ST1 上手に買い物
できること店で品物を見て友達と様子や使い心地を話し、店員に見せてほしい物や知りたいことを頼んで、買う物を決められる。
場面
日本人の友達と一緒に、駅前の店でかばんや服、靴を選ぶ場面です。友達とは見た目の感想を言い合い、店員(客から見て店の人なので、ていねいに頼む相手)には別の色やサイズを見せてもらったり、試してもいいか聞いたりします。教室ではかばん・服・靴の実物や写真を机に並べ、教師か学習者一人が店員役になって店を作ります。
- 留学生:このかばん、軽そうですね。
- 日本人の友達:本当ですね。ちょっと持ってみてください。
- 留学生:あ、軽いです。でも、ポケットが小さすぎますね。
- 留学生:すみません、大きいポケットがあるかばんを見せてもらえませんか。
- 店員:はい。黒なら、こちらにあります。
- 留学生:これは物が出しやすいですね。これをください。
学習項目 1 Aそうです(様態)
意味・はたらき
品物や料理を見た感じから「〜のようだ」と判断して言う形です。まだ確かめていないこと(味・重さ・値段・使い心地など)について、見た目から感想を言うときに使い、買い物の場面で友達と品物を見比べるのに欠かせません。色や形のように見ただけで分かることには使いません。初級第15課の伝聞の「〜そうです」とは形も意味も違うので、並べて区別させます。文法の用語では様態の「そうだ」と呼ばれ、話し手が見た目からどう判断したかを表すモダリティの一つです。
接続
イA(〜い)+そうです/ナA+そうです(「いい」は「よさそう」、「ない」は「なさそう」)
形
軽そうですおいしそうです便利そうですよさそうです
導入
- 持つ前に聞く教師が大きな箱と小さな箱を机に置き、持ち上げる前に「重いですか」と聞いて「わかりません」を引き出す。そこで教師が箱を指して「重そうですね」と言い、持ち上げてから「あ、重いです」と言い分ける。次にケーキや料理の写真で「おいしそうです」。板書は「重い → 重そうです」「便利 → 便利そうです」「いい → よさそうです」の3行にし、「い」を消す動作を見せる。
- 伝聞と並べる初級第15課の「このケーキはおいしいそうです(友達が言っていました)」を板書の右に書き、左に「このケーキはおいしそうです(写真を見て)」を書く。左は自分の目、右は人から聞いた話、と目と耳の絵を添える。
板書案
見た目で:イA(〜い)+そうです/ナA+そうです
重い → 重そうです 便利 → 便利そうです
いい → よさそうです 〔赤〕「い」を消す線
この かばん、軽そうですね。(〔青〕目の絵)
おいしいそうです=聞いた話(〔青〕耳の絵・初級第15課)
場面と発話(自作)
- 友達と服の店で、厚いセーターを手に取る前に。このセーター、暖かそうですね。
- コンビニの棚で、新しいお菓子を見つけて。これ、おいしそう。
- 電気の店で、小さいアイロンを見て友達に言う。これは便利そうですね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が品物や料理の写真を見せ、学習者が「〜そうです」で言う(重い・軽い・高い・安い・おいしい・便利・丈夫など)。「いい」「ない」が入るカードを混ぜておく。そのあとペアで写真を2枚ずつ持ち、「どちらがよさそうですか」と比べ合って、ST1 のやり取りの最初の一言にする。
- 口頭教師が写真を出し、全体で言わせてから個人に当てる。キューは、大きな辞書の写真→「重そうです」、焼きたてのパン→「おいしそうです」、ボタンが一つの電気ポット→「便利そうです」、厚いコート→「暖かそうです」。「いい」の札を付けた写真(人がたくさん並ぶ店)を混ぜ、「よさそうです」を言わせる。
- ペアA だけが写真を3枚持ち、相手に見せずに「〜そうです」を2つずつ言う(「重そうです。丈夫そうです」)。B は何の品物か当て、当たったら写真を見せる。3枚終わったら役を交替する。
- 産出「中身あてクイズ」。教師が紙袋や箱に品物を入れて机に並べ、学習者は持つ前に外から見て「重そうです」「やわらかそうです」と予想を言い、持ってみて「あ、本当に重いです」「あれ、軽いです」と言い直す。教師は ①「い」を消しているか ②「いい」が「よさそう」になっているか ③見えている色や形に「そう」を付けていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 見た目の意味で「いい」から「いそうです」「いいそうです」と作ってしまう(「いいそうです」は伝聞の意味になる)。「いい」だけは「よさそう」と、板書の3行目を毎回指して確かめる
- 見た目の意味で「おいしいそうです」と言い、伝聞の意味になってしまう。誤りではないが意味が変わるので、目と耳の絵の板書に戻る
- 見ればすぐ分かる色や形に「赤そうです」と言う。もう見えていることには「赤いですね」とそのまま言う、と実物を前に言い分けさせる
- 「かわいそう」を「かわいい」の様態だと思う。「かわいそう」は気の毒だという別の言葉で、見た目がかわいいときは「かわいいですね」と言う、と一言添える
既習の文型との違い
- 〜そうです(伝聞)(初級第15課)形が違い、伝聞は普通形にそのまま付けて「おいしいそうです」、様態は「い」を取って「おいしそうです」です。意味も、様態は自分が見た感じ、伝聞は人から聞いた話です。写真を見て言ったつもりの「おいしいそうです」は、『だれかがそう言っていた』と受け取られます。
- 〜と思います(推量)(初級第15課)「〜と思います」は知識や理由から考えた判断にも使えますが、「Aそうです」は目の前の見た目から受けた感じだけを言います。品物を手に取る前の一言は「軽そうですね」が自然で、「軽いと思います」は理由があっての判断に聞こえます。
関連する文型
学習項目 2 Vてみます
意味・はたらき
どうなるか、どんな感じかを知るために試しにやってみることを表します。店で服を着たり、かばんを持ったり、試食をしたりするときに使い、「Aそうです」で見た目を言ったあと、本当にそうか確かめる動きにつながります。初級第10課の「Vてもいいですか」と合わせた「着てみてもいいですか」は、店員に試着を頼む決まった言い方として覚えさせます。文法の用語では、テ形のあとに付いて意味を添える補助動詞の一つで、あとで出る「Vておきます」「Vてしまいます」と同じ仲間です。
接続
Vて+みます(「みます」はふつうひらがなで書く)
形
着てみます持ってみてください食べてみたいですはいてみてもいいですか
導入
- 見た目と実際を比べる教師が帽子かジャケットを見せて「これ、小さそうですね。……着てみます」と言いながら実際にかぶる・着る。「あ、ちょうどいいです」と続け、「そう」で予想してから「てみます」で確かめる流れを見せる。板書は「着る → 着てみます」「持つ → 持ってみます」。初級のテ形の作り方をここで一度復習する。
板書案
Vて + みます(ためしに する)
着る → 着てみます はく → はいてみます かぶる → かぶってみます
小さそうですね。……着てみます。→ あ、ちょうどいいです。
着てみても いいですか(〔青〕初級第10課 Vてもいいですか)
〔赤〕みます=ひらがなで書く
場面と発話(自作)
- 服の店で、気になったシャツを試着したい。すみません、これ、着てみてもいいですか。
- スーパーの試食コーナーで、友達に勧める。おいしそうですよ。食べてみてください。
- 友達の新しい自転車を見せてもらって。いいですね。ちょっと乗ってみてもいいですか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、品物の絵カード(シャツ・靴・帽子・ペン・ソファ・パン)を見せ、「着てみます」「はいてみます」「書いてみます」「座ってみます」と動詞を合わせて言わせる。次に「〜そうですね」「〜てみてください」「〜てみてもいいですか」を3つつないで、客と友達、客と店員のやり取りにする。
- 口頭品物の絵カードを出して、動詞を合わせて言わせる。キューは、シャツ→「着てみます」、靴→「はいてみます」、帽子→「かぶってみます」、新しいパン→「食べてみます」、ソファ→「座ってみます」。全体で言ったあと個人に当て、続けて同じカードで「〜てみてもいいですか」に言い換えさせる。
- ペアA は客、B は店員。A は試したい品物のカードを3枚持ち、「すみません、これ、〜てみてもいいですか」と聞く。B は「はい、どうぞ」か「すみません、それはちょっと…」(初級第6課)で答える。B のカードに「だめ」の印が1枚混ざっていて、断られたら A は別の品物で頼み直す。3枚で役を交替。
- 産出「試着コーナーのロールプレイ」。教室のすみに「試着室」の札を貼り、上着・帽子・手袋などの実物を置く。友達役と二人で品物を見て「〜そうですね」→ 店員役に「〜てみてもいいですか」→ 実際に身に着けて「ちょうどいいです」「少し大きいです」と感想を言うまでを通す。教師は ①テ形の作り方 ②身に着ける物ごとの動詞 ③「〜てみて」のあとに感想が続いているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*着るてみます」「*はくてみます」とテ形を作らずにつなぐ。初級のテ形の表に戻り、グループごとに確かめる
- 靴を「着てみます」、帽子を「着てみます」と言う。身に着ける物ごとの動詞(着る・はく・かぶる・かける)を絵カードで分けて練習する
- 「てみます」を漢字で「て見ます」と書く。ここの「みます」は見ることではないので、ひらがなで書くと決めて板書する
既習の文型との違い
- Vてもいいですか(初級第10課)「着てもいいですか」はただ着ることの許可を求める言い方です。「着てみてもいいですか」は買う前に試しに着ることの許可で、店ではこちらが自然です。学習者は「着てもいいですか」で止まりやすいので、「みて」を足した形を一まとまりで練習します。
- Vたことがあります(初級第13課)「食べたことがあります」は過去に経験があるかどうかを言い、「食べてみました」は試しにした一回の行動と、その結果に目が向きます。「なっとうを食べてみました。おいしかったです」のように、すぐ感想が続くのは「てみる」の方です。
関連する文型
学習項目 3 Vてもらえませんか
意味・はたらき
相手に何かをていねいに頼む言い方です。客が店員に、学生が先生に、というように、相手にしてもらう立場から使います。「もらえる」は第1課の可能動詞(もらう→もらえる)で、「〜してもらうことはできませんか」と相手の都合を聞く形になっているので、「Vてください」より柔らかく聞こえます。文法の用語では、授受表現の「もらう」と可能の形が合わさった依頼の表現で、相手がしてくれる側、自分が受け取る側に立ちます。
接続
Vて+もらえませんか
形
見せてもらえませんか教えてもらえませんか包んでもらえませんか
導入
- 手の届かない棚教室の高い棚(黒板の上の方)にかばんの絵を貼り、教師が客になって、学習者一人に店員役の名札を付ける。教師が棚を指して「すみません、あのかばんを見せてもらえませんか」と言い、店員役に取ってもらう。板書は「見せてください」と「見せてもらえませんか」を上下に並べ、下の方が柔らかいと矢印で示し、「もらう → もらえる(第1課)」を横に書く。
板書案
Vて + もらえませんか(ていねいに たのむ)
もらう → もらえる(〔青〕第1課 可能動詞)
見せて ください。〔矢印〕やわらかく
見せて もらえませんか。
すみません、Mの サイズを 見せて もらえませんか。
場面と発話(自作)
- 服の店で、店員に別のサイズを出してほしい。すみません、Mのサイズを見せてもらえませんか。
- プレゼント用に買った物を、店員に包んでほしい。これ、プレゼントなので、包んでもらえませんか。
- 電気の店で、使い方が分からないので店員に聞く。この機械の使い方を教えてもらえませんか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が「見せる」「包む」「教える」「出す」の動詞カードと品物カードを出し、「〜を〜てもらえませんか」を言わせる。次に店員役と客役に分かれ、客は頼みたいことを書いたカード(別の色を見たい・値段を知りたい・袋に入れてほしい)を引いて店員に頼む。店員役は「はい、ちょっと待ってください」などで受ける。
- 口頭動詞カードと品物カードを組にして出す。キューは、「見せる・赤いかばん」→「赤いかばんを見せてもらえませんか」、「包む・プレゼント」→「プレゼントを包んでもらえませんか」、「教える・使い方」→「使い方を教えてもらえませんか」、「書く・値段」→「値段を書いてもらえませんか」。全体→個人の順で言わせ、最後に教師が「Vてください」の文を言って、学習者が「もらえませんか」に言い換える。
- ペアA は客で、頼みたいことのカード(別の色を見たい・袋に入れてほしい・値段を知りたい)を引く。B は店員で、「はい、ちょっと待ってください」で受けるか、「すみません、赤はありません。黒はあります」と答える。A は答えを聞いて別の頼み方をする。カード3枚で役を交替。
- 産出「店員さんにお願いロールプレイ」。学習者は自分が本当に買いたい物を一つ決め、店員役に頼み事を2つ以上して(見せてもらう・試させてもらう・包んでもらう)買う。教師は ①テ形 ②「もらえ」の形(「もらい」になっていないか)③頼む前の「すみません」④店員に友達言葉が出ていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*見せるてもらえませんか」とテ形にしない。テ形の確かめから入る
- 「見せてもらえませんか」と言うところを「見てもらえませんか」と言い、「わたしの物を見てください」の意味になる。誤りではないが意味が逆になるので、見る(自分)と見せる(相手)を動作で示す
- 「もらえませんか」を「もらいませんか」と言い、誘いの意味になる。「もらう → もらえる」の可能動詞の形を第1課の表で確かめる
- 友達に頼むときもずっと「〜てもらえませんか」を使い、かたくなる。友達には「〜てくれる?」もあるが、この課では店員や先生のような相手に使う形として練習する
既習の文型との違い
- Vてください(初級第7課)どちらも頼む言い方ですが、「Vてください」は相手にそうするよう求める形で、言い方によっては指示に聞こえます。「Vてもらえませんか」は相手ができるかどうかを聞く形なので断る余地が残り、客から店員、学生から先生への頼みに向きます。
- Vませんか(初級第6課)「見せてもらいませんか」と言うと第6課の誘いの形と同じになり、「一緒に見せてもらいましょう」という誘いに聞こえます。頼むときは可能動詞の「もらえ」を使う、と「え」の音を赤で示します。
関連する文型
学習項目 4 Vにくいです
意味・はたらき
その物を使って何かをするのが難しい・面倒だという使い心地を表します。「このペンは書きにくい」のように、この課では物について言い、品物の欠点を言って買うかどうか決めるときに使います。「にくい」は「い」で終わる形容詞と同じように変わり、「書きにくくないです」「書きにくいペン」とも言えます。
接続
Vます(〜ます)+にくいです
形
書きにくいです歩きにくいです使いにくいかばん
導入
- 細いペンと太いペンで書くとても細いペン(または先の丸くなった鉛筆)とふつうのペンを用意し、学習者に名前を書かせる。細い方を書いたあと教師が「どうですか。書きにくいですね」と言う。板書は「書きます → 書きにくいです」とし、「ます」を消して「にくい」を足す動作を見せる。続けて高いヒールの靴の絵で「歩きにくいです」。
板書案
Vます + にくいです(するのが むずかしい)
書きます → 書きにくいです 〔赤〕「ます」を消す
この ペンは 書きにくいです。
書きにくくないです(〔青〕イAと同じ)
〔青〕まだ 漢字が 書けません(第1課 可能動詞)は別
場面と発話(自作)
- 靴の店で試しにはいてみたが、底が硬い。この靴は歩きにくいですね。
- かばんの中に仕切りがなくて、物が見つからない。このかばんは物が出しにくいです。
- 電気の店で、ボタンの小さいリモコンを試してみて。これはボタンが小さくて、押しにくいですね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、品物の絵と動詞を組み合わせたカード(靴×歩く・ペン×書く・はし×食べる・スマホ×使う)を見せ、欠点がある絵には「〜にくいです」を言わせる。そのあと ST1 の買い物の場面で、試してみた物の感想として「〜てみます」→「〜にくいですね」とつなげる。
- 口頭品物の絵カードを出し、欠点を「〜にくいです」で言わせる。キューは、ヒールの高い靴→「歩きにくいです」、とても細いペン→「書きにくいです」、長すぎるはし→「食べにくいです」、ボタンの小さいリモコン→「使いにくいです」。全体→個人。同じカードの裏(欠点のない絵)で「〜にくくないです」も言わせる。
- ペアA は欠点が書いてある品物カードを持つ店員、B は客。B が「このかばんはどうですか」と聞き、A は「物が出しにくいです」のように正直に答える。B は「じゃあ、こちらはどうですか」と別のカードを指して聞き直す。3回で役を交替。
- 産出「ここが困る!品物紹介」。自分の持ち物か家にある物から使いにくい物を一つ選び、「〜は〜にくいです。〜から」と理由をつけて1分で紹介する。聞いている人は「じゃあ、どんな〜がいいですか」と一つ質問する。教師は ①「ます」の形からの接続 ②主語が物になっているか ③自分ができないことを「にくい」で言っていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*使うにくいです」「*歩くにくいです」と辞書形につなぐ。「ます」の形から作る、と板書の消す動作に戻る
- 自分の力の問題に使い、「漢字が書きにくいです」で「書けない」と言おうとする。誤りではないが、できないことは第1課の可能動詞で「まだ書けません」と言う、と言い分けさせる
- 「*使いにくいじゃありません」と否定を作る。「にくい」はイ形容詞と同じなので「使いにくくないです」、と初級第4課の表を見せる
既習の文型との違い
- 可能動詞(第1課)「書けません」は人の力や事情でできないこと、「書きにくいです」はできるけれど物のせいで楽ではないことを言います。「このペンは書けません」と言うと、ペンが壊れて全く書けない意味になります。主語が人か物かで分けて見せます。
関連する文型
学習項目 5 Aすぎます
意味・はたらき
程度がちょうどよいところを超えていて困ることを表します。「大きすぎます」「高すぎます」のように、品物のどこが合わないかを言い、買わない理由や別の物を頼む理由にします。ふつうはよくないことに使います。「すぎます」は動詞と同じように変わり、「高すぎました」「大きすぎて、〜」とも言えます。
接続
イA(〜い)+すぎます/ナA+すぎます(「いい」は「よすぎます」)
形
大きすぎます高すぎます派手すぎます大きすぎて、はけません
導入
- 合わないサイズの服大人用の大きいTシャツを教師が着てみせ、「大きいです。……大きすぎます」と袖を引っぱって困った顔をする。次に値札に「50,000円」と書いたかばんの絵で「高すぎます」。板書は「大きい → 大きすぎます」「派手 → 派手すぎます」とし、「大きい」と「大きすぎる」の違いを、ちょうどよい線を引いた図(線を超えたら「すぎ」)で見せる。
板書案
イA(〜い)/ナA + すぎます
〔図〕ちょうどいい線 ─── 線の上=〜すぎます
大きい → 大きすぎます 派手 → 派手すぎます
いい → よすぎます(〔赤〕「よさそう」と同じ)
大きすぎて、はけません。
場面と発話(自作)
- 靴を試しにはいてみたら、かかとが余る。これは大きすぎます。もう少し小さいのはありますか。
- 友達が選んだ服を見て、自分には合わないと思う。わたしには派手すぎますね。
- レストランで、出てきたスープを一口飲んで。ちょっと熱すぎますね。少し待ちましょう。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、値札やサイズを書いた品物カードと、学習者の希望(「1万円まで」「Mサイズ」)を書いたカードを組み合わせ、合わないところを「〜すぎます」で言わせる。慣れたら「〜すぎます。〜を見せてもらえませんか」と ST1 の頼み方につなげる。
- 口頭値札やサイズを書いた品物カードを出し、合わないところを言わせる。キューは、XL の T シャツ→「大きすぎます」、50,000円のかばん→「高すぎます」、真っ赤なカレー→「辛すぎます」、金色の靴→「派手すぎます」。全体→個人の順で、慣れたら「〜すぎて、〜」(大きすぎて、着られません)まで言わせる。
- ペアA は客で、希望のカード(1万円まで・Mサイズ・黒がいい)を持つ。B は店員で、品物カードを1枚ずつ出す。A は合わないと「〜すぎます」と言い、B は次の品物を出す。希望に合う物が出たら A は「これをください」。3回で役を交替。
- 産出「ちょうどいいのを探そう」。客役は希望(予算・サイズ・色)を自分で決めて店員役には言わずにおき、店員役が出す3つの品物に「〜すぎます。もう少し〜のはありますか」と注文をつけて、最後に1つ買う。教師は ①「い」「な」を残していないか ②「いい」が「よすぎ」になっているか ③ほめたいときに「すぎ」を使っていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*大きいすぎます」「*きれいなすぎます」と「い」や「な」を残す。板書の消す動作をくり返す
- 「いい」から「いすぎます」と作ってしまう。「よすぎます」になると「よさそう」と並べて確かめる
- よいことにも「とても」の代わりに「すぎます」を使い、「このかばんは便利すぎます」と言う。誤りではないが、困ったことに聞こえやすいので、ほめるときは「とても便利です」と言うと確かめる
既習の文型との違い
- とても・少し/あまり〜ない(初級第4課)「とても大きいです」は程度が高いことを言うだけで、困っているかどうかは言いません。「大きすぎます」は自分に合わない・困るという気持ちが入り、買わない理由になります。ほめるつもりで「すぎます」を使うと、反対に不満に聞こえることがあります。
関連する文型
学習項目 6 Vやすいです
意味・はたらき
その物を使って何かをするのが楽だ・簡単だという使い心地を表し、「Vにくいです」の反対です。品物のよいところを言って、買う物を決める決め手にします。「にくい」と同じくイ形容詞のように変わり、「使いやすいかばん」「使いやすくて、軽いです」と言えます。
接続
Vます(〜ます)+やすいです
形
使いやすいです持ちやすいです歩きやすい靴
導入
- 「にくい」の反対を探す「Vにくいです」で使った細いペンとふつうのペンをもう一度出し、ふつうの方を学習者に使わせて「こっちはどうですか」と聞く。「書きやすいです」を教師が言って、板書の「書きにくい」の横に「書きやすい」を並べる。品物カードを「〜やすい」と「〜にくい」の2つの箱に分けさせる。
板書案
Vます + やすいです(するのが かんたん)
書きにくい ⇔ 書きやすい
この 靴は 歩きやすいです。
使いやすい かばん/使いやすくて、軽いです
〔青〕安い(ねだん)と 〜やすい(使いごこち)は 別
場面と発話(自作)
- 靴の店で、試しにはいた靴が軽くて柔らかい。これは歩きやすいですね。これをください。
- 友達にスマホのケースを勧める。このケース、持ちやすいですよ。
- 新しいスマホを買った友達に、使い心地を聞く。そのスマホ、使いやすいですか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「Vにくいです」と同じカードを使い、よい点がある絵には「〜やすいです」を言わせて、2つを速く言い分ける。最後に ST1 のやり取りで、候補を2つ比べて「Aは〜にくいですが、Bは〜やすいです。Bをください」と決めるところまで言わせる(初級の「〜は〜が、〜は」の対比を使う)。
- 口頭「Vにくいです」で使ったカードの反対の絵を出す。キューは、平らな靴→「歩きやすいです」、太いペン→「書きやすいです」、ボタンの大きいリモコン→「使いやすいです」、軽いかばん→「持ちやすいです」。教師が「やすい」と「にくい」の絵を速く入れ替えて出し、全体で言い分けさせてから個人に当てる。
- ペアA は使いやすい品物、B は同じ種類の使いにくい品物のカードを持つ。互いに相手のカードを見ずに「その〜は〜やすいですか」と聞き合い、答えを聞いて、二人でどちらを買うか決める。カードを替えて2回行う。
- 産出「おすすめ品くらべ」。2人組で同じ種類の品物を2つ(写真でもよい)用意し、「Aは〜にくいですが、Bは〜やすいです。Bがいいですよ」とクラスに勧める。聞く人は「Bは高くないですか」のように一つ質問する。教師は ①「ます」の形からの接続 ②値段の「安い」と混ぜていないか ③対比の「は」が二つ出ているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*使うやすいです」と辞書形につなぐ。「にくい」と同じく「ます」の形から作る
- 形容詞の「安い」と混ぜ、「*このかばんは安いやすいです」と言ってしまう。値段の「安い」と使い心地の「〜やすい」は別だと、値札の絵と手で持つ絵で分けて見せる
- 「*使いやすいなかばん」とナ形容詞のように「な」を付ける。「〜やすい」はイ形容詞と同じなので、名詞にはそのまま付く、と「使いやすいかばん」を板書して確かめる
既習の文型との違い
- Vにくいです(第2課 ST1)作り方は同じで、意味が反対です。欠点をはっきり言うときは「〜にくいです」、少しやわらかく言うときは「〜やすくないです」も使える、と二つの否定の言い方を並べておきます。
- VるのがA(第1課)「使うのが簡単です」は動作そのものについて言い、「使いやすいです」は物の性質として言います。「このかばんは使いやすいです」のように物を主語にするなら「〜やすい」、「料理をするのが好きです」のように人の好みや得意なことなら「VるのがA」です。
関連する文型
ST2 一緒に食事
できることレストランで、メニューの読み方や言葉の意味を一緒にいる人に聞き、自分の注文を決められる。
場面
買い物のあと、日本人の友達と定食屋やカレーの店に入る場面です。メニューには漢字やなじみのない料理の言葉が多いので、隣の友達に読み方や意味を聞きながら注文を決めます。教室では教師が手書きのメニュー(料理の名前・「大盛り」「辛口」などの言葉・値段)を作って配り、机の上にはしやお水の絵を置いて店の席を作ります。
- 留学生:あ、テーブルにお水が置いてありますね。
- 留学生:この漢字は何と読みますか。
- 日本人の友達:「おおもり」と読みます。
- 留学生:「大盛り」はどういう意味ですか。
- 日本人の友達:ご飯の量が多いという意味です。ここに「大盛り無料」と書いてありますよ。
- 留学生:じゃあ、わたしはカツカレーの大盛りにします。
- 日本人の友達:えっ、それは食べすぎですよ。
学習項目 1 Vてあります
意味・はたらき
だれかが何かのためにしたことの結果が、そのまま残っている様子を表します。レストランでテーブルにはしやお水が置いてある、壁にメニューが貼ってある、のように、店の人が準備した状態を見て言うときに使います。「置く」「貼る」「書く」のように「〜を」をとる動詞を使い、残っている物は「が」で言います。初級第15課の「Vています(結果の状態)」は「ドアが開いています」のように「〜が」の動詞で、だれがしたかには目を向けない、と並べて区別させます。文法の用語では「てある」は他動詞の結果の状態を表す形で、動作をした人を言わなくても、だれかがしたことが分かる点が「ている」との違いです。
接続
Nが+Vて+あります(「〜を」をとる動詞を使う)
形
はしが置いてありますメニューが貼ってあります名前が書いてあります
導入
- 店の席を準備する教室の机をレストランの席に見立て、教師が店員になって、学習者の見ている前で「はしを置きます」「メニューを貼ります」と言いながら準備する。準備が終わったら学習者を席に座らせ、「はしが置いてあります」「メニューが貼ってあります」と言う。板書は「はしを置きます(店員がする)→ はしが置いてあります(いま見える)」の2行で、「を」が「が」に変わるところを赤くする。
- 「開いています」と並べる窓を教師が開けてから「窓が開けてあります(先生が開けました)」、風で開いたドアの絵で「ドアが開いています」と言い分ける。だれかがわざとしたかどうか、と人の絵を添えて見せる。
板書案
Nが + Vて + あります(だれかが した → いま 見える)
はしを 置きます(店の人)→ はしが 置いて あります
〔赤〕を → が
テーブルに お水が 置いて あります。
〔青〕ドアが 開いています(だれがしたかは 見ない・初級第15課)
場面と発話(自作)
- 定食屋の席に座ったら、もう準備ができていた。テーブルにお水が置いてありますね。
- 店の入口で、友達にメニューの場所を教える。外にメニューが貼ってありますよ。
- 予約した店に入ったら、席に札がある。テーブルに名前のカードが置いてありますね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、レストランのテーブルや店の入口の絵を見せ、置いてある物・貼ってある物を「〜が〜てあります」で言わせる(はし・お水・メニュー・ポスター・値段)。次に教師が絵から1つ消したものを見せ、「何が置いてありませんか」と聞いて間違い探しにする。最後に ST2 のやり取りの最初の一言として、席に着いたところで言わせる。
- 口頭レストランのテーブルや入口の絵を指して言わせる。キューは、「はし」→「はしが置いてあります」、「壁・メニュー」→「壁にメニューが貼ってあります」、「紙・名前」→「紙に名前が書いてあります」、「コップ・テーブル」→「テーブルにコップが並べてあります」。全体→個人。教師が絵から物を一つ消して「何が置いてありませんか」と聞き、見つけさせる。
- ペア「テーブル間違い探し」の形で、A と B は少しずつ違う店のテーブルの絵を持つ。「〜に〜が置いてありますか」と聞き合い、違いを3つ見つける。見つけたら絵を見せ合って確かめ、別の絵で役を替える。
- 産出「開店準備ロールプレイ」。店員役の学習者が教室の机を実際に店の席にする(はし・お水・メニューの紙を置く・貼る)。準備が終わったら店長役が来て「はしは?」「メニューは?」と聞き、店員役は「はい、置いてあります」「すみません、まだです」と答える。最後に客役が席に着いて「〜が〜てありますね」と一言言う。教師は ①残っている物を「が」で言っているか ②他動詞を使っているか ③「ています」と混ぜていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*はしが置いています」と「ています」で言う。「置く」は「〜を」をとる動詞なので「てあります」になる、と板書の2行を見せる
- 「*窓が開いてあります」と「〜が」の動詞に「てあります」をつける。「開く/開ける」の組を並べ、「てあります」は「開ける」の方だと確かめる
- 「はしを置いてあります」と「を」で言う。準備したことを言う言い方として使われることもあり誤りとは言えないが、この課ではいま見える様子を言う「〜が」の形に決めて練習する
既習の文型との違い
- Vています(結果の状態)(初級第15課)「窓が開いています」は自動詞で、だれがしたかは問わない状態です。「窓が開けてあります」は他動詞で、だれかが目的をもってした結果です。開く・開ける、閉まる・閉めるの組を並べ、「てある」には他動詞の方を使うと示すと、「開いてあります」のような混ぜ方が減ります。
- Vています(動作の進行)(初級第7課)「店員がはしを置いています」は、いま置いている途中の動作です。準備が終わって物が残っている様子なら「はしが置いてあります」です。置いている手の絵と、置かれたはしの絵を2枚並べて見せます。
関連する文型
学習項目 2 〜と読みます
意味・はたらき
字の読み方を言ったり聞いたりする言い方です。メニューや看板の読めない漢字を、一緒にいる人に「何と読みますか」と聞き、「〜と読みます」で答えます。「と」は読み方をそのまま引いて示します。友達どうしでは「何て読むの?」とも言います。文法の用語では、言葉をそのまま引いてくる引用の「と」です。
接続
「読み方」+と読みます/何と(なんと)読みますか
形
この漢字は何と読みますか「からくち」と読みます何て読むの?(友達言葉)
導入
- 読めないメニュー教師の手書きメニューの「辛口」「大盛り」「定食」などを指し、学習者に読めるか聞く。読めない人の代わりに教師が「この漢字は何と読みますか」と自分で質問してみせ、別の学習者(または教師)が「『からくち』と読みます」と答える。板書は「(漢字)は 何と 読みますか」「『 』と 読みます」の2行。
板書案
(漢字)は 何と 読みますか。
「 」と 読みます。 〔赤〕と
〔青〕何と=なんと
辛口は 何と 読みますか。——「からくち」と 読みます。
友達どうし:何て 読むの?
場面と発話(自作)
- ラーメンの店で、券売機のボタンの漢字が読めない。これは何と読みますか。——「みそ」と読みます。
- 駅で、友達に店の看板の読み方を聞く。あの店の名前、何て読むの?
- 日本語学校の掲示板で、知らない漢字のお知らせを見つけて先生に聞く。先生、この漢字は何と読みますか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、メニューや看板によく出る漢字カードを1枚ずつ出し、ペアで「何と読みますか」「〜と読みます」を交代で言わせる。読み方を知らないときは「すみません、わかりません」と答えてよいことも練習しておく。
- 口頭メニューや看板によく出る漢字のカードを1枚ずつ出す。キューは「定食」「大盛り」「辛口」「出口」「日替わり」。教師がカードを掲げて全体で「これは何と読みますか」と言わせ、指名した学習者が「〜と読みます」で答える。読めないカードも混ぜ、「すみません、わかりません」で答える練習もする。
- ペアA と B はそれぞれ半分のカードにだけふりがなが付いた漢字カードの束を持つ。ふりがなのないカードを相手に見せて「この漢字は何と読みますか」と聞き、相手は自分の束の同じ漢字を見て答える。全部読めたら束を交換する。
- 産出「町の漢字ハンター」。教師が撮った学校のまわりの看板やメニューの写真(または学習者が撮ってきた写真)から、読めない漢字を一人2つ選び、クラスで「この漢字は何と読みますか」と聞く。知っている人が答え、だれも知らなければ教師が答える。教師は ①聞くときの「何と」②「なんと」の読み ③答えの「〜と読みます」の「と」、を見る。
つまずきと手当て
- 「何を読みますか」と言い、「何の本を読むか」という質問になる。読み方を聞くときは「何と」と、板書の「と」を赤で示す
- 「何と」を「なにと」と読む。この形は「なんと」と決めて覚えさせる
- 答えるときに「と」を落とし、「*『からくち』読みます」と言う。「と」は読み方を引いてくる印なので、聞くときも答えるときも同じ位置に付く、と板書の2行の「と」を縦にそろえて見せる
既習の文型との違い
- 「〜」と言います(初級第14課)「〜と言います」は物の名前や日本語での言い方を言い、「〜と読みます」は書いてある字の読み方を言います。「これは日本語で何と言いますか」は物を指して、「この漢字は何と読みますか」は字を指して聞く、と指さす先で分けます。
関連する文型
学習項目 3 〜と書いてあります
意味・はたらき
メニュー・看板・紙などに書かれている言葉や内容を、そのまま伝える言い方です。「と」で書かれている言葉を引き、「書いてあります」で、だれかが書いたものがそこに残っていることを表します(ST2 の「Vてあります」と同じ形)。書いてある場所は「〜に」で言います。
接続
[場所]に+「言葉」+と書いてあります
形
ここに「大盛り無料」と書いてありますメニューに「辛口」と書いてあります何と書いてありますか
導入
- メニューの小さい字手書きメニューのすみに小さく「大盛り無料」と書いておき、教師が指さして「ここに何と書いてありますか」と聞く。読めたら「『大盛り無料』と書いてあります」と言い直してみせる。板書は「[場所]に『 』と書いてあります」で、「に」と「と」を色分けする。
板書案
[場所]に 「言葉」と 書いて あります。
〔赤〕に(場所) 〔青〕と(言葉)
メニューに 「辛口」と 書いて あります。
何と 書いて ありますか。
書きます(店の人)→ 書いて あります(いま 見える)
場面と発話(自作)
- レストランで、メニューの注意書きを友達に知らせる。ここに「辛口」と書いてありますよ。
- 店の入口の紙を、一緒にいる友達に読んでもらう。あの紙に何と書いてありますか。
- レストランのドアを開ける前に、ドアの字を見て友達に言う。ドアに「押す」と書いてありますよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、メニュー・店の入口の紙・ポスターの絵を見せ、教師が場所を指して「何と書いてありますか」と聞き、「〜に『〜』と書いてあります」で答えさせる。そのあとペアで、片方だけがメニューを見て、見ていない方に書いてあることを伝える活動にする。
- 口頭張り紙や看板の絵を指して言わせる。キューは、「ドア・押す」→「ドアに『押す』と書いてあります」、「メニュー・辛口」→「メニューに『辛口』と書いてあります」、「入口の紙・休み」→「入口の紙に『休み』と書いてあります」、「ポスター・セール」→「ポスターに『セール』と書いてあります」。全体→個人。教師が「何と書いてありますか」と聞いて答えさせる形も入れる。
- ペア「メニュー伝言」。A だけが手書きのメニューを見て、見ていない B に「ここに『〜』と書いてあります」と3つ伝える。B は聞いたことをメモし、最後にメニューを見て合っているか確かめる。メニューを替えて役を交替。
- 産出「張り紙さがし」。教師が教室のあちこちに短い張り紙(自作。「水は無料」「12時から」「大盛りできます」)を貼っておき、学習者は2人で回って見つけた張り紙を、席に戻ってから「〜に『〜』と書いてありました」とクラスに報告する。教師は ①場所の「に」②言葉を引く「と」③「何と書いてありますか」で聞き合えているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*ここで『大盛り無料』と書いてあります」と場所を「で」で言う。字が残っている場所は「に」、と板書の色分けに戻る
- 「と」を落として「ここに『大盛り無料』書いてあります」と言う。書いてある言葉をそのまま言うときは「と」で引く、と「〜と読みます」と並べて確かめる
- 「ここに『大盛り無料』が書いてあります」と「と」の代わりに「が」を使う。誤りではないが、書いてある言葉をそのまま伝えたいときは「と」で引く方が自然だ、と「何が書いてありますか」「何と書いてありますか」を並べて確かめる
既習の文型との違い
- [場所]に〜があります(初級第4課)「メニューにカレーがあります」は料理があることを言い、「メニューに『辛口』と書いてあります」は書かれている文字そのものを伝えます。同じメニューの絵で2文を並べ、物なら「が」、文字を引くなら「と」と色を分けます。
- 〜と読みます(第2課 ST2)どちらも「と」で言葉を引きますが、「〜と読みます」は字の読み方、「〜と書いてあります」は書かれている中身を言います。読めない字は「何と読みますか」、内容を知りたいときは「何と書いてありますか」と、聞きたいことで使い分けます。
関連する文型
学習項目 4 どういう意味ですか/〜という意味です
意味・はたらき
知らない言葉の意味を聞いたり説明したりする言い方です。メニューの料理の名前や「大盛り」のような言葉を、一緒にいる人に聞いて注文を決めるときに使います。答えるときは説明の文(普通形)に「という意味です」をつけます。初級第13課の「NというN」と同じ「という」で、前の部分が中身を表します。
接続
「言葉」は+どういう意味ですか/普通形・N+という意味です
形
「大盛り」はどういう意味ですかご飯の量が多いという意味です辛いという意味です
導入
- 教師が知らないふりをする教師が学習者の国の料理の名前をメニューに書いておき、「この『〜』はどういう意味ですか」と学習者に聞く。学習者が説明したら、教師が「ああ、〜という意味ですね」と言い直す。板書は「『 』は どういう意味 ですか」「(説明)という意味 です」の2行で、説明の部分は普通形で入れると示す。
板書案
「言葉」は どういう 意味ですか。
(説明・普通形)+ という 意味です。
「大盛り」は どういう 意味ですか。
——ご飯が 多いという 意味です。
〔赤〕「の」ではなく「という」
場面と発話(自作)
- 定食屋で、メニューの「日替わり」の意味が分からない。「日替わり」はどういう意味ですか。——毎日料理が変わるという意味です。
- 友達にメニューの「辛口」を聞かれて答える。「辛口」は辛いという意味ですよ。
- アルバイト先で、先輩が使った「おつかれさま」の意味を休み時間に聞く。「おつかれさま」はどういう意味ですか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、メニューによく出る言葉(大盛り・辛口・甘口・日替わり・おかわり)のカードと、意味を書いた絵カードを用意し、聞く役と答える役に分かれて意味を当てる。答える役は普通形の説明に「という意味です」をつける。
- 口頭言葉のカードを出し、教師が「どういう意味ですか」と聞いて答えさせる。キューは、「辛口」→「辛いという意味です」、「甘口」→「甘いという意味です」、「おかわり」→「もう一杯食べるという意味です」、「日替わり」→「毎日変わるという意味です」。全体→個人。次に意味の絵を見せ、学習者が「〜はどういう意味ですか」の質問の方を作る。
- ペアA は言葉のカード、B は意味のカード(絵と短い説明)を持つ。A が「〜はどういう意味ですか」と聞き、B は自分の束から合うカードを探して「〜という意味です」と答える。全部合ったら束を交換する。
- 産出「メニューことば辞典づくり」。3人グループで、町の店で見た(または教師が用意した)メニューの言葉を3つ選び、「〜は〜という意味です」の説明カードを作ってクラスで発表する。ほかのグループは分からないところを「〜はどういう意味ですか」と質問する。教師は ①「という」の前が普通形か ②「の意味です」になっていないか ③質問が「どういう意味ですか」になっているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*多いの意味です」「*辛いの意味です」と「の」でつなぐ。説明の文には「という」がつく、と板書の2行目を指す
- 「何の意味ですか」と聞き、「何のためか」という別の質問に聞こえることがある。言葉の意味を聞くときは「どういう意味ですか」に決めて練習する
- 説明の部分を丁寧形にして「辛いですという意味です」と言う。引用としては言えなくはないが不自然なので、「という」の前の枠には普通形だけが入る、と板書の2行目で示す
既習の文型との違い
- NというN(初級第13課)「すしという料理」は名前を示して物を紹介し、「〜という意味です」は言葉の中身を説明します。どちらも「という」の前が中身を表す点は同じなので、第13課の文を一つ板書の横に置くと、新しい形として覚えずに済みます。
- 〜は何ですか(初級第1課)「大盛りは何ですか」は物そのものを聞く形で、答えが料理の名前になることもあります。言葉の意味を知りたいときは「どういう意味ですか」と聞く、と答えの違い(物を指す・説明する)で見せます。
関連する文型
学習項目 5 Nにします
意味・はたらき
いくつかの中から選んで決めたことを言う形です。レストランで注文を決めるとき「わたしはカレーにします」と言い、一緒にいる人に自分の選んだ物を伝えます。「Nをください」が店員に頼む言い方なのに対して、「Nにします」は自分の決定を言う言い方で、友達にも店員にも使えます。「飲み物は」「デザートは」のように「は」で選ぶものの種類を先に出すと言いやすく、決めたあとは「Nにしました」と言います。
接続
N+にします(決めたあとは「Nにしました」)
形
わたしはカレーにします飲み物はお茶にしますこれにしました
導入
- メニューから選ぶ教師がメニューを見ながら「カレーと定食と……うーん」と迷ってみせ、指をメニューの上で止めて「決めました。カレーにします」と言う。学習者一人ひとりに「〜さんは?」と聞き、「〜にします」で答えさせる。板書は「迷う → 決める:Nにします」。
板書案
迷う → 決める:N + に します
わたしは カレーに します。
飲み物は お茶に します。
〔赤〕に(「を」ではない)
〔青〕店員へ:カレーを ください(初級第2課)
場面と発話(自作)
- レストランで、友達に何を注文するか聞かれる。わたしは日替わり定食にします。
- かばんの店で、2つのうち1つに決めて店員に言う。じゃあ、黒い方にします。
- ケーキの店で、友達とどれを買うか決める。わたしはこのいちごのケーキにします。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、メニューの料理と飲み物から1つずつ選ばせ、「〜は〜にします」を言わせる。そのあと ST2 のやり取りで、意味を聞いた言葉を使って注文を決め、最後に店員役に「〜をください」と頼むまでをつなげる。
- 口頭メニューの料理カードを出して、教師が「何にしますか」と聞く。キューは、カレー→「カレーにします」、「飲み物・お茶」→「飲み物はお茶にします」、「サイズ・M」→「Mにします」、黒と白のかばん→「黒にします」。全体→個人の順で、最後に「何にしましたか」と過去の形でも聞く。
- ペア2人で同じメニューを見て、A「何にしますか」、B「わたしは〜にします。〜さんは?」と聞き合う。二人とも決めたら、片方が店員役になって「〜を一つください」と注文し、メニューを替えて役を交替する。
- 産出「ランチ注文会議」。3人グループで、教師の手書きメニューから一人1,500円まで(作り話の値段)で3人の注文を決める。分からない言葉は「どういう意味ですか」で聞き、決まったら代表が店員役に「〜と〜を一つずつください」と注文する。教師は ①決めたものに「に」が付いているか ②友達には「〜にします」、店員には「〜をください」が出ているか ③「何にしますか」で聞けているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*カレーをします」と「を」で言う。決めたものは「に」、と板書の「に」を赤で示す
- 店員に「カレーにします」とだけ言い、「ください」が要るのか迷う。どちらも店員に通じるが、「〜にします」は自分の決定、「〜をください」は頼む言い方、と使い分けを一言説明する
- 「わたしはカレーです」と答える。日本語の会話では自然な答え方(うなぎ文)だが、この課では決めたことをはっきり言う形として「〜にします」を練習する、と一言添える
既習の文型との違い
- Nをください(初級第2課)「カレーをください」は店員に品物を頼む言い方で、友達に向かって「わたしはカレーをください」とは言いません。「カレーにします」は自分が決めたことなので、友達にも店員にも使えます。店では「カレーにします。一つください」とつなげてもよい、と2つを続けて練習します。
- イAくなります/ナA・Nになります(初級第10課)「Nになります」は自然に変わること、「Nにします」は自分で選んで決めることです。「に」は同じなので、「なる」は変化、「する」は自分の決定、と二つを並べて見せると助詞の迷いが減ります。
関連する文型
学習項目 6 Vすぎです
意味・はたらき
「Vすぎ」は「Vすぎます」の「ます」の前の部分を名詞のように使った形で、度を超えていることを「〜すぎです」と言い切ります。人の注文や様子を見て「それは食べすぎですよ」「頼みすぎですよ」と一言で注意したり、からかったりするときに使います。「Vすぎます」が動作そのものを動詞として言うのに対して、「Vすぎです」は目の前の様子を一つの判断にまとめて言い、「よ」を付けると相手への注意になります。文法の用語では、動詞の「ます」の前の形(連用形)が名詞になった形(転成名詞)で、「食べすぎ」「飲みすぎ」は一語の名詞として辞書にも載ります。
接続
Vます(〜ます)+すぎです
形
食べすぎです頼みすぎです飲みすぎですよ
導入
- 大盛りを3つ頼む教師が客になってメニューの大盛りを3つ指さし、「これとこれとこれにします」と言う。学習者に「どうですか」と聞いて驚いた顔を引き出し、教師が自分で「あ、頼みすぎですね」と言う。板書は「頼みます → 頼みすぎです」。
板書案
Vます + すぎ + です
頼みます → 頼みすぎです 〔赤〕「ます」を消す
えっ、それは 食べすぎですよ。
食べすぎ=名詞(〔青〕一つの言葉)
〔青〕親しい 人に言う(目上の人には 言わない)
場面と発話(自作)
- 友達がカレーの大盛りとラーメンを一度に頼もうとしている。えっ、それは食べすぎですよ。
- パーティーの前に、友達が飲み物をたくさんかごに入れている。これは買いすぎですね。
- 毎日コーヒーを5杯飲むと言う友達に。それは飲みすぎですよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、量の多い注文や買い物の絵を見せ、「〜すぎです(よ)」で一言言わせる(食べる・飲む・頼む・買う)。そのあと ST2 のやり取りの最後に、友達役が大盛りを頼んだ相手に言う一言として入れる。
- 口頭量の多い注文や買い物の絵を出す。キューは、大盛りカレー2皿→「食べすぎです」、ジュース5本→「飲みすぎです」、かごいっぱいのお菓子→「買いすぎです」、10時間寝た人→「寝すぎです」。全体で「〜すぎですよ」と言わせてから個人に当てる。
- ペアA は多すぎる注文のカード(料理3つ・飲み物4つ)を見て「これとこれとこれにします」と言い、B が「えっ、それは〜すぎですよ」と言う。A は「そうですね。じゃあ、〜にします」と一つに減らす。カードを替えて役を交替。
- 産出「ひとことツッコミ」。教師がやりすぎの場面(作り話の状況カード)を次々に出し、学習者は友達として「〜すぎですよ」と一言言い、続けて「〜たほうがいいですよ」(初級第12課)で助言を一言足す。カードに先生や店の人が出てきたときは「大丈夫ですか」に言い換える。教師は ①「ます」の形からの接続 ②相手によって言い方を変えているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*食べるすぎです」と辞書形につなぐ。「ます」の形から作る、と ST1 の「Vにくい」「Vやすい」と同じだと確かめる
- 目上の人にも「それは食べすぎですよ」と言う。注意やからかいに聞こえるので、親しい友達どうしで使う言い方として練習する
- 自分の昨日のことを「昨日は食べすぎです」と言う。誤りとまでは言えないが、自分がしたことを振り返るときは次の項目の「Vすぎました」が自然なので、時の言葉(いま/昨日)と組にして言い分けさせる
既習の文型との違い
- Aすぎます(第2課 ST1)「Aすぎます」は品物の性質(大きい・高い)が合わないことを言い、「Vすぎです」は人がした量や回数が多いことを言います。前に付く語が違うだけで「ちょうどいい線を超える」考え方は同じなので、ST1 の線の図を使い回します。
- 〜よ(初級第6課)「食べすぎですよ」の「よ」は、相手が気づいていないことを知らせる「よ」です。付けると注意の気持ちがはっきりし、付けずに「食べすぎです」とだけ言うと、自分の判断を言う言い方に近くなります。
関連する文型
学習項目 7 Vすぎます
意味・はたらき
ある動作をちょうどよい量や回数を超えてしてしまうことを表します。「昨日、食べすぎました」のように自分のしたことを振り返ったり、「頼みすぎないでください」と注意したりします。「すぎる」は「食べる」と同じ2グループの動詞として変わるので、「すぎました」「すぎて」「すぎない」と形を作れます。ST1 の「Aすぎます」と同じ「すぎます」で、前に動詞がつく形です。
接続
Vます(〜ます)+すぎます
形
食べすぎました飲みすぎて、頭が痛いです頼みすぎないでください
導入
- 次の日の話教師がおなかを押さえて「昨日、焼き肉の店で……たくさん食べました。食べすぎました」と困った顔をする。前の項目の「食べすぎです(人に言う)」と並べ、板書に「食べすぎです(いまの様子を言う)」「食べすぎました(したことを言う)」を書く。続けて「すぎます」の形の表(すぎます・すぎました・すぎて・すぎないでください)を作る。
板書案
Vます + すぎます(ちょうどいいを こえて する)
食べすぎます/食べすぎました/食べすぎて、〜/食べすぎないでください
〔青〕すぎる=2グループ(食べる と 同じ)
昨日、食べすぎました。おなかが 痛いです。
〔赤〕いまの様子:食べすぎです したこと:食べすぎました
場面と発話(自作)
- 食事の次の日、学校で友達に体の調子を聞かれる。昨日、食べすぎました。おなかが痛いです。
- 食べ放題の店に行く前に、友達に言う。今日は食べすぎないでくださいね。
- 買い物から帰って、家族に袋を見せる。セールで、ちょっと買いすぎました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、動詞カード(食べる・飲む・買う・頼む・寝る)と「昨日」「今日」「これから」の時のカードを組み合わせ、「〜すぎました」「〜すぎないでください」を言い分けさせる。次に「〜すぎて、〜」で結果をつなげ(飲みすぎて、頭が痛いです)、初級第12課の「どうしたんですか/〜んです」のやり取りに入れる。
- 口頭動詞カードと時のカードを組にして出す。キューは、「食べる・昨日」→「昨日、食べすぎました」、「飲む・これから」→「飲みすぎないでください」、「買う・昨日」→「買いすぎました」、「寝る・今朝」→「今朝、寝すぎました」。全体→個人。慣れたら「〜すぎて、〜」で結果を足させる(飲みすぎて、頭が痛いです)。
- ペアA は体の調子のカード(頭が痛い・おなかが痛い・お金がない)を持ち、B が「どうしたんですか」と聞く。A は「昨日、〜すぎたんです」と答え、B は「〜ないほうがいいですよ」(初級第12課)で一言返す。3枚で役を交替。
- 産出「昨日の失敗トーク」。自分が何かをしすぎた話(本当の話でも作り話でもよい)を「〜すぎて、〜」を入れて3文で話し、聞く人は「どうしたんですか」「大丈夫ですか」と反応してから一つ質問する。教師は ①「すぎる」の活用(すぎました・すぎて・すぎない)②「ます」の形からの接続 ③「すぎて」のあとに結果が続いているか、を見る。
つまずきと手当て
- 「*食べすぎるました」「*食べすぎりました」と「すぎます」の形を間違える。「すぎる」は「食べる」と同じ形になる、と表を並べる
- 「*食べるすぎました」と辞書形につなぐ。「ます」の形から作る、と「Vすぎです」と同じだと確かめる
- 「たくさん」と「すぎます」を何にでも重ね、ちょうどよい量のときにも「食べすぎました」と言う。困るほど多いときにだけ使う、とちょうどよい線の図に戻る
既習の文型との違い
- Vすぎです(第2課 ST2)「食べすぎです」はいま見ている様子を一言で判断する言い方で、主に人に向けて言います。「食べすぎました」は自分や人がしたことを動詞で言い、「すぎて、〜」「すぎないでください」と形を変えて文をつなげられます。昨日のことに「食べすぎです」を使う言い方が出やすいので、時の言葉と組にして練習します。
- Vたほうがいいです/Vないほうがいいです(初級第12課)「食べすぎないでください」は相手にしてほしくないことを直接頼み、「食べすぎないほうがいいですよ」は助言として勧めます。友達どうしの心配なら助言の形がやわらかく、決まりや先生の注意には「ないでください」が合う、と場面で分けます。
関連する文型