日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

できる日本語 初中級 第7課「西川さんの家へ」の教案

『できる日本語 初中級 本冊 第2版』 ・ ST「初めての訪問」「一緒に作りましょう」

友達の家や知り合いの日本人の家を初めて訪ね、家の人と丁寧な日本語でやり取りし、一緒に料理を作る課です。ST1 では、家の人の動作を高める尊敬語(特別な形・お〜になります・〜れます/られます)と、自分の動作を低くする謙譲語(お〜します/ご〜します)を、誰の動作か・相手が上か内か外かで使い分けます。ST2 では台所に場面を移し、自分の国のよく知っている料理を、切り方や火の加減、手順の重なりまで説明しながら作ります。第1課の「いらっしゃいます」「Nと申します」「参りました」で決まった言い方として触れた敬語を、ここで仕組みとして整理し直すのが芯です。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目7時間90分×2コマ場面2

この課のねらい(Can-do)

  • 初めて訪ねた日本人の家で、家の人の動作には尊敬語、自分の動作には謙譲語を使って、あいさつ・質問・手伝いの申し出ができる
  • 自分のよく知っている料理の作り方を、切り方や火の加減、同時に進める手順まで含めて、家の人に説明しながら一緒に作ることができる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(前の課とのつなぎ)10分第6課で準備した旅行の話を一言ずつ聞いたあと、「今週の土曜日、友達の家へ行きます。友達のお母さんにも会います」という設定を示す。第1課の「いらっしゃいます」「Nと申します」「参りました」を板書し、「誰の動作か」で二つに分かれることを先に見せておく
ST1 初めての訪問80分家の人(友達の母・父)と留学生の絵で上下と内外を確かめる → 特別な尊敬語 → おVになります → 尊敬動詞(〜れます/られます)→ おVします/ごNします。玄関でのあいさつからお茶の席までをロールプレイでつなぐ
ST2 一緒に作りましょう70分材料と調理道具の絵(または実物)を並べ、学習者の国の料理を一つ決める → イAくV/ナA・NにV で切り方・混ぜ方 → イAくします/ナA・Nにします で火や味の調整 → Vている間に、〜 で手順を重ねる。二人一組で、説明する役と作る役を交代する
課のまとめ20分玄関でのあいさつ → お土産を渡す → 家の人に質問を2つ → 手伝いを申し出る → 自分の国の料理を説明しながら作る、を一続きのロールプレイにする。教師が家の人役を務め、敬語の向きが逆になったところだけ終わってから返す

ST1 初めての訪問

できること初めて会う年上の人に、相手の動作は高めて、自分の動作は低くして、丁寧に話せる。

場面

日本人の友達に誘われ、その友達の家を初めて訪ねる場面です。話す相手は友達の母や父で、留学生より年上の外の人なので、家の人の動作には尊敬語、自分が家の人のためにする動作には謙譲語を使います。家の人のほうは、自分の家族(夫・子ども)のことを話すときは内の人なので尊敬語を使わず、お客である留学生の動作には尊敬語を使うことがある、という向きも一緒に見せます。教室では玄関・居間の位置を床にテープで示し、お土産の袋を持たせて入るところから始めます。

  • 日本人の友達:ただいま。母です。こちらは同じクラスの留学生です。
  • 留学生:はじめまして。(名前)と申します。今日はおじゃまします。
  • 家の人:いらっしゃい。どうぞ、上がってください。
  • 留学生:これ、国のお菓子です。皆さんで召し上がってください。
  • 家の人:まあ、ありがとう。日本へ来られて、どのくらいですか。
  • 留学生:1年半です。お母さんは、私の国へ行かれたことがありますか。
  • 家の人:いいえ、私はまだなんです。主人は仕事で一度行きましたが。
  • 留学生:そうですか。お父さんは何時ごろお帰りになりますか。
学習項目 1 特別な尊敬語語彙

意味・はたらき

目上の人や初めて会う年上の人の動作を高めて言う尊敬語のうち、もとの動詞とまったく違う語になるものです。行きます・来ます・いますは「いらっしゃいます」、食べます・飲みますは「召し上がります」、言いますは「おっしゃいます」、見ますは「ご覧になります」、しますは「なさいます」、知っていますは「ご存じです」になります。訪問先では、お土産をすすめる・家の人の毎日のことを聞く、といった場面でまず要る語なので、第1課で決まった言い方として出た「いらっしゃいます」を仲間ごとここでまとめます。使うのは相手(上の人・外の人)の動作だけです。

接続

決まった動詞だけが別の語に替わる(テ形は「いらっしゃって」「召し上がって」「おっしゃって」「なさって」「ご覧になって」)

形
行きます・来ます・います → いらっしゃいます食べます・飲みます → 召し上がります言います → おっしゃいます/見ます → ご覧になりますします → なさいます/知っています → ご存じです

導入

  • 同じ「食べますか」を二人に言う黒板に二つの絵(友達と二人でおやつを食べる/友達のお母さんにお菓子を出す)を貼り、教師がまず友達役に「これ、食べる?」、次にお母さん役に向き直って「これ、召し上がりますか」と言ってみせる。学習者に「どうして違いますか」と聞き、相手が年上で、家族ではない人だからという答えを引き出す。板書は2列の表「ふつう|尊敬語」にし、食べます・飲みます → 召し上がります から1行ずつ足していく。
  • 第1課の「いらっしゃいます」を思い出させる第1課で使った「〜さんはいらっしゃいますか」を全員で言い、これが「いますか」の尊敬語だったことを確かめる。続けて「いらっしゃいます」が「行きます」「来ます」の尊敬語にもなることを、家の絵の中の人物を動かしながら見せる。

板書案

ふつう|尊敬語 〔赤〕相手の動作だけ
行きます・来ます・います → いらっしゃいます
食べます・飲みます → 召し上がります/言います → おっしゃいます
見ます → ご覧になります/します → なさいます/知っています → ご存じです
お茶を 召し上がりますか。 〔青〕自分は → いただきます(第8課)

場面と発話(自作)

  • 訪問先で、持ってきたお菓子を家の人にすすめる。よかったら、皆さんで召し上がってください。
  • 友達のお父さんが毎晩見ているというテレビ番組の話になる。このドラマ、毎週ご覧になるんですか。
  • 授業のあと、日本語学校の先生に週末の予定を聞く。先生は週末、どこかへいらっしゃいますか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、動詞カード(食べます・行きます・言います・見ます・します・知っています)を見せて尊敬語に言い換えさせ、慣れたら逆向き(尊敬語 → ふつう)も回す。次に人物カード(友達/友達のお母さん/先生)と動詞カードを同時に出し、相手に合わせて「〜ますか」で質問させる。最後に ST1 の居間の場面で、家の人役の教師に質問を三つさせる。

  1. 口頭動詞カードを1枚ずつ見せる(コーヒーを飲む絵・テレビを見る絵・駅へ行く絵・話している絵・ゴルフをする絵・道を知っている人の絵)。教師が「飲みます」と言ったら全体で「召し上がります」、次に列ごと、最後に一人ずつ当てる。慣れたら教師が尊敬語を言い、学習者がふつうの形に戻す逆向きを混ぜ、テ形(召し上がって・いらっしゃって)まで言わせる。
  2. ペアA は家の人、B は訪ねてきた留学生。B だけが質問カード(朝ご飯・好きなテレビ番組・休みの日の行き先・この歌を知っているか)を持ち、尊敬語で聞く。A は自分のことなのでふつうの形(食べます・見ます)で答える。3問ごとに役を替え、答える側が自分のことに尊敬語を使ってしまったら、聞き手が手を挙げて止める。
  3. 産出「お宅訪問インタビュー」。教師か学校の職員を年上の家の人に見立て、学習者が一人ずつ前に出て、相手のふだんの生活について尊敬語で質問を三つする。教師は、①特別な尊敬語が要る動詞で規則の形を作っていないか ②答えを聞いたあと自分のことを言う文に尊敬語が混ざっていないか、の2点だけを記録し、終わってからまとめて返す。

つまずきと手当て

  • 自分の動作にも使って「私もいただきます」のつもりで「私も召し上がります」と言う。板書の表の上に「相手の動作だけ」と書き、自分のことを言うときの「いただきます」は決まった言い方として並べて見せる(くわしくは第8課)
  • 「*ご覧します」「*ご覧なります」と形を崩す。「ご覧になります」で一語とし、「ご覧に・なります」と区切ってリズムで覚えさせる
  • 「いらっしゃいます」が行く・来る・いるのどれなのか聞き取れず、答えを取り違える。「どこへ」「どこに」「いつ」など前の語で決まることを、文をいくつか聞かせて当てさせる

既習の文型との違い

  • いらっしゃいます(初中級第1課)第1課では「〜さんはいらっしゃいますか」を、電話や受付で人がいるかを聞く決まった言い方として覚えました。この課では同じ語が「行きます」「来ます」の尊敬語にもなり、仲間に「召し上がります」「おっしゃいます」があることを表で整理します。決まった言い方として覚えた学習者は「いらっしゃいます=いる」だけと思いがちなので、「どこへ」「いつ」の付いた文で行く・来るの意味を確かめます。
  • 知っていますか/知りません(初級第13課)「ご存じですか」は相手が知っているかを聞く尊敬語で、「知っていますか」より丁寧です。答えるのは自分のことなので、「はい、ご存じです」と返すのは向きの誤りで、「はい、知っています」と答えます。打ち消しも「知りません」のままで、自分に「ご存じ」を使わないことを一緒に見せます。
関連する文型
学習項目 2 おVになります

意味・はたらき

多くの動詞から規則どおりに作れる尊敬語で、「お+Vます(ますを取った形)+になります」の形です。家の人がいつ帰るか、何を使うか、もう読んだか、など相手の動作を丁寧に聞く・話すときに使います。食べる・見る・行く・来る・いるのように特別な尊敬語がある動詞は、そちらを使います。また、見ます・寝ますのように「ます」を取ると一拍になる動詞は、この形にしません。

接続

お+Vます(ますを取った形)+になります

形
帰ります → お帰りになります待ちます → お待ちになります使います → お使いになります読みます → お読みになります

導入

  • お父さんの帰りを聞くST1 の居間の絵に、時計と空いた席を描き足し、教師が「お父さんはまだ会社です」と状況を言う。学習者に「何と聞きますか」とたずね、「何時に帰りますか」が出たら、教師が「お父さんは何時ごろお帰りになりますか」と言い直す。板書は「帰ります → 帰り(ますを取る)→ お 帰り になります」と三段にし、「お」と「になります」を色を変えて書く。

板書案

お + Vます(〔赤〕ますを取る)+ になります
帰ります → 帰り → 〔青〕お 帰り 〔青〕になります
お父さんは 何時ごろ お帰りになりますか。
〔丸〕食べます・見ます・来ます → 先に特別な尊敬語の表へ
外の人には:父は 帰ります(内の人)

場面と発話(自作)

  • 友達の家で、まだ帰っていないお父さんのことを聞く。お父さんは何時ごろお帰りになりますか。
  • アルバイト先で、店長が机に置いたままのパソコンについて聞く。店長、このパソコン、まだお使いになりますか。
  • 先生に貸してもらった本の話をしていて、先生も読んだか聞く。先生も、この本をお読みになりましたか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、動詞カード(帰ります・待ちます・使います・読みます・書きます・休みます)で「お〜になります」を作らせ、そこに食べます・見ますなど特別な尊敬語がある動詞のカードを混ぜて、そちらに切り替えさせる。次に状況カード(お父さんの帰り・お母さんの待ち合わせ・先生の本)を引かせ、ペアで質問と答えのやり取りにする。

  1. 口頭動詞カード(帰ります・待ちます・使います・読みます・書きます・休みます・出かけます)を見せ、全体で「お帰りになります」の形に替える。途中で「食べます」「見ます」「来ます」のカードを混ぜ、規則の形ではなく特別な尊敬語に切り替えられるかを個人に当てて確かめる。次に「〜ますか」「〜ましたか」の疑問の形にして言わせる。
  2. ペアA に家の人の一日の予定表(帰る時間・出かける時間・使う物)を、B には空欄の表を配る。B は「お父さんは何時ごろお帰りになりますか」のように尊敬語で聞いて表を埋め、A はふつうの形で答える(情報差)。埋まったら表を見せ合って答え合わせをし、役を替えて別の予定表で繰り返す。
  3. 産出「家の人の予定インタビュー」。訪問先で家の人に今日と明日の予定を聞く設定で、学習者が聞きたいことを自分で三つ決め、教師(家の人役)に尊敬語で質問する。そのあと聞いた内容を、クラスに「お父さんは7時にお帰りになるそうです」と一文で報告させる。教師は、ます形からの取り出し方と、特別な尊敬語のある動詞への切り替えを見る。

つまずきと手当て

  • 「*お帰るになります」「*お帰りますになります」と、辞書形やます形のまま入れる。板書の三段(ますを取る → お・になりますで挟む)を指でなぞらせる
  • 「*お見になります」「*お来になります」と、特別な尊敬語がある動詞や一拍の動詞にも付ける。特別な尊敬語の表を横に置き、先にそちらを探す順番を決める
  • 自分の家族のことを話すときにも「父は来月日本にお帰りになります」と言う。家族は話し手の側(内)なので「父は来月日本に帰ります」でよいと、ST1 の家の人のせりふ(「主人は…行きました」)と並べて見せる
  • 「お帰りになられますか」と、「お〜になります」と「〜られます」を重ねて言う。二重敬語と呼ばれ、ふつうは避ける形なので、二つの形を別の色で板書して、一つの動詞にはどちらか一つだけを使うと確かめる

既習の文型との違い

  • Vます(予定・初級第3課)「帰りますか」もです・ます体なので丁寧ですが、丁寧にしているのは聞いている相手への話し方だけです。「お帰りになりますか」は帰る人(主語)を高める言い方なので、目上の人の動作を話すときに使います。です・ますで話しているから十分と考えて尊敬語を避ける学習者には、同じ質問を友達と友達のお父さんの二人にする場面で、どちらに何を言うかを比べさせます。
  • 特別な尊敬語(この課)「食べます」「見ます」「来ます」「います」のように特別な尊敬語がある動詞は、この形にせず、そちらを使います。規則を先に覚えた学習者は「お食べになります」と作りがちで、通じはしますが、ふつうは「召し上がります」です。表で先に特別な形を探し、なければ「お〜になります」、と探す順番を決めておきます。
関連する文型
学習項目 3 尊敬動詞活用

意味・はたらき

動詞を「〜れます/〜られます」の形にして、相手の動作を高める言い方です。「お〜になります」より少し軽い丁寧さで、ほとんどの動詞に作れるので、「します」の動詞(「されます」)のように「お〜になります」にしにくい動詞でも使えます。訪問先で家の人のふだんの生活を聞くときに、改まりすぎずに丁寧さを出せます。同じ形はあとの課の受身にも出てくるので、ここでは目上の人が主語で、その人の動作を言う文に限って練習します。

接続

Iグループ:ナイ形の「ない」を取って「れます」/IIグループ:「ます」を取って「られます」/IIIグループ:来ます→来られます、します→されます

形
Iグループ:書きます → 書かれます/行きます → 行かれますIIグループ:始めます → 始められますIIIグループ:来ます → 来られます(こられます)IIIグループ:します → されます/運動します → 運動されます

導入

  • 家の人の毎日を聞くST1 の家の人の絵の横に、朝の散歩・電車・ゴルフの絵を貼り、教師が「お父さんは毎朝散歩されます。会社へは電車で行かれます」と話してみせる。学習者に「お母さんは何をされますか」と聞かせて、答えを家の人役の教師が返す。板書はグループごとに3列にし、Iグループは「行か|ない → 行か|れます」と、ナイ形からの作り方を線で区切って見せる。

板書案

〔赤〕I:行か(ない)→ 行か|れます/書か|れます
〔青〕II:始め(ます)→ 始め|られます
III:来ます → 来られます(こられます)/します → されます
お父さんは 毎朝 散歩されます。
〔注意〕食べられます・起きられます=可能と同じ形 → 迷ったら「お〜になります」

場面と発話(自作)

  • 友達の家で、お父さんの通勤について聞く。お父さんは毎日、電車で会社へ行かれるんですか。
  • 月曜日に、地域の日本語教室のボランティアの人と話す。日曜日は何をされましたか。
  • 友達のお母さんの料理がおいしくて、どこで習ったか聞く。料理はどこで習われたんですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、ナイ形をすでに知っていることを使い、教師がIグループの動詞を言う → 学習者がナイ形 → 尊敬動詞、と二段で答えさせる。II・IIIグループを混ぜたあと、家の人のふだんの生活を聞く質問カード(何時に起きる・どこで買い物する・週末に何をする)を配り、「〜れますか/られますか」でペアのやり取りにする。

  1. 口頭教師がIグループの動詞(行きます・書きます・読みます・話します)を言い、学習者がまずナイ形(行かない)、次に「行かれます」と二段で答える。続けてIIグループ(始めます・出かけます)、IIIグループ(来ます・します・運動します・料理します)を混ぜ、最後は家の人の絵(散歩・電車・新聞)を見せて「お父さんは毎朝散歩されます」と文で言わせる。
  2. ペアA は先生、B は学生。B が質問カード(どこで買い物する・週末に何をする・どんな新聞を読む・夏休みにどこへ行く)を引き、「〜れますか/られますか」で聞く。A は自分のことなのでふつうの形で答える。カードを4枚使ったら交替し、聞き手は答えを一言メモしておく。
  3. 産出「先生の休日インタビュー」。学習者が先生や学校の職員に休みの日の過ごし方を尊敬動詞で三つ聞き、次の授業でクラスに「先生は日曜日、山に登られるそうです」と報告する。教師は、Iグループをナイ形から作っているかと、IIグループで可能の意味に取れる文になっていないか(そのときは特別な尊敬語か「お〜になります」に言い換えさせる)を見る。

つまずきと手当て

  • Iグループで「*書きれます」「*行きられます」とます形から作る。ナイ形(書か・行か)を先に言わせてから「れます」を足す手順を、毎回声に出させる
  • IIグループの「起きられます」「食べられます」は可能動詞と同じ形なので、「お母さんは朝6時に起きられますか」が「起きることができますか」にも聞こえる。食べる・見る・いるなどは特別な尊敬語を使い、迷う文は「お〜になります」に言い換えると決めておく
  • 「来られます」を「*きられます」と読む。「来ます(きます)」でも「来られます」は「こられます」だと、ナイ形「こない」から作ることで確かめる

既習の文型との違い

  • 可能動詞(初中級第1課)IIグループと「来る」では、「食べられます」「来られます」のように可能動詞と同じ形になります。「先生は明日来られますか」は、来る予定を丁寧に聞いているのか、来ることができるかを聞いているのか、場面で決まります。可能の意味で受け取って「はい、来ることができます」と答える学習者がいたら、二つの意味を板書で並べ、聞く側は迷う文を「いらっしゃいますか」に言い換えると決めておきます。
  • おVになります(この課)どちらも相手の動作を高めますが、「お〜になります」のほうが丁寧さが高く、改まった場面に向きます。「〜れます/られます」は作れる動詞が多く、「運動されます」「料理されます」のように「Nします」の動詞にも使いやすいのが利点です。打ち解けてきた会話では「〜れます」、初めて会った直後のあいさつでは「お〜になります」、と場面で使い分けを見せます。
関連する文型
学習項目 4 おVします/ごNします

意味・はたらき

謙譲語で、自分が相手のために何かをするとき、自分の動作を低くして相手を高めます。訪問先では、荷物や皿を運ぶ・手伝いを申し出る・自分の国の写真を見せる、といったときに使い、第6課の「Vましょうか」と合わせて「お持ちしましょうか」の形で申し出によく使います。和語の動詞は「お+Vます(ますを取った形)+します」、「案内します」「説明します」のような漢語の「Nします」は「ご+N+します」になることが多いです(「お電話します」のような例外もあります)。第1課の「申します」「参りました」も広く言えば同じ謙譲語ですが、聞き手に改まって話すための、働きの違う形(謙譲語Ⅱ・丁重語)です。

接続

お+Vます(ますを取った形)+します/ご+N(漢語)+します

形
持ちます → お持ちします手伝います → お手伝いします案内します → ご案内します連絡します → ご連絡します

導入

  • 重そうな荷物を見て申し出る教師が家の人役で、買い物袋をいくつも持って教室の玄関(テープの位置)から入ってくる。学習者から「持ちましょうか」が出たら、教師が受け取りながら「『お持ちしましょうか』と言うと、もっと丁寧です」と返す。板書は ST1 の尊敬語の表の右に「自分が相手のためにする動作」の欄を作り、「持ちます → お 持ち します」「案内します → ご 案内 します」を書く。

板書案

相手の動作(尊敬語)|〔赤〕自分が相手のためにする動作(謙譲語)
お + Vます + します:持ちます → お持ちします
ご + N(漢語)+ します:案内します → ご案内します
お荷物、お持ちしましょうか。
〔青〕矢印:自分 → 相手 〔×〕毎朝お起きします(相手がいない)

場面と発話(自作)

  • 訪問先で、食事のあと家の人が皿を片づけ始めた。お皿、お運びしましょうか。
  • アルバイト先の店で、道に迷っている年配の客に声をかける。駅までご案内しましょうか。
  • 家の人に国の話を聞かれ、スマホの写真を見せる。私の町の写真をお見せします。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、動作の絵カード(持つ・手伝う・送る・見せる・案内する・連絡する)で「お〜します/ご〜します」を作らせ、次に「〜しましょうか」を付けて申し出の形にする。そのあと状況カード(家の人が重い荷物を持っている・お客が駅を知らない・先生にあとで結果を伝える)を引かせ、相手役とやり取りさせる。

  1. 口頭動作の絵カード(荷物を持つ・皿を運ぶ・写真を見せる・駅まで案内する・あとで連絡する・料理を手伝う)を1枚ずつ見せ、全体で「お持ちします」「ご案内します」と言う。カードを和語とNしますの二つの山に分けて出したあと、混ぜて出し、「お」か「ご」かを個人に当てて選ばせる。慣れたら「〜しましょうか」を付けて申し出の形にする。
  2. ペアA は家の人で、困っている状況カード(重い袋を持っている・お皿がたくさんある・駅への道を知らない客がいる・カメラの使い方がわからない)を1枚ずつ見せるか、しぐさで演じる。B はそれを見て「お〜しましょうか」で申し出、A は「ありがとう。お願いします」か「いいえ、大丈夫ですよ」で返す。断られたときの返し(「そうですか」)も入れ、4枚で交替する。
  3. 産出「お手伝い申し出ロールプレイ」。訪問先の居間から台所までを教室に作り、食事の前後に家の人役の教師がいろいろな作業をしてみせる。学習者は自分で気づいたことに、謙譲語で二回以上申し出る。教師は、①相手の動作に謙譲語を使っていないか ②「お」と「ご」の付け方 ③申し出のタイミング、を見て、①だけはその場で尊敬語の欄を指して直す。

つまずきと手当て

  • 相手の動作に使い、家の人に「お母さんも明日お手伝いしますか」と聞いてしまう。ST1 の板書の左右の欄(相手の動作|自分の動作)を指し、相手の動作なら「手伝われますか」「お手伝いになりますか」と左の欄から選ばせる
  • 「*お案内します」「*ご持ちします」と「お」と「ご」を取り違える。動詞カードを「和語(持つ・送る)」と「Nします(案内・連絡)」の2つの山に分けて練習する
  • 相手に関わらない自分だけの動作にも付けて「毎朝6時にお起きします」と言う。謙譲語は相手のためにする動作に使う、と荷物の申し出の場面に戻って確かめる

既習の文型との違い

  • Vましょうか(初中級第6課)「持ちましょうか」でも申し出はできますが、「お持ちしましょうか」にすると、自分の動作を低くする分だけ相手への丁寧さが増します。同じクラスの人には「持ちましょうか」、家の人や年上の客には「お持ちしましょうか」と、相手で言い分けます。
  • Nと申します/参りました(初中級第1課)「申します」「参りました」は自分の動作を低くする特別な形で、この課の「お〜します」と同じ謙譲語の仲間です。違いは、「お〜します」が相手のためにする動作に使うのに対し、「申します」「参りました」は聞き手に改まって話すための形だという点です。学習者が規則の形に重ねて「お申しします」と言ったら、特別な形はそれだけで一語だと表で見せます。
関連する文型

ST2 一緒に作りましょう

できること自分の国のよく知っている料理について、材料の切り方や手順を簡単に説明しながら一緒に作れる。

場面

訪問先で、家の人から「国の料理を教えてください」と頼まれ、台所で一緒に作る場面です。説明するのは留学生で、聞いて手を動かすのは年上の家の人なので、です・ます体で話し、自分が見せる・持つ動作には ST1 の「お〜します」を使います。教室では材料の絵カード(野菜・肉・卵・皮など)と、包丁・なべ・フライパンの絵を机に並べ、学習者が自分の国の料理を一つ選んで説明する設定にします。

  • 家の人:国の料理を教えてください。
  • 留学生:はい。じゃ、揚げ春巻きを作りましょう。まず、野菜と肉を細かく切ります。
  • 家の人:このくらいでいいですか。
  • 留学生:もう少し小さくしてください。それから、全部よく混ぜます。
  • 家の人:皮はどうしますか。
  • 留学生:私がお見せします。こうやって、きつく巻きます。
  • 家の人:じゃ、私が巻いている間に、油を温めてください。
  • 留学生:はい。油が熱くなったら、火を少し弱くして揚げます。
学習項目 1 イAくV/ナA・NにV(形容詞の副詞的用法)

意味・はたらき

形容詞や名詞を動詞の前に置いて、どのように動作をするかを言う形です。料理の説明では「細かく切ります」「よく混ぜます」「きれいに並べます」「半分に切ります」のように、切り方・混ぜ方・並べ方をくわしく伝えるのに欠かせません。イ形容詞は「〜く」、ナ形容詞と名詞は「〜に」になり、「いい」は「よく」になります。

接続

イA:〜い → 〜く+V(いい → よく)/ナA:〜な → 〜に+V/N:N+に+V

形
細かく切ります/薄く切りますよく混ぜますきれいに並べます半分に切ります/4つに切ります

導入

  • 同じ野菜を違う切り方で見せる教師がにんじんの絵(または実物と紙の包丁)を持ち、太く切ったもの・細かく切ったもの・薄く切ったものの3枚の絵を順に見せて「太く切ります」「細かく切ります」「薄く切ります」と言う。学習者に「この料理はどれですか」と料理の写真と合わせさせてから、板書を「細かい → 細かく + 切ります」「きれい → きれいに + 並べます」「半分 → 半分に + 切ります」の3行にする。

板書案

細かい → 細か〔赤〕く + 切ります
きれい → きれい〔青〕に + 並べます
半分 → 半分〔青〕に + 切ります
いい → 〔赤〕よく + 混ぜます
玉ねぎを 細かく 切って、肉と よく 混ぜます。

場面と発話(自作)

  • 友達の家の台所で、家の人に野菜の切り方を伝える。玉ねぎは細かく切ってください。
  • 寮のパーティーで、ケーキを人数分に分ける。これ、8つに切りましょうか。
  • 料理教室で、先生に盛りつけ方を教わる。お皿にきれいに並べます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、形容詞カード(細かい・薄い・厚い・強い・いい・きれい・上手)と動詞カード(切ります・混ぜます・焼きます・並べます)を1枚ずつ引かせ、組み合わせて言わせる。慣れたら ST2 の台所の場面で、説明役が「〜く/〜に+V」を一つ入れて手順を言い、作る役が絵カードで動作をしてみせる。

  1. 口頭形容詞カード(細かい・薄い・厚い・大きい・きれい・丁寧・半分・4つ)と動詞カード(切ります・混ぜます・焼きます・並べます・書きます)を教師が1枚ずつ組にして出し、全体で「細かく切ります」と言わせる。慣れたら形容詞カードだけを出し、動詞は学習者に選ばせる。「いい」のカードは必ず一度出して「よく」を確かめる。
  2. ペアA だけが料理の手順の絵(にんじんを薄く切る・卵をよく混ぜる・皿にきれいに並べる)を持ち、B に見せないで「〜く/〜に+V」で指示する。B は紙のにんじんと紙の包丁で動作をし、A が絵と合っているかを確かめる。3枚で交替する。
  3. 産出「切り方ジェスチャーゲーム」から自分の料理の説明へ。まず一人が前で切り方・混ぜ方を身ぶりだけで見せ、ほかの学習者が「薄く切ります」「よく混ぜます」と当てる。そのあと各自が自分の国の料理を一つ選び、材料の準備を「〜く/〜に+V」を三つ以上入れて口で説明する。教師はイ形容詞の「く」、ナ形容詞と名詞の「に」、「いい」が「よく」になるかの三つを聞き分ける。

つまずきと手当て

  • 「*細かいに切ります」「*細かい切ります」とイ形容詞の形を変えない。板書の矢印(い → く)を毎回指し、「細かく」だけを先に言わせてから動詞を付ける
  • 「*きれいく並べます」とナ形容詞にも「く」を付ける。カードの色をイ形容詞とナ形容詞で分け、ナ形容詞は「に」と決めておく
  • 「*いく混ぜます」と言う。「いい」だけは「よく」になることを、初級の「イAくないです」で出た「よくないです」と並べて確かめる

既習の文型との違い

  • イAくて、〜/ナA・Nで、〜(初級第8課)「細かくて、きれいです」のテ形は、形容詞を並べたり次の文につないだりする形で、動作のしかたは表しません。動詞の前で切り方を言うときはテを付けず「細かく切ります」です。「*細かくて切ります」と言う学習者には、並べる「くて」と動詞にかかる「く」を色を変えて並べます。
  • イAくなります/ナA・Nになります(初級第10課)「く」「に」の作り方は同じで、後ろが「なります」か、ほかの動詞かが違うだけです。「なります」の前では変化、「切ります」「並べます」の前では動作のしかたを表します。初級第10課の形を覚えている学習者には、作り方はもう知っていて後ろの動詞を入れ替えるだけ、と伝えると早く定着します。
関連する文型
学習項目 2 Vている間に、〜

意味・はたらき

前の動作が続いているあいだに、その時間の中で別のことをして終えることを表します。料理の説明では「お湯を沸かしている間に、野菜を切ります」のように、二つの手順を同時に進めることを伝えるのに使います。前と後ろで動作する人が違ってもよく、「私が巻いている間に、油を温めてください」と役割を分けて頼むこともできます。「間に」のあとはその時間の中で済むことで、時間全体ずっと続くことを言うときは「間」(「〜ている間、ずっと〜」)を使います。

接続

Vて+いる+間に、〜(前の人が違うときは「Nが Vている間に」)

形
お湯を沸かしている間に、野菜を切ります肉を焼いている間に、ソースを作ります私が皮を巻いている間に、油を温めてください

導入

  • 台所の時計で手順を重ねる黒板に横長の時間の線を引き、上に「お湯を沸かしています(10分)」の帯を描く。教師が「10分、何もしませんか」と聞き、学習者から「野菜を切ります」を引き出して、その帯の下の一部分に「野菜を切ります」の短い帯を書き込む。板書は「[お湯を沸かしている]間に、[野菜を切ります]」とし、短い帯が長い帯の中に収まる絵と結ぶ。

板書案

〔長い帯〕お湯を 沸かしている(10分)
 〔短い帯〕野菜を 切ります
[Vている]間に、[〜] 〔赤〕短い帯は長い帯の中
私が 皮を 巻いている間に、油を 温めてください。
〔青〕間に(中で一つ済ませる)↔ 間、ずっと(その時間全部)

場面と発話(自作)

  • 友達の家で、家の人と分担して料理を作る。私がご飯を炊いている間に、卵を混ぜてください。
  • 朝、家を出る前の準備について友達に話す。パンを焼いている間に、顔を洗います。
  • 寮で、洗濯機を回して待っている友達に声をかける。洗濯している間に、一緒にコンビニへ行きませんか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、時間のかかる動作のカード(お湯を沸かす・ご飯を炊く・肉を焼く・洗濯する)と、短い動作のカード(野菜を切る・皿を出す・部屋を片づける)を1枚ずつ引かせ、「〜ている間に、〜ます」でつなげさせる。次に ST2 の場面で、説明役が作る役に「私が〜ている間に、〜てください」と分担を頼むやり取りにする。

  1. 口頭時間のかかる動作のカード(お湯を沸かす・ご飯を炊く・肉を焼く・洗濯する・バスを待つ)と短い動作のカード(野菜を切る・皿を出す・メールを送る・飲み物を買う)を左右の手で1枚ずつ見せ、全体で「お湯を沸かしている間に、野菜を切ります」とつなぐ。慣れたら教師が長い方だけを見せ、学習者が後半を自分で考えて言う。
  2. ペアA と B が二人で料理を作る設定で、A は長い作業のカード、B は短い作業のカードを持つ。A が「私がご飯を炊いている間に」と前半を言い、B が自分のカードから「じゃ、私は卵を混ぜます」と返す。次は B から始め、頼む形「〜ている間に、〜てください」も入れる。
  3. 産出「台所タイムライン」。二人一組で自分の国の料理を一つ選び、横長の紙に時間の線を引いて、誰がいつ何をするかの段取り表を書く。できたら「Aさんが〜ている間に、Bさんは〜ます」を二つ以上入れて口頭で発表する。教師は、「間に」のあとの作業が長い作業の中で終わる組み立てになっているか、順番を言う所で「てから」を使えているかを、表と発表を見比べて確かめる。

つまずきと手当て

  • 「*お湯を沸かしている間に、ずっと座っていました」と、「間に」のあとに時間全体続くことを言う。時間の線で、長い帯の中に収まる短い帯だけが「間に」だと見せ、全体なら「間、ずっと」と言い換える
  • 「*沸かしているの間に」と「の」を入れる。名詞のときだけ「夏休みの間に」と「の」が要る、と2行並べて書く
  • 手順の順番を言いたいときにも「間に」を使い、切ってから焼くのか同時なのかが伝わらない。順番は「Vてから、〜」、同時は「Vている間に、〜」と、時間の線の上で帯の位置を比べる

既習の文型との違い

  • Vてから、〜(初級第12課)「切ってから焼きます」は一つ終えて次に移る順番で、「沸かしている間に切ります」は二つの作業が時間の上で重なります。料理の説明で全部を「てから」で言うと待ち時間に何をするかが伝わらず、全部を「間に」で言うと順番があいまいになります。時間の線に帯を描き、並ぶなら「てから」、重なるなら「間に」と見せます。
  • 〜とき、Vます(初級第11課)「〜とき」は時を示す言い方で、前の動作の長さは特に問題にしません。「〜ている間に」は前の動作が続いている時間の幅があって、その中で別のことを済ませることを言います。「ご飯を炊いているとき、野菜を切ります」も言えますが、待ち時間を使うという段取りを伝えるなら「間に」のほうがはっきりします。
関連する文型
学習項目 3 イAくします/ナA・Nにします

意味・はたらき

人が意図して物の様子を変えることを表します。料理では「火を弱くします」「少し甘くします」「肉を一口の大きさにします」のように、味や大きさ、火の加減を調整するのに使います。初級の「〜くなります/〜になります」は様子が自然に変わることで「火が弱くなります」、こちらは人が変えるので「(人が)火を弱くします」と、助詞も「が」と「を」で違います。第2課の「Nにします」(コーヒーにします)は選ぶ・決める意味で、ここの「大きさにします」とは別だと区別しておきます。

接続

イA:〜い → 〜く+します/ナA:〜な → 〜に+します/N:N+に+します(変える物には「を」)

形
火を弱くします味を少し薄くしますテーブルをきれいにします肉を一口の大きさにします

導入

  • なべの火を調節するコンロの火の絵を大・中・小の3枚用意し、教師が「火が強いです」と大の絵を見せたあと、つまみを回すしぐさをして小の絵に替え「火を弱くします」と言う。続けて、何もしないで火が小さくなる絵(ガスが切れる)で「火が弱くなりました」と言い、二つを並べる。板書は「(人が)火を 弱くします」「火が 弱くなります」の2行にし、「を」と「が」に丸を付ける。

板書案

(人が)火〔赤〕を 弱く〔赤〕します
火〔青〕が 弱く〔青〕なります(自然に)
辛い → 少し 甘く します/肉 → 一口の大きさ に します
スープが 辛いですね。お湯を 足して、薄く しましょう。
〔注意〕コーヒーにします(第2課・選ぶ)とは別

場面と発話(自作)

  • 家の人と料理をしていて、スープが少し辛すぎた。お湯を足して、少し薄くしましょうか。
  • 寮で友達と鍋の準備をしていて、テーブルの上がいっぱいだ。食べる前に、テーブルをきれいにしましょう。
  • 料理を説明していて、肉の大きさを伝える。肉は一口の大きさにしてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、絵カードの組(強い火 → 弱い火、汚い部屋 → きれいな部屋、大きい肉 → 小さい肉)を見せて「〜を〜くします/〜にします」を言わせ、ときどき自然に変わる絵を混ぜて「〜なります」と言い分けさせる。そのあと ST2 の場面で、作る役が味見をして「辛いです」「固いです」と言い、説明役が「〜くしましょう」で返すやり取りにする。

  1. 口頭前後の絵の組(強い火 → 弱い火、大きい肉 → 小さい肉、汚いテーブル → きれいなテーブル、辛いスープ → 甘いスープ)を見せ、全体で「火を弱くします」と言わせる。途中で、人が何もしないのに変わる絵(ガスが切れて火が小さくなる・置いておいたスープがぬるくなる)を混ぜ、「〜くなりました」と言い分けさせる。個人に当てるときは、教師が「人が?」「自然に?」と一言添えてから絵を見せる。
  2. ペアA は味見係、B は料理係。A が味のカード(辛い・薄い・固い・熱い・大きすぎる)を引いて「ちょっと辛いです」と言い、B が「じゃ、少し甘くしましょう」「もう少し小さくしましょうか」と調整を申し出る。A が「お願いします」と返したら次のカードへ。5枚で交替する。
  3. 産出「味の調整ロールプレイ」。家の人役の教師が学習者の料理を味見し、毎回一つ注文を出す(もう少し辛いほうが好き・子どもが食べるので小さく、など)。学習者は「〜くします/〜にします」で返事をしてから、その調整を「火を〜」「〜を足して」と手順として言う。教師は「を」と「が」の取り違えと、「Nにします」の選ぶ意味との混同だけを記録し、終わってから返す。

つまずきと手当て

  • 「*火を弱いにします」「*きれいくします」と形容詞の形を取り違える。「イAくV」と同じ「く/に」の作り方だと、前の項目の板書を横に並べて見せる
  • 「*火を弱くなります」と、「を」のまま「なります」を使う。人が変える絵には「を…します」、自然に変わる絵には「が…なります」と、絵と助詞を対にして確かめる
  • 第2課の「Nにします」(選ぶ)と混ざり、「辛いのにします」のつもりで「辛くします」と言って意味が変わる。注文の場面と台所の場面のカードを分けて、どちらの意味かを先に言わせる

既習の文型との違い

  • イAくなります/ナA・Nになります(初級第10課)「なります」は物が自然に変わること、または変わった結果を言い、変わる物に「が」が付きます。「します」は人が意図して変えることで、変える物に「を」が付きます。「*火を弱くなりました」と混ぜる学習者には、人が手を動かしている絵と動かしていない絵を並べ、絵ごとに助詞を選ばせます。
  • Nにします(初中級第2課)第2課の「Nにします」は、メニューから「コーヒーにします」と選ぶ・決める意味でした。この課の「肉を一口の大きさにします」は物の様子を変える意味で、前に変える物と「を」が来るかどうかで見分けられます。「私は辛いのにします」(選ぶ)と「スープを辛くします」(変える)を並べて書き、どちらの意味かを当てさせます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の語は、訪問の決まった言い方(おじゃまします・失礼します・お世話になります など)、家族の呼び方の内と外(母・お母さん、主人・ご主人)、台所の語(材料・調理道具・切る・混ぜる・焼く・揚げる・ゆでる)の3つに分かれます。家族の呼び方は ST1 の内外の絵で、台所の語は ST2 の材料と道具の絵カードで、どれも文の中で使わせます。料理の語は学習者の国の料理によって要る語が違うので、全員に覚えさせる基本の動詞と、本人の料理だけに要る語を分けて扱います。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • おじゃまします(おじゃまします) 人の家に入るときに言うあいさつ。帰るときは「おじゃましました」と言う。 玄関で「〜」・「〜」と言って上がる
    友達の家の玄関で、靴を脱ぐ前に。
    はじめまして。今日はおじゃまします。
  • お土産(おみやげ) 人の家を訪ねるときや旅行のあとに、相手にあげる品物。 〜を渡す・国の〜・〜を持って行く
    玄関で家の人にお菓子を渡す。
    国のお土産です。皆さんで召し上がってください。
  • 上がります(あがります) 靴を脱いで、玄関から家の中に入る。 家に〜・玄関から〜
    家の人が、玄関に立っている客に中へ入るようにすすめる。
    どうぞ、上がってください。
  • 片づけます(かたづけます) 使った物を元の場所に戻して、きれいにする。 お皿を〜・テーブルを〜・部屋を〜
    食事のあと、家の人が皿を下げ始めた。
    食べ終わったお皿、片づけましょうか。
  • 混ぜます(まぜます) 二つ以上の物が一つになるように、かき回す。 よく〜・卵を〜・肉と野菜を〜
    ボウルに材料を入れたあと、家の人に頼む。
    肉と野菜を入れて、よく混ぜてください。
  • 炒めます(いためます) 少しの油を使い、フライパンで材料を混ぜながら火を通す。 野菜を〜・強い火で〜・油で〜
    二人で料理の手順を分ける。
    玉ねぎを炒めている間に、肉を細かく切ります。
  • 揚げます(あげます) たくさんの熱い油の中に入れて、料理する。 油で〜・春巻きを〜・からっと〜
    油の様子を見ながら、手順を説明する。
    油が熱くなったら、一つずつ揚げます。
  • ゆでます(ゆでます) たくさんのお湯の中に入れて、火を通す。 卵を〜・野菜を〜・5分〜
    麺料理の作り方を説明する。
    お湯が沸いたら、麺を8分ゆでます。
  • 沸かします(わかします) 水を火にかけて、熱いお湯にする。 お湯を〜・やかんで〜・お風呂を〜
    家の人と、台所の作業を分ける。
    お湯を沸かしている間に、野菜を切りましょう。
  • 温めます(あたためます) 冷たい物やぬるくなった物を、熱くする。 油を〜・スープを〜・電子レンジで〜
    冷めた料理を出す前に、家の人に聞く。
    スープが冷めたので、もう一度温めましょうか。
  • 味見します(あじみします) 料理の味がちょうどいいか、少し食べたり飲んだりして確かめる。 スープを〜・ちょっと〜
    できあがる前に、家の人に味を確かめてもらう。
    ちょっと味見していただけませんか。
  • 細かい(こまかい) 一つ一つがとても小さい。料理では切った物の大きさを言うのによく使う。 細かく切る・〜字・〜説明
    切り方を家の人に伝える。
    にんじんは、もう少し細かく切ってください。

宿題と次のコマ

宿題は、自分の国のよく知っている料理の作り方を6文ほどで書いてくること(「〜く切ります」「〜ている間に、〜」「〜くします」を一つずつ入れる)と、訪問先の家の人にする質問を尊敬語で三つ書いてくること。次のコマの最初に、作り方を読んでもらって聞いている人が絵で手順を並べ、そのあと「料理を作ったとき、家の人が何をしましたか」と聞いて、第8課の ST1「うれしい出来事」(人にしてもらってうれしかったこと)に入ります。

よくある質問

  • 『できる日本語 初中級』第7課は何コマで終わりますか?

    90分なら2コマが目安です。1コマ目で ST1 の敬語4項目(特別な尊敬語・お〜になります・尊敬動詞・お〜します/ご〜します)を、2コマ目で ST2 の料理の3項目と課のまとめのロールプレイを扱います。敬語に初めて仕組みとして触れるクラスでは、ST1 を1.5コマに広げ、尊敬動詞の練習を次のコマの最初に回してもかまいません。

  • 尊敬語と謙譲語は、どちらから教えればいいですか?

    この課の順どおり、相手の動作を高める尊敬語を先にし、そのあとで謙譲語を足すと混乱が少なくなります。尊敬語を、特別な形 → お〜になります → 〜れます/られます と一通り練習してから、板書の表の右に「自分が相手のためにする動作」の欄を作り、謙譲語をそこに入れます。左右の欄を最初から一枚の表にしておくと、どちらの欄から選ぶかを学習者自身が確かめられます。

  • 「お帰りになります」と「帰られます」はどう違いますか?

    どちらも相手の動作を高める尊敬語で、指している動作は同じです。「お〜になります」のほうが丁寧さが高く、「〜れます/られます」は少し軽く、作れる動詞も多いという違いがあります。「お帰りになられます」のように二つを重ねると二重敬語になるので、どちらか一つを選ぶよう指導します。

  • 学習者が自分の家族のことにも尊敬語を使ってしまうときは、どうしますか?

    話し手の家族は「内」の人なので、外の人に話すときは家族の動作に尊敬語を使わない、という向きを絵で見せます。自分と家族を左、話し相手を右に描き、右の人の動作にだけ尊敬語を使うと決めると判断しやすくなります。訪問の場面では、家の人が自分の夫のことを「主人は…行きました」と話すせりふを聞かせ、家の人の側から見た内と外も一緒に確かめます。

  • 「火を弱くします」と「火が弱くなります」の違いは、どう見せればいいですか?

    人が手を動かして変える絵と、何もしないのに変わる絵を対にして見せるのがわかりやすい方法です。人が変えるなら「を…します」、自然に変わるなら「が…なります」と、助詞と動詞を組で板書します。台所の場面では、つまみを回すしぐさをしながら「弱くします」、ガスが切れた絵で「弱くなりました」と言い分けると定着します。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。