飲食店で注文する場面の「ぼくはうなぎだ」のように、「AはBだ」の形をとりながらA=Bではなく、文脈から補える述語を「だ」が代行している文。奥津敬一郎の命名として知られる。
「ぼくはうなぎだ」は「ぼくはうなぎにする/を注文する」の意で、「は」が主題を示し、そのあとに文脈に依存した説明が続く構造になっている。仲間として、主語が動作主でない「こんにゃくは太らない」(こんにゃくを食べても太らない)などのこんにゃく文がある。
英語のような主語卓越型の言語と対比して、日本語が主題卓越型であることを示す例としてよく引かれる。「は」の主題性を理解していない学習者は、「ぼくはうなぎです」を「私はうなぎという動物です」と解釈してしまう。
喫茶店で注文を聞かれて「私はコーヒーです」と答えるのは、うなぎ文の典型である。「私=コーヒー」ではなく、「私は(注文は)コーヒーです」の意味で、「です」が文脈から分かる述語の代わりをしている。場面を変えて同じ形を言わせると、「は」が主題を示していることが実感しやすい。
旅行の行き先を聞かれて「兄は北海道で、私は沖縄です」と答える文も、「兄は北海道へ行き、私は沖縄へ行く」の述語を「だ・です」が代行している。日常会話には同じ構造の文が多いので、直訳して戸惑う学習者には、省かれている述語を補わせて確かめさせるとよい。母語に同じような言い方がある学習者もいるので、母語での言い方と比べさせるのも一つの方法である。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。