日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅰ 第18課「趣味は何ですか」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「趣味は何ですか」

動詞の辞書形が初めて出る課です。辞書形を使って「できること(能力)」「その場所・状況でできること」を言い、趣味を「〜ことです」と説明し、「〜まえに」で動作の順序を言えるようになります。て形(第14課)・ない形(第17課)に続く3つ目の活用形なので、学習者の頭の中では「また新しい形か」という負担が先に立ちます。作り方は最初の30分ほどで片づけて、あとは文型の中で辞書形を何度も口にさせるのがこの課の芯です。「できます」は目的語が「が」になることと、「上手です」(第9課)との違いを押さえておくと、あとの課で崩れにくくなります。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 動詞のます形から辞書形を作れる(3つのグループを使い分ける)
  • 「Nができます」「V辞書形ことができます」で、自分や人の能力と、その場所でできることを言える・聞ける
  • 「趣味は〜ことです」で自分の趣味を説明し、相手の趣味を聞いて会話を続けられる
  • 「〜まえに、〜」で2つの動作の順序や、いつのことかを言える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習とつなぎ)10分て形の復習から入る。絵カードで「書きます→書いて」を数枚言わせ、「きょうはもう一つ、新しい形」と言って辞書形へ。グループ分けは て形のときの分け方がそのまま使えることを確かめる
辞書形の作り方25分グループI→II→IIIの順に板書し、絵カードで ます形→辞書形 の口頭練習。辞書形はこの課では文の途中でしか使わないので、「〜ことができます」の枠に入れるところまでを一気にやる
文型1(能力)35分教師の「できる・できない」の実演から「Nができます」→「V辞書形ことができます」へ。「が」の板書を大きく。学生同士の「〜ことができますか」のやり取りまで
文型2(状況可能)25分教室・学校・駅の絵や実物(券売機の写真・図書館のカード)で「ここで〜ことができます/できません」。文型1と同じ形で意味が違うことを、主語の有無で見せる
文型3(趣味)25分教師の趣味を写真で紹介して「趣味は〜ことです」。「Nです」と「V辞書形ことです」の両方を板書し、学生の趣味を聞いて回る。会話の下地になる
文型4(〜まえに)35分絵カード2枚を並べて順序を言う。V辞書形・Nの・期間 の3つの接続を1枚の表にする。「まえに」の前はいつも辞書形(主文が過去でも)を強く
会話・練習C・問題25分会話は「趣味を聞く→くわしく聞く→感心する→誘う」の流れで、学生の本当の趣味に置き換えて再現。練習Cは3つの場面(できますか・趣味・まえに)。問題は聞き取りを教室で、残りは宿題に

学習項目 1 辞書形の作り方

意味・はたらき活用

辞書に載っている形なので「辞書形」と呼びます。この課では「〜ことができます」「〜ことです」「〜まえに」の中で使い、単独で文を終える使い方(普通形)は第20課まで出しません。作り方は て形・ない形と同じ3つのグループで決まります。グループI は ます の前の音を い段 から う段 に変え、グループII は ます を る に替えるだけ、グループIII は「します→する」「来ます→来る」の2つを覚えます。

接続

ます形 → 辞書形(グループI: い段→う段/グループII: ます→る/グループIII: する・来る)

形
グループI: 書きます→書く、泳ぎます→泳ぐ、話します→話す、待ちます→待つ、遊びます→遊ぶ、読みます→読む、帰ります→帰る、買います→買うグループII: 食べます→食べる、見ます→見る、起きます→起きる、借ります→借りる、浴びます→浴びる、覚えます→覚えるグループIII: します→する、来ます→来る(くる)、勉強します→勉強する、運転します→運転する

導入

  • て形のグループ分けをそのまま使うて形の復習で使った絵カードを黒板に I・II・III の列に分けて貼り直し、「グループは同じ」と言ってから、グループI の「書きます」の「き」を「く」に書き換えて見せる。あいうえお表を横に貼り、「き→く」「ぎ→ぐ」「し→す」と指でなぞると、い段→う段の規則が目で分かる。グループII は「ます」を消して「る」を書くだけ、グループIII は2つだけと順に見せる。
  • 板書の形黒板を3列にして、左から I「き・ぎ・し・ち・び・み・り・い」→「く・ぐ・す・つ・ぶ・む・る・う」、II「ます→る」、III「する・来る」。消さずに課の終わりまで残し、文型の練習で迷ったらここを指す。

板書案

ます形 → 辞書形
グループI い段 → う段 書きます → 書く 飲みます → 飲む
グループII ます → る 食べます → 食べる 見ます → 見る
グループIII します → する 来ます → 来る(くる)
〔赤〕う段の音 〔青〕あいうえお表の上で い段→う段 の矢印
辞書形 + ことができます/ことです/まえに

場面と発話(自作)

  • ます形→辞書形 の口頭練習。教師が絵カードを見せて「飲みます」と言う。飲む。
  • グループII の確認。教師が「起きます」と言う。起きる。
  • グループIII の確認。教師が「来ます」と言い、読みに注意させる。来る(くる)。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カード20枚を速いテンポで「ます形→辞書形」。I・II・III を混ぜて出し、間違えたカードだけ戻してもう一度。次に辞書形から ます形に戻す逆の練習も1周やると、文型の練習で「〜ことができますか」→「はい、〜ます」と答えるときに崩れない。

  1. 口頭絵カードを見せて教師がます形を言い(飲みます・起きます・来ます・帰ります・浴びます・洗います)、全体で辞書形を言わせる → 列ごと → 個人。次にキューを絵だけにし、最後は逆に辞書形を聞かせてます形に戻させる。グループを混ぜる前に、教師が辞書形を言って学生が指でグループの番号(1・2・3)を出す「グループ当て」を1周入れると、見た目で迷う語が先に分かる。
  2. ペア表にます形、裏に辞書形を書いたカードを2人で1組使う。Aがめくってます形を言い、Bが辞書形を言う。Aは裏を見て合っていれば「はい」、違えば裏を読んで聞かせ、そのカードを別の山に置く。8枚で交替し、別の山のカードだけで2周目をする。速さより、グループIIとIIIの語で止まらないかを見る。
  3. 産出「辞書形ビンゴ」。学生が3×3のマスに、この課までに習った動詞の辞書形を自分で選んで書く(ここで書けること自体が産出)。教師がます形を読み上げ、学生は辞書形のマスに印を付ける。ビンゴになった学生は、印の付いた語を辞書形とます形の両方で読み上げる。教師が見るのは、マスに書いた形(×書きる・×借る)と、「来る」を「くる」と読めているか。

つまずきと手当て

  • グループI に「る」を足すだけにする(×書きる、×飲みる)。い段→う段 の表を指して、音が変わることを体で覚えさせる
  • 「借ります」「浴びます」「起きます」を見た目でグループI と思って ×借る ×浴ぶ と作る。逆に「帰ります」「入ります」「知ります」はグループI。て形で分けたときと同じ例外として、カードの色を変えておく
  • 「来る」を「きる」と読む(「来ます=きます」からの類推)。グループIII の2語は読みごと暗記と割り切る
  • 辞書形で文を終える(「わたしは本を読む。」)。文としては正しいが、この課では辞書形を文の終わりに使わず「文の途中の形」として扱い、友達への言い方は第20課で習うと先に言っておく

既習の文型との違い

  • て形の作り方(第14課)グループ分けは て形と同じですが、作り方はずっと単純で、グループIは い段→う段 の一つの規則だけです。て形では「行きます→行って」が例外でしたが、辞書形は「行く」で規則どおりなので、例外を探して身構える学習者には「辞書形に例外はグループIIIの2語だけ」と先に言ってしまいます。て形の表と辞書形の表を並べて、グループの列は同じで変え方が違うと見せます。
  • ない形の作り方(第17課)ない形は い段→あ段(買います→買わない)、辞書形は い段→う段(買います→買う)と、動かす先の段が違います。直前の課で ない形を練習しているので、「*飲まる」「*買わる」のように あ段に動かしてしまう学習者がいます。あいうえお表の上で、ない形は上へ、辞書形は下へ、と矢印の向きで区別させます。
関連する文型

学習項目 2 N/〈V辞書形〉ことができます(能力)

意味・はたらき文型 1

人が持っている能力(できること)を言う文型です。名詞なら「日本語ができます」「ピアノができます」、動詞なら辞書形に「こと」を付けて「泳ぐことができます」の形にします。動作の対象は「を」ではなく「が」で受けます。第9課の「上手です」は「じょうずか へたか」の評価、こちらは「できるか できないか」なので、「できますが、上手じゃありません」という言い方が成り立ちます。

接続

N+が+できます/V辞書形+こと+が+できます(否定は できません・疑問は できますか)

形
Nができます(日本語が・ピアノが・運転が)V辞書形ことができます(泳ぐことが・ギターを弾くことが)V辞書形ことができませんV辞書形ことができますか → はい、できます/いいえ、できません

導入

  • 教師の実演で「できる・できない」を分けるギターの絵カードを持って弾くまねをし「わたしはギターが できます」、次にピアノの絵で首を振って「ピアノは できません」。学生に「〜さんは?」と聞いて「できます/できません」の答えだけ言わせる。ここで「が」を赤で板書する。次に「泳ぎます」の絵で「泳ぐ こと が できます」と、辞書形→こと→が→できます の順に積んで見せる。
  • 「上手です」との線引き「料理が上手です」と「料理ができます」を並べ、「できます」は できるかできないか、「上手です」は じょうずかへたか と板書。「泳ぐことができますが、上手じゃありません」を教師が自分のこととして言うと、違いが伝わる。

板書案

N + が + できます
V辞書形 + こと + が + できます
わたしは ギターが できます。
わたしは 泳ぐことが できます。でも、上手じゃありません。
〔赤〕が(を ではない) 〔青〕辞書形 → こと → が の3つの箱

場面と発話(自作)

  • クラスで、隣の学生に日本語の字について聞かれた。ひらがなは読めるが、漢字はまだ難しい。ひらがなを読むことができます。でも、漢字はまだ書くことができません。
  • 会社で、課長に外国語について聞かれた。英語ができます。中国語は できません。
  • 休みの日に海へ行く相談をしている。友達に聞く。田中さんは泳ぐことができますか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 絵カード(楽器・スポーツ・乗り物・料理)を見せ、「ピアノ/弾きます」のキューで「ピアノを弾くことができます」。次にキューを名詞だけ(ピアノ)に替えて「ピアノができます」。練習Cの型: ペアで「〜ことができますか」→「はい/いいえ」→できる人に「じゃ、今度教えてください」(第14課)と続けさせ、3人に聞いてクラスに報告する。

  1. 口頭絵カード(ギター・車・スキー・料理・漢字・自転車)でキューを出す。名詞だけのキュー「ギター」→「ギターができます」、名詞+動詞のキュー「ギター・弾きます」→「ギターを弾くことができます」の2段。カードの隅に○×を付けて「できます/できません」も言い分けさせる。全体のあと個人に「〜さんは車を運転することができますか」と聞き、「はい、できます」と短く答えさせる。
  2. ペア情報差の表を使う。Aの紙には田中さんの、Bの紙には小林さんの「できること」が○×で書いてあり、相手の人物の欄は空いている。「小林さんは漢字を書くことができますか」と聞き合って表を埋め、最後に紙を見せ合って答え合わせ。聞く側が「を」で聞いても、答える側が「はい、できます」と短く答えれば会話は進むので、「が」の誤りは答え合わせのときにまとめて直す。
  3. 産出「できる人さがし」。学生が質問の紙(料理を作る・歌を歌う・車を運転する・ピアノを弾く・100メートル泳ぐ など8項目)を持って教室を歩き、「〜ことができますか」と聞いて、はいと答えた人の名前を書く。最後に「〜さんは〜ことができます。でも、〜ことはできません」とクラスに報告する。教師が見るのは、「が」と「を」、「こと」の落ち、ます形のまま付けていないか。

つまずきと手当て

  • 「を」を使う(×日本語をできます)。「が」を赤で残し、答えるときも「はい、できます」と短く言わせて「が」の位置を忘れさせない
  • 「こと」を落とす(×泳ぐができます)。辞書形→こと→が の3段を板書に残す。逆に名詞に「こと」を付ける(×ピアノのことができます)も出るので、名詞は「が」だけ
  • ます形のまま付ける(×泳ぎますことができます)。辞書形の表を指して直す
  • 「できます」と「上手です」を同じ意味に取る。「できますが、上手じゃありません」の一文で区別させる

既習の文型との違い

  • Nが上手です/下手です(第9課)「上手です」は上手か下手かの評価、「できます」はできるかできないかで、「泳ぐことができますが、上手じゃありません」と並べて言えます。「上手です」は人をほめる言葉なので、自分のことに使うと自慢に聞こえます。自分の能力を言うときは「できます」、人をほめるときは「上手ですね」と、言う相手で分けさせます。
  • Nがわかります(第9課)どちらも対象を「が」で受けますが、「わかります」は聞いたり読んだりして分かること、「できます」は使ったり話したりできることです。「日本語がわかります」と「日本語ができます」は重なる場面もありますが、「漢字がわかります」と言った学習者に「書くことができますか」と聞き返すと、2つの違いが見えてきます。
関連する文型

学習項目 3 N/〈V辞書形〉ことができます(状況可能)

意味・はたらき文型 2

形は文型1と同じですが、人の能力ではなく「その場所・そのやり方で、できる・できない」という状況を言います。「図書館で本を借りることができます」のように、主語は言わず「〜で」「〜から」などの場所や手段が先に立ちます。禁止の「〜てはいけません」(第15課)は「してはだめ」というルール、「〜ことができません」は「ここではできない」という事実の言い方で、後者のほうがやわらかく聞こえます。

接続

〈場所・手段〉で+N+が+できます/〈場所・手段〉で+V辞書形+こと+が+できます

形
〈場所〉でNができます(駅で予約ができます)〈場所〉でV辞書形ことができます(図書館で本を借りることができます)〈場所〉でV辞書形ことができません〈手段〉でV辞書形ことができます(カードで払うことができます)

導入

  • 教室と学校でできることを言う教室を見回して「この教室で たばこを吸うことができますか」と聞き、「できません」を引き出す。「学校の食堂で ご飯を食べることができます」「図書館で 本を借りることができます」と場所を替えて3つ言い、文型1との違いを「わたしは、がない」と板書で示す(主語を消して〜で を頭に置く)。
  • 町の写真で駅の券売機・銀行・コンビニの写真を貼り、「ここで何ができますか」と聞く。「切符を買うことができます」「お金を換えることができます」と出させて、場所の「で」と「が」を板書に残す。

板書案

〈場所〉で + V辞書形 + ことが できます
図書館で 本を 借りることが できます。
この 教室で たばこを 吸うことは できません。
〔赤〕で(場所) 〔青〕「わたしは」に × 印
ことができません(できるかどうか) ⇔ 〜てはいけません(ルール)

場面と発話(自作)

  • 新しく来た留学生に、学校の図書館について教える。図書館で本を2週間借りることができますよ。
  • 店で買い物をしている。現金が少ないので店員に聞く。カードで払うことができますか。
  • 会社の見学に来た人に、案内の人が説明する。ここで写真を撮ることができません。すみません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 場所の絵カード+動作の絵カードを2枚組で見せ、「図書館/本を借ります」→「図書館で本を借りることができます」。○×の印を付けて「できます/できません」も言い分けさせる。練習Cの型: 学生を客と係の人にして「ここで〜ことができますか」→「はい、できます」「いいえ、できません。〜で〜てください」(第14課)と続ける。

  1. 口頭場所のカード(図書館・駅・コンビニ・銀行・郵便局・学校の食堂)と動作のカードを2枚組で出す。「コンビニ・切手を買います」→「コンビニで切手を買うことができます」。○×の印で否定も入れる。次に場所のカードだけを見せて「ここで何ができますか」と聞き、個人に2つずつ言わせる。最後は「カードで」「インターネットで」のように手段のキューも混ぜる。
  2. ペア学校の建物の案内図を2種類用意する。Aの図には部屋ごとにできることが書いてあり、Bの図は部屋の名前だけ。Bが「どこで〜ことができますか」「〜室で何ができますか」と聞き、Aが答えて、Bが図に書き込む。半分終わったら役を替え、別の図で同じことをする。場所の「で」と「に」の取り違えが出たら、その場で図を指して言い直させる。
  3. 産出「わたしの町の案内」。学生が自分の住む町(または国の町)の場所を一つ選び、「〜で〜ことができます」「でも、〜ことはできません」を入れて3文で紹介する。聞く人は「〜で〜ことができますか」と1つ質問する。教師が見るのは、場所の「で」、主語を付けすぎていないか、禁止の意味で「〜ことができません」を使っていないか。

つまずきと手当て

  • 文型1と区別せずに「わたしは」を付ける(「わたしは図書館で本を借りることができます」)。間違いではないが、場所のことを言うときは主語を言わないほうが自然と伝える
  • 場所の助詞を「に」にする(×図書館に本を借りることができます)。動作の場所は「で」(第6課)に戻す
  • 「〜てはいけません」との使い分けで迷う。「ルールを言う→てはいけません」「できるかどうかを言う→ことができません」と2本だけ板書し、どちらも使える場面があると補う

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉はいけません(第15課)「ここで写真を撮ってはいけません」はしてはだめというルールを言う形で、強く聞こえます。「ここで写真を撮ることができません」はその場所ではできないという事実の言い方で、やわらかく聞こえます。学習者は人に注意するときにも「〜ことができません」を使い、聞いた人がルールなのか設備の問題なのか迷うことがあるので、言う目的で2つを分けさせます。
  • 〈Vて形〉もいいですか(第15課)「ここで写真を撮ってもいいですか」は相手に許しをもらう聞き方、「写真を撮ることができますか」はその場所のルールや設備としてできるかどうかを聞く言い方です。店で「カードで払うことができますか」と聞くところを「カードで払ってもいいですか」と聞いても通じますが、相手の許可を求める響きになります。だれに何を聞いているのかを考えさせると区別がつきます。
関連する文型

学習項目 4 趣味はN/〈V辞書形〉ことです

意味・はたらき文型 3

自分の趣味を言う文型です。趣味が名詞で言えるなら「趣味は音楽です」、動作で言うなら辞書形+こと で名詞の形にして「趣味は音楽を聞くことです」と言います。「〜ことです」の「こと」は動詞を名詞に変える働きで、文型1の「〜ことができます」と同じ「こと」です。会話では「趣味は何ですか」と聞かれて答えるのが基本で、「どんな〜ですか」とくわしく聞き返すと会話が続きます。

接続

趣味は+N+です/趣味は+V辞書形+こと+です

形
趣味はNです(趣味は料理です)趣味はV辞書形ことです(趣味は料理を作ることです)趣味は何ですか

導入

  • 教師の趣味を写真で自分の趣味の写真(料理・山・楽器など)を2枚見せ、「わたしの趣味は料理です」と名詞で言ってから、「料理を作ることです」と動詞の形で言い直す。2つを上下に板書し、「こと」を囲む。次に学生に「〜さんの趣味は何ですか」と聞いて回り、出た答えを黒板に N と Vること に分けて書く。
  • 「こと」のつながりを見せる文型1の「泳ぐことができます」を指して「同じ こと」と言い、「泳ぐこと=名詞」と板書。「趣味は泳ぐことです」に置き換えて見せると、「こと」が動詞を名詞に変える働きだと分かる。

板書案

趣味は + N + です
趣味は + V辞書形 + こと + です
わたしの 趣味は 料理です。→ 料理を 作ることです。
〔赤〕こと を四角で囲む 〔青〕「泳ぐこと」= N の等号
聞き返し: どんな〜ですか/いつ〜ますか/どこで〜ますか

場面と発話(自作)

  • クラスの自己紹介で、趣味を聞かれた。趣味は写真を撮ることです。動物の写真が好きです。
  • 会社の人に趣味を聞かれた。名詞で短く答える。趣味は旅行です。去年、北海道へ行きました。
  • 友達の趣味を聞いて、くわしく聞き返す。趣味は何ですか。……へえ、切手を集めることですか。どんな切手を集めますか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 絵カード(映画・ギター・料理・旅行・釣り)で「料理を作ります」→「趣味は料理を作ることです」。名詞だけのキューで「趣味は料理です」も言わせる。練習Cの型: クラス全員に「趣味は何ですか」と聞いて回り、表に書く。答えた人に「どんな〜ですか」「いつ〜ますか」ともう1つ聞くことを条件にする。

  1. 口頭写真のキュー(映画・音楽・写真・料理・旅行・ピアノ)を見せ、まず名詞で「趣味は料理です」、次に教師が「作ります」と動詞を足して「趣味は料理を作ることです」と言い換えさせる。全体 → 個人。次に動詞を言わずに写真だけ出し、学生に合う動詞を選ばせる(音楽→聞く、写真→撮る、料理→作る)。最後に「趣味は何ですか」と個人に聞いて、自分の答えを言わせる。
  2. ペア「趣味インタビュー」。Aが「趣味は何ですか」と聞き、Bが答える。Aは必ず「どんな〜ですか」「いつ〜ますか」「どこで〜ますか」のうち1つを聞き返し、Bが答えたら「へえ、いいですね」で受ける。終わったら役を替え、相手を替えて3人と話す。聞いた答えは手元の表にメモさせ、あとの報告に使う。
  3. 産出「趣味のひとこと紹介」。学生が自分の趣味を「趣味は〜ことです」「〜ことができます」を入れて3文で書き、クラスで発表する。聞く人は1つ質問する。教師が見るのは、「こと」の落ち、「ことをです」のような助詞の混入、「好きです」と混ざっていないか。発表の前に書いた紙を教師が回って見ておくと、誤りを全体の前で直さずに済む。

つまずきと手当て

  • 「こと」を落として「趣味は料理を作ります」と言う。主語「趣味は」の文は「です」で終わると板書し、動詞を名詞に変えるのが「こと」だと再確認する
  • 「趣味は〜ことがです」「〜ことをです」と助詞を入れる。「ことです」は助詞なしと示す
  • 「趣味は料理です」と「趣味は料理を作ることです」を別の意味だと思う。どちらも正しく、動詞を入れると「見る」のか「作る」のかがはっきりする、と説明する

既習の文型との違い

  • Nが好きです/嫌いです(第9課)「音楽が好きです」は気持ちを言う文、「趣味は音楽を聞くことです」は自分がよくする活動を紹介する文です。学習者は2つを1文にして「*趣味は音楽が好きです」と言いがちです。「趣味は」で始めたら「〜です」で終える、好きなものを言うなら「音楽が好きです」と、文の頭で形が決まることを見せます。
  • N/〈V辞書形〉ことができます(能力)(この課の文型1)「泳ぐことができます」の「こと」と「趣味は泳ぐことです」の「こと」は同じ働きで、動詞を名詞にします。文型1で「こと」の入った形に慣れていれば、文型3では「が+できます」を「です」に替えるだけで済みます。「こと」を落とす誤りは両方の文型で同じように出るので、同じ箱の板書で直します。
関連する文型

学習項目 5 〈V辞書形〉/Nの/〈期間〉まえに、〜

意味・はたらき文型 4

「〜まえに」のあとの動作が先に起こることを言います。動詞は辞書形で、主文(あとの文)が過去でも「まえに」の前は辞書形のまま変わりません(「日本へ来るまえに、日本語を勉強しました」)。名詞には「の」を付け(食事のまえに)、期間(1時間・3日・2年)には「の」を付けずに「3年まえに」とします。期間に付くときは「〜前のことだ」という意味で、動作の順序ではなく「いつ」を言う使い方です。第16課の「〜てから」は先にする動作を前に言う形で、「まえに」はあとにする動作を前に言う形です。

接続

V辞書形+まえに、/N+の+まえに、/〈期間〉+まえに、(「の」なし)

形
V辞書形まえに、〜(出かけるまえに、窓を閉めます)Nのまえに、〜(食事のまえに、お祈りします)〈期間〉まえに、〜(3年まえに、日本へ来ました)

導入

  • 絵カード2枚で順序を言う「窓を閉める」「出かける」の絵を左右に並べ、「どちらが先ですか」と聞く。学生が「窓」と答えたら、先の動作に①、あとの動作に②を書き、「出かけるまえに、窓を閉めます」と②→①の順で言う。学生は「①→②で言いたい」ので、「まえに」の前に来るのは②(あとの動作)だと矢印で見せる。
  • 3つの接続を1枚の表に「寝る まえに」「食事 の まえに」「3年 まえに」を縦に並べ、動詞は辞書形・名詞は の・期間は何も付けない、と色を変えて板書。最後に「日本へ来るまえに、日本語を勉強しました」を書き、主文が「ました」でも「来る」が変わらないことを指で押さえる。

板書案

V辞書形 + まえに、〜
N + の + まえに、〜 / 〈期間〉+ まえに、〜
出かけるまえに、窓を 閉めます。(① 窓を閉める → ② 出かける)
日本へ 来るまえに、日本語を 勉強しました。(来る は そのまま)
〔赤〕辞書形・の 〔青〕①②の番号と時間の矢印

場面と発話(自作)

  • 健康のために、毎日していることを友達に話す。寝るまえに、少し本を読みます。
  • 日本に来た時期を聞かれた。2年まえに、日本へ来ました。来るまえに、国で日本語を少し勉強しました。
  • 会議の準備をしている。始まるまで少し時間があるので、同僚を誘う。会議のまえに、コーヒーを飲みませんか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

練習Bの型: 絵カード2枚(②あとの動作・①先の動作)を見せ、「出かけます/窓を閉めます」→「出かけるまえに、窓を閉めます」。名詞のキュー(食事・会議・旅行)と期間のキュー(1時間・3日・2年)も混ぜて、「の」の有無を言い分けさせる。練習Cの型: 「日本へ来るまえに、何をしましたか」「寝るまえに、いつも何をしますか」をペアで聞き合い、相手の答えを報告する。

  1. 口頭絵カードを2枚並べ、先の動作に①、あとの動作に②を付けて出す(出かけます/窓を閉めます、食べます/手を洗います、寝ます/歯をみがきます)。教師が②→①の順に指して「出かける・まえに」と言い、学生が「出かけるまえに、窓を閉めます」。次に名詞のキュー(食事・会議・授業)と期間のキュー(2年・3日・1時間)を混ぜ、「の」の有無を言い分けさせる。最後は主文を過去にしたキューで、辞書形が変わらないことを確かめる。
  2. ペア「どっちが先?」。2枚組の絵カードの裏に①②が書いてある。Aがカードを並べて見せ、Bが「〜まえに、〜」で言う。Aは裏を見て順序が合っているか確かめ、合っていなければ「いいえ、〜が先です」と返す。5組で交替。次に相手に「寝るまえに、いつも何をしますか」「日本へ来るまえに、何をしましたか」と聞き合い、答えをメモする。
  3. 産出「日本に来るまえの話」。学生が「日本へ来るまえに」「〜年まえに」を使って、自分のことを3文で話す(日本にいないクラスなら「この学校へ来るまえに」)。聞く人は「〜まえに、何をしましたか」と1つ質問する。教師が見るのは、「来たまえに」のように過去にしていないか、名詞・期間の「の」の有無、順序が逆になっていないか。

つまずきと手当て

  • 主文に合わせて過去にする(×来たまえに、勉強しました)。「まえに」の前はいつも辞書形と、表の「来る」を指して直す。「〜たあとで」(第34課)との対で覚えると崩れにくい
  • 動詞に「の」を付ける(×寝るのまえに)、期間に「の」を付ける(×3年のまえに)。接続の表で「の」が要るのは名詞だけと示す
  • 順序を逆に言う(「窓を閉めるまえに、出かけます」)。絵カードの①②を使い、「まえに」の前が②(あとの動作)であることを毎回確かめる
  • 「3年まえに」を「3年のあいだ」と取り違える。期間+まえに は「いつ」を言う形で、「今から3年前のとき」と時間の線で示す

既習の文型との違い

  • 〈V1 て形〉から、V2(第16課)同じ順序を、「〜てから」は先の動作を前に、「〜まえに」はあとの動作を前に置いて言います。「窓を閉めてから、出かけます」と「出かけるまえに、窓を閉めます」は同じ出来事です。学習者は「まえに」の前に先の動作を置いて、「窓を閉めるまえに、出かけます」と順序を逆にしがちなので、①②の絵カードで2つの文を並べて確かめます。
  • 〈期間〉Vます(第11課)「2年 日本語を勉強しました」は続いた長さ、「2年まえに 日本へ来ました」はいつのことかを言います。期間の語は同じでも「まえに」が付くと時間の線の上の一点になります。「2年まえに、日本語を勉強しました」と「2年、日本語を勉強しました」の意味の違いを、時間の線を板書して見せます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、趣味と能力を言うための動詞(弾きます・歌います・集めます・運転します)と、会話に出る相づち(へえ)と副詞(なかなか・ぜひ)が中心です。動詞は ます形と辞書形を1組にして絵カードで出し、「〜ことができます」「趣味は〜ことです」の材料にそのまま使います。「課長・部長・社長」は会社で働く学習者が多ければ自分の会社の人で言わせ、「特に・ぜひ」は会話の練習で使う場面を作って定着させます。

この課の練習で使う語(10語・意味・連語・例文)

  • 弾きます(ひきます) ピアノやギターなどで、音楽を出します。 ピアノを〜・ギターを〜
    クラスで、楽器ができる人をさがしている。
    「ピアノを弾くことができますか。」「はい、少しできます。」
  • 歌います(うたいます) 声で歌を出します。 歌を〜・日本の歌を〜・いっしょに〜
    友達と趣味の話をしている。
    「趣味は日本の歌を歌うことです。」
  • 集めます(あつめます) 同じ種類の物を、たくさん自分のところに置きます。 切手を〜・写真を〜
    会社の人に趣味を聞かれた。
    「趣味は古い切手を集めることです。」
  • 運転します(うんてんします) 車やバスなどを動かします。 車を〜・バスを〜
    週末に遠くへ行く相談。友達に聞く。
    「小林さんは車を運転することができますか。」
  • 予約します(よやくします) 店やホテルなどに、前に場所や時間を取っておきます。 ホテルを〜・レストランを〜・電話で〜
    旅行の準備。ホテルの人に電話で聞く。
    「インターネットで予約することができますか。」
  • 換えます(かえます) お金をほかの国のお金にします。 お金を〜・ドルを円に〜
    空港で、お金を換える場所を教える。
    「あの銀行でお金を換えることができますよ。」
  • 洗います(あらいます) 水などで、汚れを取ります。 手を〜・服を〜・車を〜
    子どもに、食事の前のことを言う。
    「食べるまえに、手を洗いましょう。」
  • 捨てます(すてます) いらない物を、ごみにします。 ごみを〜・ここに〜
    公園の案内の人が、ごみについて言う。
    「この公園で、ごみを捨てることはできません。」
  • 趣味(しゅみ) 仕事ではなく、休みの時間に楽しくすることです。 〜は何ですか・わたしの〜
    初めて会った人と話している。
    「趣味は何ですか。」「古い切手を集めることです。」
  • 日記(にっき) その日にしたことや思ったことを、毎日書く物です。 〜を書きます・毎日〜
    日本語の勉強の方法を友達に話す。
    「毎日、日本語で日記を書いています。」

会話の扱い

相手の趣味を聞き、「どんな〜ですか」とくわしく聞いて、相づち(へえ・それはおもしろいですね)で感心し、その趣味に関係する誘いにつなげる会話です。文型3(趣味は〜ことです)と文型1(〜ことができます)がこの流れの中で自然に出るので、最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、役割を替えて2回読んだら、趣味の部分を学生の本当の趣味に置き換えて再現させます。「ぜひ」は誘いを受けるときの言い方として、「なかなか」は会話では否定とセットになりやすいことを一言添えます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

宿題は問題の文法部分と、「わたしの趣味」を3文(趣味は〜ことです/〜ことができます/〜まえに〜)で書くこと。次のコマの最初に辞書形のカードテスト(10語)をしてから宿題の作文を発表させ、第19課の た形(辞書形と同じグループ分け・て形と同じ音の変化)につなぐ。

よくある質問

  • 第18課の辞書形はどう導入すればいいですか?

    て形(第14課)のときに作ったグループI・II・IIIの列をそのまま使い、「グループは同じ、変え方が新しい」と言って入ります。グループIはあいうえお表の上で い段→う段 に指でなぞって見せ、IIは「ます→る」、IIIは「する・来る」の2語を読みごと覚えさせます。作り方には15〜25分だけかけ、すぐ「〜ことができます」の枠に入れて、文の中で辞書形を何度も言わせるほうが定着します。

  • 「〜ことができます」と「上手です」の違いはどう教えますか?

    「できます」はできるかできないか、「上手です」は上手か下手かの評価だと板書で分けます。教師が「泳ぐことができますが、上手じゃありません」と自分のこととして言うと、2つが別のものだと伝わります。「上手です」は人をほめる言葉なので、自分のことには「できます」を使うと添えておくと、自己紹介での不自然さも防げます。

  • 「〜まえに」の前の動詞は、文が過去でもなぜ辞書形なのですか?

    「まえに」の前の動詞は、話している今ではなく、あとの文の出来事から見て「まだ起きていない」ことを表すので、辞書形のままです。文法用語では相対テンスと呼ばれる見方です。初級の教室では理屈より「まえに の前はいつも辞書形」と言い切り、「日本へ来るまえに、勉強しました」を一文覚えさせると崩れません。第34課の「〜たあとで」と対にすると、た形との使い分けも見えてきます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と辞書形の作り方、文型1(能力)と文型2(状況可能)まで。2コマ目は文型3(趣味)と文型4(〜まえに)、会話、練習Cと問題です。辞書形の定着が弱いクラスでは、2コマ目の頭にカードテストを5分入れると、文型4で崩れにくくなります。

  • 能力の「できます」と状況可能の「できます」は分けて教えるべきですか?

    形は同じなので、同じ板書の枠を使い、意味の違いだけを分けて見せます。能力は「わたしは」「〜さんは」と人が主語、状況可能は「図書館で」「カードで」のように場所や手段が頭に来る、と主語の有無で区別させます。学習者に用語は要りませんが、練習のキューを人の絵と場所の絵で分けておくと、自然に使い分けられます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。