日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅰ 第3課「これをください」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「これをください」

第3課は「場所」の課です。第2課で物を指した これ・それ・あれ を、場所を指す ここ・そこ・あそこ と、丁寧に方向を示す こちら・そちら・あちら に広げ、建物の中で場所を聞く・案内する、初対面の相手に国と会社を聞く、店で品物の産地と値段を聞いて買う、までができるようになります。文型は7つありますが、芯は「ここはNです」と「Nはここです」の語順の違いと、百・千・万の数字です。動詞はまだ出ないので、「です」だけで物や人の居場所が言えることを学習者に納得させるのが、この課の教師の仕事です。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目7時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 建物の中で「〜はどこですか」と聞き、ここ・あそこ・-階・丁寧なこちらで案内できる
  • 初対面の相手に「お国はどちらですか」「会社はどちらですか」と丁寧に聞き、自分のことも答えられる
  • 店で品物を見せてもらい、どこの物か・いくらかを聞いて買える
  • 100〜10,000の数字と値段を言える・聞き取れる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習とつなぎ)10分第2課の これ・それ・あれ を実物で復習し、教師の立つ位置を変えて「物」から「場所」へ移す。第1課の国名・会社名のカードを黒板の端に残しておく(文型5・6で使う)
文型1・230分「ここはNです」と「Nはここです」を続けて導入し、同じ語を入れ替えた2文を板書で対比する。質問「ここはどこですか」「Nはどこですか」もここで
文型3・430分見取り図で場所の名前(-階・部屋)による居場所、-階の読み方。次に同じ絵を受付の人の役で言い直し、こちら・そちら・あちら・どちらの丁寧さを入れる
文型515分第1課の自己紹介に戻って「お国はどちらですか」「会社はどちらですか」。「お」の付け方
文型6・745分「の」の新しい意味(産地・メーカー)と「どこのNですか」。数字の百・千・万と音の変化をまとめて練習してから「いくらですか」「-円です」へ
会話20分デパートの売り場で店員と客。決まり文句(いらっしゃいませ・見せてください・ください・どうも)を場面ごと覚える。音声を聞いて役割練習
練習C・問題30分場所を聞く/国と会社を聞く/買い物の3つのやり取りを場面を替えて。問題は数字と場所の聞き取りを中心に。宿題を出して第4課の時刻へつなぐ

学習項目 1 ここはNです

意味・はたらき文型 1

ここ・そこ・あそこ は場所を指す指示詞です。話し手のいる場所が「ここ」、聞き手のいる場所が「そこ」、2人から離れた場所が「あそこ」で、第2課の これ・それ・あれ と同じ3つの分け方です。「ここはNです」は、話し手が今いる場所や指している場所が「何の場所か」を言う文で、質問は「ここはどこですか」です。文法用語で言えば、コソアド(指示詞)のうち目の前の場所を指す「現場指示」の用法で、話し手と聞き手の位置で指す先が決まるダイクシスの典型です。

接続

ここ/そこ/あそこ(場所の指示詞)+は+N(場所の名前)+です

形
ここはNですそこ/あそこはNですここはどこですか — NですここはNですか — はい、そうです/いいえ、Nじゃありません

導入

  • 教室の中を歩いて「ここ」を見せる教師が教室の真ん中に立ち、足元を指して「ここは教室です」。次に学校の中の写真(食堂・事務所・トイレ・受付)を1枚ずつ見せ、写真の中に立っているつもりで「ここは食堂です」と言う。学生に「ここはどこですか」と聞いて「食堂です」を引き出してから、板書「[ここ]は[教室]です。」「ここは[どこ]ですか。」を書く。
  • そこ・あそこは位置関係で第2課で使った三角形の図(話し手・聞き手・離れた所)をそのまま場所に替えて板書する。学生の1人を教室の後ろに立たせ、教師の位置から「そこは…?」、廊下のほうを指して「あそこは…?」のように、実際の距離で言わせる。

板書案

〔赤〕ここ そこ あそこ どこ
[ここ]は[教室]です。
ここは[どこ]ですか。—— 食堂です。
〔図〕話し手・聞き手・離れた所の三角形(第2課の図に「場所」と書き足す)
〔青〕これ・それ・あれ(物)→ ここ・そこ・あそこ(場所)の矢印

場面と発話(自作)

  • 新しく入った学生に、学校の中を案内している。食堂の入口で足を止めて言う。ここは食堂です。
  • 先生が学校の写真を見せている。学生が写真の場所を聞く。先生、ここはどこですか。——事務所です。
  • 初めて来た会社で、入口のカウンターに立っている人に確かめる。すみません、ここは受付ですか。——はい、そうです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 教室・食堂・事務所・トイレ・受付の絵カードを見せ、教師「ここは?」→学生「ここは食堂です」。慣れたら「ここはどこですか」と質問の形で。練習Cの型: 学校の見取り図を2人で見て、案内する側が指さしながら「ここは〜です」、聞く側が「ここはどこですか」と聞く役割交代。

  1. 口頭教師が学校の場所の写真(教室・食堂・事務所・受付・トイレ)を1枚ずつ見せて「食堂」と語だけ言う → 全体で「ここは食堂です」。次に写真だけを見せて言わせ、最後は教師が「ここは?」と聞いて個人に答えさせる。同じ写真で「ここはどこですか」の質問の形も全員で言う。
  2. ペアAは写真を5枚持ち、Bには見せない。Aが1枚を自分の胸の前に出して「ここはどこですか」、Bは写真を見て「食堂です」と答える。5枚で交替。次に教室の前と後ろに分かれて立ち、同じ机を指して、遠い側の人は「そこ」、机のそばの人は「ここ」と言い分ける。
  3. 産出「学校ツアー」: 学生が実際に校内を歩き(または見取り図の上を指でたどり)、新しく来た学生役に「ここは食堂です」「あそこは事務所です」と3か所以上を案内する。教師が見るのは、自分が立つ位置で ここ・そこ・あそこ を選べているか、場所の名前を「何」でなく「どこ」で聞いているか。

つまずきと手当て

  • 聞き手のそばの場所も「ここ」と言う(離れたドアを指して「ここはトイレですか」と聞く。文としては正しいが、この場面では「あそこ」)。教室の前後に分かれて、同じ場所を「ここ」「そこ」で言い分ける練習を体でやる
  • 場所の指示詞を人に使う(×ここは学生です)。「ここ=場所」「この人・こちら=人」と板書で分けておく
  • 「どこ」と「何」の取り違え。「ここは何ですか」も地図の建物を指して聞くときなどは自然な文だが、この課では場所の名前は「どこ」で聞く練習にそろえる

既習の文型との違い

  • これ/それ/あれはNです(第2課)第2課の これ・それ・あれ は物を指し、ここ・そこ・あそこ は場所を指します。分け方(話し手・聞き手・離れた所)は同じなので学習者は形をすぐ覚えますが、物を指して「ここは本です」、場所を指して「これは食堂です」と混ぜることがあります。「物は『〜れ』、場所は『〜こ』」と語の終わりで見分けさせると整理しやすくなります。
関連する文型

学習項目 2 Nはここ/そこ/あそこです

意味・はたらき文型 2

物や人が「どこにあるか・いるか」を、指示詞で答える文です。「トイレはあそこです」「田中さんはそこです」のように、主題が物や人で、述語が場所になります。文型1と語順が逆で、文型1は「この場所は何か」、文型2は「Nはどこか」を言います。第10課の「〜にあります/います」を習う前に、「です」だけで居場所が言える最初の形です。質問は「Nはどこですか」です。文の型で言えば、「どこに何があるか」を言う存在文に対して、「Nはどこにあるか」を言う所在文を、「です」だけで言った形です。

接続

N(物・人・場所)+は+ここ/そこ/あそこ+です

形
NはここですNはあそこですNはどこですか — ここ/そこ/あそこです〜さんはそこです(人の居場所)

導入

  • 探し物の場面から入る授業の前に教師のかばんを教室の後ろに置いておく。教師が「わたしのかばんは…?」と探すふりをすると、学生が指さすので「あそこです」を引き出し、「かばんはあそこです」と板書する。次に学生の傘や辞書を借りて置き場所を変え、「〜さんの傘はどこですか」「そこです」。
  • 文型1と並べて板書「ここは教室です」と「教室はここです」を上下に書き、矢印で語の入れ替えを見せる。上は「この場所は何?」、下は「教室はどこ?」と質問文も横に書く。人の居場所は、教室にいない学生の名前を出して「〜さんはどこですか」から。

板書案

[ここ]は[教室]です。(この場所は 何?)
 ↕ 〔赤〕語の入れ替えの矢印
[教室]は[ここ]です。(教室は どこ?)
トイレは[どこ]ですか。—— あそこです。
〔青〕答える人の位置で ここ/そこ/あそこ

場面と発話(自作)

  • 学校の受付で、来た人に聞かれる。受付の人が廊下の奥を指して答える。すみません、トイレはどこですか。——トイレはあそこです。
  • 教室で、友達の傘が自分の机のそばにあるのに気づいて声をかける。山田さん、山田さんの傘はここです。
  • 会社に来た人が、受付で社員の居場所を聞く。受付の人が窓のそばの机を指す。すみません、山田さんは?——山田さんはあそこです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 教室の実物(教師のかばん・学生の辞書・時計)の置き場所を変えながら「〜はどこですか」→「ここ/そこ/あそこです」。答える学生の位置で指示詞が変わることを、同じ物について別の席の学生に答えさせて見せる。練習Cの型: 建物の見取り図を使い、訪問客が「〜はどこですか」、受付の人が指さして答える。

  1. 口頭教師がかばん・傘・辞書・時計を教室のあちこちに置き、物を指しながら語だけ言う(「かばん」)→ 全体で「かばんはあそこです」。次に教師が「傘は?」と聞いて個人に答えさせる。置き場所を動かし、同じ物について前の席と後ろの席の学生に答えさせて、ここ・そこ・あそこ が答える人の位置で変わることを見せる。
  2. ペアAは物の絵を描き込んだ教室の図を持ち、Bは物が描いていない図を持つ。Bが「時計はどこですか」と聞き、Aは自分の図を指して「ここです」「あそこです」と答え、Bは図に書き込む。4つ聞いたら図を見比べて答え合わせし、役を替える。
  3. 産出「忘れ物さがし」: 教師が授業前に学生の持ち物を数点借りて教室に隠しておく。持ち主が「わたしの傘はどこですか」と聞き、見つけた学生が指さして「〜さんの傘はあそこです」と答える。教師が見るのは、質問の主題(傘は)をそのまま答えに使えているか、「ここは傘です」のような文型1の語順で答えていないか。

つまずきと手当て

  • 「トイレはどこですか」に「ここはトイレです」で返す。質問の主題(トイレは)をそのまま答えの主題にする練習を1往復入れる
  • 質問した人の位置を基準にして「ここ」と答える(遠くの物を指して「ここです」と言う。文は正しいが、この場面では「あそこです」)。「ここ・そこ・あそこ」は答える人の位置が基準だと、席を移って確かめさせる
  • 母語では「〜がいる・ある」と言う感覚から、「です」で終わるのに納得しない学習者がいる。第10課までは「です」でよいと伝え、「あります/います」は先取りしない

既習の文型との違い

  • ここはNです(第3課 文型1)同じ課の文型1は「この場所は何か」を言い、文型2は「Nはどこか」を言います。語も助詞も同じで並び方だけが逆なので、「トイレはどこですか」に「ここはトイレです」と答える取り違えが起きます。質問文の「は」の前にある語を、答えでも「は」の前に置く、と板書で線を引いて見せます。
  • これはNです(第2課)第2課の「これは時計です」は物が何かを言う文で、「時計はここです」は物がどこにあるかを言う文です。学習者は「これは」と「ここは」の聞き分けが弱く、場所を聞かれて物の名前を答えることがあるので、質問の語(何/どこ)を強めに発音して区別させます。
関連する文型

学習項目 3 Nは〈場所〉です

意味・はたらき文型 3

指示詞ではなく、場所の名前(部屋の名前・-階・国名など)で物や人の居場所を言う文です。「電話は2階です」「山田さんは会議室です」の「です」は「電話=2階」という意味ではなく、「〜にあります/います」の代わりに居場所を示す働きです。「-階」はこの文型で初めて出るので、読み方(1階 いっかい・3階 さんがい・何階 なんがい・地下1階)を先に押さえます。日本語学では、この「です」は文脈で分かる述語(ここでは「にあります/います」)の代わりをしていると見ることができ、「ぼくはうなぎだ」の型(うなぎ文)と並べて説明されることがあります。

接続

N(物・人)+は+場所の名詞(〈部屋〉・-階・地下-階・国名など)+です

形
Nは〈部屋〉ですNは-階です〜さんは〈場所〉ですNは何階ですか — -階です

導入

  • 縦に積んだ建物の見取り図黒板に4階建ての建物を描き、各階に受付・食堂・教室・事務所・トイレの絵カードを貼る。先に「1階・2階・3階・4階・何階」の読みを音読してから、教師「食堂は?」→学生「1階です」。板書は「[食堂]は[1階]です。」「食堂は[何階]ですか。」の2本。
  • 人の居場所は名前カードで学生の名前カードを見取り図の部屋に置き、「〜さんはどこですか」「教室です」。欠席の学生がいれば「〜さんは?」「うちです」と、実際のことで言わせると「〜さんは事務所です」が「居場所」だと分かる。

板書案

1階 2階 〔赤〕3階(さんがい) 4階 5階 〔赤〕6階(ろっかい) 〔赤〕何階(なんがい)
〔図〕4階建ての建物の断面に部屋の絵カード
[食堂]は[1階]です。
食堂は[何階]ですか。—— 1階です。
[山田さん]は[会議室]です。(〔青〕= 会議室に いる)

場面と発話(自作)

  • デパートの入口で、客が案内の店員に売り場を聞く。すみません、靴売り場はどこですか。——靴売り場は3階です。
  • 会社で来客に社員の居場所を聞かれ、同僚が答える。山田さんはどこですか。——山田さんは会議室です。
  • 教室で、学生が来ていない友達のことを先生に聞かれて答える。佐藤さんはどこですか。——佐藤さんはうちです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 見取り図と物の絵カードで「〜は何階ですか」→「-階です」を全員で回し、1・3・6・8・10階と地下1階の読みに重点を置く。次に名前カードを動かして「〜さんはどこですか」→「〈部屋〉です」。練習Cの型: デパートの案内係と客で、売り場を聞いて「どうも」で終える。

  1. 口頭黒板の建物の図で、教師が階を指して「1階」「3階」と言い、全体で繰り返す(3・6・8・10・何階を多めに)。次に部屋の絵カードを指して「食堂は?」→ 全体「1階です」。最後はカードを貼り替えながら個人に「事務所は何階ですか」と聞く。人の名前カードを部屋に置き、「〜さんはどこですか」→「会議室です」も同じ流れで。
  2. ペアAの図には食堂・事務所・会議室・トイレの階が書いてあり、Bの図には別の部屋(受付・教室・自動販売機・電話)の階だけが書いてある。お互いに足りない部屋を「〜は何階ですか」と聞き合い、空いている階に書き込む。最後に2人の図を重ねて答え合わせ。
  3. 産出「デパート案内板づくり」: 3〜4人で架空のデパートの案内板(地下1階〜6階)を作り、売り場を自由に決める。完成したら別のグループの客役が来て「すみません、靴売り場は何階ですか」と聞き、作った側が答える。教師が見るのは、-階の読み(3階・6階・何階・地下1階)と、「〜は〈場所〉です」を居場所の意味で使えているか。

つまずきと手当て

  • 「-階」の読み(×ろくかい。6階は「ろっかい」)。1・3・6・8・10・何 を板書して何度も音読する。3階・何階は「さんがい」「なんがい」で練習するが、「さんかい」「なんかい」も今は広く聞かれる。8階も「はっかい」「はちかい」の両方が聞かれるので、どちらでも通じると伝える
  • 「地下1階」の語順と読み(×いっかいちか、×じか)。「地下」をひとまとまりで覚えさせる
  • 「〜さんは事務所です」を所属(事務所の人)の意味に取る。必ず質問「〜さんはどこですか」とセットで練習し、答えが居場所だと分かる形にする

既習の文型との違い

  • Nはここ/そこ/あそこです(第3課 文型2)文型2は指示詞で居場所を言い、文型3は場所の名前で言います。指示詞は指して見せられる場所にしか使えないので、建物の別の階や見えない部屋は文型3で言う、と場面で分けます。学習者は見えない場所にも「あそこです」と言ってしまいがちなので、見取り図の上の練習と、教室で実際に指す練習を分けて行います。
  • N1はN2です(第1課)第1課の「山田さんは会社員です」は「山田さん=会社員」の意味ですが、「山田さんは会議室です」は「会議室にいる」の意味です。形が同じなので、学習者は後者を「会議室の担当の人」のように取ることがあります。質問が「何ですか」なら名前や職業、「どこですか」なら居場所、と質問の語で見分けさせます。
関連する文型

学習項目 4 Nはこちら/そちら/あちらです

意味・はたらき文型 4

ここ・そこ・あそこ の丁寧な言い方です。もともと「こちら=こっちの方向」のように方向を指す語なので、受付や店で手で方向を示しながら案内するときによく使います。質問は「どちら」です。第1課で人を紹介した「こちらは〜さんです」と同じ語で、場所・方向・人のどれにも使える丁寧な指示詞です。待遇表現として見ると、敬語の動詞を使わずに指示詞を替えるだけで丁寧さを出す例で、店や受付の人が客に向かって使うのが典型です。

接続

N+は+こちら/そちら/あちら+です(ここ/そこ/あそこ の丁寧形。質問は どちら)

形
NはこちらですNはあちらですNはどちらですか — こちら/そちら/あちらですこちらは〜さんです(第1課・人の紹介)

導入

  • 同じ内容を、受付の人になって言い直す文型2で使った絵(トイレはあそこです)をもう一度出し、教師が受付の人の役になって手のひらで方向を示しながら「トイレはあちらです」。学生に「どちらが受付の人の言い方?」と聞いて、丁寧さの差に気づかせる。板書は「ここ・そこ・あそこ・どこ」の下に「こちら・そちら・あちら・どちら」を縦にそろえ、「ていねい」と書き添える。
  • 手の動作とセットで「ここ」は指さし、「こちら」は手のひらで示す、と動作を決めて練習する。動作が変わると言い方も変わる、と体で覚えると、店や受付の場面で自然に出てくる。

板書案

ここ そこ あそこ どこ
↓〔赤〕ていねい
こちら そちら あちら どちら
エレベーターは[どちら]ですか。—— [あちら]です。
〔絵〕指さし(ここ)と手のひら(こちら)の手の形

場面と発話(自作)

  • ホテルのロビーで、客が受付の人にエレベーターの場所を聞く。すみません、エレベーターはどちらですか。——エレベーターはあちらです。
  • 会社の受付で、来客を会議室に案内する。会議室はこちらです。どうぞ。
  • 学校に初めて来た学生の家族に、学生が事務所の場所を教える。事務所はどちらですか。——事務所はそちらです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 文型2の絵カードをそのまま使い、「受付の人になって」と指示して こちら/そちら/あちら で答え直す。練習Cの型: 受付の人と客のペアで、客が「すみません、〜はどちらですか」、受付が「〜はこちら/あちらです」、客が「どうも」。場所をロビー・エレベーター・階段・自動販売機と替えて回す。

  1. 口頭文型2の絵カードをもう一度使い、教師が「受付」と書いた札を首にかけてからカードの語を言う(「エレベーター」)→ 全体で手のひらを出しながら「エレベーターはあちらです」。次に札を外して「あそこです」、札をかけて「あちらです」と、札の有無だけで言い替えさせる。個人には客の役で「〜はどちらですか」と質問させる。
  2. ペアAは受付の人、Bは客。Bは行きたい場所のカード(ロビー・階段・エレベーター・自動販売機・トイレ)を引き、「すみません、〜はどちらですか」と聞く。Aは教室の中で決めた方向を手のひらで示して「〜はあちらです」。Bは「どうも」で終える。カード3枚で交替。
  3. 産出「受付ロールプレイ」: 教室の入口を会社の受付にし、学生が1人ずつ来客になって入ってくる。受付役は名前を聞き、会議室・トイレ・エレベーターの場所を聞かれたら こちら・あちら で案内する。続けて友達どうしの場面(休み時間に場所を聞く)も演じ、教師は相手によって ここ/こちら を選べているか、手の動作がそろっているかを見る。

つまずきと手当て

  • 丁寧さの差が分からず、友達同士でも「あちらです」と言う。間違いではないが固いので、相手(受付・店・初対面)で使い分けると示す
  • 「どちら」を「どこ」の丁寧形としてだけ扱う。「2つのうちどちら」の意味は第12課で出るので、ここでは先取りしない
  • 「あちら」と話し言葉の「あっち」が混ざる(×あっちらです)。教科書の形に統一し、「あっち」は聞いて分かればよいとする

既習の文型との違い

  • Nはここ/そこ/あそこです(第3課 文型2)指す場所は同じで、違うのは丁寧さと場面です。友達や家族には ここ・あそこ、受付・店・初対面の相手には こちら・あちら を使います。学習者は丁寧なほうを覚えると何にでも使って固い印象になったり、逆に店員役で「トイレはあそこです」と言ったりするので、役の札で切り替える練習をします。
  • こちらは〜さんです(第1課)第1課では こちら を人の紹介に使いました。第3課では同じ語を場所・方向に使います。「こちらは山田さんです」と「会議室はこちらです」を並べ、「こちら」が「は」の前に来ると紹介、後ろに来ると案内、と見せると混乱しません。
関連する文型

学習項目 5 国/会社はNです

意味・はたらき文型 5

相手の国や会社を丁寧に尋ねる「お国はどちらですか」「会社はどちらですか」と、その答え「〜です」です。ここの「どちら」は場所を指すのではなく、国名・会社名を聞く問いで、答えは名前になります。「お国」の「お」は相手のことに付ける丁寧の接頭辞で、自分の国には付けません。「うちはどちらですか」(住んでいる所)も同じ型です。

接続

〔お〕国/会社/うち+は+どちらですか → 〔国/会社は〕+国名・会社名・地名+です

形
お国はどちらですか — 〜です会社はどちらですか — 〜です〜さんの会社はNです〔お〕うちはどちらですか — 〜です

導入

  • 第1課の自己紹介に戻る第1課で「〜から来ました」「〜の社員です」と言った学生に、教師が改めて「お国はどちらですか」「会社はどちらですか」と聞く。学生はすでに答えを知っているので、質問の形だけに集中できる。板書は「お国は どちらですか。—— タイです。」「会社は どちらですか。—— さくら電気です。」
  • 「お」は相手に教師が自分のことを言うときは「国は日本です」と「お」を付けずに言って見せ、「お」は相手のことに付けると板書に矢印で書く。学生同士で聞き合うときも「お国は」「国は」の使い分けを聞いて確かめる。

板書案

〔赤〕お国は どちらですか。—— タイです。
会社は どちらですか。—— さくら電気です。
〔青〕あいて → お国  じぶん → 国
どちら → 名前で答える / 何 → 職業で答える

場面と発話(自作)

  • 会社の受付で、来客と受付の人が初めて話す。受付の人が丁寧に聞く。失礼ですが、お国はどちらですか。——インドです。
  • 学校の食堂で、初めて話す学生同士。相手の会社を聞く。田中さんの会社はどちらですか。——さくら電気です。
  • 先生に国を聞かれた学生が答えて、先生にも聞き返す。お国はどちらですか。——中国です。先生のお国は?——日本です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 国旗カードと会社名カード(第1課の会社)を見せ、教師「お国は?」「会社は?」→学生が「〜です」。次に学生同士で質問の形まで言わせる。練習Cの型: パーティーで初対面の設定。名前→国→会社の順に聞いて「そうですか」で受ける。

  1. 口頭教師が国旗カード(タイ・中国・インド・アメリカ)と会社名カードを順に見せ、学生に1人ずつ「お国は?」「会社は?」と聞いて「〜です」で答えさせる。次に学生が教師に質問する番にして、全体で「お国はどちらですか」を言う。教師は自分のことを「国は日本です」と「お」なしで答えて見せ、学生にも自分のことは「お」なしで言わせる。
  2. ペアAは役のカード(名前・国・会社が書いてある)を持ち、Bは白紙の名刺を持つ。Bが「お名前は?」「お国はどちらですか」「会社はどちらですか」の順に聞いて名刺に書き込み、「そうですか」で受ける。書けたら名刺を見せて内容を確かめ、役を替える。
  3. 産出「名刺交換パーティー」: 学生が自分の本当の情報(または架空の会社員の役)で名刺を作り、教室を歩いて3人以上と挨拶する。名前→国→会社の順に聞き合い、最後に聞いた相手を1人クラスに紹介する(「こちらは〜さんです。〜さんの国はインドです。」)。教師が見るのは、相手には「お国」、自分には「国」を使えているか、「どちら」の問いに会社名で答えているか。

つまずきと手当て

  • 自分の国に「お」を付ける(×わたしのお国はタイです)。相手→お国、自分→国 と板書で固定する
  • 「どちら」に場所の指示詞で答える(「お国はあちらです」と方向で答える。文としては言えるが、ここでは国の名前を聞いている)。ここの「どちら」は名前を聞いていると、答えの例を国名・会社名だけにして練習する
  • 「会社はどちらですか」に「会社員です」と答える(第1課の職業の質問と混同)。「どちら」→名前、「何」→職業 と質問の語で分けて見せる

既習の文型との違い

  • N1はN2です(第1課)第1課の「お仕事は?」「会社員です」は職業を聞くやり取りで、第3課の「会社はどちらですか」は会社の名前を聞くやり取りです。学習者は「会社」という語に引かれて「会社員です」と答えがちなので、答えの例を会社名だけにして練習します。
  • Nはこちら/そちら/あちらです(第3課 文型4)文型4の どちら は方向や場所を聞き、答えは こちら・あちら です。文型5の どちら は国や会社の名前を聞き、答えは名前です。同じ語なので「お国はあちらです」と方向で答える学習者が出ます。主題が国・会社・うちのときは名前で答える、と板書で分けておきます。
関連する文型

学習項目 6 N1(国名/会社名)のN2

意味・はたらき文型 6

「の」で、物が作られた国やメーカー(会社)を表します。「日本の車」「スイスの時計」のように、N1が国名・会社名、N2が物です。質問は「どこのNですか」で、答えは「〜のNです」または「〜のです」と短くもできます。第2課の「N1のN2(内容)」「N1のN2(持ち主)」と同じ形で、「の」の意味がもう1つ増えることになります。

接続

国名・会社名+の+N(物)/質問は どこの+N

形
これは〈国名〉のNですこれは〈会社名〉のNですこれはどこのNですか — 〈国名〉のNですどこのNですか — 〈国名〉のです

導入

  • 実物で産地を当てる教室にある物(教師の時計・学生のボールペン・カメラ・かばん)を1つずつ見せ、「これはどこの時計ですか」と聞いて学生に国名を当てさせる。正解を「日本の時計です」と言ってから板書「これは[日本]の[時計]です。」「これは[どこ]の時計ですか。」を書く。
  • 「の」の3つの意味を1枚に第2課の「わたしの本(持ち主)」「日本語の本(内容)」の横に「日本の本(国)」を並べて板書し、同じ「の」で意味が変わることを見せる。会社名は、第1課の会社名カードを物の絵カードに添えて「さくら電気のテレビです」のように作る。

板書案

わたし の 本(持ち主)/ 日本語 の 本(内容)/〔赤〕日本 の 本(国)
これは[スイス]の[時計]です。
これは[どこ]の時計ですか。—— スイスの(時計)です。
〔青〕人 → だれの  国・会社 → どこの

場面と発話(自作)

  • 店でネクタイを見ている友達に、どこの物か聞く。それはどこのネクタイですか。——イタリアのネクタイです。
  • 食堂で、友達の新しいコンピューターを見て聞く。そのコンピューターはどこのですか。——アメリカのです。
  • チョコレート売り場で、客が店員に一つの箱を指して聞く。このチョコレートはどこのチョコレートですか。——スイスのチョコレートです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 物の絵カードと国旗カードを組み合わせて見せ、「どこの〜ですか」→「〜の〜です」。慣れたら答えを「〜のです」と短くする。練習Cの型: 店で客が品物について「どこの〜ですか」と聞き、店員が答え、そのまま文型7の「いくらですか」に続ける。

  1. 口頭物の絵カードの横に国旗カードを並べて見せ、教師は国名だけ言う(「イタリア」)→ 全体で「これはイタリアのネクタイです」。次に教師が「どこの?」とだけ聞いて個人に答えさせ、慣れたら答えを「イタリアのです」と短くする。持ち主の名前カードに替えて「だれの?」も混ぜ、だれの・どこの を聞き分けさせる。
  2. ペアAのカードには品物と国名が書いてあり、Bのカードには品物の絵だけがある。Bが「この時計はどこのですか」と聞き、Aが答え、Bは絵の下に国名を書く。品物4つで交替。最後にお互いのカードを見せ合って答え合わせ。
  3. 産出「どこの?クイズ」: 学生が自分の持ち物(時計・かばん・ボールペン・カメラ)を1つ机に出し、ほかの学生が「それはどこの〜ですか」と聞いて国を当てる。持ち主は「いいえ、〜のじゃありません」「はい、〜のです」で答え、当たったら全体に「〜さんのかばんは〜のかばんです」と言う。教師は だれの・どこの の取り違えと「の」の落ちを見る。

つまずきと手当て

  • 「だれの」と「どこの」の取り違え(産地を聞きたいのに「これはだれの時計ですか」と言う。文は正しいが、持ち主を聞く質問になる)。人→だれの、国・会社→どこの と質問語で分ける
  • 「日本語の本」(内容)と「日本の本」(国)の混同。「語」が付くかどうかで意味が変わることを板書の3つの「の」で見せる
  • 母語の直訳で「の」を落とす(×イタリアネクタイ)。初級では「国名+の+物」の形に統一して練習する

既習の文型との違い

  • N1のN2(持ち主)(第2課)第2課の「わたしの本」は持ち主を表し、質問は「だれの本ですか」です。第3課の「日本の本」は作られた国を表し、質問は「どこの本ですか」です。形は同じ「の」なので、学習者は産地を聞くのに「だれの」を使ったり、持ち主を聞かれて国名を答えたりします。質問の語を先に決めさせると混ざりにくくなります。
  • N1のN2(内容)(第2課)「日本語の本」は本の中身、「日本の本」は本が作られた国です。「語」が付くかどうかだけの違いなので、聞き取りで混ざります。品物の絵に国旗を付けたカードと、本の表紙に言語の名前を書いたカードを並べて、どちらの意味か学生に選ばせます。
関連する文型

学習項目 7 Nは-円です

意味・はたらき文型 7

値段を言う文と、値段を尋ねる「いくらですか」です。数字は第1課の1〜100に百・千・万が加わり、日本語の4桁区切り(1万=10,000)がここで初めて出ます。300・600・800・3,000・8,000 の音の変化(さんびゃく・ろっぴゃく・はっぴゃく・さんぜん・はっせん)と、1万を「いちまん」と読むことが聞き取り・発音の要点です。音の変化を日本語学の用語で言えば、さんびゃく・さんぜんは連濁、ろっぴゃく・はっぴゃく・はっせんは促音化(ろっぴゃく・はっぴゃくではさらに「ひ」が「ぴ」に変わる)で、数と単位が結びつくときの典型的な例です。

接続

N+は+数字+円+です/質問は Nはいくらですか

形
Nは-円ですNはいくらですか — -円ですこれは-円です〈国名〉のNは-円です

導入

  • 数字を先に、音の変化を色で黒板に 100・200・…・1,000・2,000・…・10,000 を書いて読み方を音読する。300・600・800・3,000・8,000・10,000 だけ色を変えて、音が変わる数字だと目で分からせる。次に数字カードを速く見せて読ませる(100台→1,000台→10,000台の順)。
  • 自作の値札を実物に付ける教室にある物(傘・かばん・ボールペン・時計)に値札を付け、教師が店員になって「これは1,800円です」。学生に「これはいくらですか」と聞かせて、板書「[かばん]は[3,000]円です。」「かばんは[いくら]ですか。」を書く。

板書案

100 ひゃく 〔赤〕300 さんびゃく 〔赤〕600 ろっぴゃく 〔赤〕800 はっぴゃく
1,000 せん 〔赤〕3,000 さんぜん 〔赤〕8,000 はっせん 10,000 いちまん
〔青〕1|0000 → 4けたで「万」の区切り線
[この傘]は[1,800]円です。
この傘は[いくら]ですか。—— 1,800円です。

場面と発話(自作)

  • 店で、客が傘を手に取って店員に値段を聞く。すみません、この傘はいくらですか。——1,800円です。
  • 友達の新しいかばんを見て、値段を聞く。そのかばんはいくらですか。——8,000円です。
  • 自動販売機の前で、初めて見る飲み物の値段を友達に聞く。このコーヒーはいくらですか。——150円です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 数字カードを見せて速く読む練習のあと、値札付きの絵カードで「〜はいくらですか」→「-円です」。聞き取りも入れ、教師が言った値段を学生が数字で書く。練習Cの型: 店で客が2つの品物の値段を聞き、「じゃ、これをください」で買う(会話につなぐ)。

  1. 口頭数字カードを100台→1,000台→10,000台の順に見せて全体で読み、300・600・800・3,000・8,000 は2回ずつ。次にカードを速く見せて個人に読ませる。値札を付けた品物の絵を見せ、教師が品物の名前だけ言う(「かばん」)→ 学生「かばんは3,000円です」。最後は教師が値段を読み上げ、学生が数字で書く聞き取りを5問。
  2. ペアAの品物リストには半分の品物にだけ値段があり、Bのリストには残りの半分の値段がある。お互いに「この〜はいくらですか」と聞いて空欄を埋める。値段は100円台から10,000円台までまぜる。最後に2人のリストを見比べ、聞き間違えた数字をもう一度読み合う。
  3. 産出「教室マーケット」: 机を店にして、店員役が自分で値段を決めた値札を品物(実物または絵)に付ける。客役は金額カード(10,000円分)を持って店を回り、「すみません、これはどこの〜ですか」「いくらですか」と聞いて、予算の中で買う物を決めて「じゃ、これをください」。教師は数字の音の変化と、客役が値段を復唱して聞き取りを確かめているかを見る。

つまずきと手当て

  • 音の変化の抜け(×さんひゃく・×ろくひゃく・×はちひゃく・×さんせん・×はちせん)。言えても聞き取れないことが多いので、聞いて書く練習を必ず入れる
  • 桁の数え方の違い。10,000を「じゅうせん」、100,000を「ひゃくせん」と言う。4桁ごとに「万」になることを、数字を区切って板書で見せる。1,000は「せん」で、「いっせん」とはふつう言わない
  • 「いくら」の代わりに「何円ですか」と聞く。通じるが、教科書の形は「いくらですか」なのでこちらで練習する。「円」の発音(×イェン)も最初に直す

既習の文型との違い

  • Nは-歳です(第1課)第1課では年齢を「-歳です」、質問を「何歳ですか」「おいくつですか」で言いました。第3課の値段は「-円です」、質問は「いくらですか」です。「おいくつ」と「いくら」が似ているので、値段を聞くのに「おいくつですか」と言う学習者がいます。年齢は「いくつ」、値段は「いくら」と板書で並べ、最後の1字の違いを見せます。
関連する文型

語彙の扱い

新出語は、建物の中の場所(教室・食堂・事務所・受付・ロビー・トイレ・階段・エレベーター・自動販売機)、売り場と品物(靴・ネクタイ・ワイン・たばこ)、数字(百・千・万)と -階・-円、買い物の決まり文句(いらっしゃいませ・見せてください・ください・どうも)の4つに分かれます。場所の語は学校の見取り図、品物は値札を付けた絵カードで、文型の練習の中で覚えさせるのが速い。-階と数字の音の変化は、文型3と文型7の前に語彙の段階で一度まとめて音読しておくと、文型の練習が止まりません。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 教室(きょうしつ) 学校で、先生と学生が勉強する部屋です。 〜は-階です・日本語の〜
    新しい学生に学校を案内している。
    ここは教室です。
  • 食堂(しょくどう) 学校や会社の中で、ごはんを食べる所です。 学校の〜・〜はどこですか
    初めて学校に来た学生が、受付で聞く。
    すみません、食堂はどこですか。
  • 事務所(じむしょ) 学校や会社で、事務の仕事をする部屋です。 学校の〜・〜はあちらです
    学生の家族が学校に来て、場所を聞く。
    事務所はどちらですか。——あちらです。
  • 受付(うけつけ) 建物の入口の近くにあって、来た人の用事を聞いたり、場所を教えたりする所です。 会社の〜・〜の人
    初めて来た会社の入口で確かめる。
    すみません、ここは受付ですか。
  • 会議室(かいぎしつ) 会社で、人が集まって話し合う部屋です。 〜はこちらです・〜は-階です
    会社の受付で、来た人を案内する。
    会議室はこちらです。どうぞ。
  • トイレ(トイレ) 用を足したり手を洗ったりする所です。丁寧に言うと「お手洗い」です。 〜はどこですか・〜はあそこです
    デパートで、近くの店員に聞く。
    すみません、トイレはどこですか。
  • エレベーター(エレベーター) 建物の中で、人を上の階や下の階に運ぶ箱です。 〜はどちらですか・〜はあちらです
    大きい建物のロビーで、受付の人に聞く。
    エレベーターはどちらですか。——あちらです。
  • 売り場(うりば) デパートなどの店の中で、同じ種類の品物を売っている所です。 靴〜・ネクタイ〜・〜は-階です
    デパートの入口で、案内の店員に聞く。
    靴売り場は何階ですか。——3階です。
  • 地下(ちか) 建物の、地面より下の階です。 〜1階・〜の売り場
    デパートの案内板を見ながら、友達に言う。
    かばん売り場は地下2階です。
  • 国(くに) その人が生まれた所や、住んでいる国です。相手の国は「お国」と言います。 お〜はどちらですか・わたしの〜
    初めて会った人に丁寧に聞く。
    お国はどちらですか。——タイです。
  • いくら(いくら) 値段を聞くときに使うことばです。 〜ですか・これは〜ですか
    店で、客が品物を手に取って店員に聞く。
    すみません、このかばんはいくらですか。
  • 見せてください(みせてください) 店で品物を近くで見たいとき、店員に頼むことばです。 〜を〜・それを〜
    店で、棚の上のネクタイを見たい。
    すみません、そのネクタイを見せてください。

会話の扱い

デパートの売り場で、客が店員に声をかけ、品物を見せてもらい、どこの物か・いくらかを聞いて買う場面です。「いらっしゃいませ」「すみません」「〜を見せてください」「〜をください」「どうも」は、「を」や「〜てください」の文法(第6課・第14課)に触れず、この場面の決まり文句としてそのまま覚えさせます。場面の作り方は、教室の机を売り場にして、実物や絵カードに自作の値札と国名札を付け、店員役と客役に分ける。会話の流れ(声をかける→見せてもらう→産地と値段を聞く→買う→礼を言う)を板書に残し、まず教科書の音声で役割練習、次に品物(靴・ネクタイ・ワイン・時計)を替えて同じ流れで。ロールプレイに広げるときは、文型3・4の「〜売り場はどちらですか」から入って売り場までたどり着く、2つ見せてもらって「じゃ、これをください」で1つ選ぶ、のように前の文型をつなげると、課全体の復習になります。

宿題と次のコマ

宿題は2つ。①自分の学校か会社の建物の見取り図を描き、「〜は-階です」の文を5つ書く。②身の回りの物3つについて「これは〈国名〉の〜です。-円です。」と書く。次のコマは、百〜万の数字の聞き取り小テスト(教師が値段を読み、数字で書く)から入り、その数字の感覚のまま第4課の時刻(-時-分)につなぐ。

よくある質問

  • 第3課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目で文型1〜4(ここ・そこ・あそこ、-階、こちら・あちら)まで、2コマ目で文型5〜7(お国・会社、どこのN、値段)と会話・練習Cを扱います。数字の100〜10,000は時間がかかるので、2コマ目の初めに数字だけを10分ほど音読してから文型7に入ると止まりません。

  • 「ここはNです」と「Nはここです」の違いはどう教えればいいですか?

    同じ語を使った2文を板書で上下に並べ、矢印で語の入れ替えを見せます。上は「この場所は何か」、下は「Nはどこか」を言う文だと、それぞれの質問文(ここはどこですか/Nはどこですか)を横に書いて示します。練習では、質問の「は」の前の語を答えの「は」の前にも置く、と1往復ずつ確かめると取り違えが減ります。

  • 「ここ」と「こちら」はどう使い分けさせますか?

    指す場所は同じで、こちら・そちら・あちら は丁寧な言い方だと説明します。受付・店・初対面の相手に使う言い方なので、受付の札を首にかけたときだけ こちら で答える、のように役で切り替える練習が分かりやすいです。指さしは ここ、手のひらで示すのは こちら、と動作もそろえておくと場面の中で自然に出ます。

  • 300・600・800 の読み方はどう定着させますか?

    板書で音が変わる数字(300・600・800・3,000・8,000)だけ色を変えて、目で区別させます。言う練習だけでは聞き取れないことが多いので、教師が読み上げた値段を数字で書く聞き取りを毎回入れます。次のコマの初めにも数字の小テストを入れると、第4課の時刻の練習に入りやすくなります。

  • 「山田さんは会議室です」の「です」はどう説明しますか?

    初級の学習者には、文法の説明より場面で「会議室にいる」の意味だと示します。名前カードを見取り図の部屋に置き、「山田さんはどこですか」と聞いてから答えさせると、居場所の意味だとすぐ分かります。「〜にいます/あります」は第10課で出るので、ここでは先に教えません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

PRこの教科書

手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。