自分と相手と場面(人間関係・状況)をどう認識するかに基づいて、表現し、また理解していく相互行為全体をとらえる枠組み。蒲谷宏らが提唱し、待遇表現を「表現する側」だけでなく理解する側も含めて見る点に特徴がある。
何を(内容)・どう(形式)表現するかの前に、そもそも言うか言わないか、いつ・どの媒体で言うかという選択も含めて扱う。「気配りの言語行動」を敬語形式の正誤に還元しないための考え方である。
日本語教育では、敬語の活用形を正しく作れることと、ウチ・ソトや上下・親疎を読み取って適切に運用できることは別の能力だ、という前提で扱われる。事例問題では、形式は正しいのに関係認識がずれている学習者、という設定が典型的。
学習者が先生の研究室を訪ね、「先生、推薦状を書いていただけますか」と正しい敬語で頼んだ。しかし締め切りは翌日で、事前の相談もなかったため、先生は困ってしまった。形式は正しいが、相手の立場や負担、頼むタイミングの認識がずれていた。待遇コミュニケーションでは、こうした「いつ・どのように言うか」まで含めて考える。
職場で上司の提案に問題があると気づいたとき、会議の場で言うか、あとで個別にメールで伝えるか、それとも言わないでおくか。この選択自体が相手と場面への配慮を表す。待遇コミュニケーションは、敬語の形を選ぶ前の「言うか言わないか」「どの媒体で伝えるか」という判断も扱う。
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