「(さ)せる」を用いて、ある人が他者に動作をさせる、あるいはすることを許すことを表す表現。強制(子どもに薬を飲ませた)から許可・放任(子どもを遊ばせておいた)まで、幅のある意味を担う。
自動詞の使役ではヲ格とニ格の交替が起こり、「子どもを行かせる」は強制的、「子どもに行かせる」は本人の意志を認める含みが出る。他動詞の使役では目的語がヲ格を占めるため、動作をする人はニ格になる(子どもに本を読ませる)。
「見せる・着せる・寝かす・落とす」のように語そのものが使役的な意味をもつものは語彙的使役と呼ばれ、生産的な「(さ)せる」による統語的使役と区別される。「見せる」は直接的な行為、「見させる」は仕向け・許容で、意味は同一ではない — ここを同一視した選択肢に注意。
「母は子どもに野菜を食べさせた」は、子どもが嫌がっていても食べさせたという強制に読める。一方、「疲れているなら、少し休ませてあげよう」は相手の望みを認める許容である。同じ「(さ)せる」でも、文脈によって強制と許容のどちらにも傾く。授業では、前後の文脈を変えて同じ文を読ませ、どちらの意味になるかを考えさせるとよい。
学習者が職場で「きょうは早く帰らせてください」と言えば、自分の行動について許可を求める依頼になる。「〜させてください」「〜させていただけませんか」は、使役の形を自分に向けて許可を求める表現として、初中級の会話でよく扱われる。使役というと人に何かをさせる場面ばかりを思い浮かべがちなので、この用法も早めに示しておく。
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