限られた言語知識で意思疎通を成立させ、会話を続けるために用いる工夫。言い換え(パラフレーズ)・上位語や例で説明する・ジェスチャー・母語からの借用・聞き返しや確認要求(明確化要求)・話題の転換などが含まれる。
カナルとスウェイン(Canale & Swain, 1980)のコミュニケーション能力のモデルでは方略的能力として位置づけられ、文法能力・社会言語能力と並ぶ構成要素とされる。のちにカナル(Canale, 1983)が談話能力を加え、4つの能力のモデルとした。
学習ストラテジーが「学ぶための工夫」であるのに対し、こちらはその場で通じさせるための工夫という違いを押さえること。教室で明示的に練習でき、「語彙が完璧になるまで会話できない」という思い込みを解く効果がある。ただし、自信のない形式を使わない回避も方略の一種であり、多用すると誤用が表面化せず化石化につながりうる点も問われる。
「洗濯ばさみ」という語を知らない学習者が、「あの、服を干すとき、落ちないように止める…」と説明したり、手で挟む動作をしてみせたりする。前者は言い換え、後者はジェスチャーにあたる。語を知らなくても意図を伝えて会話を続けられれば、相手から正しい語を教えてもらうきっかけにもなる。
教室では、知っている語だけで物を説明させるゲームや、「もう一度お願いします」「〜というのは何ですか」といった聞き返しの表現を初級のうちから練習させることができる。反対に、難しい話題になると話題を変える、使えない文型を避けるといった回避が続く場合は、教師が気づいて、その形式を使う機会を意図的に作る必要がある。
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