ST1 ハプニング!
できること旅行先で予定どおりにいかないことや困ったことが起きたとき、何が起きたか・何をされたかを説明できる。
場面
友達と旅行している途中、駅で電車が来ない、ホテルで予約が見つからない、電車の中で物を取られたなどのトラブルが起きる場面です。友達どうしは同じ立場なので「〜みたいです」で話し、駅員やホテルのフロントの人は外の人で、客には丁寧に謝ったり説明したりします。困ったことをあとで先生に報告するときは「〜ようです」「〜られました」を使って丁寧に言わせます。教室では「駅」「ホテル」「交番」の場面カードと、トラブルの絵カードを用意します。
- 留学生A:あれ、電車が全然来ませんね。
- 留学生B:ホームの人がみんな駅員さんに何か聞いています。何かあったみたいですね。
- 留学生A:(駅員に)すみません、京都行きの電車はまだ来ませんか。
- 駅員:申し訳ありません。事故で、30分ぐらい遅れています。
- 留学生B:えっ、早く起きて来たのに……。
- 留学生A:しかたないですね。わたしはさっきホームで、知らない人に足を踏まれました。今日は大変な日です。
- 留学生B:大丈夫ですか。……あ、駅員さんがまた話しています。もうすぐ動くようです。
学習項目 1 受身活用
意味・はたらき
何かをされた人の側から出来事を言う形です。「隣の人がわたしの足を踏みました」を、踏まれたわたしの側から「わたしは隣の人に足を踏まれました」と言います。旅行先で困ったこと・いやだったことを伝えるときに、される人を主語にすると、困った気持ちが伝わります。する人は「に」で表します。「雨に降られました」のように、自分が直接何かをされたのではなくても、迷惑を受けたことを言うのにも使います。文法の用語では、「足を踏まれる」「かばんを盗まれる」のように自分の体や持ち物が何かをされる受身(持ち主の受身)と、「雨に降られる」のように自動詞からも作れる迷惑の受身(間接受身)が、日本語の受身の特徴として試験でよく問われます。
接続
1グループはナイ形の「ない」を「れる」に(踏まない→踏まれる)、2グループは「る」を「られる」に(見る→見られる)、する→される、来る→来られる
形
盗む → 盗まれる(盗まれました)踏む → 踏まれる/呼ぶ → 呼ばれる見る → 見られる/止める → 止められるする → される/来る → 来られる
導入
- 教師が足を踏むふりをする教師が学生の隣に立って、足を軽く踏むふりをし、「いたい!」と学生に言わせる。「わたしは〜さんの足を踏みました」と言ったあと、学生を指して「〜さんは、わたしに足を踏まれました」と言い直す。板書は2行で、上に「わたしが 〜さんの足を 踏みました」、下に「〜さんは わたしに 足を 踏まれました」と書き、矢印で「する人」と「される人」の入れかわりを示す。
- 形の作り方はナイ形から動詞カードを3グループに分けて黒板に貼り、1グループはナイ形を言わせてから「ない」を「れる」に替える(盗まない→盗まれる)。2グループは「る」を「られる」に替え、第1課の可能動詞と同じ形になることを、可能の文と並べて見せる。
板書案
(する人)が(される人)を V → (される人)は(する人)に V(ら)れる
隣の人が わたしの 足を 踏みました。
わたしは 隣の人に 足を 踏まれました。 〔赤〕困った!
〔青〕1G:踏まない→踏まれる 2G:見る→見られる する→される 来る→来られる
〔赤〕に = する人 (矢印:する人 → される人 の入れかわり)
場面と発話(自作)
- 混んだ駅のホームで、一緒に旅行している友達に、さっき起きたことを話す。さっき、隣の人に足を踏まれました。
- 旅行先の交番で、警察官に何が起きたかを説明する。電車の中で、かばんを盗まれてしまいました。
- 観光の途中で急に雨が降って、ホテルに戻ってからフロントの人に話す。お寺を見ている間に雨に降られて、服がぬれてしまいました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、まず辞書形カードを見せて受身形を言わせる(グループを混ぜて速く)。次に「する人・される人・物」が描いてある絵カードを見せて「〜に〜を〜(ら)れました」を言わせる。最後に ST1 の場面カード(駅・ホテル・交番)とトラブルカードを引き、同じことを友達には「〜られたんです」、警察官やフロントの人には「〜られてしまいました」と丁寧に話させる。
- 口頭辞書形カード(盗む・踏む・呼ぶ・笑う・見る・止める・する・来る)をグループを混ぜて見せ、受身形を全体→列→個人で言わせる。次に絵カード(足を踏む人・財布を取る人・写真を撮る人・大きい声で呼ぶ人)を見せ、「わたしは〜に〜を〜(ら)れました」と言わせる。する人の絵を指したら「に」、物の絵を指したら「を」と、指で助詞を確かめる。
- ペアA はトラブルカード(だれが・何を・どうした が描いてある)を見て、B に「どうしたんですか」と聞かれたら受身で答える。B はカードを見ずに聞き、「だれにですか」「何をですか」と1つ足して聞く。B が絵を言い当てられたら交替。カードは迷惑なことだけにする。
- 産出「トラブル報告ロールプレイ」。場面カード(駅・ホテル・交番)を引き、友達役には「〜られたんです」、警察官・フロント役(教師)には「〜られてしまいました」で、起きたことを2〜3文で報告する。教師は①する人を「に」で言えているか ②1グループを「ない」から作れているか ③ありがたいことに受身を使っていないか、の3点を見る。
つまずきと手当て
- 「*隣の人が私の足を踏まれました」と、する人に「が」をつけたまま動詞だけ受身にする。主語はされる人、する人は「に」と、板書の矢印で何度も入れかえて見せる
- 「*雨を降られました」と自動詞の受身に「を」を使う。「雨に降られる」はひとまとまりで覚えさせる
- 1グループに「られる」をつけて「*踏みられました」「*盗みられました」と言う。1グループはナイ形から作ることを毎回確かめる
- 親切にしてもらったことにも受身を使う(「駅員さんに荷物を運ばれました」)。誤りではないが、迷惑だったように聞こえることがあるので、ありがたいことは第8課の「Vてもらいました」で言うと示す
既習の文型との違い
- Vてもらいます(初中級第8課)どちらも何かをされた人が主語で、する人は「に」で表します。違いは気持ちで、「もらいます」はありがたいこと、受身は困ったこと・いやなことです。「駅員さんに荷物を運ばれました」と言うと迷惑だったように聞こえるので、親切は「運んでもらいました」と、同じ絵で2つを言い分けさせます。
- 可能動詞(初中級第1課)2グループでは「見られる」「止められる」のように可能と受身が同じ形になります。助詞で見分け、可能は「〜が見られます」、受身は「〜に〜を見られました」です。1グループは「盗める(可能)」「盗まれる(受身)」と形が違うので、取り違えたら2つを並べて見せます。
関連する文型
学習項目 2 〜のに、〜
意味・はたらき
前の文から「当然こうなる」と思ったことと、実際の結果が違うときに使い、不満・残念・驚きの気持ちを込めます。「予約したのに、名前がありません」。「〜が」「〜けど」でもつなげますが、「〜のに」のほうが気持ちが強く出ます。後ろの文には、相手への頼み(〜てください)や誘い(〜ましょう)、自分の意志は来ません。文法の用語では逆接の接続助詞で、同じ逆接の「が・けど」と違って話し手の不満や意外さが乗り、後件が実際に起きたことに限られる点が試験で問われます。
接続
普通形+のに(ナA・Nは「〜なのに」:静かなのに・休みなのに)
形
予約したのに、名前がありません日曜日なのに、店が閉まっていました高いのに、あまりおいしくなかったです
導入
- 教師の残念な旅行の話教師が「先週、旅行に行きました。早く起きて、駅へ行きました。でも、電車が来ませんでした」と話し、残念な顔をして「早く起きたのに、電車が来ませんでした」と言い直す。板書は「(そう思った)〜のに、(ちがう結果)〜」の2つの枠にし、後ろの枠の横に残念な顔の絵を描く。
板書案
(そう思った)〜 のに、(ちがう結果)〜 〔赤〕残念! えっ?
早く 起きた のに、電車が 来ませんでした。
予約した のに、名前が ありません。
〔青〕V・イA:普通形+のに ナA・N:静か なのに/休み なのに
×〜のに、〜ましょう/〜てください(後ろに頼み・誘いは来ない)
場面と発話(自作)
- 旅行先のレストランで1時間も待っているのに、料理が来ない。一緒に来た友達に言う。1時間も待っているのに、まだ来ませんね。
- ガイドブックに「月曜日も開いている」と書いてあった店が閉まっていた。友達に言う。月曜日も開いていると書いてあったのに、閉まっています。
- ホテルのフロントで、予約が見つからないと言われた。フロントの人に丁寧に聞き返す。インターネットで予約したのに、名前がないんですか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、前半のカード(予約した・早く来た・晴れの予報だった)と後半のカード(名前がない・店が閉まっていた・雨が降っている)を組み合わせて「〜のに、〜」を作らせる。そのあと、旅行や日本の生活で残念だったことを自分で1つ話させ、聞く人に「それは残念でしたね」と返させる。
- 口頭前半カード(予約した・早く来た・晴れの予報だった・高かった・日曜日だ・有名な店だ)と後半カード(名前がない・店が閉まっていた・雨が降っている・おいしくなかった)を左右に貼り、教師が1枚ずつ指して「〜のに、〜」をつなげさせる。ナ形容詞・名詞の前半カードを混ぜ、「なのに」を言わせる。残念な顔で言うように、教師が顔をまねてみせる。
- ペアA が前半カードを1枚引いて「〜のに……」と言い、B が後半カードを引いて続きを言う。A は「本当ですか。残念ですね」と返す。組み合わせがおかしいとき(予想と結果が反対になっていないとき)は、二人で後半を言い直す。4回で交替。
- 産出「がっかり旅日記」。旅行や日本の生活で、期待と違ったことを2つ思い出し、「〜のに、〜」で書いてペアに読む。聞く人は「それは残念でしたね」「それで、どうしましたか」と返す。教師は①ナA・Nの「なのに」 ②後ろに誘い・頼み・自分の意志が来ていないか ③予想と結果が本当に反対になっているか、を見る。
つまずきと手当て
- ナA・Nで「*休みだのに」「*静かだのに」と言う。ナA・Nは「なのに」と板書で赤くする
- 後ろに誘いや頼みを置いて「*雨が降っているのに、出かけましょう」と言う。誘うときは「降っていますが、出かけましょう」と「が」を使うと示す
- 「雨が降ったのに、出かけませんでした」のように、「〜ので」の意味で「のに」を使ってしまい、言いたいことと逆になる。「のに」は予想と結果が反対のときだけ、と予想の枠と結果の枠を見比べさせる
既習の文型との違い
- 〜が、〜(初級第4課)「が」は2つの事柄を比べて並べるだけで、気持ちは入りません。「のに」は予想と違った結果への不満や驚きが入ります。また「が」は後ろに誘いや頼みを置けますが、「のに」は置けないので、「雨が降っていますが、行きましょう」は言えて、「のに」には替えられません。
- 〜ても(初級第15課)「ても」は「雨が降っても、行きます」のように、まだ起きていないことも条件として置け、後ろに自分の意志を置けます。「のに」は前も後ろも実際に起きたことで、後ろは自分の意志ではありません。旅行の予定の話では「ても」、終わった旅行の不満では「のに」と、話の時を分けて練習します。
関連する文型
学習項目 3 〜みたいです(様態)
意味・はたらき
見たこと・聞いたこと(目の前の様子・音・人の動きなど)を手がかりにして、「たぶん〜だ」と判断して言う形です。店の前に人がいない、電気もついていない、という様子から「今日は休みみたいです」と言います。話し言葉で、友達など同じ立場の人との会話でよく使います。第2課の「Aそうです(様態)」が見た目の印象をそのまま言う(おいしそう)のに対して、「みたいです」は手がかりから考えた判断を言います。文法の用語では、見たこと・聞いたことを根拠にした推定のモダリティで、改まった「ようだ」の話し言葉の形にあたります。
接続
普通形+みたいです(ナA・Nは「だ」を取って:静かみたい・休みみたい)
形
今日は休みみたいです道を間違えたみたいです電車が止まっているみたいですこの店は人気があるみたいです
導入
- 手がかりの絵から判断するシャッターが閉まっていて電気が消えている店の絵を見せ、「この店、今日はどうですか」と聞く。学生から「休み?」が出たら、教師が「休みみたいです」と言う。板書は左に「手がかり(シャッター・電気)」、右に「判断(休みみたいです)」を書き、矢印でつなぐ。
板書案
手がかり(見た・聞いた) → 判断:〜みたいです
シャッター・電気が消えている → 今日は 休み みたいです。
地図に ない お寺 → 道を 間違えた みたいです。
〔青〕V・イA:普通形+みたい ナA・N:静か みたい/休み みたい(だ は取る)
〔赤〕おいしそう(見た目) / おいしいみたい(手がかりから判断)
場面と発話(自作)
- 旅行先で行きたかった店に着いたが、シャッターが閉まっている。一緒に来た友達に言う。今日は休みみたいですね。
- 地図を見ながら歩いていたが、地図にないお寺がある。友達に言う。あれ、道を間違えたみたいです。
- 駅でアナウンスがよく聞こえないが、ホームの人たちが改札のほうへ戻っている。友達に言う。電車が止まっているみたいです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、手がかりの絵カード(人が並んでいる店・ぬれた道・地図と違う建物など)を見せて「〜みたいです」で判断させる。慣れたら、ペアで旅行先の写真を見て、一人が手がかりを言い(「人がたくさん並んでいます」)、もう一人が判断を言う(「人気があるみたいですね」)。
- 口頭手がかりの絵カード(人が並んでいる店・ぬれた道・閉まったシャッター・地図と違う建物・改札へ戻る人たち・赤い顔の友達)を見せ、教師が「この店は?」と聞いて「人気があるみたいです」と答えさせる。名詞・ナ形容詞の判断(休み・静か・事故)が出るカードを混ぜ、「だ」を取る形を言わせる。全体→個人の順。
- ペアA だけが旅行先の写真カードを見て、手がかりを1つ言う(「人がたくさん並んでいます」)。B は写真を見ずに「〜みたいですね」と判断を言い、A は「そうですね」か「いいえ、〜みたいです」と返す。手がかりを2つまで出してよい。写真2枚で交替。
- 産出「名探偵ゲーム」。教師が1枚の絵(荷物が散らばったホテルの部屋・止まったエスカレーターなど)を見せ、グループで「何があったか」を「〜みたいです」で3つ以上言い合い、いちばん説得力のある判断を発表する。教師は①手がかりを先に言ってから判断しているか ②「だ」が残っていないか ③確かめたことまで「みたい」にしていないか、を見る。
つまずきと手当て
- ナA・Nに「だ」や「な」を残して「*休みだみたいです」「*静かなみたいです」と言う。「みたい」の前は「だ」を取った形と、板書の N・ナA の列で示す
- まだ食べていない料理を見て「おいしいみたいです」と言う。誤りではないが、見た目の印象なら「おいしそうです」、食べた人の様子や評判から考えたなら「おいしいみたいです」と、第2課の形と並べて使い分けを見せる
- はっきり分かっていることにも「みたいです」をつける。自分で確かめたことは「休みです」と言い切ってよいと示す
既習の文型との違い
- Aそうです(様態)(初中級第2課)「そうです」は見た目の印象をそのまま言う形で、イAは「い」を取って付けます(おいしそう)。「みたいです」は手がかりから考えた判断で、普通形に付きます(おいしいみたい)。まだ食べていない料理を見て言うなら「おいしそう」、食べた人の顔や店の行列から言うなら「おいしいみたい」と、場面の絵を替えて言い分けさせます。
- 〜かもしれません(初中級第5課)「かもしれません」は手がかりがなくても、可能性があるだけで言えます。「みたいです」は見たこと・聞いたことという手がかりがあって、そちらの可能性が高いと考えたときの言い方です。手がかりの絵を見せずに言うなら「かもしれません」、見せて言うなら「みたいです」と、絵の有無で使い分けを見せます。
関連する文型
学習項目 4 〜ようです(様態)
意味・はたらき
「〜みたいです」と同じく、見たこと・聞いたことから判断して言う形で、「みたいです」より改まった言い方です。駅員やホテルの人、先生など丁寧に話す相手や、アナウンス・お知らせ・メールでよく使います。同じ出来事でも、友達には「休みみたいです」、先生には「休みのようです」と、相手によって選ぶ練習をします。文法の用語では、見たこと・聞いたことを根拠にした推定のモダリティで、人から聞いた情報の「らしい」や、見た目の印象の「そうだ」と並べて、根拠の違いが試験でよく問われます。
接続
普通形+ようです(ナAは「な」、Nは「の」をつける:静かなようです・休みのようです)
形
今日は休みのようです事故があったようですエアコンが壊れているようです
導入
- 同じ出来事を相手を替えて言う「〜みたいです」の導入で使った店の絵をもう一度見せ、友達の絵の横では「休みみたいです」、先生の絵の横では「休みのようです」と言う。板書は2列の表にして、Nは「休みみたい/休みのよう」、ナAは「静かみたい/静かなよう」、動詞・イAは同じ形につくことを並べる。
板書案
友達には:休み みたいです / 先生・駅員・メールでは:休み の ようです
N:休み みたい / 休み の よう ナA:静か みたい / 静か な よう
V・イA:遅れている みたい / 遅れている よう(同じ形)
台風で、明日の 飛行機が 飛ばない ようです。
〔赤〕×休みのみたい ×休みよう
場面と発話(自作)
- ホテルの部屋のエアコンがつかない。フロントに電話して、客として丁寧に伝える。部屋のエアコンが壊れているようなんですが……。
- 台風のニュースを見て、旅行先から先生に、帰る日が変わるかもしれないとメールする。台風で、明日の飛行機が飛ばないようです。
- 旅行先の駅で、案内の画面に「運休」と出ているのを見て、一緒に来ている引率の先生に伝える。先生、次の電車は止まっているようです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、教師が「〜みたいです」の文を言い、学生に「〜ようです」に言い換えさせる(N・ナAの文を多めに出す)。そのあと、同じトラブルカードを使って、友達に話す役と、フロントの人や先生に話す役を交代で演じさせる。
- 口頭教師が「みたい」の文(今日は休みみたいです・エアコンが壊れているみたいです・電車が遅れているみたいです・静かみたいです)を言い、学生が「ようです」に言い換える。名詞・ナ形容詞の文を多めに出し、言い換えのたびに黒板の表の列を指す。次に相手の絵(友達/先生/フロント)を掲げ、同じ内容を相手に合わせて言わせる。
- ペアA は相手カード(友達・先生・ホテルのフロント・駅員)を、B はトラブルカード(エアコンが動かない・電車が来ない・予約が見つからない)を引く。B が A の役の人にトラブルを伝え、相手が友達なら「みたい」、それ以外なら「よう」を使う。A は役のとおりに「そうですか。すぐ見に行きます」などと返す。3回で交替。
- 産出「フロント電話ロールプレイ」。ホテルの部屋で困っていることを1つ決め、教師が演じるフロントに電話をして「〜ようなんですが……」で伝え、どうしてほしいかを頼む。そのあと同じことを友達にメッセージで送る文を「〜みたい」で書く。教師は①Nの「の」とナAの「な」 ②相手で形を選べているか ③「ようなんですが」の前置きが言えているか、を見る。
つまずきと手当て
- Nに「の」をつけずに「*休みようです」と言う。Nのあとは「のよう」と板書の表で確かめる
- ナAに「な」をつけずに「*静かようです」と言う。「みたい」と「よう」で前の形が違うことを、表の2列を指して見せる
- 2つを混ぜて「*休みのみたいです」と言う。「の」は「よう」のときだけ、と確かめる
既習の文型との違い
- 〜みたいです(様態)(初中級第10課)意味は同じで、違いは改まり(くだけた話し言葉か、改まった場面・書き言葉か)と前に付く形です。どちらも「です」を付ければ丁寧体になります。「よう」は名詞に「の」、ナ形容詞に「な」が要り、「みたい」は何も付きません。友達との会話で「ようです」を使うとかたく聞こえ、先生へのメールで「みたいです」を使うとくだけて聞こえる、と相手の絵で選ばせます。
- 〜そうです(予測)(初中級第6課)「雨が降りそうです」は空を見て、これから起きそうなことを言います。「雨が降ったようです」はぬれた道を見て、もう起きたことを判断します。どちらも見たことが手がかりですが、「そう(予測)」は起きる前、「よう」は起きたあとや今の様子の判断が多い、と時間の線で見せます。
関連する文型
ST2 ガイドブックを片手に
できること観光地で、今どうしているかや、目の前の人・物・建物がどんな様子かを簡単に説明できる。
場面
観光地のお城やお寺に着いて、日本人の友達から電話がかかってくる場面と、一緒に来た友達にガイドブックを見ながら建物を説明する場面です。友達との電話なので友達言葉で話してよいことにします。教室では、建物・人・動物の写真(年や材料は作り話でよい)と、話し手の位置を示す矢印カードを用意します。
- 日本人の友達:もしもし、今どこにいる?
- 留学生:今、お城に着いたところ。すごく大きいよ。
- 日本人の友達:いいね。どんなお城?
- 留学生:白くて、鳥みたいな形。ガイドブックに、400年前に建てられたと書いてあるよ。
- 留学生:あ、今、着物を着た人たちが門から出てきた。みんな楽しそうに写真を撮ってる。
- 日本人の友達:写真、送ってね。
- 留学生:うん。今から上に登っていくところだから、あとで送るね。
学習項目 1 Vるところです/Vているところです/Vたところです
意味・はたらき
動作のどの段階にいるかを言う形です。「Vるところ」はこれから始める直前、「Vているところ」は今ちょうどその途中、「Vたところ」は終わったすぐあとです。旅行中に電話やメッセージで「今どうしているか」を伝えるときに使います。文法の用語では、動作の局面(直前・最中・直後)を表すアスペクトの形です。「Vたところ」は終わったすぐあとのごく短い時間だけを言い、電話で「今は手が離せない」「今ちょうど〜した」と事情を伝える場面に向いています。
接続
V辞書形/Vている/Vタ形+ところです
形
今、ホテルを出るところです今、お土産を選んでいるところです今、駅に着いたところです
導入
- 教師がお茶を飲んでみせる教師がペットボトルのお茶を持ち、飲む前に「今から飲むところです」、飲みながら「今、飲んでいるところです」、飲み終わってすぐ「今、飲んだところです」と言う。板書は横に1本の時間の線を引き、「始まる前・途中・終わったすぐあと」の3か所に矢印と3つの形を書く。
板書案
──────●──────────●──────▶ 時間
Vる ところ Vている ところ Vた ところ
(始まる前) (途中) (終わったすぐあと)
今、ホテルを 出る ところです。/ 今、お土産を 選んで いる ところです。/ 今、駅に 着いた ところです。
〔赤〕着く・出る は「ている ところ」にしない
場面と発話(自作)
- 待ち合わせに少し遅れそうで、先に着いている先輩に電話する。すみません、今、ホテルを出るところです。
- 日本人の友達から「今どこ?」とメッセージが来た。今、駅に着いたところ。
- 旅行先から先生に電話をして、何をしているか聞かれた。今、お寺の中を見ているところです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、時間の線の上に矢印カードを置き、動詞カード(出る・食べる・見る・着く)と組み合わせて3つの形を言わせる。そのあと ST2 の場面で、一人が観光地の写真カード(段階が分かる絵)を持ち、もう一人が電話で「今、何してる?」と聞いて答えさせる。
- 口頭黒板の時間の線の上に矢印カードを1枚置き、動詞カード(出る・食べる・見る・着く・選ぶ・登る・乗る)と組み合わせて形を言わせる。教師が矢印を動かすと、学生が同じ動詞を3つの形で言い直す。次に教師がペットボトルを持って飲む前・途中・あとの動作をし、学生が見たまま言う。全体→個人の順。
- ペアA は観光地の絵カード(門の前で入ろうとしている・お土産を選んでいる最中・ホテルに着いた直後などの段階が分かる絵)を持ち、B が電話のつもりで「もしもし、今、何してる?」と聞く。A が絵のとおり「〜ところ」で答え、B は「じゃ、あとで電話するね」などと返す。カードは B に見せない。3枚で交替。
- 産出「今どこ?電話ゲーム」。学生は旅行の1日の予定を4つメモし、教師が鐘を鳴らすたびに予定の段階を1つ進める。友達役から電話がかかってきたら、今どの段階かを「〜ところです」で答え、次に何をするかを1文足す。教師は①タ形・テ形の作り方 ②すぐ終わる動詞に「ている」を付けていないか ③3つの形の位置を取り違えていないか、を見る。
つまずきと手当て
- タ形を作り間違えて「*着きたところです」と言う。タ形はテ形と同じ作り方だと確かめる
- 「着く」「出る」のようにすぐ終わる動作に「ている」をつけて「*駅に着いているところです」と言う。すぐ終わる動作は「着くところ」「着いたところ」の2つで言うと、時間の線で示す
- 「Vるところです」を「途中」の意味で使い、「今、食べるところです」と言って食べている途中のことを伝えようとする。3つの矢印の位置を毎回指して確かめる
既習の文型との違い
- Vています(動作の進行)(初級第7課)「今、食べています」は今していることを言うだけですが、「今、食べているところです」は、ちょうどその途中だという時の一点を強く言い、「だから今は話せない」のような事情が含まれることが多い言い方です。電話で誘われて断る場面で使うと、2つの違いが分かりやすくなります。
- もうVましたか(完了)/まだVていません(初級第10課)「もう着きました」は終わったことを言うだけで、いつ終わったかは問いません。「着いたところです」は終わってすぐ、という時間の近さを言います。1時間前に着いた人が「今、着いたところです」と言うと変に聞こえる、と時計の絵を添えて見せます。
関連する文型
学習項目 2 Vてきます
意味・はたらき
動きが話し手のほうへ近づくことを表します。「向こうから人が走ってきます」。目の前の様子を伝えるとき、どちらへ動いているかが分かります。また、「お城が見えてきました」「雨が降ってきました」のように、目の前で様子が変わり始めたことにも使います。初級で習った「Vてきます」(買ってきます=行ってもどる)とは使い方が違うので、並べて確かめます。文法の用語では、「くる」が補助動詞になって、話し手を基準にした方向(ダイクシス)や、変化が始まって今に続いていること(アスペクト)を表します。
接続
Vテ形+きます(過去は「〜てきました」)
形
向こうから人が走ってきます鳥が飛んできましたお城が見えてきました
導入
- 教師が学生のほうへ歩く教師が教室の後ろから前の学生のほうへ歩いて近づき、学生に「先生は?」と聞いて「先生が歩いてきます」を言わせる。板書は話し手の人の絵を描き、矢印を話し手に向けて「Vてきます」と書く。横に初級の「買ってきます」の矢印(行ってもどる)を並べ、違いを見せる。
板書案
わたし(話し手) ◀─── 人・物 Vて きます 〔赤〕近づく
向こうから 人が 走って きます。
〔青〕変わり始める:お城が 見えて きました。/ 雨が 降って きました。
初級:パンを 買って きます(行って → もどる Uの字の矢印)
場面と発話(自作)
- 観光船の上で、向こうから大きい船が近づいてくるのを見て、友達に言う。あ、大きい船が近づいてきます。
- 公園でパンを食べていたら、鳩がたくさん集まってきた。電話で友達に話す。鳩がたくさん飛んできたよ。
- 山道を登っていて、木の間からお城が見えるようになった。一緒に歩いている友達に言う。お城が見えてきました。もうすぐですよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、話し手の絵と矢印カードを見せて「〜てきます」を言わせる(走る・飛ぶ・歩く・近づく)。そのあと教室で学生一人が歩き、ほかの学生が自分の位置から実況する。次の「Vていきます」と合わせて練習する。
- 口頭話し手の絵と、話し手に向かう矢印カードを見せ、動作カード(走る・飛ぶ・歩く・近づく・泳ぐ・戻る)と組み合わせて「〜てきます」を言わせる。次に景色が変わる絵(遠くの山がだんだん見える・空が暗くなる・音が聞こえ始める)を順に見せ、「見えてきました」「降ってきました」「聞こえてきました」を言わせる。
- ペアA は教室の前に立ち、B は教室の後ろからいろいろな歩き方(ゆっくり・走って・スキップで)で A に近づく。A は「Bさんが〜てきます」と見たまま言い、最後に「Bさんが来ました」で締める。次は役を入れかえ、近づき方を変える。
- 産出「近づく実況」。観光地の動画や写真の連続(船が近づく・鳩が集まる・行列が伸びてくる)を見ながら、電話で友達に伝えるつもりで2〜3文で実況する。教師は①テ形 ②話し手の位置から見て本当に近づいているか ③「見る/見える」の取り違え、を見る。
つまずきと手当て
- テ形を作らずに「*走りてきます」「*飛びてきます」と言う。テ形の作り方を先に確かめる
- 初級の「行ってもどる」の意味と混ぜて、「人が走ってきます」を「人が走りに行ってもどる」と取る。矢印の向きの板書を見比べさせる
- 変化の「見えてきました」を「*お城が見てきました」と言う。自分でする「見る」と自然に目に入る「見える」を区別し、景色が変わるときは「見えてきました」「聞こえてきました」と、初級第10課の「見えます・聞こえます」と並べて板書する
既習の文型との違い
- Vてきます(初級第10課)初級の「Vてきます」は「飲み物を買ってきます」のように、どこかへ行って何かをして戻ってくる往復です。この課は、目の前の人や物がこちらへ近づく方向です。主語が自分か、目の前の人・物かを見分ける目安にする(「わたしが走ってきました」のように自分が近づく言い方もある)、とUの字の矢印と一方向の矢印を並べて見せます。
- Nが見えます/Nが聞こえます(初級第10課)「お城が見えます」は今見えている状態を言うだけです。「お城が見えてきました」は、さっきまで見えなかったものが見え始めたという変化を言います。山道を登る絵を3枚並べ、1枚目と3枚目の違いを言わせると、変化の「てきました」が自然に出ます。
関連する文型
学習項目 3 Vていきます
意味・はたらき
動きが話し手から離れていくことを表します。「鳥が山のほうへ飛んでいきます」「人がたくさんお寺の中へ入っていきます」。同じ動きでも、話し手がどこにいるかで「てきます」か「ていきます」かが決まります。文法の用語では「いく」が補助動詞になった形で、「てくる」と対になって話し手を基準にした方向(ダイクシス)を表します。「これから寒くなっていきます」のように変化がこの先も続く使い方もありますが、この課では目の前の動きの方向に絞ります。
接続
Vテ形+いきます
形
鳥が山のほうへ飛んでいきます人がたくさん中へ入っていきますこの坂を登っていくと、入口があります
導入
- 教師が学生から離れる教師が学生の前からドアのほうへ歩いて出ていき、「先生は?」と聞いて「先生が出ていきます」を言わせる。「Vてきます」の板書に、話し手から外へ向かう矢印を書き足して「Vていきます」と書く。
板書案
わたし(話し手) ───▶ 人・物 Vて いきます 〔赤〕離れる
鳥が 山の ほうへ 飛んで いきます。
人が たくさん お寺の 中へ 入って いきます。
〔青〕同じ動き:ドアの外のわたし → 出て きます / 中のわたし → 出て いきます
この 坂を 登って いくと、入口が あります。
場面と発話(自作)
- お寺の前で、着物を着た人たちが次々に中へ入るのを見て、友達に言う。みんな中へ入っていきます。何かあるみたいですね。
- 道に迷った観光客に、お城の入口への行き方を聞かれた。この坂を登っていくと、入口がありますよ。
- 展望台から港を見ながら、日本人の友達と電話で話す。今、大きい船が港から出ていくところだよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、矢印カードの向きを替えて「〜てきます/〜ていきます」を選ばせる。そのあと教室で一人の学生がドアから出たり入ったりし、ほかの学生が自分の位置から言う。話し手の位置(ドアの外・中)を替えて、同じ動きを言い直させる。
- 口頭話し手の絵の横に、近づく矢印と離れる矢印のカードを交互に置き、動作カード(飛ぶ・入る・出る・走る・帰る・登る)と合わせて「〜てきます/〜ていきます」を選ばせる。教師が矢印を裏返すたびに、同じ動詞を反対の形で言い直させる。全体→個人の順で、テンポを上げる。
- ペアA は教室のドアの外、B は教室の中にいる。もう一人の学生(または教師)がドアから出たり入ったりし、A と B がそれぞれ自分の位置から「出てきました」「出ていきました」と言う。言い終わったら二人の位置を入れかえ、同じ動きをもう一度言い直す。
- 産出「ドアの内と外 言い分けゲーム」。グループで、観光地の地図カード(門・坂・本堂・話し手の位置の印)を使い、1人が観光客の動きを言い、別の1人が地図の上の話し手の位置を変えて言い直す。最後に「この坂を登っていくと、〜があります」で道案内を1つ作る。教師は①話し手の位置で形を選べているか ②テ形 ③「てくる」と主語の取り違え、を見る。
つまずきと手当て
- 話し手の位置で決まることが分からず、近づいてくる人を「走っていきます」と言う。話し手の絵を必ず板書に描き、矢印の向きと話し手の位置を指して確かめる
- テ形を作らずに「*入りていきます」と言う。「入る」は1グループで「入って」になることを確かめる
- 「傘を持っていきます」(物を持って出かける)と、この課の「鳥が飛んでいきます」(話し手から離れる動き)を混ぜて意味が分からなくなる。前者は自分が出かける話、後者は目の前の人・物の動き、と主語を確かめさせる
既習の文型との違い
- Vてきます(初中級第10課)同じ動きでも、話し手に近づけば「てきます」、離れれば「ていきます」です。学習者は動作の向き(前・後ろ)で選ぼうとしがちなので、必ず話し手の絵を描き、話し手の位置を替えて同じ動きを言い直させます。
- Vると、Nがあります(初中級第4課)第4課は「まっすぐ行くと、右に駅があります」のように、ある所まで行ったときに見えるものを言う形でした。「登っていくと」にすると、話し手から離れてその道を進み続ける感じが加わり、坂や長い道の案内で自然になります。第4課の道案内を、この課の形で言い直す練習につなげます。
関連する文型
学習項目 4 AそうにV
意味・はたらき
人の様子を外から見て、その人がどんな様子で何をしているかを言う形です。「子どもがおいしそうにアイスを食べています」。第2課の「Aそうです(様態)」を、第7課の形容詞の副詞的用法と同じように動詞の前に置いた形です。外から見た様子を言うので、目の前の人や写真の人を説明するときに使います。文法の用語では、様態の「そうだ」がナ形容詞と同じ形で変わったもので、名詞の前では「楽しそうな人」、動詞の前では「楽しそうに話す」になります。
接続
イAは「い」を取って「そうに」(楽しい→楽しそうに/いい→よさそうに)、ナAはそのまま「そうに」(元気→元気そうに)+V
形
楽しそうに話していますおいしそうに食べています寒そうに歩いています気持ちよさそうに寝ています
導入
- 表情の絵から動作へ温泉に入って目を閉じている人の絵を見せ、「どんな様子ですか」と聞いて「気持ちよさそうです」を引き出す。次に「何をしていますか」と聞き、2つをつないで「気持ちよさそうに温泉に入っています」と言う。板書は「Aそうです」→「AそうにV」と並べ、第7課の「おいしく食べます」と同じ位置に入ることを示す。
板書案
楽しそうです → 楽しそう に 話して います。
イA:楽しい → 楽しそうに/ いい → よさそうに
ナA:元気 → 元気そうに
〔青〕位置は同じ:おいしく 食べます(第7課)/ おいしそうに 食べます(外から見て)
〔赤〕外から見た 人の 様子(わたしのことには あまり 使わない)
場面と発話(自作)
- 旅行で撮った写真を友達に見せながら、写っている子どもの様子を説明する。この子、すごく楽しそうに踊っていますね。
- お寺の庭で猫を見つけて、電話中の友達に様子を伝える。猫が気持ちよさそうに寝ているよ。
- ホテルのロビーで、朝早く起きた同じグループの人の様子を、もう一人の友達に話す。田中さん、眠そうにコーヒーを飲んでいますね。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、表情カード(楽しい・寒い・おいしい・眠い)と動作カード(話す・歩く・食べる・寝る)を組み合わせて「〜そうに〜ています」を言わせる。そのあと旅行の写真を見て、写っている人の様子を2文で説明させる。
- 口頭表情カード(楽しい・寒い・おいしい・眠い・うれしい・気持ちいい・元気)と動作カード(話す・歩く・食べる・寝る・笑う・走る)を左右に貼り、教師が1枚ずつ指して「〜そうに〜ています」を言わせる。「いい」の出るカード(気持ちいい)を必ず入れ、「よさそうに」を全員で繰り返させる。
- ペアA が表情と動作のカードを1枚ずつ引いて、その様子をジェスチャーで演じる。B は「Aさんは〜そうに〜ています」と言い当て、当たったら交替。A は声を出さないで演じ、B が当てられないときは表情カードだけ見せてよい。
- 産出「写真の人物紹介」。旅行の写真(自分の写真か教師が用意した観光地の写真)を1枚選び、写っている人や動物を2人(2匹)選んで、「〜そうに〜ています」を入れて3文で紹介する。聞く人は「どうしてそう思いますか」と1つ聞く。教師は①「い」を取れているか ②「よさそうに」 ③自分のことに使っていないか、を見る。
つまずきと手当て
- イAの「い」を取らずに「*楽しいそうに」「*おいしいそうに」と言う。第2課の「Aそうです」の作り方と同じだと確かめる
- 「いい」を「*いそうに」「*よそうに」と言う。「いい」だけは「よさそうに」と特別に覚えさせる
- 自分のことに使って「わたしは楽しそうに歌いました」と言う。誤りではないが、自分を外から見ているように聞こえるので、自分のことは「楽しく歌いました」がふつうと示す
既習の文型との違い
- Aそうです(様態)(初中級第2課)第2課は「このケーキ、おいしそうです」と文の終わりで様子を言う形でした。この課はそれを動詞の前に置き、「おいしそうに食べています」と動作の様子を言います。作り方は同じなので、第2課の文を言わせてから「何をしていますか」と聞き、つなげさせると早く入ります。
- イAくV/ナA・NにV(形容詞の副詞的用法)(初中級第7課)「楽しく歌いました」は歌い方そのものを言い、自分のことにも使えます。「楽しそうに歌っています」は外から見てそう見える、という話し手の見方が入るので、ふつうは他人の様子に使います。同じ絵で「わたしは」と「あの子は」を主語にして言い分けさせると違いが見えます。
関連する文型
学習項目 5 〜みたいです(比況)
意味・はたらき
本当はそうではないが、何かによく似ていることをたとえて言う形です。「この駅はお城みたいです」は、駅だけれどお城に似ている、という意味です。名詞の前では「みたいなN」、動詞や形容詞の前では「みたいにV」になります。ST1 の「〜みたいです(様態)」と形が同じなので、「本当にそうだと判断している」のか「似ているだけ」なのかを場面で見分けます。改まった言い方は「〜のようです」です。文法の用語では「比況」(たとえ)で、同じ形の「推定」(様態)と並んで、「ようだ・みたいだ」の2つの用法の見分けが試験でよく問われます。
接続
N+みたいです/N+みたいなN/N+みたいにV・A
形
この駅はお城みたいですお城みたいな駅絵みたいにきれいです夢みたいです
導入
- 形の似ている写真うさぎの形をした雲の写真を見せて「これは何ですか」と聞き、「雲です」の答えのあとで「でも、うさぎみたいです」と言う。板書は「本当は:雲」「似ている:うさぎ」の2行にし、そこから「うさぎみたいな雲」「うさぎみたいに白い」の形を広げる。
板書案
本当は:雲 似ている:うさぎ → うさぎ みたいです。
うさぎ みたい な 雲 (N の前)
雪 みたい に 白い / 子ども みたい に 喜ぶ (A・V の前)
〔青〕改まった言い方:お城 の ようです/お城 の ような 駅
〔赤〕本当に そう? 様態:たぶん そう / 比況:ちがう(似ているだけ)
場面と発話(自作)
- 海辺の観光地で、変わった形の石を見つけて友達に言う。見て。この石、カエルみたいな形だね。
- 展望台から夕方の町を見ながら、一緒に来た友達に言う。町が絵みたいにきれいですね。
- 旅行から帰って、先生に感想を聞かれた。富士山がよく見えて、夢みたいでした。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、形の似ている写真(雲・石・建物)を見せて「〜みたいです」「〜みたいな〜」を言わせる。次に「〜みたいに+A」(雪みたいに白い・子どもみたいに喜ぶ)を練習し、最後に旅行の写真の中のものを、たとえを1つ入れて説明させる。
- 口頭形の似ている写真カード(うさぎの形の雲・カエルの形の石・お城のような駅・宝石のような夜景・絵のような景色)を見せ、「これは何ですか」「何に似ていますか」と聞いて「〜みたいです」を言わせる。続けて同じ写真で「〜みたいな〜」「〜みたいに〜」に言い換えさせる。全体→個人の順。
- ペアA は「様態」か「比況」の札が付いた文カード(今日は休みみたいです/この駅はお城みたいです など)を読み、B は「本当に休み?」「本当にお城?」と聞き返して、A が「たぶん、そう」か「ちがう、似ているだけ」と答える。札は B に見せず、B が当てたら交替。
- 産出「これ、何に見える?たとえクイズ」。学生が自分のスマホの写真か教師の写真から1枚選び、写っているものを見せずに「〜みたいな形」「〜みたいに〜」でたとえを2つ言い、ほかの学生が何かを当てる。教師は①名詞の前の「みたいな」 ②「の」を付けていないか ③様態の意味と混ざっていないか、を見る。
つまずきと手当て
- 「のようです」と混ぜて「*お城のみたいです」と言う。「みたい」の前の名詞には「の」をつけないと確かめる
- 名詞の前で「*お城みたいの駅」と言う。名詞の前は「みたいな」と板書で示す
- 「あの人は先生みたいです」を、本当に先生だと判断した意味(様態)か、先生に似ている意味(比況)か取り違える。前後の場面(本当はだれか分かっているか)で見分けさせる
既習の文型との違い
- 〜みたいです(様態)(初中級第10課)形はまったく同じで、意味だけが違います。様態は手がかりから「たぶん本当にそうだ」と判断する言い方、比況は本当はそうではないと分かっていて似ていると言う言い方です。「あの人は先生みたいです」のように両方に取れる文は、その人が先生だと知っているかどうかで決まる、と場面を2つ作って見せます。
- 〜ようです(様態)(初中級第10課)「ようです」にも比況の使い方があり、「お城のようです」「お城のような駅」と、名詞に「の」が付きます。ガイドブックや説明の文では「ような」、友達との会話では「みたいな」がよく使われます。「お城のみたいな」と混ぜる学習者には、「の」は「よう」のときだけと表で確かめます。
関連する文型
学習項目 6 受身(無生物主語)
意味・はたらき
建物・行事・物を主語にして、それがいつ・どこで・どのように作られたか、行われるかを説明する受身です。ガイドブックや案内でよく使います。する人がだれか分からないときや、言わなくてもいいときに使い、ST1 の受身のような「困った」気持ちはありません。作った人を言うときは「に」ではなく「Nによって」を使います。文法の用語では、人ではない物・事を主語にする受身(非情の受身)で、書き言葉や案内文でよく使われます。ST1 の受身とは形が同じで、気持ちが入らない点と、作った人を「によって」で言う点が違います。
接続
ST1 の受身と同じ形(Nは(いつ・どこで)V(ら)れました/V(ら)れています)
形
このお寺は600年前に建てられましたこのお祭りは毎年8月に行われますこのお酒は米から作られていますこのお皿は木で作られています
導入
- だれが建てたか分からない建物お寺の写真に「600年前」と書いたカードを添えて見せ、「だれが建てましたか」と聞く。「分かりません」が出たら、「このお寺は600年前に建てられました」と言う。板書は「(だれかが)お寺を建てました」→「お寺は 600年前に 建てられました」と書き、主語がお寺になったことを矢印で示す。
板書案
(だれかが)お寺を 建てました。
お寺は 600年前に 建て られ ました。 〔赤〕主語 = 物・建物・行事
このお祭りは 毎年 8月に 行われます。
〔青〕作った人:有名な 画家 に よって かかれました
米 から 作られます(材料が見えない)/ 木 で 作られます(材料が見える)
場面と発話(自作)
- 観光地でガイドブックを読みながら、一緒に来た友達に説明する。このお寺は600年前に建てられたそうです。
- 旅館の人が、泊まっている客(留学生)に料理のお皿を丁寧に説明する。このお皿は、この町で作られています。
- 旅行から帰って、先生に旅行先のお祭りのことを話す。そのお祭りは、毎年8月に行われるそうです。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
口頭では、建物・行事・物の写真カードに「年・場所・材料」のカードを組み合わせて受身の文を作らせる(建てる・行う・作る・使う・知る)。そのあとペアでガイド役と観光客役になり、ガイド役が写真を見せながら2〜3文で説明し、観光客役が「いつですか」「何で作られていますか」と質問する。
- 口頭建物・行事・物の写真カード(お寺・お城・お祭り・お皿・お酒・橋)に、年・場所・材料のカードを組み合わせ、「〜は〜に/で/から〜られました(〜られています)」を言わせる。動詞は建てる・行う・作る・使う・知る・呼ぶ。行事カードには「毎年」を付けて現在形で言わせ、建物の「〜年前に建てられました」と時を言い分けさせる。
- ペアA はガイド役、B は観光客役。A は写真と情報カード(年・材料・行事の時期)を持ち、B は写真だけを見て「いつ建てられたんですか」「何で作られていますか」と質問する。A は情報カードを見て受身で答え、B は聞いたことをメモする。2枚で交替し、最後に B がメモを見て内容を言い直す。
- 産出「ミニガイドツアー」。学生が自分の国か住んでいる町の建物・行事・名物を1つ選び、写真を見せながら、ガイドのように受身を2つ以上入れて30秒で紹介する(年や材料は分からなければ作り話でよい)。聞く人は質問を1つする。教師は①自動詞・他動詞の取り違え ②作った人の「によって」 ③「から/で」、を見る。
つまずきと手当て
- 作った人を「に」で言い、「この絵は有名な画家に描かれました」と言う。文として通じないわけではないが、作品や建物を作った人を言うときは「によって」がふつうなので、ガイドの説明では「によって」で言わせる
- 自動詞「建つ」を受身にして「*このお寺は600年前に建たれました」と言う。人が建てる「建てる」の受身「建てられる」を使うと、自動詞・他動詞のペアで確かめる
- 「〜から作られる」と「〜で作られる」を区別しない。材料の形が変わって見えないとき(米から酒)は「から」、材料が見えるとき(木でお皿)は「で」が多いと、写真で見せる
既習の文型との違い
- 受身(初中級第10課)ST1 の受身は人が主語で、困った・いやだったという気持ちが入り、する人は「に」で言います。この受身は建物や行事が主語で、気持ちは入らず、する人はたいてい言いません。言うときは「によって」です。同じ「建てられました」でも、ガイドの説明では迷惑の意味にはならない、と2つの場面の絵を並べて見せます。
- 〜と書いてあります(初中級第2課)「ガイドブックに『400年前』と書いてあります」は、書かれている内容を伝える言い方です。受身はその内容を自分の文として言い直す形で、「このお城は400年前に建てられました」と主語が建物になります。ガイドブックの一文を見せ、「書いてあります」で言ってから受身で言い直す練習にすると、ST2 の会話にそのままつながります。
関連する文型