第14課で作れるようになったて形を、今度は文の途中で使う課です。動作を起きた順に「〜て、〜て」とつないで1日の流れを話し、「〜てから」で前後の順序をはっきり言えるようになります。後半は形容詞に移り、「〜は〜が〜です」で人や町の特徴を言い、「〜くて/〜で」で2つの性質を1文にまとめます。動詞も形容詞も「て」でつなぐと文が長くなるという感覚をつかませる課で、ここを通ると学習者の発話がぐっと文らしくなります。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習) | 10分 | 第14課のて形をグループ別に口頭で確認(教師が「ます形」を言い、学生が「て形」で返す)。第15課の「〜ています」で「今何をしていますか」を2〜3人に聞いて、動詞の語彙を温めておく |
| 文型1 〈Vて形〉、〈Vて形〉、〜 | 30分 | 教師の朝の行動を絵カード3枚で順に貼り、1文にまとめて見せる。板書「Vて、Vて、Vます」。順番を入れ替えて違いを聞く → 練習Bの型で絵カード3枚を1文に |
| 文型2 〈V1 て形〉から、V2 | 25分 | 文型1の文に「から」を入れて作り、前後の順序だけを言う形だと示す。理由の「〜から」(第9課)と並べて区別 → 「うちへ帰ってから何をしますか」を聞き合う |
| 文型3 N1はN2がAです | 30分 | 体の語(髪・目・背・足)を絵で確かめてから、学生の特徴を「〜さんは髪が長いです」で言う。町・国の特徴に広げる → 人物カードと地図で練習B |
| 文型4 〜くて、〜/〜で、〜 | 35分 | 文型3で作った2文を1文にまとめる形で導入。い形は「くて」、な形・名詞は「で」。「いい→よくて」と、反対の評価は「が」でつなぐことを板書に残す → 絵と形容詞2語のキューで練習B |
| 会話 | 25分 | 銀行の機械の使い方を聞く場面。文型1・2が順序の説明に使われていることを確かめ、CD で聞いてからロールプレイ |
| 練習C・問題 | 25分 | 練習Cの3つのやり取りをペアで入れ替えて練習。問題は聞き取りを教室で、読み書きは宿題に |
2つ以上の動作を、した順に並べて1つの文にする言い方です。て形には時制がなく、文全体が現在のことか過去のことかは、最後の動詞(〜ます/〜ました)で決まります。並べる順番は動作の順番そのままなので、順番を入れ替えると意味が変わります。「それから」で文を切っていた(第6課)ところを、1つの文で言えるようになる、と考えると学習者に伝わりやすいです。文法の用語で言うと、テ形の用法のうち「継起(動作が続けて起こる)」に当たり、テ形の節はそれ自体では時制を持ちません。
Vて形、Vて形、Vます/Vました(活用するのは最後の動詞だけ。て形の作り方は第14課)
練習Bの型: 絵カード3枚(起きます・ご飯を食べます・学校へ行きます)を見せ、「毎日」「昨日」のキューを足して「〜て、〜て、〜ます/〜ました」で1文に。乗り物の絵(電車に乗ります・駅で降ります・バスに乗り換えます)で助詞「に」「を」も確かめる。練習Cの型: ペアで「昨日何をしましたか」「日曜日はいつも何をしますか」と聞き合い、動作3つで答える。
V1 が終わったあとで V2 をする、という前後の順序をはっきり言う形です。文型1の「〜て、〜て」も順番どおりに並べますが、「〜てから」は「V1 のあとで」という点を強く出すので、「何をしてから何をするか」を伝えたいときに使います。1つの文の中では1回だけ使うのが普通で、文全体の時制は V2 で決まります。文法の用語で言うと、時の前後関係を表す従属節で、形は似ていても理由の「〜から」(第9課)とは別のものです。
V1 て形+から、V2(V2 は ます/ました/てください など)
練習Bの型: 絵カード2枚(切符を買います→電車に乗ります/シャワーを浴びます→寝ます)を見せ、「〜てから、〜ます」で1文に。順番を逆にして「それは変ですね」と確かめるとよい。練習Cの型: ペアで「国へ帰ってから、何をしますか」「授業が終わってから、どこへ行きますか」のように、未来の予定を聞き合う。
N1 を話題にして、その一部や性質(N2)がどうかを形容詞で言う文です。「佐藤さんは髪が長いです」の「髪」は佐藤さんの体の一部で、「が」で示します。N1 は人だけでなく場所や物でもよく、「京都は寺が多いです」のように町や国の特徴を言うときにも使います。「背が高い」「頭がいい」は、この形の決まった言い方としてまとめて覚えさせます。文法の用語で言うと、「は」が話題(主題)を、「が」が形容詞の主語を示す文で、いわゆる「象は鼻が長い」の型です。
N1 は N2 が い形容詞です/な形容詞です(否定・過去は形容詞の部分が変わる: 長くないです・寒かったです)
練習Bの型: 人物の絵カード(髪が長い・目が大きい・背が高い・足が長い)を見せて「〜さんは〜が〜です」。次に町のカード(人が多い・冬が寒い・交通が便利)に替える。練習Cの型: ペアで「〜さんの国はどうですか」「〜さんのお父さんはどんな人ですか」と聞き、「〜が〜です」で答える。
1つの人や物について、2つ以上の性質を並べて1文で言う形です。い形容詞は「い」を取って「くて」、な形容詞と名詞は「で」でつなぎます。動詞のて形と同じく、文が現在か過去かは最後で決まります。並べるのは同じ方向の評価(よい+よい、よくない+よくない)で、「広いですが、暗いです」のように反対の評価を並べるときは第8課の「〜が」を使います。文法の用語で言うと、形容詞のテ形(連用形)と「名詞+で」(「だ」の連用形)で文をいったん止めて次につなぐ「並列」の言い方です。
い形(〜い)→〜くて/な形→〜で/N→〜で(「いい」は「よくて」)
練習Bの型: 絵と形容詞2語のキュー(教室/明るい・新しい、町/静か・きれい、カメラ/小さい・いい)を出し、「〜くて/〜で」で1文に。「いい」を必ず混ぜて「よくて」を確かめる。名詞は「国の名前+仕事」のカードで。練習Cの型: ペアで「〜さんの町はどんな所ですか」「〜さんの家族はどんな人ですか」と聞き、「〜で、〜です」「〜くて、〜です」で答える。
この課の語彙は3つに分かれます。乗り物の動詞(乗ります・降ります・乗り換えます)は助詞とセットで「電車に乗ります」「駅で降ります」の形で入れ、文型1・2の材料にします。体の語(髪・目・耳・口・背・足・おなか)と若い・長い・短い・明るい・暗いは文型3・4の材料なので、文型に入る前に絵で確かめておきます。会話に出る銀行の語(暗証番号・現金・ボタンなど)は、会話の場面で機械の絵を見せながら、その場で意味を押さえれば十分です。
銀行の機械(ATM)の使い方を、留学生が銀行の人に聞く場面です。「〜て、〜て」「〜てから」が機械の操作の順序を説明するのに使われているので、会話に入る前に文型1・2を終えておき、聞くときは「何を先にしますか」と順序を聞き取らせます。「〜方(使い方・入れ方)」は第14課の「読み方」の仲間だと一言添えると、題の意味が分かります。CD で2回聞いてから役を分けて読み、最後は電車の切符の機械や自動販売機など、学習者が実際に困る場面に置き換えてロールプレイします。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
問題の読み書きの部分と、「わたしの1日」を「〜て、〜て、〜てから」で5文書く作文を宿題にする。次のコマの最初に作文を2〜3人に読ませ、て形と最後の「ます/ました」を全員で確かめてから、第17課のない形(「〜ないでください」)に入る。
第16課の「〜て、〜て」と「〜てから」の違いはどう説明すればいいですか?
「〜て、〜て」はした順に並べるだけ、「〜てから」は前の動作が終わったあとで次をする、という順序を強く言う形です。「手を洗ってから、食べてください」のように、先にしないと困ることを言う場面で「てから」を出すと違いが伝わります。1日の流れを話すときは「て」でつなぎ、1文に「てから」は1回まで、と決めておくと学習者が迷いません。
い形容詞の「くて」とな形容詞の「で」はどう見せればいいですか?
第8課の形容詞の表をもう一度見せ、い形は「い」を取って「くて」、な形と名詞は「で」と2行で板書します。「いい→よくて」は否定の「よくないです」と同じ「よ」だと結ぶと覚えやすいです。「きれい」「嫌い」は「い」で終わってもな形なので、カードに印を付けて口頭練習に必ず混ぜます。
「佐藤さんは髪が長いです」の「は」と「が」はどう説明しますか?
だれの話かを先に「は」で出し、その人の中のどこかを「が」で言う、と2段で示します。文法の説明より、学生自身の特徴を言う状況を作るほうが早く入ります。特徴を言うつもりで「は」を2回使う学習者が多いので、板書で「は」と「が」の色を変え、2つ目を「は」にするとほかの部分と比べる意味になる(「髪は長いですが、背は高くないです」)と添えます。
「広くて、暗いです」はなぜ不自然なのですか?
「〜くて/〜で」は同じ向きの評価を並べるのが普通なので、よい点とよくない点を並べると聞き手が落ち着きません。反対の評価は第8課の「〜ですが、〜」でつなぎます。部屋えらびのように、よい点とよくない点が混ざる練習を入れると、学習者が自分で使い分けを確かめられます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習とて形の確認、文型1「〜て、〜て」と文型2「〜てから」、文型3「〜は〜が〜です」の導入まで。2コマ目は文型3の練習と文型4「〜くて/〜で」、会話と練習C・問題です。体の語や形容詞が定着していないクラスは、文型3の前に語の確認を10分足し、問題の読み書きを宿題に回します。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。