同じ相手との会話の中で、デス・マス体(敬体)と普通体(常体)が行き来する現象。心理的距離の調節、独り言的な発話、感情の高まりや話題の転換などによって起こる。
敬語の「誤用」や「乱れ」ではなく、対人関係を細かく調整する自然な言語行動として研究されている。ポライトネスの観点からは、距離を縮める・保つという配慮の運用として説明できる。
日本語学習者には運用が難しく、いつ・なぜレベルが切り替わるのかは待遇コミュニケーション教育の重要な課題になっている。
初対面の相手と「ご出身はどちらですか」「タイです」とデス・マス体で話していた学習者が、共通の趣味が分かると「えっ、ほんと? 私も好き!」と普通体に変わる。驚きや喜びで気持ちが高まり、相手との距離が縮まったことが、文体の切り替えとして表れている。
教師が授業中にデス・マス体で説明しながら、「えーと、これは……あ、そうか」と独り言の部分だけ普通体になることがある。聞き手に向けた発話ではなく、自分の考えをまとめている部分なので、普通体が自然に選ばれる。一つの会話の中でも、発話の向きによって文体が行き来する例である。
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