第14課で作ったて形を、許可を求める「〜てもいいですか」、禁止の「〜てはいけません」、そして「〜ています」の2つ目・3つ目の意味(結果の状態・習慣や職業)に広げる課です。前の課の「〜ています」は目の前の動作(今 食べています)でしたが、この課では「住んでいます」「結婚しています」「銀行で働いています」のように、動作が終わったあとの状態や、くり返している仕事を表します。形は同じでも意味が3つに分かれるところが芯で、家族や仕事について聞き合う会話にそのまま使えます。許可と禁止は、教室や寮の決まりを材料にすると場面が作りやすい課です。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習) | 10分 | 第14課のて形を絵カードで速く復習(開けます→開けて、使います→使って)。次に「今 何をしていますか」の絵で進行の「〜ています」を1分。ここで「きょうは〜ています の別の意味を2つ習います」と予告しておく |
| 文型1 〜てもいいですか | 30分 | 教師の動作(窓・電気・写真)で許可を求める場面を作り、「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと……」の答えまで板書。練習Bの型で絵→文、練習Cの型で教室・友達の家・会社のペア |
| 文型2 〜てはいけません | 25分 | 禁止の標識の絵カード(たばこ・写真・電話)で導入。文型1の「いいえ」の答えとして「いけません」を出し、肯定の「〜てもいいです」と並べて板書 |
| 文型3 〜ています(結果の状態) | 35分 | 教師の家族の写真と地図で「結婚しています」「大阪に住んでいます」。「知っています/知りません」は別に板書して、否定の形だけ特別だと押さえる |
| 文型4 〜ています(習慣・職業) | 30分 | 家族の仕事の絵カード(銀行・学校・病院)で「〜で働いています」。学生の家族について聞き合うペア練習へ |
| 会話 | 25分 | 家族の人数・住んでいる所・仕事を丁寧に聞く会話。CD を聞いて、文型3・4の文を見つけさせてからロールプレイ |
| 練習C・問題 | 25分 | 練習Cの型で「許可を求める」「家族の紹介」の2つを場面カードで。問題は聞き取りと短い読み書きで課の定着を確かめ、できなかった文型は次のコマの最初に戻す |
相手に「〜してもかまいませんか」と許可を求める言い方です。答えは「ええ、どうぞ」「ええ、いいですよ」のように受け入れるか、「すみません、ちょっと……」のように断ります。断るときに「いいえ、いけません」と言うのはかなり強いので、ふつうの場面では使わないことも一緒に教えます。て形に「も」が付くことで「〜しても、問題ない?」という意味になります。
動詞のて形+も+いいですか(開けます→開けてもいいですか、使います→使ってもいいですか)
練習Bの型: 第14課の動詞の絵カード(開けます・つけます・使います・座ります・コピーします)を見せ、学生が「〜てもいいですか」を作る。次に練習Cの型: 場面カード(教室で辞書/友達の家で写真/会社で早く帰る)を配り、A が許可を求め、B が「ええ、どうぞ」か「すみません、ちょっと……」で答えるペア。B の答えはサイコロや教師の合図で決めると両方の答えを練習できる。
「〜することは許されない」という禁止を表します。決まりや規則(教室・図書館・病院・標識)を言うときの形で、文型1の「〜てもいいですか」に「いいえ」と答えるときにも使います。個人的なお願いで「しないでほしい」と言うときには強すぎるので、その言い方は第17課の「〜ないでください」で習うと予告しておきます。
動詞のて形+は+いけません(吸います→吸ってはいけません、撮ります→撮ってはいけません)
練習Bの型: 標識の絵カード→「〜てはいけません」。次に「〜てもいいですか」の問いに「はい、いいですよ」「いいえ、いけません」で答える応答練習(教師が○×カードを出して答えを決める)。練習Cの型: 「寮の決まり」「教室の決まり」を A が説明し、B が「〜てもいいですか」と確かめるペア。
動作が終わって、その結果が今も続いていることを表します。「結婚します」は結婚するという出来事ですが、「結婚しています」は結婚した状態が続いている、つまり「既婚である」という意味です。「住みます」「知ります」「持ちます」も同じで、「大阪に住んでいます」「田中さんを知っています」「車を持っています」は今の状態を言っています。第14課の「今 食べています」(動作の進行中)と形は同じでも、この課の動詞は進行の意味にならないので、動詞ごとに意味を押さえます。「知っています」の否定は「知りません」で、「知っていません」とは言わないのが特別です。
動詞のて形+います(結婚します→結婚しています、住みます→住んでいます、知ります→知っています、持ちます→持っています)
練習Bの型: 「結婚します・住みます・知ります・持ちます」の絵カードで「〜ています」を作る。「知ります」は必ず否定の「知りません」まで答えさせる。練習Cの型: 「〜さんはどこに住んでいますか」「〜を持っていますか」「〜を知っていますか」をクラスの中で聞き合うインタビュー。結果を「〜さんは〜に住んでいます」と報告させると三人称の文も練習できる。
同じ動作をくり返していること、特に仕事や職業を表します。「父は銀行で働いています」は、今この瞬間に働いているのではなく、銀行員として働き続けているという意味です。「大学で経済を研究しています」「英語を教えています」「この店は野菜を売っています」も同じ使い方です。「毎日〜ます」と言っても習慣は表せますが、「〜ています」は仕事や活動が続いていることに焦点があります。文型3と同じ形なので、場面で「状態」か「くり返し」かを分けて見せます。
動詞のて形+います(働きます→働いています、教えます→教えています、研究します→研究しています、売ります→売っています)
練習Bの型: 職業の絵カード(銀行・病院・学校・会社)→「〜で働いています」、店の絵カード→「〜を売っています」。練習Cの型: 家族の人数と仕事のカード(例「父・会社・母・病院・姉・大学」)を配り、A が「ご家族は何人ですか」「お父さんは何をしていますか」と聞き、B がカードを見て答えるペア。最後に自分の本当の家族で言わせる。
この課の新しい動詞(置きます・作ります・売ります・知ります・住みます・研究します)は、全部て形にしてから文型に入ると練習が速くなります。「知ります」「住みます」は「〜ています」の形でしか使わないので、ます形の練習は最小限にして「知っています/知りません」「〜に住んでいます」のまとまりで覚えさせます。物の名前(資料・カタログ・時刻表・製品・服)は文型1・2の目的語にして、「使ってもいいですか」「置いてはいけません」の中で出すと定着しやすいです。
相手の家族について丁寧に尋ねる会話で、家族の人数・住んでいる所・仕事を聞き合う中に文型3(住んでいます)と文型4(働いています)が出ます。相手の家族を言うときの「ご〜」「お〜」の形と、自分の家族を言うときの「父・母・兄」の使い分けは第7・11課で出ているので、会話に入る前に家族の呼び方の表を一度出しておきます。聞かせるときは「何人家族か」「どこに住んでいるか」「仕事は何か」の3点を聞き取らせ、そのあと学生自身の家族に置き換えてロールプレイします。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
練習Bを書いて提出(文型3・4は自分の家族で書き換えさせる)。問題の聞き取りは授業内で、読み書きは宿題に。次のコマの最初に「〜てもいいですか」「〜てはいけません」を教室の決まりで3問だけ口頭で確認してから、第16課の「〜て、〜て、〜」(て形の連続)に入る。
第15課の「〜ています」は、第14課の「〜ています」とどう分けて教えればいいですか?
第14課は「今 食べています」のような、続く動作の途中だけにします。第15課では、一回で終わる出来事のあとの状態(結婚しています・知っています)と、仕事や習慣のくり返し(働いています・教えています)の2つを足します。形は同じなので、動詞ごとに意味を覚えさせ、時間の線の板書で「点のあとに続く線」と「何度もくり返す点」を見せると区別しやすくなります。
「〜てもいいですか」に「いいえ、いけません」と答えさせてもいいですか?
文型2の答えの形として練習はしますが、知り合いや目上の人に頼まれて断るときには強すぎると伝えます。ふつうの断り方は「すみません、ちょっと……」で、文の最後を言わないことで柔らかくなります。「いいえ、いけません」は先生・係の人・店の人が決まりを言う場面に限って使わせます。
「知っています」の否定はなぜ「知りません」なのですか?
「知る」は、知らなかった人が知っている状態に変わる出来事を表す動詞で、「知っています」はそのあとの状態です。まだ知らないのはその出来事が起きていない状態なので、ふつう「知りません」で言い、「知っていません」とは言いません。教室では理由より形を先に固め、「知っていますか」の問いには「いいえ、知りません」で答える練習をくり返します。
「住んでいます」は「に」、「働いています」は「で」なのはなぜですか?
「住む」は人がその場所にいることに近いので、「〈場所〉にいます」と同じ「に」を取ります。「働く」は場所で何かをする動作なので、「〈場所〉で食べます」と同じ「で」を取ります。家族紹介では2つが続けて出るので、第10課の「〜にいます」と第6課の「〜で〜ます」に戻して板書し、2行並べて言い分けさせます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と文型1・2(許可と禁止)、2コマ目は文型3・4(〜ています)と会話、練習Cです。て形がまだ定着していないクラスでは、最初に て形の小テストを入れて3コマにしてもよいです。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。