日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

できる日本語 中級 第6課「地図を広げる」の教案

『できる日本語 中級 本冊 第2版』 ・ できること5つ(見つけた!・耳でキャッチ・こんなときどうする?・見つけた!・伝えてみよう)

自分のふるさとや、これまでに住んだ町の地形・気候と、それに合わせた暮らしを説明し合い、お互いの土地への理解を深める課です。地理や町の様子の説明を読む(1)、気候に合わせた建物の工夫を聞く(2)、気候が合わずに体調を崩した友達に助言する(3)、町の成り立ちや歴史の説明を読む(4)と、日本の土地について読み・聞き・話したことを材料にして、最後に自分のふるさとの名物や季節の行事を紹介します(5)。文型は「〜に囲まれた」「〜を占める」「〜を中心に」「〜ことから」のような、地理や歴史の説明文に出る書き言葉が中心なので、読む・聞く ST では意味が取れることを先に、話す ST では会話で使える形(「〜に限る」「〜といえば」)を使えることをめざします。前の課で災害の速報や避難の注意を扱ったので、「〜に備えて」は防災の話題からつなげられます。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面、やり取りの例はすべて自作です。課・ST の題と学習項目の表記は出版社のシラバス一覧(第2版)に合わせています。
学習項目14時間90分×5コマ場面5

この課のねらい(Can-do)

  • 地形や町の様子、気候を説明した文章を読んで、その土地がどんな所かをつかめる
  • 建物の説明を聞いて、気候に合わせてどんな工夫がされているかを聞き取れる
  • 気候が合わずに体調を崩した友達の話を聞いて、具体的な例を挙げながら助言できる
  • 町の特徴や歴史を説明した文章を読んで、町の中心・成り立ち・名前の由来をつかめる
  • 自分の国やふるさとの地形・気候を生かした名物や季節の行事を、聞き手に分かるように紹介できる

進め方と時間配分

目安は 90分×5コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入15分教室に日本地図と学習者の国の地図を貼り、「みなさんのふるさとは山の町ですか、海の町ですか」「夏と冬はどのくらい違いますか」と聞いて、地形と気候のことばを集める。前の課の防災の話から「台風が多い地方の家はどうなっているか」と問いを残しておく
1 見つけた!75分(1コマ目)自作の地域紹介の文章(山に囲まれた盆地の町)を読む。地形・面積・天気の書き方として「〜に囲まれた」「〜を占める」「〜がち」「〜に比べ(て)」を確かめ、内容を図にまとめる
2 耳でキャッチ60分(2コマ目)自作の音声(古い民家の案内の説明)を聞く。「〜に備えて」で何に対する工夫か、「〜に代わって」で何が何に変わったかを聞き取り、表に書き込む
3 こんなときどうする?80分(2〜3コマ目)夏の暑さや冬の寒さで体調を崩した友達の話を聞き、「〜のような」で例を挙げ、「〜として」で目的・立場を示し、「〜に限る」で自分のおすすめを言うロールプレイ
4 見つけた!90分(3〜4コマ目)自作の町の案内文(港町の成り立ち)を読む。「〜を中心に」「〜を通じて」「〜をはじめ」「〜ことから」で、町の中心・一年の様子・代表的な名所・名前の由来を読み取る
5 伝えてみよう90分(準備40分・発表50分)「〜といえば」で始めて、ふるさとの地形や気候を生かした名物・行事を1〜2分で紹介する。聞き手は質問を一つずつ返す
課のまとめ40分クラスの地図に、紹介し合った町の名物と気候を書き込んで掲示し、日本の町と比べて似ている所・違う所を話し合う

1 見つけた!

できること地形や町の様子、気候を説明した文章を読んで、その土地の暮らしを想像できる。

場面

日本に来たばかりの留学生が、引っ越し先の町について市の紹介文を読む場面です。教室では、架空の盆地の町を紹介する200字ほどの文章を自作し、地図の絵(山・川・田んぼ・町の中心)と一緒に配ります。読んだあと、地図の絵に「山」「川」「田畑」「中心街」を書き込ませ、文章の数字(割合)を図にさせると、読み取れたかが目で確かめられます。

  • 紹介文:みずほ町は、四方を山に囲まれた盆地の町です。
  • 紹介文:町の面積のおよそ7割を森林が占め、町の中心を川が流れています。
  • 紹介文:夏は昼と夜の気温の差が大きく、海沿いの町に比べて、夜は涼しく過ごせます。
  • 紹介文:一方、冬は曇りがちで、雪が多い年には1メートル以上積もることもあります。
  • 紹介文:この気候を生かして、町では昔から果物やそばが作られてきました。
学習項目 1 〜に囲まれている/〜に囲まれた

意味・はたらき

「囲む」の受身で、ある場所の周りがすべて山や海などである状態を表します。地理の説明では「町は山に囲まれている」のように文の終わりに、または「山に囲まれた町」のように名詞の前に置いて使います。「〜に面している」は一つの方向だけが海や道に接していることなので、周りぜんぶを表す「〜に囲まれている」とは違います。人について「家族に囲まれて暮らす」のようにも使い、その場合は温かい感じが出ます。

接続

N+に囲まれている/N+に囲まれた+N(材料を言うときは「N+で囲まれた」も使う)

形
町は山に囲まれている海に囲まれた島緑に囲まれた公園高い壁で囲まれた庭(材料)

導入

  • 地図の絵に線を引く黒板に町の点を描き、その周りに山を少しずつ描き足しながら「北に山があります。南にも山があります。……町の周りは全部山です」と言ったあと、「この町は山に囲まれています」と言う。次に海に一方だけ接した町を描いて「この町は海に面しています」と並べ、違いを確かめる。板書は「N に 囲まれている」「N に 囲まれた + 町」の2行。

板書案

N に囲まれている / N に囲まれた + N
町は山に囲まれている。
海に囲まれた島
〔青〕山が町を囲む → 町は山に囲まれる(が・を → は・に の入れ替わりを矢印で)
〔赤〕周りぜんぶを円で描く / 一方だけの絵には「〜に面した」

場面と発話(自作)

  • 引っ越し先の町について、国の家族にメッセージで説明する。今住んでいる町は山に囲まれていて、夏の夜は意外と涼しいよ。
  • 旅行のパンフレットで、泊まる宿の場所を確かめる。この宿は、静かな森に囲まれた所にあるそうです。
  • ふるさとの島について、クラスで紹介する。私のふるさとは、きれいな海に囲まれた小さな島です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、地図の絵カード(山・海・田んぼ・ビルなどに囲まれた町)を見せて「この町は〜に囲まれています」「〜に囲まれた町です」の両方を言わせる。そのあと自分のふるさとや今住んでいる町を「〜に囲まれた」を使って一文で説明させ、ST1 の紹介文の書き出しにつなげる。

  1. 口頭教師が地形の絵カードを見せ、学習者が「〜に囲まれています」と「〜に囲まれた〜です」の2つの形で言う。キューは、山の中の町の絵→「この町は山に囲まれています」、海の中の島→「海に囲まれた島です」、高いビルの間の公園→「ビルに囲まれた公園です」。全体→列ごと→一人ずつの順に、文の終わりの形と名詞の前の形を交互に言わせる。
  2. ペア情報差の地図。A は町の周り(山・海・川・田畑)が描かれたカード、B は町だけが描かれた白地図を持つ。A が「この町は三方を山に囲まれていて、南は海に面しています」のように説明し、B が白地図に描き込む。描き終わったらカードと見比べ、役を替えて別の町でもう1回。
  3. 産出「ふるさと地図スピーチ」。自分のふるさとや今住んでいる町を「〜に囲まれた」を入れた2〜3文で説明し、聞き手の一人が黒板に簡単な地図を描く。教師は、受身の助詞「に」が言えているか、周りぜんぶか一方だけか(囲まれた/面した)を描かれた地図で確かめ、ずれていたらその場で言い直させる。

つまずきと手当て

  • 「*町は山を囲まれている」と、受身なのに「を」を使う。「山が町を囲む → 町は山に囲まれる」と、能動と受身を矢印で並べて助詞の入れ替わりを見せる
  • 「*山に囲んでいる町」と能動の形を使う。「囲んでいる」のは山のほう、町は「囲まれている」ほうだと、絵の中で主語を指して確かめる
  • 一方だけ海がある町を「海に囲まれた町」と言う。誤りではないが意味が違ってしまうので、「〜に面した」と絵で比べる

既習の文型との違い

  • 受身(無生物主語)(初中級 第10課)初中級の受身は「〜が作られた」「〜が行われた」のように、物を主語にして出来事を述べる形が中心でした。この課の「〜に囲まれている」は出来事ではなく、地形の今の状態を述べる使い方で、文の終わりは「ている」、名詞の前は「た」の形になります。「町は山に囲まれる」と辞書形で言うと説明文として落ち着かないので、状態の形にそろえさせます。
関連する文型
学習項目 2 (〜が)〜を占める/〜が占める

意味・はたらき

全体の中で、あるものがどのくらいの部分・割合になっているかを表します。「森林が町の面積の7割を占める」のように、主語にその部分、「を」の前に全体の中の割合や部分を置きます。「〜が占める割合」のように名詞の前に置く形もよく使います。「〜は全体の7割だ」と同じ内容ですが、「占める」は書き言葉で、地理・統計の説明文やグラフの説明によく出ます。状態を言うので、文の終わりは「占めている」の形も多いです。

接続

N1(部分)が+N2(全体)の+[割合・部分]+を占める/N1が占める+N(割合・面積など)

形
森林が面積の7割を占める留学生がクラスの半分を占めている米が農業の生産額の多くを占める高齢者が占める割合

導入

  • 円グラフを読む架空の町の土地の使われ方を表す円グラフ(森林70%・田畑20%・住宅地10%)を見せ、「森林はどのくらいですか」と聞いて「7割です」を引き出す。教師が「森林が町の面積の7割を占めています」と言い直し、板書で「[部分]が [全体]の [割合]を 占める」の枠に入れる。続けて「森林が占める割合」と名詞の前に置いた形も並べる。

板書案

N1(部分)が N2(全体)の[割合]を占める
森林が町の面積の7割を占めている。
N1 が占める + 割合・面積
〔赤〕円グラフの扇形 → 「が」
〔青〕全体の◯割 → 「を」(7割・半分・3分の1)

場面と発話(自作)

  • ゼミの発表で、ふるさとの産業を円グラフで説明する。私の国では、観光業が国の収入の3割ほどを占めています。
  • クラスのアンケートの結果をまとめて報告する。「自炊をする」と答えた人が、全体の半分以上を占めました。
  • 町の紹介文を読んで、内容を確かめる。この町では、田畑が占める面積が年々減っているそうです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、円グラフや帯グラフのカードを見せて「〜が〜の〜を占めています」を言わせ、次に「〜が占める割合は〜です」の形に言い換えさせる。最後にクラスのアンケート(出身地・通学の方法など)をその場で取り、結果を「占める」で報告させる。

  1. 口頭自作の円グラフ・帯グラフのカードを見せ、「〜が〜の〜を占めています」と言わせる。キューは、「町の面積:森林70%」→「森林が町の面積の7割を占めています」、「クラス:アジア出身80%」→「アジア出身の学生がクラスの8割を占めています」、「生活費:家賃40%」→「家賃が生活費の4割を占めています」。言えたら同じカードで「〜が占める割合は〜です」に言い換えさせる。
  2. ペアA と B は同じ題のグラフを持つが、数字が半分ずつしか書かれていない。「何がいちばん大きな割合を占めていますか」「田畑は面積のどのくらいを占めていますか」と聞き合い、自分のグラフを完成させる。終わったら役を替えて別のグラフで。
  3. 産出「クラス統計レポート」。クラスで簡単なアンケート(ふるさとは山・海・平野のどれか、通学の方法など)を取り、結果を「〜が全体の〜を占める」を入れて3文で報告する。話したあと同じ内容を書かせる。教師は「が」「を」の位置と、割合の言い方(7割・半分・3分の1)を見る。

つまずきと手当て

  • 「*町の7割に森林が占める」と助詞を取り違える。「〜が」「〜を」の位置を枠で固定し、「何が?」「どのくらいを?」と2つの質問で確かめる
  • 部分と全体を逆にして「町の面積が森林の7割を占める」と言い、意味が通らなくなる。円グラフの扇形を指して「占めるのは、この部分」と主語を確かめる
  • 会話で「うちのクラスは中国人が半分を占めるよ」のように使い、硬く聞こえる。誤りではないが、話し言葉なら「半分ぐらいが中国人だよ」と言うほうが自然だと示す
  • 「占める(しめる)」を「占う(うらなう)」と読み間違える。送り仮名の違いを板書で並べる

既習の文型との違い

  • 〜に囲まれている/〜に囲まれた(第6課)どちらも地理の説明文に出ますが、「〜に囲まれている」は周りに何があるかという位置、「〜を占める」は全体の中のどのくらいかという量を述べます。同じ町の紹介でも、地図の絵には「囲まれた」、円グラフには「占める」と、見せる図を変えると混ざりません。
関連する文型
学習項目 3 〜がち

意味・はたらき

そうなることが多い、そういう傾向がある、という意味で、多くはよくないことに使います。天気なら「曇りがち」「雨がち」、体なら「病気がち」、行動なら「忘れがち」「遅れがち」のように言います。「〜やすい」は物の性質やそうなる可能性(このペンは書きやすい/割れやすい)にも使えますが、「〜がち」は回数が多いこと・その傾向に使い、よいことにはあまり使いません。「〜気味」は「少しそういう感じがする」という程度を表し、「風邪気味」「疲れ気味」のように今の状態に使います。

接続

Vます形(ます を取った形)+がち/N+がち(「〜がちだ」「〜がちな+N」「〜がちに」と、ナ形容詞のように使う)

形
冬は曇りがちだ忙しいと、食事を抜きがちになる子どものころは病気がちだった留学生が間違えがちな言葉

導入

  • 1か月の天気カレンダーを見る架空の町の冬の天気カレンダー(雲のマークが多く、ときどき晴れ)を見せ、「晴れの日はどのくらいありますか」「雲が多いですね」と確かめてから、「この町の冬は曇りがちです」と言う。続けて教師が「わたしは忙しいと、朝ご飯を抜きがちです」と自分のよくない習慣を言ってみせ、板書を「Vます + がち」「N + がち」の2行にする。

板書案

Vます + がち / N + がち
冬は曇りがちだ。
忙しいと、食事を抜きがちになる。
〔赤〕忘れます → 忘れ + がち(ます を消す)
〔青〕よくないことが何度も → がち / 今、少し → 気味

場面と発話(自作)

  • 天気予報で、来週の天気を伝えている。来週は前線の影響で、雨がちの天気が続くでしょう。
  • 寮の友達に、一人暮らしの悩みを話す。一人だと、どうしても夜更かししがちなんだよね。
  • 先生が、作文の注意点を説明する。これは、みなさんが間違えがちな表現なので、気をつけてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、動詞カード(忘れる・遅れる・休む・食べすぎる など)と名詞カード(曇り・病気・留守)を見せて「〜がちです」に変えさせる。そのあと「冬になると」「試験の前は」「一人暮らしだと」などの状況カードを引かせ、自分がそうなりがちなことを言わせてから、ST1 の紹介文の天気の書き方に戻る。

  1. 口頭動詞カードと名詞カードを見せ、「〜がちです」に変えさせる。キューは、「遅れます」→「遅れがちです」、「曇り」→「曇りがちな天気です」、「病気」→「子どものころは病気がちでした」。次に「冬になると」「試験の前は」「一人暮らしだと」のような状況カードを出し、そのときなりがちなことを言わせる。
  2. ペア「あるある当て」。A が状況カード(梅雨・テストの前・一人暮らし)を読み、B が「〜がちだよね」と2つ予想する。A は自分の経験で当たり外れを言い、理由を1文足す。3枚で役を交替する。
  3. 産出「季節の困りごと紹介」。ふるさとの季節ごとになりがちなこと(雨季は洗濯物が生乾きになりがちだ、など)を「〜がちだ」で3文書いて発表する。教師は、ます形・名詞への接続と、よいことに使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*寒いがち」「*静かがち」と形容詞につける。「がち」の前は動詞のます形か名詞だけと、枠で示す。寒さを言いたいときは「寒い日が多い」と言い換える
  • 「*忘れるがち」と辞書形につける。「忘れます → 忘れ + がち」と、ます を取る動作を板書で見せる
  • 「この町は晴れがちで、気持ちがいい」のように、よいことに使って不自然になる。誤りではないが、よいことには「晴れの日が多い」が自然だと示す
  • 「〜気味」と混ぜて「今日は少し風邪がちだ」と言う。今の少しの状態は「風邪気味」、何度もなるのは「風邪をひきがち」と、時間の線の図で分ける

既習の文型との違い

  • Vやすいです(傾向・性質)(初中級 第12課)「〜やすい」は物の性質やそうなる可能性(このコップは割れやすい)にも使えますが、「〜がち」は実際にそうなる回数が多いことを言い、物の性質には使いにくい形です。「このコップは割れがちだ」は不自然で、「冬は風邪をひきやすい/ひきがちだ」のように人の傾向ならどちらも言えます。
  • 〜気味(中級 第12課)「〜気味」は「少しそういう感じだ」という今の状態の程度で、「〜がち」は何度もそうなる傾向です。「最近、疲れ気味だ(今、少し疲れている)」と「冬は風邪をひきがちだ(何度もひく)」を時間の線の上で比べると分かれます。
関連する文型
学習項目 4 〜に比べ(て)

意味・はたらき

あるものを基準にして、もう一つのものの程度を比べるときに使います。「海沿いの町に比べて、盆地の町は夜が涼しい」のように、前に比べる基準、後ろに比べた結果を言います。初級の「〜より」とほぼ同じ内容ですが、「〜に比べ(て)」は基準をはっきり示して述べる言い方で、説明文やレポートでよく使います。「比べ」は書き言葉の中止形で、「比べて」はどちらにも使います。「〜と比べて」もほぼ同じ意味です。

接続

N+に比べ(て)/V・イA普通形+の+に比べ(て)/ナAな+の+に比べ(て)

形
東京に比べて、ここは冬が寒い去年に比べ、雨の日が少なかった電車で行くのに比べて、バスは時間がかかる

導入

  • 2つの町の気温の表を比べる2つの架空の町の月ごとの気温の表を並べて見せ、「8月の夜、どちらが涼しいですか」と聞いて答えを引き出してから、「海沿いの町に比べて、山の町は夜が涼しいです」と言う。「〜より」の文(山の町は海沿いの町より涼しい)と並べて板書し、意味は同じで、「に比べて」は基準を先に言う形だと示す。

板書案

N + に比べ(て)、〜
V・イA + の + に比べ(て)
海沿いの町に比べて、盆地の町は昼と夜の気温の差が大きい。
〔赤〕[基準]に比べて +[結果:多い・少ない・〜い]
〔青〕「A は B より〜」と並べて書き換える

場面と発話(自作)

  • 国の友達に、日本の冬についてメッセージを送る。ふるさとに比べて、こっちの冬は乾燥していて、肌がかさかさになるよ。
  • アルバイト先で、店長が今月の売り上げを話す。先月に比べて、お客さんが少し増えていますね。
  • レポートで、2つの国の生活を比べて書く。日本は私の国に比べ、公共の交通機関が時間どおりに来る。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、2つの物・町・季節のカードを並べて、比べる観点(気温・人の数・物の値段)のカードと一緒に出し、「〜に比べて、〜は〜」を言わせる。慣れたら動詞の文(自転車で行く/歩いて行く)を「〜のに比べて」でつなげさせ、最後に自分のふるさとと今の町を比べて一文で言わせる。

  1. 口頭2つの町や年の数字が書かれたカードを見せ、「〜に比べて、〜は〜です」と言わせる。キューは、「A市 30度/B市 25度」→「A市に比べて、B市は涼しいです」、「去年の雨/今年の雨」→「去年に比べて、今年は雨が少ないです」、「電車で行く 30分/バスで行く 50分」→「電車で行くのに比べて、バスは時間がかかります」。最後に「より」の文を言わせてから「に比べて」に言い換えさせる。
  2. ペアA は町X、B は町Y の情報カード(気温・人口・家賃)を持つ。相手の町の数字を聞いてから、「Xに比べて、Yは〜」と比べた結果を言い合い、2人で比べる表を埋める。カードを替えてもう1回。
  3. 産出「ふるさと・今の町 比べっこ」。自分のふるさとと今住んでいる町を、気候・物価・交通の3点で比べて「〜に比べて」で3文書き、発表する。教師は、後ろに比べた結果(程度のことば)があるかと、動詞・形容詞の「のに比べて」を見る。

つまずきと手当て

  • 「*去年を比べて」「*東京が比べて」と助詞を取り違える。「〜に比べて」を一つのかたまりとして板書で囲む
  • 動詞やイ形容詞に直接つけて「*歩くに比べて」「*雨が多いに比べて」と言う。「〜のに比べて」と「の」が要ることを、名詞の「Nに比べて」と並べて示す
  • 前に基準を言ったのに、後ろで比べた結果を言わずに「東京に比べて、大阪には大きな城がある」のような文にして不自然になる。「に比べて」の後ろは「多い・少ない・寒い」のような程度の言葉が来ると、表の数字で確かめる

既習の文型との違い

  • 〜は〜よりAです(初級 第6課)「AはBより〜」は比べる相手を「より」で示し、会話でも使う基本の形です。「Bに比べて、Aは〜」は基準を先に出して述べる言い方で、説明文やレポートに向きます。内容はほぼ同じなので、初級の文を言い換える練習から入ると、書き言葉の形として受け入れやすくなります。
関連する文型

この場面のことば・表現

  • 地形や町の様子、気候を説明するときのことば・表現地形の名前(盆地・平野・半島・海沿い・山あい)、町の様子(中心街・住宅地・田畑が広がる)、気候(気温の差・湿度・降水量・温暖・冷涼)を、地図の絵の上で指しながら確かめます。説明文では「〜が広がる」「〜が流れる」「〜に面する」のように、動詞で地形を表すことが多いので、名詞と動詞をセットで覚えさせます。例:「南に海が広がる」「町の東を川が流れる」「海に面した町」「山あいの村」「一年を通して温暖な気候」「冬は乾燥した晴れの日が続く」。

2 耳でキャッチ

できること建物の工夫についての解説から、その地域の気候に合わせた作りとその理由を聞き取れる。

場面

見学に行った古い民家で、案内の人が建物の説明をするのを聞く場面です。教室では、雪の多い地方の家と台風の多い地方の家の写真(または絵)を見せたあと、教師が自作した1分ほどの案内の説明を読み上げるか録音して流します。聞く前に「何に対する工夫か」「昔と今で何が変わったか」の2列の表を配り、聞きながら書き込ませます。

  • 案内:こちらの家の屋根は、とても急な角度になっていますね。
  • 案内:これは、冬の大雪に備えて、雪が自然に落ちるように作られているんです。
  • 案内:また、窓が小さく、壁が厚いのも、寒さを家の中に入れないための工夫です。
  • 案内:昔は屋根に植物のかやを使っていましたが、今はかやに代わって、軽くて丈夫な金属の屋根が増えています。
  • 案内:では、中に入って、いろりのある部屋を見てみましょう。
学習項目 1 〜に備えて

意味・はたらき

これから起こるかもしれないことに対して、前もって準備をすることを表します。「冬の大雪に備えて、屋根を急にする」「地震に備えて、水を用意しておく」のように、前に起こりうること、後ろにする準備を言います。「〜のために」は目的を広く表しますが、「〜に備えて」は災害・病気・試験など、来るかもしれない事態に対する準備に使うのが特徴です。「〜に備えた+N」(地震に備えた家)、書き言葉では「〜に備え、」の形もあります。

接続

N+に備えて/V辞書形+の+に備えて/N+に備えた+N/N+に備え(書き言葉)

形
台風に備えて、窓に板を打ちつける地震に備えた非常用の袋急に雨が降るのに備えて、傘を持ち歩く

導入

  • 非常用の袋の中身を出す前の課の防災の話を思い出させ、非常用の袋(実物か絵)から水・懐中電灯・電池を一つずつ出しながら「これは何のためですか」と聞く。「地震や停電に備えて、準備しておきます」と言い、板書で「[起こるかもしれないこと]に 備えて、[準備]」の枠にする。次に雪の多い地方の家の絵を見せて、「大雪に備えて」で建物の話に移る。

板書案

N + に備えて / N + に備えた + N
台風に備えて、窓に板を打っておく。
地震に備えた家
〔赤〕時間の線:準備 ──→(起こるかもしれないこと)
〔青〕災害に 備える / 設備を 備える(意味が違う)

場面と発話(自作)

  • 台風が近づいている日、アパートの管理人が住んでいる人に注意する。強い風に備えて、ベランダの物は部屋の中に入れてください。
  • 古い民家の見学で、案内の人が床の高さを説明する。この家は、川があふれたときに備えて、床が高く作られているんです。
  • 試験の前の週に、友達と勉強の計画を話す。来月の試験に備えて、毎日一時間は聴解の練習をしてるんだ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、起こりうること(台風・停電・大雪・試験・面接)のカードを見せ、「〜に備えて、何をしますか」と聞いて準備を答えさせる。そのあと建物の絵(急な屋根・高い床・石をのせた屋根)を見せて「〜に備えて、〜ように作られている」と説明させ、ST2 の聞き取りの表の言葉に戻す。

  1. 口頭起こるかもしれないことのカードを見せ、準備を言わせる。キューは、「台風」→「台風に備えて、水と食べ物を買っておきます」、「大雪」→「大雪に備えて、屋根が急になっています」、「面接」→「面接に備えて、話す練習をしています」。初中級の「Vておきます」と組み合わせて言わせる。
  2. ペアA が状況カード(来週、台風が来る/冬に大雪が降る地方に引っ越す)を読み、B が「〜に備えて、〜」で準備を2つ言う。A はいちばん大事だと思うほうを選んで理由を言う。役を替えて3回まわす。
  3. 産出「ふるさとの家の工夫発表」。ふるさとの家や町が、雨季・暑さ・寒さ・川の水などに備えてどんな作りになっているかを簡単な絵に描き、「〜に備えて、〜ようになっている」を入れて説明する。教師は助詞「に」と、まだ起きていないことに使えているかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*地震を備えて」と「を」を使う。「〜を備える」は「設備をそろえて持つ」という別の意味になることを示し、「災害に 備える」と「設備を 備える」を並べて板書する
  • すでに起きていることに使って「今、雨が降っているのに備えて、傘をさす」と言い、不自然になる。「備える」はまだ起きていないこと、と時間の線の上で「準備 → 起こるかもしれないこと」の順を示す
  • 目的を何でも「〜に備えて」で言い、「日本語が上手になるのに備えて、勉強する」のように不自然な文にする。誤りではないが、目指すことには「〜ために」、来るかもしれない事態には「〜に備えて」と分ける

既習の文型との違い

  • Vておきます(準備)(初中級 第6課)「Vておきます」は準備の行為そのものを言う形で、何のための準備かは言いません。「〜に備えて」はその準備が何に対するものかを前に示す形なので、「台風に備えて、水を買っておく」のように組み合わせて使えます。
  • Vるために、〜/Nのために、〜(目的)(初中級 第3課)「〜ために」は目指すことを広く表しますが、「〜に備えて」は起こるかもしれない事態に対する準備です。「合格するために勉強する」は自然でも、「合格に備えて勉強する」とは言いにくく、「試験に備えて勉強する」なら言えます。
関連する文型
学習項目 2 〜に代わって/〜に代わり

意味・はたらき

一つは、それまでのものの代わりに別のものが使われるようになったことを表します(かやに代わって、金属の屋根が増えている)。もう一つは、ある人の代わりに別の人が何かをすることを表します(社長に代わって、部長があいさつする)。「〜の代わりに」は日常の小さな取り替え(肉の代わりに豆腐を使う)にも使える会話的な言い方ですが、「〜に代わって」は時代の移り変わりや役目の交代を述べるやや硬い言い方です。「〜に代わり」は書き言葉で、文の途中で使います。

接続

N+に代わって/N+に代わり(書き言葉)/N+に代わる+N

形
木に代わって、コンクリートの家が増えた担当者に代わって、ご説明します石油に代わるエネルギー

導入

  • 昔と今の写真を並べるかやぶき屋根の家と金属屋根の家の絵を左右に並べ、「昔の屋根は何でしたか」「今は?」と聞いてから、矢印を引いて「かやに代わって、金属の屋根が使われるようになりました」と言う。次に教師が「今日は田中先生がお休みなので、私が田中先生に代わって授業をします」と言ってみせ、人の交代の使い方も見せる。板書は「[前のもの]に 代わって、[新しいもの]」。

板書案

N1 に代わって、N2 が〜
かやの屋根に代わって、金属の屋根が増えた。
N に代わる + N
〔赤〕N1 → N2 の入れ替わりの矢印(昔 → 今)
〔青〕代わる=入れ替わる / 変わる=様子が変わる

場面と発話(自作)

  • 見学先で、案内の人が家の移り変わりを説明する。最近は、いろりに代わって、ストーブで部屋を暖める家がほとんどです。
  • 会社の朝礼で、課長が休みの部長の伝言を読む。今日は部長に代わって、私から今月の目標をお伝えします。
  • レポートで、町の移り変わりについて書く。商店街に代わり、駅前の大きな店に買い物客が集まるようになった。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、昔と今の組み合わせカード(手紙/メール、現金/カード、馬/車)を見せて「〜に代わって、〜が使われるようになった」を言わせる。次に人の交代のカード(先生→先輩、店長→アルバイト)で「〜に代わって〜が〜する」を言わせ、最後に ST2 の説明で何が何に代わったかを表に書かせる。

  1. 口頭昔と今の組み合わせカードを見せ、「〜に代わって、〜が使われるようになりました」と言わせる。キューは、「手紙→メール」「いろり→ストーブ」「馬→車」。次に人のカード(担任の先生→副担任の先生、店長→アルバイトの先輩)で「〜に代わって、〜が〜します」と役目の交代を言わせる。
  2. ペア「昔と今クイズ」。A が昔の物や習慣を言い、B が今それに代わっている物を「〜に代わって、〜」で答える。A は自分の国ではどうかを一言足す。3問で役を交替する。
  3. 産出「暮らしの移り変わりメモ」。ふるさとの家や暮らしで、何が何に代わったかを2つ挙げ、「〜に代わって〜ようになった。そのため〜」の形で書いて発表する。教師は「代わる/変わる」の取り違えと、日常の小さな取り替えに使って硬くなっていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*かやを代わって」と助詞を取り違える。「〜に代わって」をかたまりで板書し、「何に?」と聞いて確かめる
  • 「代わって」を「変わって」と書き、「木の家に変わって」(木の家になって)と別の意味になる。「代わる=入れ替わる」「変わる=様子が変わる」を、入れ替わりの矢印と変化の矢印で描き分ける
  • 日常の小さな取り替えに使って「コーヒーに代わって、お茶を飲みます」と言い、硬く聞こえる。誤りではないが、会話では「コーヒーの代わりにお茶を飲む」が自然だと示す

既習の文型との違い

  • 〜の代わりに/〜に代わって(中級 第8課)第8課では、ある人の代わりに別の人が何かをする場面で扱います。この課では、建物や暮らしの道具が時代とともに入れ替わった、という移り変わりの使い方が中心です。どちらの課でも「〜の代わりに」のほうが会話的で、小さな取り替えには「の代わりに」を使うと示します。
  • 〜代わりに(中級 第15課)「便利な代わりに、値段が高い」のように「その分、別の面がある」と言う使い方で、名詞に「に」でつながる「〜に代わって」とは形も意味も違います。第15課で出たときに、入れ替わり(〜に代わって)と引きかえ(〜代わりに)を並べて整理します。
関連する文型

この場面のことば・表現

  • 工夫を加えて作られている建物について説明するときのことば・表現建物の部分の名前(屋根・軒・壁・窓・床・柱)と、工夫を説明する形(「〜ように作られている」「〜ための工夫だ」「〜ことで、〜を防ぐ」)を組で教えます。聞く ST なので、まず音で聞いて分かることが先です。部分の名前は絵に矢印で示し、工夫の形は「目的」と「方法」に分けて板書します。例:「雪が落ちるように、屋根を急にしている」「風を防ぐために、家の周りに木を植えている」「床を高くすることで、湿気を防ぐ」「軒が深く作られている」「石を屋根にのせて、風で飛ばないようにしている」。

3 こんなときどうする?

できること気候が合わずに体調を崩した友達の話を聞いて、具体的な例を挙げながら助言できる。

場面

日本の夏の蒸し暑さで食欲がなくなった友達や、冬の乾燥で喉を痛めた友達と、休み時間や寮の台所で話す場面です。友達同士なので普通体で話します。教室では「症状カード」(だるい・眠れない・喉が痛い・肌が乾く など)と「対策カード」(食べ物・飲み物・部屋の工夫・生活のしかた)を用意し、症状カードを引いた人が相談し、相手が対策カードを使って助言するロールプレイにします。

  • 留学生A:最近、なんだか体がだるくて、ご飯もあんまり食べられないんだ。
  • 日本人の友達:ああ、夏ばてじゃない? 日本の夏は蒸し暑いからね。
  • 留学生A:国も暑いけど、こんなに湿気はないんだよね。
  • 日本人の友達:冷たい物ばかり飲んでない? うちでは夏ばての対策として、豚肉や梅干しのような物をよく食べるよ。
  • 留学生A:そうなんだ。ほかに何かある?
  • 日本人の友達:あとは、夜はちゃんと寝ること。暑くて眠れないときは、エアコンをつけて寝るに限るよ。
  • 留学生A:電気代がもったいないと思って、我慢してた。今日からつけてみる。
学習項目 1 〜のような/〜のように(例示)

意味・はたらき

いくつかあるものの中から代表的な例を挙げて示す言い方です。「豚肉や梅干しのような物を食べるといい」のように、例を挙げて相手にイメージを持たせるので、助言のときに便利です。名詞の前では「〜のような+N」、動詞の前では「〜のように+V」になります。「まるで子どものような人」のような「たとえ(比喩)」の使い方とは違い、ここでは実際にその仲間に入るものを例として挙げます。会話では「〜みたいな」も使います。

接続

N+のような+N/N+のように+V・A(例示)

形
ショウガのような体を温める食べ物梅干しのような酸っぱい物北海道のように寒い所では、家の窓が二重になっている

導入

  • 絵カードを並べて仲間を作る体を温める食べ物の絵(ショウガ・鍋・スープ)を並べ、「どれも体を温めますね」と確かめてから、ショウガの絵を指して「ショウガのような物を食べると、体が温まりますよ」と言う。次に「まるで氷のように冷たい手」の比喩の文と並べ、「これは本当に氷?」と聞いて、例示は本当にその仲間だと区別する。

板書案

N + のような + N / N + のように + V・A
しょうがのような、体を温める物を食べるといい。
北海道のように寒い所では、窓が二重になっている。
〔赤〕後ろが名詞 → ような / 動詞・形容詞 → ように
〔青〕例示(本当の仲間)⇔ たとえ(まるで〜)

場面と発話(自作)

  • 冬に手足が冷えると相談した友達に、食べ物をすすめる。鍋のような温かい物を食べたら、少しは違うと思うよ。
  • 日本の冬が初めての後輩に、部屋の工夫を教える。加湿器がないなら、ぬれたタオルのような物を部屋に干すといいよ。
  • クラスで、寒い地方の暮らしを説明する。私の国の北のように寒い所では、家の中で靴を脱ぐ習慣があります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、仲間のカード(体を温める物・涼しくなる物・喉にいい物)から一つ選ばせ、「〜のような物を〜といいよ」の形で助言させる。次に「〜のように〜所では」で地域の例を挙げさせ、最後に ST3 のロールプレイで、助言に必ず具体的な例を一つ入れさせる。

  1. 口頭仲間の物の絵カードを2〜3枚まとめて見せ、「〜のような物」で言わせる。キューは、「体を温める:しょうが・ねぎ」→「しょうがやねぎのような、体を温める物」、「夏ばてにいい:うなぎ・豚肉」→「うなぎのような栄養のある物」、「寒い地方:北海道」→「北海道のように寒い地方では、〜」。名詞が続く文と動詞・形容詞が続く文を交互に出す。
  2. ペア「困りごと相談カード」。A が体調の悩み(夏ばてで食欲がない/足が冷えて眠れない/乾燥でのどが痛い)を言い、B が「〜のような物を〜といいよ」と例を2つ挙げて勧める。A は試したことがあるかを答える。役を替えて3回。
  3. 産出「ふるさとの知恵カード」。自分の国で、暑さや寒さで体調を崩したときに食べる物・することを「〜のような」で例を挙げて1枚のカードに書き、クラスで読み合って交換する。教師は「の」の有無と「ような/ように」の使い分けを見る。

つまずきと手当て

  • 「*ショウガような物」と「の」を落とす。名詞のあとは「の」が要ると、「NのようなN」(初中級)の形を思い出させる
  • 名詞の前に「*梅干しのように物」と「ように」を使う。後ろが名詞なら「ような」、動詞なら「ように」と、後ろの品詞で枠を分ける
  • 例示と比喩を取り違え、「ショウガのような物を食べるといい」を「ショウガに似た物」と取る。ショウガそのものも含む仲間を挙げる例示か、似ているもののたとえか、文脈で決まることを2つの文で比べる

既習の文型との違い

  • NのようなN(初中級 第14課)初中級では名詞を名詞につなぐ形として出ています。中級のこの課では、後ろに動詞・形容詞が来る「〜のように」も使い、助言の中で具体的な例を挙げるはたらきを足します。形は同じなので、新しいのは「例を挙げて相手にイメージさせる」という使いどころだと伝えます。
  • 〜ように(同様)(中級 第9課)「前に話したように」「ご存じのように」のように、前に出たことや相手が知っていることと同じだと示す使い方です。この課の例示は、仲間の中から例を取り出すはたらきなので、「北海道のように寒い所」は例示、「先ほど述べたように」は同様、と文の役目で分けます。
関連する文型
学習項目 2 〜として

意味・はたらき

立場・資格・役割・目的などを表し、「どういうものとして(どんな役目で)」そうするのかを示します。「夏ばての対策として豚肉を食べる」「留学生として日本に来た」「お土産として買う」のように使います。「〜にとって」は「その人から見ると(評価・判断)」を表すので、「私にとって大切な物」とは言えても、「私として大切な物」とは言いません。名詞の前では「〜としての+N」、取り立てて「〜としては」の形もあります。

接続

N+として/N+としての+N/N+としては

形
夏ばての対策として留学生として、日本の文化を学びたい薬としての効果親としては心配だ

導入

  • 同じ物の役目を変えて見せるショウガの絵を見せて「料理に使います」と言ったあと、「風邪をひいたとき、ショウガのお茶を飲みます。これは風邪の予防として飲みます」と言う。続けて教師が「私は先生として、みなさんの体調が心配です」と言い、物にも人にも「どういう役目・立場で」を表すことを示す。板書は「[役目・立場・目的]として」。

板書案

N + として、〜 / N + としての + N
夏ばての対策として、豚肉を食べる。
留学生として日本に来た。
〔赤〕[役目・立場]として ⇔ [評価する人]にとって
〔青〕名詞の前 → としての / 自分の立場からの意見 → としては

場面と発話(自作)

  • 喉を痛めた友達に、自分の国の方法を教える。私の国では、喉が痛いときの薬として、はちみつにレモンを入れて飲むんだ。
  • 寮の先輩が、新しく来た留学生に夏の過ごし方を話す。暑さ対策として、部屋のカーテンを昼間は閉めておくといいよ。
  • アルバイトの面接で、自分の立場を説明する。留学生として、勉強に差し支えない範囲で働きたいと思っています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、物のカード(はちみつ・マスク・梅干し・帽子)と目的のカード(喉の薬・暑さ対策・予防・お土産)を組み合わせて「〜として〜」を言わせる。次に立場のカード(留学生・先輩・親)で「〜としては、〜と思う」を言わせ、最後に ST3 のロールプレイで、助言の理由に「〜として」を使わせる。

  1. 口頭物のカードと目的のカードを組み合わせて見せ、「〜として、〜」と言わせる。キューは、「はちみつ/のどの薬」→「のどの薬として、はちみつをなめます」、「マスク/乾燥対策」→「乾燥対策として、寝るときにマスクをします」、「梅干し/お土産」→「お土産として、梅干しを買いました」。次に立場のカード(留学生・先輩・親)で「〜としては、〜と思います」を言わせる。
  2. ペア「これは何として使う?」。A が身近な物(ペットボトル・新聞紙・ぬれタオル)を言い、B が「〜として使えるよ」と使い方を答え、A が別の使い方を一つ足す。3つで役を交替する。
  3. 産出「体調アドバイス・ロールプレイ」。体調を崩した友達の役と助言する役に分かれ、助言の理由に「〜として」を1回以上入れる(「暑さ対策として、〜」)。教師は「として/にとって」の取り違えと、名詞の前の「としての」を見て、終わってから言い直させる。

つまずきと手当て

  • 「*私として、この町は住みやすい」と言う。その人から見た評価は「私にとって」だと、「〜にとって」の文と並べて示す(「私としては、〜と思う」は自分の立場からの意見なので言える)
  • 名詞の前に「*薬として効果」と「の」を落とす。名詞につなぐときは「〜としての」と枠で示す
  • 「〜として」を「〜と思って」の意味で使い、「冗談として言った」と「冗談のつもりで言った」の違いに迷う。誤りではないが、「〜として」は役目、「つもり」は気持ちと分けて見せる

既習の文型との違い

  • 〜にとって(中級 第3課)「〜にとって」はその人から見た評価(私にとって大切な時間)で、後ろには「大切だ・難しい」のような評価が来ます。「〜として」は役目や立場(留学生として来た)で、後ろには行動が来ることが多いです。「*私として、この町は住みやすい」のような誤りには、後ろが評価なら「にとって」と見分け方を示します。
  • 〜を〜として(中級 第4課)「AをBとして」は「AをBの役目にする」という形で(図書館を勉強の場所として使う)、この課の「Nとして」はその「Aを」の部分が無い形です。第4課で習った文を「〜として」だけの文に縮める練習にすると、つながりが見えます。
関連する文型
学習項目 3 〜に限る

意味・はたらき

「〜がいちばんいい」という話し手の考えを強く言う表現です。「暑い日は冷たいそばに限る」「疲れたときは早く寝るに限る」のように、ある状況では何がいちばんかを、自分の経験から言い切ります。客観的な事実ではなく話し手の主観なので、友達への助言や会話でよく使い、目上の人には「〜がいいと思います」のほうが無難です。似た形の「〜に限り(本日に限り、半額)」は「〜だけ」という限定の意味で、まったく別の表現です。

接続

N+に限る/V辞書形・Vない形+に限る(「〜ときは」「〜日は」など状況を前に置くことが多い)

形
暑い日は冷たいそばに限る風邪のときは、温かくして寝るに限る夜道は一人で歩かないに限る

導入

  • 教師のとっておきを話す教師が「夏、すごく暑くて食欲がないとき、みなさんは何を食べますか」と聞き、いくつか答えを集めたあと、「私はいろいろ試しましたが、暑い日は冷たいそばに限ります」と力をこめて言う。「いちばんいい」という意味だと確かめ、板書で「[状況]は [N/V辞書形]に 限る」の枠にし、隣に「本日に限り」を並べて別の意味だと示す。

板書案

[状況]は、N / V辞書形 + に限る
暑い日は、冷たいそばに限る。
疲れたときは、早く寝るに限る。
〔赤〕文の終わり:に限る(いちばんいい)
〔青〕文の途中:に限り(〜だけ)── 本日に限り半額

場面と発話(自作)

  • 眠れないと言う友達に、自分の経験から助言する。暑くて眠れない夜は、エアコンをつけて寝るに限るよ。
  • 冬の寒い日、寮の台所で友達と夕飯の話をする。こんな寒い日は、やっぱり鍋に限るね。
  • 初めて冬の雪道を歩く後輩に注意する。雪の日は、急がないでゆっくり歩くに限るよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、状況カード(暑くて食欲がない・寒くて体が冷える・疲れている・雨の休日)を引かせ、「〜ときは、〜に限る」と自分のおすすめを言わせる。そのあと ST3 のロールプレイで、相手の話をよく聞いてから、最後のひと押しとして「〜に限るよ」を使わせる。

  1. 口頭状況カードを見せ、自分のおすすめを「〜は〜に限る」で言わせる。キューは、「眠れない夜」→「眠れない夜は、温かい牛乳に限ります」、「寒い日」→「寒い日は鍋に限ります」、「雨の休み」→「雨の休みは、家で映画を見るに限ります」。名詞のキューと動詞のキューを交互に出し、「こと」を入れない形にそろえる。
  2. ペア「わたしのいちばん」。A が状況を言い、B が「〜は〜に限るよ」と答え、A が「どうして?」と聞き、B が理由を1文足す。役を替えて3往復する。
  3. 産出「先輩のひとことアドバイス」。ST3 のロールプレイの最後を「〜ときは〜に限るよ」で締める。次に相手を先生の役に替えて同じ助言をもう1回し、「〜がいいと思います」に言い換える。教師は、相手によって言い方を変えられたかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*寝ることに限る」と「こと」を入れる。動詞は辞書形に直接「に限る」がつくと、名詞の「鍋に限る」と並べて見せる
  • 「〜に限り」(限定)と取り違え、「今日に限る」を「今日だけ」の意味で使う。おすすめの「〜に限る」は文の終わり、限定の「〜に限り」は文の途中で「〜だけ」と、2つの文で比べる
  • 目上の人に「先生、風邪のときは休むに限ります」と言い切る。誤りではないが、押しつけに聞こえることがあるので、目上には「〜がいいと思います」と言い換える

既習の文型との違い

  • 〜に限り(中級 第2課)第2課の「〜に限り」は「本日に限り半額」のように「〜だけ」という限定で、文の途中に置きます。この課の「〜に限る」は文の終わりに置いて「〜がいちばんいい」という話し手のおすすめを言います。同じ「限」でも位置で意味が決まることを、2つの文を上下に並べて見せます。
  • Vたほうがいいです/Vないほうがいいです(初級 第12課)「〜たほうがいい」は相手への助言として広く使える形で、目上にも「〜たほうがいいと思います」とやわらげられます。「〜に限る」は自分の経験から言い切る強い言い方なので、友達との会話向きです。
関連する文型

この場面のことば・表現

  • 友達の体調に合わせてアドバイスするときのことば・表現体調を表すことば(だるい・食欲がない・寝不足・喉がいがいがする・肌がかさかさする・夏ばて・冷え)と、友達への助言の形(「〜たらいいよ」「〜てみたら?」「〜たほうがいいよ」「〜ないほうがいいかも」)を組で練習します。助言は言い切りより、相手の話を受けてから出すと柔らかくなることを、相づち(「それはつらいね」「大丈夫?」)とセットで見せます。例:「それはつらいね。病院には行った?」「温かい物を飲んでみたら?」「無理しないほうがいいよ」「部屋が乾燥してるなら、ぬれタオルを干したらいいよ」「寝る前にスマホを見ないほうがいいかも」。

4 見つけた!

できること町の特徴や歴史を説明した文章を読んで、町の中心や成り立ち、名前の由来をつかめる。

場面

週末に出かける町について、観光案内のパンフレットを読んで下調べをする場面です。教室では、架空の港町を紹介する250字ほどの案内文を自作し、町の中心・一年の様子・代表的な名所・名前の由来の4つの欄がある表と一緒に配ります。読んだあと、表を埋めながら「どの言葉を手がかりにしたか」を言わせると、文型の働きに目が向きます。

  • 案内文:しおかぜ市は、江戸時代に港を中心として栄えた町です。
  • 案内文:今も駅から港までの通りを中心に、古い蔵や商店が残っています。
  • 案内文:港には一年を通じて多くの船が出入りし、新鮮な魚が手に入ります。
  • 案内文:町には、古い灯台をはじめ、昔の商人の家や港の歴史を伝える資料館などがあります。
  • 案内文:海から吹く強い風が一年中やまないことから、「しおかぜ」という名前がついたと言われています。
学習項目 1 〜を中心に(して)/〜を中心として

意味・はたらき

ある場所・人・物事を真ん中(いちばん大事な所)にして、周りに広がったり集まったりすることを表します。場所なら「駅を中心に町が広がっている」、人なら「若い人を中心に人気がある」、内容なら「文法を中心に復習する」のように使います。「〜の周りに」は位置だけを言いますが、「〜を中心に」は「そこが中心で、そこから広がる・集まる」という見方まで表します。「〜を中心として」はやや硬く、名詞の前では「〜を中心とした+N」「〜を中心とする+N」になります。

接続

N+を中心に(して)/N+を中心として/N+を中心とした・を中心とする+N

形
駅を中心に、商店街が広がっている若者を中心に人気が出ている港を中心として栄えた町関東を中心とした地域

導入

  • 町の地図に円を描く架空の町の地図の真ん中に駅を描き、その周りに店・家・学校を同心円のように描き足しながら、「駅の近くに店がたくさんあります。その外に家があります」と言ってから、「この町は駅を中心に広がっています」と言う。次に人気のグラフ(10代・20代が多い)を見せて「若い人を中心に人気があります」と、場所以外の使い方も見せる。板書は「[中心]を 中心に、[広がる・集まる]」。

板書案

N + を中心に(して)、〜
N + を中心とした/を中心とする + N
町は城を中心に広がっている。
〔赤〕真ん中に ● を描き、周りへ矢印
〔青〕人:若い人を中心に人気 / 内容:文法を中心に復習

場面と発話(自作)

  • 観光案内のパンフレットで、町の様子を読む。古い町並みは、お城を中心に東西に広がっています。
  • 日本語の授業の最初に、先生が今日の内容を伝える。今日は、先週の課の文型を中心に復習しましょう。
  • ふるさとで人気の料理について、友達に話す。この料理は、最近、若い人を中心にはやっているんだよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、地図の絵カード(城・駅・港・大学を真ん中にした町)を見せて「〜を中心に、〜が広がっている」を言わせる。次にグラフのカードで「〜を中心に人気がある」、授業の予定のカードで「〜を中心に勉強する」を言わせ、最後に ST4 の案内文から「中心」が何かを読み取って表に書かせる。

  1. 口頭真ん中に何かがある地図の絵カードを見せ、「〜を中心に、町が広がっています」と言わせる。キューは、城の絵→「城を中心に、町が広がっています」、年代別の棒グラフ(20代が多い)→「若い人を中心に人気があります」、授業の予定表(文法が多い)→「文法を中心に復習します」。最後に「〜を中心とした〜」で名詞につなぐ形を言わせる。
  2. ペア「町の地図説明ゲーム」。A は架空の町の地図を見て「駅を中心に、北には〜、南には〜が広がっています」と説明し、B は白い紙に地図を描く。描き終わったら見比べ、役を替えて別の町で。
  3. 産出「わたしの町ガイド(中心編)」。住んでいる町やふるさとの中心がどこで、そこから何が広がっているかを100字ほどで書く。教師は「を」と、名詞の前の「を中心とした」を見る。

つまずきと手当て

  • 「*駅に中心に」と助詞を取り違える。「〜を 中心に」を一つのかたまりとして板書で囲む
  • 「駅の中心に店がある」と言い、「駅の建物の真ん中」という別の意味になる。誤りではないが意味が違うので、「駅を中心に」(駅が真ん中)と「駅の中心」(駅の中の真ん中)を絵で描き分ける
  • 名詞の前に「*港を中心に町」と言う。名詞につなぐときは「〜を中心とした/中心とする」と枠で示す

既習の文型との違い

  • 〜から〜にかけて(中級 第1課)「〜から〜にかけて」は広がりの始まりと終わり(北部から中部にかけて雨)を言い、「〜を中心に」は真ん中の一点を示してそこから広がる様子を言います。同じ地図の上で、両端に印をつける図と、真ん中に印をつける図を並べると違いが見えます。
関連する文型
学習項目 2 〜を通じて/〜を通して

意味・はたらき

2つの使い方があります。一つは、ある期間のあいだずっと、という意味です(一年を通じて温暖だ)。もう一つは、何かを手段や仲立ちにして、という意味です(ボランティアを通じて地域の人と知り合う/友達を通して紹介してもらう)。「通じて」と「通して」はほとんど同じように使えますが、「通じて」のほうがやや硬く、人を仲立ちにするときは「〜を通して」がよく使われます。道や場所を体が通り抜けるときは「公園を通って駅へ行く」のように「通る」を使い、この表現は使いません。

接続

N+を通じて/N+を通して(期間を表す名詞・手段や仲立ちを表す名詞につく)

形
一年を通じて、多くの観光客が訪れるこの町は四季を通して雨が少ない留学生活を通じて、多くのことを学んだ先輩を通して、アルバイトを紹介してもらった

導入

  • 1年のカレンダーに矢印を引く1月から12月のカレンダーを見せ、架空の港町の毎月の観光客の数がどの月も多いことを確かめてから、1月から12月まで一本の矢印を引いて「一年を通じて、観光客が多いです」と言う。次に教師と学習者の間に「先輩」の絵を入れて、「先輩を通して、アルバイトの店を紹介してもらいました」と、間に人が入る使い方を見せる。板書は「[期間]を 通じて=ずっと」「[手段・人]を 通して=それを使って・間に入れて」の2行。

板書案

[期間]を通じて = その間ずっと
[手段・人]を通じて = それを仲立ちにして
この島は一年を通じて暖かい。
地域のボランティアを通じて、友達ができた。
〔赤〕カレンダーに一年じゅうの矢印 /〔青〕A → 仲立ち → B の図

場面と発話(自作)

  • 観光パンフレットで、町の気候を読む。この島は一年を通じて暖かく、冬でも花が咲いています。
  • 交流会で、日本に来てよかったことを話す。地域のお祭りの手伝いを通して、近所の人と仲よくなりました。
  • 大学の事務の人に、手続きのしかたを聞く。申し込みは、留学生センターを通じて行ってください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、期間のカード(一年・四季・夏休み)と手段・人のカード(SNS・ボランティア・先輩・新聞)を混ぜて出し、どちらの意味かを言わせてから文を作らせる。最後に「日本に来てから、何を通じて日本の文化を知りましたか」と聞き、自分の経験で答えさせる。

  1. 口頭期間のカードと様子のカード、手段のカードを順に見せて言わせる。キューは、「一年/温暖」→「一年を通じて温暖です」、「夏休み/毎日アルバイト」→「夏休みを通じて、毎日アルバイトをしました」、「先輩/知り合う」→「先輩を通じて知り合いました」。期間と手段のカードを色で分けておく。
  2. ペア「どっちの意味?」。A が「〜を通じて」の文を言い、B が「ずっと」の意味か「仲立ち」の意味かを答える。仲立ちなら「だれ(何)を通じて?」ともう一度聞き、A が詳しく答える。役を替えて4文ずつ。
  3. 産出「日本とのつながり紹介」。自分が日本や日本語と出会ったきっかけを「〜を通じて」で2文、ふるさとの気候を「一年を通じて」で1文、合わせて3文で話す。教師は2つの意味を使い分けられているかと、助詞「を」を見る。

つまずきと手当て

  • 「*SNSに通じて」と助詞を取り違える。「〜を 通じて」をかたまりで板書する
  • 道を歩いて抜けることに使い、「トンネルを通じて隣の町へ行った」と言う。誤りではないが、体が通り抜けるなら「トンネルを通って」が自然だと、歩く人の絵と線でつながる絵を描き分ける
  • 期間の意味と手段の意味を取り違え、「一年を通じて」を「一年かけて(一年後に)」と理解する。矢印が一年じゅう続いていることを、カレンダーの絵で確かめる

既習の文型との違い

  • Vている間に、〜(初中級 第7課)「〜間に」は期間の中のある時点で何かが起こることを言い、「〜を通じて」はその期間ずっと続くことを言います。「夏休みの間に旅行した(夏休みのどこかで一度)」と「夏休みを通じてアルバイトをした(夏休みずっと)」を、カレンダーの点と線で比べます。
  • 〜を通して/〜を通じて(中級 第15課)第15課ではメディアを使って情報を得る場面で、手段の意味を中心にもう一度出ます。この課では期間の意味も一緒に出るので、2つの意味を図で分けておくと、第15課では手段の意味を確かめるだけで済みます。
関連する文型
学習項目 3 〜をはじめ(として)/〜をはじめとする

意味・はたらき

いくつかあるものの中から、いちばん代表的なもの・目立つものを最初に挙げ、「それだけでなく、ほかにもたくさん」と続ける言い方です。「灯台をはじめ、商人の家や資料館などがある」のように、後ろには同じ仲間のほかのもの(「〜など」「多くの〜」)を続けるのがふつうです。「〜や〜など」は対等に並べますが、「〜をはじめ」は最初のものを代表として目立たせます。改まった紹介や案内文、あいさつで使い、名詞の前では「〜をはじめとする+N」になります。

接続

N+をはじめ(として)/N+をはじめとする+N

形
お城をはじめ、古いお寺や神社がたくさんある校長先生をはじめとして、先生方にお世話になりました京都をはじめとする古い町

導入

  • 名所のカードの1枚目を大きく見せる架空の港町の名所のカード(灯台・古い商人の家・資料館・市場)を並べ、灯台のカードだけ大きく描いて「この町でいちばん有名なのは灯台です」と言う。そのあと全部を手で囲みながら「この町には、灯台をはじめ、古い商人の家や資料館など、見る所がたくさんあります」と言う。「や〜など」で並べた文と並べて板書し、「をはじめ」は1枚目が代表だと示す。

板書案

N1 をはじめ(として)、N2 や N3 など〜
N をはじめとする + N
この町には、お城をはじめ、古いお寺や蔵などがある。
〔赤〕N1 は大きなカード(いちばん代表的なもの)
〔青〕後ろは「〜など」「多くの〜」で仲間を続ける

場面と発話(自作)

  • 観光案内のパンフレットで、町の名所を読む。この町には、お城をはじめ、江戸時代の建物が多く残っています。
  • 卒業式のあいさつで、お礼を言う。先生方をはじめ、多くの方に支えていただきました。
  • ふるさとの料理を紹介する発表で、名物を挙げる。私の町は、魚をはじめとする海の幸で知られています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、仲間のカードの束(名所・料理・人)を見せ、いちばん代表的なものを一つ選ばせて「〜をはじめ、〜など、〜がたくさんある」を言わせる。最後に ST4 の案内文で、何が代表として挙げられているかを読み取らせる。

  1. 口頭仲間のカードの束(いちばん大きなカードを先頭に)を見せ、「〜をはじめ、〜や〜などがあります」と言わせる。キューは、「名所:城(大)・寺・資料館」→「城をはじめ、寺や資料館などがあります」、「名物:ラーメン(大)・ぎょうざ・焼き鳥」、「お世話になった人:校長先生(大)・先生方」→「校長先生をはじめ、先生方にお世話になりました」。
  2. ペア「名物ベスト3」。A が自分のふるさとの名前を言い、B が「どんな物がある?」と聞く。A は「〜をはじめ、〜や〜などがあるよ」と答え、B がいちばん興味のあるものについて質問を1つする。役を替える。
  3. 産出「町のパンフレット作り」。3〜4人で、自分たちのふるさとの一つか架空の町の観光パンフレットの1ページを書く。「〜をはじめ」を1回、「〜を中心に」「〜ことから」もどこかに入れる。教師は、いちばん目立つものが先頭にあるかと、後ろに仲間が続いているかを見る。

つまずきと手当て

  • 後ろに一つだけ続けて「お城をはじめ、お寺があります」のような文にする。誤りではないが不自然なので、後ろは「〜など」「多くの〜」で仲間をたくさん続けると、カードの束で見せる
  • 代表的でない小さなものを最初に挙げ、「小さなベンチをはじめ、お城や神社がある」と言う。最初に置くのはいちばん目立つもの、と大きなカードで確かめる
  • 名詞の前に「*京都をはじめ町」と言う。名詞につなぐときは「〜をはじめとする」と枠で示す

既習の文型との違い

  • NやNなど(初級 第3課)「AやBなど」は仲間を対等に並べる形です。「Aをはじめ、BやCなど」は最初のAを代表として目立たせる言い方で、案内文やあいさつで使います。初級の文の先頭を「〜をはじめ」に替える練習から入ると、違いがはっきりします。
  • 〜はもちろん/〜はもとより(中級 第10課)「Aはもちろん、Bも」は「Aは言うまでもなく当然で、Bまで」と範囲が広がる言い方です。「〜をはじめ」は代表を先に挙げて仲間を並べるだけで、「当然」という気持ちは入りません。第10課で出たときに、2つの文を並べて確かめます。
関連する文型
学習項目 4 〜ことから

意味・はたらき

ある事実をもとにして、名前がついた理由・判断の根拠・何かが起こったきっかけを述べる書き言葉です。「坂が多いことから、『坂の町』と呼ばれている」のように、後ろには「〜と呼ばれる」「〜という名前がついた」「〜と分かる」などがよく来ます。初級の「〜から」は理由を直接言いますが、「〜ことから」は観察された事実を根拠として示すので、案内文・説明文・ニュースで使います。後ろに依頼や命令(〜てください)を続けるのは不自然です。

接続

V・イA普通形+ことから/ナAな・である+ことから/N+である+ことから

形
風が強いことから、この名前がついた交通が便利なことから、人が集まるようになった港町であることから、魚料理が有名だ

導入

  • 町の名前の謎を解く架空の町の名前「さかのうえ町」を板書し、坂だらけの町の絵を見せて「どうしてこの名前だと思いますか」と学習者に推測させる。答えを受けて教師が「坂が多いことから、『さかのうえ町』という名前がついたと言われています」と言う。板書を「[事実]ことから、[名前・判断]」の枠にし、ナ形容詞と名詞の行に「な/である」を赤で書き足す。

板書案

[事実]+ ことから、[名前・判断・きっかけ]
坂が多いことから、「坂の町」と呼ばれている。
ナA な/である + ことから / N である + ことから
〔赤〕後ろ:〜と呼ばれる・〜という名前がついた・〜と分かる
〔青〕後ろに依頼・命令は置かない(〜から・〜ので を使う)

場面と発話(自作)

  • 観光パンフレットで、町の名前の由来を読む。昔、この辺りで金がとれたことから、「金山」と呼ばれるようになったそうです。
  • ニュースで、ある町に移り住む人が増えたことを伝えている。子育ての支援が手厚いことから、若い家族の移住が増えています。
  • レポートで、ふるさとの名物について書く。私の町は昼と夜の気温の差が大きいことから、甘い果物がよく育つ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、事実のカード(川が多い・雪が多い・港町だ・交通が便利だ)と、名前や結果のカード(〜と呼ばれる・〜が名物になった・人が集まる)を組み合わせて「〜ことから、〜」を言わせる。品詞ごとに「な」「である」を間違えやすいので、ナ形容詞と名詞のカードを多めに出す。最後に ST4 の案内文で、名前の由来の文を探させる。

  1. 口頭事実のカードと名前のカードを組み合わせて見せ、「〜ことから、〜と呼ばれています」と言わせる。キューは、「桜がたくさん咲く/桜町」→「桜がたくさん咲くことから、桜町と呼ばれています」、「港がある/みなと通り」、「昔、市場だった/市場町」→「昔、市場であったことから〜」。ナ形容詞と名詞のカードを多めに出し、「な」「である」の接続を固める。
  2. ペア「名前の由来クイズ」。A が地名や物の名前(自作または身近なもの)を言い、B が「〜ことから、そう呼ばれているんじゃない?」と由来を推測する。A は正解か、本当の由来を「〜ことから」で言い直す。役を替えて3問。
  3. 産出「ふるさとの名前の由来調べ」。ふるさとの町や名物の名前の由来を調べ、「〜ことから、〜と呼ばれるようになった」を入れて3〜4文で書く。由来がはっきりしないときは「〜と言われている」と書くように指示する。教師は接続(な・である)と、後ろの文の種類を見る。

つまずきと手当て

  • 「*静かだことから」「*港町ことから」と接続を誤る。ナ形容詞は「静かな/静かである」、名詞は「港町である」と、品詞別の枠で確かめる
  • 後ろに依頼を続けて「雨が降っていることから、傘を持って行ってください」と言う。誤りではないが不自然なので、依頼の理由は「〜から」「〜ので」を使うと示す
  • 会話で友達に「お腹がすいたことから、ご飯を食べた」と言い、硬すぎて不自然になる。誤りではないが、「〜ことから」は事実を根拠として述べる書き言葉で、会話の理由は「〜から」でよいと分ける

既習の文型との違い

  • どうして/〜から(初級 第5課)初級の「〜から」は会話でも書き言葉でも理由を直接言う形で、後ろに依頼も来られます。「〜ことから」は観察された事実を根拠として示す書き言葉で、後ろは「〜と呼ばれる」「〜と分かる」のような説明になります。会話の理由は「から」でよいと添えます。
  • 〜ために、〜(原因)(初中級 第15課)「〜ために」(原因)は出来事が起こった原因を言い(大雨のために電車が止まった)、「〜ことから」は名前や判断の根拠を言うのが中心です。由来の文(坂が多いことから「坂の町」と呼ばれる)を「ために」に替えると落ち着かないことを確かめさせます。
関連する文型

この場面のことば・表現

  • 町の特徴や歴史を説明するときのことば・表現歴史の流れを表すことば(栄える・発展する・衰える・残る・伝わる・〜時代)と、名所を表すことば(城下町・港町・宿場町・蔵・資料館・名所)を、年表の絵の上に並べて確かめます。案内文では「〜と言われている」「〜として知られている」のように、伝えられていることを紹介する形がよく出るので、事実と言い伝えの書き分けにも気づかせます。例:「城下町として栄えた」「昔の町並みが残っている」「この地方に古くから伝わる祭り」「温泉の町として知られている」「名前の由来は〜だと言われている」。

5 伝えてみよう

できること自分の国やふるさとの地形や気候を生かした名物や季節の行事を、聞き手に分かるように紹介できる。

場面

日本語クラスの発表会や、地域の国際交流イベントで、自分のふるさとを日本の人に紹介する場面です。教室では、ふるさとの地図・写真・名物の実物(または絵)を一つ用意させ、「どんな土地か → その気候や地形を生かした名物・行事 → 自分の思い出」の3段で1〜2分話させます。聞き手は一人一つ質問を返し、話し手はそれに答えます。

  • 留学生:私のふるさとは、山と川に囲まれた北の町です。
  • 留学生:私のふるさとといえば、冬の氷祭りです。
  • 留学生:冬はマイナス20度ぐらいまで下がるので、川の氷を切り出して、大きな建物や像を作るんです。
  • 留学生:夜になると氷の中に明かりがついて、とてもきれいです。
  • 聞き手:寒い所で、ほかに楽しみにしていることはありますか。
  • 留学生:そうですね、寒い日は、家族で温かい鍋を食べるに限ります。
学習項目 1 〜といえば/〜というと

意味・はたらき

ある話題を出して、それを聞いてすぐ思い浮かぶもの・いちばん代表的なものを言う表現です。「北海道といえば、雪まつりですね」のように、その土地や季節の名物・行事を紹介するときに便利です。また、相手が言ったことばを受けて「旅行といえば、来月の連休はどうする?」と話題を広げたり変えたりするときにも使います。「〜というと」もほぼ同じですが、「来週というと、10日ですか」のように相手の言ったことを確かめる使い方もあります。会話でも発表でも使えます。

接続

N+といえば/N+というと(会話では「〜って言ったら」とも言う)

形
私のふるさとといえば、氷祭りです夏というと、花火を思い出す雨といえば、傘を学校に忘れてきちゃった(話題を変える)来週というと、10日ですか(確かめる)

導入

  • 連想ゲームをする教師が「日本の夏といえば?」と聞き、学習者に思いつくものを言わせる(花火・すいか・祭り など)。いちばん多かった答えを使って、教師が「日本の夏といえば、花火ですね」とまとめる。次に「みなさんのふるさとといえば?」と一人ずつ聞き、板書の「[話題]といえば、[代表的なもの]です」の枠に答えを入れていく。

板書案

N + といえば / N + というと、〜
わたしのふるさとといえば、山の斜面の茶畑です。
〔赤〕言う → 言えば(条件の形)
〔青〕① 代表を言う ② 話を広げる ③ 確かめる(〜というと、〜ですか)

場面と発話(自作)

  • 国際交流イベントで、ふるさとを紹介する発表を始める。私のふるさとといえば、山の斜面に広がる茶畑です。
  • 旅行の話をしている友達に、話題を広げて聞く。旅行といえば、冬休みはどこか行くの?
  • アルバイト先で、店長から連絡を受けて確かめる。来週の月曜というと、15日ですね。分かりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭では、話題のカード(季節・国・町・料理・行事)を引かせ、「〜といえば、〜です」と代表的なものを言わせる。次に相手が言ったことばを受けて「〜といえば、〜」で話題を広げるやり取りをペアで続け、最後に ST5 の発表の最初の一文を「〜といえば」で作らせる。

  1. 口頭話題のカード(季節・町・料理・行事)を見せ、すぐ思い浮かぶものを「〜といえば、〜です」で言わせる。キューは、「夏」→「夏といえば、花火です」、「北海道」→「北海道といえば、雪まつりです」、「わたしの国」→学習者が自分で。次に教師が「来週の金曜日に〜」と言い、学習者が「来週の金曜日というと、15日ですか」と確かめる使い方も短く練習する。
  2. ペア「連想リレー」。A が「夏といえば、海」と言い、B が「海といえば、〜」と後ろの語で続ける。3往復したら、最後の語についてどちらかが一言説明する。組を替えてもう1回。
  3. 産出「ふるさと1分スピーチ」(ST5 の発表)。「〜といえば」で始め、地形・気候→それを生かした名物や行事→自分の思い出、の順に1分で話す。聞き手は質問を一つずつ返す。教師は、最初の一文で聞き手が話題をつかめるか、知らない名物に一言の説明があるかを見る。

つまずきと手当て

  • 「*〜というば」「*〜といったば」と形を崩す。「言う → 言えば」の条件形を板書で確かめ、「といえば」をかたまりで覚えさせる
  • 聞き手が知らない名物を「私の町といえば、○○です」とだけ言い、話が伝わらない。誤りではないが、そのあとに「○○というのは、〜のことです」と一言説明を足すと伝わると示す
  • 話題とつながりのないことを続け、「夏といえば、私の兄は医者です」のような文にする。「といえば」の後ろは前の話題から連想できることだと、連想ゲームの線で確かめる

既習の文型との違い

  • 〜といったら(中級 第10課)「〜といったら」も「〜といえば」と同じく話題を出してその代表を言えますが、「寒さといったら、言葉にならないほどだった」のように、程度に驚く気持ちを強く出す使い方が加わります。この課では代表を言う「といえば」を使えればよく、第10課で強調の使い方を足します。
  • どちらかというと/どちらかといえば(中級 第13課)「どちらかというと」は二つを比べてどちらに近いかをやわらかく言う決まった言い方で、話題を出す「〜といえば」とは役目が違います。形が似ているので、第13課で出たときに「話題を出す」「比べて選ぶ」と分けて見せます。
関連する文型

この場面のことば・表現

  • 地形や気候を利用した行事や、特産物などについて説明するときの表現名物や行事を紹介するときの形(「〜が有名だ」「〜で知られている」「〜を生かして〜を作る」「〜の時期になると〜」「〜ならではの〜」)を練習します。聞き手がその名物を知らないことが多いので、「〜というのは、〜のことです」と一言で説明を足す練習も入れます。例:「寒さを生かして、干した魚を作る」「この地方ならではの料理」「春になると、町中が花で埋まる」「雨季が終わる時期に行われる祭り」「〜というのは、米で作ったお菓子のことです」。

語彙の扱い

この課の語は、地形(盆地・平野・山あい・海沿い)、気候(湿度・気温の差・乾燥・温暖)、建物の部分と工夫(屋根・軒・床・二重窓)、体調(夏ばて・冷え・喉の痛み)、町の歴史と名所(城下町・港町・蔵・由来)の5つのかたまりに分かれます。読む ST・聞く ST の語は意味が分かればよい語が多いので、地図・年表・建物の絵の上で指しながら確かめ、話す ST で使わせる語(体調・名物の紹介)を絞って口に出させます。学習者のふるさとの地形や名物を言う語は人によって違うので、発表の準備のときに一人ずつ辞書で調べさせ、クラスの地図に書き込みます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 盆地(ぼんち) 周りを山に囲まれた、低くて平らな土地です。 〜の町・〜にある・〜特有の暑さ
    引っ越し先の町について、ふるさとの家族に説明する。
    今住んでいる町は盆地なので、夏はとても暑くて、冬は冷えこみます。
  • 面積(めんせき) 土地や物の広さを数字で表したものです。 〜が広い・町の〜・〜の7割
    市の紹介文を読んで、内容を友達に伝える。
    この市は、森林が面積の半分以上を占めているそうです。
  • 湿度(しつど) 空気の中にどのくらい水分があるかを表すものです。 〜が高い・〜が低い・〜を下げる
    夏の暑さについて、留学生どうしで話す。
    日本の夏は気温より湿度が高いのがつらいね。
  • 温暖(おんだん) 一年を通じて暖かく、過ごしやすい気候のことです。 〜な気候・〜な地方
    旅行のパンフレットで、島の気候を読む。
    この島は一年を通じて温暖で、冬でも花が咲いています。
  • 乾燥する(かんそうする) 空気や物から水分がなくなって、からからになることです。 空気が〜・肌が〜・〜しがちな季節
    冬にのどを痛めた友達に、部屋の工夫を話す。
    冬は部屋が乾燥しがちだから、ぬれタオルを干しておくといいよ。
  • 夏ばて(なつばて) 暑さが続いて、体が疲れたり食欲がなくなったりすることです。 〜する・〜の対策・〜気味
    食欲がない同僚に声をかける。
    夏ばての対策として、豚肉のような栄養のある物を食べるといいですよ。
  • 冷やす(ひやす) 物や体の温度を下げることです。体を冷やしすぎると調子が悪くなることもあります。 体を〜・飲み物を〜・〜しすぎる
    冷房の効いた部屋にずっといる友達に助言する。
    体を冷やしすぎないように、上着を一枚持っていくに限るよ。
  • 備える(そなえる) これから起こるかもしれないことのために、前もって準備することです。 地震に〜・冬に〜・〜て水を買う
    アパートの掲示板で、台風の注意を読む。
    台風に備えて、ベランダの物を部屋に入れてください。
  • 城下町(じょうかまち) 昔、お城を中心にしてできた町です。 古い〜・〜の町並み・〜として栄える
    観光地の案内文を読んで、町の歴史を知る。
    この町は城を中心に広がった城下町で、古い家が今も残っています。
  • 由来(ゆらい) 物事や名前が、どこから、どうして始まったかということです。 名前の〜・〜を調べる
    町の名前について、地元の人に質問する。
    昔、きれいな泉があったことから、この名前がついたそうです。それが町の名前の由来です。
  • 名物(めいぶつ) その土地でよく知られている、特別な食べ物や物です。 町の〜・〜料理・〜を味わう
    ふるさとを紹介する発表で、食べ物を話す。
    わたしのふるさとの名物といえば、山の水で作るお茶です。

宿題と次のコマ

宿題は、ST5 の発表の原稿(「〜といえば」で始め、地形や気候を一文、名物・行事とその理由を二〜三文、自分の思い出を一文)を書いてくること。理由の文に「〜ことから」か「〜に比べて」を一つ入れさせます。次のコマの最初に原稿を読み合って質問を一つずつ返し、そのやり取りから次の課の「世代を超えた交流」へ、ふるさとの年配の人から聞いた話を思い出させてつなぎます。

よくある質問

  • 『できる日本語 中級』第6課「地図を広げる」は何コマで終わりますか?

    90分なら5コマが目安です。1コマ目に導入とできること1、2コマ目にできること2と3の前半、3コマ目に3のロールプレイと4の前半、4コマ目に4の残りと発表の準備、5コマ目に発表と課のまとめを置きます。読む・聞く素材の文型は意味が取れればよいものが多いので、口頭練習を短くし、発表に時間を回すと収まります。

  • 「〜に代わって」と「〜の代わりに」の違いはどう説明すればいいですか?

    この課の「〜に代わって」は、建物や道具が時代とともに入れ替わった、役目が交代した、というやや硬い言い方です。「〜の代わりに」は「肉の代わりに豆腐を使う」のような日常の小さな取り替えにも使える会話的な形です。昔と今の絵を矢印で結ぶ図には「に代わって」、手元の物を取り替える場面には「の代わりに」と、場面で分けて見せると混ざりにくくなります。

  • 「〜がち」「〜やすい」「〜気味」はどう教え分けますか?

    「〜がち」は実際にそうなる回数が多い傾向、「〜やすい」は物の性質やそうなる可能性、「〜気味」は今少しそういう状態だという程度です。「このコップは割れがちだ」が不自然で「割れやすい」なら自然なこと、「最近疲れ気味だ」は今の状態、「冬は風邪をひきがちだ」は何度もなること、と例を並べて時間の線の図で示します。「〜気味」は中級第12課で改めて出るので、この課では「がち」と「やすい」の境目を中心にします。

  • 「〜を占める」「〜ことから」のような書き言葉の文型も、話せるまで練習させるべきですか?

    読む ST の文型は、まず文章の中で意味が取れることを目標にし、口頭練習は短くてかまいません。そのうえで、グラフの説明や名前の由来の紹介のように、その形が自然に使える発表・作文の場面を一つ用意すると定着します。会話で友達に使うと硬く聞こえることは、そのときに一言添えます。

  • 「〜として」と「〜にとって」の違いは?

    「〜として」は役目・立場・目的(留学生として来た、暑さ対策として食べる)で、後ろには行動が来ることが多いです。「〜にとって」はその人から見た評価(私にとって大切だ)で、後ろには「大切だ・難しい」のような評価が来ます。学習者が「*私として、この町は住みやすい」と言ったら、後ろが評価かどうかを見るように伝えると自分で直せるようになります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。