ポライトネス理論の中心概念。人が対人関係の中で保ちたいと願う「顔」=公的な自己イメージのこと。ゴフマン(Goffman)の face 概念をもとに、ブラウンとレヴィンソンが理論の土台に据えた。
他者に理解されたい・好かれたいという積極的な欲求をポジティブ・フェイス、自分の領域に立ち入られたくない・行動の自由を保ちたいという欲求をネガティブ・フェイスと呼ぶ。「ネガティブ」は悪い意味ではなく、欲求の向きの違いである。
会話の中でフェイスを脅かすおそれのある行為が FTA(フェイス侵害行為)で、FTAを和らげるための方略がポライトネスである。
同僚に人前で「この資料、間違いが多いよ」と指摘すると、相手の「認められたい」というポジティブ・フェイスが傷つく。「明日までに直して」と急に頼むと、相手の時間や行動の自由に踏み込むことになり、ネガティブ・フェイスが脅かされる。同じ職場の一言でも、どちらのフェイスに関わるかで和らげ方が変わる。
学習者が発音の誤りをクラス全員の前で何度も直されると、恥ずかしさを感じることがある。これは本人の「よく見られたい」というフェイスが脅かされた状態と説明できる。教師が個別に声をかけたり、全体への確認として取り上げたりするのは、学習者のフェイスへの配慮にあたる。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。