日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅰ 第1課「初めまして」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「初めまして」

初めて日本語を学ぶ人が、最初の授業で自分の名前・国・仕事・年齢を言い、相手にも聞けるようになる自己紹介の課です。文型は名詞文の肯定・否定・疑問と「の」「も」、年齢の6つで、動詞はまだ出ません。「は」と「です」で文が作れることと、「〜ですか」に「はい・いいえ」で返せることがこの課の芯です。国名・職業・数字と覚える語が多いので、文型の説明は最小にして、名札や絵カードで声に出す回数を稼ぎます。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目6時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 自分の名前・国・職業を「わたしは〜です」で言い、相手に「〜さんは〜ですか」と聞ける
  • 「はい、〜です」「いいえ、〜じゃありません」で答えられ、「だれ/どなた」で人を尋ねられる
  • 「の」で会社・大学の所属を付けて言い、「も」で前の人と同じことを言える
  • 0〜100の数を聞いて言え、年齢を「〜歳です」で言い、「何歳ですか/おいくつですか」で聞ける

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(名乗り)10分最初の課なので復習はない。教師が名札を見せて「〜です」と名乗り、「初めまして」「どうぞよろしく」をおじぎの動作つきで言って、学生にまねさせる。学生の名前を一人ずつ聞き、名札を作らせる
文型1・230分名札と職業の絵カードで「わたしは〜です」→ わざと間違えて「〜じゃありません」。板書は「N1 は N2 です/じゃありません」の2段で、「は」に「わ」の読みを振る
文型325分名札を裏返して「〜さんですか」。はい・いいえの答えの形を枠で板書。写真を使って「だれですか」「どなたですか」
文型4・525分会社・大学のカードと人のカードを並べて「の」。同じ国・同じ職業の学生を2人立たせて「も」。「は」と「も」が同じ席に入ることを板書で見せる
数字と文型640分0〜100の数をカードと聞き取りで。この課でいちばん時間がかかる段。数が言えたら「〜歳です」と「何歳ですか/おいくつですか」
会話25分CDで初対面の自己紹介を聞き、だれがだれを紹介しているかを確かめる。教師が紹介役になって学生2人を引き合わせ、流れを体で覚えさせてからロールプレイ
練習C・問題25分練習Cの型で、名札を交換した学生同士のインタビュー(名前・国・職業・年齢)。問題は聞き取りを中心に、数字の書き取りを必ず入れる

学習項目 1 N1はN2 です

意味・はたらき文型 1

「N1 は N2 です」は、N1 について「N2 だ」と言う文です。「は」は「いま何について話すか」を示す助詞(主題を示す助詞)で、「です」は文を丁寧に終える語です。この課では N1 に人(わたし・〜さん・あの人)、N2 に名前・国・職業が入ります。日本語では分かっている主題は言わなくてよいので、「わたしは」は最初の一度だけでよい、ということもここで伝えます。

接続

N1+は+N2+です(助詞の「は」は「わ」と読む)

形
わたしは〜です〜さんは〜ですあの人は〜です

導入

  • 教師の名乗りから形を取り出す教師が名札を胸に当てて「〜です」、国旗のカードを見せて「〜人です」、黒板を指して「教師です」と3つ続けて言う。次に学生一人の名札を指して「〜さんです」と言い、その学生に自分で「〜です」と言わせる。言えたところで「わたし は 〜 です」と板書し、「は」の上に「わ」と振って読みを強調する。
  • 絵カードで N2 を入れ替える職業の絵カード(学生・会社員・医者・先生)を1枚ずつ見せて「〜です」と言わせ、N2 の枠に入る語を増やす。「は」の前は学生の名前、「は」の後ろはカードの語、という枠を手で指しながら見せる。

板書案

N1 は N2 です
わたし は 山田 です。
あの人 は 学生 です。
〔赤〕「は」の上に「わ」と小さく振る 〔青〕N2 の枠に カードの語を入れ替える

場面と発話(自作)

  • 日本語学校の最初の授業。教師に名前を聞かれて答える。わたしは森です。会社員です。
  • 寮で、同じ部屋の人に初めて会った。自己紹介をする。初めまして。中村です。学生です。どうぞよろしく。
  • クラスの友だちに、向こうにいる人がだれか教える。あの人は山田さんです。日本人です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 教師が名札を見せて学生が「〜さんです」、職業カードを見せて「〜です」。次に学生同士で名札を交換し、持っている名札の人になりきって「わたしは〜です。〜人です」と言う(練習Cの型)。

  1. 口頭教師がキューを出し、全員 → 列 → 個人の順で言わせる。名札(山田)を見せて「山田さんです」、職業の絵カード(医者)を見せて「医者です」、国旗のカード(タイ)を見せて「タイ人です」。次に学生本人を指して「わたしは〜です」を言わせ、最後は名札・国旗・職業の3枚を続けて見せて「わたしは〜です。〜人です。〜です。」と3文を一息で言わせる。「は」を「は」と読んだら、その場で板書のルビを指す。
  2. ペア架空の人物カード(名前・国・職業)を1人2枚ずつ配り、相手に見せない。Aがカードの人になりきって「わたしは〜です。〜人です。〜です。」と言い、Bはそれを聞いてメモ用の表(名前・国・職業)に書き込む。言い終わったらカードを見せて答え合わせをし、交替する。聞き取れなかったときに「もう一度」と言えるように、その一言だけ先に教えておく。
  3. 産出「名札リレー自己紹介」。全員が自分の名札を持って輪になり、順に立って「初めまして。〜です。〜人です。〜です。どうぞよろしく。」と言い、次の人に名札を見せるしぐさでつなぐ。教師が見るのは、助詞の「は」の読み、自分の名前に「さん」を付けていないか、自分の職業を「先生」と言っていないかの3点。直すのは全員が言い終わってから、まとめて板書で。

つまずきと手当て

  • 助詞の「は」を「は」と読む、または「わ」と書く(「わたしわ」)。最初の板書で「は」に「わ」のルビを付け、「書くときは は、読むときは わ」と毎回言う
  • 自分の名前に「さん」を付ける(「わたしは森さんです」)。「さん」は相手と第三者だけ、と名札の受け渡しで見せる
  • 自分の職業を「先生」と言う(「わたしは先生です」)。自分のことは「教師」、相手や呼びかけは「先生」と分けて板書する
関連する文型

学習項目 2 N1はN2じゃありません

意味・はたらき文型 2

「です」の否定の形です。「N1 は N2 ではない」と言うときに使い、N2 の語は変わらず「です」の部分だけが「じゃありません」に替わります。「じゃありません」は話し言葉の形で、改まった場面や書き言葉では「ではありません」になります。この課では「じゃありません」だけを練習し、「ではありません」は聞いて分かればよい、と割り切ります。

接続

N+じゃありません(「です」を「じゃありません」に替える。N は変わらない)

形
NじゃありませんNではありません(改まった形・書き言葉)いいえ、Nじゃありません

導入

  • わざと間違えて否定を引き出す学生の名札を持って、別の学生の名前で「〜さんです」と言う。本人が首を振ったら「〜さんじゃありません」と言い直して見せ、正しい名前で「〜さんです」。肯定と否定を上下に板書し、「です」の部分だけが替わることを線で結んで示す。
  • 職業カードで肯定と否定を1組ずつ医者のカードを見せて「医者です」、同じカードを見せたまま「学生じゃありません」。1枚で肯定と否定を1つずつ言わせると、N が変わらないことが体で分かる。

板書案

N1 は N2 です。 → N1 は N2 じゃありません。
わたし は 学生 です。
わたし は 学生 じゃありません。
〔赤〕「です」を消して「じゃありません」 〔青〕N1・N2 は そのまま(上下を線で結ぶ)
(改まった場面・書くとき)では ありません

場面と発話(自作)

  • 寮で、国を間違えられた。訂正する。いいえ、中国人じゃありません。タイ人です。
  • 会社の受付で学生だと思われた。わたしは学生じゃありません。会社員です。
  • クラスの友だちが、隣にいる人を先生だと思っている。あの人は先生じゃありません。学生です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カード1枚につき「肯定→否定」を1組(学生です/会社員じゃありません)で言わせる(練習Bの型)。慣れたら教師がわざと間違った文を言い、学生が「いいえ、〜じゃありません。〜です」と直す(練習Cの型)。

  1. 口頭職業の絵カードを2枚ずつ、片方に○、片方に×の印を付けて見せる。「学生○・会社員×」なら「学生です。会社員じゃありません。」、ほかに「医者○・教師×」「日本人×・タイ人○」のように、○と×の順を入れ替えながら出す。全員で言ってから個人へ。「じゃ」が落ちる学生には「じゃ・あり・ません」と手拍子で区切って言わせる。
  2. ペアAに人物カード(名前・国・職業)を1枚、Bには同じ人物について1か所だけ違う紹介メモを渡す。Bがメモどおりに「〜さんは医者です」と言い、Aはカードと違うところを「いいえ、医者じゃありません。会社員です。」と直す。3枚で交替。違う場所(名前・国・職業)はカードごとに変えておく。
  3. 産出「まちがい訂正ゲーム」。教師が学生一人ずつについて、わざと1か所だけ間違えた紹介(「〜さんは日本人です」)をクラスに向かって言い、言われた本人が立って「いいえ、わたしは日本人じゃありません。〜人です。」と直す。慣れたら学生同士で、隣の人の紹介をわざと間違えて言う役を回す。教師が見るのは、「じゃ」の落ち、「じゃありません」のあとに「です」を足していないか、名詞まで言い換えていないか。

つまずきと手当て

  • 「じゃ」を落として「学生ありません」と言う。「じゃありません」はひと固まり、と手拍子で区切って言わせる
  • 母語の否定語を置き換えて「学生ない」と作る。この課では「じゃありません」を1つの語として丸ごと覚えさせ、「ない」の形は後の課に回す
  • 「です」を残して「じゃありませんです」と言う。板書で肯定文の「です」を消してから「じゃありません」を書く、という手順を見せる

既習の文型との違い

  • N1はN2 です(この課の文型1)肯定文と否定文は「です」の部分だけが違い、N1・「は」・N2はそのまま残ります。学習者は否定にしたときに「*学生じゃありませんです」のように「です」を残したり、母語の否定の形に引かれて「*学生ない」と作ったりします。肯定文を書いてから「です」を消し、同じ場所に「じゃありません」を書く手順で、替わるのは1か所だけだと見せます。
関連する文型

学習項目 3 N1はN2 ですか

意味・はたらき文型 3

文の終わりに「か」を付けると質問の文になります。語順は変わらず、文末を上げて言います。答えは「はい、N2 です」「いいえ、N2 じゃありません」です。「だれ」のような疑問の語は、聞きたいところ(N2 の位置)にそのまま入れます(「あの人はだれですか」)。「どなた」は「だれ」の丁寧な言い方で、相手や話題の人が目上のときに使います。

接続

N1+は+N2+ですか(文末を上げる。疑問の語は N2 の位置に入れる)

形
〜さんは〜ですか。——はい、〜です/いいえ、〜じゃありませんあの人はだれですかあの方はどなたですか

導入

  • 名札を裏返して聞く学生の名札を裏返して「〜さんですか」と聞き、本人が「はい、〜です」と答える。別の学生に同じ名札を見せて「〜さんですか」と聞き、「いいえ、〜じゃありません。〜です」を引き出す。板書は肯定文の最後に「か」を書き足すだけにして、形が変わらないことを見せる。
  • 写真で「だれ」よく知られている人や教師の家族の写真を見せて「あの人はだれですか」と聞く。学生が答えられなくても教師が「〜さんです」と答え、質問の形だけを学生に言わせる。目上の人の写真のときは「どなたですか」と言い換えて見せる。

板書案

N1 は N2 です + か ↗
山田さん は 学生 です か。
→ はい、学生 です。/ いいえ、学生 じゃありません。
あの人 は だれ です か。(あの方 は どなた です か。)
〔赤〕「か」と ↗(文末を上げる) 〔青〕「だれ」は 答えの名詞と同じ場所

場面と発話(自作)

  • 初めての授業で、隣の席の人に名前を確かめる。失礼ですが、木村さんですか。——はい、木村です。
  • クラスで教師が学生に仕事を聞く。森さんは会社員ですか。——いいえ、会社員じゃありません。学生です。
  • 教室の外にいる人がだれか、友だちに聞く。あの人はだれですか。——山田先生です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師がカードを見せ、学生が隣の人に「〜さんは〜ですか」と聞いて答えさせる(聞く側と答える側を交代)。次に「はい」「いいえ」のカードを答える側に配り、カードどおりに答えさせる(練習Cの型)。

  1. 口頭教師が肯定文を言い、学生が「か」を付けて質問に変える変換練習から入る(「学生です」→「学生ですか」、「医者です」→「医者ですか」、「タイ人です」→「タイ人ですか」)。文末を上げるところで手を上に上げる動作を全員でそろえる。次に教師が質問し、「はい」「いいえ」のカードを上げて答えさせる。最後に人物の写真を見せて「あの人はだれですか」を言わせ、先生の写真のときだけ「あの方はどなたですか」に替える。
  2. ペア「職業当てクイズ」。Aは人物カード(名前・職業)を持ち、Bには職業の一覧(学生・会社員・医者・教師・銀行員)だけを渡す。Bは「〜さんは医者ですか」と順に聞き、Aは「いいえ、医者じゃありません」「はい、医者です」と答える。当たるまでの質問の数を数え、3枚で交替。答える側が「はい、です」で止まったら、聞く側が「はい、〜です」と言い直させる。
  3. 産出「名札さがし」。全員の名札を集めて裏返しのまま配り直し、学生は自分が持っている名札の人を教室の中から探す。相手に「失礼ですが、〜さんですか」と聞き、違えば「いいえ、〜じゃありません。〜です。」と名乗ってもらって次の人へ。見つけたら名札を渡して「はい、〜です。」と受け取ってもらう。教師が見るのは、「か」の落ちと文末の上げ、答えが「はい、+文」になっているか、教師について聞くときに「どなた」を選べているか。

つまずきと手当て

  • 文末を上げない、または「か」を落として上げ調子だけで聞く。「か」を言うときに手を上に上げる動作をつけて結びつける
  • 疑問の語を文の頭に置く(「だれはあの人ですか」)。母語の語順の影響。「あの人は山田さんです」の「山田さん」を「だれ」に置き換えて見せ、答えが入る場所に置くと教える
  • 「はい」のあとに名詞を言わず「はい、です」で止まる。答えは「はい、+文」と枠で板書する(「そうです」は第2課で出る)

既習の文型との違い

  • N1はN2 です(この課の文型1)疑問文は肯定文の最後に「か」を付けて文末を上げるだけで、語順は変わりません。疑問の語を文の頭に出す言語の学習者は、「*だれはあの人ですか」のように「だれ」を前に置くことがあります。答えの文「あの人は山田さんです」の「山田さん」を消して「だれ」を書き込む板書で、聞きたいところにそのまま入れると見せます。
関連する文型

学習項目 4 N1のN2

意味・はたらき文型 4

「の」は名詞と名詞をつなぎ、前の名詞が後ろの名詞を説明します。この課では「所属」の意味だけを扱い、N1 に会社・大学など、N2 に人(社員・学生・先生)が入ります(「〜の社員」=その会社に属する社員)。「の」の意味は課が進むごとに増える(第2課で内容・持ち主)ので、ここでは「大きいもの の 中の人」と覚えさせます。

接続

N1+の+N2(N1 が N2 を説明する。順番を逆にしない)

形
〜の社員〜大学の学生〜の先生

導入

  • 会社のカードと人のカードを並べる架空の会社名を書いたカードと「社員」のカードを左右に置き、間に「の」のカードを入れて「〜の社員です」。次にカードの順番を入れ替えて「社員の〜」と言い、首を振って×を付ける。板書は「大きいもの → の → 中の人」の矢印。
  • 学生自身の所属で言わせる学生に「〜さんは〜大学の学生ですか」と聞き、「はい、〜大学の学生です」と答えさせる。働いている学生には会社名で。所属が言いにくい学生には、この学校の名前を使って「〜の学生です」でよい。

板書案

N1 の N2
ABC電気 の 社員 です。
ひがし大学 の 学生 です。
〔矢印〕大きいもの(会社・大学)→ の → 中の人
〔赤〕の 〔青〕左が会社・大学、右が人(順番を逆にしない)

場面と発話(自作)

  • 会社の歓迎会で、新しく入った人が自己紹介をする。初めまして。森です。ABC電気の社員です。どうぞよろしく。
  • 寮の食堂で、向こうにいる人がどこの学生か友だちに教える。あの人はひがし大学の学生です。
  • 友だちの友だちに会った。どこの学生か聞く。中村さんはひがし大学の学生ですか。——いいえ、みなみ大学の学生です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

会社・大学のカードと職業のカードを組にして「〜の〜です」(練習Bの型)。次に名札の裏に架空の会社名・大学名を書いて配り、「〜さんは〜の〜ですか」と聞き合う(練習Cの型)。

  1. 口頭左に所属のカード、右に人のカードを置いて見せ、間の「の」を全員で強く言わせる。キューは「ABC電気・社員」→「ABC電気の社員です」、「ひがし大学・学生」→「ひがし大学の学生です」、「さくら病院・医者」→「さくら病院の医者です」。慣れたらカードの左右をわざと逆に置き、学生に正しい順に並べ直させてから言わせる。
  2. ペアAとBに架空の身分証カード(名前・所属・職業)を1枚ずつ配り、相手に見せない。Bには所属の候補を3つ書いた紙を渡し、「〜さんは〜大学の学生ですか」と聞いて当てさせる。Aは「はい、〜の〜です」「いいえ、〜の〜じゃありません」と答える。当たったら交替。
  3. 産出「名刺交換」。学生が白いカードに架空の名刺(名前・会社か大学・職業)を書き、教室を歩いて3人と交換する。渡すときに「初めまして。〜です。〜の〜です。どうぞよろしく。」と言い、受け取った人は名刺を見ながら「〜さんは〜の〜ですか」と確かめる。教師が見るのは、所属と人の順番、「の」の落ち(「ABC電気社員」)、国籍を「タイの人」と言っていないか。

つまずきと手当て

  • 順番を逆にする(「社員のABC電気」「学生の大学」)。母語で「〜の」にあたる語の順が逆な学習者に多い。矢印の板書(大きいもの → 中の人)に戻す
  • 「の」を落として「ABC電気社員」と言う。固有名詞と職業を続けて言っても通じてしまうので、「の」を言わせる練習を一度入れる
  • 「〜人」に「の」を入れて「タイの人」と言う。間違いではないが、国籍はこの課では「タイ人」の形で定着させる
関連する文型

学習項目 5 N1 もN2です

意味・はたらき文型 5

「も」は「〜も同じだ」という意味の助詞で、前に出た文と同じことを別の N1 について言うときに、「は」の代わりに使います。「は」と「も」は同じ場所に入り、一緒には使いません。前の文があって初めて使える形なので、必ず2文で練習します。「〜さんも〜ですか」に「いいえ」で答えるときは「も」が使えず、「〜は〜じゃありません」に戻ります。

接続

N1+も+N2+です(「は」を「も」に替える。「はも」とは言わない)

形
Aさんは〜です。Bさんも〜です〜さんも〜ですか。——はい、〜ですいいえ、〜は〜じゃありません

導入

  • 同じ国の学生を2人立たせる同じ国(または同じ職業)の学生を2人並べ、1人目を指して「〜さんはタイ人です」、2人目を指して少し間を置いてから「〜さんも タイ人です」。板書は1文目の「は」の真下に2文目の「も」を書き、同じ場所に入ることを線で見せる。違う国の学生を3人目に立たせて「〜さんは 〜人です」に戻し、「も」は同じときだけ、と押さえる。
  • 教師自身を使う「わたしは教師です」と言ってから、同僚の写真を見せて「〜さんも教師です」。学生にまねさせて、自分と隣の人で「わたしは学生です。〜さんも学生です」。

板書案

Aさん は 学生 です。
Bさん も 学生 です。
〔線〕「は」の真下に「も」(同じ場所に入る)
Cさん は 会社員 です。(同じでない → は)
〔赤〕も 〔青〕「はも」とは言わない

場面と発話(自作)

  • クラスの自己紹介で、前の人と同じ国だった。わたしもタイ人です。
  • 寮で、同じ会社の人に会った。森さんはABC電気の社員です。わたしもABC電気の社員です。
  • 新しく来た人が学生かどうか、友だちに聞く。木村さんも学生ですか。——はい、学生です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カードを2枚ずつ見せ、1枚目を「は」、2枚目を「も」で言う。違うカードのときは「は」に戻す(練習Bの型)。次に学生がクラスの中で自分と同じ国・同じ職業の人を探して「〜さんも〜です」と報告する(練習Cの型)。

  1. 口頭人物の絵カードを2枚ずつ並べて見せ、1枚目は「は」、2枚目は「も」で言わせる。キューは「山田さん・学生/田中さん・学生」、「森さん・会社員/中村さん・会社員」、「山田さん・医者/田中さん・教師」(違う組は2枚目も「は」に戻る)の3通りを混ぜる。同じ組か違う組かの判断を学生にさせ、「も」を言う前に一拍置く。
  2. ペアAとBが人物カード(国・職業)を1枚ずつ持つ。Aが自分のカードの人として「わたしは〜人です」と言い、Bは自分のカードと比べて、同じなら「わたしも〜人です」、違えば「わたしは〜人です」と返す。職業でも同じことをして、カードを替えて3回。最後にAが「〜さんも〜ですか」と聞き、Bが「はい、〜です」か「いいえ、〜じゃありません」で答える問いの形も入れる。
  3. 産出「同じ人さがし」。全員に人物カード(国・職業)を配り、教室を歩いて「〜さんは〜人ですか」と聞き合い、自分と同じ国か同じ職業の人を探す。見つけたら二人で前に出て「〜さんは〜です。わたしも〜です。」とクラスに報告する。教師が見るのは、「はも」と重ねていないか、前の文がないのに「も」で始めていないか、違うときに「は」に戻せているか。

つまずきと手当て

  • 「は」と「も」を重ねる(「わたしはも学生です」)。「も」は「は」の席に座る、とカードの置き換えで見せる
  • 前の文がないのに「も」を使う。「も」は2文目から、と必ず2文で言わせる
  • 「いいえ」の答えでも「も」を使う(「いいえ、〜も学生じゃありません」)。同じでないときは「は」に戻る、と肯定の答えと否定の答えを並べて板書する

既習の文型との違い

  • N1はN2 です(この課の文型1)「は」は何について話すかを出すだけですが、「も」は前の文と同じであることを言います。「は」と「も」は同じ場所に入るので、「*わたしはも学生です」とは言いません。また「も」は前の文があって初めて使えるので、最初の一言を「わたしも学生です」で始めると、聞き手には何と同じなのか分かりません。
関連する文型

学習項目 6 Nは-歳です

意味・はたらき文型 6

年齢は「数+歳」で言います。聞くときは「何歳ですか」、丁寧に聞くときは「おいくつですか」です。数が言えることが前提なので、この項目の前に 0〜100 の数を入れます。「歳」が付くと読みが変わる数があり(1歳 いっさい・8歳 はっさい・10歳 じゅっさい)、20歳は「はたち」という特別な読みです。同じ変化は 11・18・21・30 などでも起きます。

接続

N+は+数+歳です(読みが変わる数: 1・8・10 と、それを含む 11・18・20・30 など。20歳は「はたち」)

形
〜さんは何歳ですか/おいくつですか〜歳です1歳 いっさい・8歳 はっさい・10歳 じゅっさい・20歳 はたち

導入

  • 数のカードで 0〜100数字カードを 1〜10 → 11〜20 → 10ごと → 100 の順に、教師のあとについて言わせる。次に教師が数字を見せて学生が言う、学生が言って別の学生が黒板に書く、と往復させる。ここに時間がかかるので、文型6は数が言えたあとの短い段にする。
  • 教師の年齢を当てさせる教師が自分を指して「わたしは何歳ですか」と聞き、学生に数を言わせる。正解を「〜歳です」と言い、「N は 〜歳 です」と板書する。年齢を聞くには丁寧さが要るので「おいくつですか」をセットで出し、相手が目上なら「おいくつ」と分ける。

板書案

N は _ 歳 です。
山田さん は 何歳 ですか。(おいくつ ですか。)
→ 25歳 です。
〔赤〕1歳 いっさい・8歳 はっさい・10歳 じゅっさい 20歳 はたち
〔青〕目上の人・初めて会った人には「おいくつですか」

場面と発話(自作)

  • クラスの自己紹介で、年齢を言う。わたしは25歳です。
  • 同じ寮の人に年齢を聞く。中村さんは何歳ですか。——20歳です。
  • 会社で、年上の人に年齢を聞く。丁寧に。失礼ですが、おいくつですか。——40歳です。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

数字カードを見せて「〜歳です」。1・8・10・20 と、11・18 のような組み合わせを多めに混ぜる(練習Bの型)。次に学生同士で「何歳ですか」と「おいくつですか」を相手によって使い分けて聞き合い、聞いた年齢を数字で書き取らせる(練習Cの型)。

  1. 口頭数字カードを見せて「〜歳です」と言わせる。キューは 3・25・47 のような読みの変わらない数から始め、1・8・10、それを含む 11・18・21・30、最後に 20(はたち)を混ぜる。全員 → 個人。次に教師が人物の写真を見せて「何歳ですか」と聞き、写真に年上の印が付いているときは「おいくつですか」で聞き直すところまで学生に言わせる。
  2. ペア年齢を書いた人物カードを使う(本人の年齢は聞かない)。Aは相手のカードの印(年上・同じくらい)を見て「何歳ですか」か「おいくつですか」を選んで聞き、Bはカードの数で答える。Aは聞いた数を数字で書き、終わったらカードと照らして合っているか確かめる。5枚で交替。読みが変わる数のカードを多めに入れておく。
  3. 産出「人物紹介カード」。3人組で架空の人物を一人決め、名前・国・会社か大学・年齢をカードに書いて、一人がクラスに紹介する(「こちらは〜さんです。〜人です。〜の〜です。〜歳です。」)。聞いている学生は年齢を数字で書き取り、紹介役は聞き手に「〜さんは何歳ですか」と確かめの質問をする。教師が見るのは、1・8・10・20 の読み、「歳」の落ち、目上の人に「何歳」と聞いていないか。

つまずきと手当て

  • 20歳はふつう「はたち」と言う(「にじゅっさい」「にじゅうさい」も言うが、自己紹介では「はたち」が多い)。「はたち」は特別な読みとして、別の1枚のカードで出す
  • 1・8・10 の変化を忘れて「いちさい」「じゅうさい」と言う(8歳は「はっさい」が基本で、「はちさい」も聞かれる)。11・18・21・30 などでも同じ変化が起きるので、その組を多めにカードに入れる
  • 年齢を聞くことの失礼さは文化によって違う。「おいくつですか」を丁寧な形として教え、初対面の目上の人には聞かないほうがよい場面もあると一言添える
関連する文型

語彙の扱い

この課の語は、人を表す語(わたし・あなた・あの人・〜さん)、職業(学生・会社員・医者・先生と教師)、国名と「〜人」、数字 0〜100、挨拶の表現に分かれます。職業と国は絵カードと国旗のカードで、数字はカードと聞き取りで、挨拶はおじぎの動作つきの丸暗記で扱い、意味は別冊の訳に任せて教室では声に出す回数を増やします。「あなた」は教科書にありますが、名前が分かる相手には「〜さん」を使うと最初に伝えておくと、あとで直す手間が減ります。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 学生(がくせい) 学校や大学で勉強している人です。 大学の〜・〜じゃありません
    クラスの自己紹介で、仕事を言う。
    わたしは学生です。ひがし大学の学生です。
  • 会社員(かいしゃいん) 会社で働いている人のことです。 わたしは〜です
    寮で、仕事を聞かれて答える。
    いいえ、学生じゃありません。会社員です。
  • 社員(しゃいん) その会社の人のことで、「〜の社員」の形で会社の名前といっしょに言います。 ABC電気の〜
    会社の歓迎会で、名乗る。
    初めまして。田中です。ABC電気の社員です。
  • 教師(きょうし) 学校で教える仕事の人で、自分の仕事を言うときに使います。 わたしは〜です
    最初の授業で、教師が名乗る。
    初めまして。山田です。教師です。どうぞよろしく。
  • 先生(せんせい) 教える人を呼ぶときやほかの人に話すときの言い方で、自分のことには使いません。 山田〜・あの人は〜です
    クラスの友だちに、教室の外にいる人がだれか教える。
    あの人は山田先生です。
  • 医者(いしゃ) 病院で、病気の人をみる仕事の人です。 さくら病院の〜
    初めて会った人に、仕事を言う。
    わたしは医者です。さくら病院の医者です。
  • 〜人(〜じん) 国の名前の後ろに付けて、その国の人だと言います。 タイ〜・日本〜・中国〜
    国を間違えられて、直す。
    いいえ、中国人じゃありません。タイ人です。
  • 大学(だいがく) 高校のあとで、もっと勉強するための学校です。 〜の学生・ひがし〜
    友だちの友だちに、どこの学生か聞く。
    中村さんはひがし大学の学生ですか。——はい、ひがし大学の学生です。
  • だれ(だれ) 名前が分からない人について聞くときの言葉で、目上の人には「どなた」と言います。 あの人は〜ですか
    寮の食堂で、向こうにいる人がだれか友だちに聞く。
    あの人はだれですか。——田中さんです。
  • 〜歳(〜さい) 年を言うときに数の後ろに付ける言葉で、1歳・8歳・10歳・20歳は読み方が変わります。 何〜・20〜(はたち)
    クラスの自己紹介で、年齢を言う。
    わたしは30歳です。
  • 〜さん(〜さん) 人の名前の後ろに付けて丁寧に呼ぶ言葉で、自分の名前には付けません。 山田〜・田中〜
    友だち二人を引き合わせて、一人を紹介する。
    こちらは山田さんです。ABC電気の社員です。
  • 初めまして(はじめまして) 初めて会った人に、最初に言うあいさつです。 〜。〜です。どうぞよろしく。
    寮で、同じ部屋の人に初めて会った。
    初めまして。森です。会社員です。どうぞよろしく。

会話の扱い

初対面の自己紹介の場面で、紹介する人・紹介される人・それを受ける人の三者の構図です。CDを1度聞かせて、だれがだれに話しているかを確かめてから、教師が紹介役になって学生2人を引き合わせ、「初めまして → 名前・国 → どうぞよろしく」の流れをおじぎの動作と一緒に体で覚えさせます。ロールプレイは、名前・国・会社(または大学)を書いた名札を配って、知らない人同士として挨拶するところから始め、慣れたら3人組にして「こちらは〜さんです」で第三者を紹介するところまで広げます。「〜から来ました」は文型ではありませんが会話で使うので、ここでは丸ごとの表現として扱い、動詞の説明はしません。

宿題と次のコマ

練習Bを声に出して読む、0〜100の数を書いて読む、自己紹介(名前・国・職業・年齢)を4文で書く。次のコマの最初に全員が自分の自己紹介を言い、「こちらは〜さんです」の紹介を1組だけ復習してから、第2課の「これ・それ・あれ」に入る。

よくある質問

  • 『みんなの日本語』第1課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は名乗りの導入から文型1〜5(肯定・否定・疑問・「の」・「も」)まで、2コマ目は数字0〜100と年齢、会話、練習Cと問題です。数字は思ったより時間がかかるので、クラスによっては数字の練習を次の課の頭に10分ずつ回してもかまいません。

  • 助詞の「は」を「わ」と読むことは、どう教えればいいですか?

    最初の板書で助詞の「は」の上に「わ」と小さく振り、「書くときは は、読むときは わ」と毎回声に出して言います。ローマ字で補助するクラスでも wa と書き、ha とは書きません。理由は初級の最初では説明せずに決まりとして覚えさせ、「わたしわ」と書いた答えはその場で直します。

  • 「じゃありません」と「ではありません」はどちらを教えますか?

    この課では話し言葉の「じゃありません」を言えるように練習し、「ではありません」は改まった場面や書き言葉の形として、聞いて分かれば十分です。最初の授業で二つの形を同時に言わせると、どちらも定着しにくくなります。作文や書く練習が始まった段階で「ではありません」も書けるようにします。

  • 「だれ」と「どなた」、「何歳」と「おいくつ」はどう使い分けさせますか?

    どちらも後ろの言い方が丁寧です。「どなた」は相手や話題の人が目上のとき、「おいくつですか」は年上の人や初めて会った人に年齢を聞くときに使います。教室では先生の写真なら「どなた」、友だちの写真なら「だれ」と、写真を替えて言い分けさせると区別がつきます。年齢を聞くこと自体を失礼と感じる学習者もいるので、練習は架空の人物カードで行うと安心です。

  • 第1課の板書はどう組めばいいですか?

    黒板の左に「N1 は N2 です」の枠を書き、その下に否定の「じゃありません」と疑問の「か」を同じ位置にそろえて並べ、替わる部分だけが目に入るようにします。助詞の「は」には「わ」のルビを振り、替わる部分は赤で書きます。右側は「の」の矢印(大きいもの → 中の人)と「は」「も」の置き換え、最後に読みが変わる数(1・8・10・20歳)を並べる場所として空けておきます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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