ブラウンとレヴィンソン(Brown & Levinson)が提唱した、円滑な人間関係を築き維持するための言語的な配慮を説明する理論。人はだれでも「他者に認められたい・近づきたい」というポジティブ・フェイスと、「自分の領域を邪魔されたくない」というネガティブ・フェイスという2つの欲求(フェイス)を持つと考える。
ポジティブ・フェイスに向けた配慮(ほめる・共感する・仲間として扱う)がポジティブ・ポライトネス、ネガティブ・フェイスに向けた配慮(婉曲に頼む・選択の余地を残す)がネガティブ・ポライトネス。
「ポライトネス=丁寧な敬語」ではない点が最重要。敬語の有無にかかわらず、あらゆる言語に見られる普遍的な配慮の仕組みを指す。
「窓を開けてもらえますか」と頼む場面を考える。「暑いね、開けちゃおうか」と仲間として誘えば、相手との近さに訴えるポジティブ・ポライトネスになる。「もしご迷惑でなければ、少し開けていただけないでしょうか」と相手に断る余地を残して頼めば、ネガティブ・ポライトネスになる。どちらも相手への配慮であり、丁寧さの度合いだけで良し悪しは決まらない。
教室で学習者が教師に「先生、この本、貸してください」と言ったとする。文法は正しいが、相手に負担をかける依頼をそのまま差し出している。「すみません、もしよかったら」と前置きをつける、「今週だけお借りしてもいいですか」と負担を小さく見せる、といった言い方を加えると、相手のネガティブ・フェイスへの配慮が表れる。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。