わるかどうかを目安にさせます。

  • 「全然」は否定の文と一緒に教えるだけでいいですか?

    この課では「全然+〜ません」のセットで教えます。日本人どうしの話し言葉では「全然大丈夫です」のように肯定の文で使うのを聞くこともありますが、初級で両方を出すと使い方がぶれます。学習者が肯定の例を聞いて質問してきたら、話し言葉ではそう言う人もいると答え、自分で使うときは否定とセットにするよう伝えます。

  • 「どうやって」と「どうして」の違いはどう教えればいいですか?

    音が似ているので、意味の説明より答えの形で分けるのが早道です。「どうして」は理由を聞き、答えは「〜から」、「どうやって」はやり方や手段を聞き、答えは「〜て、〜て、〜ます」か「〜で」です。質問のカードと答えのカードを混ぜて組み合わせる練習をすると、聞き分けと言い分けが同時に練習できます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。