相手・話題の人物・場面への配慮に応じて表現を使い分けること、およびその表現全体。敬語はその中核をなす一部にすぎず、待遇表現のほうが広い概念である。
上位に位置づけるプラス待遇(尊敬語・謙譲語・丁寧語)だけでなく、対等・親愛を示す普通体や、相手を低く扱うマイナス待遇(「〜やがる」「ばか」などの罵倒的表現)も含む。文末のスピーチレベル、依頼の言い回し、話題の選び方、あいづちなど、敬語形式以外の要素も待遇の担い手になる。
試験では「待遇表現=敬語」と等号で結ぶ選択肢が誤り。敬語 ⊂ 待遇表現という包含関係を押さえる。学習者にとっては形式より「どの場面でどのレベルを選ぶか」の判断が難しく、スピーチレベルシフトの指導とセットで扱われる。
同じ「来てほしい」という内容でも、親しい友人には「明日来てよ」、先輩には「明日来てもらえますか」、取引先には「明日お越しいただけますでしょうか」と言い分ける。敬語を使うかどうかだけでなく、命令の形にするか、相手に可能かどうかを尋ねる形にするかといった依頼の形の選び方も、相手との関係に応じた待遇の違いとして表れている。
腹を立てた人が「何をしやがるんだ」と言うとき、「〜やがる」は相手の行為を低めて扱う表現で、マイナス待遇にあたる。敬語だけを学んできた学習者は、ドラマなどでこうした表現を聞いても意味をつかみにくいことがある。待遇表現という広い枠でとらえると、相手を高める表現と低める表現を一つの軸の上で整理できる。
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