日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅰ 第10課「ナンプラー、ありますか」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「ナンプラー、ありますか」

物や人が「どこに・何が」あるか、いるかを言えるようになる課です。新しい形は「あります/います」と場所の「に」、そして上・下・前・後ろ・中・隣・間などの位置のことばで、活用形の新出はありません。芯は2つで、動かない物は「あります」、人と動物は「います」という使い分けと、「〈場所〉に〜があります」(何があるか)と「〜は〈場所〉にあります」(どこにあるか)の語順の違いです。第9課の「あります(持っている)」と第6課の「〈場所〉で」が混ざりやすいので、復習と対比を最初に入れておくと後が楽になります。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 部屋や町にある物・いる人を「〈場所〉に〜があります/います」で言え、「何がありますか」「だれがいますか」に答えられる
  • 上・下・前・後ろ・右・左・中・外・隣・近く・間を使って、物や人の細かい位置を言える
  • 探している物や人の場所を「〜はどこにありますか/いますか」で尋ね、「〜の隣にあります」「〜です」で答えられる
  • 店で品物があるかどうかを尋ね、売り場の場所を聞いて見つけられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習とつなぎ)10分第3課「Nは〈場所〉です」(「トイレはどこですか」)と第9課「Nがあります」(「時間がありますか」)を口頭で復習。教室の実物を指して「教室に時計があります」と言い、同じ「あります」が場所と結びつくと「そこにある」の意味になることを見せる
文型1・240分教室の中の物と人で「〈場所〉にNがあります/います」。板書を「あります」「います」の2列にして、絵カードを分ける作業で使い分けを定着させる。質問の形「何が/だれが」もここで
文型340分箱と小物で上・下・中・前・後ろ・右・左、学生を立たせて隣・間。「N1のN2」(第2課)の形で位置のことばがつながることを板書で確かめ、部屋の絵で練習。1コマ目はここまで
文型4・535分探し物の場面で「Nはどこにありますか/いますか」。文型1との違い(何が?/どこに?)を板書で対比し、「〜です」の短い答え方もそろえる
会話20分店で品物があるか聞き、売り場の場所を尋ねる場面。CD で聞く→役割を分けて読む→品物を入れ替えてロールプレイ
練習C25分店で探す/人の居場所を聞く/自分の部屋を説明する、の3場面を順に。キューは売り場の図・座席表・部屋の絵
問題・まとめ10分聞き取り(位置の絵を選ぶ)と短い作文。まとめとして「あります/います」「に/で」「が/は」の3つの対比を板書で見返す

学習項目 1 〈場所〉にN(物)があります

意味・はたらき文型 1

ある場所に物が存在することを、場所を先に立てて言う形です。「に」は物がある場所を表し、「あります」は机・本・木のように自分で動かないものに使います。第9課の「時間があります」「車があります」(持っている・予定がある)と同じ動詞ですが、この課では「〈場所〉に」と組んで「そこにある」という意味になります。聞くときは「〈場所〉に何がありますか」、いくつか例を挙げて答えるときは「N1やN2(など)があります」です。文法の用語では、場所を先に立てて「何があるか」を伝えるこの形を存在文と呼び、文型4の所在文(物を「は」で話題にして「どこにあるか」を伝える形)と対で扱います。

接続

〈場所〉+に+N(物)+が+あります(否定は「ありません」。質問は「何がありますか」)

形
〈場所〉にNがあります〈場所〉にNがありません〈場所〉に何がありますか〈場所〉にN1やN2(など)があります

導入

  • 教室の実物を指して「あります」を出す教師が教室の時計・テレビ・机を順に指して「教室に時計があります」「教室にテレビがあります」と言い、学生にも指させて言わせる。板書は「[場所]に[物]が あります」の枠で、「に」を朱で囲む。次に教師が「教室に何がありますか」と聞き、学生が「机があります」「いすがあります」と答えたところで「机やいすがあります」とまとめ、「や」は全部ではなく例を2つ3つ言うときの形(「と」は全部)と一言添える。
  • 第9課の「あります」とのつなぎ「わたしは車があります」(第9課・持っている)と「うちに車があります」(この課・そこにある)を並べて板書し、場所に「に」が付くと「そこにある」の意味になることを見せる。学生の生活に移して「うちに何がありますか」と聞き、「テレビや冷蔵庫があります」のような答えを引き出す。

板書案

[場所] に [物] が あります
教室 に 時計 が あります。
うち に テレビ や 冷蔵庫 が あります。
〔朱〕「に」を丸で囲む 〔青〕物の語に下線
Q:〈場所〉に 何 が ありますか。 (否定)〜が ありません

場面と発話(自作)

  • 新しい学校に来た学生が、休み時間にクラスメートに学校のことを聞く。学校に食堂がありますか。——はい、ありますよ。
  • 引っ越した友達に、新しいうちのまわりについて聞かれて答える。うちの近くに公園があります。駅もあります。
  • 友達の部屋に初めて入って、気づいたことを言う。部屋にテレビがありませんね。——ええ、ありません。パソコンがあります。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入は、場所の絵カード(教室・部屋・町)と物の絵カードを1枚ずつ見せて「〜に〜があります」。慣れたら場所だけ見せて「〜に何がありますか」と聞き、学生が答える。やり取りはペアで「あなたのうちに何がありますか」「テレビや冷蔵庫などがあります」を、自分の部屋を思い出しながら。

  1. 口頭教師が場所の絵カードと物の絵カードを1枚ずつ見せる(教室+時計、部屋+テレビ、駅の近く+銀行)→ 全体で「教室に時計があります」→ 列ごと → 個人。慣れたら物のカードに×を付けて「〜がありません」、場所のカードだけ見せて教師が「〜に何がありますか」と聞き、学生が答える。答えが2つ以上出たら「〜や〜があります」でまとめさせる。
  2. ペアAは部屋の絵を持ち、Bは何も持たない。Bが「部屋に〜がありますか」と3回聞き、Aは「はい、あります」「いいえ、ありません」で答える。Bは聞いたことをメモし、最後に「部屋に〜や〜があります」とまとめて言う。役を替えて、Bには町の絵を渡して同じことをする。
  3. 産出「うちの近くマップ」: 学生が自分のうちのまわりを簡単な地図に描き、「うちの近くに〜があります」「〜はありません」を3文以上で発表する。聞く側は「〜がありますか」と1つ質問する。教師が見るのは、場所に「で」を付けていないか、物に「が」を付けているか、「や」と「と」を混ぜていないか。

つまずきと手当て

  • 第6課「〈場所〉でVます」の影響で「*教室でテレビがあります」。「で」は何かをする場所、「に」は物がある場所、と板書で対比して「あります/います」には「に」と固定する
  • 「教室に何がありますか」に「教室にテレビはあります」と「は」で答えてしまう。新しく伝える物は「が」で、「は」で始める形(文型4)とは語順が違うことを、この段階では「が」に直すだけにとどめ、文型4で改めて対比する
  • 「机やいすとかばんがあります」のように「や」と「と」を混ぜる。「や」は例を挙げる言い方で、並べるときは「や」でそろえ、最後に「など」を付けてよいと示す

既習の文型との違い

  • Nがあります(第9課)第9課の「車があります」「時間があります」は、持っている・予定があるという意味で、持ち主は「わたしは」で示します。この課は「〈場所〉に」が付いて、物がそこにあるという意味です。学生は「わたしはうちに車があります」のように2つを1文に重ねがちなので、まず「うちに車があります」と場所の文にそろえさせます。
  • 〈場所〉でVます(第6課)第6課の「で」は動作をする場所、この課の「に」は物がある場所です。「あります」は動作ではないので「で」とは組みません。「*図書館で本があります」と言ったら、「図書館で本を読みます」と「図書館に本があります」を並べて直します。
関連する文型

学習項目 2 〈場所〉にN(人)がいます

意味・はたらき文型 2

ある場所に人や動物がいることを言う形です。動詞が「います」になるほかは文型1と同じで、「に」は人や動物がいる場所を表します。「います」は人と、犬・猫などの自分で動く生き物に使い、木や花は生きていても「あります」です。聞くときは、人なら「だれがいますか」、動物なら「何がいますか」です。文法の説明では、この区別を有情(人・動物)と非情(物・植物)の違いとして整理することがあります。

接続

〈場所〉+に+N(人・動物)+が+います(否定は「いません」。質問は「だれがいますか」「何がいますか」)

形
〈場所〉にNがいます〈場所〉にNがいません/〈場所〉にだれもいません〈場所〉にだれがいますか〈場所〉にN1やN2がいます

導入

  • 教室の人を指して「います」を出す文型1のすぐあとに、教師が学生を指して「教室に山田さんがいます」「教室に先生がいます」と言い、板書の枠の下に「[場所]に[人]が います」をもう1本書く。次に犬と猫の絵カードを見せて「公園に犬がいます」と言い、木の絵カードは「公園に木があります」と言って、「自分で動くものは います、動かないものは あります」と短く説明する。
  • 絵カードを2列に分ける黒板を「あります」「います」の2列にして、物・人・動物・植物の絵カードを学生に1枚ずつ渡し、正しい列に貼らせながら文を言わせる。最後に「教室にだれがいますか」と聞いて「〜さんや〜さんがいます」まで出す。動物を「何が」で聞くことはここで一度言っておく。

板書案

あります|います(2列)
物・木・花|人・犬・猫
[場所] に [人・動物] が います
公園 に 犬 が います。 公園 に 木 が あります。
Q:だれ が いますか(人)/何 が いますか(動物)
〔赤〕います 〔青〕あります で色分け

場面と発話(自作)

  • 留学生が国の家族に電話をして、家にだれがいるか聞く。今、うちにだれがいますか。——お母さんと妹がいますよ。
  • 公園を散歩しながら、友達と見えたものを言い合う。あそこに犬がいますね。大きいですね。
  • 会社で、先輩に会議室のようすを聞かれて答える。会議室にだれがいますか。——山田さんがいます。田中さんはいません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入は、場所の絵(公園・教室・会議室)と人・動物の絵カードを組み合わせて「〜に〜がいます」。途中で物の絵カードを混ぜて「あります」に切り替えさせると、使い分けがその場で確かめられる。やり取りはペアで「あなたの国にだれがいますか」「両親や弟がいます」を、家族のことばの復習(第7課)を兼ねて。

  1. 口頭教師が人・動物・物・植物の絵カードを混ぜて1枚ずつ出す(先生、猫、木、かばん、子ども、花)。場所のカード(公園・教室・うち)と組み合わせて、全体で「公園に猫がいます」「公園に木があります」と言わせる。カードの順は「います」と「あります」が交互になるようにし、迷ったら黒板の2列を指して選ばせる。否定は×のカードで「教室に先生がいません」まで。
  2. ペアAにだけ場所の絵(会議室・公園・教室など)を見せる。Bは「〜にだれがいますか」「〜に何がいますか」と聞き、Aは絵を見て答える。Bは聞いた人や動物を紙に描き、最後に絵と見比べる。1枚ごとに交替し、動物には「だれ」ではなく「何」を使えているかを互いに確かめる。
  3. 産出「わたしの好きな場所」紹介: 自分の好きな場所(公園・駅・国の町など)を1つ決めて、「日曜日、〜に〜や〜がいます」「〜があります」と3文で話す。人・動物と物を最低1つずつ入れるのが条件。教師が見るのは、人と動物に「います」、物と植物に「あります」を選べているか、否定の形が「いません/ありません」でそろっているか。

つまずきと手当て

  • 「*公園に犬があります」「*教室に先生がありません」。人と動物は「います/いません」と、否定の形も含めて口ならしをする。木や花を「います」にする学生には「自分で動くかどうか」で線を引く
  • 「*だれがいません」と言ってしまう。だれもいないときは「だれもいません」(物なら「何もありません」)で、第6課の「何もしません」と同じ形だと示す
  • 動物に「だれ」を使う(犬のことを「公園にだれがいますか」と聞く)。「だれ」は人だけで、動物は「何」で聞くと教える

既習の文型との違い

  • 〈場所〉にN(物)があります(文型1)形は同じで、動詞だけが変わります。「自分で動くかどうか」で選ぶので、人・動物は「います」、物・木・花は「あります」です。学生は物の文から続けて言うと「*教室に先生があります」と言いやすいので、2つの文を同じ場所で交互に言わせて切り替えを練習します。
  • あの人はだれですか(第1課)第1課では「だれ」を「〜はだれですか」と、だれなのかを聞く言い方で使いました。この課では「だれが」と疑問の語が主語になり、助詞は「は」ではなく「が」です。「*だれはいますか」と言う学生には、疑問の語のあとは「が」、答えも「〜さんがいます」と「が」でそろうことを示します。
関連する文型

学習項目 3 〈場所〉の〈位置〉にNがあります/います

意味・はたらき文型 3

上・下・前・後ろ・右・左・中・外・隣・近く・間のような位置のことばを使って、物や人の細かい場所を言う形です。基準になる物や場所に「の」を付けて「机の上」「駅の前」のようにひとまとまりの場所にし、そこに文型1・2の「に〜があります/います」を続けます。「間」だけは基準が2つ要るので「N1とN2の間」になります。「隣」は横に並んでいて間に何もない関係、「近く」は距離が近いことを表し、同じではありません。

接続

N(基準)+の+〈位置〉+に+N+が+あります/います(「間」は N1とN2の間に)

形
Nの上/下/前/後ろ/右/左にNがあります/いますNの中/外/隣/近くにNがあります/いますN1とN2の間にNがあります/いますNの〈位置〉に何がありますか/だれがいますか

導入

  • 箱と小物で位置のことばを出す箱を机に置き、ペンを上・下・中・前・後ろ・右・左に動かしながら「箱の上にペンがあります」「箱の中にペンがあります」と言う。板書は「[N]の[上・下・中…]に [N]が あります」で、「の」を朱で囲む。次にペンを隠して「箱の中に何がありますか」と聞き、学生に答えさせる。右・左は見る向きで変わるので、教室では学生から見た向きで統一しておく。
  • 学生を立たせて 隣・間・近く学生3人を前に並べて「山田さんの隣に田中さんがいます」「山田さんと田中さんの間に鈴木さんがいます」と言い、「間」は2人の名前を「と」でつなぐことを板書で見せる。「近く」は、教室の窓から見える建物や駅の近くの店で「駅の近くに銀行があります」と言い、「隣」との違い(並んでいるか・距離が近いだけか)を絵で示す。

板書案

[N] の [上・下・前・後ろ・右・左・中・外・隣・近く] に [N] が あります/います
[N1] と [N2] の 間 に [N] が います
箱 の 中 に ペン が あります。
山田さん と 田中さん の 間 に 鈴木さん が います。
〔絵〕箱を中心に、位置のことばを矢印で7方向に
〔朱〕「の」を丸で囲む

場面と発話(自作)

  • 朝、出かける前にかぎが見つからない家族に、置いてある場所を教える。かぎがありません。——かばんの中にかぎがありますよ。
  • 友達と待ち合わせの場所を決める。駅の前に喫茶店があります。そこで会いましょう。
  • 家族の写真を見せながら、クラスメートに一人ずつ紹介する。父の隣に母がいます。母の前に妹がいます。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入は、位置の絵(上・下・前・後ろ・中・外・隣・間)と物・人の絵カードをキューにして「机の上に本があります」「いすの下に猫がいます」。次に部屋の絵1枚をペアで見て「テーブルの下に何がいますか」「猫がいます」と聞き合い、仕上げに少しだけ違う2枚の部屋の絵を配って、違いを探すやり取りをする。

  1. 口頭教師が箱とペンを持ち、ペンを上・下・中・前・後ろ・右・左に動かすたびに止めて、全体で「箱の上にペンがあります」と言わせる。次に動かしたあと黙って待ち、学生だけに言わせる。仕上げに位置の絵カード(机の下の猫、駅の前の銀行、本屋と喫茶店の間のポスト)で個人に当て、「間」のときは「と」が入ることを確かめる。
  2. ペア違い探し: 少しだけ違う部屋の絵2枚をAとBに分けて渡し、相手の絵は見せない。「テーブルの上に何がありますか」「ベッドの下に何がいますか」と聞き合い、違いを5つ見つけたら終わり。見つけた違いは「わたしの絵では、棚の上に箱があります」と言って確かめる。
  3. 産出「聞いて描く部屋」: Aが自分の部屋を「ドアの右にベッドがあります」「ベッドの隣に机があります」のように4〜5文で話し、Bはそれを聞いて絵に描く。最後に本人の説明と絵が合っているかを見比べる。教師が見るのは、「の」を落としていないか、「間」に「と」が入っているか、右・左の向きを話し手から見てそろえているか。

つまずきと手当て

  • 「*つくえ うえに本があります」と「の」を落とす、または「*机に上に本があります」と「に」を2つ付ける。「机の上」で1つの場所のことばになることを、板書の枠で見せて口ならしをする
  • 「*山田さんの田中さんの間」「*山田さんと田中さんの中」。「間」の前は「N1とN2」で、「中」は箱のような入れ物の内側、と分ける
  • 「隣」と「近く」の取り違え(間に別の建物があるのに「銀行の隣に駅があります」と言う)。隣は並んでいて間に何もない関係と絵で示す。前・後ろ・右・左の向きで迷う学生には、教室では見る人から見た向きで統一すると伝える

既習の文型との違い

  • N1のN2(内容)(第2課)第2課の「の」は2つの名詞をつなぐ形でした。位置のことば(上・中・隣など)も名詞なので、同じく「机の上」「駅の前」と「の」でつなぎます。学生が「*机に上に本があります」と言うときは、「机の上」が1つの場所の名前になり、その後ろに「に」が1つだけ付くと示します。
  • Nはここ/そこ/あそこです(第3課)「ここ・そこ・あそこ」は話し手と聞き手を基準にした場所の言い方で、「上・前・隣」は基準になる物を「Nの」で決めて言う場所の言い方です。そのため「隣に本屋があります」とだけ言うと、何の隣かが分からないことがあります(会話の中で分かるときは言えます)。初めは必ず「Nの」を付けて言わせます。
関連する文型

学習項目 4 N(物)は〈場所〉にあります

意味・はたらき文型 4

話し手も聞き手も知っている物を話題にして、その物がどこにあるかを言う形です。文型1が「〈場所〉に何がありますか」(新しい情報は物)に答える文だったのに対して、こちらは「Nはどこにありますか」(新しい情報は場所)に答える文で、物が「は」で前に出て場所が後ろに来ます。場所を短く答えるだけなら第3課の「〈場所〉です」でもよく、「ペンは机の上です」と「ペンは机の上にあります」は同じ場面で使えます。文法の用語ではこれを所在文と呼び、文型1の存在文とは「が/は」の選び方と語順で対になります。教師研修や試験でも、この2つの文の違いは「は」と「が」の典型例として出てきます。

接続

N(物)+は+〈場所〉(〈場所〉の〈位置〉)+に+あります(質問は「Nはどこにありますか」)

形
Nは〈場所〉にありますNはどこにありますかNは〈場所〉の〈位置〉にあります(短い答え)〈場所〉です

導入

  • 探し物の場面で「どこにありますか」を出す教師が自分のペンを学生の机の上にこっそり置いてから、きょろきょろして「わたしのペンはどこですか」(第3課)と聞く。学生が「〜さんの机の上です」と答えたら、「そうですね。ペンは〜さんの机の上にあります」と言い直して板書する。板書は「[物]は [場所]に あります」で、文型1の枠を横に並べ、「何が?」「どこに?」と問いを書き添えて語順の違いを見せる。
  • 町や県の場所に広げる学生の学校や会社を取り上げて「あなたの学校はどこにありますか」と聞き、「駅の近くにあります」「〜県にあります」を引き出す。日本の地図を1枚用意して、学生が知っている場所を「〜は〜県にあります」で言わせると、「県」(この課の新出語)の練習にもなる。

板書案

文型1:[場所] に [物] が あります ← Q 何 が?
文型4:[物] は [場所] に あります ← Q どこ に?
卵 は 牛乳 の 隣 に あります。
短い答え:牛乳 の 隣 です。
〔矢印〕物と場所が入れ替わる 〔朱〕「は」と「が」を丸で囲む

場面と発話(自作)

  • スーパーで卵が見つからず、店の人に聞く。すみません。卵はどこにありますか。——あちらです。牛乳の隣にあります。
  • 取引先の会社に初めて来て、受付で会議室の場所を聞く。会議室はどこにありますか。——3階です。エレベーターの右にあります。
  • クラスメートの学校がどこにあるか聞く。あなたの学校はどこにありますか。——駅の近くにあります。駅から歩いて5分です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入は、物の絵カードと場所の絵カードを組にして「〜は〜にあります」。次に物の絵カードだけ見せて教師が「〜はどこにありますか」と聞き、学生が部屋の絵を見て「〜の上にあります」と答える。やり取りは店の売り場の図(階と売り場名を書いた簡単な表)をペアに渡し、客と店の人に分かれて「〜はどこにありますか」「〜階です。〜の隣にあります」を品物を替えて3回。

  1. 口頭教師が物の絵カード(卵・電池・傘・辞書)を見せて「〜はどこにありますか」と聞き、学生は黒板に貼った部屋の絵や売り場の図を見て「〜の上にあります」と答える。次に、教師が文型1の質問(「棚の上に何がありますか」)と文型4の質問(「辞書はどこにありますか」)を混ぜて出し、学生は質問に合わせて「が」と「は」を選んで答える。短い答え「〜です」でも言わせる。
  2. ペア売り場の案内図を半分ずつ配る(Aは1〜2階、Bは3〜4階の品物と場所だけが書いてある)。客の役が「すみません。〜はどこにありますか」と聞き、店の人の役が自分の図を見て「〜階です。〜の隣にあります」と答える。自分の図にないものは「わかりません」と答え、相手に聞くように言う。品物を3つ聞いたら役を替える。
  3. 産出「売り場案内ロールプレイ」: 教室の前をデパートやスーパーに見立て、学生は自分の国の食べ物や飲み物を1つ決めて、店の人に「〜、ありますか」「どこにありますか」と聞き、売り場まで行って「どうもすみません」で終える。教師が見るのは、物を「は」で話題にできているか、「どこに」の「に」が落ちていないか、答えを聞いて実際に正しい場所に行けたか。

つまずきと手当て

  • 「ペンはどこにありますか」に「ペンが机の上にあります」と「が」で始めて答える。話題にする物は「は」で、「が」を使うのは「机の上に何がありますか」に答えるときだと、2つの枠を並べて確かめる
  • 第3課の「どこですか」の癖で「*ペンはどこありますか」と「に」を落とす。「あります」が付くときは「どこに」と口ならしをする。「どこですか」「どこにありますか」のどちらも正しいが、混ぜて「*どこにですか」にしないよう注意する
  • 「*ペンは机の上があります」と「に」を「が」にしてしまう。場所に付くのはいつも「に」で、「が」は物に付くことを文型1に戻って確かめる

既習の文型との違い

  • Nは〈場所〉です(第3課)第3課の「トイレはあそこです」は「です」で場所を言う形で、この課の「トイレはあそこにあります」と同じ場面で使えます。違いは動詞があるかどうかで、「に」は「あります」と組むときだけ付きます。「*トイレはあそこにです」と混ぜる学生には、2つの文を縦に並べて「に」の位置を見せます。
  • 〈場所〉にN(物)があります(文型1)文型1は「〈場所〉に何がありますか」に答える文で、新しく伝えるのは物です。文型4は「Nはどこにありますか」に答える文で、新しく伝えるのは場所です。質問を聞いてから答えの形を選ぶ練習をすると、「卵はどこにありますか」に「卵が牛乳の隣にあります」と答えるような取り違えが減ります。
関連する文型

学習項目 5 N(人)は〈場所〉にいます

意味・はたらき文型 5

話題にしている人や動物がどこにいるかを言う形で、文型4の「います」版です。「〜さんはどこにいますか」と居場所を尋ね、「会議室にいます」「国にいます」のように答えます。遠くにいる家族や、今その場にいない同僚について話すときによく使う形で、短く答えるなら「〜さんは会議室です」も使えます。

接続

N(人・動物)+は+〈場所〉(〈場所〉の〈位置〉)+に+います(質問は「Nはどこにいますか」)

形
Nは〈場所〉にいますNはどこにいますかNは〈場所〉の〈位置〉にいます(短い答え)〈場所〉です

導入

  • いない人を探す授業の前に学生1人に頼んで教室の外に出ておいてもらい、出席を取りながら「〜さんはどこにいますか」と聞く。学生が「外です」と答えたら「〜さんは外にいます」と言い直して板書し、文型4の枠の下に「[人]は [場所]に います」を足す。教室にいる学生についても「〜さんはどこにいますか」「山田さんの隣にいます」と聞いて、位置のことば(文型3)と組み合わせる。
  • 家族の居場所に広げる教師が自分の家族の写真か絵を見せて「兄は東京にいます」「両親は〜にいます」と言ってから、学生に「お父さんはどこにいますか」と聞く。答えが国の名前になるので、「〜は〈国〉にいます」の形を板書に足しておく。

板書案

[人・動物] は [場所] に います
田中さん は 会議室 に います。
Q:田中さん は どこ に いますか。
短い答え:会議室 です。
〔赤線で消す〕会議室にです
〔青〕文型4の「あります」の文と横に並べる

場面と発話(自作)

  • 会社で、課長を探している人に電話で居場所を伝える。田中さんはどこにいますか。——今、2階の会議室にいます。
  • クラスメートに家族のことを聞かれて答える。お兄さんはどこにいますか。——東京にいます。会社員です。
  • うちで、飼っている猫が見当たらない家族に教える。猫はどこにいますか。——ベッドの下にいますよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

口頭の代入は、人の絵カード(会社の人・家族)と場所の絵カードを組にして「〜は〜にいます」。次に名前を書き込んだ教室の座席表をペアに渡し、「〜さんはどこにいますか」「〜さんの隣にいます」「〜さんと〜さんの間にいます」と聞き合う。やり取りは電話の場面で、会社にかけてきた人に「〜さんは今どこにいますか」「〜にいます」と答える練習を、受ける側と聞く側を交代して。

  1. 口頭教師が人の絵カード(課長・先生・父・猫)と場所の絵カード(会議室・図書館・国・ベッドの下)を組にして見せ、全体で「〜は〜にいます」。次に人のカードだけ見せて「〜さんはどこにいますか」と聞き、学生が教室の座席表を見て「〜さんの隣にいます」と答える。途中に物のカードを1枚混ぜて「あります」に切り替えさせる。
  2. ペア人さがし: 教室の座席表を2種類作り、Aの表には半分の席にだけ名前が、Bの表には残りの半分の席にだけ名前が書いてある。「〜さんはどこにいますか」「〜さんと〜さんの間にいます」と聞き合って、表を全部埋める。最後に2人の表を重ねて合っているか確かめる。
  3. 産出「家族の地図スピーチ」: 学生が地図か写真を見せながら、家族が今どこにいるかを「父は〜にいます」「兄は〜にいます。会社員です」のように4文で話す。聞く側は「お母さんはどこにいますか」と1つ質問する。教師が見るのは、人に「います」を選べているか、「〜にです」と混ぜていないか、家族の呼び方(自分の家族と相手の家族)を使い分けているか。

つまずきと手当て

  • 「*田中さんは会議室にあります」。文型2で直した「います」が、「は」で始まる形になるとまた「あります」に戻ることがある。人・動物の絵カードを混ぜて口ならしをする
  • 「*田中さんは会議室にです」と、第3課の「〜です」と「〜にいます」を混ぜる。「会議室です」か「会議室にいます」のどちらかで、「に」は「います」と組むときだけ、と示す
  • 「*田中さんはどこいますか」と「に」を落とす。文型4と同じで、「どこに〜ますか」の形を質問から先に口ならしすると定着しやすい

既習の文型との違い

  • N(物)は〈場所〉にあります(文型4)語順も助詞も文型4と同じで、人・動物のときに「います」になるだけです。ただ、「は」で始まる文になると「*田中さんは会議室にあります」と「あります」に戻る学生が多いので、物と人のカードを混ぜて続けて答えさせます。
  • 〈場所〉にN(人)がいます(文型2)文型2は「会議室にだれがいますか」に答えて、だれがいるかを伝える文です。文型5は、話題の人がどこにいるかを伝える文です。「会議室にだれがいますか」と「田中さんはどこにいますか」の2つの質問を同じ座席表で交互に出すと、「が」の文と「は」の文の違いが見えやすくなります。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、位置のことば(上・下・前・後ろ・右・左・中・外・隣・近く・間)と、部屋の中の物(冷蔵庫・テーブル・ベッド・棚・箱・電池・スイッチなど)、町の建物(公園・喫茶店・本屋・ポスト・乗り場・県など)の3つにまとまります。位置のことばは実物と学生の体で、部屋の物は部屋の絵1枚で、町の建物は学校のまわりの地図で出すと、文型の練習にそのまま使えます。「男の人/女の人/男の子/女の子」は人の絵カードの名前として、「いちばん上/下」は棚の絵で、「どうもすみません」は会話の店の場面で出します。下の語は、この課の文型の練習でキューや例文によく使う語を選んだものです。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 上(うえ) 物の高いほうのところです。机や棚の上の面も言います。 机の〜・棚の〜・いちばん〜
    教室で、先生が自分の本を探している。
    「先生の本は机の上にありますよ。」
  • 中(なか) 箱やかばん、部屋など、まわりが囲まれているところの内側です。 かばんの〜・箱の〜・冷蔵庫の〜
    出かける前に、家族がかぎを探している。
    「かぎはかばんの中にあります。」
  • 前(まえ) 物や建物の顔が向いているほうのところです。 駅の〜・銀行の〜・うちの〜
    友達と会う場所を決める。
    「駅の前に喫茶店があります。そこで会いましょう。」
  • 隣(となり) 横に並んでいて、間にほかの物がないところです。 銀行の〜・わたしの〜・〜の部屋
    郵便局の場所を聞かれる。
    「郵便局は銀行の隣にあります。」
  • 近く(ちかく) その場所から遠くないところです。間にほかの物があってもかまいません。 駅の〜・うちの〜・この〜
    新しいうちについて友達に聞かれる。
    「うちの近くにスーパーがあります。便利です。」
  • 間(あいだ) 2つの物や人にはさまれたところです。「AとBの間」と言います。 本屋と銀行の〜・父と母の〜
    家族の写真を見せて、クラスメートに紹介する。
    「父と母の間に弟がいます。」
  • 冷蔵庫(れいぞうこ) 食べ物や飲み物を入れて、冷たくしておく物です。 〜の中・〜の上
    家族が牛乳を探している。
    「牛乳は冷蔵庫の中にあります。」
  • 棚(たな) 本や箱などを置く物です。上から下まで何段かあります。 〜の上・いちばん上の〜・本の〜
    友達が部屋で辞書を探している。
    「辞書は棚のいちばん上にあります。」
  • 箱(はこ) 物を入れるための四角い入れ物です。 〜の中・大きい〜・この〜
    引っ越しの荷物を友達と片づけている。
    「この箱の中に何がありますか。」「本です。」
  • 乗り場(のりば) タクシーやバスに乗るところです。 タクシー〜・バス〜
    駅に着いて、タクシーに乗りたい。
    「すみません。タクシー乗り場はどこにありますか。」
  • 本屋(ほんや) 本を売っている店です。「〜屋」は物を売る店を表します。 駅の近くの〜・大きい〜
    辞書を買いたいので、近くの人に聞く。
    「この近くに本屋がありますか。」
  • 公園(こうえん) 町の中にある、木や花がたくさんある広いところです。 うちの近くの〜・〜の中
    子どもがどこにいるか、家族に聞かれる。
    「子どもは公園にいます。」

会話の扱い

店で、自分の国の食材があるかどうか聞き、売り場の場所を教えてもらう場面です。場面づくりは、教室の前を店に見立てて、品物の名前と階を書いたカードを棚のように貼り、客役が「〜、ありますか」と聞いて店の人役が「〜階です。〜の隣にあります」と答える形にします。CD を聞いて役割を分けて読んだあと、品物を学生の国の食べ物や飲み物(第6課の食べ物のことばで足りないものは学生から出させる)に替えてロールプレイに広げ、最後は見つかったときの「どうもすみません」まで言わせて区切りにします。デパートの案内板の絵を用意すると、「〜はどこにありますか」の質問と「〜階です」の答えが自然に増えます。

宿題と次のコマ

自分の部屋か家の絵を描いて、「〜に〜があります/います」「〜は〜の〜にあります」で5文書く(絵と文を次のコマの最初にペアで読み合わせる)。練習Bを声に出して読んでおく。次のコマは第11課の助数詞で、「りんごが3つあります」のように、この課の「あります」に数が付く形に進む。

よくある質問

  • 第10課の「あります」と「います」の使い分けはどう教えればいいですか?

    「自分で動くかどうか」の一つの基準で分け、人と動物は「います」、物と木・花は「あります」と教えます。黒板を2列にして、絵カードを学生自身に貼り分けさせると、説明より早く定着します。人が乗っているバスやタクシーを「います」で言う話し方もありますが、この課では扱わず、乗り物は「あります」でそろえておくと混乱しません。

  • 「〜に〜があります」と「〜は〜にあります」の違いはどう説明しますか?

    質問から入るのがいちばん分かりやすい方法です。「机の上に何がありますか」に答えるのが「机の上に本があります」、「本はどこにありますか」に答えるのが「本は机の上にあります」で、答えの中の新しい情報(物か場所か)が「あります」の直前に来ると見せます。文法の用語では前者を存在文、後者を所在文と呼びます。「は」と「が」の理屈はこの段階では深入りせず、質問と答えの組で覚えさせます。

  • 「隣」と「近く」の違いは何ですか?

    「隣」は横に並んでいて、間にほかの物がない関係です。「近く」は距離が遠くないことだけを言い、間に何かがあってもかまいません。教室では学生を並ばせて「〜さんの隣」を、窓から見える建物で「学校の近く」を示し、絵で「隣ではないが近く」の例を1つ見せると区別がつきます。

  • 第10課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と文型1〜3(あります・います・位置のことば)、2コマ目は文型4・5と会話、練習C、問題です。位置のことばは数が多いので、1コマ目の終わりに箱とペンで全部を一度言わせておくと、2コマ目の売り場の練習が速く進みます。

  • 第10課の板書はどう組めばいいですか?

    黒板の左に文型1「[場所]に[物]があります」、右に文型4「[物]は[場所]にあります」を同じ高さで並べ、それぞれの上に「何が?」「どこに?」の質問を書きます。中央には箱を中心にした位置のことばの図を置き、「の」と「に」を朱で囲みます。「あります/います」の色を分けておくと、最後のまとめで3つの対比(あります/います、に/で、が/は)を一目で見返せます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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