場面・相手・目的に合わせて言語を適切に使い分ける能力。カナルとスウェイン(Canale & Swain)のコミュニケーション能力のモデルで、文法能力・社会言語学的能力・談話能力・方略的能力の4つのうちの一つとして位置づけられる。
文が文法的に正しいかどうかではなく、その場にふさわしいかどうかを扱う。目上への依頼で「貸して」と言う、初対面で年収を尋ねる、といったふるまいは文法的には正しくても社会言語学的には不適切である。ハイムズ(Hymes)のコミュニケーション能力の考え方を受け継いでいる。
「日本語教育の参照枠」でも、言語能力は言語構造的能力・社会言語能力・語用能力に分けられ、同じ発想が引き継がれている。試験では「文法的正しさ」と「場面適切性」を取り違えた選択肢に注意する。
学習者がアルバイト先の店長に「来週の土曜日、休みたいです」と伝えた。文法の誤りはないが、店長には一方的な宣言のように聞こえた。「すみません、来週の土曜日なんですが、お休みをいただくことはできますか」のように、前置きをして許可を求める形にすると、相手との関係にふさわしい言い方になる。ここで問われているのが社会言語学的能力である。
初対面のホームパーティーで、学習者が日本人に「何歳ですか」「結婚していますか」と次々に質問した。学習者にとっては親しくなるための自然な質問だったが、相手は戸惑った。どの話題をいつ持ち出してよいかの判断も、場面にふさわしい言語使用の一部であり、社会言語学的能力に含まれる。
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