日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅱ 第28課「出張も多いし、試験もあるし……」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「出張も多いし、試験もあるし……」

二つのことを同時にする「〜ながら」、毎日くり返していることを言う「〜ています」、良いところや理由をいくつも並べる「〜し、〜し」の三つを扱う課です。「〜ながら」は ます形 に、「〜し」は第20課の普通形に付くので、新しい活用の形は出ません。そのぶん、どちらが主な動作か(〜ながら)、並べたものが同じ向きを向いているか(〜し)という意味の線引きに時間を使うのがこの課の芯です。「〜し、〜し……」で最後まで言わずに止めると、はっきり「できません」と言わずに断る気持ちが伝わることも、会話の中で体験させます。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「音楽を聞きながら勉強します」のように、一人が同時に二つのことをする様子を、主な動作を後ろに置いて言える
  • 「毎朝散歩しています」「働きながら大学に通っています」のように、続けている習慣や生活を「〜ています」で言い、「子どものとき〜ていました」で過去の習慣も言える
  • 「広いし、明るいし、それに駅から近いです」のように、人や物の良いところ(困るところ)を同じ向きにそろえて並べられる
  • 理由をいくつか並べて結論や「〜から」につなげ、誘いを「〜し、〜し……」と最後まで言わずにやわらかく断れる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習とつなぎ)10分第20課の普通形の表(動詞・い形容詞・な形容詞・名詞)を口頭で一周し、な形容詞と名詞の「だ」を確かめる。第14・15課の「〜ています」の絵を一枚ずつ見せ、いま進んでいる動作と仕事の言い方を思い出させる
文型1(〜ながら)35分教師が二つの動作を同時にして見せ、「V1 ます ながら V2」の枠に入れる。主な動作が後ろに来ることを絵の入れ替えで確かめ、長い期間の「働きながら〜に通っています」まで広げる
文型2(習慣の〜ています)25分カレンダーにくり返しの絵を貼って「毎朝〜ています」。「今〜ています」の絵と並べて区別し、「子どものとき〜ていました」で過去の習慣も言わせる
文型3(〜し、〜し、それに〜)20分アパートや店の絵で良いところを三つ重ねる。「だし」を色チョークで囲み、並べるものは同じ向き、という線を一本だけ引く。1コマ目はここまで
文型4・5(理由の〜し)40分2コマ目の初めに普通形の「だ」と文型3の言い方を5分で確かめてから入る。二つのアパートから選んだ理由で「〜し、〜し、結論」。誘いを言いさしで断る形を体験させ、第26課の「どうして〜んですか」への答えとして「〜し、〜から」を練習する
会話25分頼みごとをされて、忙しい事情を並べて言いよどむ流れ。言いさしの「……」の声の調子をまねさせ、頼みごとの中身と理由を学生の生活に置き換えて再現させる
練習C・問題25分練習Cは「〜ながら」で自分の生活を紹介する場面、「〜し、〜し、それに〜」でほめる場面、誘いを言いさしで断る場面の三つ。問題は聞き取りを教室で、残りは宿題に

学習項目 1 〈V1 ます形〉ながらV2

意味・はたらき文型 1

「音楽を聞きながら勉強します」のように、同じ人が二つの動作を同時にすることを言う文型です。主な動作は後ろのV2で、前のV1は「どんなふうにしているか」を添える動作です。ですから「勉強しながら音楽を聞きます」と言うと、聞くほうが主な動作になります。また「働きながら大学に通っています」のように、同じ時間でなくても、ある期間に二つのことを並べて続けている場合にも使います。過去か現在か、丁寧かどうかはV2で表し、V1はいつも ます形 から ます を取った形です。文法の用語で言うと、同時の動作を表す従属節で、南不二男の分類では主節への結びつきがいちばん強い類(A類)に入れられます。

接続

V1 ます形(ます を取る)+ながら+V2(聞きます→聞きながら)。時と丁寧さは V2 で表す。二つの動作は同じ人がする

形
グループI: 聞きます→聞きながら、歩きます→歩きながら、歌います→歌いながらグループII・III: 食べます→食べながら、見ます→見ながら、メモします→メモしながら音楽を聞きながら宿題をしました(過去は V2 で)働きながら大学に通っています(ある期間の並行)

導入

  • 教師の動作で「同時に」を見せる教師が教室を歩くしぐさと電話で話すしぐさを別々にして「歩きます」「話します」と言い、次に二つを同時にして「歩きながら話します」と言う。板書は「V1 ます ながら V2」の枠にして、ます を×で消し、V2 の下に「主な動作」と書く。続けて、音楽を聞きながら宿題をしている学生の絵カードを出し、「何をしていますか」と聞いて学生に文を作らせる。
  • 長い期間の「ながら」は学生の生活からアルバイトをしている学生に「昼は何をしていますか」「夜は何をしていますか」と聞き、教師が「アルバイトをしながら日本語を勉強しています」と一文に言い直す。同じ時間でなくても毎日の生活で二つを続けていれば使える、と時間の線を二本並べて板書する。この形は文型2の「〜ています」と一緒に出るので、ここで顔合わせをしておく。

板書案

V1 ます + ながら + V2(主な動作)
聞きます → 聞き + ながら → 音楽を 聞きながら 勉強します。
働きながら 大学に 通って います。(ある期間)
〔赤〕ながら 〔青〕ます を線で消す
〔黄〕V2 の下に「主な動作」・時(ました)は V2 だけ

場面と発話(自作)

  • 友達に、漢字をどうやって覚えているか聞かれた。書く練習のときは、いつも声に出して読んでいる。声に出して読みながら書きます。
  • 会社の同僚に、昼休みにいつも何をしているか聞かれた。新聞を読みながら、昼ご飯を食べます。
  • 国の家族と電話で話している。日本での生活を説明する。今、レストランで働きながら、大学に通っています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 二つの動作の絵を左右に並べたカード(音楽を聞く+勉強する、歌を歌う+掃除をする、メモする+話を聞く など)を見せ、「〜ながら〜ます」で言わせる。左右を入れ替えたカードも混ぜ、主な動作が後ろに来ることを口で確かめる。練習Cの型: 「勉強するとき、何をしながらしますか」「いつも〜ながら〜ます」をペアで聞き合い、最後に「〜ながら〜ています」で自分の生活を一文ずつ言わせる。

  1. 口頭二つの動作の絵を左右に並べたカード(音楽を聞く+走る/テレビを見る+ご飯を食べる/歌を歌う+シャワーを浴びる/電話で話す+歩く/メモを取る+話を聞く)を見せ、「聞きます・走ります」とキューを出す → 全員で「音楽を聞きながら走ります」。次に左右を入れ替えたカードを出し、「主な動作はどちらですか」と聞いてから言い直させる。最後は絵だけで個人に当て、「〜ました」のキュー(きのう)で過去の文にもする。
  2. ペア「ながらジェスチャー当て」。A はカードを引いて、二つの動作を同時にジェスチャーで見せる。B は「〜ながら〜ていますね」と当てる。主な動作を取り違えたら、A が「いいえ、〜ながら〜ています」と直す。5枚で交替し、最後に一組ずつクラスの前で1回見せる。
  3. 産出「わたしの『ながら』時間」。毎日何かをしながらしていることを一つ、ある期間に二つ続けていること(働きながら〜に通っています など)を一つ、合わせて2文で発表させる。教師が見るのは、ます形に付いているか、主な動作が後ろにあるか、二人の動作に使っていないか、時をV2だけで表しているか。

つまずきと手当て

  • 辞書形や て形 に付ける(×聞くながら、×聞いてながら)。ます形 の枠の板書に戻り、「ます を取って ながら」と口で唱えさせる
  • 二人の動作に使う(×わたしは料理を作りながら、友達は掃除をします)。「ながら」は一人が二つのことをするとき、と教師一人で二つの動作をして見せる。二人なら「わたしは料理を作ります。友達は掃除をします」と二つの文にする
  • 主な動作を前に置いて意味が逆になる(宿題の話をしているのに「宿題をしながら音楽を聞きます」と言う)。後ろが大事な動作、と板書の「主な動作」を指して言い直させる
  • V1 を過去の形にする(×聞きましたながら勉強しました)。時は V2 だけで表す、と板書の V2 の下に「ました」を書いて見せる

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉、〈Vて形〉、〜(第16課)第16課の「シャワーを浴びて、朝ご飯を食べて、出かけます」は動作を一つずつ順番にする言い方で、「〜ながら」は二つを同時にする言い方です。学習者は順番にしたことを「シャワーを浴びながら朝ご飯を食べました」と言ってしまうことがあり、文は正しくても意味が変わります。時間の線を板書して、矢印が順に並ぶか、一本の線の上で重なるかで分けます。
  • 〈V1 て形〉から、V2(第16課)「〜てから」はV1が終わってからV2を始めると、順番をはっきり言う形で、「〜ながら」とは反対の関係です。「歯をみがいてから寝ます」と「歯をみがきながらテレビを見ます」を並べると違いが見えます。「*歯をみがいてながら」のように二つの形を混ぜる誤りも出るので、て形とます形の枠を色で分けておきます。
  • 〈Vた形〉り、〈Vた形〉りします(第19課)「〜たり〜たり」は休みの日にすることなどを例として並べる言い方で、同時かどうかは問いません。「日曜日はテレビを見たり、散歩したりします」は別々の時間にしてもよい文で、「テレビを見ながら散歩します」とは意味が違います。
関連する文型

学習項目 2 〈Vて形〉います

意味・はたらき文型 2

「毎朝散歩しています」のように、ある期間くり返している習慣を言う文型です。形は第14課の「今〜ています」(いま進んでいる動作)と同じで、第15課でも仕事や習慣を「〜ています」で言う形に触れていますが、この課では「毎朝」「毎晩」「いつも」「毎週〜曜日」などといっしょに、生活の中で続けていることを言うのに使います。「毎朝散歩します」も間違いではありませんが、「〜ています」と言うと「このごろずっと続けている」という感じが出ます。過去のある期間の習慣は「子どものとき、毎日ピアノを習っていました」のように「〜ていました」で言います。文法の用語で言うと、「ている」のアスペクトのうち「くり返し(習慣)」の用法で、第14課の「動作の進行」、第15課の「結果の状態」と並べて整理されます。

接続

Vて形+います(毎朝・毎晩・いつも・毎週〜曜日 などといっしょに)。過去の習慣は Vて形+いました

形
毎朝、公園を散歩しています毎週土曜日、日本語の教室に通っています毎晩、日本のドラマを見ています子どものとき、毎日ピアノを習っていました(過去の習慣)

導入

  • カレンダーで「くり返し」を見せる一週間のカレンダーを黒板に描き、月曜日から金曜日の朝に同じ絵(散歩する人)を一枚ずつ貼りながら「月曜日、散歩します。火曜日、散歩します……」と言う。全部を線でつないで「毎朝散歩しています」とまとめる。第14課の「今、散歩しています」の絵(一枚だけ)を横に並べ、同じ形でも「今の一回」と「毎日のくり返し」があると板書で二つに分ける。
  • 学生の生活と、教師の子どものころ「毎朝何をしていますか」「休みの日はいつも何をしていますか」と学生に聞き、答えを「(名前)さん: 毎朝〜ています」と黒板に書きためる。次に教師が子どものころの絵や写真を見せて「子どものとき、毎日〜ていました」と自分の話をし、「いました」で過去の習慣が言えることを示す。

板書案

(毎朝・毎晩・いつも・毎週〜曜日)+ Vて います = くり返し
毎朝 散歩して います。
子どものとき、 ピアノを 習って いました。
〔赤〕毎朝・いつも を丸で囲む 〔青〕今〜ています(第14課)の絵と左右に並べる
カレンダー: 月〜日に同じ絵 → 矢印で「〜ています」

場面と発話(自作)

  • 新しくできた友達に、体のために何かしているか聞かれた。毎朝30分ぐらい散歩しています。
  • アルバイトの面接で、日本語をどうやって勉強しているか聞かれた。毎晩、日本のドラマを見ています。それから、毎週土曜日、日本語の教室に通っています。
  • 友達と子どものころの話をしている。夏休みの思い出を話す。子どものとき、夏休みは毎日海で泳いでいました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 頻度のことば(毎朝・毎晩・毎週土曜日・いつも)と動作の絵を組み合わせたカードで「〜ています」と言わせ、次に「子どものとき」のカードを足して「〜ていました」に替えさせる。練習Cの型: 「毎朝何をしていますか」「休みの日はいつも何をしていますか」をペアで聞き合い、答えに「〜ながら」を一つ入れる(音楽を聞きながら散歩しています)ところまで広げる。

  1. 口頭ことばと動作を組み合わせたカード(毎朝+散歩する/毎晩+日本語のCDを聞く/毎週土曜日+プールで泳ぐ/いつも+自転車で会社に行く)で、「毎朝・散歩します」とキューを出す → 全員で「毎朝散歩しています」。次に「子どものとき」のカードを足して「〜ていました」に替えさせる。最後に「今」のカードと「毎日」のカードを混ぜて出し、学生が絵を見て進行か習慣かを言い分ける。
  2. ペア「一週間インタビュー」。朝・夜・週末・子どものとき の4つの欄がある表を配り、A が「毎朝何をしていますか」「子どものとき、何を習っていましたか」と聞いて、B の答えを表に書く。交替して表を埋めたら、相手のことを「〜さんは毎朝〜ています」と3文でクラスに紹介する。
  3. 産出「今の生活と子どものころ」。今続けている習慣を二つ、子どものころの習慣を一つ、話すか書くかさせる。「〜ながら〜ています」を一つ入れられたらさらによい。教師が見るのは、毎朝・いつもと「〜ています」が対応しているか、過去の習慣が「〜ていました」になっているか、一回だけのことに使っていないか。

つまずきと手当て

  • いま進んでいる動作と取り違える。「毎朝散歩しています」を「今、散歩している」と受け取る学生がいる。いっしょにあることば(毎朝・いつも/今)で決まる、とカレンダーの板書を指して確かめる
  • 過去の習慣を「〜ています」のまま言う(×子どものとき、毎日ピアノを習っています)。「子どものとき」なら「いました」、と時のことばと文の終わりをそろえさせる
  • 一回だけのことに使う(×きのう、映画を見ています)。一回のことは「見ました」。くり返しているかどうかを学生に聞き返して確かめる

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉います(第14課・いま進んでいる動作)第14課の「今、雨が降っています」は目の前で進んでいる一回の動作で、この課の「毎朝散歩しています」は何度もくり返していることです。形は同じなので、決め手はいっしょに使うことば(今/毎朝・いつも)です。「毎朝」と聞いても「今、散歩中」と受け取る学習者がいるので、時計の絵とカレンダーの絵を並べて区別します。
  • 〈Vて形〉います(習慣的行為・職業)(第15課)第15課で、「〜で働いています」のように仕事や続けていることを「〜ています」で言う形に触れています。この課はそれを「毎朝・毎週」のことばと結び、生活の習慣を言う方向に広げます。新しい用法としてではなく第15課の続きとして見せると、学習者の負担が軽くなります。
  • Vます/Vません/Vました/Vませんでした(第4課)第4課から「毎朝6時に起きます」のように、ます形でも習慣は言えます。「〜ます」は決まった事実として言い、「〜ています」は「このごろ続けている」という感じが出ます。どちらも誤りではないので、ます形の答えを直す必要はなく、「〜ています」はこの課で足す言い方として見せます。
関連する文型

学習項目 3 〈普通形〉し、〈普通形〉し、それに〜

意味・はたらき文型 3

「この部屋は広いし、明るいし、それに駅から近いです」のように、同じ向きの事がらをいくつも並べて、「それだけではない、まだある」という気持ちで言う文型です。「し」は普通形に付き、二つ目、三つ目と重ねられます。「それに」は「そのうえ」という意味の接続のことばで、最後にもう一つ付け足すときに使います。良い点を並べるなら全部良い点、困る点を並べるなら全部困る点にそろえるのが自然です。並べる名詞には「が」より「も」がよく付き、「ほかにもある」感じが強くなります(料理も作れるし、歌も歌えるし)。丁寧に話す場面では「広いですし」のような形も聞きますが、この課では普通形で練習します。文法の用語で言うと、「し」は並列の接続助詞、「それに」は付け加え(累加)の接続詞です。

接続

普通形+し(動詞: 作れるし/い形容詞: 広いし/な形容詞・名詞: 静かだし・学生だし)。最後に「それに〜」で付け足す

形
動詞: 料理も作れるし、歌も歌えるし、それにピアノも弾けますい形容詞: この店は安いし、おいしいし、それに店の人も親切ですな形容詞・名詞: あの人はまじめだし、熱心だし、それに親切です過去: きのうのパーティーは料理もおいしかったし、人も多かったし、それに音楽もよかったです

導入

  • アパートの絵で良いところを重ねるアパートの絵を三枚(広い・明るい・駅から近い)に分け、一枚ずつ貼りながら「広いし、明るいし、……」と言い、三枚目を貼るときに少し間を置いて「それに、駅から近いです」。板書は「〜し、〜し、それに〜」の枠に普通形を入れる形にして、な形容詞・名詞の「だし」を色チョークで囲む。最後に「いいアパートですね」と全体の評価を学生に言わせる。
  • 人や町のほめ方に広げる学生がよく知っている歌手や町の写真を見せ、良いところを一人一つずつ挙げてもらう。教師がそれを「〜も〜し、〜も〜し、それに〜」でつなげて読み上げ、「も」が付くと「ほかにもある」感じが出ることを聞かせる。そのあと学生同士で、自分の国のおすすめの店や町を同じ形で紹介させる。

板書案

普通形 + し、 普通形 + し、 それに 〜
広い し、 明るい し、 それに 駅から 近いです。
静か だ し / 学生 だ し (な形容詞・名詞は「だ」)
料理 も 作れる し、 歌 も 上手だ し……(「も」がよく付く)
〔赤〕だ を丸で囲む 〔青〕各項目に+の印を付けて向きをそろえる

場面と発話(自作)

  • 友達に、新しく住み始めたアパートはどうかと聞かれた。とても気に入っている。広いし、静かだし、それに駅からも近いです。
  • 会社の同僚に、新しく入った人のことを聞かれた。あの人はまじめだし、熱心だし、それに親切ですよ。
  • 日本に来たばかりの友達に、学校の近くの食堂をすすめる。あの食堂は安いし、おいしいし、それに店の人も親切です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 一つの物や人について性質を三つ書いたカード(部屋=広い・明るい・新しい、友達=まじめ・熱心・親切 など)を出し、「〜し、〜し、それに〜」でつなげさせる。い形容詞・な形容詞・名詞・動詞の可能形を混ぜて出し、「だし」の付け忘れと付けすぎを拾う。練習Cの型: 「〜はどうですか」と聞かれて、自分の町・学校・アルバイト先の良いところ(または困るところ)を三つ並べて答えるやり取りにする。

  1. 口頭物や町の絵に、特徴のことばを三つ添えたカード(アパート: 広い・明るい・新しい/店: 安い・おいしい・店の人が親切/町: 静か・きれい・便利)を指して、「広い・明るい・新しい」とキューを出す → 全員で「広いし、明るいし、それに新しいです」。い形容詞・な形容詞・名詞・動詞の可能形を混ぜたカードに替えて、「だ」の付け忘れと付けすぎを拾う。困る点だけのカード(遠い・高い・狭い)でも同じ形で言わせる。
  2. ペア「お店くらべ」。A と B に別々の店のカード(良い点三つ、または困る点三つ)を持たせる。A が「その店はどうですか」と聞き、B が「〜し、〜し、それに〜」で答える。A は聞いた内容から「じゃ、行きます」か「じゃ、やめます」を言い、理由を一言添える。カードを替えて交替する。
  3. 産出「わたしの町のおすすめ三つ重ね」。自分の国の町や好きな店を、良い点を三つ重ねてクラスに紹介させる(書いてから話してもよい)。教師が見るのは、な形容詞・名詞の「だ」、並べた点の向きがそろっているか、「それに」が最後の一つの前に来ているか。

つまずきと手当て

  • な形容詞・名詞に だ を付け忘れる(×静かし、×学生し)。第20課の普通形の表を出して、「だ」まで言ってから「し」を付けさせる
  • い形容詞に だ を付ける(×広いだし)。い形容詞の普通形は「広い」のまま、と第20課の表で確かめる
  • 良い点と困る点を混ぜて並べる(「この店はおいしいし、高いし、それに店の人も親切です」と言う。文法の誤りではないが、何を言いたいのかが伝わらない)。「し」で並べるものは同じ向き、と板書の項目に+・−の印を付けて見せ、向きがそろっているかを学生に確かめさせる

既習の文型との違い

  • N1は〈いA(い)〉くて、〜 / 〈なA〉/N2で、〜(第16課)第16課の「この部屋は広くて、明るいです」は特徴を並べて述べる言い方です。「〜し」には「それだけではない、まだある」という気持ちが加わり、並べた点が評価や理由の材料になります。「〜くて・〜で」と普通形の「〜し」を混ぜて「*広くし」「*静かでし」と言う学習者がいるので、二つの形を板書で上下に並べます。
  • 〜が、〜(第8課)良い点と困る点を一つの文で言うときは、「おいしいですが、高いです」のように「が」でつなぎます。「〜し」は同じ向きのものを重ねる形なので、向きが変わるところでは「が」に切り替える、と板書の+・−の印で示します。
関連する文型

学習項目 4 〈普通形〉し、〈普通形〉し、〜

意味・はたらき文型 4

「駅から近いし、部屋も明るいし、このアパートにします」のように、理由をいくつか並べて、そのあとに結論(決めたことや考え)を言う文型です。第9課の「〜から」が理由をはっきり一つ示すのに対して、「〜し」は「ほかにも理由はあるが、たとえば」という気持ちで並べるので、言い方がやわらかくなります。結論を言わずに「仕事も忙しいし、時間もないし……」で止めると、はっきり「できません」と言わずに断る気持ちを伝えられます。会話の題の言い方がこの使い方です。語用論の見方で言うと、言いさしの断りは「断る」という発話行為をことばにせず理由だけで伝える間接的な言い方で、相手の面子をつぶさない配慮(ポライトネス)の例として扱えます。

接続

普通形+し、普通形+し、結論(並べた理由から決めたこと・考え)。結論を言わずに「〜し……」で止めることもある

形
雨も降っているし、寒いし、きょうは出かけません駅から近いし、部屋も明るいし、このアパートにしますあしたは仕事も多いし、早く帰らなければならないし……(結論を言わずに断る)

導入

  • 選んだ理由を聞かせる二つのアパートの絵(A: 駅から近い・安い・狭い/B: 駅から遠い・高い・広い)を見せて「わたしはAにします」と言い、学生に「どうしてですか」と聞かせる。教師は指で数えながら「駅から近いし、安いし」と答え、最後に「Aにします」ともう一度言う。板書は「理由し、理由し、→ 結論」の矢印の形にする。
  • 言いさして断る学生に「あしたのパーティーに来ませんか」と誘わせ、教師は困った顔で「あしたは仕事も多いし、早く帰らなければならないし……」と言いさす。学生に「先生は来ますか、来ませんか」と聞くと「来ません」と分かる。最後まで言わなくても伝わる、日本語でよく使う断り方だと話し、会話の場面につなぐ。

板書案

理由 し、 理由 し、 → 結論
駅から 近いし、 部屋も 明るいし、 この アパートに します。
仕事も 忙しいし、 時間も ないし……(結論を言わない)
〔赤〕→ の矢印で結論へ
〔青〕「……」の上に ↘(声を下げて間を置く)

場面と発話(自作)

  • 会社の帰り、雨が強くなってきた。同僚と駅まで歩くか相談している。雨も強いし、もう遅いし、きょうはタクシーで帰りましょう。
  • 週末に山へ行かないかと友達に誘われたが、疲れていて行きたくない。今週は仕事も多かったし、ちょっと疲れたし……。
  • 引っ越しを考えている友達に、どちらの部屋にするか相談された。自分の考えを言う。こちらの部屋は明るいし、駅からも近いし、いいと思いますよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 結論を書いたカード(このアパートにします/きょうは出かけません)と理由の絵2枚を組にして出し、「〜し、〜し、〜」でつなげさせる。練習Cの型: 誘い(〜ませんか)に対して、理由を二つ並べて言いさして断るやり取り。断られた側が「そうですか。じゃ、また今度」で受けるところまでを一組にして、役割を替えて回す。

  1. 口頭結論のカード(このアパートにします/きょうは出かけません/タクシーで帰ります)と理由の絵2枚(駅から近い・安い/雨が降っている・寒い/疲れた・遅い)を組にして出し、全員で「〜し、〜し、〜」とつなげさせる。次に結論のカードだけを出して、理由は学生に考えさせる。最後に教師が「あした、映画を見に行きませんか」と誘い、学生は理由を二つ並べて「……」で止める。声を下げる調子までまねさせる。
  2. ペア「アパート選び」。二人に、A・B 二軒のアパートの情報を半分ずつ書いた紙を渡す(家賃・駅からの時間・広さ・明るさ)。互いに「Aのアパートは駅から近いですか」と聞き合って表を埋め、最後にどちらにするかを「〜し、〜し、〜にします」で一人ずつ言う。二人の結論が違ってもよい。
  3. 産出「やわらかく断るロールプレイ」。誘う役(〜ませんか)と断る役に分かれ、断る役は理由のカードを2枚引いて「〜も〜し、〜も〜し……」で止める。誘う役は「そうですか。じゃ、また今度」で受ける。役を替えて2回。教師が見るのは、理由と結論の向き、言いさしの声の下げ方、「行きません」と言い切っていないか(言い切りは文法の誤りではなく、場面に合うかどうかとして指摘する)。

つまずきと手当て

  • 理由と結論の向きが合わない(「この店は高いし、遠いし、よく来ます」と言う。文の形は正しいが、理由と結論がつながらない)。並べた理由から自然に出てくる結論か、学生自身に読み直させる
  • 言いさしを言い忘れと思い、結論まではっきり「行きません」と言ってしまう。文法の誤りではないが、誘ってくれた人には「……」で止めるほうがやわらかい、と表情と声の調子をつけて二つを聞き比べさせる
  • 「から」と「し」を同じものだと思い、理由が一つでいつも「し」を使う。一つでも使えるが「ほかにも理由がある」感じが出る、と説明し、この課ではまず二つ並べる形で練習する

既習の文型との違い

  • 〈文〉から(理由)、〈文〉(第9課)第9課の「〜から」は理由をはっきり一つ示し、「時間がありませんから、行きません」のように言い切ります。「〜し」は理由の例をいくつか並べる形で、ほかにも理由がありそうな、やわらかい感じが出ます。誘いを断る場面で二つを読み比べさせ、「から」で言い切ると強く聞こえることがあると体験させます。
  • 〜。〈普通形(〜だ→〜な)〉んです(第26課)第26課の「〜んです」も事情を説明する言い方で、「あしたは試験があるんです」と一つの事情をくわしく示します。「〜し、〜し……」は事情をいくつか並べて全体の様子を伝えます。断るときは両方を合わせて「試験もあるし、アルバイトもあるんです」とも言えるので、会話の練習で使わせてよい形です。
関連する文型

学習項目 5 〈普通形〉し、(〈普通形〉し、)〜から

意味・はたらき文型 5

「どうしてこの店によく来るんですか」「安いし、おいしいですから」のように、理由を並べて、最後の理由にだけ「から」を付ける形です。第26課の「どうして〜んですか」と聞かれて答えるときによく使い、結論(だからよく来ます)は言わなくても伝わります。かっこの部分は省いてもよく、「〜し、〜から」で理由二つ、「〜し、〜し、〜から」で理由三つになります。「から」の前は第9課と同じで、丁寧に話すときは「〜ですから」「〜ますから」の形になります。

接続

普通形+し、(普通形+し、)普通形/丁寧形+から。「どうして〜んですか」への答えで、結論は言わないことが多い

形
「どうしてこの店でパンを買うんですか」「値段も安いし、おいしいですから」「どうしてこのアパートに住んでいるんですか」「駅にも近いし、部屋も広いですから」近いし、安いから、よくここで昼ご飯を食べます(結論まで言う形)

導入

  • 「どうして」の答えを二通りで第26課の「どうして〜んですか」で学生に質問させ、教師は一回目は「安いですから」と理由一つで、二回目は「安いし、おいしいですから」と二つで答える。どちらが「とても気に入っている」ように聞こえるか学生に聞くと、二つ並べたほうが強く伝わることに気づく。板書は「〜し、〜から。」で、最後の理由にだけ「から」が付くことを色チョークで示す。
  • 学生の理由を集める「どうして日本語を勉強しているんですか」「どうして今の町に住んでいるんですか」と学生に聞き、理由を二つか三つ挙げてもらって黒板に書く。それを「〜し、〜から」の形に組み立てて答えさせる。理由が三つある学生には、板書のかっこの部分を足して「〜し、〜し、〜から」にさせる。

板書案

Q: どうして 〜んですか。
A: 理由 し、(理由 し、) 理由 から。
安いし、 おいしいですから。
〔赤〕から は最後の一つだけ
〔青〕し の前は普通形・から の前は です/ます でもよい

場面と発話(自作)

  • 日本人の知り合いに、どうしてこの町に住んでいるのか聞かれた。静かだし、駅から近いですから。
  • 同僚に、どうしていつも自転車で会社に来るのか聞かれた。電車は高いし、自転車のほうが速いですから。
  • 友達に、どうしてそのドラマが好きなのか聞かれた。話もおもしろいし、好きな歌手の歌も聞けるし、それに日本語の勉強にもなりますから。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 「どうして〜んですか」の質問カードと理由の絵2〜3枚を組にして出し、「〜し、〜から」「〜し、〜し、〜から」で答えさせる。「から」は最後の一つ、その前は全部「し」、と板書を指しながら進める。練習Cの型: 店・学校・住む町を選んだ理由を聞き合い、答えを聞いた側が「そうですか。いいですね」で受けるところまでを一組にする。

  1. 口頭質問のカードと理由の絵2〜3枚を組にして出す(どうしてこの店によく来るんですか+安い・おいしい/どうして自転車で来るんですか+近い・電車は高い/どうしてこの町に住んでいるんですか+静か・駅から近い・公園がある)。教師が質問を読み、全員で「〜し、〜から」「〜し、〜し、〜から」と答える。理由の数を指で示して、二つの答えと三つの答えを言い分けさせる。
  2. ペア「どうしてインタビュー」。A が相手の生活について「どうして〜んですか」を三つ聞く(日本語を勉強している・今の町に住んでいる・今のアルバイトをしている など)。B は「〜し、〜から」で答え、A は「そうですか。いいですね」で受ける。交替して、聞いた答えを一つずつメモさせる。
  3. 産出「理由リレー」。クラス全体に一つの質問(どうして日本語を勉強しているんですか)を出し、一人目が「〜し」と理由を一つ言う。次の人は前の人の理由をくり返してから自分の理由を足し、何人目かで教師が合図したら、その人が「〜から」で閉じる。教師が見るのは、「から」が最後の一つだけか、「し」の前が普通形か、な形容詞・名詞の「だ」。

つまずきと手当て

  • 「し」の代わりに「から」を重ねる(安いから、おいしいからです)。意味は通じるが、この課の形では「から」は最後の一つだけ、と板書の色で示す
  • 「し」と「から」を続けてしまう(×安いしから)。「し」で終わる理由と「から」で終わる理由は別々、と読点で区切った板書を指して確かめる
  • 自分から話すときも答えの形だけで終える(「この店、安いし、おいしいですから」で話が終わり、何を言いたいのか分からない)。聞かれていないときは結論まで言う、と「近いし、安いから、よくここで食べます」を並べて見せる

既習の文型との違い

  • 〈文〉から(理由)、〈文〉(第9課)第9課の「〜から」で答えると理由は一つで、「安いですから」ははっきりした答えになります。この課の形は、最後の「から」の前に「〜し」で理由を足していくので、「安いし、おいしいですから」のように理由が重なります。「*安いしから」と二つを続けたり、全部の理由に「から」を付けたりする学習者がいるので、「から」は最後だけ、と板書の色で示します。
  • どうして〈普通形(〜だ→〜な)〉んですか / …〈普通形(〜だ→〜な)〉んです(第26課)第26課では「どうして〜んですか」に「…んです」で答えました。この課の「〜し、〜から」も同じ問いへの答えで、理由をいくつか挙げたいときの言い方です。「近いし、静かなんです」のように「〜し、〜んです」とも答えられるので、答えの形が二つあることを見せておきます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、「〜ながら」「〜ています」の材料になる動作や生活の語(かみます・通います・メモします など)と、「〜し、〜し」で人や物を評価するときに使う語(まじめ・熱心・値段・味・給料 など)が中心です。動作の語は絵カードで ます形 のまま出し、文型1の二つの絵を組み合わせるカードにそのまま使います。評価の語は「〜し、〜し」の文の中で覚えさせ、「それに」は文型3の板書の中で示します。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 通います(かよいます) 学校や会社などへ、何度もくり返し行きます。 学校に〜・大学に〜・毎週〜
    友達に、平日の夜は何をしているか聞かれた。
    「働きながら、夜は日本語学校に通っています。」
  • 散歩します(さんぽします) 楽しみや体のために、近くをゆっくり歩きます。 公園を〜・犬と〜・毎朝〜
    同僚に、体のために何かしているか聞かれた。
    「毎朝、公園を散歩しています。」
  • 習います(ならいます) 先生から、やり方や知識を教えてもらいます。 ピアノを〜・日本語を〜・〜さんに〜
    友達と子どものころの話をしている。
    「子どものとき、毎週ピアノを習っていました。」
  • 弾きます(ひきます) ピアノやギターで、音楽をします。 ピアノを〜・ギターを〜
    新しい友達に、趣味を聞かれた。
    「歌を歌いながら、ギターを弾きます。」
  • メモします(メモします) あとで忘れないように、大事なことを短く書きます。 電話番号を〜・話を聞きながら〜
    会議で、上の人の話を聞いている。
    「話を聞きながら、メモします。」
  • まじめ(な)(まじめ(な)) 仕事や勉強を休みません。毎日きちんとします。 〜な学生・〜に働く
    同僚に、新しく来た人のことを聞かれた。
    「まじめだし、仕事も速いし、とてもいい人ですよ。」
  • 熱心(な)(ねっしん(な)) 好きなことや大事なことを、とても一生懸命します。 〜な先生・〜に勉強する
    友達に、アルバイト先の店長のことを聞かれた。
    「仕事に熱心だし、親切だし、それに料理も上手です。」
  • 親切(な)(しんせつ(な)) ほかの人のために、やさしく何かをしてあげます。 〜な人・店の人が〜だ
    日本に来たばかりの人に、近くの店を勧める。
    「安いし、おいしいし、それに店の人も親切です。」
  • 値段(ねだん) 物を買うときに払うお金の数です。 〜が高い・〜が安い
    二つのかばんのどちらを買うか、友達と話している。
    「こっちは値段も安いし、軽いし、これにします。」
  • 味(あじ) 食べ物や飲み物を口に入れたときに分かる、甘い・辛いなどの感じです。 〜がいい・〜が好きだ
    友達に、どうしてこの店によく来るのか聞かれた。
    「味もいいし、近いですから。」
  • 給料(きゅうりょう) 働いて、会社や店からもらうお金です。 〜が高い・〜が安い・〜をもらう
    友達に、どうしてそのアルバイトを続けているのか聞かれた。
    「給料もいいし、家から近いですから。」
  • それに(それに) 前に言ったことに、もう一つ付け加えるときに使います。 〜し、それに〜
    友達に、新しいアパートはどうか聞かれた。
    「静かだし、それに家賃も安いです。」

会話の扱い

会話は、知り合いから頼みごとをされて、仕事や試験で忙しいことを「〜も〜し、〜も〜し……」と並べて言いよどむ、という流れが芯です。結論を言わずに止めることで、はっきり「できません」と言わずに断りの気持ちを伝える、文型4の言いさしを場面の中で体験させるのがねらいです。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、役割を替えて二回読んだら、頼みごとの中身と忙しい理由を学生の生活(アルバイト・試験・引っ越し など)に置き換えて再現させます。頼む側が「〜んですが」で切り出す言い方は第26課とつながるので、そこを指して確かめます。言いさしの「……」は、声を下げて少し間を置く調子までまねさせます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

宿題は問題の文法部分と、「わたしの毎日」を五文で書くこと(「〜ています」二つ・「〜ながら」一つ・「〜し、〜し、それに〜」で自分の町か学校を紹介する文一つ・「どうして日本語を勉強しているんですか」への「〜し、〜から」の答え一つ)。次のコマの最初に、誘い(〜ませんか)を言いさしで断るやり取りをペアで一回ずつしてから作文を発表させ、第29課の「〜ています」につなぐ。第29課の「〜ています」は物の状態を表すので、この課の習慣の「〜ています」と並べて板書できるよう、カレンダーの絵を残しておく。

よくある質問

  • 第28課の「〜ながら」はどう導入すればいいですか?

    教師が二つの動作を同時にして見せるのがいちばん早いです。歩くだけ、電話で話すだけを別々に見せてから、歩きながら話して「歩きながら話します」と言います。板書では ます を線で消して「ながら」を付け、後ろのV2に「主な動作」と書きます。そのあと「働きながら大学に通っています」のように、ある期間に二つを続けている使い方に広げます。

  • 「〜ながら」と「〜て、〜」「〜てから」の違いは何ですか?

    「〜ながら」は一人が二つの動作を同時にする言い方、第16課の「〜て、〜」は動作を順番に並べる言い方、「〜てから」は前の動作が終わってから次をするとはっきり言う言い方です。時間の線を板書し、矢印が重なるか並ぶかで見せると区別しやすくなります。「〜ながら」は二人の動作には使えないことも、ここで確かめます。

  • 第28課の「〜ています」は第14課・第15課の「〜ています」とどう違いますか?

    形は同じで、第14課は今進んでいる動作、第15課は結果の状態や仕事の言い方、この課は毎朝・毎週のようにくり返している習慣です。決め手はいっしょに使うことばで、「今」なら進行、「毎朝・いつも」なら習慣になります。この課では第14課との区別に絞り、物の状態の「〜ています」が出る第29課で、まとめて一枚の板書に並べると混乱しません。

  • 「〜し」と「〜から」の違いは何ですか?

    「〜から」は理由をはっきり一つ示し、「〜し」は理由や良いところの例をいくつか並べて、ほかにもありそうな感じを出します。そのため、「〜し、〜し……」で結論を言わずに止めると、やわらかく断る言い方になります。文型5では二つを組み合わせ、「〜し、〜から」と最後の理由にだけ「から」を付けます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は普通形の復習、「〜ながら」、習慣の「〜ています」、「〜し、〜し、それに〜」まで。2コマ目は理由の「〜し」と「〜し、〜から」、会話、練習Cと問題です。普通形の「だ」で崩れるクラスでは、2コマ目の初めに5分の確認を入れると「〜し」の練習が止まりません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。