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できる日本語 初中級 第13課「親の気持ち・子の気持ち」の教案
『できる日本語 初中級 本冊 第2版』 ・ ST「町で見かけた子どもたち」「思い出すと」
町で見かけた子どもや親の様子をきっかけに、自分の子どものころの経験を話し、子どもの育て方や教育について短く意見を言える ようになる課です。中心は使役 (〜させる) で、ST1 で「親が子どもに〜させる」の形と、見たことを伝える「〜のを見ました」、子どものころの習慣を言う「〜ていました」を、ST2 で使役に受身 を合わせた「〜させられる」と、ありがたい気持ちを表す「〜させてくれる/させてもらう」を扱います。第10課の受身と第8課の「〜てくれる・〜てもらう」をここで使役と組み合わせるので、どの形でも誰が誰に(上の人から下の人へ)させるのか を場面の中で確かめながら進めます。課の終わりには、「〜させられましたが、今は〜」「〜させてくれたので、〜」のように、子どものころの経験を今の自分につなげて話せる状態をめざします。
このページについて 教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目 6時間 90分×2コマ場面 2
このページの内容
この課のねらい(Can-do)
進め方と時間配分
ST1 町で見かけた子どもたち
ST2 思い出すと
語彙の扱い
宿題と次のコマ
よくある質問
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課のねらい(Can-do)
町で見かけた親子の様子を「〜のを見ました」で伝え、「親が子どもに〜させる」を使って、自分の子どものころと比べながら短く意見を言える
子どものころ親や先生にさせられたこと・させてもらったことを話し、それが今の自分にどうつながっているかを伝えられる
進め方と時間配分 目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
段 時間 やること
導入(前の課とのつなぎ) 10分 第12課の「Vるようにしています」で、今の自分が健康のためにしていることを1つずつ言わせ、「子どものころはどうでしたか」と聞いて、親に言われていたことを話題にする。町の親子の写真(スーパー・駅・公園)を黒板に貼っておく
ST1 町で見かけた子どもたち 70分 親子の絵で使役の形と「を・に」の使い分け → 見たことを伝える「〜のを見ました」→ 自分の子どものころの「〜ていました」。町の写真を1枚選んで友達役に話し、「〜させるのはいいと思います」と意見でしめる
ST2 思い出すと 80分 絵日記で「〜ばかり」→ ST1 の使役の文をひっくり返して使役受身 → いやだったこと(させられた)とありがたかったこと(させてくれた・させてもらった)を左右に並べる。子どものころの写真や絵カードで聞き合う
課のまとめ 20分 子どものころの経験を一つ選び、「〜させられた/させてもらった → 今の自分は〜」の形で1分ほど話す。聞き手は質問を一つして、「〜と思います」で意見を返す
ST1 町で見かけた子どもたち
できること 町で見かけた子どもや親の様子を人に伝え、自分の子どものころの経験と比べながら、短く意見を言える。
場面 留学生が、スーパーや駅、公園で見かけた親子の様子を、あとで日本人の友達やホームステイ先の家の人に話す場面です。させる人(親)とさせられる人(子ども)の上下がはっきりしているので、「親が子どもに〜させる」の向きを確かめやすい場面です。教室では町の親子の写真や絵を何枚か用意し、学習者に1枚選ばせて「きのう〜で見ました」という設定で友達役に話させます。
留学生:きのうスーパーで、小さい男の子がお母さんと一緒に買い物をしているのを見ました。
日本人の友達:そうですか。
留学生:お母さんは男の子に重い袋を持たせていました。
日本人の友達:日本ではよく見ますよ。私も子どものころ、母と買い物に行って、荷物を持っていました。
留学生:そうなんですか。私の国では、親は小さい子どもにあまり荷物を持たせません。
日本人の友達:子どもに荷物を持たせるのは、どう思いますか。
留学生:小さい子どもに手伝わせるのは、いいことだと思います。
学習項目 1 使役動詞活用
意味・はたらき
使役動詞(〜させる)は、上の立場の人(親・先生・店長など)が下の立場の人に何かをさせることを表します。したくないことをさせる強制 と、したいことをさせる・許す許可 の二つの意味があり、どちらかは場面で決まります。ST1 では、町で見かけた親子の様子を「お母さんが子どもに袋を持たせていました」のように伝えたり、「子どもに一人で買い物をさせるのはいいと思います」と意見を言ったりするのに使います。目上の人に何かを「させる」とは普通言わないので、使う向きは上の人から下の人へ だと最初に押さえます。
接続 G1はナイ形の「〜a」+せる(書く→書かせる)、G2は「る」を取って+させる(食べる→食べさせる)、G3はする→させる・来る→来させる(こさせる)。自動詞は「[人]を V(さ)せる」、他動詞は「[人]に Nを V(さ)せる」
形
G1 書く→書かせる・行く→行かせる・待つ→待たせる・言う→言わせる G2 食べる→食べさせる・寝る→寝させる G3 する→させる・来る→来させる(こさせる) 子どもを公園で遊ばせます/子どもに野菜を食べさせます
導入
親子の絵で「させる」を見せる 母親が子どもの口に野菜を運んでいる絵と、子どもがいやな顔をしている絵を見せ、「子どもは野菜を食べたくないです。でも、お母さんは……」と言って止め、学習者に考えさせてから「お母さんは子どもに野菜を食べさせます」と言う。板書は「[親]は [子ども]に [N]を V(さ)せます」。次に公園の絵で「お父さんは子どもを公園で遊ばせます」と出し、自動詞のときは「を」になることを2行並べて見せる。
ナイ形から作る 板書に「書かない→書かせる」「食べない→食べさせる」「しない→させる」「来ない→来させる」を並べ、初級で覚えたナイ形の「ない」を「せる」「させる」に替えれば作れることを示す。G1の「言う→言わない→言わせる」も1つ入れて、「わ」になることを確かめる。
板書案
[親]は [子ども]に [N]を V(さ)せます 〔赤〕親 → 子ども(上から下へ)
子どもは 野菜を 食べます → 母は 子どもに 野菜を 食べさせます。
子どもは 公園で 遊びます → 父は 子どもを 公園で 遊ばせます。
〔青〕作り方:書かない→書か+せる/食べない→食べ+させる/する→させる・来る→来(こ)させる
〔赤〕強制(したくない) 〔緑〕許可(したい):子どもに好きな本を読ませます
場面と発話(自作)
スーパーで、母親が小さい子どもに買った物の袋を持たせていた(母→子)。あとで日本人の友達に話す。 お母さんが子どもに袋を持たせていました。
アルバイト先で、店長が新しく入ったアルバイトにまず掃除を任せる(店長→アルバイト)。それを留学生が友達に話す。 店長は新しい人に、最初に掃除をさせます。
日本人の友達に、自分の国の親のやり方を説明する。 私の国では、親は小さい子どもを一人で外で遊ばせません。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、まず動詞カード(書く・読む・行く・待つ・食べる・寝る・する・来る)を見せて使役の形を言わせる。次に「親・子ども」の絵カードと動作カードを組み合わせ、自動詞か他動詞かで「を・に」を選んで「親は子どもに〜させます」「親は子どもを〜せます」を言わせる。最後に「あなたの国では、親は子どもにどんなことをさせますか」と聞き、2〜3人で比べて「〜させるのはいいと思います」と意見につなげる。
口頭 動詞カード(書く・読む・待つ・言う・食べる・寝る・掃除する・手伝う・来る)を1枚ずつ見せ、全体でナイ形→使役の形を言わせてから、列ごと・個人へ。次に「人」と「すること」の絵を組み合わせて出す(母+子ども+野菜を食べる/先生+学生+作文を書く/父+子ども+公園で遊ぶ/店長+アルバイト+掃除をする)。教師が「子どもは野菜を食べます。でも、母は……」と言いかけ、学習者に使役の文で続けさせる。自動詞か他動詞かは、黒板の「を・に」の2行を指して選ばせる。
ペア A は「ある家族の一日」の絵カード(親が子どもにさせていることが4つ描いてある)、B は空欄の表を持つ。B が「このお母さんは、子どもに何をさせていますか」と聞き、A が絵を見ながら「〜させています」と答え、B が表に書く。答え合わせのあと、別の家族のカードで役を交替する。絵を見せ合わないことで、言わないと伝わらない情報の差を作る。
産出 「わが家のルール比べ」: 学習者が、自分の国の家庭で親が子どもにさせること・させないことを3つメモし、3〜4人のグループで「私の国では、親は子どもに〜させます」と紹介する。聞き手は「〜させるのは、いいと思います」か「〜と思います」で意見を一言返す。教師は①を・に の選び方 ②G1の作り方(書きさせる・言いさせる になっていないか)③目上の人を「させる」相手にしていないか、を見て回る。
つまずきと手当て
「*書きさせます」「*書くさせます」と、マス形や辞書形に「させる」をつける。G1はナイ形の「書か」から作ると、板書のナイ形の列を指して確かめる
「来る」を「*きさせる」「*来らせる」と言う。「こさせる」と読みを書き、G3の2つは表とは別に覚えさせる
他動詞で「*子どもを野菜を食べさせます」と「を」を二つ使う。する人には「に」、食べる物には「を」と、矢印つきで板書する
目上の人のことを「先生に説明させました」と言う。形は合っていても失礼に聞こえるので、目上の人がしてくれたことは第8課の「Vていただきます」で言うと確かめる
既習の文型との違い
Vなければなりません(初中級第3課) 「子どもは野菜を食べなければなりません」は、する子ども本人を主語にして義務を言う形です。使役は、させる親を主語にして「母は子どもに野菜を食べさせます」と言い、だれがさせているかが文に出ます。二つを混ぜた「*母は子どもに野菜を食べなければなりません」がよく出るので、主語がだれかを絵で指して確かめます。
Vてもらいます(初中級第8課) 「友達に荷物を持ってもらいました」は、頼んで相手にしてもらい、ありがたいという形です。使役の「友達に荷物を持たせました」は、上の立場から指示した言い方になり、友達どうしでは命令したように聞こえます。どちらも「人に」を使うので、上下の矢印か横の矢印かを板書で分けます。
関連する文型
学習項目 2 [V]のを見ました
意味・はたらき
自分の目で見た動作や出来事を、「子どもが電車で席を譲るのを見ました」のように文ごと「の」でまとめて、「見ました」の目的語にする形です。ST1 では、町で見かけた子どもや親の様子を、見たまま友達に伝えるのに使います。見たときにその動作が続いていたなら「Vているのを見ました」、始めから終わりまで見た一回の動作なら「Vるのを見ました」と言います。「の」の前は普通形で、中の主語には「が」を使います。文法の見方では、「の」で文を名詞のようにまとめる名詞節で、「見る」「聞く」のように目や耳でとらえる動詞の前では「こと」ではなく「の」を使います。
接続 [N が V普通形(Vる・Vている)]+の+を+見ました
形
子どもが泣いているのを見ました 小学生が一人で電車に乗っているのを見ました 男の子がおばあさんに席を譲るのを見ました
導入
見たことを写真で伝える 教師が町の写真(公園で子どもが遊んでいる・電車で小学生が本を読んでいる)を見せ、「きのう駅でこれを見ました。小学生が一人で本を読んでいました」と2文で言ってから、「わたしは、小学生が一人で本を読んでいるのを見ました」と1文にまとめて見せる。板書は「[小学生が 本を読んでいる]の を 見ました」とし、[ ]の中が1つの文だと括弧で囲む。
板書案
[N が V(普通形)] の を 見ました
小学生が 一人で 電車に 乗っていました。→ 小学生が 一人で 電車に 乗っているのを 見ました。
男の子が おばあさんに 席を 譲るのを 見ました。(始めから終わりまで)
〔赤〕[ ]の中は「が」 〔青〕「の」の前は普通形(×乗っていますの)
〔緑〕目で見た → 「の」(×こと)
場面と発話(自作)
朝の電車で、ランドセルを背負った小学生が一人で乗っていた。教室で先生に話す。 けさ、小学生が一人で電車に乗っているのを見ました。
公園で、お父さんが子どもに自転車の乗り方を教えていた。ホームステイ先の家の人に話す。 公園で、お父さんが子どもに自転車の乗り方を教えているのを見ました。
スーパーのレジで、小さい子どもが自分でお金を払っていた。日本人の友達に話す。 スーパーで、小さい子どもが自分でお金を払うのを見ました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、町の絵カード(泣いている子ども・席を譲る子ども・犬と散歩する親子など)を見せて「〜のを見ました」を言わせる。慣れたら「どこで」「いつ」を足し、ST1 のやり取りで「きのう〜で〜のを見ました」と話を始めさせ、聞き手に「そうですか。〜さんの国では?」と返させる。
口頭 町の写真や絵(泣いている子ども・席を譲る男の子・親子で自転車に乗っている・子どもが犬と散歩している・小学生が一人でバスに乗っている)を見せる。教師が「子どもが泣いていました。わたしは見ました」と2文で言い、学習者に「子どもが泣いているのを見ました」と1文にまとめさせる。慣れたら絵だけを見せて全体→個人で言わせ、「どこで」「きのう」を前に足させる。
ペア A は親子が5組描かれた町の絵を持ち、B は同じ町の、人がいない絵を持つ。A が「駅の前で、お父さんが子どもを抱っこしているのを見ました」のように1組ずつ伝え、B は聞いた場所に印を付けて人を描き込む。全部伝えたら絵を見比べて答え合わせをし、別の町の絵で役を交替する。
産出 「きのう見たよ報告」: 通学やアルバイトの行き帰りに見た子どもや親子の様子を一つ思い出し、「きのう〜で、〜のを見ました。〜と思いました」の2〜3文でクラスに報告する。聞き手は一つ質問する(「何歳ぐらいでしたか」など)。教師は①「の」の前が普通形か ②中の主語が「が」か ③続いていた動作に「〜ている」を使っているか、を聞き取ってその場で言い直させる。
つまずきと手当て
「*子どもが泣いていますのを見ました」と「の」の前にマス形を入れる。「の」の前は普通形と、初級の普通形の表で確かめる
「*子どもが席を譲ることを見ました」と「こと」を使う。目で見たことを言うときは「の」と、絵カードに目のマークをつけて覚えさせる
「子どもは泣いているのを見ました」と中の主語に「は」を使うと、子どもが見たという意味になる。[ ]の中は「が」と、括弧の中に書いて見せる
既習の文型との違い
VるのがA(初中級第1課) どちらも「の」で文をまとめる点は同じです。第1課は「料理を作るのが好きです」のように「好きです・上手です」の前で「が」、この課は「見ました」の前で「を」を使います。「*子どもが遊ぶのが見ました」のように第1課の「が」を持ち込む誤りが出るので、後ろの語で助詞が決まると並べて見せます。
Nが見えます/Nが聞こえます(初級第10課) 「富士山が見えます」は、自然に目に入る・見ることができるという意味で、「が」を使います。「〜のを見ました」は、自分が見るという動作をした話です。「見えます」の「が」を持ち込んだ「*子どもが泣いているのが見ました」に注意させます。
関連する文型
学習項目 3 Vていました(過去の習慣)
意味・はたらき
「子どものころ、毎日公園で遊んでいました」のように、過去のある期間にくり返ししていたこと(習慣)を言います。「〜ころ」「〜とき」「毎日」「よく」などの時のことばと一緒に使うことが多く、一回だけしたことを言う「Vました」と分けて使います。ST1 では、町で見た子どもと自分の子どものころを比べて、「私は子どものころ〜ていました」と経験を話すのに使います。初級で習った「Vています(習慣)」の過去の形です。文法用語で言えば、「ている」の反復・習慣の用法を過去のテンスにしたもので、アスペクトとテンスを分けて見ると整理しやすくなります。
接続 Vて+いました(しなかったことは Vて+いませんでした)
形
子どものころ、毎日公園で遊んでいました 小学生のとき、歩いて学校へ行っていました 子どものころ、テレビはあまり見ていませんでした
導入
教師の子どものころの写真 教師が子どものころの写真(または絵)を見せ、「これはわたしです。8歳です。このころ、わたしは毎日川で泳いでいました。日曜日は父と釣りをしていました」と話す。次に「きのう、わたしはプールで泳ぎました」と一回のことを言い、板書で「このころ(くり返し)→ 泳いでいました」「きのう(1回)→ 泳ぎました」を上下に並べる。
板書案
このころ(くり返し)→ Vて いました
子どものころ、毎日 川で 泳いで いました。
きのう(1回)→ Vました:きのう、プールで 泳ぎました。
〔赤〕時のことば:〜ころ・〜とき・毎日・よく 〔青〕文の終わり:〜ていました
しなかった:子どものころ、テレビは あまり 見ていませんでした。
場面と発話(自作)
日本人の友達と、小学生のころの通学の話をする。 小学生のとき、毎朝母が車で学校へ送っていました。
地域の日本語教室で、ボランティアの人に子どものころの遊びを聞かれる。 子どものころは、よく友達と外でサッカーをしていました。
アルバイトの先輩に、高校のときの朝の過ごし方を聞かれる。 高校生のときは、毎朝6時に起きて、自転車で学校へ行っていました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が「子どものころ」「小学生のとき」「高校生のとき」のカードと動作カードを出し、「〜ていました」を言わせる。次にペアで「子どものころ、何をしていましたか」と聞き合い、町で見た子どもの様子(「〜のを見ました」)と比べて「私の国では、子どもは〜ていました」とつなげる。
口頭 時のカード(子どものころ・小学生のとき・高校生のとき)と動作カード(歩いて学校へ行く・川で泳ぐ・塾に通う・犬の散歩をする・弟と遊ぶ)を組み合わせて出し、全体→個人で「〜ていました」を言わせる。ときどき時のカードを「きのう」に替えて「泳ぎました」と言わせ、くり返しと1回の区別を口で確かめる。
ペア 「子どものころインタビュー」: 質問カード(朝、何時に起きていましたか/学校へどうやって行っていましたか/放課後、何をしていましたか)を A が引いて聞き、B が答える。A は答えを短くメモし、3問終わったら交替する。最後に A が B のことを「〜さんは子どものころ、〜ていました」とほかの人に紹介する。
産出 「あのころの一日」: 子どものころの平日の過ごし方を、写真か自分で描いた絵を見せながら4〜5文で話す。最後に ST1 で見た今の子どもの様子と比べ、「今の子どもは〜ています。私は〜ていました」と一文でしめる。教師は①過去の時のことばに「ています」を使っていないか ②1回のことと習慣を言い分けているか、をメモして、終わったあとで全体に返す。
つまずきと手当て
「*小さいとき、よく川で泳いでいます」と、過去の時のことばに今の形を使う。「とき」「ころ」が過去なら「いました」と、時のことばと文の終わりに同じ色の線を引く
「子どものころ、毎日公園で遊びました」と、くり返しのことに「Vました」を使う。誤りではないが、習慣を話すなら「遊んでいました」のほうが自然だと伝える
「7時にご飯を食べていました」(その時、食べている途中だった)と、習慣の意味を混同する。習慣は「毎日」「よく」「〜ころ」と一緒に使うと、時のことばで見分けさせる
既習の文型との違い
Vています(習慣)(初級第11課) 形は同じ「ている」で、違うのは時だけです。今の習慣は「毎朝走っています」、子どものころの習慣は「毎朝走っていました」になります。「*子どものころ、毎朝走っています」と文末を今のままにする誤りが多いので、時のことばと文末を同じ色で囲みます。
〜とき、Vました(初級第11課) 「小学生のとき、北海道へ行きました」は、その期間にあった1回の出来事です。「小学生のとき、毎年北海道へ行っていました」なら、くり返していた習慣になります。同じ「〜とき」でも、後ろが「Vました」か「Vていました」かで意味が変わると、2つの文を並べて見せます。
Vるようになります(習慣の変化)(初中級第11課) 「〜ていました」は昔の習慣だけを言い、「〜ようになりました」は今の習慣が始まったことを言います。「前は電車で行っていましたが、今は自転車で行くようになりました」のように組み合わせると、昔と今を比べる話ができます。
関連する文型
ST2 思い出すと
できること 子どものころ家や学校で言われたことや習いごとを
振り返り 、それが今の自分にどう役に立っているかを話せる。
場面 日本人の友達やアルバイトの先輩と、子どものころの習いごと・家の決まり・学校のことを話す場面です。話題は自分の親や先生(自分より上の人)のことで、話す相手は家族ではない外の人なので、自分の親は「父・母」、相手の親は「お父さん・ご両親」と言い分けます。教室では、学習者に子どものころの写真や、習いごと・家の手伝い・学校の行事の絵カードを持たせ、「させられたこと」と「させてもらったこと」を一つずつ選んで話させます。
日本人の友達:子どものころ、何か習っていましたか。
留学生:はい。母にピアノを習わされました。毎日1時間練習させられました。
日本人の友達:大変でしたね。私は練習しないで、遊んでばかりいました。
留学生:私も本当は外で遊びたかったです。でも、今は楽譜が読めるので、よかったと思います。
日本人の友達:ご両親は厳しかったんですね。
留学生:でも、高校のときは、好きな部活を選ばせてくれました。
日本人の友達:いいですね。私は親に頼んで、大学のとき一人暮らしをさせてもらいました。
学習項目 1 NばかりVています/Vてばかりいます
意味・はたらき
「ゲームばかりしています」「遊んでばかりいます」のように、同じものや同じことだけをくり返していて、ほかのことをしない様子を言います。多くは「それはよくない」という不満や心配の気持ちが入ります。ST2 では、子どものころの自分を「マンガばかり読んでいました」のように振り返ったり、親が心配していたことを話したりするのに使います。「Nばかり」はするもの、「Vてばかり」は動作そのものに注目します。文法用語では「ばかり」は取り立て助詞 で、「は」「も」「しか」と同じように、ほかのものと比べてそれだけを取り出すはたらきをします。
接続 N+ばかり+Vています(「を」「が」の位置に入る)/Vて+ばかり+います
形
ゲームばかりしています 甘い物ばかり食べています 遊んでばかりいました 寝てばかりいます
導入
一週間の絵日記 月曜日から日曜日まで毎日ゲームをしている子どもの絵日記を見せ、「月曜日もゲーム、火曜日もゲーム……。この子はゲームばかりしています」と言う。お母さんの困った顔の絵を横に貼り、「よくない」という気持ちが入ることを示す。次に毎日寝ている絵の日記で「寝てばかりいます」と出し、板書で「Nばかり Vています」「Vてばかり います」の2行を並べる。
板書案
N ばかり Vています :ゲーム を しています → ゲーム ばかり しています。
Vて ばかり います :遊んで ばかり いました。
〔赤〕「を」を消して「ばかり」 〔青〕テ形 + ばかり + います
〔緑〕気持ち:よくない・心配(困った顔の絵)
しか:野菜しか 食べません(〜ない) ⇔ ばかり:肉ばかり 食べます(〜ない がなくても言える)
場面と発話(自作)
日本人の友達が、自分の弟のことを心配して話す(自分の家族なので「弟」と言う)。 弟は毎日スマホばかり見ています。
子どものころの自分について、ホームステイ先の家の人に話す。 子どものころは勉強しないで、遊んでばかりいました。
アルバイトの先輩に、最近の食事のことを聞かれる。 最近、コンビニのお弁当ばかり食べています。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、絵日記のカード(毎日同じことをしている人)を見せて「〜ばかり〜ています」「〜てばかりいます」を言わせる。次に「子どものころ、何ばかりしていましたか」とペアで聞き合い、そのとき親が何と言っていたかを第11課の「〜と言っていました」でつなげる。
口頭 絵日記カード(月曜から日曜まで毎日ゲーム/毎日甘い物/毎日寝ている/毎日テレビ/毎日マンガ)を見せる。教師が「月曜日もゲーム、火曜日もゲーム……」と言い、学習者が「ゲームばかりしています」と全体で返す。次に動作だけの絵(寝る・遊ぶ・泣く)に替えて「寝てばかりいます」を言わせ、最後は過去の絵日記で「〜てばかりいました」に。
ペア 「困った家族の相談」: A は家族カード(弟・妹・子ども・ルームメート)と、その人がくり返していることのカードを引き、「弟はスマホばかり見ているんです」と相談する。B は第12課の「Vたらどうですか」でアドバイスする。2枚ずつで役を交替し、だれが何ばかりしているかの情報は A だけが持つようにする。
産出 「子どものころの〇〇ばかり」: 自分が子どものころ〜ばかりしていたことを一つ選び、①何ばかりしていたか ②そのとき親が何と言っていたか(第11課「〜と言っていました」)③今どう思うか、の3文で話す。教師は①「を」が残っていないか ②動作のときテ形につけているか ③目上の人のことに使っていないか、を見る。
つまずきと手当て
「*ゲームをばかりしています」と「を」を残す。「ばかり」は「を」の位置に入ると、板書で「を」を消して「ばかり」に書き替える
「*遊ぶばかりいます」と辞書形につける。動作のときはテ形+「ばかり」+「います」と、テ形の列を指して確かめる
「ゲームばかりしていません」を「ゲームしかしていません」の意味で使う。「しか」は必ず「〜ない」と組むが、「ばかり」は「〜ない」と組まなくても言える(「遊んでばかりいないで」のように否定と組むこともある)と、第12課の「しか〜ない」と並べて見せる
目上の人のことを「部長はゴルフばかりしています」と言う。形は正しいが不満の気持ちが出るので、目上の人のことには使わないほうがいいと伝える
既習の文型との違い
[〜個、〜時間、〜杯…/N]しか〜ない(初中級第12課) 「しか」も「ばかり」もそれだけを取り出しますが、「しか」は後ろが必ず「〜ない」、「ばかり」は「〜ない」と組まなくても言えます(「遊んでばかりいないで、勉強しなさい」のように否定と組むこともあります)。「野菜しか食べません」は野菜だけで少ないという気持ち、「肉ばかり食べます」は肉が多すぎるという気持ちになります。「*野菜しか食べます」のように「しか」を肯定の文で使う誤りに注意させます。
Vています(動作の進行)(初級第7課) 「ゲームをしています」は、いまその動作の途中だということです。「ゲームばかりしています」は、ある期間ずっと同じことをくり返していて、ほかのことをしないという様子と、それへの不満を表します。いまの様子だけなら「ばかり」は付けないと、絵日記と1枚の絵を比べて見せます。
関連する文型
学習項目 2 使役受身活用
意味・はたらき
「子どものころ、母にピアノを習わされました」のように、自分はしたくなかったのに、上の立場の人(親・先生・先輩)に言われてしなければならなかったことを、させられた人(自分)を主語にして 言う形です。使役(させる)と受身(られる)を合わせた形で、多くは「いやだった」「大変だった」という気持ちが入ります。ST2 では、子どものころの家や学校でのことを振り返り、「〜させられましたが、今は〜」と今の自分につなげて話すのに使います。させた人には「に」をつけます。文法用語では、使役と受身という二つのヴォイス が重なった形で、「だれが動作をしたのか」「だれの意志か」を見分けることが要になります。
接続 使役動詞の「〜せる・させる」を受身の「〜せられる・させられる」にする。G1は短い形「〜される」もよく使う(「す」で終わる動詞は短くしない)。させた人は「[人]に」
形
G1 書く→書かされる(書かせられる)・待つ→待たされる・話す→話させられる G2 食べる→食べさせられる G3 する→させられる・来る→来させられる(こさせられる) 母に野菜を食べさせられました
導入
使役の文をひっくり返す ST1 の「お母さんは子どもに野菜を食べさせました」の絵を出し、子どものいやな顔を指して「子どもは……」と主語を変えて言い直す。「子どもはお母さんに野菜を食べさせられました」。板書で使役の文と使役受身の文を上下に並べ、主語と「に」の人が入れ替わることを矢印で示す。第10課の受身(「〜に〜られました」)と同じ向きだと確かめる。
教師の子どものころのいやだったこと 教師が「子どものころ、わたしは毎朝6時に起きさせられました。そして、犬の散歩をさせられました」と表情をつけて話し、学習者に「先生はうれしかったですか」と聞いて、いやだった気持ちが入ることを引き出す。
板書案
〔使役〕母は わたしに ピアノを 習わせました。
〔使役受身〕わたしは 母に ピアノを 習わされました。 ↕ 主語と「に」が入れ替わる
作り方:習う → 習わせる → 習わせられる(短い形:習わされる)
〔赤〕G1の短い形 〜a+される ただし「す」の動詞は長い形だけ:話す→話させられる
〔青〕気持ち:いや・大変だった(いやな顔の絵)
場面と発話(自作)
日本人の友達に、子どものころの習いごとを話す(母→自分。外の人には自分の親を「母」と言う)。 子どものころ、母にピアノを習わされました。
アルバイトの先輩と、高校の部活の話をする(部活の先生→自分)。 高校のとき、部活で毎日グラウンドを10周走らされました。
ホームステイ先の家の人に、国の小学校の決まりを話す。 私の国の小学校では、毎朝、教室の掃除をさせられました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、まず動詞カードで使役 → 使役受身の順に形を言わせる(書かせる→書かされる、食べさせる→食べさせられる)。次に「親・先生・先輩」の人物カードと動作カードを組み合わせて「〜に〜させられました」を言わせる。最後に「子どものころ、何をさせられましたか。今はどう思いますか」とペアで聞き合い、「〜させられましたが、今は〜」の形で終わらせる。
口頭 動詞カードで3段の変換をする(行く→行かせる→行かされる/待つ→待たせる→待たされる/食べる→食べさせる→食べさせられる/掃除する→掃除させる→掃除させられる/話す→話させる→話させられる)。全体で言ってから個人へ。次に使役の文のカード(「先生は学生に作文を書かせました」「父は弟に部屋を片付けさせました」「先輩は後輩に荷物を運ばせました」)を見せ、させられた人を主語にして言い直させる。
ペア 「させられビンゴ」: 3×3のマスに、子どものころさせられそうなこと(野菜を食べる・早く寝る・塾に行く・部屋を掃除する・本を読む・ピアノを練習する など)を書いた表を配る。A が「子どものころ、野菜を食べさせられましたか」と聞き、B が「はい、毎日食べさせられました」なら印を付ける。「いいえ」のときは B が理由を一言足す。1列そろったら交替する。
産出 「今だから言える話」: 子どものころさせられたことを一つ選び、①だれに何をさせられたか ②そのときの気持ち ③今どう思うか、を「〜させられましたが、今は〜と思います」の形で1分ほど話す。聞き手は「どのくらいさせられましたか」など一つ質問する。教師は①使役と受身の順番 ②「す」の動詞の短い形 ③させた人の「に」④うれしかったことに使役受身を使っていないか、を聞き取る。
つまずきと手当て
「*話さされました」と「す」で終わる動詞まで短い形にする。「す」の動詞は「話させられる」だけと、表の「す」の行に印をつける
「*食べられさせました」と受身と使役の順番を逆にする。「させる」が先、「られる」があとと、板書の矢印の順で確かめる
「母が野菜を食べさせられました」と、させた人に「が」を使う。これだと母がさせられた意味になるので、させた人は「に」と、使役の文との上下の並びで確かめる
うれしかったことにも「留学させられました」と言う。形は正しいが、無理にさせられた気持ちが出るので、うれしかったことは「Vせてもらいます」で言うと対比させる
既習の文型との違い
受身(初中級第10課) 受身の「母に日記を読まれました」は、母がした動作を自分が受けた話で、動作をしたのは母です。使役受身の「母にピアノを習わされました」は、動作(習う)をしたのは自分で、母がそれをさせた話です。「習われました」と「習わされました」は1字違いで意味が大きく変わるので、動作をした人の絵に丸を付けて見分けさせます。
Vなければなりません(初中級第3課) どちらもしたくないことをする話に使えますが、「毎日練習しなければなりませんでした」は決まりや必要として言い、だれかにさせられたとは言っていません。「母に毎日練習させられました」は、させた人がいて、その人への気持ちが出ます。させた人を言いたいときは使役受身、と使い分けます。
関連する文型
学習項目 3 Vせてくれます/Vせてもらいます
意味・はたらき
「父が留学させてくれました」「父に留学させてもらいました」のように、自分がしたいことを上の立場の人が許してくれて、それがありがたかったという気持ちを表します。使役の許可 の意味に、第8課の「Vてくれます」「Vてもらいます」のありがたい気持ちを足した形です。「くれます」は許した人が主語(「父が」)、「もらいます」は自分が主語で、許した人に「に」がつきます(「父に」)。ST2 では使役受身(いやだったこと)と対にして、親や先生がさせてくれたことを感謝の気持ちを込めて話すのに使います。
接続 使役動詞のテ形(Vせて/Vさせて)+くれます/もらいます。「[人]が Vせてくれます」「[人]に Vせてもらいます」
形
父が日本に留学させてくれました 母に好きな部活を選ばせてもらいました 両親は自由に遊ばせてくれました
導入
二つの気持ちを比べる 同じピアノの絵に、いやな顔の子どもとうれしそうな子どもの2枚を用意する。いやな顔のほうは「母にピアノを習わされました」、うれしい顔のほうは「わたしが『習いたい』と言ったので、母がピアノを習わせてくれました」と言い、板書で「〜させられました(いや)」と「〜させてくれました/させてもらいました(ありがたい)」を左右に並べる。「くれました」の文と「もらいました」の文で主語と「が・に」が変わることも同じ板書で見せる。
板書案
わたし:「留学したい!」 → 父:「いいよ」
父が (わたしを) 留学させて くれました。
わたしは 父に 留学させて もらいました。
〔赤〕くれる=人が もらう=人に 〔青〕させられた(いや)⇔ させてくれた・させてもらった(ありがたい)
〔緑〕目上の人にお願い:きょうは 6時に 帰らせて いただけませんか。
場面と発話(自作)
日本人の友達に、日本へ来るときのことを話す(父→自分。外の人には自分の親を「父」と言う)。 父が日本に留学させてくれました。
日本語学校の先生に、高校の文化祭の思い出を話す(高校の先生→自分。目上の人に話すので丁寧に)。 高校の先生に、文化祭で日本の歌を歌わせてもらいました。
アルバイト先で、店長に早く帰りたいとお願いする(アルバイト→店長。目上の人に頼むので丁寧に)。 すみません、きょうは6時に帰らせていただけませんか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、「親・先生・店長」の人物カードと、したいことのカード(留学する・一人暮らしをする・好きな部活に入る・アルバイトをする)を組み合わせ、「〜が〜せてくれました」「〜に〜せてもらいました」を言い替えさせる。次に使役受身とまぜたカード(いやな顔・うれしい顔)で、どちらの形で言うかを選ばせる。最後にペアで、子どものころ親がさせてくれたことを一つずつ話し、「ありがたいと思っています」と気持ちで終わらせる。
口頭 吹き出しつきの絵カードを使う(わたし「一人暮らしをしたい」→父「いいよ」/わたし「部活に入りたい」→母「いいよ」/わたし「パソコンを使いたい」→先生「どうぞ」/わたし「早く帰りたい」→店長「いいよ」)。まず全体で「父が一人暮らしをさせてくれました」、同じカードで「父に一人暮らしをさせてもらいました」と言い替えさせ、個人へ。教師は「が」と「に」のところだけ手で合図して直す。
ペア 「気持ちカード仕分け」: 動作カード(塾に通う・ピアノを習う・アルバイトをする・留学する)と、いやな顔/うれしい顔の札を裏にして置く。A が両方を1枚ずつめくり、いやな顔なら「〜させられました」、うれしい顔なら「〜させてもらいました」で話す。B は「どうでしたか」「今はどう思いますか」と一つ聞き返す。4枚で交替する。
産出 「ありがとうスピーチ」: 子どものころ親や先生がさせてくれたことを一つ選び、「〜が〜させてくれたので、今〜」の形を入れて1分ほど話す。続けてアルバイト先の店長役(教師)に、早く帰らせてほしい・休ませてほしいと頼む短いロールプレイ をする。教師は①「くれました」の文の「が」と「もらいました」の文の「に」②「させて」が落ちていないか ③外の人に自分の親を「父・母」と言えているか ④目上の人への頼み方の丁寧さ、を見る。
つまずきと手当て
「*父に留学させてくれました」と「くれます」の文に「に」を使う。「くれました」は「父が」、「もらいました」は「父に」と、第8課の「くれます・もらいます」の板書と同じ並びで見せる
「父が留学してくれました」と使役を落とす。これだと父が留学した意味になるので、自分がしたことを許してもらったときは「させて」と、する人の絵を指して確かめる
外の人に話すとき「お父さんに留学させてもらいました」と自分の親に「お」をつける。外の人には「父・母」と、第7課の丁寧な日本語の学習と合わせて内と外を確かめる
目上の人に許しを頼むときに「帰らせてください」と言う。誤りではないが、店長や先生には「帰らせていただけませんか」のほうが丁寧だと、第5課の「Vていただけませんか」とつなげる
既習の文型との違い
Vてくれます/Vてもらいます(初中級第8課) 「父が料理を作ってくれました」は、父が自分のために動作をしてくれた話です。「父が留学させてくれました」は、動作(留学)をしたのは自分で、父はそれを許してくれた人です。「させて」を落として「父が留学してくれました」と言うと、父が留学したことになります。
使役受身(初中級第13課) どちらも使役の形が中にあり、させた人は上の立場の人です。違うのは気持ちで、「習わされました」はしたくなかったのにさせられた、「習わせてもらいました」はしたかったことを許してもらった、になります。同じ動作カードに顔の札を替えて言い分けさせると違いがはっきりします。
Vていただけませんか(初中級第5課) 「書いていただけませんか」は、相手に動作をしてくれるよう頼む形です。「帰らせていただけませんか」は、自分が動作をすることを相手に許してもらう頼み方です。だれが動作をするのかを先に確かめてから、「Vて」か「Vせて」かを選ばせます。
関連する文型
語彙の扱い
この課の語は、町で見かける親子の様子(荷物を持つ・手をつなぐ・席を譲る・泣く)、子どものころの生活(習いごと・塾・部活・家の手伝い・通学)、家の決まり(門限・お小遣い・ゲームの時間)の3つのかたまりに分かれます。使役・使役受身はどの動詞にもつくので、新しい動詞は少なめにし、初級からの既習の動詞をカードにして形を作る練習に回します。習いごとや家の決まりは国によって違うので、学習者が言いたい語はその場で教え、クラスで比べる材料にします。
この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)
習いごと (ならいごと) 学校の勉強のほかに、先生について習うこと。ピアノや水泳など。 〜をする・〜に通う・子どもの〜 日本人の友達と、子どものころの話をする。子どものころ、習いごとは何をしていましたか。
塾 (じゅく) 学校が終わったあとに行って、勉強を習うところ。 〜に行く・〜に通う・〜の先生 アルバイトの先輩に、中学生のころの生活を話す。中学生のとき、週に3回塾に行っていました。
通います (かよいます) 学校や教室などに、何回もくり返して行く。 学校に〜・塾に〜・教室に〜 子どものころ親がさせてくれたことを話す。毎週土曜日、水泳教室に通わせてもらいました。
片付けます (かたづけます) 出してある物を、もとの場所に戻してきれいにする。 部屋を〜・おもちゃを〜・机の上を〜 ホームステイ先の家の様子を、クラスで話す。お母さんは、子どもにおもちゃを自分で片付けさせていました。
譲ります (ゆずります) 自分が使っている物や場所を、ほかの人に使わせる。 席を〜・お年寄りに〜・順番を〜 電車の中で見たことを、日本人の友達に話す。電車で、男の子がおばあさんに席を譲るのを見ました。
門限 (もんげん) 夜、家に帰らなければならない時間の決まり。 〜がある・〜が早い・〜を守る 子どものころの家の決まりを話す。高校生のとき、門限は夜9時でした。
お小遣い (おこづかい) 親が子どもに、自分で使うためにあげるお金。 〜をもらう・〜で買う・毎月の〜 子どものころのお金の使い方を話す。子どものころ、お小遣いでマンガばかり買っていました。
厳しい (きびしい) 決まりやしなければならないことが多くて、許してくれることが少ない様子。 〜親・〜先生・ルールが〜 子どものころの親のことを、外の人に話す。母は厳しくて、毎日ピアノを練習させられました。
叱ります (しかります) 相手のよくないことに対して、強く言って注意する。 子どもを〜・先生に〜られる・よく〜られる 子どものころの失敗を、日本人の友達に話す。宿題をしないで遊んでばかりいて、よく父に叱られました。
自由に (じゆうに) 人に決められないで、自分がしたいように。 〜遊ぶ・〜選ぶ・〜使う 親がさせてくれたことを、ありがたい気持ちで話す。両親は、休みの日は自由に遊ばせてくれました。
甘やかします (あまやかします) 子どもなどに厳しくしないで、したいことを何でもさせる。 子どもを〜・孫を〜・祖母が〜 町で見かけたおばあさんと孫の様子を話す。おばあさんが孫を甘やかして、お菓子ばかり食べさせているのを見ました。
宿題と次のコマ 宿題は、子どものころ親や先生に「させられたこと」と「させてもらったこと」を一つずつ選び、それが今の自分にどうつながっているかを5〜6文で書いてくること。次のコマの最初に何人かに読んでもらい、聞いている人に「〜さんの国では、子どもに〜させますか」と質問させます。そこから、子どものころの思い出に多い国や町の行事に話を広げ、第14課の ST1「私の国・町の行事」に入ります。
よくある質問
できる日本語 初中級 第13課は何コマで終わりますか?
90分なら2コマが目安です。1コマ目に導入 と ST1(使役動詞・〜のを見ました・Vていました)、2コマ目に ST2(〜ばかり・使役受身・Vせてくれます/Vせてもらいます)と課のまとめを入れます。使役の作り方でつまずくクラスは、1コマ目の口頭練習を厚くし、2コマ目の使役受身の前に使役の形を5分ほど復習してから入ります。
使役の文で「子どもを」と「子どもに」はどう教え分けますか?
まず、他動詞(食べる・書く)は「人に Nを」、自動詞(遊ぶ・行く)は「人を」と、動詞の種類で決める形で練習させます。自動詞でも「子どもに行かせる」と「に」を使うことがあり、本人の気持ちを認めて許す感じが出やすいと言われますが、初中級ではまず「を」で言えればよく、「に」は聞いてわかれば十分です。他動詞で「を」が二つ並ぶ「*子どもを野菜を食べさせます」は誤りなので、ここは必ず直します。
使役受身の短い形「書かされる」と長い形「書かせられる」は、どちらを教えますか?
会話ではG1の短い形(書かされる・待たされる・行かされる)がよく使われるので、言う練習は短い形を中心にし、長い形は聞いてわかればよいとする扱いがやりやすいです。ただし「話す」「出す」のように「す」で終わる動詞は短い形にせず「話させられる」だけ、G2・G3には短い形がないことを表で示します。G1の長い形も誤りではないことは最初に伝えておきます。
「させてくれました」と「させてもらいました」の違いは何ですか?
出来事は同じで、許してくれた人を主語にするか(父が〜させてくれました)、自分を主語にするか(父に〜させてもらいました)の違いです。「もらいました」は自分から頼んで許してもらった感じが出やすい、という程度の差はありますが、どちらを使っても感謝の気持ちは伝わります。教室では第8課の「くれます・もらいます」の板書と同じ並びで、主語と「が・に」をセットにして言い替えさせます。
この課の板書はどう組めばいいですか?
黒板を3段に分け、上に使役(母は わたしに 〜させました)、真ん中に使役受身(わたしは 母に 〜させられました)、下に「〜させてくれました/させてもらいました」を同じ動作で書きます。使役と使役受身の間には主語と「に」が入れ替わる矢印を描き、右端に「いや」「ありがたい」の顔の絵を貼ると、形と気持ちを一度に見比べられます。課のまとめでは、学習者の話から一つずつ文を拾ってこの3段に足していきます。
この課に関係する用語・解説・練習問題 この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。