ST1 アルバイトを探す
できることアルバイトの募集を見て店に電話し、面接で自分のことや働ける日をていねいに伝えられる。
場面
留学生が、コンビニや飲食店のアルバイト募集を見て店に電話し、そのあと面接を受ける場面です。話す相手は店の人で、学習者から見ると外の人で目上なので、店長のことには「いらっしゃいます」、自分のことには「申します」「参りました」を使います。教室では自作の求人ちらしを配り、教師が店員と店長の役をして、電話と面接を一続きで演じます。
- 留学生:もしもし、鈴木と申します。アルバイトの募集を見て、電話しました。
- 店員:ありがとうございます。
- 留学生:店長さんはいらっしゃいますか。
- 店員:はい、今、代わります。
- 店長:はい、店長の山田です。週に何日ぐらい働けますか。
- 留学生:午前中は日本語学校の授業があるので、平日の午後なら毎日働けます。
- 店長:わかりました。では、あしたの3時に面接に来てください。
- 留学生:はい。よろしくお願いします。
学習項目 1 いらっしゃいます
意味・はたらき
「います」の尊敬語で、目上の人や外の人が「いる」ことを、その人を高めて言います。アルバイトの電話では「店長さんはいらっしゃいますか」と、話したい人がいるかどうかをていねいに聞くのに使います。「行きます」「来ます」の尊敬語でもありますが、この課では「いる」の意味だけを使い、ほかの尊敬語は第7課でまとめます。自分や自分の側の人のことには使いません。
接続
「います」の代わりに使う([人]は+いらっしゃいますか/いらっしゃいません)
形
店長さんはいらっしゃいますか山田先生は今、いらっしゃいません先生、あしたは学校にいらっしゃいますか
導入
- 相手を変えて同じことを聞く教師が電話をかけるまねをし、まず友達に「田中さん、いますか」と聞く場面、次に店に「店長さんは……」と言いかけて止め、学習者に「店長は友達ですか」と聞く。「目上で、外の人」と確かめてから「店長さんはいらっしゃいますか」を言ってみせる。板書は「います → いらっしゃいます(相手側の目上の人)」の1行にし、矢印の先に店長の絵を貼る。
板書案
います → いらっしゃいます
店長さん は いらっしゃいますか。
先生 は 今、いらっしゃいません。
〔赤〕相手の側の目上の人 〔青〕自分・友達 → 「います」のまま
〔矢印〕上向き ↑(その人を高める)
場面と発話(自作)
- アルバイトの募集を見て店に電話し、電話に出た店員に店長を呼んでもらう。店長さんはいらっしゃいますか。
- 学校の事務室で、職員に担任の先生がいるかを聞く。すみません。山田先生はいらっしゃいますか。
- 授業のあと、先生に次の日の予定を聞く。先生、あしたは学校にいらっしゃいますか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、人物カード(友達・店長・先生・クラスメート)を見せ、目上の人なら「いらっしゃいますか」、友達なら「いますか」と切り替えて言わせる。そのあと教師が店員の役で電話を受け、学習者が「〜と申します」から始めて話したい人を呼んでもらうところまでを、店のカードを替えて回す。
- 口頭人物カードを1枚ずつ見せ、目上か友達かで言い分けさせる。キューは「店長」→「店長さんはいらっしゃいますか」、「クラスの友達」→「〜さん、いますか」、「担任の先生」→「先生はいらっしゃいますか」、「事務の人」→「事務の方はいらっしゃいますか」。全員で言ってから一人ずつ、カードの順を変えて速く回す。答えの「いらっしゃいません」も同じカードで言わせる。
- ペアA は電話をかける留学生、B は店員。B だけが「店長:いる/いない」を書いたカードを持ち、A の「店長さんはいらっしゃいますか」に「はい、今、代わります」か「すみません、今、いらっしゃいません」で答える。いないときは A が「では、また電話します」で終える。カードを替えて3回やったら役を交替する。
- 産出「呼び出し電話リレー」。教室の机を店・学校の事務室・病院の受付に見立て、学習者が電話を持って順に回り、そこにいる目上の人を呼んでもらう。教師は、相手側の人にだけ「いらっしゃいます」を使っているか、自分のことや友達に使っていないか、「いらっしゃります」と崩していないかを聞いて直す。
つまずきと手当て
- 自分のことに使って「*わたしは毎日うちにいらっしゃいます」と言う。尊敬語は相手側の人だけ、と板書の店長の絵を指して確かめる
- 「*いらっしゃります」と言う。「いらっしゃる」のます形は「いらっしゃいます」になることだけ、形として覚えさせる
- あとで自分が店で働くようになり、外の人からの電話に自分の店の店長のことを「今、いらっしゃいません」と答えてしまう。外の人に向かって自分の側の人は高めない、と ST1 の場面の向きを逆にして見せる(くわしくは第7課)
既習の文型との違い
- 〜は〜にいます(初級第7課)意味は同じ「いる」で、文の形も変わりません。違うのは話題の人で、目上の人・外の人なら「いらっしゃいます」、友達や自分なら「います」です。初級の形のまま「店長さんはいますか」と聞くのは文法の誤りではありませんが、店にかける電話では失礼に聞こえることがある、と場面で示します。
関連する文型
学習項目 2 Nと申します
意味・はたらき
「Nといいます」をていねいにした名乗り方で、自分を低くして相手に改まって名前を伝えます。初級の「鈴木です」より改まった言い方で、面接・電話・目上の人に初めて会うときの最初の一言に使います。名前のほかに「さくら日本語学校の鈴木と申します」のように所属をつけて言うこともよくあります。
接続
自分の名前+と申します
形
鈴木と申しますさくら日本語学校の鈴木と申しますもしもし、鈴木と申します
導入
- 友達と面接官に名乗り分ける教師が学習者の一人を友達役、もう一人を面接官役にして、友達には「鈴木です」、面接官にはおじぎをして「鈴木と申します」と言ってみせる。板書は「鈴木です(友達)」「鈴木と申します(目上・改まった場面)」の2行にし、学習者の名前に入れ替えて全員で言う。
板書案
〔名前〕 です。(友達)
〔名前〕 と 申します。(目上・はじめて・電話)
さくら日本語学校 の 〔名前〕 と 申します。
〔赤〕「と 申します」 〔青〕「です」をつけない
〔矢印〕下向き ↓(自分を低く)
場面と発話(自作)
- アルバイト先に電話をかけて、最初に名乗る。もしもし、鈴木と申します。
- 面接の部屋に入って、店長にあいさつする。はじめまして。さくら日本語学校の鈴木と申します。よろしくお願いします。
- 日本語学校の事務室に電話をかけて、入学の手続きのことを聞く。もしもし、来月から入学する〔名前〕と申します。手続きのことで電話しました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、学校名・会社名のカードと名前を組み合わせて「〜のNと申します」を言わせる。そのあと電話の場面(「もしもし、〜と申します」)と面接の場面(「はじめまして。〜と申します」)を、教師が場面カードを出すたびに切り替える。
- 口頭場面カードを出して名乗り方を切り替えさせる。キューは「教室で隣の人に」→「〜です」、「面接の部屋で」→「はじめまして。〜と申します」、「店に電話」→「もしもし、〜と申します」、「学校名カード+名前」→「さくら日本語学校の〜と申します」。カードを出す速さを上げ、「です」と「と申します」の切り替えを口に慣らす。
- ペアA は面接官、B は応募者。A が「お名前は?」「どちらの学校の方ですか」と聞き、B が所属つきで名乗る。次に A が友達の役に変わって同じことを聞き、B は「〜です」で答える。相手が変わったら名乗り方も変わることを、役を交替して2回ずつ確かめる。
- 産出「名乗り分けカード」。カードの表に面接用(所属+名前+と申します+よろしくお願いします)、裏に友達用(名前+です+よろしく)を自分で書き、教師が「面接」「友達」と言うたびに表か裏を読み上げる。教師は「と申しますです」の重ねと、自分の名前に「さん」をつけていないかを見る。
つまずきと手当て
- 「*鈴木と申しますです」と「です」を重ねる。「申します」で文が終わると板書で示す
- 相手の名前を聞くのに「*お名前は何と申しますか」と言う。「申します」は自分のことだけで、相手には初級の「お名前は?」を使うと確かめる
- 自分の名前に「さん」をつけて「鈴木さんと申します」と言う。初級でも出る間違いなので、名乗るときは名前だけ、と一言添える
既習の文型との違い
- 〜はNです(初級第1課)初級の「〜です」は名前を言うふつうの丁寧な形で、友達や先生との教室の会話ならこれで十分です。「と申します」は面接・電話・初めて会う目上の人に使う改まった名乗りで、場面が違います。両方を同じ文に入れて「*〜と申しますです」とする誤りが出やすいので、どちらか一つで文が終わると確かめます。
- 「〜」と言います(初級第14課)初級の「〜と言います」は物の名前や言い方を説明する形で、「これは日本語で『はし』と言います」のように使いました。「Nと申します」は同じ「と」を使った「言います」の改まった形です。改まった場では物の名前の説明にも使えますが、この課では名乗りにだけ使います。
関連する文型
学習項目 3 〜ので、〜
意味・はたらき
前に理由や事情を言い、後ろで結果・頼み・断りを言う形です。初級の「〜から」と同じく理由を表しますが、「〜ので」は事情を説明する、やわらかい感じになりやすく、面接や目上の人への頼み・断りでよく使われます。働ける時間を伝えるときや、休みたい・遅れるといった事情を伝えるときに使います。
接続
V・イAの普通形+ので/ナA・N+なので(改まった場面では「〜ますので」も使う)
形
午前中は授業があるので、午後なら働けます来週テストがあるので、休んでもいいですか日曜日は暇なので、働けます学生なので、週に4日まで働けます
導入
- 店長に休みを頼む場面で比べる教師が店長役になり、カレンダーの来週の水曜日に「テスト」と書いて見せる。学習者役の教師人形に「来週テストがあるので、水曜日に休んでもいいですか」と言わせ、店長が「いいですよ」と答える。初級の「〜から」でも同じことが言えると確かめたうえで、目上の人に事情を言って頼むときは「〜ので」がやわらかく聞こえやすいと伝える。板書は「[事情]ので、[頼み・お願い]」の枠にし、「ある」「暇な」「学生な」のように前の形を品詞ごとに色分けする。
板書案
[事情] ので、 [頼み・断り・できること]
テスト が ある ので、 休んでも いいですか。
学生 な ので、 週に4日まで 働けます。
〔青〕V・イA の普通形 + ので 〔赤〕ナA・N + な + ので
〔丸〕目上の人に頼む・断る → 「ので」がやわらかい
場面と発話(自作)
- 面接で、働ける時間を聞かれる。午前中は日本語学校の授業があるので、平日の午後なら働けます。
- 電車が止まって、アルバイトに遅れそうになり、店に電話する。電車が止まっているので、20分ぐらい遅れます。すみません。
- 店長に、来週の休みをお願いする。来週、学校のテストがあるので、水曜日に休んでもいいですか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、事情のカード(テストがある・国から家族が来る・熱がある・学生だ)と頼みのカード(休んでもいいですか・早く帰ってもいいですか)を組み合わせて「〜ので、〜」を言わせる。ナAとNのカードを混ぜて「な」を入れる練習を多めにする。そのあと店長役の相手に、電話で事情を言って頼むやり取りをする。
- 口頭事情カードを見せて「〜ので」の前半を作らせ、品詞ごとの形を確かめる。キューは「授業がある」→「授業があるので」、「熱が高い」→「熱が高いので」、「暇だ」→「暇なので」、「学生だ」→「学生なので」。次に頼みのカード(休んでもいいですか・早く帰ってもいいですか)を足して文を最後まで言わせる。ナAとNのカードを多めに混ぜる。
- ペアA は店長、B はアルバイトの留学生。B だけが事情カード(国から家族が来る・学校のテスト・病院へ行く)を持ち、「〜ので、〜日に休んでもいいですか」と頼む。A は「いいですよ」か「その日はちょっと……。〜日なら大丈夫ですよ」で答える。断られたら B はもう一つの日で頼み直す。
- 産出「お休みの電話ロールプレイ」。各自が本当にありそうな事情を一つ考え、店長への電話を「もしもし、〜と申します」から始めて、事情と頼みを言い、お礼で終える。教師は「な」の抜け(*学生ので)と、事情と頼みの順番が逆になっていないかを聞き、終わったあとで一人ずつ一文だけ直して言い直させる。
つまずきと手当て
- 名詞・ナ形容詞のあとに「な」を入れず「*学生ので」「*暇ので」と言う。板書の色分けで「N・ナA+なので」を確かめる
- 「から」と「ので」のどちらかしか使ってはいけないと思う。どちらも誤りではないが、目上の人への頼みや断りでは「ので」のほうがやわらかく聞こえやすい、と場面で示す
- 理由と結果の順番を逆にして、言いたいことが伝わらない(「働けるので、授業が午前中です」)。「ので」の前は事情、後ろが言いたいこと、と枠で確かめる
- 「*学生だので」「*暇だので」と「だ」を残す。初級の「〜だから」と混ざる誤りなので、板書の「から」の列と「ので」の列を並べ、「だ」が「な」に変わるところを赤で示す
既習の文型との違い
- どうして/〜から(初級第5課)理由を言う点は同じで、「授業があるから、午後なら働けます」も誤りではありません。「ので」は事情を説明する言い方になりやすく、面接や目上の人への頼み・断りでやわらかく聞こえます。前の形は「から」が「学生だから」、「ので」が「学生なので」と変わるので、ここで「*学生だので」と混ざる誤りが出ます。
関連する文型
学習項目 4 参りました
意味・はたらき
「来ました」「行きました」を改まって言う謙譲語です。話している相手(面接官や目上の人)に、自分が来たこと・行ったことをていねいに伝えます。行き先の人を高めるのではなく、話している相手への改まった気持ちを表す言い方なので、面接の最初の「ベトナムから参りました」「面接に参りました」に向いています。自分や自分の側の人の動きにだけ使います。
接続
「来ました・行きました」の代わりに使う(参ります・参りました)
形
ベトナムから参りましたアルバイトの面接に参りました去年の4月に日本へ参りました
導入
- 面接の部屋に入るところを演じる教室の入り口を面接の部屋に見立て、教師がノックして入り、おじぎをして「失礼します。アルバイトの面接に参りました。鈴木と申します」と言ってみせる。板書は「来ました → 参りました(自分のこと・改まった場面)」と、前の「います → いらっしゃいます(相手側の人)」を並べ、矢印の向きの違い(自分を低く/相手を高く)を見せる。
板書案
来ました・行きました → 参りました
面接 に 参りました。
去年の4月 に ベトナム から 参りました。
〔青〕自分の動き だけ 〔赤〕相手の人の動き には 使わない
〔矢印〕いらっしゃいます ↑(相手を高く)/申します・参りました ↓(自分を低く)
場面と発話(自作)
- アルバイトの面接に行き、店の入り口で店員に用件を言う。3時から面接の鈴木です。面接に参りました。
- 面接で、いつ日本に来たかを聞かれる。去年の4月に、ベトナムから参りました。
- 市役所の窓口で、引っ越しの手続きに来たことを伝える。すみません。住所の手続きに参りました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、国のカードと月のカードを出して「〜月に〜から参りました」を言わせる。そのあと入り口からの入室 →「面接に参りました」→「〜と申します」→「〜から参りました」を一続きにして、一人ずつ演じさせる。
- 口頭国・月・用件のカードを組み合わせて言わせる。キューは「タイ+去年の10月」→「去年の10月にタイから参りました」、「面接」→「面接に参りました」、「説明会」→「説明会に参りました」、「ネパール+おととし」→「おととし、ネパールから参りました」。「来ました」で一度言わせてから「参りました」に言い換える二段にすると、形が崩れにくい。
- ペアA は店の入り口の店員、B は面接に来た留学生。B が「〜時から面接の〜です。面接に参りました」と言い、A が「どうぞ、こちらへ」と案内する。続けて A が面接官になり「いつ日本に来ましたか」と聞き、B が「〜に〜から参りました」と答える。A の質問の「来ましたか」を B が自分の答えで「参りました」に変えられているかを、交替して確かめる。
- 産出「面接の入室30秒」。ノック → 入室 →「失礼します。面接に参りました。〜と申します」→ 出身と来日の時期 →「よろしくお願いします」までを30秒で一人ずつ演じる。教師は、相手の動きに「参りました」を使っていないか、「参りしました」と崩していないか、おじぎと声の大きさまで見て、一つだけ直してもう一度やらせる。
つまずきと手当て
- 相手の動きに使って「*店長はいつ日本へ参りましたか」と聞く。「参りました」は自分の動きだけと、板書の矢印の向きで確かめる
- 「*参りしました」「*参りませました」と形を崩す。「参ります・参りました」の2つの形だけを決まった形として覚えさせる
- 友達との会話でも「参りました」を使い、かたすぎる印象になる。ST2 の同僚との場面では「来ました」と言い分けさせる
既習の文型との違い
- 〜へ〜に行きます(初級第5課)「面接に行きます」「面接に来ました」の「に」の使い方は初級と同じで、動詞だけが「参ります・参りました」に変わります。意味の違いはなく、相手と場面への改まった気持ちが加わるだけです。そのため友達との会話で使うと、かたすぎて距離がある感じになります。
- いらっしゃいます(初中級第1課 ST1)「いらっしゃいます」も「行きます・来ます」の意味で使えますが、相手の側の人の動きを高める言い方です。「参りました」は自分の動きを低めて言う言い方なので、向きが反対です。「*店長はいつ参りましたか」は向きを取り違えた誤りです。
関連する文型
学習項目 5 可能動詞活用
意味・はたらき
「〜することができる」を動詞1語で言う形です。初級の「Vることができます」と同じ意味ですが、会話ではこちらがよく使われます。面接で「何曜日に働けますか」「英語が少し話せます」のように、できること・できる日を伝えるのに使います。「〜を話す」の「を」は、可能動詞では「が」になることが多い(「を」も使われる)ので、この課では「が」で練習します。
接続
Ⅰグループ:語の終わりの「う段」を「え段」にして「る」(書く→書ける)/Ⅱグループ:「る」を「られる」に(食べる→食べられる)/Ⅲグループ:する→できる、来る→来られる
形
Ⅰ:書く→書ける、話す→話せる、働く→働ける、帰る→帰れるⅡ:食べる→食べられる、起きる→起きられる、見る→見られるⅢ:する→できる、来る→来られるできた可能動詞はⅡグループの動詞として活用する(話せます・話せません・話せない)
導入
- 面接で「できること」を聞かれる教師が店長役で「何ができますか」と聞き、学習者に初級の「英語を話すことができます」で答えさせる。教師が「英語が話せますね」と言い直し、黒板に「話すことができます → 話せます」を書く。次に動詞カードを3つのグループに分けて貼り、グループごとに作り方を板書する(Ⅰはう段→え段の部分を赤で)。
板書案
話す こと が できます → 話せます
〔赤〕Ⅰ う段 → え段+る 書く→書ける 話す→話せる
〔青〕Ⅱ る→られる 食べる→食べられる
〔緑〕Ⅲ する→できる 来る→来られる
英語 が 話せます。 週に4日 働けます。
〔丸〕「を」→「が」
場面と発話(自作)
- 面接で、話せることばを聞かれる。英語と中国語が話せます。日本語は少し話せます。
- 面接で、働ける時間を伝える。授業が12時までなので、1時から夜10時まで働けます。
- 面接で、日曜日に来られるかを聞かれる。すみません。日曜日は来られません。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、動詞カードを1枚ずつ見せて可能動詞に変えさせ、グループをランダムに混ぜて速く回す。次に「〜ます/〜ません」の形で言わせる。そのあと自作のシフト表(曜日と時間)を持たせ、店長役の「何曜日に働けますか」「何時まで働けますか」に答えさせる。
- 口頭動詞カードを見せ、まずグループを言わせてから可能動詞に変えさせる。キューは「働く」→「働ける」、「起きる」→「起きられる」、「来る」→「来られる」、「帰る(Ⅰ)」→「帰れる」、「する」→「できる」。慣れたら「〜ます」「〜ません」でも言わせ、Ⅰグループの「る」で終わる動詞(帰る・入る・走る)を何度も混ぜる。
- ペアA は店長、B は応募者。B だけが自分のシフト表(曜日ごとの○×と時間)を持ち、A の「月曜日は働けますか」「何時まで働けますか」「料理ができますか」「朝7時に来られますか」に答える。A は聞いた答えを空の表に書き込み、最後に B の表と合っているかを見比べる。合わなければどこで聞き違えたかを二人で確かめ、役を交替する。
- 産出「わたしの売り込みカード」。面接で自分を紹介するために、できること(話せることば・できる仕事・働ける日と時間)を3文書き、店長役の教師の前で読み上げる。教師は「*話せれます」「*帰られます」の形の誤りと、「が」の位置を聞き取り、カードに印をつけて返す。
つまずきと手当て
- Ⅰグループの「る」で終わる動詞をⅡグループと間違えて「*帰られます」「*走られます」と言う(「できる」の意味で)。帰る・入る・走るなど、間違えやすいⅠグループの動詞を板書の端にまとめておく
- 「*書けれます」「*話せれます」と、可能の形を二重にする。可能動詞はできた時点でⅡグループの動詞なので、「る」を取って「ます」をつけるだけ、と確かめる
- 「*日本語が話せることができます」と、可能動詞と「ことができます」を重ねる。どちらか一つで言えばよいと、板書の矢印で示す
- 「見れる」「来れる」(「ら」を抜いた言い方)を耳にして使う。話し言葉ではよく聞くが、面接のような改まった場面では「見られる」「来られる」を使わせる
既習の文型との違い
- Nができます/Vることができます(能力)(初級第9課)意味は同じ「できる」で、「英語を話すことができます」と「英語が話せます」はどちらも正しい文です。会話では可能動詞のほうが短く、よく使われます。両方を重ねて「*話せることができます」とする誤りが出やすいので、どちらか一つと押さえます。
- Nができます/Vることができます(状況)(初級第10課)初級では「ここで写真をとることができます」のように、規則や状況で「できる」ことも言いました。可能動詞も同じく状況に使えて、「この店では日曜日も働けます」のように言えます。能力か状況かで形を変える必要はない、と確かめます。
関連する文型
学習項目 6 Nなら〜
意味・はたらき
相手の質問や話に出たもの、またはいくつかの中から一つを取り上げて、「それについてなら〜」と言う形です。面接で全部はできないとき、「日曜日はちょっと……。土曜日なら働けます」のように、条件を限って言えることを伝えるのに使います。「土曜日は働けます」でも言えますが、「なら」を使うと「ほかはともかく、それなら」という気持ちが出ます。
接続
N+なら(「だ」は入れない)
形
土曜日なら働けます英語なら話せます5時からなら大丈夫です
導入
- 面接で、できない日を言ったあとに教師が店長役で「日曜日は働けますか」と聞き、学習者役の教師人形が首をかしげて「日曜日はちょっと……」と言う。そこで店長が困った顔をするので、人形が「土曜日なら働けます」と続ける。板書はシフト表の曜日に×と○をつけ、○の曜日を指して「[N]なら、〜」の枠を書く。
板書案
日曜日 は ちょっと……。
土曜日 なら 働けます。
〔赤〕N + なら(「だ」「は」を入れない)
〔表〕月× 火○ 水× 木○ 金○ 土○ 日× → ○の日を指して「〜なら」
〔丸〕相手の言ったこと/候補の中から一つ
場面と発話(自作)
- 面接で、日曜日に働けるかを聞かれたが、日曜日は無理だ。日曜日はちょっと……。土曜日なら働けます。
- 面接で、ほかのことばが話せるかを聞かれる。韓国語は話せませんが、英語なら少し話せます。
- 面接で、何時から働けるかを聞かれたが、早い時間は授業がある。午前中は授業があるので、1時からなら大丈夫です。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師がシフト表の×の曜日を指して「〜は働けますか」と聞き、学習者が「〜はちょっと……。〜なら働けます」と○の曜日で答える。曜日のほかに時間・ことば・仕事(レジ・料理など)のカードでも同じやり取りをする。
- 口頭教師がシフト表の×の欄を指して聞き、学習者が○の欄で答える。キューは「日曜日は働けますか」→「日曜日はちょっと……。土曜日なら働けます」、「朝8時から来られますか」→「10時からなら来られます」、「韓国語が話せますか」→「英語なら話せます」、「料理ができますか」→「レジなら大丈夫です」。全員で言ったあと、×と○の場所を変えて一人ずつ答えさせる。
- ペアA は店長、B は応募者で、二人とも違うシフト表を持つ(A は店が人を探している日、B は働ける日)。A が「〜日は働けますか」と聞き、B は無理な日を「〜はちょっと……」で断ってから「〜なら」で働ける日を言う。二人の表で同じ○になる日を見つけたら終わりで、表を替えて交替する。
- 産出「シフト交渉ロールプレイ」。教師が店長として、学習者に本当の予定を言わせながら週のシフトを決める。学習者は無理な日を断る、代わりの日や時間を「〜なら」で出す、事情を「〜ので」で言う、の3つを使う。教師は「*土曜日だなら」「*土曜日ならは」の形と、断るときに「ちょっと……」で言いさしにできているかを見る。
つまずきと手当て
- 「*土曜日だなら」と「だ」を入れる。名詞のあとにはそのまま「なら」をつける、と枠で示す
- 「*土曜日ならは働けます」と「は」を重ねる。「なら」が「は」の代わりをしていると、板書で「は」を「なら」に書き替えて見せる
- 何でも「なら」で言い、話が硬く、理由ありげに聞こえる。誤りではないが、「なら」は相手の言ったことや候補の中から一つを取り上げるときに使う、と ST1 の場面で確かめる
既習の文型との違い
- 〜は〜が、〜は(対比)(初級第11課)「日曜日は働けませんが、土曜日は働けます」でも同じことが伝わります。「は」の対比は二つを並べて比べる言い方で、「なら」は相手の質問や候補の中から一つを取り上げて「それなら」と条件を限る言い方です。面接で断ったあとに代わりを出すときは「〜なら」が自然です。
関連する文型
ST2 新しい友達
できることアルバイト先やサークルで知り合ったばかりの人と、趣味や日本の生活のことを話して、話を広げられる。
場面
面接に通ったあと、アルバイト先の休み時間に、同じくらいの年の日本人の同僚と初めてゆっくり話す場面です。相手は同じ立場の人なので「です・ます」で話しますが、ST1 のような敬語は使いません。この言い分けを意識させます。教室では「好きなこと」「日本に来てできるようになったこと」を書くカードを各自に用意させ、ペアで聞き合います。
- 日本人の同僚:鈴木さんは日本に来て、どのぐらいですか。
- 留学生:半年です。最初は漢字が全然読めませんでしたが、今は少し読めるようになりました。
- 日本人の同僚:すごいですね。休みの日は何をするのが好きですか。
- 留学生:料理を作るのが好きです。でも、日本の料理を作るのはまだ難しいです。
- 日本人の同僚:わたしは料理を作るのが下手です。でも、食べるのは大好きです。
- 留学生:じゃ、今度、国の料理を作りますから、食べに来てください。
学習項目 1 VるのがA
意味・はたらき
動詞の辞書形に「の」をつけると、動作を名詞のように扱えます。初級の「Nが好きです」「Nが上手です」の N の位置に動作を入れて、「料理を作るのが好きです」「絵をかくのが上手です」のように、好きなこと・得意なことを言います。「好き・嫌い・上手・下手・得意・苦手・速い」などの前では「〜のが」になります。新しい友達と、自分の好きなことや得意なことを話すのに使います。
接続
V辞書形+のが+A(好きです・上手です・得意です・速いです など)
形
料理を作るのが好きです絵をかくのが上手です朝早く起きるのが苦手です何をするのが好きですか
導入
- 「サッカーが好き」から動作へ教師が「わたしはサッカーが好きです」と言い、サッカーを見ている絵とサッカーをしている絵の2枚を貼る。見ている絵を指して「サッカーを見るのが好きです」、している絵を指して首を振り「するのは下手です」と言う。板書は「[N]が好きです」の下に「[Vるの]が好きです」を書き、「の」を赤で囲む。
板書案
サッカー が 好きです。
サッカー を 見る の が 好きです。
〔赤〕Vる(辞書形)+ の + が
好き・嫌い・上手・下手・得意・苦手
〔矢印〕N の場所に「Vるの」が入る
場面と発話(自作)
- サークルの最初の集まりで、好きなことを聞かれる。写真をとるのが好きです。週末はよく公園へ行きます。
- アルバイト先の同僚に、得意なことを話す。わたしは料理を作るのが得意です。国の料理なら何でも作れます。
- アルバイト先の休み時間に、同僚と苦手なことを話す。わたしは朝早く起きるのが苦手です。だから、夜のシフトが好きです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、動作の絵カードと「好き・上手・苦手」のカードを組み合わせて「〜のが〜です」を言わせる。次に「何をするのが好きですか」と聞き合い、答えに「でも、〜のは苦手です」を足す。最後にクラスで「〜のが得意な人」を探すインタビューをする。
- 口頭動作の絵カードと評価のカードを組み合わせて言わせる。キューは「写真をとる+好き」→「写真をとるのが好きです」、「歌を歌う+下手」→「歌を歌うのが下手です」、「朝早く起きる+苦手」→「朝早く起きるのが苦手です」、「料理を作る+得意」→「料理を作るのが得意です」。まず辞書形を言わせてから「の」をつける二段で回す。
- ペアA と B はそれぞれ「好き・得意・苦手」を一つずつ書いたカードを伏せて持つ。相手の好きなことを「〜のが好きですか」と当て、「はい」が出たら交替する。三つ当て終わったら「わたしも〜のが好きです」「わたしは〜のは苦手です」と自分と比べて一文足す。
- 産出「〜が得意な人さがし」。「料理を作るのが得意な人」「朝早く起きるのが苦手な人」のような項目を6つ書いた紙を持って教室を回り、当てはまる人を探して名前を書く。教師は「の」の落ち(*作るが好き)と、ます形のまま「の」をつけていないかを聞き、最後に見つかった人をクラスに紹介させる。
つまずきと手当て
- 「*料理を作るが好きです」と「の」を落とす。板書の赤い「の」を指して、動詞は「の」をつけてから「が」と確かめる
- 「*料理を作りますのが好きです」と、ます形に「の」をつける。「の」の前は辞書形、と動詞カードの裏に辞書形を書いておく
- 初級の「趣味は〜ことです」と混ぜて「*趣味は料理を作るのです」と言う。「趣味は」のあとは「〜ことです」、「好きです」の前は「〜のが」と、2つの文を並べて板書する
既習の文型との違い
- Nが好きです・嫌いです(初級第5課)文の形は同じで、N の位置に「Vるの」が入っただけです。「サッカーが好きです」では見るのが好きかするのが好きかが分かりませんが、「サッカーを見るのが好きです」なら動作まで言えます。新しい友達に自分のことを詳しく話すために、この違いを使います。
- Vることです(初級第9課)「趣味は料理を作ることです」は「趣味は」の答えとして言う形で、「の」ではなく「こと」を使います。「好きです・上手です」の前は「のが」、「趣味は〜」のあとは「ことです」と分けます。混ぜた「*趣味は料理を作るのです」は誤りです。
関連する文型
学習項目 2 VるのはA
意味・はたらき
「Vるの」を話題にして、その動作がどうかを言う形です。「日本語で電話するのは難しいです」「友達と料理を作るのは楽しいです」のように、「難しい・簡単だ・楽しい・大変だ・おもしろい・便利だ」など、動作の評価を言うのに使います。新しい友達と日本の生活の感想を話すときによく使います。「〜のが」は好き・上手などの気持ちや能力の対象を言うとき、「〜のは」は動作を話題にしてどうかを言うとき、と分けて練習します。
接続
V辞書形+のは+A+です
形
日本語で電話するのは難しいです友達と料理を作るのは楽しいです朝早く起きるのは大変です自転車で学校へ行くのは便利です
導入
- 日本の生活の「難しい・楽しい」を聞く教師が「日本の生活はどうですか」と聞き、学習者から「難しいです」「楽しいです」を引き出す。「何が難しいですか」と続けて、電話・漢字・ごみの出し方などの絵カードを貼り、「日本語で電話するのは難しいです」と言い直す。板書は「[Vるの]は[A]です」の枠にし、前の「[Vるの]が好きです」と並べて助詞の違いを見せる。
板書案
Vる の は 〔A〕 です。
日本語 で 電話する の は 難しいです。
店の人 と 話す の は 楽しいです。
〔赤〕「の は」=話題 〔青〕難しい・楽しい・大変・便利・簡単
〔並べる〕Vるの が 好きです / Vるの は 難しいです
場面と発話(自作)
- アルバイト先の同僚に、日本の生活の感想を聞かれる。日本語で電話するのは、まだ難しいです。
- サークルの友達に、アルバイトの話をする。朝6時に起きるのは大変ですが、店の人と話すのは楽しいです。
- サークルの友達に、自転車で通学していることを話す。自転車で学校へ行くのは便利です。でも、雨の日は大変です。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、生活の動作カード(電話する・漢字を書く・電車に乗る・料理を作る)と評価のカード(難しい・楽しい・大変・便利)を組み合わせて「〜のは〜です」を言わせる。そのあとペアで「日本の生活で何が大変ですか」「〜のは大変ですが、〜のは楽しいです」と聞き合う。
- 口頭生活の動作カードと評価のカードを組み合わせて言わせる。キューは「ごみを分ける+大変」→「ごみを分けるのは大変です」、「自転車で学校へ行く+便利」→「自転車で学校へ行くのは便利です」、「漢字を書く+難しい」→「漢字を書くのは難しいです」、「友達と料理を作る+楽しい」→「友達と料理を作るのは楽しいです」。「〜のが好き」と交互に言わせ、助詞を取り違えないようにする。
- ペアA は日本に来て長い留学生、B は来たばかりの留学生。B が「日本の生活で何が大変ですか」と聞き、A が「〜のは大変ですが、〜のは楽しいです」と答える。B は聞いた答えをメモし、「そうですか。〜のは大変ですか」と確かめ返してから、自分の場合を一文言う。三つ聞いたら交替する。
- 産出「日本の生活アンケート」。一人が「難しいこと・楽しいこと・便利なこと」を一つずつカードに書き、黒板の表に貼ってクラスでまとめる。そのあと表を見ながら、一人ずつ「〜のは難しいですが、〜のは楽しいです」と自分の感想を言い、友達のカードから一つ選んで「わたしも〜のは〜です」と一言加える。教師は「の」の落ちと、評価の前の「のが/のは」の取り違えを聞いて直す。
つまずきと手当て
- 「*日本語で電話するは難しいです」と「の」を落とす。「Vるの」で名詞になってから「は」がつく、と枠で確かめる
- 「〜のが」と「〜のは」のどちらを使うか迷う。「漢字を覚えるのが難しい」のように「が」を使うこともあり、どちらかが誤りというわけではない。この課では、好き・上手などの前は「が」、話題にして評価するときは「は」と、場面で分けて練習する
- 評価の語の前でナ形容詞の形を崩し、「*電話するのは大変だです」と言う。文の終わりは「大変です」「便利です」で、「だ」と「です」を重ねない、と板書の評価の列で確かめる
既習の文型との違い
- VるのがA(初中級第1課 ST2)「〜のが」は好き・上手・得意など、気持ちや能力が向く動作を言うときに使い、「〜のは」は動作を話題にして難しい・楽しいなどの評価を言うときに使います。「漢字を覚えるのが難しい」のように「が」が使われることもあるので、この課では誤りとして扱わず、場面で分けて練習します。
- 〜はAです(初級第4課)初級の「日本の生活は楽しいです」と同じ形で、「〜は」の前に名詞ではなく「Vるの」が入っただけです。何が楽しいのかを動作まで言えるので、感想が具体的になります。
関連する文型
学習項目 3 Vるようになります(能力の変化)
意味・はたらき
前はできなかったことが、今はできる状態に変わったことを言う形です。可能動詞(または「Vることができる」)の辞書形に「ようになります」をつけ、日本に来てからの変化を話すときは、ふつう「〜ようになりました」と過去の形で言います。初級の「上手になりました」(形容詞・名詞の変化)に対して、こちらは動作ができるようになった変化を言います。新しい友達に「日本に来てどうか」を話すときの中心の形です。
接続
可能動詞の辞書形+ようになります(Vることができるようになります とも言う)
形
漢字が読めるようになりました自転車に乗れるようになりました納豆が食べられるようになりました日本語で電話ができるようになりました
導入
- 来たばかりのころと今を比べる黒板を左右に分けて「日本に来たとき」と「今」と書き、左に「漢字が読めません」「自転車に乗れません」と書く。教師が「今はどうですか」と聞き、学習者の答えを右に「読めます」「乗れます」と書いてから、真ん中に矢印を引いて「読めるようになりました」と言う。板書の形は「[可能動詞の辞書形]ようになりました」。
板書案
日本に来たとき:漢字 が 読めません。
今:漢字 が 読める ように なりました。
〔赤〕可能動詞の辞書形 + ように なりました
〔並べる〕上手 に なりました(ナA)/読める ように なりました(V)
〔矢印〕前 × → 今 ○
場面と発話(自作)
- アルバイト先の同僚に、日本に来て半年でどう変わったかを聞かれる。最初は漢字が全然読めませんでしたが、今は少し読めるようになりました。
- サークルの友達と、日本の食べ物の話をする。前は納豆が食べられませんでしたが、今は食べられるようになりました。
- アルバイト先の店長に、仕事に慣れたかを聞かれる。はい、レジの仕事が一人でできるようになりました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「前:〜ません」の文カードを見せ、「今は〜ようになりました」に言い換えさせる。可能動詞にする段階と「ようになりました」をつける段階を分けて、最初はゆっくり回す。そのあと各自が「日本に来てできるようになったこと」を2つ書いたカードを持ち、ペアで聞き合って、相手の変化をクラスに紹介させる。
- 口頭「前」の文カードを見せて「今」の文に言い換えさせる。キューは「前:自転車に乗れません」→「今は自転車に乗れるようになりました」、「前:日本語で電話ができません」→「今は日本語で電話ができるようになりました」、「前:納豆が食べられません」→「今は納豆が食べられるようになりました」、「前:一人で電車に乗れません」→「今は一人で電車に乗れるようになりました」。可能動詞にする段と「ようになりました」をつける段を分け、慣れたら一度に言わせる。
- ペアA と B は「日本に来たとき」と「今」の二つの欄がある表を持つ。B が自分の表の「前」の欄を読み(「前は漢字が読めませんでした」)、A が「今はどうですか」と聞き、B が「〜ようになりました」で答える。A は聞いた変化を自分の表の B の欄に書く。三つ聞いたら交替する。
- 産出「わたしの半年ビフォーアフター」。日本に来てできるようになったことを2つ、まだできないことを1つ書き、同僚に話すつもりで30秒で話す。聞いた人は、相手の変化を一つ選んで「〜さんは〜ようになりました」とクラスに紹介する。教師は「*読めるになりました」の「よう」の落ちと、前の動詞を過去形にしていないか(*読めたようになりました)を見る。
つまずきと手当て
- 「*読めるになりました」と「よう」を落とす。初級の「上手になりました」と混ざる誤りなので、名詞・形容詞は「〜になりました」、動詞は「〜ようになりました」と、2つの行を並べて板書する
- 「*読めたようになりました」「*読めましたようになりました」と、前を過去やます形にする。過去は最後の「なりました」だけで言う、と枠で確かめる
- 可能動詞にしないで「日本語を話すようになりました」と言う。誤りではないが、これは「前は話さなかったが今は話す」という習慣の変化(第11課)の意味になる。「できる」ようになったことは可能動詞で言う、と確かめる
既習の文型との違い
- イAくなります/ナA・Nになります(初級第10課)初級では「上手になりました」「暖かくなりました」のように、形容詞や名詞で変化を言いました。動作ができるようになった変化は、動詞に「ようになります」をつけて言います。二つが混ざって「*読めるになりました」となる誤りが多いので、板書で二つの行を並べます。
- 可能動詞(初中級第1課 ST1)ST1 で作った可能動詞の辞書形を、そのまま「ように」の前に置きます。可能動詞の形があいまいだと、この形でもつまずくので、ST2 に入る前に可能動詞の口頭練習を短くくり返します。
関連する文型