文化審議会「敬語の指針」(2007年)の5分類のうち、自分側の動作をへりくだって述べる敬語の2種類。謙譲語Ⅰは動作の向かう先を立てる敬語で、伺う・申し上げる・お届けする・拝見する などがこれにあたる。
謙譲語Ⅱ(丁重語)は向かう先を立てるのではなく、聞き手に対する改まりを示す敬語で、参る・申す・いたす・おる などがこれにあたる。「弟のところに参ります」は自然でも「弟のところに伺います」が不自然なのは、謙譲語Ⅰが立てるべき相手(弟)を持てないためである。
謙譲語Ⅱは丁寧語「ます」とともに使われるのが普通で、単独では改まりが完成しない。従来の3分類(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の「謙譲語」がⅠとⅡに分かれた、という対応関係を押さえておく。「伺う=Ⅱ、参る=Ⅰ」と入れ替えた選択肢に注意。
取引先に「あした、御社に伺います」と言うのは、訪問先の相手を立てる謙譲語Ⅰの使い方である。一方、上司に「あした、大阪へ参ります」と言うときは、大阪に立てる相手がいなくても、話している上司への改まりを示せる。これが謙譲語Ⅱの働きである。ビジネス場面の会話練習では、訪問先の相手がいるかどうかを確かめてから、伺う/参るを選ばせるとよい。
「先生にお手紙をお送りしました」は、送る先の先生を立てる謙譲語Ⅰ。「田中と申します」は、話している相手に対する改まりを示す謙譲語Ⅱ。授業では動詞を「立てる相手がいるか」で二つに分けさせると、伺う/参るの使い分けが整理しやすい。「申し上げる/申す」「存じ上げる/存じる」も同じ観点で分けられる。
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