日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

できる日本語 初中級 第5課「大変な1日」の教案

『できる日本語 初中級 本冊 第2版』 ・ ST「困ったな……」「駅で」

物をなくした、電車が止まった、乗り換えがわからないといった思いがけないトラブルに出会ったとき、事情を短く説明して、助けを頼んだり謝ったりできるようになる課です。ST1 では交番や忘れ物の窓口で、なくした物の特徴となくしたときの様子を伝え、ST2 では駅で知らない人や駅員に頼み、遅れた相手に理由を言って謝ります。第4課で町の情報や道を聞けるようになったことを受けて、今度はうまくいかなかったときの言い方を足す、という位置づけです。第1課の丁寧な言い方と第2課の「Vてもらえませんか」が、この課の「Vていただけませんか」の土台になります。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目6時間90分×2コマ場面2

この課のねらい(Can-do)

  • なくした物の特徴と、なくしたときの様子を順番に説明し、どこでなくしたかの見当を伝えられる
  • 駅や道で困ったとき、知らない人や駅員に事情を言って丁寧に頼み、迷惑をかけた相手には理由を添えて謝れる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第4課で道を聞いたやり取りを一つ思い出させてから、財布・かさ・止まった電車の絵カードを見せて「日本で困ったことがありますか」と聞く。学習者の話を母語まじりでもよいので引き出し、今日はそれを日本語で説明できるようにする、と伝える
ST1 困ったな……80分教師が財布をなくした話をしてみせる →「Vてしまいました」で困った気持ち →「〜かもしれません」でなくした場所の見当 →「Vたあとで」でなくしたときの順番。落とし物の特徴カード(色・大きさ・中身)を使って交番のロールプレイ
ST2 駅で70分駅の写真や改札の絵で場面を作る →「Vていただけませんか」で知らない人や駅員に頼む →「〜て、〜(理由)」で事情と謝り →「Vたら、〜た」で行ってみて分かったことを言う。トラブルカードを引いて駅員と客のロールプレイ、最後にアルバイト先へ遅れたことを謝る電話
課のまとめ20分状況カードを3枚(なくした物・駅のトラブル・遅れた相手)引かせ、交番→駅→アルバイト先の順に1日の出来事として続けて演じさせる。最後に「今日は大変な1日でした」と友達に話すつもりで、起きたことを3〜4文で話させる

ST1 困ったな……

できることなくした物がどんな物か、いつどこでなくしたかを順に説明し、困っていることを伝えられる。

場面

留学生が財布や定期入れをなくして、交番や駅の忘れ物の窓口で説明する場面です。相手は初めて会う警察官や駅員なので丁寧に話します。教室では教師が窓口の係になり、学習者に「黒い・小さい・カードが入っている」のような特徴カードと、その日の行動を書いたメモを持たせて、聞かれたことに答えさせます。

  • 留学生:すみません。財布をなくしてしまいました。
  • 警察官:そうですか。どんな財布ですか。
  • 留学生:黒くて、小さい財布です。中にカードと学生証があります。
  • 警察官:どこでなくしたんですか。
  • 留学生:スーパーでお金を払ったあとで、電車に乗りました。電車の中で落としたかもしれません。
  • 警察官:わかりました。じゃ、この紙に名前と電話番号を書いてください。
  • 留学生:はい。よろしくお願いします。
学習項目 1 Vてしまいました(後悔)

意味・はたらき

「Vてしまいました」は、してはいけないこと・したくなかったことが起きてしまい、困った・残念だという気持ちを添えて言う形です。「財布をなくしました」は事実だけですが、「なくしてしまいました」と言うと、困っていることが相手に伝わり、助けを頼む前置きになります。友達との話では「なくしちゃった」と縮めることが多いですが、窓口や目上の人には「てしまいました」を使います。文法の用語では、「てしまう」は動作の完了を表すアスペクトの形で、そこから「取り返しがつかない」という話し手の気持ち(モダリティ)が出てきます。第9課で出る「Vてしまいます(完了)」はこの完了の面で、この課は気持ちの面から先に入ります。

接続

Vテ形+しまいました

形
財布をなくしてしまいましたかさを電車に忘れてしまいました寝坊してしまいました(友達に)なくしちゃった

導入

  • 教師の失敗の話から入る教師が空のポケットを探って困った顔をし、「あれ? 財布がない……。昨日、財布をなくしました」と言ったあと、肩を落として「ああ、なくしてしまいました」と言い直す。2つの文を板書で並べ、下の文に「困った・残念」と吹き出しを付ける。続けて、かさの絵・目覚まし時計の絵を見せ、「忘れてしまいました」「寝坊してしまいました」を引き出す。板書は「Vて+しまいました(困った!)」。

板書案

Vて + しまいました 〔赤〕困った! 残念!
財布を なくしました。 → 財布を なくして しまいました。
かさを 忘れて しまいました。/ 寝坊して しまいました。
〔青〕友達には:なくしちゃった 〔赤〕窓口・店長には:なくしてしまいました

場面と発話(自作)

  • 駅の忘れ物の窓口で、係の人に事情を話す。すみません。電車にかさを忘れてしまいました。
  • 授業に遅れて教室に入り、先生に謝る。すみません。寝坊してしまいました。
  • 友達に借りた本を汚してしまい、返すときに言う。ごめん。本にコーヒーをこぼしちゃった。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、教師がトラブルの絵カード(なくした財布・忘れたかさ・壊れたスマホ・こぼしたコーヒー)を見せ、「Vました」→「Vてしまいました」の言い換えをテンポよく回す。慣れたら、ペアで一人が困った顔で「〜てしまいました」と言い、相手が「大丈夫ですか」「どうしたんですか」と返すやり取りにする。最後に窓口の係(教師)に話しかける形で言わせる。

  1. 口頭トラブルの絵カード(なくした財布・電車に忘れたかさ・落として割れたスマホ・こぼしたコーヒー・止まった目覚まし時計・遅れた電車)を1枚ずつ見せ、教師が「なくしました」と言ったら全員で「なくしてしまいました」と返す。次にカードだけで言わせ、全体→列→個人の順。テ形が崩れた学習者には「なくして」だけを先に言わせてから付ける。
  2. ペアA が困った顔で「〜てしまいました」、B が「大丈夫ですか」「どうしたんですか」と返し、A が一言足す(「中にカードがあります」など)。カードを6枚配って交互に引き、3枚ずつで役を交替。B の返しは黒板に2つ書いておく。
  3. 産出「日本で(または国で)本当にあった困ったこと」を1つ、「〜てしまいました」で言い、相手の「それで?」に1文足す。教師は①テ形の正しさ ②相手(友達役か窓口役か)で「ちゃいました/てしまいました」を選べているか ③うれしい出来事に使っていないか、の3点を見る。

つまずきと手当て

  • テ形の作り方を間違える(「*忘れってしまいました」「*なくしってしまいました」)。初級のテ形の表を1枚貼っておき、グループごとに確かめてから言わせる
  • うれしいことにも使う(「プレゼントをもらってしまいました」)。文としては言えるが、「困った・申し訳ない」の気持ちが加わって聞こえる。この課では困ったことだけに使うと決めて練習する
  • 店長や窓口の人にも「なくしちゃいました」と縮めて言う。友達の前では自然だが、丁寧に話す相手には「てしまいました」と、話す相手の絵を替えて言い分けさせる

既習の文型との違い

  • Vて、〜(初級第9課)テ形の作り方は同じですが、第9課は「朝ご飯を食べて、学校へ行きます」のように動作を並べるだけで、気持ちは入りません。「しまいました」が付くと、起きたことへの「困った・残念」が加わります。「なくして、しまいました」と読点を入れて2文のように言う学習者には、1つのかたまりだと見せます。
  • Vています(結果の状態・初級第15課)「かぎが落ちています」は今の状態を言うだけで、だれの責任かには触れません。「かぎを落としてしまいました」は自分がしたことへの後悔です。交番では状態より自分の行動を言うので、この課では「てしまいました」で練習します。
関連する文型
学習項目 2 〜かもしれません

意味・はたらき

「〜かもしれません」は、そうである可能性があるが、はっきりはわからないときに使います。なくした物の場所を聞かれて「電車の中かもしれません」と見当を言えると、探す手がかりになります。初級の「〜と思います(推量)」はある程度そう考えている言い方で、「かもしれません」はそれより確かさが低く、ほかの可能性も残しています。文法の用語では話し手の判断を表すモダリティの形で、「と思います」「でしょう」より確かさが低いことが試験でも問われます。普通形に付くので、名詞・ナ形容詞で「だ」が落ちる点は「〜と思います」との大きな違いです。

接続

V・イA の普通形+かもしれません/ナA・N+かもしれません(「だ」は付けない。過去は「だった」が残る:静かだったかもしれません/休みだったかもしれません)

形
電車の中で落としたかもしれません電車の中かもしれません店に忘れたかもしれません明日は雨かもしれません

導入

  • どこにあるか当てさせる教師が「かぎがありません」と言って、かばん・机・上着の絵を黒板に貼る。「かばんの中? 机の上?」と迷ってみせ、「かばんの中かもしれません。机の上かもしれません」と言う。次に「どこで落としましたか」と聞かれた設定で「駅で落としたかもしれません」と言う。板書は「N/V(普通形)+かもしれません」と、「たぶん(と思います)>かもしれません」の確かさの矢印。

板書案

普通形 + かもしれません 〔赤〕?(わからない)
電車の中 かもしれません。/ 駅で 落とした かもしれません。
〔青〕N・ナA:電車の中だ → 電車の中 かもしれません(だ を消す)
たしか 〜です > 〜と思います > 〜かもしれません わからない

場面と発話(自作)

  • 交番で、財布をどこでなくしたか聞かれる。わかりません。バスの中で落としたかもしれません。
  • 友達と出かける前に、空が暗くなってきた。午後は雨が降るかもしれません。かさを持って行きましょう。
  • なかなか来ない友達を待ちながら、もう一人の友達と話す。田中さん、遅いですね。電車が遅れているかもしれません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、物と場所の絵カードを組み合わせて「〜は〜かもしれません」を言わせ、次にその日の行動メモ(スーパー・バス・図書館)を見ながら「〜で落としたかもしれません」と過去の形で言わせる。そのあとペアで、一人が「〜がありません」と言い、相手が「〜かもしれませんよ」と見当を返す。最後に ST1 の交番のやり取りに入れる。

  1. 口頭物の絵(かぎ・財布・かさ・スマホ)と場所の絵(かばんの中・机の上・電車の中・店)を組み合わせ、「かぎは?」の問いに「かばんの中かもしれません」と答えさせる。次に場所のカードを「駅で・バスで・店で」に替え、「落としたかもしれません」と過去の形で。最後に天気・人の絵(雨・遅刻・休み)を足して「雨かもしれません」「休むかもしれません」と品詞を混ぜる。
  2. ペアA が「〜がありません!」と物のカードを見せ、B が場所のカードを1枚引いて「〜かもしれませんよ」と見当を言う。A は「そうですね、見てみます」か「いいえ、そこは見ました」で返し、B がもう1枚引いて言い直す。3回で交替。
  3. 産出明日の天気・来週の予定・クラスメートの誕生日プレゼントなど、わからないことを3つ選んで「〜かもしれません」で書き、ペアで読み合って「どうしてそう思いますか」と理由を聞かせる。教師は①「だ」が残っていないか ②もう起きたことに辞書形を使っていないか ③確かなことまで「かもしれません」にして自信なさそうに聞こえていないか、を見る。

つまずきと手当て

  • ナ形容詞や名詞に「だ」を付ける(「*電車の中だかもしれません」「*静かだかもしれません」)。板書で「だ」を消す線を見せ、名詞にはそのまま付けると確かめる
  • 過去のことなのに辞書形を使う(「*さっき電車の中で落とすかもしれません」)。もう起きたことは「落とした」、と行動メモの時間に線を引いて見せる
  • はっきり知っていることにも使い、あいまいに聞こえる(教師が自分を指して「わたしの名前は田中かもしれません」と言う冗談で笑わせて区別させる)。確かなことは「です」、わからないことだけ「かもしれません」

既習の文型との違い

  • 〜と思います(推量・初級第15課)どちらも普通形に付きますが、「と思います」は名詞・ナ形容詞に「だ」が要り(雨だと思います)、「かもしれません」は要りません(雨かもしれません)。確かさも違い、「と思います」はある程度そう考えている、「かもしれません」は可能性があるだけです。「*雨だかもしれません」が出たら、この2つを並べて「だ」の有無を見せます。
  • 〜そうです(伝聞・初級第15課)「雨が降るそうです」は人から聞いた情報で、自分の見当ではありません。「降るかもしれません」は自分の判断です。空を見て言うなら「かもしれません」、天気予報を聞いて言うなら「そうです」と、情報の出どころの絵を添えて区別します。
関連する文型
学習項目 3 Vたあとで、〜/Nのあとで、〜

意味・はたらき

「AたあとでB」は、Aが終わってからBが起きた・Bをする、という前後の順番を表します。なくしたときの様子を説明するときに「お金を払ったあとで、電車に乗りました」のように行動を順に並べると、どこでなくしたか相手が考えやすくなります。初級の「Vてから」と近いですが、「てから」は前のことを済ませてから次をする手順を言う感じが強く、「あとで」は「Aが終わったあとの時間に」という言い方です。文法の用語では、前の節のタ形が「後ろの出来事より前に終わっている」ことを表す相対テンスの例で、「あとで」の前は主文が過去でも未来でも必ずタ形です。「*買い物するあとで」が多いのは、学習者が主文の時制に合わせようとするためです。

接続

Vタ形+あとで/N+の+あとで

形
お金を払ったあとで、電車に乗りました授業のあとで、図書館へ行きました食事のあとで、かばんの中を見ました

導入

  • 1日の行動を時間の線に並べる黒板に横線を引き、教師の昨日の行動の絵(授業→買い物→電車→家)を順に貼る。「授業のあとで、買い物をしました。買い物をしたあとで、電車に乗りました」と言いながら、絵と絵のあいだに矢印を書く。最後に「家に帰ったあとで、かばんの中を見ました」と言って ST1 の話につなげる。板書は「Vた/Nの+あとで」。

板書案

Vた / Nの + あとで、〜 〔赤〕①が終わってから②
買い物を した あとで、電車に 乗りました。
授業の あとで、図書館へ 行きます。
〔青〕時間の線:授業 → 買い物 → 電車 → 家(絵の間に矢印)
×買い物する あとで → ○買い物した あとで(いつも「た」)

場面と発話(自作)

  • 忘れ物の窓口で、かさを最後に使ったときのことを聞かれる。駅に着いたあとで、トイレに行きました。そこに忘れたかもしれません。
  • クラスメートに、放課後の予定を聞かれる。授業のあとで、アルバイトに行きます。
  • 交番の係に、気づいた時刻を聞かれて答える。家に帰ったあとで、かばんの中を見ました。そのとき、財布がありませんでした。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、行動の絵カードを2枚ずつ並べて「Vたあとで、〜」を言わせ、次に「授業・昼ご飯・会議」などの名詞カードで「Nのあとで」を言わせる。そのあと、自分の昨日の行動を4つメモさせ、「〜たあとで、〜」でつないで説明させる。最後に交番のロールプレイで、係から「なくす前に何をしましたか」と聞かれたら順番に答えさせる。

  1. 口頭行動の絵カード(授業・買い物・昼ご飯・電車・シャワー・アルバイト・宿題)を2枚ずつ横に並べ、左→右の順で「Vたあとで、〜」を言わせる。次に同じ絵を「授業・昼ご飯・アルバイト」の名詞カードに替えて「Nのあとで」。右の絵を未来の予定(明日)にしても前は「た」のままだと、わざと「明日」を付けて言わせる。
  2. ペアA は自分の昨日の行動を4つメモし、B が「何をしたあとで〜ましたか」と順に聞く。A が「〜たあとで、〜ました」で答え、B は聞いた順に絵カードを並べる。並べ終わったら A がメモと見比べ、合っていれば交替。
  3. 産出交番のロールプレイで、係(教師または B)が「なくす前に、何をしましたか」と聞き、A が3つの行動を「〜たあとで」でつないで答え、最後に「〜かもしれません」で見当を足す。教師は①タ形の崩れ ②「の」の落ち ③「あとで」だけの一語用法(あとで電話します)と混ざっていないか、を見る。

つまずきと手当て

  • 辞書形で言う(「*買い物するあとで」)。前の行動は終わっているので「した」になる、と時間の線で見せる
  • 名詞のときに「の」を落とす(「*授業あとで」)。「授業の/昼ご飯の」と「の」を赤で書く
  • 一語の「あとで」(「あとで電話します」=少し時間がたってから)と混ぜて意味がわからなくなる。こちらは前に何も付かない、と2つを並べて違いを見せる

既習の文型との違い

  • Vてから、〜(初級第12課)どちらも順番を表しますが、「てから」は前の動作を済ませてから次に移る手順を言う感じが強い言い方です(手を洗ってから、食べます)。「たあとで」は「その時間のあとに」と時を示す言い方です。どちらも、前と後ろの間が空いてもかまいません。なくした話では、どちらを使っても大きな誤りにはなりませんが、「*買い物してから、電車に乗ったあとで」のように2つを重ねる学習者には、1文に1つと決めさせます。
  • Vる前に、〜/Nの前に、〜(初級第12課)「前に」の前は辞書形、「あとで」の前はタ形です。向きが逆なので、同じ2枚の絵カードで「Aたあとで、B」と「Bる前に、A」を言い替えさせると、形と意味がいっしょに入ります。
関連する文型

ST2 駅で

できること駅や道で困ったとき、事情を短く言って丁寧に頼んだり、迷惑をかけた相手に理由を言って謝ったりできる。

場面

改札でICカードが見つからない、乗り換えのホームがわからない、電車が止まってアルバイトに遅れる、といった場面です。頼む相手は駅員や通りがかりの知らない人、謝る相手はアルバイト先の店長で、どちらも自分より立場が上か、自分のために手間をかけてくれる人なので、丁寧な頼み方と謝り方を使います。教室では机で改札を作り、教師が駅員になって、学習者がトラブルカードを引いて話しかけます。

  • 留学生:すみません。ちょっと教えていただけませんか。
  • 駅員:はい。どうしましたか。
  • 留学生:ICカードをなくして、改札を出られないんです。
  • 駅員:どこから乗りましたか。
  • 留学生:さくら駅です。さっきかばんを開けたら、カードがありませんでした。
  • 駅員:わかりました。じゃ、こちらでお金を払ってください。
  • 留学生:はい。ありがとうございました。
学習項目 1 Vていただけませんか

意味・はたらき

「Vていただけませんか」は、相手に何かをしてもらいたいとき、相手が「できるかどうか」を尋ねる形で丁寧に頼む言い方です。第2課の「Vてもらえませんか」の「もらう」を謙譲の「いただく」にしたもので、知らない人・駅員・店長・先生など、自分より立場が上の人や、自分のために手間をかけてくれる人に使います。してくれるのは相手で、頼む自分が「いただく」側です。文法の用語では、授受動詞「もらう」の謙譲語Ⅰ「いただく」を可能の形にして否定疑問にした依頼表現で、相手の負担を軽くする配慮(ポライトネス)が形に出ています。試験では「てもらえませんか・ていただけませんか・てくださいませんか」の丁寧さの順と、だれが動作をするかが問われます。

接続

Vテ形+いただけませんか

形
教えていただけませんか写真を撮っていただけませんかもう一度言っていただけませんか(友達に)教えてもらえない?

導入

  • 相手を替えて頼み方を変える黒板に「友達」「クラスメート」「駅員・知らない人・店長」の3人の絵を、右へ行くほど丁寧になるように並べる。教師が道に迷った留学生になり、友達には「ちょっと教えて」、クラスメートには「教えてもらえませんか」、駅員には「すみません、ちょっと教えていただけませんか」と言い分けてみせる。板書は「Vて+もらえませんか → Vて+いただけませんか(もっと丁寧)」で、「してくれるのは相手」と矢印を書く。

板書案

Vて + いただけませんか 〔赤〕ていねいに頼む
すみません。ちょっと 教えて いただけませんか。
友達:教えて < クラスメート:教えて もらえませんか < 駅員・店長:教えて いただけませんか
〔青〕する人=相手 → いただく=わたし(矢印:相手 → わたし)
×いただきませんか → ○いただけませんか(できますか?)

場面と発話(自作)

  • 初めて降りた駅で、乗り換えのホームがわからない。近くにいた知らない人に頼む。すみません。みどり線のホームを教えていただけませんか。
  • 観光地で、通りがかりの人に写真を頼む。すみません。写真を撮っていただけませんか。
  • アルバイト先で、店長の説明が速くてわからなかった。すみません。もう一度言っていただけませんか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、動作の絵カード(教える・撮る・待つ・書く・もう一度言う)を見せて「Vていただけませんか」に言い換えさせ、次に相手の絵(友達/駅員)を替えて「〜てもらえない?」と「〜ていただけませんか」を言い分けさせる。そのあと、トラブルカード(乗り換えがわからない・切符の買い方がわからない・荷物が重い)を引いて、駅員役の教師に「すみません」から頼ませる。断られたときに「そうですか。ありがとうございました」と返すところまで練習する。

  1. 口頭動作の絵カード(教える・写真を撮る・待つ・書く・もう一度言う・ゆっくり話す・荷物を持つ)を見せ、「教えてください」→「教えていただけませんか」と言い換えさせる。次に相手の絵(友達/クラスメート/駅員)を上に掲げ、同じ動作カードで「教えて」「教えてもらえませんか」「教えていただけませんか」を切り替える。相手の絵を速く替えて反応させる。
  2. ペアA がトラブルカード(乗り換えがわからない・切符の買い方がわからない・荷物が重い・漢字が読めない)を引き、B が相手カード(駅員・知らない人・店長)を引く。A は「すみません」から頼み、B は引き受けるか「すみません、ちょっと……」と断る。断られたら A は「そうですか。ありがとうございました」で閉じる。2回で交替。
  3. 産出「学校・アルバイト先・駅で、来週本当に頼みたいこと」を1つ決め、相手を言ってから頼みの文を作り、クラスの前で相手役を指名して演じる。教師は①「いただけ」の形 ②テ形 ③相手に合った丁寧さか(友達に「いただけませんか」はかたい、店長に「もらえない?」は失礼)、の3点を見て、場面に合わないものは「正しいが、相手が違う」と伝える。

つまずきと手当て

  • 「*教えていただきませんか」と、「いただけ(る)」でなく「いただき(ます)」を使う。「できますか」と聞いている形なので「いただける」になる、と可能動詞と並べて見せる
  • テ形を間違える(「*書きていただけませんか」「*待つていただけませんか」)。頼む形の前は必ずテ形、と初級のテ形の表を見ながら「書いて・待って」を言わせてから付ける
  • 友達にも「教えていただけませんか」と言い、かたく聞こえる。文としては正しいので、相手の絵を見て頼み方を選ぶ練習をくり返す

既習の文型との違い

  • Vてもらえませんか(初中級第2課)形は「もらえ」が「いただけ」になっただけで、する人が相手、受け取るのが自分という向きも同じです。違いは相手との関係で、「もらえませんか」はクラスメートや店の人への普通の丁寧さ、「いただけませんか」は目上や初対面の人への一段上の丁寧さです。学習者は「いただけませんか」を覚えると全部これにしがちなので、相手の絵で使い分けを続けます。
  • Vてください(初級第7課)「てください」は丁寧でも指示に近く、相手が断りにくい言い方です。駅員や店長に「教えてください」と言うと、こちらからの指示のように聞こえることがあります。「ていただけませんか」は相手ができるかどうかを聞くので、断る余地を残した頼み方だと説明します。
関連する文型
学習項目 2 〜て、〜(理由)

意味・はたらき

テ形で前の文をつなぎ、後ろの気持ちや状態が起きた理由を表します。「電車が止まって、遅れました」「道がわからなくて、困っています」のように、困っていることや謝ることの理由を短く言うのに向いています。後ろには「困っています」「すみません」「出られません」のような気持ち・状態・できないことが来て、「〜ましょう」「〜てください」のような誘い・頼み・自分の意志は来ません。それを言いたいときは「〜から」「〜ので」を使います。文法の用語では、テ形による接続のうち「原因・理由」の用法で、「から」「ので」のような接続助詞と違い、後ろに意志・依頼・勧誘のモダリティが来ないという制約が試験で問われます。「遅れて、すみません」のように、謝罪の前置きとして定型化している点も押さえます。

接続

Vテ形・Vなくて/イAくて/ナA・Nで+、〜(後ろは気持ち・状態・可能など)

形
電車が止まって、遅れました道がわからなくて、困っています荷物が重くて、階段を上がれません遅れて、すみません

導入

  • 遅れて教室に入ってくる教師が一度教室を出て、息を切らせて入ってきて「すみません。電車が止まって、遅れました」と言う。止まった電車の絵と、時計の絵を矢印でつなぎ、「電車が止まりました → だから、遅れました」を「止まって、遅れました」と一文にしてみせる。次に地図を持って困った顔で「道がわからなくて、困っています」と言う。板書は「理由(Vて/Vなくて/イAくて/ナA・Nで)、気持ち・状態」。

板書案

理由て、 気持ち・状態 〔赤〕だから
電車が 止まって、遅れました。
道が わからなくて、困って います。/ 荷物が 重くて、上がれません。
〔青〕V:止まって/ Vない:わからなくて/ イA:重くて/ ナA・N:事故で
×雨が降って、タクシーで行きましょう → ○雨が降っているから、〜ましょう

場面と発話(自作)

  • 電車が止まり、アルバイトに遅れて着いた。目上の店長に謝る。遅くなって、すみません。電車が止まって、遅れてしまいました。
  • 駅で大きなスーツケースを持っていて、駅員に相談する。荷物が重くて、階段を上がれないんです。エレベーターはありますか。
  • 駅の案内の言葉が読めず、近くの人に話しかける。すみません。漢字が読めなくて、困っています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、理由の絵カード(電車が止まる・道がわからない・荷物が重い・切符の機械が複雑)と、結果のカード(遅れる・困っている・上がれない)を組み合わせて一文にさせる。動詞の否定・イ形容詞・ナ形容詞の形を混ぜて出す。そのあと、店長役の教師に遅れた理由を言って謝る電話のロールプレイをし、「〜て、すみません」「〜て、遅れてしまいました」を使わせる。

  1. 口頭理由の絵カード(電車が止まる・道がわからない・荷物が重い・切符の機械が難しい・雨・事故)と結果のカード(遅れる・困っている・上がれない・買えない)を左右に貼り、教師が左右を1枚ずつ指して一文にさせる。動詞・否定・イ形容詞・ナ形容詞・名詞を順に混ぜ、「なくて/くて/で」を言い分けさせる。慣れたら結果のカードを隠して自由に言わせる。
  2. ペアA は店長役、B は遅れてきたアルバイト。B が理由カードを引いて「〜て、遅れてしまいました。すみません」と言い、A が「どうしたの?」「大丈夫?」と1つ聞き返し、B がもう1文足す。電話の形にして、机をはさんで背中合わせで話させてもよい。3回で交替。
  3. 産出「この1週間で困ったこと」を1つ思い出し、「〜て、〜」で理由と結果を言い、相手が「それで、どうしましたか」と続きを聞く。教師は①後ろに「〜ましょう」「〜てください」が来ていないか ②「ないて」「多いて」「複雑くて」のような活用の誤り ③理由と結果がひと続きに起きたことか(「日本に来られて、うれしいです」は可、「宿題があって、手伝ってください」は不可)を見る。

つまずきと手当て

  • 後ろに誘いや頼みを置く(「*雨が降って、タクシーで行きましょう」)。理由を言ってから誘うときは「雨が降っているから、タクシーで行きましょう」と「から」に替える、と2文を並べて見せる
  • 否定の形を間違える(「*わからないて、困っています」)。「ない」は「なくて」になると、イ形容詞の「くて」と同じ形だと示す
  • 形容詞の形を取り違える(「*階段が多いて」「*機械が複雑くて」)。イ形容詞は「くて」、ナ形容詞は「で」と初級第8課の表で確かめる
  • 「から」「ので」と同じ使い方だと思って何でもテ形でつなぐ。テ形は理由と結果がひと続きに起きたことを言う、と止まった電車→遅れた、のような絵で見せる

既習の文型との違い

  • 〜ので、〜(初中級第1課)「ので」は後ろに頼みや意志を置けます(時間がないので、先に帰ります)。テ形は置けません。この課では「後ろが気持ち・状態・できないことなら テ形、頼みや予定なら ので・から」と1つの線を引いて、「*雨が降って、休みます」が出たら「ので」に替えさせます。
  • どうして/〜から(初級第5課)「から」は理由を聞かれて答えるときの形で、「どうして遅れましたか」「電車が止まりましたから」のように文末にも使えます。テ形は答えとして単独では使えず、「止まって、遅れました」と結果まで言い切る必要があります。問いに答える練習では「から」、事情を説明して謝る練習では「て」と、場面で分けます。
  • イAくて、〜/ナA・Nで、〜(初級第8課)第8課は「大きくて、きれいな部屋です」のように性質を並べる用法で、理由ではありません。形は同じなので、この課では「後ろが気持ち・できないこと」なら理由になる、と後ろの文の種類で見分けさせます。「荷物が重くて、大きいです」と「荷物が重くて、持てません」を並べると違いが見えます。
関連する文型
学習項目 3 Vたら、〜た(発見)

意味・はたらき

「AたらBた」で、Aをしたときに、思っていなかったBに気がついたことを表します。「かばんを開けたら、カードがありませんでした」「ホームに着いたら、電車はもう出ていました」のように、困ったことに気づいたときの様子を説明するのに使います。後ろは自分の意志でしたことではなく、見つけたこと・分かったことで、過去の形になります。第3課の「Vたら、〜(確定条件)」はこれからのことの順番で、こちらはもう起きたことを話す使い方です。文法の用語では条件表現「たら」の中の「発見・きっかけ」の用法で、前件が過去の1回の出来事、後件が話し手の意志によらない出来事(発見・結果)になり、主文がタ形になる点が「仮定条件」と区別されます。試験では「と・ば・たら・なら」の中で、過去の1回の出来事を言えるのが「と」と「たら」であることが問われます。

接続

Vタ形+ら、〜た(後ろは見つけたこと・分かったこと)

形
かばんを開けたら、カードがありませんでしたホームに着いたら、電車はもう出ていました駅員に聞いたら、すぐわかりました

導入

  • かばんを開けて驚いてみせる教師がかばんを持って改札の前に立つ動きをし、かばんを開けて中をのぞき、驚いた顔で「あれ? カードがない!」と言う。そのあと「かばんを開けたら、カードがありませんでした」とまとめて言う。「開けた(自分がしたこと)→ ありませんでした(見つけたこと・びっくり)」と2つに分けて板書し、後ろの部分に「!」を付ける。

板書案

Vた ら、 〜ました/〜ませんでした 〔赤〕!(気がついた)
かばんを 開けたら、カードが ありませんでした。
ホームに 着いたら、電車は もう 出て いました。
〔青〕前:わたしが した / 後ろ:見つけた・わかった(わたしの意志ではない)
第3課:着いたら、電話します(これから) / 今日:着いたら、出ていました(もう起きた)

場面と発話(自作)

  • 急いで駅のホームへ走ったが、間に合わなかった。友達に話す。ホームに着いたら、電車はもう出ていました。
  • 家に帰ってポケットを見て、かぎがないことに気がついた。交番で説明する。家の前でポケットを見たら、かぎがありませんでした。
  • わからなかった乗り換えを、駅員に聞いてみた。駅員に聞いたら、乗り換えのホームがすぐわかりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、「したこと」のカード(かばんを開ける・ホームに着く・窓を開ける・駅員に聞く)と「見つけたこと」のカード(カードがない・電車が出た・雨が降っている・すぐわかる)を組み合わせて一文にさせる。そのあと、ST2 の駅員とのやり取りで「さっき〜たら、〜ませんでした」と事情を説明させ、課のまとめでは1日の出来事を話す中に入れる。

  1. 口頭「したこと」のカード(かばんを開ける・ホームに着く・窓を開ける・駅員に聞く・家に帰る・ポケットを見る)と「見つけたこと」のカード(カードがない・電車が出た・雨が降っている・すぐわかった・だれもいない・かぎがない)を組み合わせ、「〜たら、〜ました/ませんでした」で一文にさせる。後ろを現在形で言ったら、黒板の時間の線を指して過去に直させる。
  2. ペアA が「したこと」のカードを引いて「〜たら……」と途中で止め、B が見つけたことのカードを引いて後ろを言い、A が「え、本当ですか」「それは大変ですね」と反応する。見つけたことのカードは裏にして引かせ、組み合わせの意外さを楽しませる。4回で交替。
  3. 産出「最近びっくりしたこと」を1つ、「〜たら、〜ました」で言い、相手が「それで、どうしましたか」と聞く。教師は①後ろが過去の形か ②後ろが自分の意志の行動になっていないか(「駅に着いたら、駅員に聞きました」は順番の文なので「着いてから」に直す) ③前がタ形か、を見る。課のまとめの「大変な1日」の語りにこの文を必ず1つ入れさせる。

つまずきと手当て

  • 第3課の使い方と混ぜて、後ろを今の形のまま言う(「かばんを開けたら、カードがありません」)。もう起きたことを話すときは後ろも「ありませんでした」と過去にする、と時間の線で見せる
  • 後ろに自分の意志でした行動を置く(「駅に着いたら、駅員に聞きました」)。文として成り立つ場合もあるが、気がついたことを言う形ではなくなるので、順番を言いたいときは「着いてから」「着いたあとで」を使う
  • 前の部分を辞書形にする(「*かばんを開けるたら」)。「たら」はタ形に付く、と第3課の板書を見せて確かめる

既習の文型との違い

  • Vたら、〜(確定条件・初中級第3課)第3課は「駅に着いたら、電話します」のようにこれからの順番で、後ろは自分がすることです。この課は過去の1回の出来事で、後ろは気づいたこと・結果で、タ形になります。「かばんを開けたら、カードがありません」と後ろが現在のままの文は、第3課の形を引きずった誤りなので、時間の線で「もう起きた」側に置き直します。
  • 〜たら(仮定条件・初級第15課)「雨が降ったら、行きません」は、まだ起きていないことを仮に置く言い方です。発見の「たら」は実際に起きたことで、後ろは必ず過去です。同じ「たら」でも後ろの形で見分けられる、と後件を赤で囲んで見せます。
  • Vると、〜(初級第14課)「ドアを開けると、猫がいました」のように、「と」でも発見を言えます。初級では「と」を一般的な結果(春になると、暖かくなります)で導入しているので、この課では「たら」で統一し、「と」でも言えることは学習者から出たときに認める程度にします。
関連する文型

語彙の扱い

この課の語は、なくしやすい物(財布・かぎ・かさ・定期・ICカード・学生証)、物の特徴(色・大きさ・形・中に入っている物)、駅の語(改札・ホーム・乗り換え・駅員・忘れ物の窓口)、トラブルの動詞(なくす・落とす・忘れる・壊れる・遅れる・止まる・乗り遅れる)の4つのかたまりに分かれます。特徴は「黒くて、小さい」「〜が入っています」のように初級の形で言わせ、動詞は「〜てしまいました」の形でまとめて練習すると覚えやすくなります。「落とす」と「なくす」は、落とすは手から離れて落ちること、なくすはどこにあるかわからなくなること、と絵で区別します。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 財布(さいふ) お金やカードを入れて持ち歩く小さい入れ物。 〜をなくす・〜を落とす・黒い〜
    交番で、なくした物を聞かれる。
    黒くて小さい財布です。中にカードが入っています。
  • なくします(なくします) 持っていた物がどこにあるかわからなくなる。 財布を〜・かぎを〜・どこかで〜
    駅の忘れ物の窓口で、最初の一言。
    すみません。定期券をなくしてしまいました。
  • 落とします(おとします) 持っていた物が手やかばんから下に落ちる。気づかないことが多い。 さいふを〜・電車の中で〜・どこかで〜
    どこでなくしたか聞かれて、見当を言う。
    バスの中で落としたかもしれません。
  • 忘れ物(わすれもの) 置いたまま持って帰るのを忘れた物。駅では「忘れ物センター」などの窓口がある。 〜をする・〜の窓口・電車の〜
    駅員に、どこへ行けばいいか聞く。
    忘れ物の窓口はどこですか。かさを電車に忘れてしまいました。
  • 改札(かいさつ) 駅で切符や IC カードを使って入ったり出たりするところ。 〜を出る・〜を通る・〜の前で
    IC カードが見つからず、改札で駅員に話しかける。
    すみません。カードがなくて、改札を出られないんです。
  • 乗り換えます(のりかえます) ある電車やバスを降りて、別の電車やバスに乗る。 〜駅で〜・みどり線に〜・〜の仕方
    初めての駅で、通りがかりの人に頼む。
    すみません。どこで乗り換えるか教えていただけませんか。
  • 遅れます(おくれます) 決まった時間より遅くなる。人にも電車にも使う。 アルバイトに〜・電車が〜・10分〜
    店長に電話で謝る。
    すみません。電車が止まって、15分ぐらい遅れます。
  • 止まります(とまります) 動いていた物が動かなくなる。電車が事故などで動かないときにも言う。 電車が〜・エレベーターが〜・駅で〜
    遅れた理由を友達に話す。
    事故で電車が止まって、1時間待たなければなりませんでした。
  • 駅員(えきいん) 駅で働いている人。改札や窓口にいる。 〜に聞く・〜に頼む・〜を呼ぶ
    困ったとき、だれに聞いたか話す。
    駅員に聞いたら、すぐわかりました。
  • 間に合います(まにあいます) 決まった時間までに着く・終わる。否定でよく使う。 電車に〜・授業に〜・ぎりぎり〜
    走ったが乗れなかったことを友達に話す。
    ホームに着いたら、電車はもう出ていました。間に合いませんでした。
  • 寝坊します(ねぼうします) 起きる時間に起きられず、寝すぎる。 朝〜・〜して遅れる・うっかり〜
    遅れて教室に入り、先生に理由を言う。
    すみません。寝坊してしまいました。

宿題と次のコマ

宿題は、日本で困ったこと(本当のことでも、作った話でもよい)を「〜てしまいました」「〜かもしれません」「〜たら、〜た」を使って4〜5文で書いてくること。次のコマの最初に何人かに読んでもらい、聞いている人に「それで、どうしましたか」と質問させてから、第6課の ST1「旅行の計画」に入ります(大変だった話のあとは楽しい計画の話へ。この課の「〜て、〜(理由)」は、第6課の「〜し、〜(理由)」で理由を並べる言い方につながります)。

よくある質問

  • 第5課「大変な1日」は何コマで終わりますか?

    90分なら2コマが目安です。1コマ目に導入と ST1(てしまいました・かもしれません・たあとで)、2コマ目に ST2(ていただけませんか・て〜理由・たら〜た)と課のまとめを入れます。活用(テ形・タ形)の立て直しに時間がかかるクラスは、ST1 の前に15分ほど復習の帯を足して2.5コマにしてもかまいません。

  • 「Vていただけませんか」と第2課の「Vてもらえませんか」はどう教え分けますか?

    形は「もらう」を謙譲の「いただく」に替えただけなので、新しく覚えるのは相手の選び方です。友達→クラスメート→駅員・店長の3人の絵を並べ、同じ頼みごとを3通りで言わせると、「どちらが正しいか」ではなく「誰に言うか」の問題だと分かります。「*いただきませんか」の誤りは、可能の形「いただける」が芯だと板書で見せて防ぎます。

  • 「〜て、〜(理由)」と「〜から」「〜ので」の違いは、この課でどこまで説明しますか?

    この課では「後ろに頼み・誘い・意志が来ない」の1点に絞ります。「電車が止まって、遅れました」のように、理由と結果がひと続きに起きたことを言う形だと、絵で見せれば足ります。「から」「ので」との細かい使い分けは第6課の「〜し、〜(理由)」のあとで、理由の言い方を3つ並べて整理するほうが定着します。

  • 「Vたら、〜た(発見)」は第3課の「Vたら、〜(確定条件)」とどう違いますか?

    第3課は「着いたら、電話します」のようにこれからの順番で、後ろは自分の行動です。この課は「開けたら、ありませんでした」のように、もう起きたことを話し、後ろは自分がしたことではなく気づいたことで、過去の形になります。時間の線で「これから」と「もう起きた」を左右に分け、後ろの文の形を見比べさせると混ざりにくくなります。

  • この課の板書はどう組めばいいですか?

    黒板を左右に分け、左に文型の枠(例: 「Vて+しまいました」)、右に1日の出来事を時間の線で描くと、ST1 と ST2 の6つの形が全部その線の上に乗ります。「あとで」「たら」は線の上の矢印、「かもしれません」は線の上の「?」、「てしまいました」は困った顔、と印を決めておくと、課のまとめで1日を語らせるときにそのまま手がかりになります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。