「ように」を使う四つの言い方をまとめて扱う課です。「忘れないように書いておきます」で目標に届くための行動を、「泳げるようになりました」でできなかったことができるようになった変化を、「毎日運動するようにしています」で気をつけて続けている習慣を、「遅れないようにしてください」で相手に続けて気をつけてほしいことを言います。形はどれも辞書形かない形に「ように」が付くだけなので作り方で迷うことは少なく、時間は四つの意味の違いと、文型1の「ように」の前には可能形・ない形・「見える・届く」のような自分では決められない動詞が来る、という一点に使います。会話は健康のために気をつけていることを話す場面で、文型3が芯になります。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習とつなぎ) | 10分 | 第27課の可能形を絵カードで速く回し(泳げる・読める・話せる)、ない形(忘れない・遅れない)も数枚。「ように」の前に来る形を先に口に戻しておく。第19課の「〜くなります/〜になります」の変化の板書も一行だけ思い出させる |
| 文型1(〜ように、V2) | 35分 | 教師がメモを書く・目覚まし時計をかける動作を見せて「忘れないように」「遅れないように」。板書は「目標(できる・ない)ように → 行動」の矢印の枠。前に来る動詞の種類(可能形・ない形・見える・聞こえる・届く・間に合う)を一列に書き出す |
| 文型2(〜ようになりました) | 30分 | 日本へ来たときと今を二枚の絵で比べ、「漢字が読めるようになりました」「はしで食べられるようになりました」。答えの「いいえ、まだ〜ません」もここで出す |
| 文型3(〜ようにしています) | 30分 | 教師の健康の習慣を話す形で「毎日歩くようにしています」「夜甘い物を食べないようにしています」。第15課の「〜ています(習慣)」との違いを、気をつけて続けているかどうかで一本だけ線を引く |
| 文型4(〜ようにしてください) | 25分 | 教室の約束ごとを教師が学生に言う場面で「授業に遅れないようにしてください」。「〜てください」と並べて、今すぐ一回か、これからずっとか、で言い分ける |
| 会話 | 25分 | 健康のために気をつけていることを聞くインタビューの場面。文型3を中心に、聞き手の質問のかたまりはそのまま覚えさせ、答えの部分を学生自身の習慣に置き換えて再現させる |
| 練習C・問題 | 25分 | 「何のためにしているか」「できるようになったこと」「気をつけていること」の三つのやり取りをペアで。問題の聞き取りは教室で、文法の部分は宿題に |
「忘れないように、手帳に書いておきます」「後ろの人にも聞こえるように、大きい声で話します」のように、V1 で目標や望む状態を示し、V2 でそのためにする行動を言う文型です。「ように」の前には、自分の力だけでは決められないことを表す形が来ます。可能形(読める・話せる)、「見える・聞こえる・届く・間に合う」のような動詞、そして「忘れない・遅れない・風邪をひかない」のようなない形です。V2 は自分で決めてする動作(書いておく・練習する・早く出る)です。V1 と V2 の主語は同じでも違ってもかまいません。「漢字を読む」「家を買う」のように自分で決めてする動作をそのまま目的にするときは、第42課の「〜ために」を使うので、この課では「ように」の前は可能形とない形を中心に練習します。
V1 辞書形(可能形・見える・聞こえる・届く・間に合う など)/V1 ない形+ない+ように、V2(V2 は意志でする動作)
絵カードの二枚組(目標の絵と行動の絵)を見せて「〜ように、〜ます」の代入練習(練習Bの型)。可能形のカード(泳げる・読める)とない形のカード(忘れない・風邪をひかない)を混ぜる。次に「何のために〜ていますか」「〜ように、〜ています」の問答をペアで回し、最後に自分が毎日していることを一つ選んで「〜ように」で理由を言うやり取り(練習Cの型)にする。
「漢字が読めるようになりました」「毎朝新聞を読むようになりました」のように、前はできなかったこと・しなかったことが、時間がたって、できるように・するように変わったことを言う文型です。可能形に付くと能力の変化(泳げるようになりました)、ふつうの動詞に付くと習慣の変化(自分で料理を作るようになりました)になります。第19課の「〜くなります/〜になります」は形容詞や名詞の変化でしたが、ここでは動詞の変化を言います。「〜ようになりましたか」と聞かれて、まだ変わっていないときは「いいえ、まだ〜ません」で答えます。できていたことができなくなったときは「〜ないようになりました」より「〜なくなりました」がふつうです(このごろ泳げなくなりました)。
V 辞書形(可能形が多い)+ようになりました/ようになります(答えの否定は「まだ〜ません」、反対の変化は「〜なくなりました」)
「来たとき/今」の二枚組の絵カードで「〜ようになりました」の代入練習(練習Bの型)。可能形の動詞から始め、習慣の変化(料理を作る・新聞を読む)を後半に入れる。次に「〜ようになりましたか」「はい、〜ようになりました/いいえ、まだ〜ません」の問答をペアで回し、最後に「日本へ来て変わったこと」を三つ紹介するやり取り(練習Cの型)にする。
「毎日運動するようにしています」「夜遅く甘い物を食べないようにしています」のように、自分で気をつけて、ふだん続けていることを言う文型です。「〜ようにします」で「これからそうするように気をつける」という決心を、「〜ようにしています」でそれを習慣として続けていることを表します。第15課の「〜ています(習慣)」は事実として毎日していることを言うだけですが、「〜ようにしています」には「できるだけそうしようと気をつけている」という気持ちが入ります。そのため、いつも必ずできているとは限らないことにも使え、「できるだけ」といっしょによく使います。
V 辞書形/V ない形+ない+ようにしています(決心は「ようにします」)
健康・勉強・お金の三つのテーマの絵カードで「〜ようにしています/〜ないようにしています」の代入練習(練習Bの型)。肯定と否定を交互に出す。次に「健康のために何か気をつけていますか」「ええ、〜ようにしています」の問答をペアで回し、最後に学生が自分の習慣を紹介し合うインタビュー(練習Cの型)にする。会話の流れと同じなので、ここで会話の練習の準備になる。
「授業に遅れないようにしてください」「薬は毎日飲むようにしてください」のように、相手にこれから続けて気をつけてほしいことを頼む文型です。第14課の「〜てください」、第17課の「〜ないでください」が今その場の一回の動作を頼むことが多いのに対して、「〜ようにしてください」は、ふだんの習慣や、これから何度もある場面での注意を頼みます。そのため、先生や医者、会社の上の人がルールや注意を伝えるときによく使い、その場の動作を直接頼むのではなく、気をつける方向を示す言い方なので、決まりや注意を伝える響きがあります。今すぐ一回だけしてほしいこと(窓を開ける・ここに名前を書く)には使いません。
V 辞書形/V ない形+ない+ようにしてください
病院・寮・会社・教室のルールの絵カードで「〜ようにしてください/〜ないようにしてください」の代入練習(練習Bの型)。次に「〜てください」の場面(今すぐの一回)のカードを混ぜて、どちらで言うかを選ばせる。最後に、医者と患者・管理人と留学生の役でルールを伝えて「はい、わかりました。〜ようにします」と答えるロールプレイ(練習Cの型)にする。
この課の新出語は、「ように」の前に来やすい動詞(届く・太る・やせる・慣れる など)と、習慣や気をつけていることを言うときの副詞(できるだけ・必ず・絶対に・このごろ・やっと など)が中心です。動詞は「〜ように」「〜ようになりました」の文の形で絵カードと結び付け、副詞は文型3・4の文の中で入れて単語だけで説明しません。「やっと」は文型2の「〜ようになりました」と、「できるだけ」は文型3と組みで覚えさせると使える形で残ります。下の語は、この課の文型の練習で使いやすいものを選びました。
会話は、健康で元気な人に、毎日の生活で何か特別に気をつけていることはあるかと聞き、答える人が自分の習慣を話す、という流れです。文型3の「〜ようにしています」が芯で、「〜ないようにしています」の否定の形もここで自然に使われます。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、聞き手と答える人の役を替えて二回読んだら、答えの部分を学生自身の健康の習慣(歩く・早く寝る・甘い物を食べない など)に置き換えて再現させます。聞き手の質問や、感心してあいづちを打つ言い方は、意味を分解せずにかたまりで入れます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題は問題の文法部分と、「日本へ来て変わったこと」の短い作文(「〜ようになりました」を二つ、「〜ようにしています」を二つ、「〜ように、〜ます」を一つ)。次のコマの最初に四つの「ように」の聞き分け(教師が文を言い、どの意味かを指で示す)をしてから作文を発表させ、第37課の受身につなぐ。「ように」の二列の板書(なってほしいこと/すること)は、あとの課でも「ように」が出るたびに使うので、写真に撮っておく。
第36課の「〜ように」と第42課の「〜ために」の違いは?
「ように」の前には、可能形・ない形・「見える・届く・間に合う」のような自分では決められない形が来ます。「ために」の前には、自分で決めてする動作がそのまま来ます(家を買うために)。この課では「ために」はまだ出さず、板書の左の列(なってほしいこと)に何が入るかだけを練習しておくと、第42課で二つを並べたときに分けやすくなります。
「〜ようにしています」と「〜ています」は何が違いますか?
「〜ています」は毎日していることを事実として言うだけで、「〜ようにしています」は自分で気をつけて続けていることを言います。そのため「できるだけ」といっしょに使え、できない日がある習慣にも自然です。教室では同じ文を二つ並べ、気をつける理由(健康・勉強・お金)があるほうに「ようにしています」を付けさせます。
「〜ようにしてください」と「〜てください」はどう教え分けますか?
今その場で一回してほしいことは「〜てください」、これからいつも気をつけてほしいことは「〜ようにしてください」と、時間で分けます。時計とカレンダーの絵を板書に置き、ルールのカードと「今すぐ」のカードを混ぜて学生に選ばせると定着します。注意や指示の響きがあるので、目上の人へのお願いには使わないことも一言添えます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習、文型1・2と文型3の導入まで。2コマ目は文型3の練習、文型4、会話、練習Cと問題です。可能形がまだ不安なクラスでは、最初に可能形の確認を10分足して、文型2を1コマ目の最後にまとめます。
四つの「ように」を混ぜないための板書はどう組みますか?
文型1で黒板の左に「なってほしいこと」、右に「すること」の二列を作り、消さずに残します。文型2では右の列の上に「なりました」、文型3では「しています」、文型4では「してください」と書き足していくと、前の形はいつも同じで、後ろだけが変わることが一目で分かります。最後に四つの文を縦に並べ、どれが目標・変化・習慣・お願いかを学生に指で示させます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。