みんなの日本語 初級Ⅰ 第23課「どうやって行きますか」の教案
『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「どうやって行きますか」
「〜とき」でいつ・どんな状況でそのことをするかを言い、「〜と」であることをすると必ず起こること(機械の使い方・道順)を言う課です。「とき」は名詞なので、前に付く形は第22課の名詞修飾と同じ(動詞・い形容詞は普通形、な形容詞は「な」、名詞は「の」)で、新しく覚える活用はありません。この課の芯は、「〜るとき」と「〜たとき」の違いは今から見た過去・未来ではなく、うしろの動作の前か後かで決まる、という点です。後半の「〜と」はうしろに「〜てください」「〜たいです」などの頼み・希望を置けないので、道案内と機械の操作という決まった場面の中で練習します。
このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目6時間90分×2コマ
この課のねらい(Can-do)
- 「わからないとき」「時間がないとき」のように、困ったときや特別な状況でどうするかを「〜とき、〜」で言える
- 「〜るとき」と「〜たとき」を、うしろの動作の前か後かで使い分けられる(国へ帰るとき/帰ったとき)
- い形容詞・な形容詞・名詞に「とき」を付けて、「寒いとき」「暇なとき」「子どものとき」と言える
- 「このボタンを押すと、〜」「まっすぐ行くと、〜」で、機械の使い方や道順を説明できる
進め方と時間配分
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
| 導入(復習と前の課のつなぎ) | 10分 | 第22課の「〔説明〕+名詞」の枠を使い、「きのう見た映画」「眼鏡をかけている人」を数個言わせる。次に名詞のところに「とき」を入れて「〔日本へ来た〕とき」と見せ、「とき」も名詞なので前の形は同じ、とつなぐ。普通形(辞書形・ない形・た形)を速く言わせる確認もここで |
| 文型1(〜るとき/〜ないとき) | 15分 | 「わからないとき、どうしますか」と学生に聞き、「先生に聞きます」「辞書で調べます」を引き出す。困ったとき・特別なときの行動を言う形として出す |
| 文型2(〜るとき/〜たとき) | 35分 | 国へ帰る日の時間の線を板書し、「帰る(前)」と「帰った(後)」でお土産を買う場所が変わることを見せる。この課でいちばん時間をかけるところ |
| 文型3〜5(いA/なAな/Nの+とき) | 30分 | 季節・体の調子・子どものころの写真を使い、「寒いとき」「暇なとき」「子どものとき」を一気に。な形容詞と名詞の「な/の」の区別を板書で対比させる。1コマ目はここまで |
| 文型6(〜と、〜) | 35分 | 実物の機械(ラジオ・時計など)か機械の絵で「このつまみを回すと、音が大きくなります」。続けて教室の地図で「まっすぐ行くと、右に〜があります」と道順へ |
| 会話 | 20分 | 行き方を聞いて教えてもらう場面。地図を見ながら道順を「〜と、〜があります」で確かめるやり取りを中心に聞かせ、ロールプレイへ |
| 練習C・問題 | 35分 | 「こんなとき、どうしますか」の聞き合いと、学校の近くの地図を使った道案内をペアで。問題の聴解は授業内で、書く練習は宿題に |
学習項目 1 〈V辞書形〉/〈Vない形〉ないとき、〜
意味・はたらき文型 1
「わからないとき、先生に聞きます」のように、ある状況になったときにどうするかを言う形です。「とき」は名詞なので、前の動詞は普通形(ここでは辞書形・ない形)で、「とき」のあとに「、」を打って、そのときにすることを続けます。文の終わりの「〜ます/〜ました」で丁寧さが決まるので、「とき」の前は丁寧形にしません。「時間がないとき」「雨が降るとき」のように、決まった状況でいつもすることを言うときによく使います。
接続
V辞書形/Vない形+とき、〜(「とき」の前は普通形。「〜ますとき」にはしない)
形
わからないとき、〜時間がないとき、〜雨が降るとき、〜〜とき、どうしますか
導入
- 「困ったとき、どうしますか」と学生に聞く教師が辞書を持って「日本語の言葉がわからないです。どうしますか」と学生に聞き、「辞書で調べます」「先生に聞きます」を引き出す。そのあと「わからない」と「とき」をカードにして並べ、「わからないとき、辞書で調べます」と一文にする。板書は「〔わからない〕とき、〜ます」と、第22課の名詞修飾と同じ括弧の形にする。
- 状況の絵カードを次々に替える「時間がない(時計の絵)」「お金がない(財布の絵)」「道がわからない(地図の絵)」のカードを見せ、「時間がないとき、タクシーで行きます」のように学生自身がすることを言わせる。答えが一つに決まらないので、学生ごとの答えの違いを楽しませる。
板書案
Vる/Vない + とき、〜
わからない とき、先生に 聞きます。
時間が ない とき、タクシーで 行きます。
〔赤〕とき = 名詞 → 前は 普通形(第22課の〔説明〕+N と同じ枠)
〔青〕×わかりません とき → 丁寧さは 文の終わり(〜ます)で
場面と発話(自作)
- クラスの新しい学生に、授業でわからないことがあったらどうするか教える。わからないとき、先生に聞いてください。
- 朝、駅まで歩いて行くか聞かれた。いつもは歩くが、急ぐ日は違う。時間がないとき、タクシーで行きます。
- 友だちに、家で晩ごはんを作るかどうか聞かれた。作る時間がないとき、コンビニで買います。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
状況の絵カードを見せて「〜ないとき」の句だけを言わせる代入練習から、「〜とき、〜ます」の一文へ(練習Bの型)。仕上げは「こんなとき、どうしますか」のカードを引いて、ペアで聞き合う(練習Cの型)。
- 口頭状況の絵カード(時計が遅れている=時間がない、空の財布=お金がない、地図を見て首をかしげる人=道がわからない、雨の窓=雨が降る、熱の顔=頭が痛い)を見せ、まず「時間がない」だけを全員で言わせる → 「とき」を足して「時間がないとき」→ 教師が「タクシー」と語のキューを出して「時間がないとき、タクシーで行きます」。キューを絵だけにして個人に当てていく。同じ状況で「どうしますか」と聞き、うしろの部分だけを学生に任せる段も入れる。
- ペア一人が状況カードを引いて「〜とき、どうしますか」と聞き、もう一人が自分のすることで答える(「お金がないとき、うちで料理を作ります」)。答えが一つに決まらないので、聞く側は「そうですか。わたしは〜」と自分の答えも言ってから交替。5枚で役を替える。
- 産出「こんなとき、どうする?アンケート」。学生が自分で状況を一つ考え(「眠れないとき」「日本語がわからないとき」など)、クラスの3〜4人に聞いて回り、結果を「〜さんは〜とき、〜と言いました」(第21課)でまとめて発表する。教師が見るのは、「とき」の前が普通形になっているか、「ません」「の」が入っていないか、「とき、」のあとに文が最後まで続いているか。
つまずきと手当て
- 「わかりませんとき」のように丁寧形を付ける。「とき」は名詞なので、前は第22課の「〔説明〕+名詞」と同じ普通形、と枠に戻す
- 「時間がないの時」と「の」を入れる。名詞の「子どものとき」と混ざっているので、動詞のあとは直接「とき」と、文型5と並べて区別する
- 「とき」のあとの「、」で止まり、文を続けられない。初めは「とき、」のあとに入れる動詞を絵で示して、二つの部分でできていることを見せる
既習の文型との違い
- 〈V辞書形〉/Nの/〈期間〉まえに、〜(第18課)「寝るまえに、歯をみがきます」は二つの動作の順番だけを言う形で、「寝るとき、電気を消します」は寝るその時に(寝る直前に)することを言います。「まえに」は1時間前でも前の日でも言えますが、「とき」はその場面に近い時です。学習者が「*寝ないまえに」のように「まえに」にない形を付けることがあるので、「まえに」の前は辞書形だけ、「とき」の前は辞書形・ない形の両方が来る、と枠を並べて見せます。
- N1は 文 N2 です(第22課)第22課の「〔きのう見た〕映画」と、この課の「〔わからない〕とき」は、前の説明がうしろの名詞にかかる同じ作りです。違いは、第22課の名詞が物や人で、この課は「とき」という時を表す名詞だという点だけです。学習者が「とき」だけ特別な文型だと思って丁寧形を付けるときは、第22課の枠に「とき」を入れて見せると直りやすいです。
関連する文型
学習項目 2 〈V辞書形〉/〈Vた形〉とき、〜
意味・はたらき文型 2
「とき」の前の動詞を辞書形にするか、た形にするかで意味が変わります。辞書形(「帰るとき」)は、うしろの動作がその動作の前、または途中に起こることを表し、た形(「帰ったとき」)は、その動作が終わった後に起こることを表します。決め手は今から見た過去・未来ではなく、二つの動作の順番です。だから、来年のことでも「来年国へ帰ったとき、家族に会います」とた形を使い、きのうのことでも「きのう家を出るとき、電気を消しました」と辞書形を使います。
接続
V辞書形+とき、〜(うしろが前・途中)/Vた形+とき、〜(うしろが後)
形
国へ帰るとき、〜(帰る前)国へ帰ったとき、〜(帰った後)家を出るとき、〜日本へ来たとき、〜
導入
- 時間の線で「前」と「後」を見せる板書に左から右へ線を引き、真ん中に飛行機の絵と「帰る」と書く。線の左(日本の空港)にお土産の絵を置いて「国へ帰るとき、空港でお土産を買います」、右(国の家)に家族の絵を置いて「国へ帰ったとき、家族にお土産をあげます」。同じ「帰る」でも、うしろの動作が線のどちら側にあるかで形が変わることを、矢印で示す。
- 教師の動作で順番を見せる教師が教室のドアから出るまねをしながら電気を消して「教室を出るとき、電気を消します」。次に外から入ってきて「教室に入ったとき、『こんにちは』と言います」。動作の順番を体で見せてから、学生に同じ動作をさせて言わせる。
板書案
Vる とき、〜 / Vた とき、〜
〔時間の線〕 ──日本の空港──✈(帰る)──国の家──→
国へ 帰る とき、空港で お土産を 買います。(帰る前)
国へ 帰った とき、家族に お土産を あげます。(帰った後)
〔赤〕決め手は 今の前か後か ではなく、うしろの動作が「帰る」の前か後か
場面と発話(自作)
- 来週国へ帰る友だちに、何をするか聞かれた。国へ帰ったとき、家族と海へ行きたいです。
- 日本に来た日のことを、クラスで話す。日本へ来たとき、空港で先生に会いました。
- 寮で新しく入った人に、部屋を使うときの決まりを教える。部屋を出るとき、電気を消してください。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
時間の線の板書を残したまま、「寝る/寝た」「ごはんを食べる/食べた」の組を出し、うしろの動作の絵(歯をみがく・「ごちそうさまでした」と言う)を線の左右に置いて、どちらの形かを選ばせる(練習Bの型)。仕上げは「日本へ来たとき、何がいちばん大変でしたか」を聞き合う(練習Cの型)。
- 口頭板書の時間の線を残したまま、動作の組の絵カードを出す(家を出る/電気を消す、寝る/「おやすみなさい」と言う、日本へ来た/空港で写真を撮った、ご飯を食べる/「いただきます」と言う、ご飯を食べた/「ごちそうさまでした」と言う)。うしろの動作の絵を線の左(前)か右(後)に置き、学生に「る」か「た」かを先に言わせてから文全体を言わせる。慣れたら、教師が絵を置く位置だけを変えて、同じ動詞で形を言い換えさせる。
- ペア一人が動作の組のカード(例「起きる」と「窓を開ける」)を引き、線のどちら側に置くかを決めて、相手に見せずに言う(「起きたとき、窓を開けます」)。もう一人は聞いた文から、うしろの動作が前か後かを判断して線の上にカードを置く。置き場所が合っていれば交替。形を選ぶだけの練習から、聞いて順番がわかる練習に変わる。
- 産出「はじめての日本」スピーチ。学生が日本へ来た日のことを「日本へ来るとき、〜」「日本へ来たとき、〜」を2文ずつ入れて、4〜5文で話す(国を出てから着くまでにしたこと、着いてからしたこと)。聞く学生は、した順に並べたメモを作る。教師が見るのは、過去の話でも「来るとき」が使えているか(「来るとき、飛行機の中で〜」)、未来の話で「帰ったとき」が使えているか。時制で形を選んでいる学生には、時間の線に戻ってその1文だけ言い直させる。
つまずきと手当て
- 未来のことだからと「来年国へ帰るとき、家族に会います」と辞書形を使う(家族に会うのが帰る前になってしまう)。英語の when のように時制で選ぶ学習者に多い。時間の線に戻って、うしろの動作がどちら側かだけを見る、と毎回確かめる
- 過去のことだからと、家を出る前にしたことまで「きのう家を出たとき、電気を消しました」とた形で言う(外に出てから電気を消したことになる)。家の中でする動作か、外に出てからする動作かを絵で分けて見せる
- 「とき」の中の主語に「は」を付けて「母は日本へ来たとき、わたしは空港へ行きました」と言う。主語が二つあるときは「とき」の中は「が」、と第22課の「説明の中の は→が」と同じ考えで直す
既習の文型との違い
- 〈V1 て形〉から、V2(第16課)「うちへ帰ってから、宿題をします」は、前の動作が終わったあとに次の動作をする、という順番を言います。「うちへ帰ったとき、〜」も順番は同じですが、帰ってすぐのその場面のことを言い、「帰ってから」は少しあとでもかまいません。学習者は「帰ったとき」を全部「帰ってから」で言いがちで、多くは意味が通りますが、「帰ったとき、うちにだれもいませんでした」のように、その時の様子を言う文は「てから」では言えません。
- 〈V辞書形〉/Nの/〈期間〉まえに、〜(第18課)「帰るまえに」と「帰るとき」はどちらも帰る前のことを言えますが、「まえに」は順番だけ、「帰るとき」は帰る途中(空港・飛行機の中)も含みます。「国へ帰るとき、飛行機の中で映画を見ました」は「まえに」では言えません。辞書形の「とき」は「前か途中」、と板書の線で範囲を示します。
関連する文型
学習項目 3 〈いA〉とき、〜
意味・はたらき文型 3
「寒いとき」「忙しいとき」のように、い形容詞に「とき」を付けて、その状態のときにすることを言う形です。い形容詞は名詞の前に置くときと同じで、「〜い」のまま「とき」に付けます。体の調子・天気・気持ちなど、毎日の生活で変わる状態を言うのに使いやすい形です。「小さいとき」は「子どものころ」の意味でよく使い、そのときはうしろに過去の文が来ます。
接続
いA(〜い)+とき、〜(「の」も「な」も入れない)
形
寒いとき、〜忙しいとき、〜頭が痛いとき、〜小さいとき、〜ました
導入
- 季節と体の絵で「そんなとき、何をしますか」雪の絵・強い日差しの絵を見せて「寒いです」「暑いです」と言わせてから、「寒いとき、何を飲みますか」と聞き、「温かいコーヒーを飲みます」を引き出す。次に頭を押さえる動作をして「頭が痛いとき、どうしますか」「薬を飲みます」。板書は第8課の「〈いA〉N」の横に「寒い とき」を並べ、名詞の前と同じ形だと示す。
板書案
いA(〜い)+ とき、〜
寒い とき、温かい お茶を 飲みます。
頭が 痛い とき、薬を 飲みます。
〔青〕寒い 日(第8課) = 寒い とき → 名詞の前と同じ
〔赤〕×寒いの とき ×寒いです とき
場面と発話(自作)
- 寒い国から来た友だちに、冬の過ごし方を聞かれた。寒いとき、温かいお茶を飲みます。
- アルバイト先の人に、手伝いを頼まれた。いつでもいいと伝える。忙しいとき、電話してください。
- 子どものころの写真を友だちに見せる。小さいとき、この川でよく泳ぎました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
形容詞の絵カード(寒い・暑い・眠い・忙しい・頭が痛い)で「〜いとき」の句を言わせる練習から、「〜いとき、何をしますか」の問答へ(練習Bの型)。文型1・2と混ぜて、「暇なとき」「わからないとき」を交互に出すと、形の選び分けの練習にもなる。
- 口頭い形容詞の絵カード(寒い・暑い・忙しい・眠い・頭が痛い・おなかが痛い)を出し、まず「寒い日」「忙しい日」と第8課の名詞修飾を言わせてから、「日」を「とき」に替えさせる。次に教師が「温かいお茶」「早く寝ます」などのキューを出して「〜いとき、〜ます」の一文に。最後は絵だけ見せて、うしろの部分は学生が自分で考える。
- ペア「体の調子カード」を使った聞き合い。一人が「頭が痛いとき、どうしますか」と聞き、もう一人が「薬を飲みます」「早く寝ます」と答える。答えた側は次のカードを引いて自分の調子を言ってから聞き返す。2往復で交替し、答えが同じにならないように「ほかには?」と続けさせる。
- 産出「わたしの元気になる方法」カード作り。学生が「寒いとき」「忙しいとき」「眠いとき」など3つの状態を選び、それぞれ自分がすることを1文ずつ書いて、クラスで読み合う。教師が見るのは「の」「です」が入っていないか、「〜い」がそのまま付いているか。「小さいとき、〜ました」を使った学生がいれば、過去はうしろの文で言えていることを全体に共有する。
つまずきと手当て
- 名詞と同じだと思って「寒いのとき」と言う。い形容詞は名詞の前にそのまま付く(「寒い日」)、と第8課の形に戻す
- 「寒いですとき」と丁寧形を付ける。文型1と同じで、丁寧さは文の終わりで出す
- 子どものころの話なので「小さいとき」は使えないと思い、「小さいでしたとき」のような形を作る。過去の話でも「小さいとき、〜ました」と言える(「小さかったとき」も言える)ので、まず「小さいとき」の形を入れる
既習の文型との違い
- 〜は〈いA(〜い)〉Nです(第8課)「寒い日」「新しい本」のように、い形容詞は名詞の前にそのまま付きます。「とき」も名詞なので、この課の「寒いとき」は第8課と同じ形です。学習者は「とき」を特別な文型だと思って「*寒いのとき」と言うことがあるので、「寒い日」の「日」を消して「とき」と書き替えて見せると、新しい形ではないとわかります。
- 〈いA(い)〉かったです(第12課)昔の話なので「小さかったとき」と過去形にする学習者がいます。これは間違いではありませんが、「小さいとき、〜ました」でも言え、過去かどうかはうしろの文の「〜ました」で決まります。第12課の「かった」を「とき」の前で必ず使わなければならない、と思わせないことが大切です。
関連する文型
学習項目 4 〈なA〉な とき、〜
意味・はたらき文型 4
「暇なとき」「元気なとき」のように、な形容詞に「な」を付けて「とき」につなぐ形です。名詞の前に置くときの「静かな町」と同じ作りです。「暇なとき」は「時間があるとき」の意味で、人を誘ったり、自分の好きなことを言ったりするときによく使います。文法の用語で言うと、な形容詞の連体形(「暇な」)が名詞「とき」を修飾している形で、第8課の「静かな町」と同じ連体修飾です。
接続
なA+な+とき、〜
形
暇なとき、〜元気なとき、〜大変なとき、〜暇なとき、何をしますか
導入
- 趣味の話から「暇なとき」を出す第18課の「趣味は〜ことです」を使って学生の趣味を聞いたあと、「いつしますか」と聞き、「暇なとき」を教師が出す。板書は第8課の「静か な 町」の下に「暇 な とき」と並べ、「な」が同じ位置に来ることを色を変えて示す。続けて「暇なとき、何をしますか」をクラス全員に聞いて回す。
板書案
なA + な + とき、〜
暇な とき、何を しますか。
暇な とき、友だちと 公園を 歩きます。
〔青〕静か な 町(第8課) = 暇 な とき
〔赤〕な(色を変えて丸で囲む) ×暇の とき ×暇 とき
場面と発話(自作)
- 同僚に、休みの日の過ごし方を聞かれた。暇なとき、公園を散歩します。
- 友だちを家に呼びたい。日はまだ決めていない。暇なとき、うちへ遊びに来てください。
- 引っ越しで忙しい友だちに、手伝いたいと伝える。大変なとき、言ってください。わたしが手伝います。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
な形容詞の絵カード(暇・元気・大変・静か)で「〜なとき」を言わせ、名詞の絵カード(病気・休み・学生)を混ぜて「な」か「の」かを選ばせる(練習Bの型)。仕上げは「暇なとき、何をしますか」をペアで聞き合い、相手の答えをクラスに紹介する(練習Cの型)。
- 口頭な形容詞の絵カード(暇・元気・大変・静か・好き)を出し、第8課の「静かな町」「元気な人」を言わせてから、名詞を「とき」に替える。教師が「映画」「公園」「電話」とキューを出して「暇なとき、映画を見ます」の一文に。途中に名詞のカード(休み・病気)を混ぜ、「な」か「の」かを先に言わせてから文にする。
- ペア誘いのやり取り。一人が「暇なとき、何をしますか」と聞き、相手が答えたら「じゃ、今度いっしょに〜ませんか」(第6課)と誘う。誘われた側は「いいですね」か「すみません、ちょっと…」で答える。役を替えて2往復。「暇なとき」の答えから誘いへつなぐ流れを、ペアで何度も回させる。
- 産出「暇なとき、何をする?」クラス調べ。学生が3人に聞いてメモし、「〜さんは暇なとき、〜」とクラスに紹介する。同じことをする人がいれば「〜さんと〜さんは同じです」と言わせ、次の誘いにつなげる。教師が見るのは「な」の有無と、「好きなとき」「大変なとき」など自分で選んだ語の品詞を正しく判断できているか。
つまずきと手当て
- 「暇のとき」と「の」を付ける。「休みのとき」(名詞)と混ざりやすいので、「暇な人」と言えるか「休みな人」と言えるかで、な形容詞か名詞かを確かめさせる
- 「な」を落として「暇とき」と言う。板書の色を変えた「な」を指して、名詞の前と同じ、と戻す
- 「元気なとき」と「元気のとき」で迷う。「元気」はな形容詞なので「な」。辞書や教科書の語彙表でどちらの品詞かを見る習慣をつけさせる
既習の文型との違い
- 〜は〈なA〉なNです(第8課)第8課の「静かな町」と、この課の「暇なとき」は同じ「なA+な+名詞」の形です。違うのは名詞が「とき」になることだけで、新しく覚えることは何もないと伝えると学習者は安心します。「*暇のとき」は「暇」を名詞だと思っているから出る誤りなので、品詞の確かめ方(「暇な人」と言えるか)をここで身につけさせます。
- Nのとき、〜(この課の文型5)「暇なとき」と「休みのとき」は意味が近いのに、「な」と「の」で形が違います。学習者は意味で形を選ぼうとするので、形は語の品詞で決まり意味では決まらない、と板書で2列に分けて見せます。「病気」「元気」のように意味では区別がつかない語ほど、辞書や語彙表で品詞を確かめる習慣が役に立ちます。
関連する文型
学習項目 5 Nのとき、〜
意味・はたらき文型 5
「子どものとき」「病気のとき」のように、名詞に「の」を付けて「とき」につなぐ形です。名詞と名詞をつなぐ「〜の〜」と同じ作りです。「子どものとき」「学生のとき」はその人の昔のことを言うのに使い、名詞の形は変えずに、うしろの文を過去にして言います。「休みのとき」「病気のとき」は、今も繰り返す状況を言うのにも使います。
接続
N+の+とき、〜(名詞の形は過去でも変えない)
形
子どものとき、〜ました学生のとき、〜ました病気のとき、〜休みのとき、〜
導入
- 教師の子どものころの写真教師の子どものころの写真(なければ子どもの絵)を見せて「これはわたしです。子どものとき、よく木に登りました」と言う。板書は「子ども の とき」と書き、文型3・4の「寒い とき」「暇 な とき」と縦に並べて、とき の前の三つの形(そのまま・な・の)を一つの表にまとめる。そのあと学生に「子どものとき、何が好きでしたか」と聞いていく。
板書案
N + の + とき、〜
子どもの とき、よく 木に 登りました。
休みの とき、家族と 出かけます。
〔表〕いA:寒い とき / なA:暇 な とき / N:子ども の とき
〔赤〕過去は うしろの文(〜ました)で ×子どもでした とき
場面と発話(自作)
- クラスで、子どものころの話をする。子どものとき、毎日川で泳ぎました。
- かぜをひいた友だちに、自分の国でよくすることを教える。病気のとき、温かいスープを飲みます。
- アルバイトの店長に、休みの日に何をするか聞かれた。休みのとき、よく友だちと買い物に行きます。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
「いA/なA/N」をばらばらに混ぜたカードを出して、「とき」の前の形を言わせる選び分けの練習(練習Bの型)。仕上げは「子どものとき、何が好きでしたか」「何をしましたか」を聞き合い、クラスで一人ずつ紹介する(練習Cの型)。
- 口頭「とき」の前の三つの形の表を板書したまま、いA・なA・Nの混ざった語カード(子ども・学生・病気・休み・暇・寒い・元気)を次々に出し、「とき」まで付けて言わせる(子どものとき/暇なとき/寒いとき)。速さを上げて形の選び分けを口に入れたら、「子どものとき」「学生のとき」に教師が「何が好きでしたか」と聞いて、過去の文を続けさせる。
- ペア写真を使った聞き合い。学生が子どものころの写真(なければ絵カード)を見せ、相手が「子どものとき、どんな子どもでしたか」「何が好きでしたか」と聞く。答える側は「子どものとき、〜が好きでした」「よく〜ました」で2〜3文。聞く側は質問を一つ足してから交替する。
- 産出「子どものとき、どんな子?」紹介。ペアで聞いたことを、相手について「〜さんは子どものとき、〜」と3文でクラスに紹介する。ほかの学生は聞いて、自分も同じだった人が手を挙げる。教師が見るのは「の」の落ち(「子どもとき」)と、過去を「とき」の前に入れていないか(「子どもでしたとき」)。紹介の文が「とき、」で止まらず最後まで続いているかも聞く。
つまずきと手当て
- 過去のことなので「子どもでしたとき」と丁寧形の過去を付ける。「子どものとき」のままで、過去はうしろの文で言う、と板書の表に戻す(「子どもだったとき」も言えるが、まず「子どものとき」を)
- 「の」を落として「子どもとき」と言う。「子どもの本」と同じ「の」と、第2課の「N1のN2」につなぐ
- 「病気なとき」と「な」を付ける。「病気」は名詞なので「の」。文型4の「な/の」の確かめ方(「〜な人」と言えるか)を使う
既習の文型との違い
- N1のN2(第2課)「日本語の本」「わたしの傘」の「の」と、この課の「子どものとき」の「の」は同じで、名詞と名詞をつなぐものです。学習者は「とき」の前の「の」を落として「*子どもとき」と言うことがありますが、「子どもの本」が言えれば直ります。第2課の形に戻して、「とき」も名詞だと確認させます。
- 〈V辞書形〉/Nの/〈期間〉まえに、〜(第18課)第18課で「食事のまえに」と名詞に「の」を付ける形を習っています。「食事のとき」と「食事のまえに」は形が同じで、「とき」は食事をしているその間、「まえに」は始まる前を言います。「食事のとき、テレビを見ません」と「食事のまえに、手を洗います」を並べると、時の範囲の違いがわかります。
関連する文型
学習項目 6 〈V辞書形〉と、〜
意味・はたらき文型 6
「このボタンを押すと、お湯が出ます」のように、前の動作をすると、そのあと必ず・自然にうしろのことが起こる、という関係を言う形です。機械の使い方、道順(「まっすぐ行くと、右に駅があります」)、自然のこと(「春になると、暖かくなります」)を言うのによく使います。うしろには、話す人の意志や頼み(「〜てください」「〜たいです」「〜ましょう」)は来ません。前の動詞は辞書形(否定なら「〜ないと」)で、た形にはしません。文法の用語では、前のことが成り立つといつもうしろのことが起こる関係を表す条件表現の一つで、うしろに意志を表す文が来ないのが「と」の大きな特徴です。
接続
V辞書形+と、〜(うしろは自然に起こること・ある物。頼み・希望・誘いは来ない)
形
このボタンを押すと、〜が出ますこのつまみを回すと、音が大きくなりますまっすぐ行くと、右に〜があります春になると、〜
導入
- 実物の機械を動かして見せる音の出るラジオや時計を持ち込み、教師がつまみを右へ回して音を大きくしながら「このつまみを右へ回すと、音が大きくなります」。左へ回して「左へ回すと、小さくなります」。何度回しても同じことが起こる、という感じを動作で見せる。板書は「〔回す〕と、〔大きくなります〕」と二つの部分を矢印でつなぎ、矢印に「いつも」と書き添える。
- 教室の地図で道を歩かせる学校のまわりの簡単な地図を板書し、教師が指で道をたどりながら「学校を出て、まっすぐ行くと、交差点があります」「交差点を右へ曲がると、左に郵便局があります」。学生にも指でたどらせて、自分で言わせる。「〜を」が通る場所(道・橋・交差点)に付くことも、ここで一緒に見せる。
板書案
Vる と、〜(必ず・自然に 起こる こと)
この つまみを 右へ 回す と、音が 大きく なります。
まっすぐ 行く と、右に 駅が あります。
〔地図〕学校 ──まっすぐ──+交差点──右へ──→ 郵便局
〔赤〕×Vた と 〔青〕と のうしろに ×〜てください ×〜たいです ×〜ましょう
場面と発話(自作)
- 駅の切符の機械の前で、使い方がわからない友だちに教える。お金を入れて、このボタンを押すと、切符が出ます。
- 家に来る友だちに、駅からの道を電話で教える。駅を出て、まっすぐ行くと、左に大きい建物があります。
- 日本の季節について、国の家族に話す。春になると、ここは桜がとてもきれいになります。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
機械の絵(ボタン・つまみ・レバー)と結果の絵(切符が出る・音が大きくなる・電気がつく)を組にして「〜と、〜ます」を言わせる(練習Bの型)。仕上げは地図を一人に一枚配り、片方が行きたい場所を言い、もう片方が「〜と、〜があります」で道を教える(練習Cの型)。
- 口頭実物(ラジオ・電気のスイッチ・ドア)か機械の絵を使い、教師が操作して見せながら「回す」→「音が大きくなります」と二つのキューを出し、学生に「回すと、音が大きくなります」と一文にさせる。次に操作の絵(押す・引く・回す・触る)と結果の絵(切符が出る・水が出る・電気がつく・ドアが開く)をばらばらに出して、組み合わせを学生に決めさせる。最後に板書の地図で、教師が指でたどった道を「まっすぐ行くと」「右へ曲がると」で言わせる。
- ペア「道案内インフォメーション・ギャップ」。AとBに別々の地図を配る(Aの地図には銀行と病院だけ、Bの地図には郵便局と駐車場だけが書いてある)。Aが「すみません、郵便局はどこですか」と聞き、Bが「この道をまっすぐ行くと、交差点があります。交差点を右へ曲がると、左に郵便局があります」と説明し、Aは聞きながら自分の地図に書き込む。書き込んだ位置をあとで見せ合って確かめ、役を替える。
- 産出二つから選ばせる。「わたしの町の道案内」は、学校から自分の家や駅までの道を「〜と、〜があります」で4〜5文の説明にして話し、聞く人が地図を描く。「機械の使い方カード」は、教室やうちにある機械(コピー機・自動販売機・電気ポット)の使い方を「〜と、〜ます」で3文書く。教師が見るのは「と」の前がた形になっていないか、うしろに「〜てください」が入っていないか。道案内で指示を言いたくなった学生には、「〜て、〜てください」(第16課)に切り替えて言わせる。
つまずきと手当て
- うしろに頼みを置いて「駅に着くと、電話してください」と言う。「〜と」のうしろは自然に起こることだけ。この文はこの課の「駅に着いたとき、電話してください」で言える、と文型2に戻す(第25課の「〜たら」でも言える)
- 前をた形にして「ボタンを押したと、切符が出ます」と言う。「と」の前はいつも辞書形、と板書の枠で固定する
- 道案内で「まっすぐ行くと、右へ曲がってください」と、うしろに指示を続ける。「行くと」のうしろには「〜があります」「〜が見えます」のように、そこにある物を言う、と地図の上で確かめる
既習の文型との違い
- 〈Vて形〉、〈Vて形〉、〜(第16課)道を説明するとき、「まっすぐ行って、交差点を右へ曲がってください」は相手にしてほしい動作を順に言う形で、「まっすぐ行くと、交差点があります」はそこに何があるかを言う形です。学習者は二つを混ぜて「*まっすぐ行くと、右へ曲がってください」と言うことがあります。「〜て、〜てください」は指示、「〜と、〜があります」は地図の説明、と役割で分けて板書します。
- 〈V辞書形〉/〈Vた形〉とき、〜(この課の文型2)「駅に着いたとき、電話してください」は言えますが、「*駅に着くと、電話してください」は言えません。「とき」は時を言うだけなのでうしろに頼みや希望が来られますが、「と」は前が起こるとうしろが自然に起こる関係なので、話し手の意志は来ません。学習者が頼みの文を「と」で作ったら、「とき」に言い換えさせます。
- 〈いA(〜い)〉くなります / 〈なA〉/Nになります(第19課)「と」のうしろには「大きくなります」「暖かくなります」のような変化の文がよく来ます。「春になると、暖かくなります」は第19課の「なります」を前にもうしろにも使った文です。変化の言い方が崩れている学習者には、「と」の前に第19課の復習を入れると練習が止まりません。
関連する文型
語彙の扱い
この課の新出語は、機械の操作(回す・引く・触る・動く・音・つまみ・故障 など)と道の言葉(道・交差点・信号・角・橋・駐車場 など)の二つのまとまりが中心で、どちらも文型6の練習材料そのものです。機械の語は実物か絵を動かして、道の語は板書の地図の上に置いて、文型に入る前に名前を言えるようにしておきます。「道を歩きます」「橋を渡ります」のように通る場所に「を」を使う動詞は、助詞ごとかたまりで覚えさせます。下の語は、この課の文型の練習でそのまま使える語として選んだもので、機械の操作の語は文型6の「〜と」の前に、道の語は道案内の練習の中で使います。
この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)
- 回します(まわします) つまみやハンドルを、ぐるっと動かします。 つまみを〜・右へ〜・ハンドルを〜
新しいラジオの使い方を、友だちに教える。「このつまみを右へ回すと、音が大きくなります。」
- 押します(おします) 指や手で、ボタンやドアを向こうへ動かします。 ボタンを〜・ドアを〜
駅の機械の前で、使い方がわからない人に教える。「お金を入れて、このボタンを押すと、切符が出ます。」
- 引きます(ひきます) 物を自分のほうへ動かします。「押します」の反対です。 ドアを〜・レバーを〜
店のドアが開かなくて困っている人がいる。「このドアは引くと、開きますよ。」
- 触ります(さわります) 手や指を、物にちょっと付けます。 画面に〜・機械に〜
新しい電話の使い方を説明する。「ここに触ると、写真が大きくなります。」
- 出ます(でます) 中にあった物や水などが、外へ来ます。 お釣りが〜・水が〜・お湯が〜
台所の新しい機械の使い方を、家族に教える。「この赤いボタンを押すと、お湯が出ます。気をつけてください。」
- 曲がります(まがります) まっすぐ行かないで、右か左へ行く方向を変えます。 右へ〜・交差点を〜・角を〜
駅から学校までの道を、電話で説明する。「交差点を左へ曲がると、右に学校があります。」
- 渡ります(わたります) 橋や道の向こう側へ行きます。 橋を〜・道を〜
公園への行き方を聞かれた。「あの橋を渡ると、左に大きい公園があります。」
- 交差点(こうさてん) 道と道が十字のように会うところです。 〜を右へ曲がる・二つ目の〜・〜の角
郵便局への道を説明する。「まっすぐ行くと、交差点があります。郵便局はその角です。」
- 信号(しんごう) 道で、赤・黄・青の光で「渡ってもいい」「止まる」を知らせる物です。 〜が青になる・〜を渡る・一つ目の〜
子どもに、道を渡るときのことを教える。「信号が赤のとき、道を渡らないでください。」
- 角(かど) 道が曲がるところや、建物の端のところです。 〜を曲がる・〜の店・〜にある
待ち合わせの場所を決める。「あの角を曲がると、右に喫茶店があります。そこで会いましょう。」
- 故障(こしょう) 機械が悪くなって、正しく動かないことです。 〜する・〜している・〜の機械
会社のコピー機が動かない。同僚に知らせる。「このコピー機は故障しています。使わないでください。」
- 気をつけます(きをつけます) 危ないことが起こらないように、よく注意します。 車に〜・熱いお湯に〜
暗くなってから歩いて帰る友だちに声をかける。「暗いとき、車に気をつけてください。」
会話の扱い
会話は、行きたい場所への行き方を聞いて、道順や乗り物を教えてもらう場面です。この課の「〜と、〜があります」が道順の説明にそのまま使われているので、まず板書の地図の上で教師が道をたどって見せ、目印(交差点・信号・角・建物)の言葉を確かめてから会話を聞かせます。聞いたあと、学生に地図を指でたどらせながら、どこで曲がったか、何が見えたかを言わせると、聞き取れたかどうかが分かります。ロールプレイは、学校から駅、駅から学生の家など、学生が実際に使う道で行うと、文型がそのまま生活に使えることが伝わります。学生の国では道を聞くときに地図アプリと人のどちらに聞くか、目印に何を使うかを話させると、話題が広がります。
宿題と次のコマ
練習Bを書いて提出(文型1〜5は「〜とき、〜」の文を形ごとに2つずつ、文型6は授業で使った機械の絵の組で)。あわせて、学校から自分の家(または駅)までの道を「〜と、〜があります」で4〜5文書かせ、次のコマの最初にペアで読み合い、相手の説明どおりに地図をたどれるか確かめる。問題の聴解は授業内で答え合わせ。次のコマは第24課「くれます・〜てあげます/もらいます/くれます」で、物や手伝いのやり取りに進む。第7課の「あげます/もらいます」を見直しておくとよい。
よくある質問
第23課の「〜るとき」と「〜たとき」の違いはどう教えればいいですか?
黒板に時間の線を引き、真ん中に「帰る」の動作を置いて、うしろの動作がその左(前)か右(後)かで形が決まることを見せます。決め手は今から見た過去・未来ではなく二つの動作の順番なので、未来の「来年国へ帰ったとき」と過去の「きのう家を出るとき」を必ず両方出します。学習者が時制で形を選んでいたら、文全体を直さずに、線の上でうしろの動作の位置だけを聞き返すと気づきやすいです。
「〜と」と「〜とき」の違いは何ですか?
「〜とき」は時を言うだけなので、うしろに「〜てください」「〜たいです」のような頼み・希望も来ます。「〜と」は前が起こるとうしろが必ず・自然に起こる関係を言うので、うしろに話し手の意志は来ません。この課では「〜と」を機械の使い方と道順という、結果が決まっている場面に絞って練習すると、二つが混ざりにくくなります。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と文型1〜5(「とき」の前の形)、2コマ目は文型6「〜と」、会話、練習Cと問題です。文型2の「る/た」の使い分けに時間がかかるので、1コマ目の中心はそこに置き、文型3〜5はこれまでの名詞修飾の確認として短く進めます。
「とき」の前の形(な・の)は板書でどう整理しますか?
動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の4行の表を作り、それぞれ「わからない/寒い/暇な/子どもの」+「とき」と並べます。第8課の「寒い日」「静かな町」、第2課の「子どもの本」を表の横に書いて、名詞の前と同じ形だと示します。「な」と「の」は色を変えて丸で囲み、学生が迷ったら指さして戻れるように、授業の最後まで消さずに残します。
「〜と」の道案内で「右へ曲がってください」と続けてはいけないのですか?
「まっすぐ行くと、右へ曲がってください」のように「と」のうしろに指示を置くのは誤りです。指示を言いたいときは第16課の「まっすぐ行って、右へ曲がってください」を使い、「と」のうしろは「〜があります」「〜が見えます」のように、そこにある物を言わせます。実際の道案内では二つを組み合わせて使うので、練習Cでは両方の形を使い分けさせると自然な説明になります。
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。