日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

できる日本語 初中級 第12課「私の健康法」の教案

『できる日本語 初中級 本冊 第2版』 ・ ST「体調不良」「毎日、元気に!」

体の具合が悪いときに症状とその原因、どう対処したかを伝え、相手の不調には対処のしかたを勧め、聞いた情報も伝えられるようになることと、ふだん健康のために気をつけていることや使っている物を紹介し合えるようになることをめざす課です。ST1 は具合の悪い人とそれを心配する人のやり取り、ST2 は元気な人どうしの健康法の情報交換で、ST1 で「困ったときの話」、ST2 で「困らないための話」と、同じ健康の話題を裏と表から扱います。初級第12課の「どうしたんですか/〜んです」「Vたほうがいいです」が土台になり、初中級第2課の「Vやすい・Vにくい」には「自然にそうなりがち」という新しい意味が加わります。「ようにしています」「ことにします」は、第9課・第11課の似た形と並べて整理するのが、この課の芯です。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目11時間90分×3コマ場面2

この課のねらい(Can-do)

  • 体調が悪いとき、症状と原因を量の多さ・少なさをつけて伝え、どう対処したかを話し、相手の不調には軽く対処法を勧めたり、聞いた情報を伝えたりできる
  • 健康のためにふだん続けていることや使っている物のよさを紹介し、聞いた話を受けて、自分がこれからすることを決めて言える

進め方と時間配分

目安は 90分×3コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)15分第11課の「Vるようになります(習慣の変化)」「〜と言っていました」で最近の生活の変化を一人一言ずつ言わせ、「最近、体の調子はどうですか」と健康の話題に移る。症状のことば(頭が痛い・せき・熱・のど・寒気)を絵カードで確かめ、「どうしたんですか/〜んです」を復習する
ST1 体調不良120分「も」「しか〜ない」で原因を量の多さ・少なさで言う →「Vたらどうですか」で勧める →「Vないで、〜」で自分がどう対処したかを言う →「らしいです」で聞いた情報を足す →「Vて/Vないで(付帯状況)」で原因や対処の様子を言う。症状カードと原因カードを引いて、具合の悪い人と声をかける人のロールプレイ。1コマ目は「も」「しか〜ない」「Vたらどうですか」まで、2コマ目の前半で「Vないで」「らしい」「付帯状況」を扱い、ロールプレイで締める
ST2 毎日、元気に!105分使っている物を「Vるのに/Nに〜」で紹介 → 体質や物の性質を「Vやすい・Vにくい(傾向・性質)」で言う → 気をつけて続けている習慣を「Vるようにしています」→ 新しく始めることを「Vることにします」で決める。持ってきた健康グッズの写真を見せ合うインタビュー。2コマ目の後半で「Vるのに/Nに」、3コマ目の前半で「やすい・にくい(傾向・性質)」「ようにしています」「ことにします」を扱う
課のまとめ30分「具合の悪い友達に声をかけて勧める」「健康法を紹介し合う」の2つのロールプレイを続けて行う。最後に、インタビューで聞いた健康法から一つ選び、「わたしも〜ことにします」とクラスの前で宣言させる

ST1 体調不良

できること具合が悪いときに、症状・原因・どう対処したかを話し、相手の不調には対処のしかたを勧めたり、聞いた情報を伝えたりできる。

場面

学校やアルバイト先で、元気のない友達に「どうしたんですか」と声をかけ、症状と原因を聞いて、対処のしかたを勧める場面です。話すのは同じ立場の友達どうしで、先生や店長のような目上の人に勧めるときは言い方を変えることも扱います。教室では症状カード(頭が痛い・せき・熱・眠い)と原因カード(コーヒー5杯・3時間の睡眠・朝ご飯なし)を引かせ、具合の悪い人と声をかける人に分かれます。

  • 日本人の友達:顔色が悪いですね。どうしたんですか。
  • 留学生:朝から頭が痛いんです。きのうはレポートを書いていて、3時間しか寝ていないんです。
  • 留学生:それに、コーヒーを5杯も飲みました。
  • 日本人の友達:薬は飲みましたか。
  • 留学生:いいえ、飲まないで来ました。
  • 日本人の友達:今、学校で風邪がはやっているらしいですよ。今日は早く帰って、寝たらどうですか。
  • 留学生:そうですね。授業が終わったら、病院へ行ってみます。
学習項目 1 [〜個、〜時間、〜杯…]も〜

意味・はたらき

数や量のことば(数+助数詞)に「も」をつけて、話し手がその数・量を「多い」と感じていることを表します。体調不良の場面では「コーヒーを5杯も飲んだ」「せきが2週間も続いている」のように、ふつうより多いことが原因や症状だと伝えるのに使います。ふつうの量なら「も」はつけません。初級の「Nも」(同じ)とは働きが違います。

接続

数量のことば(数+助数詞)+も(「を」「が」は前の名詞につけたまま)

形
コーヒーを5杯も飲みました10時間も寝ましたせきが2週間も続いています

導入

  • カップの数で驚いてみせる教師が「きのう、コーヒーを1杯飲みました」と言ってカップの絵を1つ貼る。次にカップを5つ並べ、驚いた顔で「5杯も飲みました!」と言い、「それで、夜、寝られませんでした」と続ける。板書は「[数+助数詞]も Vました」とし、横に「多い!」と書く。

板書案

[数+助数詞]+も + V
コーヒーを 5杯 も 飲みました。
せきが 2週間 も 続いています。
〔赤〕「も」に丸 横に「多い!」と吹き出し
〔青〕1杯も飲みませんでした(否定)は別の行に

場面と発話(自作)

  • 朝の授業で眠そうにしていて、クラスの友達に理由を聞かれる。きのうはレポートで、コーヒーを6杯も飲んだんです。
  • 病院で、医者にせきのことを伝える。せきが、もう2週間も続いています。
  • 週末に寝てばかりいたことを、ルームメイトに話す。土曜日は、12時間も寝ました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、数量カード(「コーヒー・5杯」「寝る・12時間」「せき・2週間」)を見せて「〜も〜ました/〜ています」を言わせる。次に同じカードで「多いと思いますか」と学習者に聞き、多いと思うときだけ「も」をつけさせる。最後にペアで「どうしたんですか」→「〜も〜んです」のやり取りにする。

  1. 口頭教師が数量カードを見せ、学習者が「〜も〜ました」と言う。キューの例は、①「コーヒー・5杯・飲む」→コーヒーを5杯も飲みました ②「寝る・12時間」→12時間も寝ました ③「せき・2週間・続く」→せきが2週間も続いています ④「薬・3回・飲む」→薬を3回も飲みました。最初は全体でコーラス、次に一人ずつ指名し、カードの数を教師が替えて答えさせる。
  2. ペアAには「ふつうの量」、Bには「多い量」が書いてある同じ項目のカード(コーヒー1杯/5杯など)を配る。Aが「きのう、コーヒーを何杯飲みましたか」と聞き、Bは自分のカードの数で答え、多いと思ったときだけ「も」をつける。Aは「えっ、そんなに?」と驚いて返す。カードを入れ替えて役を交替する。
  3. 産出活動名「びっくり生活報告」。学習者が自分の先週の生活から、多かったこと(寝た時間・飲んだ物・歩いた時間など)を一つ選び、「先週は〜も〜んです」とクラスに話す。聞いている人は「えっ」と反応する。教師は、助数詞が落ちていないか、「も」が数のあとにあるかを見て、ずれたら板書の枠を指して言い直させる。

つまずきと手当て

  • 「*5もコーヒーを飲みました」と助数詞を落とす。数のあとに必ず「杯」「個」「時間」をつける、と板書の[数+助数詞]を指して確かめる
  • 「コーヒーも5杯飲みました」と「も」を名詞につけ、「コーヒーも(ほかの物も)」の意味になってしまう。量の多さを言いたいときは数のあと、と2文を並べて違いを見せる
  • 否定と一緒に使う「1杯も飲みませんでした」(全然飲まなかった)とまざる。否定と使う「1〜も〜ない」は別の意味だと、別の行に板書する

既習の文型との違い

  • Nも(初級第1課)初級の「Nも」は「わたしも学生です」のように、ほかのものと同じだという意味で、名詞につきます。この課の「も」は数のあとにつき、量が多いという気持ちを表します。「コーヒーも5杯飲みました」と言うと「ほかの物と同じようにコーヒーも」の意味に聞こえるので、位置の違いを並べて見せます。
  • [期間]に[〜回・冊・本](助数詞)(初級第9課)初級第9課の形は「1週間に3回運動します」のように、回数や量をそのまま伝えるだけで、多い・少ないの気持ちは入りません。そこに「も」をつけると「1週間に7回も運動します」のように、話し手の驚きが加わります。同じ文に「も」をつけたりはずしたりして、気持ちの違いを比べさせます。
関連する文型
学習項目 2 [〜個、〜時間、〜杯…/N]しか〜ない

意味・はたらき

「しか」は後ろに必ず否定の形をとり、「それだけで、足りない・少ない」という話し手の気持ちを表します。数量につけると「少ない」、名詞につけると「それ以外はない」の意味です。体調不良の場面では「3時間しか寝ていない」「おかゆしか食べられない」のように、原因や症状を伝えます。「だけ」は量をそのまま言い、満足しているときにも使えますが、「しか〜ない」は少なさ・足りなさを強く言う、という違いがあります。

接続

数量のことば/N+しか+否定の形(「が」「を」は「しか」に替わり、「に」「で」などは残して「にしか」「でしか」)

形
3時間しか寝ていませんおかゆしか食べられませんでしたこの薬は薬局でしか買えません

導入

  • 「も」と並べて少なさを見せる前の項目の「10時間も寝ました」を板書に残したまま、教師があくびをして「きのうは忙しかったです。3時間しか寝ていません」と言う。板書で「10時間も寝ました(多い)」と「3時間しか寝ていません(少ない)」を上下に並べ、「しか」と「ません」を線でつなぐ。

板書案

[数+助数詞/N]+しか + Vない
3時間 しか 寝ていません。
おかゆ しか 食べられませんでした。
〔赤〕「しか」と「ません」を線でつなぐ
〔青〕を・が → 消える/に・で → 残る(薬局でしか)

場面と発話(自作)

  • 元気がないのを友達に心配される。今週は忙しくて、毎日4時間しか寝ていないんです。
  • 熱が出た日の夜、ルームメイトに何を食べたか聞かれる。今日は、おかゆしか食べられませんでした。
  • よく効く薬のことを、先輩に聞く。この薬は、薬局でしか買えないんですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では「水・飲む」→「水しか飲んでいません」のように、後ろを否定にする代入から始める。次に前の項目の数量カードを使い、多いと思えば「も」、少ないと思えば「しか〜ない」と言い分けさせる。最後に ST1 の場面で、体調を聞かれて「〜しか〜ないんです」で原因を答えさせる。

  1. 口頭教師が語カードを見せ、学習者が後ろを否定にして「〜しか〜ません」と言う。キューの例は、①「水・飲む」→水しか飲んでいません ②「3時間・寝る」→3時間しか寝ていません ③「おかゆ・食べられる」→おかゆしか食べられませんでした ④「薬局・買える」→薬局でしか買えません。続けて前の項目の数量カードを出し、多いと思えば「も」、少ないと思えば「しか〜ない」と言い分けさせる。
  2. ペアAは心配する友達、Bは具合の悪い人。Bは「睡眠・食事・水」の3つについて少ない量が書いてあるカードを持つ。Aが「きのうは何時間寝ましたか」「何を食べましたか」と聞き、Bは「〜しか〜ないんです」で答える。Aは最後に「それはよくないですね」と返す。3つ聞いたら役を交替する。
  3. 産出活動名「足りないものチェック」。学習者が自分の今週の生活で足りないもの(睡眠・野菜・運動など)を「今週は〜しか〜ていないんです」と2文で話し、聞いた人が一言感想を言う。教師は、後ろが肯定になっていないか、「を」が残っていないかを見て、誤りはその場で板書の線を指して言い直させる。

つまずきと手当て

  • 「*3時間しか寝ました」と後ろを肯定にする。「しか」を見たら後ろは否定、と板書の線を指して毎回確かめる
  • 「*水をしか飲んでいません」と「を」を残す。「を」「が」は消えて「しか」だけになり、「に」「で」は残る(「薬局でしか」)と表にして見せる
  • 「だけ」との区別がつかず、満足している場面でも「しか」を使う。「薬は1日1回だけでいいです(よかった)」と「薬が1回分しかありません(足りない)」を並べ、気持ちの違いを確かめる

既習の文型との違い

  • [〜個、〜時間、〜杯…]も〜(初中級第12課)同じ数量のことばにつくのに、「も」は多い、「しか〜ない」は少ないという反対の気持ちを表します。「も」は後ろが肯定でも否定でも使えますが、「しか」は後ろが必ず否定です。同じ「3時間」で「3時間も寝た」と「3時間しか寝ていない」を言わせると、気持ちの違いがよくわかります。
  • 可能動詞(初中級第1課)「しか」は可能動詞の否定とよく組み合わさり、「おかゆしか食べられない」「薬局でしか買えない」のようになります。学習者は可能形を肯定で使い「*おかゆしか食べられます」としがちなので、可能動詞のナイ形を先に確かめてから「しか」をつけさせます。
関連する文型
学習項目 3 Vたらどうですか

意味・はたらき

相手の困りごとを聞いて、「こうしてみては」と軽く勧める言い方です。決めるのは相手で、押しつけない響きがあります。初級の「Vたほうがいいです」は「そうするのがいい」とはっきりアドバイスする形で、「Vたらどうですか」のほうが軽い提案です。友達や同じ立場の人に使うことが多く、目上の人にそのまま言うと、えらそうに聞こえることがあります。

接続

Vタ形+らどうですか(ていねいに言うときは「Vたらいかがですか」)

形
病院へ行ったらどうですか少し休んだらどうですか早く寝たらいかがですか(ていねい)

導入

  • 教師の困りごとに答えさせる教師がせきをして「せきが止まらないんです」と困った顔をし、学習者から「薬」「病院」「寝る」などのことばを引き出す。それを教師が「病院へ行ったらどうですか」の形にして言い直し、全員でくり返す。板書は「Vた+らどうですか(軽く勧める)」とし、横に「Vたほうがいいです(はっきり)」を書いて、強さの違いを矢印で見せる。

板書案

(相手が困っている)→ Vた + らどうですか
少し休んだら どうですか。
〔赤〕Vたらどうですか(軽く勧める)
〔青〕Vたほうがいいです(はっきり) 強さの矢印
目上には → 〜たらいかがですか(勧めなので控えめに)

場面と発話(自作)

  • 同じクラスの友達が「最近よく眠れない」と言う。寝る前に、温かい牛乳を飲んだらどうですか。
  • アルバイトの仲間が、熱があるのに働いている。今日は早く帰ったらどうですか。店長に話しましょうか。
  • 友達に勧められて、留学生が答える。病院へ行ったらどうですか。——そうですね。そうします。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、症状カード(頭が痛い・眠れない・肩がこる・目が疲れる)を見せ、学習者が「Vたらどうですか」で勧める代入をする。次にペアで、一人が「〜んです」と症状を言い、もう一人が勧め、言われた人が「そうですね、そうします」か「でも、〜んです」で返す。

  1. 口頭教師が症状カードを見せて「〜んです」と困ってみせ、学習者が勧める。キューの例は、①「頭が痛い」→薬を飲んだらどうですか ②「眠れない」→寝る前に温かい牛乳を飲んだらどうですか ③「目が疲れる」→少し休んだらどうですか ④「肩がこる」→ストレッチをしたらどうですか。タ形を先に全体で言わせてから「らどうですか」をつける順にすると、辞書形につける誤りが減る。
  2. ペアAは症状カードを1枚引いて「〜んです」と言い、Bが「Vたらどうですか」で勧める。Aは勧めがよければ「そうですね。そうします」、合わなければ「でも、〜んです」と理由をつけて断り、Bはもう一つ別のことを勧める。断る理由があるので、Bは2つ目の勧めを考えなければならない。3枚で役を交替する。
  3. 産出活動名「お悩み相談室」。学習者が自分の本当の小さな悩み(朝起きられない・漢字が覚えられない・肩がこる)をカードに書いて箱に入れ、教師が1枚ずつ読み上げる。クラスの人が「〜たらどうですか」で次々に勧め、カードを書いた人がいちばんいい勧めを選ぶ。教師は相手が先生役のときに「いかがですか」に替えられるかも見る。

つまずきと手当て

  • 「*行くたらどうですか」「*休むたらどうですか」と辞書形につける。先に「行った」「休んだ」とタ形を言ってから「ら」をつけさせる
  • 自分のことを相談するときに「病院へ行ったらどうですか」と言ってしまう。これは相手に勧める形なので、自分のことは「病院へ行ったらいいですか」と聞く、と役割を分けて練習する
  • 先生や店長に「Vたらどうですか」をそのまま使う。目上の人には「〜たらいかがですか」と丁寧にしても勧めであることは変わらないので、「〜はいかがでしょうか」「〜てはどうでしょうか」のように控えめにするか、「〜たほうがいいかもしれません」とやわらげる、と相手の絵を替えて言い分けさせる

既習の文型との違い

  • Vたほうがいいです/Vないほうがいいです(初級第12課)「Vたほうがいいです」は話し手が「そうするのがいい」とはっきり言う助言で、病院へ行かないと心配な場面に合います。「Vたらどうですか」は「こうしてみては」と選ぶのを相手に任せる提案で、軽い不調に向きます。強く言いたい場面で「たらどうですか」を使うと、心配の気持ちが伝わりにくくなります。
  • Vたらいいです(初中級第4課)「Vたらいいですか」は自分がどうすればいいかを相手に聞く形、「Vたらいいですよ」は聞かれて答える形です。「Vたらどうですか」は聞かれていなくても、こちらから勧める形です。相談する側と勧める側で形が違うことを、役を替えて練習させます。
  • 〜はどうですか(提案)(初級第6課)「〜はどうですか」は「このお茶はどうですか」のように名詞を差し出す提案で、「Vたらどうですか」は相手がする動作を勧めます。物を勧めるなら名詞の形、行動を勧めるなら動詞の形、と分けさせます。
関連する文型
学習項目 4 Vないで、〜

意味・はたらき

「AないでB」で、ふつうならすることや予定していたAをしないで、代わりにBをすることを表します。体調不良の場面では「病院へ行かないで、家で寝ていました」「薬を飲まないで、ゆっくり休みました」のように、自分がどう対処したかを伝えるのに使います。同じ課の「Vて、〜/Vないで、〜(付帯状況)」は、Bをするときの様子を言う形で、こちらは「Aの代わりにB」です。

接続

Vナイ形+で、〜

形
病院へ行かないで、家で休みました薬を飲まないで、たくさん寝て治しましたエレベーターに乗らないで、階段を使いました

導入

  • 2文を1文にまとめる教師が「熱が出たとき、皆さんはどうしますか」と聞き、「病院へ行く」「薬を飲む」「寝る」を板書する。教師が「わたしは病院へ行きませんでした。家で寝ていました」と2文で言ったあと、「病院へ行かないで、家で寝ていました」と1文にまとめる。板書は「A(しない)→ B(代わりにする)」の矢印にする。

板書案

A(しない)→ Vないで、B(代わりにする)
病院へ 行かないで、家で 寝て いました。
〔赤〕行かない + で
〔青〕なくて は理由のとき(熱が下がらなくて、困りました)
質問:代わりに 何を しましたか。

場面と発話(自作)

  • 月曜日の授業の前に、先生に週末のことを聞かれる。熱が出たので、どこへも行かないで、ずっと家で寝ていました。
  • 風邪がもう治った友達に、どうしたか聞く。薬を飲まないで、たくさん寝て治したんですか。
  • アルバイト先で、店長に熱が下がったか聞かれる。きのうはどこへも行かないで、家で寝ていました。もう大丈夫です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では「しなかったこと」と「代わりにしたこと」の2枚のカード(病院・家で寝る/エレベーター・階段/タクシー・歩く)を組み合わせて1文にする。次にペアで「風邪をひいたとき、どうしましたか」と聞き合い、自分の経験で答えさせる。

  1. 口頭教師が「しなかったこと」と「代わりにしたこと」の2枚のカードを並べ、学習者が1文にする。キューの例は、①「病院・家で寝る」→病院へ行かないで、家で寝ていました ②「エレベーター・階段」→エレベーターに乗らないで、階段を使いました ③「タクシー・歩く」→タクシーに乗らないで、歩いて帰りました ④「薬・たくさん寝る」→薬を飲まないで、たくさん寝ました。まずナイ形だけを全体で言わせてから「で」をつける。
  2. ペアAは「熱が出た」「のどが痛かった」「お腹が痛かった」などの経験カードを持ち、Bに「〜とき、どうしましたか」と聞く。Bは自分のやり方を「〜ないで、〜ました」で答え、Aは「わたしは〜ました」と自分の対処も言う。互いの答えをメモして、あとで「〜さんは〜ないで〜たと言っていました」と報告させる。
  3. 産出活動名「わたしの治し方アンケート」。グループで「風邪をひいたとき、何をしないで、何をしますか」を聞き合い、表にまとめて発表する。教師は「ないで」と「なくて」の取り違え、ナイ形の作り方を見て、発表のあとにまとめて直す。

つまずきと手当て

  • 「*病院へ行かなくて、家で寝ていました」と「なくて」を使う。「なくて」は理由(「熱が下がらなくて、困りました」)、代わりの行動は「ないで」と、2文を並べて見せる
  • 「*行きないで」のようにマス形から作る。先にナイ形(行く→行かない)を言わせ、そこに「で」をつける
  • 後ろに気持ちを続けて「薬を飲まないで、困りました」と言い、代わりの行動の意味と理由の意味が混ざる。困った理由を言うなら「薬がなくて、困りました」、代わりにした行動なら「ないで」のあとに動作を置く、と後ろのことばで見分けさせる

既習の文型との違い

  • Vないでください(初級第10課)「Vないでください」は相手に「しないで」と頼む形で、文はそこで終わります。この課の「Vないで、〜」は自分のしなかったことと、代わりにしたことを1文でつなぎます。学習者は「ないで」を見ると頼む形だと思いやすいので、文の後ろに続くかどうかで見分けさせます。
  • 〜て、〜(理由)(初中級第5課)「熱が下がらなくて、困りました」の「なくて」は、後ろの気持ちや結果の理由を表します。「ないで」は代わりの行動や様子を表すので、「*病院へ行かなくて、家で寝ていました」とは言いません。後ろが気持ち(困った・大変だ)なら「なくて」、後ろが自分のした行動なら「ないで」と目安を示します。
関連する文型
学習項目 5 〜らしいです(伝聞)

意味・はたらき

人から聞いたことや、ニュース・インターネットで見たことを、「そういう話だ」と聞いた情報として伝える形です。初級の「〜そうです(伝聞)」と似ていますが、「らしい」は情報の出どころがはっきりしないときや、聞いた話を少し距離を置いて伝えるときに使われることが多いです。話し言葉では「〜らしいですよ」の形で、相手に知らせるのによく使います。名詞につく「Nらしい」には「その特徴がよく出ている」(「学生らしい服」)という別の使い方もあります。

接続

普通形+らしいです(ナA・N は「だ」をとる:静からしい・風邪らしい)

形
インフルエンザがはやっているらしいですこの薬はよく効くらしいですよあの病院は日曜日も開いているらしいですクラスの友達は今日、風邪らしいです

導入

  • スマホのニュースを伝える教師がスマホのニュース画面の絵を見せ、「『インフルエンザがはやっています』と書いてありました」と言ってから、「インフルエンザがはやっているらしいですよ」と言い換える。板書は「[普通形]らしいです(聞いた話)」とし、ナA・N では「だ」が消えることを赤で示す。

板書案

[普通形]+らしいです(聞いた話)
インフルエンザが はやって いる らしいですよ。
〔赤〕ナA・N は「だ」が消える:静からしい・風邪らしい
〔青〕そうです(伝聞)は「だ」が残る:風邪だそうです
自分の体のこと → 〜んです

場面と発話(自作)

  • 休み時間に、クラスの友達に聞いたことを別の友達に伝える。今、学校でインフルエンザがはやっているらしいですよ。
  • アルバイト先で、休んだ仲間のことを店長に聞かれる。風邪らしいです。熱があると言っていました。
  • 近くの病院を探している友達に教える。駅前の病院は、日曜日も開いているらしいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、情報カード(「ニュース:今年の冬は寒い」「友達:駅前の薬局は安い」)を見せ、「〜らしいですよ」で伝える代入をする。次に同じ情報を「〜そうです」でも言わせ、どちらでも伝えられることと「だ」の違いを確かめる。最後に ST1 の場面で、相手の症状を聞いたあとに「〜がはやっているらしいですよ」と情報を足させる。

  1. 口頭教師が情報カード(出どころつき)を見せ、学習者が「〜らしいですよ」で伝える。キューの例は、①「ニュース:インフルエンザがはやっている」→インフルエンザがはやっているらしいですよ ②「友達:駅前の病院は日曜日も開いている」→日曜日も開いているらしいですよ ③「先輩:この薬はよく効く」→よく効くらしいですよ ④「店長:今日休んだ仲間は風邪」→風邪らしいです。ナ形容詞・名詞のカードでは「だ」を消して言えるかを個人で確かめる。
  2. ペアAとBに違う情報カードを3枚ずつ配る(Aは「はやっている病気」、Bは「近くの病院・薬局」の情報)。互いに相手の知らない情報を「〜らしいですよ」で伝え合い、聞いた人は「そうですか。知りませんでした」と返してメモする。最後に、相手から聞いた情報を一つクラスに伝えさせる。
  3. 産出活動名「うわさの健康ニュース」。学習者が家でインターネットやニュースで見た健康の話題を一つ選び、「〜によると、〜らしいです」の形で1分間で紹介する。教師は、ナ形容詞・名詞に「だ」が残っていないか、自分で確かめたことに「らしい」を使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*静かだらしいです」「*風邪だらしいです」とナA・N に「だ」を残す。「そうです(伝聞)」は「風邪だそうです」と「だ」を残すので混同しやすい、と2つを並べて板書する
  • 自分で確かめたことにも「らしい」を使う(自分で熱を測ったのに「熱があるらしいです」)。自分の体のことは「〜んです」で言い、「らしい」は人から聞いたこと、と確かめる
  • 「学生らしい服」の「らしい」(その特徴がよく出ている)と取り違える。ここで扱うのは聞いた話を伝えるほうだと、例を並べて見せる

既習の文型との違い

  • 〜そうです(伝聞)(初級第15課)どちらも聞いた話を伝えますが、「そうです」は聞いたことをそのまま伝える感じが強く、「らしいです」は出どころがはっきりしないときや、少し距離を置いて伝えるときによく使われます。形の違いは名詞・ナ形容詞で、「風邪だそうです」は「だ」が残り、「風邪らしいです」は消えます。2つを上下に並べて板書すると「*風邪だらしい」が減ります。
  • 〜ようです(様態)(初中級第10課)「ようです」は自分が見たり感じたりしたことから判断して言う形で、「熱があるようです」は顔の様子などから話し手が考えています。「らしいです」はほかの人から聞いた情報がもとです。「どうしてそう思いましたか」と聞き、「見たから」なら「ようです」、「聞いたから」なら「らしい」と答え分けさせます。
関連する文型
学習項目 6 Vて、〜/Vないで、〜(付帯状況)

意味・はたらき

「AてB」「AないでB」で、Bをするときの様子・状態(何を身につけて、何をしたままで、何をしないで)を表します。体調の場面では「マスクをして寝る」「朝ご飯を食べないで来た」のように、症状の原因や対処のしかたを伝えるのに使います。初級の「Vて、〜」(順番)と違い、AとBは同時です。前の項目の「Vないで、〜」(代わりに)とは形が同じなので、意味で見分けます。

接続

Vテ形+、〜/Vナイ形+で、〜

形
マスクをして寝ます朝ご飯を食べないで学校へ来ました上着を着ないで外に出ました

導入

  • マスクを着けて動作で見せる教師が実際にマスクを着けて机に頭をのせ、「マスクをして、寝ます」と言う。次にマスクを外して同じ動作をし、「きのうはマスクをしないで寝ました。それで、のどが痛いんです」と言う。板書は「[Aて/Aないで]+B(Aの状態でBする)」とする。

板書案

[Aて/Aないで]+B(Aの状態でBする)
マスクを して 寝ます。
朝ご飯を 食べないで 学校へ 来ました。
〔赤〕AとBは同時 〔青〕Vてから(順番)と並べる
質問:どんな状態で しましたか。

場面と発話(自作)

  • 午前の授業で気分が悪くなり、先生に理由を聞かれる。朝ご飯を食べないで来たので、少し気分が悪いんです。
  • 風邪をひいた理由を、友達に話す。きのうの夜、髪を乾かさないで寝てしまいました。
  • のどが痛いと言うルームメイトに勧める。マスクをして寝たらどうですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、2枚の絵(マスク・寝る/傘・歩く/朝ご飯・来る)で「AてB」「AないでB」を言わせる。次に「どうして風邪をひいたんですか」と聞き、絵を見て「〜ないで〜たんです」と原因を答えるやり取りにする。最後に前の項目の「代わりに」の文とまぜて出し、どちらの意味かを言わせる。

  1. 口頭教師が2枚の絵を並べ、学習者が「AてB」「AないでB」の1文にする。キューの例は、①「マスク・寝る」→マスクをして寝ます ②「朝ご飯×・学校へ来る」→朝ご飯を食べないで来ました ③「上着×・外に出る」→上着を着ないで外に出ました ④「傘・歩く」→傘をさして歩きました。最後に前の項目の「代わりに」の文をまぜて出し、全体で「様子」か「代わり」かを手で示させる。
  2. ペアAは医者役で「どうして風邪をひいたと思いますか」と聞き、Bは患者役で、原因の絵カード(髪をぬらしたまま寝た・上着なしで外に出たなど)を見て「〜ないで〜たんです」と答える。Aは「じゃあ、今日は〜て寝たらどうですか」と勧める。3枚で交替する。
  3. 産出活動名「風邪の原因さがし」。学習者が自分が最近体調を崩したときのことを思い出し、「〜て/〜ないで〜たから、〜んだと思います」と原因を話す。聞いている人は「〜たらどうですか」で一言勧める。教師は、「ないで」と「なくて」、「て」と「てから」の使い分けを見る。

つまずきと手当て

  • 「*朝ご飯を食べなくて学校へ来ました」と「なくて」を使う。様子を言うときも「ないで」、と前の項目と同じく「なくて(理由)」の文と並べる
  • 「マスクをして寝ます」を順番(マスクをする、そのあと寝る)と同じだと考え、「マスクをしてから寝ます」と区別できない。「てから」は順番だけ、「て」は着けたまま、と教師の動作で見せる
  • 「病院へ行かないで、家で寝ていました」(代わりに)と「朝ご飯を食べないで来ました」(様子)の区別がつかない。「代わりに何をしたか」「どんな状態でしたか」のどちらの質問に答えているかで見分けさせる

既習の文型との違い

  • Vて、〜(初級第9課)初級の「Vて、〜」は「顔を洗って、朝ご飯を食べます」のように動作の順番を言う形で、前の動作が終わってから次の動作をします。付帯状況の「て」は「マスクをして寝る」のように、前の動作の結果の状態が続いたまま次の動作をします。前の動作が「着る・する・持つ・さす」のように身につけるものだと付帯状況になりやすい、と目安を示します。
  • Vてから、〜(初級第12課)「てから」ははっきり順番だけを表し、「マスクをしてから寝る」は「まずマスクをする、そのあと寝る」です。「マスクをして寝る」は寝ている間もマスクをしている、という同時の意味になります。教師の動作で、マスクを着けたまま寝るのと、着けてから外して寝るのを見せると違いが伝わります。
  • Vないで、〜(初中級第12課)同じ課の「Vないで、〜」は「AをしないでBをした(代わりに)」、付帯状況の「ないで」は「Aをしない状態でBをした(様子)」です。「病院へ行かないで家で寝た」は代わり、「朝ご飯を食べないで来た」は様子で、形は同じです。「代わりに何をしましたか」と「どんな状態でしたか」のどちらの質問の答えかで見分けさせます。
関連する文型

ST2 毎日、元気に!

できること健康のためにふだん続けていることや、使っている物のよさを話し合える。

場面

地域の日本語教室や職場の休み時間に、元気の秘けつや健康のために使っている物を紹介し合う場面です。話すのは知り合いどうしで、相手の話を聞いて自分も試してみたくなる流れを作ります。教室では学習者に、自分が使っている健康グッズや食べ物・飲み物(水筒・お茶・歩数のアプリなど)を実物か写真で持ってこさせ、それを見せながら話させます。

  • 日本人の友達:いつも元気ですね。何か気をつけていることがありますか。
  • 留学生:毎朝、野菜ジュースを飲むようにしています。それから、寝る前はスマホを見ないようにしています。
  • 日本人の友達:へえ。わたしは冬になると、風邪をひきやすいんです。
  • 留学生:じゃあ、このしょうがのお茶はどうですか。体を温めるのにいいですよ。
  • 日本人の友達:辛くないですか。
  • 留学生:少し辛いですが、はちみつを入れると飲みやすいです。
  • 日本人の友達:いいですね。わたしも今日から、寝る前にこのお茶を飲むことにします。
学習項目 1 Vるのに〜/Nに〜(目的・用途)

意味・はたらき

「AのにB」「NにB」で、Aという目的・用途にとって、その物や方法がどうか(いい・便利だ・役に立つ・使う・時間やお金がかかる)を言います。健康の場面では「このアプリは歩いた距離を見るのに便利です」「しょうがは風邪にいいです」のように、使っている物や食べ物を紹介するのに使います。後ろには評価や必要のことばが来て、「走ります」のような意志の動作は来ないのが、同じ目的を表す「Vるために」との違いです。

接続

V辞書形+のに/N+に(後ろは いい・便利だ・役に立つ・使う・必要だ・かかる など)

形
このアプリは歩いた距離を見るのに便利ですしょうがは風邪にいいですこのマットはストレッチに使いますジムまで行くのに15分かかります

導入

  • 実物を見せて何に使うか聞くヨガマット・水筒・歩数のアプリの画面(絵でもよい)を見せ、教師が「これは何に使いますか」と聞いて「ストレッチに使います」を引き出す。次にスマホを見せて「このアプリは、歩いた距離を見るのに便利です」と言う。板書は「[V辞書形のに/Nに]+いい・便利だ・使う・かかる」とし、後ろに来ることばを枠で囲む。

板書案

[V辞書形+のに/N+に]+[いい・便利だ・使う・かかる]
この アプリは 歩いた 距離を 見るのに 便利です。
しょうがは 風邪に いいです。
〔赤〕後ろのことばを枠で囲む
〔青〕健康になるために 走ります(意志の動作)は別の行

場面と発話(自作)

  • 健康のために使っている水筒を、クラスの友達に見せる。この水筒は、1日に飲む水の量を見るのに便利なんです。
  • のどが痛いと言う友達に、食べ物を勧める。はちみつは、のどにいいですよ。
  • 通っているジムのことを、先輩に聞かれる。家からジムまで行くのに、自転車で15分かかります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、物の絵カードを見せて「Nは〜に使います」「Nは〜のに便利です」を言わせる。次に後ろのことば(いい・便利だ・かかる)をカードで替えて代入し、最後にペアで、自分が健康のために使っている物を一つ紹介し合う。

  1. 口頭教師が物の絵カードと後ろのことばのカードを組み合わせて出し、学習者が1文にする。キューの例は、①「ヨガマット・ストレッチ・使う」→ストレッチに使います ②「水筒・水の量を見る・便利」→水の量を見るのに便利です ③「はちみつ・のど・いい」→のどにいいです ④「ジム・行く・15分かかる」→ジムまで行くのに15分かかります。動詞のときは「のに」、名詞のときは「に」だけ、を全体で確かめてから個人に当てる。
  2. ペアAは店員役で健康グッズの絵カードを5枚持ち、Bは客役で「〜にいい物を探しているんですが」と目的を言う。Aは合う物を選んで「これは〜のに便利ですよ」と勧め、Bは「〜のにどのくらいかかりますか」など一つ質問する。カードを入れ替えて交替する。
  3. 産出活動名「わたしの健康グッズ紹介」。学習者が持ってきた物か写真を見せ、「これは〜のに便利です」「〜にもいいです」を使って3文で紹介する。聞いている人は「どこで買えますか」などの質問をする。教師は、後ろに意志の動作が来ていないか、名詞に「の」が入っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*健康になるのに毎朝走ります」と、後ろに意志の動作を置く。自分がする動作の目的は「健康になるために、毎朝走ります」、物や方法の評価は「〜のにいい」と、2文を並べて見せる
  • 第10課の「〜のに、〜」(予想と違う)と取り違える。「よく寝たのに、眠い」と「よく寝るのにいい」を並べ、後ろが評価のことばなら目的・用途、と見分けさせる
  • 「*風邪のにいいです」と名詞に「の」を入れる。名詞のときは「Nに」だけ、と板書の2つの形を指して確かめる

既習の文型との違い

  • Vるために、〜/Nのために、〜(目的)(初中級第3課)「ために」は「健康になるために、毎朝走ります」のように、目的のために自分がする行動を後ろに置きます。「のに」は後ろに「いい・便利だ・かかる」のような評価や必要のことばが来て、物や方法がその目的にどうかを言います。「*健康になるのに走ります」とは言わないので、後ろのことばの種類で使い分けさせます。
  • 〜のに、〜(初中級第10課)第10課の「のに」は「よく寝たのに、眠い」のように、予想と違う結果への不満や驚きを表し、前は普通形の文です。この課の「のに」は辞書形について目的・用途を表し、後ろは評価のことばです。後ろが「いい・便利だ」なら目的、予想外の結果なら逆接、と見分けさせます。
関連する文型
学習項目 2 Vやすいです(傾向・性質)

意味・はたらき

第2課の「Vやすいです」は「(人が)〜するのが簡単だ」という意味でしたが、ここでは人や物が自然にそうなりがちだ・そうなる性質があるという意味です。「冬は風邪をひきやすい」「このシャツは乾きやすい」のように、体質や季節、物の性質を話すときに使います。前に来るのは「ひく」「なる」「疲れる」「乾く」のように、自分の意志では決められない動詞が多いです。よいことにも悪いことにも使えます。

接続

Vマス形(「ます」を取った形)+やすいです(イAと同じように「やすくて」「やすかった」と変わる)

形
冬は風邪をひきやすいですわたしは疲れやすいですこのタオルは乾きやすいです

導入

  • 第2課の意味と並べる第2課の「このペンは書きやすいです」を板書して思い出させる。次に季節の絵で「冬はどんな病気になりますか」と聞いて「風邪」を引き出し、「冬は風邪をひきやすいです」と言う。板書で「書きやすい(簡単に〜できる)」と「ひきやすい(自然に〜なる)」を左右に並べる。

板書案

Vます + やすいです(自然に〜なりがち)
冬は 風邪を ひきやすいです。
〔左〕書きやすい(第2課:簡単に〜できる)
〔右〕ひきやすい(第12課:自然に〜なる)
〔赤〕前の動詞:ひく・なる・疲れる・乾く(意志で決められない)

場面と発話(自作)

  • 季節の変わり目に、友達に自分の体のことを話す。わたしは季節が変わるとき、体調を崩しやすいんです。
  • 運動のときに着ている服のことを、同僚に聞かれる。このシャツは汗をかいても乾きやすいので、運動のときに着ています。
  • 寒い朝、ルームメイトにいつも鼻をかんでいる理由を聞かれる。わたしは寒い朝、鼻水が出やすいんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では「冬・風邪をひく」「寝不足・病気になる」「夏・のどがかわく」のカードで「〜は〜やすいです」の代入をする。次に「あなたはどんなことになりやすいですか」と聞いて自分の体質を言わせ、ペアで「わたしも〜やすいです」と比べ合う。

  1. 口頭教師が季節・体・物のカードを見せ、学習者が「〜は〜やすいです」と言う。キューの例は、①「冬・風邪をひく」→冬は風邪をひきやすいです ②「寝不足・病気になる」→寝不足だと病気になりやすいです ③「夏・のどがかわく」→夏はのどがかわきやすいです ④「このタオル・乾く」→乾きやすいです。マス形から「ます」を取る作り方を、最初の2枚は全体で確かめる。
  2. ペア二人で体質の表(季節・時間・食べ物の3つの欄)を作り、互いに「どんなときに〜やすいですか」と聞き合って埋める。答えたら「わたしも〜やすいです」か「わたしは〜にくいです」と比べる。表を見せ合って、似ているところを一つ見つける。
  3. 産出活動名「わたしの体の説明書」。ペアで作った表をもとに、自分の体質を3文で紹介し、最後に「だから、〜ようにしています」と一言足す。教師は、意志で決められる動詞に「やすい」をつけて第2課の意味になっていないかを見て、なっていれば「簡単にできるという意味になりますよ」と確かめる。

つまずきと手当て

  • 「*風邪をひくやすいです」と辞書形につける。「ひきます→ひき+やすい」とマス形から「ます」を取る作り方を板書する
  • 「〜やすい」はよいことにだけ使うと思い、「病気になりやすい」が出てこない。よいこと(乾きやすい)と悪いこと(疲れやすい)の例を両方出す
  • 意志で決められる動詞につけて性質の意味を言おうとする(「よく食べる」のつもりで「わたしは食べやすいです」)。これは第2課の「食べるのが簡単」の意味になる、と意味の違いを確かめる

既習の文型との違い

  • Vやすいです(初中級第2課)第2課の「書きやすい」は人がその動作を簡単にできるという意味で、前に来るのは「書く・食べる・使う」のような意志の動詞です。この課の「ひきやすい」は、人や物が自然にそうなりがちだという意味で、前に来るのは「ひく・なる・疲れる」のような意志で決められない動詞が多いです。動詞の種類で意味が分かれる、と左右に並べて見せます。
関連する文型
学習項目 3 Vにくいです(傾向・性質)

意味・はたらき

人や物がなかなかそうならない・そうなりにくい性質があることを表します。「この靴は滑りにくい」「このコップは割れにくい」「太りにくい食べ物」のように、使っている物や食べ物のよさを伝えるのによく使います。第2課の「Vにくいです」(〜するのがむずかしい)と形は同じなので、前の動詞が自分の意志で決められるかどうかで見分けます。

接続

Vマス形(「ます」を取った形)+にくいです

形
この靴は雨の日も滑りにくいですこのコップは落としても割れにくいですこのシャツはしわになりにくいです

導入

  • 落としても割れないコップ教師がプラスチックのコップを床に落としてみせ、「割れません」と言ってから「このコップは割れにくいです」と言う。前の項目の「〜やすいです」の横に「〜にくいです」を書き、反対の意味として並べる。

板書案

Vます + にくいです(なかなか〜ならない)
この コップは 割れにくいです。
この 靴は 滑りにくいです。
〔赤〕〜やすい の横に 反対の矢印
〔青〕割れにくい ≠ 絶対に割れない

場面と発話(自作)

  • スポーツ用品店で、雨の日に走るための靴を探して店員に聞く。雨の日も走るので、滑りにくい靴がほしいんですが。
  • 友達に、ダイエット中に食べているお菓子を勧める。このお菓子は砂糖が少ないので、太りにくいですよ。
  • 旅行の前に、友達に持っていく服を見せる。このシャツはしわになりにくいので、旅行に便利なんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、物の絵カード(靴・コップ・シャツ)と動詞(滑る・割れる・しわになる)を組み合わせて「〜は〜にくいです」を言わせる。次に店員と客のロールプレイにし、客が「〜にくいNがほしいんですが」と言い、店員が品物を勧める。

  1. 口頭教師が物の絵カードと動詞を組み合わせて出し、学習者が「〜は〜にくいです」と言う。キューの例は、①「靴・滑る」→この靴は滑りにくいです ②「コップ・割れる」→割れにくいです ③「シャツ・しわになる」→しわになりにくいです ④「お菓子・太る」→太りにくいです。次に同じ物で「〜やすい」の反対を言わせ、「滑りやすい靴」と「滑りにくい靴」を比べる。
  2. ペアAは客役で「雨の日に走る」「旅行に持っていく」などの状況カードを1枚引き、「〜にくいNがほしいんですが」と言う。Bは店員役で絵カードから合う物を選び、「これは〜にくいですよ」と勧める。Aは「〜やすくないですか」と一つ質問してから買うかどうかを決める。交替して続ける。
  3. 産出活動名「おすすめ商品ポップ作り」。グループで健康グッズを一つ考え、「〜にくい」「〜やすい」「〜のにいい」を使って店のポップ(宣伝の短い文3行)を書き、店員役が読み上げて売り込む。教師は、物の性質の意味で使えているか、「絶対に〜ない」と言い過ぎていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 第2課の意味と取り違え、「この靴は滑りにくい」を「人が滑ろうとしても、滑るのがむずかしい」と受け取る。物の性質を言っている、と実物や絵で確かめる
  • 「〜にくい」を「絶対に〜ない」と同じだと考える。「割れにくい」は「なかなか割れない」で、強く落とせば割れることもある、と程度の違いを話す
  • 「*割れにくいでした」のように過去を「でした」で作る。「にくい」はイ形容詞と同じに「割れにくかったです」「割れにくくて」と変わることを、活用表を書いて確かめる

既習の文型との違い

  • Vにくいです(初中級第2課)第2課の「読みにくい」は人がその動作をするのがむずかしいという意味です。この課の「滑りにくい」「割れにくい」は、物や人がなかなかそうならない性質を表し、物のよさを伝えるのによく使います。「この靴は歩きにくい」(人が歩くのがむずかしい・よくない)と「この靴は滑りにくい」(滑らない・よい)を並べると、よい・悪いが逆になるのがわかります。
  • Vやすいです(傾向・性質)(初中級第12課)同じ課の「やすい」の反対で、「割れやすい/割れにくい」のように対で使えます。ただし「風邪をひきにくい」はよいことですが「乾きにくい」は困ることで、どちらがよいかは動詞で決まります。対の表を作らせ、よい方に丸をつけさせると整理できます。
関連する文型
学習項目 4 Vるようにしています/Vないようにしています

意味・はたらき

毎日の生活の中で、そうするように気をつけて続けていること(努力して続けている習慣)を表します。「毎日野菜を食べるようにしています」「夜遅く食べないようにしています」のように、健康のために気をつけていることを話すのに使います。ただ「食べています」と言うより、「意識して続けている」気持ちが出ます。第9課の「Vるようにしてください」(相手に頼む)、第11課の「Vるようになります」(変化)と形が似ているので、並べて区別します。

接続

V辞書形/Vナイ形+ようにしています

形
毎日野菜を食べるようにしています寝る前にスマホを見ないようにしています夜11時までに寝るようにしています

導入

  • 教師の毎日の習慣を話す教師が自分の1日の絵(朝の散歩・野菜・水)を見せ、「わたしは健康のために、毎朝30分歩くようにしています」と言い、学習者に「皆さんは健康のために何か気をつけていますか」と聞く。板書で「〜ようにしてください(頼む)」「〜ようになりました(変わった)」「〜ようにしています(気をつけて続けている)」の3行を並べる。

板書案

V辞書形/Vない + ようにしています(気をつけて続けている)
毎日 野菜を 食べるように しています。
寝る前に スマホを 見ないように しています。
〔赤〕〜ようにしてください(第9課・頼む)
〔青〕〜ようになりました(第11課・変わった)

場面と発話(自作)

  • 地域の日本語教室で、ボランティアの人に元気の秘けつを聞かれる。毎日、水を2リットル飲むようにしています。
  • 夜遅くの食事に誘われて、友達に断る。すみません。夜9時を過ぎたら、食べないようにしているんです。
  • パソコンの仕事が多いことを、同じクラスの人に話す。目が疲れやすいので、1時間に1回は休むようにしています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では「健康のためにすること・しないこと」のカード(野菜・水・階段・夜遅く食べる・お酒)で代入する。次にクラス全員に「健康のために何をしていますか」とインタビューさせ、聞いたことを「〜さんは〜ようにしていると言っていました」と報告させる。

  1. 口頭教師が「健康のためにすること・しないこと」のカードを見せ、学習者が「〜ようにしています」と言う。キューの例は、①「野菜・食べる」→毎日野菜を食べるようにしています ②「階段・使う」→階段を使うようにしています ③「夜遅く・食べる×」→夜遅く食べないようにしています ④「お酒・飲む×」→お酒を飲まないようにしています。×のカードではナイ形にすることを全体で確かめる。
  2. ペアAとBに、それぞれ違う人物の「健康の習慣メモ」(毎朝歩く・甘い物を食べない など3つ)を配る。互いに「〜さんは健康のために何かしていますか」と聞き、相手は「〜ようにしているらしいです」と答えて、聞いた人がメモの表を埋める。どちらの人物がより健康かを二人で話し合う。
  3. 産出活動名「元気の秘けつインタビュー」。学習者がクラスの3人に「健康のために気をつけていることは何ですか」と聞き、聞いたことを「〜さんは〜ようにしていると言っていました」とクラスに報告する。教師は、「ようになりました」と取り違えていないか、辞書形に「の」を入れていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「最近、毎日運動するようになりました」(変化)と「毎日運動するようにしています」(気をつけて続けている)の区別がつかない。前の状態から変わったことを言いたいのか、今の努力を言いたいのか、と2文を並べて聞く
  • 「*野菜を食べるのようにしています」と「の」を入れる。辞書形にそのまま「ように」がつく、と板書で示す
  • まだ始めていないことに「ようにしています」を使う。これから始めると決めたなら次の項目の「〜ことにします」、と時間の線を描いて見せる

既習の文型との違い

  • Vるようになります(習慣の変化)(初中級第11課)第11課の「Vるようになりました」は、前はしなかったことを今はするようになったという変化を表します。「ようにしています」は、今、意識して続けている努力を表します。「最近、毎日歩くようになりました」と「毎日歩くようにしています」を並べ、変わったことを言いたいのか、努力を言いたいのかで選ばせます。
  • Vるようにしてください/Vないようにしてください(初中級第9課)第9課の形は相手に「〜するように気をつけて」と頼む形で、するのは相手です。この課の形は自分がしていることを言う形です。医者が「毎日歩くようにしてください」と言い、患者が「はい、毎日歩くようにしています」と答える流れで、頼む側と続ける側をつなげて練習できます。
  • Vることにします/Vないことにします(初中級第12課)「ことにします」はこれからすることを今決める形で、「ようにしています」はもう続けている習慣です。時間の線を描き、決めた点が「ことにする」、そのあと続いている線が「ようにしている」と見せると、使い分けがはっきりします。
関連する文型
学習項目 5 Vることにします/Vないことにします

意味・はたらき

自分の意志で「こうする」と決めることを表します。「明日から毎朝走ることにします」は今ここで決めたことを言う形で、「〜ことにしました」と言うと、もう決めたことを人に伝える形になります。健康の話の終わりに「わたしも〜ことにします」と言うと、聞いた話を受けて自分の行動を決められます。第9課の「Vることになっています」は自分が決めたのではない決まりや予定、第3課の「Vるつもりです」は前から持っている考え、という違いがあります。

接続

V辞書形/Vナイ形+ことにします(決めたあとは「ことにしました」)

形
明日から毎朝走ることにします甘い物を食べないことにしました今日は授業を休んで、病院へ行くことにします

導入

  • その場で決めてみせるST2 のやり取りの続きとして、教師が「健康のために、何か新しく始めたいですか」と聞き、学習者の答え(「ジョギング」など)を受けて、手を打って「じゃあ、わたしも明日から歩くことにします」と決める。次に「先月、お酒をやめることにしました」と、前に決めたことを言う。板書は「〜ことにします(今決める)→〜ことにしました(決めた)」とし、横に「〜ことになっています(決まり)」を書く。

板書案

V辞書形/Vない + ことにします(自分で決める)
明日から 毎朝 走る ことに します。
甘い物を 食べない ことに しました。
〔赤〕ことにします(今決める)→ ことにしました(もう決めた)
〔青〕ことになっています(第9課・自分で決めていない決まり)

場面と発話(自作)

  • 友達の健康法を聞いて、自分もまねをしたくなる。いいですね。わたしも寝る前にスマホを見ないことにします。
  • 週末の旅行に行かない理由を、クラスの友達に話す。体調がよくないので、旅行に行かないことにしました。
  • 寮の友達に、最近始めたことを話す。来月から、エレベーターを使わないことにしました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では「健康のためにこれからすること・やめること」のカードで「〜ことにします」を言わせ、次に「先月決めたこと」として「〜ことにしました」に替える。最後に課のまとめとして、インタビューで聞いた健康法から一つ選び、ペアの相手に「わたしも〜ことにします」と言わせる。

  1. 口頭教師が「これからすること・やめること」のカードを見せ、学習者が「〜ことにします」と言う。キューの例は、①「明日から・毎朝走る」→明日から毎朝走ることにします ②「甘い物・食べる×」→甘い物を食べないことにします ③「今日・病院へ行く」→今日は病院へ行くことにします ④「エレベーター・使う×」→エレベーターを使わないことにします。次に同じカードに「先月」をつけて「〜ことにしました」に替えさせる。
  2. ペアAは悩みカード(太った・よく眠れない・肩がこる)を1枚引いて話し、Bは「〜たらどうですか」で勧める。Aはその場で「じゃあ、〜ことにします」と決めるか、「〜は無理なので、〜ないことにします」と自分で別の決め方をする。最後にBが「〜さんは〜ことにしたと言っていました」とクラスに伝える。
  3. 産出活動名「健康宣言カード」。インタビューで聞いた健康法から一つ選び、「わたしは明日から〜ことにします。〜からです」とカードに書いてクラスの前で宣言する。次の週の最初に「〜ことにしましたが、〜」と結果を一言報告させる。教師は、「ことにします」と「ことになっています」の取り違え、辞書形の後の「の」を見る。

つまずきと手当て

  • 「*走るのことにします」と「の」を入れる。辞書形にそのまま「こと」がつく、と板書で示す
  • 第9課の「〜ことになっています」と混同し、自分で決めたことを「毎朝走ることになっています」と言う。自分が決めたら「ことにする」、規則やほかの人が決めたら「ことになる」と、矢印の向きで見せる
  • 「〜つもりです」との違いがつかない。「つもり」は前から考えていること、「ことにします」は今ここで決めること、と会話の流れの中で比べる

既習の文型との違い

  • Vることになっています/Vないことになっています(規則)(初中級第9課)「ことになっています」は学校や会社の規則のように、自分ではない人や場所が決めたことを言います。「ことにします」は自分の意志で決めることです。「この寮では夜10時までに帰ることになっています」と「わたしは夜10時までに寝ることにしました」を並べ、決めたのが誰かを聞いて選ばせます。
  • Vるつもりです/Vないつもりです(初中級第3課)「つもり」は前から心の中で持っている予定や考えを言います。「ことにします」は話している今、決めたことを言い、相手の話を聞いてその場で決めるときに合います。「友達の話を聞いて、今、決めました」という流れなら「ことにします」、と会話の中で比べさせます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の語は、症状(頭が痛い・せき・熱・寒気・だるい・顔色が悪い)、対処(薬を飲む・休む・横になる・病院へ行く)、健康法(運動・ストレッチ・睡眠・野菜・水)、助数詞(杯・個・時間・回)の4つのかたまりに分かれます。症状は初級第12課の続きなので、絵カードで確かめてから「も」「しか」と組み合わせて使わせます。健康グッズや食べ物の名前は学習者が持ってくる物によって違うので、全員に覚えさせる語と、本人だけが覚える語を分けます。 下の語は、この課の文型の練習で使いやすい語を選んだもので、教科書の新出語の一覧ではありません。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 寝不足(ねぶそく) 寝る時間が足りなくて、体が疲れていること。 〜です・〜で頭が痛い・〜が続く
    朝の授業で、あくびをしているのを友達に見られる。
    最近、寝不足で、頭がぼうっとするんです。
  • 体調(たいちょう) 体の調子。元気か、具合が悪いか。 〜がいい・悪い・〜を崩す・〜に気をつける
    アルバイト先で、店長に休んだ理由を話す。
    きのうは体調が悪くて、休みました。すみません。
  • 顔色(かおいろ) 顔の色を見てわかる、体の調子。 〜が悪い・〜がいい
    元気のない友達に声をかける。
    顔色が悪いですね。どうしたんですか。
  • 続きます(つづきます) 同じことが、止まらないでずっとある。 せきが〜・熱が〜・〜日も〜
    病院で、医者に症状を伝える。
    せきが1週間も続いているんです。
  • 効きます(ききます) 薬などを使って、体がよくなる力がある。 薬が〜・よく〜・頭痛に〜
    薬局で、友達に薬のことを教える。
    この薬は、頭が痛いときによく効くらしいですよ。
  • はやります(はやります) 病気などが、多くの人の間に広がる。 風邪が〜・インフルエンザが〜・学校で〜
    休み時間に、クラスの友達に知らせる。
    今、学校で風邪がはやっているらしいですよ。
  • 治ります(なおります) 病気やけががよくなって、元の体に戻る。 風邪が〜・すぐ〜・寝て〜
    風邪をひいていた友達に、もう元気か聞く。
    風邪はもう治りましたか。
  • 温めます(あたためます) 冷たいものを、温かくする。 体を〜・お茶を〜・手を〜
    寒い日に、ルームメイトに飲み物を勧める。
    しょうがのお茶は、体を温めるのにいいですよ。
  • 気をつけます(きをつけます) よくないことが起きないように、注意する。 健康に〜・食べ物に〜・体に〜
    地域の日本語教室で、元気の秘けつを聞かれる。
    食べ物に気をつけて、野菜を食べるようにしています。
  • 疲れます(つかれます) 体や頭を使って、元気がなくなる。 目が〜・体が〜・〜やすい
    パソコンを長く使っている同僚に話す。
    目が疲れやすいので、ときどき遠くを見るようにしています。
  • やめます(やめます) 続けていたことを、それ以上しないことにする。 お酒を〜・たばこを〜・夜食を〜
    友達に、最近決めたことを話す。
    健康のために、夜遅く食べるのをやめることにしました。

宿題と次のコマ

宿題は、自分の健康法を「〜ようにしています」「〜のにいいです」を使って3文書き、最後に「これから〜ことにします」を1文足してくること。次のコマの最初に読んでもらい、聞いている人に「それは〜にいいらしいですよ」「〜たらどうですか」と一言ずつ返させてから、第13課の ST1「町で見かけた子どもたち」に入ります(今の習慣を言う「〜ようにしています」と比べながら、子どものころの習慣を言う「Vていました(過去の習慣)」につなげます)。

よくある質問

  • 『できる日本語 初中級』第12課は何コマで終わりますか?

    90分なら3コマが目安です。1コマ目で ST1 の「も」「しか〜ない」「Vたらどうですか」、2コマ目の前半で「Vないで」「らしい」「付帯状況」とロールプレイ、後半から ST2 に入り「Vるのに/Nに」まで、3コマ目で「やすい・にくい(傾向・性質)」「ようにしています」「ことにします」と課のまとめを行います。「ないで」の2つの意味の整理に時間がかかるクラスでは、ST1 にもう1コマ足してもかまいません。

  • 「Vるようにしています」と「Vるようになりました」の違いはどう見せればいいですか?

    「ようになりました」は前はしなかったことを今はするようになったという変化、「ようにしています」は今気をつけて続けている努力です。時間の線を描き、ある点で変わった矢印を「ようになりました」、その後ずっと続く線を「ようにしています」として見せるとわかりやすくなります。同じ「毎日歩く」で2文を言わせ、言いたいのが変化か努力かを学習者に選ばせます。

  • 「Vないで、〜」の「代わりに」と「付帯状況」はどう教え分けますか?

    形は同じなので、答えている質問で見分けさせます。「代わりに何をしましたか」の答え(病院へ行かないで、家で寝ました)なら代わり、「どんな状態でしましたか」の答え(朝ご飯を食べないで来ました)なら様子です。先に「代わり」を教えて十分に練習し、付帯状況はマスクの動作など目に見える例から入ると混ざりにくくなります。

  • 「〜らしいです」と「〜そうです(伝聞)」の違いは何ですか?

    どちらも聞いた話を伝える形で、この課の場面ではほぼ同じように使えます。違いとして、「らしい」は出どころがはっきりしないときや少し距離を置いて伝えるときに使われやすいことと、名詞・ナ形容詞で「だ」が消える(風邪らしい/風邪だそうです)ことを示します。初中級の段階では、意味の細かな差より形の違いを確実にするほうを優先します。

  • 「Vたらどうですか」は目上の人に使ってもいいですか?

    友達や同じ立場の人に軽く勧めるのに向く形で、先生や店長にそのまま言うと、えらそうに聞こえることがあります。「〜たらいかがですか」と丁寧にしても勧めであることは変わらないので、目上の人には「〜はいかがでしょうか」「〜てはどうでしょうか」のように控えめにするか、「〜たほうがいいかもしれません」とやわらげる言い方を合わせて教えます。ロールプレイで相手の役を替え、同じ勧めを言い分けさせると身につきます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。