日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅰ 第19課「ダイエットはあしたからします」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「ダイエットはあしたからします」

動詞のた形が初めて出る課です。た形を使って、これまでにしたことがあるかどうか(経験)を「〜たことがあります」で言い、休みの日にすることをいくつか挙げて「〜たり、〜たりします」で話し、最後に「寒くなりました」「元気になりました」のように変化を言えるようになります。た形は て形(第14課)の「て・で」を「た・だ」に替えるだけなので、新しい規則はゼロ、て形が言えればた形も言えると最初に見せて、作り方は短く済ませます。時間は、経験の「〜たことがあります」が単なる過去の「〜ました」とどう違うか、「〜たり」が順番を言う「〜て、〜て」(第16課)とどう違うかを、場面で分けるところに使います。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • て形から た形を作り、グループI の音の変化(った・んだ・いた・いだ・した)と「行った」の例外を言える
  • 「〜たことがありますか」で相手の経験を聞き、「はい、あります」「いいえ、一度もありません」と答え、自分の経験を一言付け加えられる
  • 休みの日や週末にすることを「〜たり、〜たりします/しました」で二つ挙げて話せる
  • 「〜くなります」「〜になります」で天気・体の調子・日本語の力などの変化を言える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(て形の復習とた形へのつなぎ)10分第14課からの て形を絵カードで速く回す(買って・読んで・書いて・行って・して・来て)。言えたカードの「て」を黒板で「た」に書き換え、「これがた形です」とだけ言って作り方に入る
た形の作り方25分て形の板書の横にた形の列を足し、「て→た」「で→だ」の2行だけを赤で書く。ます形→た形、て形→た形 の両方の向きで口頭練習。「行った」と「来た(きた)」はここで一度確かめる
文型1(〜たことがあります)35分教師が自分の経験を写真で見せて導入(富士山・温泉など)。「きのう〜ました」と「〜たことがあります」を並べ、「いつ」が言えない・言わない経験だと板書で区別する。答え方「はい、あります/いいえ、一度もありません」までここで
文型2(〜たり、〜たりします)30分教師の日曜日の絵カードを4〜5枚貼り、そのうち2枚を選んで「掃除したり、洗濯したりします」。第16課の「〜て、〜て」と並べ、順番を言うのか、いくつかを挙げるのかの違いを見せる。最後の「します」で過去になることも確かめる
文型3(〜くなります/〜になります)35分季節や時間の変化の絵(夏→秋、昼→夜)で「暑い→涼しくなります」。い形容詞・な形容詞・名詞の3列の板書を作り、「いい→よくなります」と「きれい→きれいになります」をここで押さえる
会話20分題の「ダイエットはあしたからします」が、言い訳の決まり文句として笑いになる流れをつかませる。相づち・決まり文句はかたまりで言わせ、役を替えて2回読む
練習C・問題25分経験のインタビュー(クラスで「〜たことがありますか」を聞いて回る)、週末の過ごし方、最近の変化、の3つをペアで。問題の聴解は授業内で、書く部分は宿題に

学習項目 1 た形の作り方

意味・はたらき活用

「た」で終わる形なので「た形」と呼びます。作り方は て形とまったく同じで、て形の「て」を「た」に、「で」を「だ」に替えるだけです(書いて→書いた、読んで→読んだ)。グループの分け方も て形・ない形・辞書形と同じです。この課では「〜たことがあります」「〜たり、〜たりします」の中で使い、た形だけで文を終える使い方(普通形の過去)は第20課まで出しません。

接続

て形 → た形(て→た・で→だ)。ます形からは て形と同じ規則(グループI: い・ち・り→った/み・び・に→んだ/き→いた・ぎ→いだ/し→した、グループII: ます→た、グループIII: した・来た)

形
グループI: 買います→買った、待ちます→待った、帰ります→帰った、読みます→読んだ、遊びます→遊んだ、書きます→書いた、泳ぎます→泳いだ、話します→話した(例外: 行きます→行った)グループII: 食べます→食べた、見ます→見た、起きます→起きた、寝ます→寝たグループIII: します→した、来ます→来た(きた)、掃除します→掃除した、洗濯します→洗濯した

導入

  • て形の板書の「て」を「た」に書き換える第14課で作った て形の表(または同じ形の表)を黒板に出し、学生に て形を声に出させながら、教師が「て」を消して「た」と書く。「で」の行まで来たら「だ」に書き換え、学生に「同じ」と言わせる。新しい規則を説明しないで、て形の表がそのままた形の表になるのを目で見せるのがこの導入の芯。
  • 板書の形て形の列の右にた形の列を足し、「て→た」「で→だ」の2行だけを赤で書く。「行って→行った」「来て→来た(きた)」は枠で囲む。課の終わりまで消さずに残し、文型の練習で詰まったらここを指す。

板書案

た形 = て形 の「て」を「た」に
書いて → 書いた  読んで → 読んだ  待って → 待った  話して → 話した
食べて → 食べた  見て → 見た  して → した  来て → 来た(きた)
〔赤〕て → た/で → だ  〔青〕て形の列 → た形の列 の矢印
〔赤〕行って → 行った(特別)

場面と発話(自作)

  • ます形→た形 の口頭練習。教師が絵カードを見せて「飲みます」と言う。飲んだ。
  • て形→た形 の口頭練習。教師が「行って」と言い、例外であることを思い出させる。行った。
  • グループIII の確認。教師が「来ます」と言い、読みに注意させる。来た(きた)。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カード20枚を速いテンポで「ます形→た形」。最初は て形を一度言わせてから た形(飲みます→飲んで→飲んだ)、慣れたら て形を飛ばす。I・II・III を混ぜ、間違えたカードだけ戻してもう一度。最後に「辞書形→た形」も1周すると、第20課の普通形の表がそのまま作れる。

  1. 口頭教師が て形を言う(「買って」「泳いで」「遊んで」「起きて」「掃除して」)→ 全員で た形を返す。次に ます形のキュー(「飲みます」「帰ります」「来ます」)で た形を直接言わせ、最後は動詞の絵カードだけで。テンポは落とさず、つまった学生には て形を一度言わせてから た形に替えさせる。全員 → 列 → 個人の順で回す。
  2. ペア表にます形を書いた動詞カード20枚を1組に渡す。Aがます形を読み、Bが て形と た形を続けて言う(「書きます」→「書いて、書いた」)。10枚で交替。Bが迷ったら、Aは「て形は?」とだけヒントを出す。終わったら二人で「行きます」「来ます」と、Ⅱなのに い段の動詞(見ます・起きます・借ります)を探して言い直す。
  3. 産出「た形1分チャレンジ」。学生が既習の動詞から自分で8つ選び、カードの表にます形、裏に た形を書く。隣とカードを交換し、1分で何枚正しく言えるかを数える。教師はカードを書いている間に回って見る: 小さい「っ」「ん」と濁点の落ち、帰ります(Ⅰ)と借ります(Ⅱ)の取り違え、「行った」「来た(きた)」の3点。間違いの多かった語は全員で言い直してから文型1に入る。

つまずきと手当て

  • 「行きます」を「書きます→書いた」と同じ規則で「行いた」にする。て形の「行って」と同じ例外だと、て形の表の枠を指して思い出させる
  • 小さい「っ」と「ん」・濁点を落とす(×まった→また、×よんだ→よだ、×泳いだ→泳いた)。て形のときと同じく、書き取りでは「っ・ん・゛」に赤丸をつけ、「まった」と「また」を聞き比べさせる
  • 「来た」を「くた」と読む(辞書形「来る(くる)」からの類推)。て形の「来て(きて)」と同じ読みだと、て形とセットで言わせる
  • た形で文を終える(「きのう映画を見た。」)。文としては正しいが、この課ではた形を文の途中で使う形として扱い、友達への言い方は第20課で習うと先に言っておく

既習の文型との違い

  • て形の作り方(第14課)た形は新しい規則を持たず、て形の「て・で」を「た・だ」に替えるだけです。そのため、て形が不安定な学習者は た形でも同じところ(グループⅠの音の変化・行きます)で崩れます。た形の誤りは、て形に戻して直すのがいちばん早い直し方です。
  • 〈Vます形〉たいです(第13課)第13課の「〜たい」は、ます形にそのまま「たい」を付けるだけでした。その感覚が残っていると、ます形に「た」を付けて「*書きた」「*読みた」と作る誤りが出ます。「た」と「たい」は形が似ていても作り方が違うので、た形は て形の表から作る、と表を指して見せます。
  • ない形の作り方(第17課)・辞書形の作り方(第18課)ない形と辞書形は、グループⅠで ます形の最後の音の段を動かして作りました(書き→書か・書く)。た形はそれとは違い、て形と同じ音の変化で作ります。同じ動詞を「ます・て・ない・辞書・た」の5列に並べて見せると、どの形がどの作り方の仲間かが分かり、第20課の普通形の表に移りやすくなります。
関連する文型

学習項目 2 〈Vた形〉ことがあります

意味・はたらき文型 1

これまでにある経験をしたかどうかを言う文型です。動詞のた形に「ことがあります」を付けて、「富士山に登ったことがあります」のように言います。「きのう映画を見ました」が「いつ・何をしたか」という一回の出来事を言うのに対して、「〜たことがあります」は「(いつかは言わないが)今までにその経験がある」ことを言います。そのため、「きのう」「けさ」のような最近の決まった時の語や、毎日することには使いません。否定は「〜たことがありません」、経験が一度もないことを強く言うときは「一度も〜たことがありません」です。

接続

V た形+ことがあります(否定は ことがありません・疑問は ことがありますか。答えは「はい、あります/いいえ、ありません」)

形
Vたことがあります(富士山に登ったことがあります)Vたことがありません/一度もVたことがありませんVたことがありますか → はい、あります/いいえ、ありません一度/2回 Vたことがあります

導入

  • 教師の写真で「経験がある・ない」を分ける教師が富士山の写真を見せて「わたしは富士山に登ったことがあります」、歌舞伎の写真では首を振って「歌舞伎を見たことがありません」。続けて学生に「〜さんは富士山に登ったことがありますか」と聞き、「はい、あります/いいえ、ありません」だけで答えさせる。答えに「〜たこと」を繰り返さなくてよいことを、短い答えから先に見せる。
  • 「〜ました」との線引き板書に「きのう、すしを食べました」と「すしを食べたことがあります」を並べ、上には「いつ?→きのう」、下には「いつ?→?(言わない)」と書き添える。下の文に「きのう」を入れて×を付けて見せると、経験の文は「いつか」を言わない文だと分かる。「朝ご飯を食べたことがあります」は首をかしげて「変ですね」と言い、毎日することは経験として言わないと笑いながら見せる。

板書案

V た形 + ことが あります
すしを 作った ことが あります。
〜たことが ありますか。 → はい、あります。/いいえ、ありません。
〔青〕きのう 〜ました(「いつ」が言える) ⇔ 〔赤〕〜たことが あります(今までに)
〔赤〕一度も + 〜たことが ありません

場面と発話(自作)

  • 会社の昼休み、日本人の同僚が旅行の写真を見せてくれた。富士山の写真があったので聞く。富士山に登ったことがありますか。
  • 日本語学校で、先生に歌舞伎を見たことがあるか聞かれた。テレビで少し見たことがある。テレビで一度見たことがあります。
  • 友達に、北海道へ行ったことがあるか聞かれた。行きたいが、まだ行っていない。いいえ、一度も行ったことがありません。でも、行きたいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 絵カード(富士山・歌舞伎・新幹線・ホテルなど)と動詞のキュー(登ります・見ます・乗ります・泊まります)で「〜たことがあります」に変える。次に疑問文と「はい、あります/いいえ、ありません」の問答。練習Cの型: クラスで経験インタビュー。一人3つ質問を作って聞いて回り、「あります」と答えた人には「どうでしたか」(第12課)と一つ聞き足させる。

  1. 口頭絵カードと動詞のキューを出す(「新幹線・乗ります」「すし・作ります」「日本の歌・歌います」「ホテル・泊まります」「富士山・登ります」)→ 全員 → 個人で「〜たことがあります」。次に教師が同じカードで学生に「〜たことがありますか」と聞き、「はい、あります/いいえ、ありません」の短い答えだけを返させる。答えた学生には「いつですか」「どうでしたか」を一つ足して聞く。
  2. ペア情報差の表を使う。Aは「したことがある」に○が付いたカード(5項目)、Bは空欄の表を持つ。Bが「〜たことがありますか」と5つ聞いて表を埋め、Aは「はい、あります。去年〜ました」のように、2文目で過去の「〜ました」に切り替えて答える。交替するときはカードを替える。経験を聞く文と、いつのことかを言う文の切り替えを、一往復の中で練習させるのがねらい。
  3. 産出「経験さがしビンゴ」。3×3のマスに「新幹線に乗った」「日本の料理を作った」「日本の歌を歌った」などを書いたシートを配り、教室を回って「〜たことがありますか」と聞き、「はい」と答えた人の名前をマスに書く。ビンゴのあと、見つけた人を一人「〇〇さんは〜たことがあります」と紹介させる。教師が見るのは、た形の作り方、「一度も」と否定のセット、答えに「いいえ、ないです」「ありませんでした」が出ていないか。

つまずきと手当て

  • 最近の決まった時に使う(×きのう、映画を見たことがあります)。「きのう」が言えるなら「〜ました」で十分、と板書の対比に戻す
  • ます形や辞書形に付ける(×登りますことがあります、×登ることがあります)。た形の表を指して直す。辞書形に付けた「〜ることがあります」は「ときどきそうなる」という別の意味になるが、この課では扱わないので、た形だけに絞る
  • 答えで「はい、登ったことがあります」まで長く言い続けて会話が重くなる、または「いいえ、ないです」「いいえ、ありませんでした」と答える。答えは「はい、あります/いいえ、ありません」と短く、時制は変えない、と型を固定する
  • 「一度も」を肯定文に使う(×一度も行ったことがあります)。「一度も」は「ありません」とセットと、カードで組にして見せる

既習の文型との違い

  • Vます/Vません/Vました/Vませんでした(第4課)「きのう映画を見ました」は時の決まった一回の出来事を言い、「映画を見たことがあります」は時を言わずに、今までにその経験があるかどうかを言います。学習者は「先週、京都へ行ったことがあります」のように、近い時の言葉と一緒に使いがちです。「いつ」を言いたいなら「〜ました」に、と線で分けた板書に戻します。
  • N/〈V辞書形〉ことができます(能力)(第18課)どちらも「こと」を使いますが、「ことができます」は辞書形に付いて能力を、「ことがあります」は た形に付いて経験を言います。「*泳いだことができます」と混ぜたり、経験のつもりで「泳ぐことがあります」(これは「ときどき泳ぐ」という別の意味)と言ったりする誤りが出ます。「辞書形+ことができます」「た形+ことがあります」の2つの枠を並べ、前の形とうしろの動詞を組で覚えさせます。
関連する文型

学習項目 3 〈Vた形〉り、〈Vた形〉りします

意味・はたらき文型 2

いくつかある動作の中から、例として二つぐらいを挙げて言う文型です。「日曜日は掃除したり、洗濯したりします」は、日曜日にすることの中から掃除と洗濯を例として挙げていて、ほかのこともするかもしれない、という含みがあります。動作の順番は表しません(順番を言うのは第16課の「〜て、〜て」)。時制は最後の「します」で決まり、過去なら「〜たり、〜たりしました」、希望なら「〜たり、〜たりしたいです」になります。

接続

V1 た形+り、V2 た形+り+します(時制・否定・希望は最後の「します」で表す: しました/したいです)

形
V1たり、V2たりします(休みの日は映画を見たり、買い物したりします)V1たり、V2たりしました(日曜日は掃除したり、洗濯したりしました)V1たり、V2たりしたいです〜は何をしますか → 〜たり、〜たりします

導入

  • 教師の日曜日の絵カードから2枚を選ぶ黒板に教師の日曜日の絵カードを5枚(掃除・洗濯・買い物・テレビ・料理)貼り、「日曜日はいろいろします」と言ってから、2枚だけを指して「掃除したり、洗濯したりします」と言う。残りの3枚も指さして「これもします。でも、2つだけ言います」と身ぶりで示すと、全部ではなく例を挙げる言い方だと伝わる。
  • 「〜て、〜て」と並べる同じ2枚のカードで、第16課の「起きて、掃除して、洗濯します」を板書し、カードに 1・2・3 の番号を付ける。下に「掃除したり、洗濯したりします」を書いて、こちらには番号を付けない。順番の文と、いくつかを挙げる文の違いを、番号のあるなしで見せる。最後の「します」に赤で丸を付け、「しました」に替えると過去になることもここで見せる。

板書案

V1 た形 + り、 V2 た形 + り + します
日曜日は 掃除したり、 洗濯したり します。
〔赤〕します → しました/したいです(時は ここだけ)
〔青〕〜て、〜て(第16課)= 1 → 2 → 3 の順番  〜たり、〜たり = 例を 二つ

場面と発話(自作)

  • 月曜日の朝、会社で同僚に「週末は何をしましたか」と聞かれた。日曜日は部屋を掃除したり、洗濯したりしました。
  • 日本語学校で、新しいクラスメートに休みの日のことを聞かれた。休みの日は、映画を見たり、友達と買い物に行ったりします。
  • 先生に夏休みの予定を聞かれた。国へ帰るつもりだ。国へ帰って、家族に会ったり、友達と旅行したりしたいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 絵カード2枚を並べて見せ、「〜たり、〜たりします」でつなげる。次にカードの横に「きのう」「来週」「〜たいです」のキューを置き、最後の「します」だけを替えさせる。練習Cの型: ペアで「休みの日は何をしますか」「夏休みは何をしたいですか」を聞き合い、答えのあとに「いいですね」で受ける。

  1. 口頭2枚1組の絵カード(掃除する・洗濯する/本を読む・音楽を聞く/買い物する・映画を見る/泳ぐ・テニスをする)を見せ、全員で「〜たり、〜たりします」。次に時のカード(「きのう」「来週」「〜たいです」)を出し、最後の「します」だけを「しました」「したいです」に替えさせる。最後は教師が個人に「休みの日は何をしますか」と聞き、学生に好きなカードを2枚選ばせて答えさせる。
  2. ペアAは土日の欄に絵が3〜4つずつ描かれた1週間のカレンダーを持ち、Bは持たない。Bが「土曜日は何をしましたか」と聞き、Aは絵から2つ選んで「〜たり、〜たりしました」と答える。Bは聞いたことをメモに書き、「いいですね」で受ける。交替のときは別のカレンダーを渡し、日曜日の予定を「〜たり、〜たりしたいです」で言わせる。
  3. 産出「わたしの休みの日ポスター」。学生が「休みの日にすること」「先週の週末にしたこと」「夏休みにしたいこと」を「〜たり、〜たり」で1文ずつ書き、絵や写真と一緒に紙1枚にまとめて、グループで発表する。聞き手は一つ質問する(「どこで〜ましたか」「だれと〜ましたか」)。教師が見るのは、時が最後の動詞に出ているか、「たり」が二つそろっているか、順番どおりの一日を「たり」で言っていないか。

つまずきと手当て

  • 最後の「します」を落とす(「掃除したり、洗濯したり。」)。話し言葉では言う形だが、この段階では「〜たりします」まで言わせ、板書の「します」に毎回戻す
  • 過去の印を最初の「たり」に付けようとする、または最後の「します」を過去にし忘れる(×きのうは掃除したり、洗濯したりします)。時制は最後の一語だけ、と赤丸の位置を指す
  • 順番どおりの一日の流れを「〜たり」で言う(「朝起きたり、顔を洗ったり、会社へ行ったりします」は例を挙げる文としては正しいが、順番は伝わらない)。順番を言いたいなら第16課の「〜て、〜て」、と番号付きの板書と並べて直す
  • 「たり」を一つしか使わない(×掃除したり、洗濯します)。この課では必ず二つの「たり」で、と形を固定する

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉、〈Vて形〉、〜(第16課)「〜て、〜て」は動作を起きた順に並べ、「〜たり、〜たり」は順番に関係なく、いくつかある中から例を挙げます。一日の流れ(起きる→顔を洗う→学校へ来る)を「たり」で言うと、順番を言いたいのに例を並べる文になり、聞き手に伝わりにくくなります。番号を付けられる流れなら「て」、付けないなら「たり」と、板書の番号の有無で分けます。
  • N1やN2(第10課)「や」は名詞を例として並べ、「〜たり」は動作を例として並べる言い方で、どちらも「ほかにもある」という含みがあります。動詞を「や」でつなごうとして「*掃除しますや洗濯します」と言う誤りが出たら、名詞なら「や」、動詞なら「たり」と2つの枠を並べます。「掃除や洗濯をします」と名詞にして言う道もある、と見せてもかまいません。
関連する文型

学習項目 4 〈いA(〜い)〉くなります / 〈なA〉/Nになります

意味・はたらき文型 3

物や人の状態が変わることを言う文型です。い形容詞は最後の「い」を「く」に替えて「なります」を付け(寒い→寒くなります)、な形容詞と名詞は「に」を付けて「なります」を付けます(元気→元気になります、医者→医者になります)。「なります」は動詞なので、変わったあとなら「なりました」、これからなら「なります」と時制が変わります。「いい」は例外で「よくなります」です。

接続

いA(〜い)+く+なります/なA・N+に+なります(過去は なりました)

形
いA(〜い)くなります(寒い→寒くなります、いい→よくなります)なAになります(元気→元気になります、上手→上手になります)Nになります(20歳になります、夏になります、医者になります)だんだん/もうすぐ〜なります

導入

  • 季節と時間の絵で変化を見せる夏の絵と秋の絵を並べ、夏の絵で「暑いです」、手で矢印を描きながら秋の絵に移って「涼しくなりました」と言う。昼と夜の絵で「暗くなりました」、本を持った学生の絵の前後で「日本語が上手になりました」と続ける。変わる前と後の2枚を必ず並べ、間の矢印に「なります」と書くと、状態ではなく変化を言う文だと伝わる。
  • 3列の板書で接続を分ける黒板を3列にして、左から「いA: 〜い→〜く+なります」「なA: 〜+に+なります」「N: 〜+に+なります」と書く。第16課の「〜くて/〜で」の板書と同じ分け方だと気づかせる。「いい→よく」は赤で、「きれい」は見た目は「い」で終わるが な形容詞なので真ん中の列、と例外を2つだけ目立たせる。

板書案

いA(〜い)→ 〜く + なります  寒い → 寒く なります
なA + に + なります  元気 → 元気に なります
N + に + なります  夏 → 夏に なります
〔赤〕いい → よく なります  〔青〕きれい → きれいに なります(なA)
〔青〕前の絵 →(矢印)→ あとの絵 = 変わった

場面と発話(自作)

  • 10月の朝、教室の窓を開けたら冷たい風が入ってきた。隣の学生に言う。寒くなりましたね。
  • 病気で一週間休んだあと、会社で上司に「体の調子はどうですか」と聞かれた。おかげさまで、元気になりました。
  • 日本語学校で、誕生日の話になった。来月が誕生日だ。来月、20歳になります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 変化の前後の絵カード(暑い→涼しい、暗い→明るい、下手→上手、学生→会社員)を見せ、「〜くなりました/〜になりました」と言わせる。い形容詞・な形容詞・名詞を混ぜて出し、「いい」「きれい」を必ず入れる。練習Cの型: ペアで「日本へ来てから、何が変わりましたか」を聞き合い、「日本語が上手になりました」「料理が上手になりました」「寒くなりました」のように2つずつ答えさせる。

  1. 口頭前とあとの2枚の絵(暗い→明るい、子ども→大人、下手→上手、春→夏、元気がない→元気)を見せ、教師は形容詞か名詞だけをキューにする(「明るい」「上手」「夏」)→ 全員で「〜くなりました/〜になりました」。い形容詞・な形容詞・名詞を混ぜて出し、「いい」「きれい」は必ず入れる。次に「来月」「もうすぐ」のキューで「〜なります」(これからの変化)も言わせる。
  2. ペアAは「10年前の町」、Bは「今の町」の絵を持ち、相手の絵は見せない。Aが「10年前、駅は小さかったです」と言い、Bは自分の絵を見て「今は大きくなりました」と答える。駅・公園・店・道・人の5か所で言ったら交替。第12課の過去の状態「〜かったです」と、変化の「〜くなりました」を一往復の中で使い分けさせる。
  3. 産出「日本に来てからビフォー・アフター」。学生が来日前と今の自分を比べて、日本語・体・生活の3つを「〜くなりました/〜になりました」で書き、写真や絵を添えてペアで紹介する。聞き手は「どうしてですか」と聞き、話し手は「〜から」(第9課)で一言足す。教師が見るのは、い形容詞の「く」と な形容詞・名詞の「に」の取り違え、「いい→よく」、「きれい・有名・きらい」の形、変化がないのに「なりました」を使っていないか。

つまずきと手当て

  • い形容詞に「に」を付ける(×寒いになりました、×寒いなりました)。板書の左の列を指して、「い」が「く」に変わることを確かめる
  • な形容詞に「く」を付ける(×元気くなりました、×静かくなりました)。逆に「きれい」を い形容詞と思って ×きれくなりました と作る。真ん中の列に「きれい・有名・きらい」を書き足しておく
  • 「いい」を「いくなりました」にする。第12課の「よかったです」と同じく、「いい」は形を変えるときは「よ」になる、とまとめて見せる
  • 変化ではなく今の状態を言うのに使う(今日暑いだけなのに「暑くなりました」)。前の状態と比べて変わったときに使う、と2枚の絵に戻る

既習の文型との違い

  • 〈いA(い)〉かったです 〈いA(い)〉くなかったです(第12課)「きのうは寒かったです」は過去のある時の状態を言い、「寒くなりました」は前と比べて状態が変わったことを言います。去年の冬の旅行を振り返って「北海道は寒くなりました」と言うと、旅行の間に気温が変わった話に聞こえてしまいます。1枚の絵なら「〜かったです」、2枚の絵の間に矢印があるなら「〜くなりました」と、絵の枚数で見分けさせます。
  • N1は〈いA(い)〉くて、 〜 / 〈なA〉/N2で、〜(第16課)第16課の「〜くて/〜で」では、い形容詞の「い」を「く」に替え、な形容詞と名詞には「で」を付けました。「なります」も、い形容詞は「く」、な形容詞と名詞は「に」で、左の列の作り方は同じです。「*元気くなりました」のような誤りには、第16課の「元気で」の列を見せ、な形容詞は「く」にならないことを思い出させます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、経験を話すための動詞(登ります・泊まります)と週末にすることの動詞(掃除します・洗濯します)、変化を言う「なります」と、眠い・強い・弱い・調子のような状態を表す語が中心です。動詞は ます形と た形を1組にして絵カードで出し、そのまま「〜たことがあります」「〜たり、〜たりします」の材料に使います。「一度・一度も・だんだん・もうすぐ」は文型と組にして(一度も〜ありません、だんだん〜くなります)、「おかげさまで」は調子を聞かれたときの答えとしてかたまりで覚えさせます。下の語は、この課の文型の練習で使いやすい語を選んだものです。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 登ります(のぼります) 山や高い所へ、下から上へ行きます。 山に〜・富士山に〜
    会社で、同僚が山の写真を見せてくれた。
    「きれいな山ですね。この山に登ったことがありますか。」
  • 泊まります(とまります) 自分のうちではない所で、夜寝ます。 ホテルに〜・友達のうちに〜
    クラスで、旅行の話をしている。
    「京都では、古いホテルに泊まったことがあります。」
  • 掃除します(そうじします) 部屋などのごみを取って、きれいにします。 部屋を〜・教室を〜
    月曜日、同僚に週末のことを聞かれた。
    「土曜日は部屋を掃除したり、買い物に行ったりしました。」
  • 洗濯します(せんたくします) シャツやタオルなどを洗います。 シャツを〜・毎日〜
    友達に、日曜日は何をするか聞かれた。
    「日曜日は洗濯したり、料理を作ったりします。」
  • なります(なります) 前と違うようすに変わります。 元気に〜・寒く〜・20歳に〜
    久しぶりに会った先生に、日本語をほめられた。
    「ありがとうございます。少し上手になりました。」
  • 練習します(れんしゅうします) 上手になりたいことを、何回もします。 ピアノを〜・毎日〜
    友達に、ピアノが上手になった理由を聞かれた。
    「毎日1時間練習しましたから、上手になりました。」
  • 眠い(ねむい) 寝たい気持ちです。 〜です・〜くなります
    昼ごはんのあとの授業で、隣の学生に小さい声で言う。
    「ごはんを食べましたから、眠くなりました。」
  • 強い(つよい) 力が大きいようすです。風や雨にも使います。 風が〜・雨が〜・〜チーム
    教室の窓の外で、木が大きく動いている。
    「風が強くなりましたね。」
  • 弱い(よわい) 力が小さいようすです。「強い」の反対です。 体が〜・お酒に〜
    会社の食事会で、ビールを勧められた。
    「すみません、お酒に弱いですから、お茶をお願いします。」
  • 調子(ちょうし) 体や機械などの、今のようすです。 体の〜・〜がいい・〜が悪い
    かぜで休んだ同僚が、会社に来た。
    「体の調子はどうですか。」「おかげさまで、よくなりました。」
  • 一度も(いちども) 「〜ません」と一緒に使って、一回もないことを言います。 〜行ったことがありません・〜見たことがありません
    暑い国から来た学生が、先生に雪を見たことがあるか聞かれた。
    「いいえ、一度も見たことがありません。」
  • だんだん(だんだん) 少しずつ変わっていくようすです。 〜寒くなります・〜上手になります
    日本に来て半年。先生に「日本語の勉強はどうですか」と聞かれた。
    「最初は難しかったですが、だんだん楽しくなりました。」

会話の扱い

題の「ダイエットはあしたからします」が示すとおり、食べ物をすすめられて、ダイエットをしていると言いながらも結局は先に延ばしてしまう、という軽い笑いのある会話です。文型の練習というより、題の一文が「言い訳の決まり文句」として使えるおもしろさを味わわせる場面なので、最初はCDか教師の読みで流れだけをつかませ、相づちや決まり文句はかたまりで言わせてから、役を替えて2回読みます。そのあと「勉強はあしたからします」「掃除はあしたからします」のように題の文の前半を学生に替えさせると、教室が和んで、文型3の「〜くなります」(「眠くなりました」など)を言い訳に足す工夫も出てきます。学生の国にも同じような言い訳の言い方があるかを聞くと、話が広がります。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

宿題は問題の文法部分と、「わたしの経験と週末」を3文(〜たことがあります/〜たり、〜たりします/日本へ来てから〜くなりました・〜になりました)で書くこと。次のコマの最初にた形のカードテスト(10語)をしてから作文を2〜3人に発表させ、第20課の普通形(辞書形・ない形・た形を並べ直して文を終える形)につなぐ。た形の表は第20課で普通形の表の一部になるので、ノートに書き写させておく。

よくある質問

  • 第19課のた形はどう教えればいいですか?

    新しい規則は作らず、第14課の て形の表を黒板に出して、「て→た」「で→だ」と書き換えて見せます。グループⅠの音の変化も「行きます→行った」の例外も、て形と同じです。て形が不安定なクラスでは、た形に入る前に て形を5分回し、崩れた語は て形に戻して直します。

  • 「〜たことがあります」と「〜ました」の違いは何ですか?

    「〜ました」は時の決まった過去の出来事を、「〜たことがあります」は時を言わずに、今までの経験があるかどうかを言います。そのため「きのう」「先週」のような近い時の言葉とは一緒に使いません。導入では同じ動詞で2文を並べ、「いつ」が言えるかどうかで分けると伝わります。答えは「はい、あります/いいえ、ありません」と短く固定します。

  • 「〜たり、〜たりします」と「〜て、〜て」はどう区別させますか?

    「〜て、〜て」(第16課)は起きた順番を、「〜たり、〜たり」はいくつかある中の例を言う形です。同じ絵カードで、片方には1・2・3の番号を付け、もう片方には付けない板書にすると違いが目で分かります。時の違いは最後の「します/しました」だけで表すことも、ここで押さえます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習・た形の作り方・文型1「〜たことがあります」まで、2コマ目は文型2「〜たり、〜たりします」と文型3「〜くなります/〜になります」、会話、練習Cと問題です。た形の定着が弱いクラスでは、第20課の頭に た形のカードテストを5分入れると、普通形の表で崩れません。

  • 「〜くなります」と「〜になります」の板書はどう組みますか?

    い形容詞・な形容詞・名詞の3列にし、左の列に「〜い→〜く+なります」、真ん中と右の列に「+に+なります」と書きます。「いい→よくなります」は赤で、「きれい→きれいになります」は真ん中の列に書いて、見た目の「い」に引かれる誤りを先に防ぎます。板書の上には変化の前とあとの2枚の絵を貼り、矢印で「変わった」ことを見せます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。