日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅰ 第15課「ご家族は?」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「ご家族は?」

第14課で作ったて形を、許可を求める「〜てもいいですか」、禁止の「〜てはいけません」、そして「〜ています」の2つ目・3つ目の意味(結果の状態・習慣や職業)に広げる課です。前の課の「〜ています」は目の前の動作(今 食べています)でしたが、この課では「住んでいます」「結婚しています」「銀行で働いています」のように、動作が終わったあとの状態や、くり返している仕事を表します。形は同じでも意味が3つに分かれるところが芯で、家族や仕事について聞き合う会話にそのまま使えます。許可と禁止は、教室や寮の決まりを材料にすると場面が作りやすい課です。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜てもいいですか」で許可を求め、「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと……」で答えられる
  • 「〜てはいけません」で決まりを言える(標識・教室・図書館)
  • 「住んでいます」「結婚しています」「知っています/知りません」「持っています」を、状態の意味で使える
  • 家族や知り合いの仕事を「〜で働いています」「〜を教えています」のように言える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習)10分第14課のて形を絵カードで速く復習(開けます→開けて、使います→使って)。次に「今 何をしていますか」の絵で進行の「〜ています」を1分。ここで「きょうは〜ています の別の意味を2つ習います」と予告しておく
文型1 〜てもいいですか30分教師の動作(窓・電気・写真)で許可を求める場面を作り、「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと……」の答えまで板書。練習Bの型で絵→文、練習Cの型で教室・友達の家・会社のペア
文型2 〜てはいけません25分禁止の標識の絵カード(たばこ・写真・電話)で導入。文型1の「いいえ」の答えとして「いけません」を出し、肯定の「〜てもいいです」と並べて板書
文型3 〜ています(結果の状態)35分教師の家族の写真と地図で「結婚しています」「大阪に住んでいます」。「知っています/知りません」は別に板書して、否定の形だけ特別だと押さえる
文型4 〜ています(習慣・職業)30分家族の仕事の絵カード(銀行・学校・病院)で「〜で働いています」。学生の家族について聞き合うペア練習へ
会話25分家族の人数・住んでいる所・仕事を丁寧に聞く会話。CD を聞いて、文型3・4の文を見つけさせてからロールプレイ
練習C・問題25分練習Cの型で「許可を求める」「家族の紹介」の2つを場面カードで。問題は聞き取りと短い読み書きで課の定着を確かめ、できなかった文型は次のコマの最初に戻す

学習項目 1 〈Vて形〉もいいですか

意味・はたらき文型 1

相手に「〜してもかまいませんか」と許可を求める言い方です。答えは「ええ、どうぞ」「ええ、いいですよ」のように受け入れるか、「すみません、ちょっと……」のように断ります。断るときに「いいえ、いけません」と言うのはかなり強いので、ふつうの場面では使わないことも一緒に教えます。て形に「も」が付くことで「〜しても、問題ない?」という意味になります。

接続

動詞のて形+も+いいですか(開けます→開けてもいいですか、使います→使ってもいいですか)

形
Vて もいいですかええ、どうぞ/ええ、いいですよすみません、ちょっと……Vて もいいです(答えの文)

導入

  • 教師の動作で場面を作る教師が窓のところへ行き、開けるしぐさをして学生の顔を見ながら「窓を開けてもいいですか」。学生がうなずいたら「ええ、どうぞ」を教師が言って見せ、もう一度学生に言わせる。次に電気・ドア・学生の辞書を借りるしぐさで同じことをくり返し、「Vて + も + いいですか」を板書する。
  • 断り方を先に見せる学生の消しゴムを指して「使ってもいいですか」と聞き、学生が「いいえ」と言ったところで「すみません、ちょっと……」を板書して言い換えさせる。「いいえ、いけません」は強い言い方だと一言添え、文型2につなぐ。

板書案

Vて + も + いいですか
まどを あけます → あけて → まどを あけても いいですか。
しゃしんを とります → とって → しゃしんを とっても いいですか。
〔青〕ええ、どうぞ。/ええ、いいですよ。 〔赤〕すみません、ちょっと……。
〔赤〕て形 〔丸〕も

場面と発話(自作)

  • 教室でテストの前に、学生が先生に辞書を使ってよいか確かめる。先生、辞書を使ってもいいですか。
  • 友達の家で、きれいな部屋の写真を撮りたい。友達に聞く。この部屋の写真を撮ってもいいですか。……ええ、どうぞ。
  • 会社で、仕事が早く終わったので課長に聞く。すみません、きょうは4時に帰ってもいいですか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 第14課の動詞の絵カード(開けます・つけます・使います・座ります・コピーします)を見せ、学生が「〜てもいいですか」を作る。次に練習Cの型: 場面カード(教室で辞書/友達の家で写真/会社で早く帰る)を配り、A が許可を求め、B が「ええ、どうぞ」か「すみません、ちょっと……」で答えるペア。B の答えはサイコロや教師の合図で決めると両方の答えを練習できる。

  1. 口頭教師が絵カードと語でキューを出す(「窓・開けます」「エアコン・つけます」「ここ・座ります」「ペン・使います」「写真・撮ります」)。学生は全体で「窓を開けてもいいですか」と言い、次に個人で。慣れたらキューを絵だけにする。続けて教師がうなずく/首を横に振る合図を出し、「ええ、どうぞ」「すみません、ちょっと……」の答え方も全体で言わせる。
  2. ペアA は「したいことカード」(辞書を使う・窓を開ける・写真を撮る・ここに座る)を、B は○と×が書いてある「答えカード」を持つ。A がカードの1枚で許可を求め、B は自分のカードの○×を見て答える。B のカードは A に見せないので、答えを聞くまで分からない。4枚終わったらカードを交換して役を替える。
  3. 産出活動名「教室のお願いリレー」。学生は立って歩き、教室にある本物の物(隣の人のペン・先生のパソコン・窓・空いている椅子)を使って、3人に許可を求める。聞かれた人は本当の気持ちで答える。教師が見るのは、て形が正しいか、「も」が落ちていないか、断るときに「いいえ、いけません」ではなく「すみません、ちょっと……」を使っているか。

つまずきと手当て

  • て形が崩れる(「使ってもいいですか」が「使いてもいいですか」、「座って」が「座りて」)。第14課の動詞(使います・座ります)も、この課の新しい動詞(置きます・作ります・売ります・知ります・住みます)もグループⅠなので、導入の前に て形だけ先に言わせる
  • 「も」が落ちて「開けていいですか」になる。話し言葉では通じるが、この段階では「も」を入れた形で統一し、板書の「も」を丸で囲む
  • 「いいですか」だけで聞く(「窓、いいですか」)。通じることもあるが、何をするのか伝わらないので、動詞のて形を必ず言う練習に戻す

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉ください(第14課)「〜てください」は相手にしてもらう頼みで、動作をするのは相手です。「〜てもいいですか」は自分がしたいことの許可で、動作をするのは話し手です。ペンを借りたいのに「ペンを使ってください」と言い、相手にペンを使うよう勧める意味になってしまう学習者がいるので、だれが動くかを指で示して確かめます。
  • 〈Vます形〉ましょうか(第14課)「〜ましょうか」も「〜てもいいですか」も動作をするのは話し手ですが、「〜ましょうか」は相手のための申し出、「〜てもいいですか」は自分のための許可です。自分が暑いのに「窓を開けましょうか」と言うと、相手のためにする申し出に聞こえます。「だれのためにするか」を場面で分けます。
関連する文型

学習項目 2 〈Vて形〉はいけません

意味・はたらき文型 2

「〜することは許されない」という禁止を表します。決まりや規則(教室・図書館・病院・標識)を言うときの形で、文型1の「〜てもいいですか」に「いいえ」と答えるときにも使います。個人的なお願いで「しないでほしい」と言うときには強すぎるので、その言い方は第17課の「〜ないでください」で習うと予告しておきます。

接続

動詞のて形+は+いけません(吸います→吸ってはいけません、撮ります→撮ってはいけません)

形
Vて はいけません〈場所〉で Vて はいけませんいいえ、いけません(文型1の答え)

導入

  • 禁止の標識の絵カードたばこ・カメラ・携帯電話に赤い線が入った標識の絵を見せ、「ここでたばこを吸ってもいいですか」と文型1で聞く。学生の「いいえ」を受けて「いいえ、いけません。ここでたばこを吸ってはいけません」と言い、「Vて + は + いけません」を板書する。「も いいです」と「は いけません」を上下に並べて、て形のあとの助詞が違うことを見せる。
  • 教室と図書館の決まり「教室で」「図書館で」と場所を板書し、学生に「教室で〜てはいけません」の文を作らせる(電話をかけます・たばこを吸います・食べます)。学生が出した文はそのまま「クラスの決まり」として教室に貼ると、あとの課でも使える。

板書案

Vて + は + いけません
ここで たばこを すっては いけません。
〔青〕Vて も いいです ⇔ 〔赤〕Vて は いけません
Q:きょうしつで たべても いいですか。 A:いいえ、いけません。
〔丸〕は(よみは「わ」)

場面と発話(自作)

  • 美術館で、学生が絵の写真を撮ろうとしている。係の人が注意する。すみません、ここで写真を撮ってはいけません。
  • 図書館で、友達に電話をかけようとしている留学生に、日本人の友達が小さい声で言う。図書館で電話をかけてはいけませんよ。
  • 学生が先生に教室でお弁当を食べてよいか聞く。先生が答える。教室で食べてもいいですか。……いいえ、いけません。食堂で食べてください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 標識の絵カード→「〜てはいけません」。次に「〜てもいいですか」の問いに「はい、いいですよ」「いいえ、いけません」で答える応答練習(教師が○×カードを出して答えを決める)。練習Cの型: 「寮の決まり」「教室の決まり」を A が説明し、B が「〜てもいいですか」と確かめるペア。

  1. 口頭禁止の標識カード(たばこ・カメラ・電話・食べ物)と場所の語でキューを出す(「図書館・電話をかけます」「美術館・写真を撮ります」「教室・たばこを吸います」「電車・食べます」)。学生は全体で「図書館で電話をかけてはいけません」。次に教師が「〜てもいいですか」と聞き、○×カードを上げて答えを決める応答練習(「はい、いいですよ」/「いいえ、いけません」)。
  2. ペアA は場所の「決まりカード」(寮・プール・図書館のどれか1枚。してもいいことに○、してはいけないことに×)を持つ。B はどの場所かだけ知らされていて、「〜てもいいですか」で4つ聞き、答えを表に書く。A は「はい、いいですよ」「いいえ、いけません」と答え、最後に「〜てはいけません」で決まりを1つまとめて言う。終わったら別の場所のカードで役を替える。
  3. 産出活動名「クラスの決まりポスター」。3〜4人のグループで、自分たちのクラスの決まりを「〜てはいけません」2つと「〜てもいいです」1つで作って紙に書き、発表する。ほかのグループが「〜てもいいですか」で1つ質問する。教師が見るのは「も → いいです」「は → いけません」の組み合わせ、「は」を「わ」と書いていないか、決まりではなく人へのお願いに使っていないか。

つまずきと手当て

  • 「〜てはいけません」の「は」を「わ」と書く(「吸ってわいけません」)。音は「わ」だが助詞の「は」であることを、第1課の「わたしは」とつなげて確認する
  • 肯定と否定で助詞を取り違える(禁止を言うつもりで「吸ってもいけません」、許可を聞くつもりで「撮ってはいいですか」)。板書で「も → いいです」「は → いけません」を線で結び、組み合わせを固定する
  • 目上の人への個人的なお願いに使う(先生に「ここに座ってはいけません」)。強い禁止なので、決まりを言うときだけに限ると説明し、お願いは「〜ないでください」(第17課)まで待つ

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉もいいですか(第15課)同じ て形のあとでも、許可は「も」と「いいです」、禁止は「は」と「いけません」で組みが決まっています。学習者は禁止を言うつもりで「吸ってもいけません」(これは「吸うのもだめ」の意味になる)、許可を聞くつもりで「*撮ってはいいですか」のように片方だけ入れ替えてしまうので、2行を上下に並べて線で結びます。答えの「いいえ、いけません」は文型2の短い形として一緒に練習します。
  • Vます/Vません/Vました/Vませんでした(第4課)「ここでたばこを吸いません」は自分がしないこと(習慣や予定)を言う文で、決まりを言う文にはなりません。標識の意味を言わせると「ここで写真を撮りません」と答える学習者がいるので、「わたしは撮りません」と「(だれも)撮ってはいけません」を並べ、だれのことを言っているかで分けます。
関連する文型

学習項目 3 〈Vて形〉います(結果の状態)

意味・はたらき文型 3

動作が終わって、その結果が今も続いていることを表します。「結婚します」は結婚するという出来事ですが、「結婚しています」は結婚した状態が続いている、つまり「既婚である」という意味です。「住みます」「知ります」「持ちます」も同じで、「大阪に住んでいます」「田中さんを知っています」「車を持っています」は今の状態を言っています。第14課の「今 食べています」(動作の進行中)と形は同じでも、この課の動詞は進行の意味にならないので、動詞ごとに意味を押さえます。「知っています」の否定は「知りません」で、「知っていません」とは言わないのが特別です。

接続

動詞のて形+います(結婚します→結婚しています、住みます→住んでいます、知ります→知っています、持ちます→持っています)

形
〈人〉は 結婚しています/独身です〈人〉は 〈場所〉に 住んでいます〈人・物〉を 知っています/知りません〈物〉を 持っています

導入

  • 教師の家族の写真と地図教師の家族の写真を見せて「わたしは結婚しています」、学生の一人に「〜さんは?」と聞いて「独身です」も出す。次に日本の地図を貼り、自分の町を指して「わたしは〜に住んでいます」。学生に「〜さんはどこに住んでいますか」と聞いて回り、「〈場所〉に 住んでいます」を板書する。助詞が「に」であることを丸で囲む。
  • 知っています・知りません有名な人の写真を見せて「この人を知っていますか」。「はい、知っています」「いいえ、知りません」を板書し、「知っていません」とは言わないことを×で書く。続けて学生の持ち物(携帯電話・自転車)で「〜を持っていますか」を聞き、「あります」との違いは「人が持つ」ことだと短く言う。

板書案

Vて + います(今の じょうたい)
けっこんします ●──→ けっこんしています ━━━(今)
〈場所〉〔丸〕に すんでいます。 おおさかに すんでいます。
〈物〉を もっています。 くるまを もっています。
しっていますか。→ はい、しっています。/いいえ、〔赤〕しりません(〔赤×〕しっていません)

場面と発話(自作)

  • 留学生が初めて会った会社の人に、住んでいる所を聞かれて答える。わたしは大阪に住んでいます。会社は京都です。
  • クラスで、新しい先生の名前を友達に聞く。あの先生を知っていますか。……いいえ、知りません。
  • 学生が家族を紹介する。兄のことを話す。兄は結婚しています。東京に住んでいます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 「結婚します・住みます・知ります・持ちます」の絵カードで「〜ています」を作る。「知ります」は必ず否定の「知りません」まで答えさせる。練習Cの型: 「〜さんはどこに住んでいますか」「〜を持っていますか」「〜を知っていますか」をクラスの中で聞き合うインタビュー。結果を「〜さんは〜に住んでいます」と報告させると三人称の文も練習できる。

  1. 口頭写真・地図・実物でキューを出す(「大阪・住みます」→「大阪に住んでいます」/「車・持ちます」→「車を持っています」/「この人・知ります」→「この人を知っています」/指輪の絵・結婚します→「結婚しています」)。全体のあと個人へ。続けて教師が有名な人や店の写真を見せて「知っていますか」と聞き、学生は本当に「はい、知っています」「いいえ、知りません」で答える。否定の形を毎回声に出させる。
  2. ペアA は人物カード3枚(住んでいる所・結婚しているか・持っている物が書いてある)、B は空いた表を持つ。B が「山田さんはどこに住んでいますか」「結婚していますか」「車を持っていますか」と聞いて表を埋める。A はカードを見せずに答える。3人分終わったら別のカードで役を替える。
  3. 産出活動名「人さがしビンゴ」。3×3のビンゴ用紙のマスに「京都に住んでいます」「自転車を持っています」「この歌を知っています」などの文を書いておく。学生は歩いて「〜さんは京都に住んでいますか」と聞き、「はい」と答えた人の名前をマスに書く。終わったら「〜さんは京都に住んでいます」と報告する。教師が見るのは「に」と「で」、「知りません」の形、「結婚します」と「結婚しています」の取り違え。

つまずきと手当て

  • 「結婚します」「住みます」をそのまま状態の意味で使う(「兄は結婚します」で「既婚だ」と言おうとする)。「結婚します」は「これから」、「結婚しています」は「今の状態」と、時間の線で板書する
  • 「知っています」の否定を「知っていません」と作る。活用の規則どおりなので間違えやすく、この動詞だけ「知りません」だと最初に×印をつけて覚えさせる
  • 「住んでいます」の助詞を「で」にする(「大阪で住んでいます」)。「働いています」が「で」なので混ざりやすい。「住む」は「いる」と同じで場所に「に」と押さえる

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉います(第14課)第14課の「今 食べています」は、続く動作の途中を言います。この課の「結婚しています」「知っています」は、一回で終わる出来事のあと、その結果が残っている状態を言います。学習者が「兄は結婚します」で今の状態を言おうとしたり、「結婚しています」を式の最中だと思ったりするので、時間の線を板書して点(出来事)と線(状態)で見せます。
  • Nがあります(第9課)「車があります」は物があること、「車を持っています」は人がそれを持っていることに焦点があり、助詞も「が」と「を」で違います。「*車が持っています」のように混ぜる誤りが出るので、「〈人〉は 〈物〉を 持っています」の枠で練習します。
  • 〈場所〉にN(人)がいます(第10課)「住んでいます」の場所に「に」を使うのは、「〈場所〉にいます」と同じく、人がいる場所を言うからです。「*大阪で住んでいます」が出たら、「大阪に います → 大阪に 住んでいます」と第10課の文から言い直させます。
関連する文型

学習項目 4 〈Vて形〉います(習慣的行為・職業)

意味・はたらき文型 4

同じ動作をくり返していること、特に仕事や職業を表します。「父は銀行で働いています」は、今この瞬間に働いているのではなく、銀行員として働き続けているという意味です。「大学で経済を研究しています」「英語を教えています」「この店は野菜を売っています」も同じ使い方です。「毎日〜ます」と言っても習慣は表せますが、「〜ています」は仕事や活動が続いていることに焦点があります。文型3と同じ形なので、場面で「状態」か「くり返し」かを分けて見せます。

接続

動詞のて形+います(働きます→働いています、教えます→教えています、研究します→研究しています、売ります→売っています)

形
〈人〉は 〈場所〉で 働いています〈人〉は 〈物〉を 教えています/研究しています〈店〉は 〈物〉を 売っています〈人〉は 何を していますか

導入

  • 家族の仕事の絵カード銀行・学校・病院・スーパーの絵と、それぞれで働く人の絵を並べ、教師が自分の家族について「父は銀行で働いています」「母は学校で英語を教えています」と言う。「〈場所〉で 働いています」を板書し、学生に「お父さんは何をしていますか」と聞いて答えさせる。答えが「会社員です」の名詞文でもよいと伝え、「会社で働いています」に言い換えて見せる。
  • 店の絵で「売っています」八百屋・本屋・スーパーの絵を見せて「この店は何を売っていますか」。「野菜を売っています」「本を売っています」の答えを並べ、人だけでなく店も主語になることを示す。

板書案

〈場所〉〔丸〕で はたらいています(しごと)
ちちは ぎんこうで はたらいています。
〈物〉を おしえています/うっています/けんきゅうしています
〔赤〕すんでいます ← に / はたらいています ← で
Q:おとうさんは なにを していますか。 A:かいしゃいんです。/かいしゃで はたらいています。

場面と発話(自作)

  • 初めて会った人に家族のことを聞かれて、父の仕事を答える。父は銀行で働いています。母は英語を教えています。
  • 大学の友達の姉について、何の仕事かを聞く。お姉さんは何をしていますか。……大学で経済を研究しています。
  • タイの野菜を買いたい留学生に、友達が近くの店を教える。駅の前のスーパーはタイの野菜を売っていますよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 職業の絵カード(銀行・病院・学校・会社)→「〜で働いています」、店の絵カード→「〜を売っています」。練習Cの型: 家族の人数と仕事のカード(例「父・会社・母・病院・姉・大学」)を配り、A が「ご家族は何人ですか」「お父さんは何をしていますか」と聞き、B がカードを見て答えるペア。最後に自分の本当の家族で言わせる。

  1. 口頭職業と店の絵カードでキューを出す(「父・銀行」→「父は銀行で働いています」/「姉・病院」/「兄・大学・経済・研究します」/「この店・パン・売ります」)。全体のあと個人へ。続けて名詞文から動詞文への言い換え練習(「母は先生です」→「母は学校で教えています」)をして、同じ仕事を2つの言い方で言えるようにする。
  2. ペアA は家族カード(人数・家族それぞれの仕事と働いている場所)、B は空いた家族の表を持つ。B が「ご家族は何人ですか」「お父さんは何をしていますか」「どこで働いていますか」と聞いて表を埋める。A は自分の家族として「父は〜で働いています」と答える。相手の家族は「お父さん」、自分の家族は「父」と言い分けているかを互いに確かめてから役を替える。
  3. 産出活動名「家族紹介スピーチ」。学生は家族の写真(なければ絵)を見せながら、何人家族か、どこに住んでいるか、何をしているかを4〜5文で話す。聞いている学生は1つ質問する(「お兄さんは何を教えていますか」など)。教師が見るのは「で」と「に」の使い分け、「父」と「お父さん」、「〜ています」と「〜ます」の取り違え。家族のことを話したくない学生には、架空の家族カードで話してよいことにする。

つまずきと手当て

  • 「働いています」の助詞を「に」にする(「銀行に働いています」)。母語の「〜に勤める」の感覚が入りやすい。「で」は動作の場所だと第6課の「〜で食べます」に戻して確認する
  • 文型3の「住んでいます」と混ざって、「父は会社に働いています」「大阪で住んでいます」が同時に出る。「住む→に」「働く→で」の2行を並べて板書し、ペアで言い分ける練習を1回入れる
  • 進行の意味と取り違えて「今、父は銀行で働いています」を「今この瞬間に働いている」としか理解しない。「今」を外した文と「毎日」を付けた文を並べ、どちらの意味にもなることを場面で示す

既習の文型との違い

  • 〈場所〉でVます(第6課)「毎日 銀行で働きます」は日々の行為や予定を言う文で、「銀行で働いています」はその仕事を続けていること、つまり職業を言う文です。父の仕事を聞かれて「父は銀行で働きます」と答えると、これから働くという予定にも聞こえます。仕事を紹介するときは「〜ています」と決めて練習します。
  • N1はN2 です(第1課)「父は会社員です」は職業の名前を言う名詞文、「父は会社で働いています」は働く場所と活動を言う動詞文で、どちらも仕事を聞かれたときの答えになります。職業の名前が分からないときも動詞文で言えるので、両方の言い方を並べて板書します。
  • 〈Vて形〉います(結果の状態)(第15課)同じ課の「住んでいます」は場所に「に」、「働いています」は場所に「で」を取ります。家族紹介で2つが続けて出るので、「*大阪で住んでいます」「*銀行に働いています」が同時に出やすく、2行並べて言い分ける練習を入れます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新しい動詞(置きます・作ります・売ります・知ります・住みます・研究します)は、全部て形にしてから文型に入ると練習が速くなります。「知ります」「住みます」は「〜ています」の形でしか使わないので、ます形の練習は最小限にして「知っています/知りません」「〜に住んでいます」のまとまりで覚えさせます。物の名前(資料・カタログ・時刻表・製品・服)は文型1・2の目的語にして、「使ってもいいですか」「置いてはいけません」の中で出すと定着しやすいです。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 使います(つかいます) 物や道具で、何かをします。 辞書を〜・パソコンを〜・はしを〜
    テストの前に、学生が先生に聞く。
    「先生、辞書を使ってもいいですか。」
  • 座ります(すわります) 椅子などに体をのせて、立たないでいます。 椅子に〜・ここに〜・前に〜
    混んでいる電車で、空いている席の隣の人に聞く。
    「すみません、ここに座ってもいいですか。」
  • 置きます(おきます) 物をある場所に持っていって、そこにします。 かばんを〜・机の上に〜・ここに〜
    店の入り口で、店の人が客に言う。
    「すみません、ここに荷物を置いてはいけません。」
  • 撮ります(とります) カメラや携帯電話で、写真を作ります。 写真を〜・ここで〜
    お寺で写真を撮りたい。お寺の人に聞く。
    「ここで写真を撮ってもいいですか。」
  • 吸います(すいます) たばこの煙を口から入れます。 たばこを〜
    駅の前でたばこを吸おうとしている人に、駅の人が言う。
    「ここでたばこを吸ってはいけません。」
  • 住みます(すみます) ある場所に家があって、そこで毎日生活します。「〜に住んでいます」の形でよく使います。 大阪に〜・アパートに〜・寮に〜
    初めて会った人に、どこに住んでいるか聞かれる。
    「駅の近くのアパートに住んでいます。」
  • 知ります(しります) 人や物について、分かるようになります。「知っています」と「知りません」の形でよく使います。 名前を〜・電話番号を〜・あの人を〜
    友達に、新しい先生の名前を聞く。
    「あの先生の名前を知っていますか。……いいえ、知りません。」
  • 持ちます(もちます) 物が自分のものとして、自分のところにあります。 車を〜・自転車を〜・パソコンを〜
    週末の旅行の相談。友達に車があるか聞く。
    「田中さんは車を持っていますか。」
  • 結婚します(けっこんします) 二人が夫と妻になります。「結婚しています」は、今、夫や妻がいることです。 〜しています・去年〜しました
    会社の人と、家族の話をしている。
    「兄は結婚しています。姉は独身です。」
  • 働きます(はたらきます) 会社や店などで、仕事をします。 銀行で〜・病院で〜・毎日〜
    初めて会った人に、家族の仕事を聞かれる。
    「父は病院で働いています。」
  • 売ります(うります) お金をもらって、物を人に渡します。「買います」の反対です。 野菜を〜・店で〜・安く〜
    留学生が友達に、近くの店のことを聞く。
    「あの店は何を売っていますか。……パンを売っています。」
  • 研究します(けんきゅうします) 大学などで、あることについて長い時間をかけて調べます。 経済を〜・大学で〜・日本の歴史を〜
    大学の友達に、お姉さんの仕事を聞かれる。
    「姉は大学で経済を研究しています。」

会話の扱い

相手の家族について丁寧に尋ねる会話で、家族の人数・住んでいる所・仕事を聞き合う中に文型3(住んでいます)と文型4(働いています)が出ます。相手の家族を言うときの「ご〜」「お〜」の形と、自分の家族を言うときの「父・母・兄」の使い分けは第7・11課で出ているので、会話に入る前に家族の呼び方の表を一度出しておきます。聞かせるときは「何人家族か」「どこに住んでいるか」「仕事は何か」の3点を聞き取らせ、そのあと学生自身の家族に置き換えてロールプレイします。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

練習Bを書いて提出(文型3・4は自分の家族で書き換えさせる)。問題の聞き取りは授業内で、読み書きは宿題に。次のコマの最初に「〜てもいいですか」「〜てはいけません」を教室の決まりで3問だけ口頭で確認してから、第16課の「〜て、〜て、〜」(て形の連続)に入る。

よくある質問

  • 第15課の「〜ています」は、第14課の「〜ています」とどう分けて教えればいいですか?

    第14課は「今 食べています」のような、続く動作の途中だけにします。第15課では、一回で終わる出来事のあとの状態(結婚しています・知っています)と、仕事や習慣のくり返し(働いています・教えています)の2つを足します。形は同じなので、動詞ごとに意味を覚えさせ、時間の線の板書で「点のあとに続く線」と「何度もくり返す点」を見せると区別しやすくなります。

  • 「〜てもいいですか」に「いいえ、いけません」と答えさせてもいいですか?

    文型2の答えの形として練習はしますが、知り合いや目上の人に頼まれて断るときには強すぎると伝えます。ふつうの断り方は「すみません、ちょっと……」で、文の最後を言わないことで柔らかくなります。「いいえ、いけません」は先生・係の人・店の人が決まりを言う場面に限って使わせます。

  • 「知っています」の否定はなぜ「知りません」なのですか?

    「知る」は、知らなかった人が知っている状態に変わる出来事を表す動詞で、「知っています」はそのあとの状態です。まだ知らないのはその出来事が起きていない状態なので、ふつう「知りません」で言い、「知っていません」とは言いません。教室では理由より形を先に固め、「知っていますか」の問いには「いいえ、知りません」で答える練習をくり返します。

  • 「住んでいます」は「に」、「働いています」は「で」なのはなぜですか?

    「住む」は人がその場所にいることに近いので、「〈場所〉にいます」と同じ「に」を取ります。「働く」は場所で何かをする動作なので、「〈場所〉で食べます」と同じ「で」を取ります。家族紹介では2つが続けて出るので、第10課の「〜にいます」と第6課の「〜で〜ます」に戻して板書し、2行並べて言い分けさせます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と文型1・2(許可と禁止)、2コマ目は文型3・4(〜ています)と会話、練習Cです。て形がまだ定着していないクラスでは、最初に て形の小テストを入れて3コマにしてもよいです。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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