2つの動詞が結びついて、全体で一つの動詞として働くもの。前の動詞は連用形になる。影山太郎は、性質の違う統語的複合動詞と語彙的複合動詞を区別した。
統語的複合動詞には、「読み始める」「降り出す」「書き続ける」「食べ終わる」のように後部要素が開始・継続・終了といった局面を表すもののほか、「食べすぎる」「助け合う」「書き直す」「言い忘れる」などがある。意味の上で合う前部要素となら比較的自由に組み合わせられるので、後部要素ごとに意味と使い方を教えることができる。
一方「飛び込む」「見上げる」は語彙的複合動詞で、組み合わせが限られ、全体で一つの語としてまとまった意味をもつので、語彙として一つずつ覚える必要がある。この違いが指導上の扱いを分ける。
「食べすぎる」の「すぎる」は、「飲みすぎる」「働きすぎる」「言いすぎる」のように多くの動詞に付き、意味もほぼ一定なので、一度教えれば学習者が自分で新しい語を作れる。これに対して「飛び込む」「書き込む」の「込む」は、どの動詞と結びつくかや全体の意味が語ごとに決まっていて、「すぎる」ほど自由には組み合わせられない。
学習者が「見上げる」を「見る」と「上げる」の意味を足したものと考えると、「何かを見て上に上げる」と誤解することがある。語彙的複合動詞は、前後の動詞の意味を足しても全体の意味にならないことがあるので、例文とともに一つの語として示し、意味を丸ごと覚えさせるとよい。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。