日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅱ 第27課「何でも作れるんですね」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「何でも作れるんですね」

動詞の可能形が初めて出る課です。第18課の「〜ことができます」で言っていた「できる・できない」を、一つの動詞の形で言えるようになり、「見えます・聞こえます」で目や耳に自然に入ってくることを、「〜ができます」で店や建物が新しくできることを言い分けます。あわせて「〜しか〜ません」で「それだけで足りない」という気持ちを、「〜は〜ますが、〜は〜ません」で二つを対比する言い方を扱います。可能形の作り方は最初の15分で片づけ、「を」が「が」に変わることを文型1で何度も口にさせるのがこの課の芯です。「見える」と「見られる」、三つの「できます」の区別は、この課で一度きちんと線を引いておくと、あとの課で崩れません。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目6時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 動詞を可能形に変え、「漢字が読めます」のように自分ができること・できないことを一語の動詞で言える
  • 「海が見えます」「声が聞こえます」で、見ようとしなくても目や耳に入ってくることを言える
  • 「公園の前に店ができました」で、物や場所が新しくできたことを言える
  • 「ひらがなしか書けません」で「それだけで足りない」と言い、「肉は食べますが、魚は食べません」で二つを対比して言える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習とつなぎ)10分第18課の「〜ことができます」を絵カードで数枚回し、「泳ぐことができます」を「泳げます」と短く言い直して見せる。「同じ意味、短い形」とだけ言って、辞書形のグループ分けの板書を復活させる
可能形の作り方15分グループI→II→IIIの順に板書し、ます形→可能形の口頭練習。可能形はグループIIの動詞として活用することまで一気に確かめ、「〜ません」「〜ませんでした」まで言わせる
文型1(Nが可能V)40分教師ができること・できないことを実演して「日本語が話せます」「ピアノが弾けません」。板書で「を」を消して「が」を書き、ほかの助詞は変わらないことを並べて示す。学生同士の「〜が〜ますか」のやり取りまで
文型2(Nが見えます/聞こえます)25分窓の外と教室の外の音で「山が見えます」「車の音が聞こえます」。「見られます」との違いは、見ようとするかどうか、で一本だけ線を引く。1コマ目はここまで
文型3(Nができます)20分2コマ目の最初に可能形のカードテスト(5分)をしてから入る。新しくできた店の写真や地図で「パン屋ができました」。第18課の「できます」、文型1の「します→できます」と並べて三つの意味を板書に整理する
文型4・5(〜しか〜ません/〜は〜ますが、〜は〜ません)35分財布の中身・できる料理の数で「〜しか〜ません」。「だけ」との違いは気持ちの違いとして見せる。文型5は文型1の答えを二つ並べて「〜は〜ますが、〜は〜ません」に組み替える
会話・練習C・問題35分会話は手作りの物を見て感心する流れで、「可能形+んですね」が第26課とのつなぎになる。練習Cは「できますか」「見えますか」「しか」の三つの場面。問題は聞き取りを教室で、残りは宿題に

学習項目 1 可能形の作り方

意味・はたらき活用

「書きます→書けます」「食べます→食べられます」のように、動詞を「できる」という意味の形に変えたものを可能形と呼びます。第18課の「〜ことができます」と同じ意味で、一つの動詞で言えるぶん、会話では可能形のほうがよく使われます。作り方は て形・ない形・辞書形と同じ三つのグループで決まり、グループI は ます の前の音を い段 から え段 に変えて る を付け、グループII は ます を られる に替え、グループIII は「します→できる」「来ます→来られる」の二つを覚えます。できた可能形はすべてグループII の動詞なので、ます形・ない形・て形・た形はグループII の作り方で作れます。

接続

ます形 → 可能形(グループI: い段→え段+る/グループII: ます→られる/グループIII: できる・来られる)。可能形はグループII として活用する(書ける→書けます・書けない・書けて・書けた)

形
グループI: 書きます→書ける、泳ぎます→泳げる、話します→話せる、待ちます→待てる、遊びます→遊べる、読みます→読める、帰ります→帰れる、買います→買う→買えるグループII: 食べます→食べられる、見ます→見られる、起きます→起きられる、覚えます→覚えられる、教えます→教えられるグループIII: します→できる、来ます→来られる(こられる)、運転します→運転できる、勉強します→勉強できる可能形の活用(グループII): 読める→読めます/読めません/読めない/読めて/読めた

導入

  • 「〜ことができます」を短くして見せる第18課の絵カードで「泳ぐことができます」と言わせたあと、教師が「泳げます」と言い直し、板書に「泳ぐことができます = 泳げます」と書く。学生が「同じ意味」と分かったところで、辞書形の板書の横に「泳ぎます→泳げる」を書き、ます の前の「ぎ」が「げ」に変わっていることを色チョークで囲む。あいうえお表を貼って「き→け」「し→せ」「み→め」と指でなぞると、い段→え段の規則が目で分かる。
  • 板書の形と、グループII としての活用黒板を三列にして、左から I「き・ぎ・し・ち・び・み・り・い」→「け・げ・せ・て・べ・め・れ・え」+る、II「ます→られる」、III「する→できる/来る→来られる」。その下に「読める」を置いて「読めます・読めません・読めない・読めて・読めた」と、グループII の活用を一度だけ通す。可能形を作ったら「食べる」と同じ仲間になる、と言葉でも言っておく。板書は課の終わりまで消さない。

板書案

可能形:ます形 → 可能形
I かきます → かける  よみます → よめる(い段 → え段 + る)
II たべます → たべられる  みます → みられる(ます → られる)
III します → できる  きます → こられる
〔赤〕い段→え段 の矢印 〔青〕可能形は II グループ:かける → かけます/かけません/かけない/かけて

場面と発話(自作)

  • ます形→可能形の口頭練習。教師が絵カードを見せて「書きます」と言う。書ける。
  • グループII の確認。教師が「起きます」と言う。起きられる。
  • グループIII の確認。教師が「来ます」と言い、「来られる」の読みに注意させる。来られる(こられる)。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カード20枚を速いテンポで「ます形→可能形」。I・II・III を混ぜて出し、間違えたカードだけ戻してもう一度。次に「可能形→可能形のます形(読める→読めます)」を1周して、文型1で「〜が読めますか」「はい、読めます」と答えるときに崩れないようにする。

  1. 口頭動詞カードの表にます形、裏に可能形を書いておく。教師が「書きます」「飲みます」「泳ぎます」「待ちます」とグループIだけを読み上げ、全員で「書ける」「飲める」と返す。次に「食べます」「起きます」「見ます」のグループIIだけ、「します」「来ます」「運転します」のグループIIIだけを回し、最後に三つを混ぜる。返せたら同じカードで「書けます」「書けません」と、可能形のます形まで続けて言わせる。
  2. ペアカードの束を二人に一つ渡し、一人がます形を読み、相手が可能形と、その「〜ません」の形を言う(「泳ぎます」→「泳げる、泳げません」)。言えたらカードをもらい、言えなかったら束の下に戻す。10枚で役を交替。2回目は読む側が辞書形(「泳ぐ」)で出し、ます形を経ずに可能形に変えさせる。
  3. 産出「可能形ビンゴ」。学生は3×3のマスに、知っている動詞をます形で9つ書く。順番に一人ずつ、自分の選んだ動詞を可能形で言い(「乗れる」)、ほかの学生はそのます形(「乗ります」)がマスにあれば消す。言う側が可能形を作るので、全員が一度は作る側に立つ。教師が見るのは、グループIで「られる」を付けていないか、「来られる」「できる」が正しく出るか、「ら」を落とした形を言っていないか。

つまずきと手当て

  • グループI を「ます→られる」で作る(*書きられる、*読みられる)。て形・辞書形と同じく、グループI は音が変わる、と い段→え段 の表を指して確かめる
  • グループII の「られる」の「ら」を落として「食べれる」「見れる」と言う。日本人の会話で多く聞くので学生も口にするが、教科書と試験の形は「食べられる」。「ら」を書いた札を「食べ」と「れる」の間にはさんで見せ、正しい形を先に体に入れる
  • 可能形をさらに可能形にする(*書けられる)。「書ける」で もうグループII の動詞、と板書の下段を指す。「来れる」と言うのは前の項の「ら」を落とす形と同じなので、そちらの手当てで直す
  • 「分かります」「あります」を可能形にしようとして「分かれます」と言う。「分かれます」は別の意味の動詞なので通じない。「わかる」「ある」「見える」のように、自分の意志でする動作ではない動詞は可能形を作らない、と一言で止め、深入りしない

既習の文型との違い

  • 辞書形の作り方(第18課)辞書形も可能形も、ます形のグループで作り方が決まるところは同じです。違うのはグループIの音で、辞書形は「う段」(書く)、可能形は「え段+る」(書ける)になります。二つを混ぜて「*書くれる」と言う学習者がいるので、第18課の板書の列の横に可能形の列を足し、同じ動詞を横に読ませます。
  • て形の作り方(第14課)て形はグループIの中で音便の型が四つに分かれましたが、可能形はい段をえ段に替えるだけで、型の数はありません。て形が苦手だった学生ほど可能形は易しく感じるので、「今日は型がない」と先に言っておくと練習の速度が上がります。ただし可能形のて形(書けて)はグループIIの形で作るので、「*書けって」と言わないよう一度確かめます。
関連する文型

学習項目 2 Nが可能V

意味・はたらき文型 1

「日本語が話せます」「漢字が読めません」のように、可能形で「できる・できない」を言う文型です。意味は第18課の「〜ことができます」と同じで、生まれつきや練習で身についた能力(泳げます)と、その場の状況で可能かどうか(この店でカードが使えます)の両方に使います。いちばん大事なのは助詞で、もとの文で「を」だった名詞は、可能形の文では「が」になります(漢字を読みます→漢字が読めます)。「に」「で」「へ」「と」などほかの助詞は変わりません。

接続

N+が+可能V(もとの文の「を」→「が」。ほかの助詞は変わらない)。主語は「わたしは」のように は で示す

形
わたしは日本語が話せます漢字が読めますか——はい、少し読めます/いいえ、読めません一人で駅へ行けます(「へ」は変わらない)ここで写真が撮れます(状況の可能)

導入

  • 教師の「できる・できない」を実演から教師が黒板に自分の国の文字や難しい漢字を書いて「読めます」、ピアノを弾く身ぶりをして首を振り「弾けません」。板書に「漢字を読みます」と書いてから、「を」を消して「が」を書き、「読みます」を「読めます」に直す。消した「を」と書いた「が」を色チョークで囲み、「可能形のとき、を は が」と大きく書く。次に「一人で駅へ行きます→一人で駅へ行けます」を並べて、「へ」が変わらないことを同じ色で示す。
  • 学生に聞いて回る絵カード(泳ぐ・自転車に乗る・料理を作る・歌を歌う)を見せて「〜が〜ますか」と学生一人ずつに聞き、「はい、〜ます」「いいえ、〜ません」で答えさせる。「できます」「できません」で逃げないように、必ず動詞の可能形で返す、と最初に言っておく。答えを黒板に「(名前)さん: 泳げます/料理が作れません」と書きためると、文型5の材料になる。

板書案

N + が + 可能V
漢字を 読みます → 漢字が 読めます。
一人で 駅へ 行きます → 一人で 駅へ 行けます。
〔赤〕を を消して が(色で囲む) 〔青〕へ・に・で は そのまま
泳ぐことが できます = 泳げます(同じ意味・短い形)

場面と発話(自作)

  • 日本人の友達に、日本語の勉強の様子を聞かれた。ひらがなとカタカナは分かるが、漢字はまだ難しい。ひらがなとカタカナが読めます。でも、漢字はまだ読めません。
  • 週末にみんなで泳ぎに行く話が出た。自分は泳ぐのが得意だと伝える。わたしは泳げますよ。
  • 会社の近くの店でカードが使えるかどうか、同僚に聞く。あの店でカードが使えますか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カードで「漢字を読みます→漢字が読めます」の言い換え(練習Bの型)を、「を」の付く動詞を中心に10枚。次に「〜が〜ますか」「はい/いいえ」の問答をペアで回し、最後に「わたしができること・できないこと」を三つずつ言い合うやり取り(練習Cの型)にする。助詞を言い落としたら、板書の「を→が」を指して言い直させる。

  1. 口頭絵カードと語のキューで言い換え。「漢字・読みます」→「漢字が読めます」、「ピアノ・弾きます」→「ピアノが弾けます」、「自転車・乗ります」→「自転車に乗れます」(に が残る)、「一人で・駅・行きます」→「一人で駅へ行けます」。「を」の付く語と「に」「へ」の付く語を交互に出すと、変わる助詞と変わらない助詞の区別が口に入る。次にカードに×を付けて「〜が〜ません」、最後に教師が「漢字が読めますか」と聞いて個人で答えさせる。
  2. ペア情報差の表で。Aには田中さんの、Bには山本さんの「できること○×表」(泳ぐ・料理を作る・車を運転する・ギターを弾く・漢字を書く)を渡し、相手の表の人について「田中さんは車が運転できますか」と聞き合って空欄を埋める。全部埋まったら表を見せ合って答え合わせをし、表を交換してもう一回。
  3. 産出「できる人さがし」。8つの「できること」を並べた用紙を持って教室を歩き、「〜が〜ますか」と聞いて「はい」と言った人の名前を書く。終わったら一人ずつ「(名前)さんはギターが弾けます。でも、(名前)さんは〜が〜ません」と報告する。教師が見るのは、「を」を「が」に替えているか、「に」「へ」を残しているか、「〜ことができます」と重ねていないか、「できます」だけで済ませていないか。

つまずきと手当て

  • 「を」のまま可能形を使う(漢字を読めます)。日本人の会話では「を」も聞くが、この課で練習する形は「が」。板書の「を→が」に毎回戻し、自分で助詞を言い直させる
  • 「へ」「に」「で」まで「が」に変えてしまう(*駅が行けます、*ここが写真が撮れます)。変わるのは「を」だけ、と「一人で駅へ行けます」を板書に残しておく
  • 「〜ことができます」と可能形を重ねる(*泳げることができます)。意味が同じ二つの形だと最初に板書しているので、「どちらか一つ」と指す
  • 「できます」で全部済ませる(「日本語ができます」は正しいが、「日本語が話せます」「書けます」を避けてしまう)。文型練習の間は可能形の動詞で答える、と約束しておく

既習の文型との違い

  • N/〈V辞書形〉ことができます(能力)(第18課)意味はほぼ同じで、可能形は一つの動詞で言える短い形、「〜ことができます」は少し改まった形です。会話では可能形のほうがよく使われます。二つを重ねた「*泳げることができます」が出やすいので、板書で「=」を引いて、どちらか一つと見せます。
  • Nがわかります(第9課)「分かります」「あります」はもともと「が」を取る動詞で、自分の意志でする動作ではないので、可能形を作りません。可能形の練習の勢いで「分かれます」と言う学生には、「わかる・ある・見える」のような意志で行わない動詞はそのままの形で使う、と第9課の文を一つ見せて止めます。
関連する文型

学習項目 3 Nが見えます/聞こえます

意味・はたらき文型 2

「窓から海が見えます」「隣の部屋から声が聞こえます」のように、見ようとしなくても目に入る、聞こうとしなくても耳に入る、ということを言う文型です。「見えます」「聞こえます」は可能形ではなく、それ自体が一つの動詞で、目や耳に入ってくるものを「が」で示します。可能形の「見られます」「聞けます」は、テレビで試合が見られます、ラジオで音楽が聞けます、のように、見よう・聞こうと思えば(その場所や道具があるから)できる、という意味で、ここに違いがあります。

接続

N(見えるもの・聞こえるもの)+が+見えます/聞こえます(「〜から」「〜で」で場所を添えることが多い)

形
窓から山が見えます隣の部屋から声が聞こえますここから富士山が見えますか——いいえ、見えません見えます(自然に目に入る)⇔ 見られます(見ようと思えばできる)

導入

  • 窓の外と外の音で教室の窓から見えるものを学生に言わせ(ビル・山・木・車)、教師が「ここから〜が見えます」と言う。次に少しの間静かにして、外の音(車・鳥・隣の教室の声)に耳をすませ、「〜が聞こえます」。板書は「〜から N が 見えます/聞こえます」の枠。目と耳の絵を枠の横に描いて、「見ようとしなくても、見える」と矢印で示す。
  • 「見られます」との違いを一つの例でテレビの絵を見せて「うちでサッカーの試合が見られます」、次に窓を指して「ここから山が見えます」と並べ、板書に「見られます=見たいとき、見ることができる」「見えます=自然に目に入る」と二行で書く。目をつぶっても聞こえてくる音、で「聞こえます」側も同じように示す。細かい区別には入らず、この二行で止める。

板書案

〈場所〉から N が 見えます/聞こえます
窓から 山が 見えます。
外から 車の 音が 聞こえます。
〔目の絵〕見えます=自然に目に入る ⇔ 見られます=見たいとき、見ることができる
〔赤〕が 〔青〕から(場所)

場面と発話(自作)

  • 新しいアパートの部屋を友達に見せている。窓を開けて外を指す。ここから海が見えますよ。
  • 夜、部屋で勉強しているが、隣の部屋のテレビの音が気になる。管理人に相談する。隣の部屋からテレビの音が聞こえますから、勉強できません。
  • 電話の相手の声が小さい。もう一度言ってもらう。すみません、よく聞こえません。もう一度お願いします。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

風景や部屋の絵カードで「〜から〜が見えます」「〜が聞こえます」の代入練習(練習Bの型)。次に「ここから何が見えますか」「何が聞こえますか」をペアで聞き合い、最後に自分の部屋や国の家から見えるもの・聞こえるものを紹介し合う(練習Cの型)。「見られます」との言い分けは、テレビ・映画のカードを混ぜて一度だけ確かめる。

  1. 口頭窓の外と絵カードでキューを出す。窓を指して「山」→「山が見えます」、海の絵に×を付けて「海」→「海は見えません」、目をつぶって外の音に耳をすませ「鳥の声」→「鳥の声が聞こえます」。教師が小さい声で話して「聞こえますか」と聞き、「よく聞こえません」と返す練習も入れる。最後に「テレビ・サッカーの試合」のカードを一枚混ぜて「見られます」と言い分けさせる。
  2. ペア二枚の部屋の絵を使う。Aの部屋は窓から海と山が見え、波の音が聞こえる。Bの部屋は駅の前で、電車と人の声が聞こえる。相手の絵を見ないで「その部屋の窓から何が見えますか」「何が聞こえますか」と聞き合い、自分のノートに相手の部屋を簡単に描く。描けたら絵を見せ合い、「どちらの部屋に住みたいですか」で一言ずつ理由を言う。
  3. 産出「わたしの窓から」。自分の部屋か国の家の窓から見えるもの・聞こえるものを三つ選び、「わたしの部屋から〜が見えます。夜は〜が聞こえます」のように3文で紹介する。聞き手は「それはどこですか」と一つ質問する。教師が見るのは、「を」を使っていないか、「見られます」と言っていないか、場所を「から」で言えているか。

つまずきと手当て

  • 「を」を使う(*山を見えます)。「見えます」は「山が」のように、見えるものが「が」で来る、と板書の枠を指す
  • 窓を開けたら山が目に入る場面で、「山が見られます」「鳥の声が聞けます」と可能形で言う。文としては作れるが、意味が「見ようと思えば見ることができる」になってしまう。自然に目や耳に入るときは「見えます」「聞こえます」、と二行の板書に戻す
  • 「聞こえます」を「聞けます」や「聞きます」と混ぜる。「聞きます」は自分から聞く動作、「聞こえます」は耳に入ってくる、と耳の絵と矢印で示す
  • 「見えません」を「見ることが禁止されている」の意味に取る。「見えません」は目に入らないだけで、禁止は第15課の「〜てはいけません」、と分けて言う

既習の文型との違い

  • Nが可能V(この課の文型1)「見られます」「聞けます」は「見よう・聞こうと思えばできる」で、映画館で映画が見られます、ラジオで音楽が聞けます、のように道具や場所があるから可能、という意味です。「見えます」「聞こえます」は見ようとしなくても入ってくる、という意味で、ここが境目です。迷う学生には「目をつぶっても聞こえる?」と聞いて、意志が要るかどうかで選ばせます。
  • Nを見ます/聞きます(初級Ⅰ)「見ます」「聞きます」は自分からする動作で、見るものに「を」が付きます。「見えます」「聞こえます」は入ってくるものが「が」で来ます。「音楽を聞きます」と「音楽が聞こえます」を並べ、人が主語か、音が主語か、で板書を分けます。
関連する文型

学習項目 4 Nができます

意味・はたらき文型 3

「公園の前に新しいパン屋ができました」のように、建物や店、道などが新しく作られて生まれる、ということを言う「できます」です。「友達ができました」のように人との関係が生まれるときや、「晩ご飯ができました」のように準備が終わるときにも使います。第18課の「日本語ができます」(能力)、文型1の「します→できます」(可能形)と同じ形なので、この課では「新しく生まれる・出来上がる」という三つ目の意味を切り分けて、場所を「に」で示すことを押さえます。

接続

〈場所〉に+N+ができます/できました(新しくできたものが「が」、場所が「に」)

形
公園の前に新しいパン屋ができましたうちの近くに大きい道ができます日本で友達ができました晩ご飯ができましたよ

導入

  • 町の変化を写真や地図で学校の近くの地図を板書し、新しくできた店やビルの場所に絵を貼って「ここに新しい店ができました」。来年できる予定のものがあれば「来年ここに駅ができます」と未来の形も出す。板書は「〈場所〉に N が できます」の枠で、「に」を色チョークで囲む。学生の国や町で最近できたものを聞くと、自然に「〜に〜ができました」が出る。
  • 三つの「できます」を一枚の板書に「日本語ができます(第18課)」「運転できます(しますの可能形)」「パン屋ができました(新しく生まれる)」の三つを並べて書き、それぞれに短く意味を添える。形は同じで意味が違う、と見せるだけにして、どれも「が」を取ることだけ共通点として囲む。

板書案

〈場所〉に N が できます/できました
公園の 前に 新しい パン屋が できました。
来年 ここに 病院が できます。
三つの できます:日本語が できます(第18課)/運転できます(可能形)/店が できました(新しく生まれる)
〔赤〕に(場所) 〔青〕が(できたもの)

場面と発話(自作)

  • 久しぶりに会った友達に、自分の町の変化を教える。うちの近くに新しい病院ができましたよ。
  • 日本へ来て三か月。家族に電話で近況を話す。学校で友達がたくさんできました。
  • 台所で料理を作り終え、部屋にいる家族を呼ぶ。ご飯ができましたよ。食べましょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

地図と建物の絵カードで「〈場所〉に〜ができました」の代入練習(練習Bの型)。次に「あなたの町に最近何ができましたか」を聞き合い、「友達ができました」「ご飯ができました」も加えて短い会話にする(練習Cの型)。三つの「できます」は、文を聞いてどの意味かを指で示す聞き分けを一度だけ入れる。

  1. 口頭町の地図を「5年前」と「今」の2枚で見せ、違うところを指してキューを出す。「公園の前・パン屋」→「公園の前にパン屋ができました」、「学校の隣・公園」→「学校の隣に公園ができました」、「来年・ここ・病院」→「来年ここに病院ができます」。次に地図を離れて「日本・友達」→「日本で友達ができました」、台所の絵で「ご飯」→「ご飯ができましたよ」と、三つ目の意味の広がりを一回ずつ言わせる。
  2. ペアAは「5年前」の地図、Bは「今」の地図を持つ。Aが「公園の前に何がありますか」と聞き、Bが今の地図を見て「新しいパン屋があります」と答え、「5年前は何がありましたか」と聞き返す。違いを三つ見つけたら、二人で「公園の前にパン屋ができました」の形で言い直してノートに書く。地図を替えて役を交替。
  3. 産出「わたしの町ニュース」。自分の町や学校のまわりで最近できたもの、これからできるものを2〜3文で発表する(「わたしの町に新しい駅ができました。とても便利です」)。聞き手は「いつできましたか」と一つ聞く。教師が見るのは、場所を「に」で言えているか、「作りました」と混ぜていないか、「できました」と「あります」を使い分けているか。

つまずきと手当て

  • 場所を「で」で言う(駅の前で店ができました)。「できる」は動作ではなく「そこに生まれる」ことなので、存在の文(第10課)と同じ「に」が自然、と板書で囲む
  • 「作りました」と混ぜる(「わたしが店をできました」)。だれかが作った、なら「作ります」、できたという結果だけなら「できます」で、主語は物、と二つの文を並べる
  • 「友達ができました」を「友達が上手です」のような能力の意味に取る。三つの「できます」の板書に戻って、どの意味かを指させる

既習の文型との違い

  • 〈場所〉にN(物)があります(第10課)どちらも場所を「に」で言い、物を「が」で言う同じ枠です。「あります」は今そこにある状態、「できました」は前はなかったものが生まれた変化を言います。新しい店を紹介するのに「あります」だけで終わる学生には、「5年前は?」と聞いて変化の言い方に誘導します。
  • N/〈V辞書形〉ことができます(能力)(第18課)「日本語ができます」は人の能力で、主語は人です。この課の「店ができました」は物が生まれることで、主語は物です。形が同じなので、板書の三つの「できます」の列を指し、「だれが? 何が?」と主語を言わせて区別させます。
関連する文型

学習項目 5 NしかVません

意味・はたらき文型 4

「ひらがなしか書けません」「千円しかありません」のように、「それだけ」と限って言う文型で、必ず文末が否定になります。意味は「それ以外はない」ですが、「それだけでは少ない・足りない」という話し手の気持ちが入るところが「だけ」と違います。「だけ」は「ひらがなだけ書けます」のように肯定の文で使い、事実を言うだけで気持ちは入りません。「しか」は「が」「を」の代わりに付き、「に」「で」「へ」などの助詞には「ここでしか」「日本語でしか」のようにあとに付きます。

接続

N+しか+Vません(「が」「を」は しか に替わる。ほかの助詞は「〜にしか」「〜でしか」とあとに付ける)。文末は必ず否定

形
ひらがなしか書けません千円しかありませんこの店では日本語でしか話せません(助詞のあとに付く)「だけ」との対比: 肉だけ食べます(事実)/肉しか食べません(それ以外は食べない・少ない気持ち)

導入

  • 財布の中身で「少ない」気持ちを作る教師が財布を開けて千円札一枚だけ見せ、困った顔で「千円しかありません」。次に「千円だけあります」と平気な顔で言い、板書に「千円だけあります(ふつう)」「千円しかありません(少ない!)」と顔の絵を添えて並べる。「しか」のあとが「ありません」と否定になっていることを色チョークで囲む。できる料理・読める字・話せる言葉で、文型1の可能形と組み合わせて「〜しか〜ません」を何度も言う。
  • 助詞の位置を札で「日本語で話します」を板書し、「で」の札のあとに「しか」の札を置いて「日本語でしか話せません」。「漢字を書きます」では「を」の札を「しか」の札と取り替えて「漢字しか書けません」。取り替える助詞(が・を)と、あとに付ける助詞(に・で・へ)を二列に分けて書いておく。

板書案

N + しか + Vません
千円しか ありません。(少ない!)
千円だけ あります。(ふつう)
日本語でしか 話せません。(で の あとに しか)
〔赤〕しか と ません を線でつなぐ 〔青〕が・を は しか に替わる / に・で・へ + しか

場面と発話(自作)

  • 日本語の勉強を始めたばかりだと、アルバイト先の店長に伝える。すみません、まだひらがなしか読めません。
  • 昼休み、同僚と食事に行こうとしたが、財布を見て困っている。きょうは五百円しかありません。コンビニにします。
  • 休みの日に何をするか聞かれ、仕事が忙しくて休みが少ないと話す。休みは日曜日しかありませんから、うちで寝ています。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カードと数字カードで「〜だけ〜ます」→「〜しか〜ません」の言い換え(練習Bの型)を、文末を否定にする練習として10枚。次に「何ができますか」「〜しか〜ません」の問答をペアで回し、最後に「わたしの財布・わたしの冷蔵庫」の場面で「〜しかありません」を使った短いやり取り(練習Cの型)にする。

  1. 口頭数字カードと絵カードでキューを出す。「財布・千円」→「千円しかありません」、「ひらがな・読めます」→「ひらがなしか読めません」、「日曜日・休み」→「休みは日曜日しかありません」、「日本語で・話せます」→「日本語でしか話せません」。次に教師が「千円だけあります」と言い、学生が「千円しかありません」と困った顔で言い換える。文末を肯定で言ったら、板書の線を指して言い直させる。
  2. ペア「冷蔵庫の中」カードを使う。Aのカードには卵と牛乳だけ、Bのカードには肉・野菜・果物がいろいろ描いてある。Bが「冷蔵庫に何がありますか」と聞き、Aが「卵と牛乳しかありません」と答え、Bが「じゃ、いっしょに食べに行きませんか」と誘う。カードを替えて、「時間」「お金」「休みの日」のカードでも同じやり取りをする。
  3. 産出「困ったときのロールプレイ」。場面カード(店で払うときにお金が足りない/道を聞かれたが日本語が少ししか分からない/友達に誘われたが時間がない)を引き、相手役と2往復のやり取りを作って演じる。教師が見るのは、「しか」の文末が否定になっているか、「だけ〜ません」と混ぜていないか、「で」「に」のあとに「しか」を付けられているか。

つまずきと手当て

  • 文末を肯定にする(*ひらがなしか書けます)。「しか」を見たら文末は「ません」、と板書の囲みに戻し、自分で言い直させる
  • 「だけ」と「ません」を組み合わせて別の意味にする(「ひらがなだけ書けません」=ひらがな以外は書ける)。意味が反対になることを、顔の絵の板書で見せる
  • 「を」や「が」を残して「*漢字をしか」「*千円がしか」と言う。取り替える助詞と、あとに付ける助詞の二列の板書を指す
  • 「しか」を「少ない」の意味だと思って、数が多くても使わない。「百人しか来ませんでした」のように、話し手が少ないと思えば大きい数でも使える、と一例だけ足す

既習の文型との違い

  • 〜だけ(初級Ⅰ)「だけ」は「千円だけあります」のように肯定の文で使い、数や範囲を事実として言います。「しか」は必ず否定の文で使い、「それでは足りない」という気持ちが入ります。「だけ」を否定の文に入れた「ひらがなだけ書けません」は「ひらがな以外は書ける」の意味になるので、顔の絵の板書で意味が反対になることを見せます。
  • N1 はVますが、N2はVません(この課の文型5)どちらも文末に否定が来ますが、文型5は二つを並べて対比し、「しか」は一つに限って「ほかはない」と言います。「しか」と「は」は重ねて使わないので、「*漢字はしか」が出たら、どちらの文を言いたいのかを選ばせます。
関連する文型

学習項目 6 N1 はVますが、N2はVません

意味・はたらき文型 5

「肉は食べますが、魚は食べません」のように、二つのものを並べて「こちらはする、こちらはしない」と対比する文型です。対比される名詞を「は」で取り立て、前半と後半を「が」でつなぎます。もとの文で「が」や「を」だった名詞は「は」に替わり(漢字が読めます→漢字は読めますが)、「に」「へ」「で」などは「東京へは行きますが、大阪へは行きません」のように「は」をあとに付けます。第17課で出た「〜は(取り立て)」と同じ働きで、ここでは文型1の可能形の文を材料にして、できることとできないことを対比させます。

接続

N1+は+Vますが、N2+は+Vません(「が」「を」→「は」。ほかの助詞は「〜へは」「〜では」とあとに は を付ける)

形
ひらがなは読めますが、漢字は読めませんビールは飲みますが、お酒は飲みません東京へは行きますが、大阪へは行きません(助詞のあとに「は」)歌は歌えますが、ピアノは弾けません(動詞が違ってもよい)

導入

  • 文型1で書きためた答えを組み替える文型1のとき黒板に書いた「(名前)さん: 泳げます/料理が作れません」の二文を指し、「泳ぐことは?」「料理は?」と聞いてから、「(名前)さんは泳げますが、料理は作れません」と一文にして板書する。「料理が」の「が」を消して「は」を書き、二つの「は」を色チョークで囲んで、「二つを比べるとき、は」と添える。第17課の「〜は」の板書と同じ色にすると、同じ働きだと気づく。
  • ○と×の絵カードで飲み物・食べ物・乗り物の絵カードを二枚組にして、片方に○、片方に×を付けて見せ、「コーヒーは飲みますが、紅茶は飲みません」。次に「へ」「に」の付く名詞(東京へ・友達に)で、助詞のあとに「は」が付く形を一組だけ出しておく。

板書案

N1 は Vますが、N2 は Vません
ひらがなは 読めますが、漢字は 読めません。
東京へは 行きますが、大阪へは 行きません。
○ ひらがな × 漢字(○と×の絵カードを左右に)
〔赤〕二つの は を丸で囲む 〔青〕が・を → は / へ・に・で + は

場面と発話(自作)

  • 初めて会った日本人に、日本語の読み書きについて聞かれた。ひらがなは書けますが、漢字はあまり書けません。
  • 会社の飲み会で、何を飲むか聞かれた。ビールは好きだが日本酒は苦手だ。ビールは飲みますが、お酒はちょっと……。
  • 休みの予定を聞かれた。京都へ行く予定だが、大阪には行かない。京都へは行きますが、大阪へは行きません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

○×付きの絵カード二枚組で「〜は〜ますが、〜は〜ません」の代入練習(練習Bの型)を、「を」の名詞から始めて「へ」「に」の名詞に広げる。次にペアで「〜が〜ますか」と二つずつ聞き、相手の答えを「(名前)さんは〜は〜ますが、〜は〜ません」と第三者に報告するやり取り(練習Cの型)にすると、自然に「は」で対比する文が出る。

  1. 口頭○と×を付けた絵カード二枚組でキューを出す。「コーヒー○・紅茶×・飲みます」→「コーヒーは飲みますが、紅茶は飲みません」、「ひらがな○・漢字×・書けます」→「ひらがなは書けますが、漢字は書けません」、「東京へ○・大阪へ×・行きます」→「東京へは行きますが、大阪へは行きません」、「肉○・魚×・食べます」。「を」の名詞から始め、慣れたら「へ」「に」の名詞を混ぜる。
  2. ペアインタビューと報告。Aが二つの物を選んで「〜が〜ますか」と二回聞き(「ギターが弾けますか」「ピアノが弾けますか」)、Bは○か×で答える。Aは聞いた答えを「(名前)さんはギターは弾けますが、ピアノは弾けません」と第三者(教師か隣のペア)に報告する。報告の段で「が」が「は」に替わるので、そこを全員が通る。役を替えて3組。
  3. 産出「得意と苦手の自己紹介」。食べ物・言葉・スポーツ・家のことの中から三つ選び、「〜は〜ますが、〜は〜ません」の文を三つ使って自己紹介をする。聞き手は一つ「どうしてですか」と聞く。教師が見るのは、二つの名詞に「は」が付いているか、「へは」「には」の形が出るか、前半と後半で○と×が分かれているか。

つまずきと手当て

  • 前半も後半も「が」のまま言う(漢字が読めますが、カタカナが読めません)。文としては通じるが対比の意味が弱い。二つを比べるときは「は」、と囲みに戻す
  • 「へ」「に」を落として「東京は行きますが」と言う。「へ」を落とす形は会話でよく聞き誤りではないが、「友達は会いますが」のように「に」を落とすと「友達」が会う相手ではなく主語に聞こえてしまう。この課では助詞を残して「〜へは」「〜には」の形で練習し、板書の「助詞のあとに は」の列を指す
  • 後半を肯定にして「〜は〜ますが、〜は〜ます」と言う。対比ではなく第8課の「〜が、〜」のつなぎ(前置き)になることがあるので、この文型では前半と後半で○と×を分ける、と絵カードで確かめる
  • 「〜しか〜ません」と混ぜて「*漢字はしか読めません」と言う。「しか」は「は」といっしょに使わない、と一言で止める

既習の文型との違い

  • 〜は(取り立て)(第17課)第17課では一つの名詞を「は」で取り立てて、ほかと比べる気持ちを出しました。この課の文型は、比べる二つを一文の中に並べて両方に「は」を付けます。働きは同じなので、第17課と同じ色で「は」を囲むと、学生が自分で同じ仲間だと気づきます。
  • S1が、S2(第8課)第8課の「〜が、〜」は「おいしいですが、高いです」のように二つの文を逆のことでつなぐ言い方でした。この課ではそのつなぎに、「は」で二つの名詞を対比する形が加わります。「が」だけでつないで名詞に「が」を残すと対比がはっきりしないので、名詞の助詞を「は」にする所だけを新しい点として示します。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、可能形の練習に使う動詞(飼います・走ります など)と、「見えます」「聞こえます」の材料になる自然や音の語(海・鳥・声・花火 など)、「できます」の材料になる町の建物や店の語が中心です。動詞は ます形と可能形を1組にして絵カードで出し、文型1の代入練習にそのまま使います。「しか」「ほとんど」のような副詞的な語は、文型4の中で文ごと覚えさせ、単語だけで説明しません。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 泳ぎます(およぎます) 水の中で、手と足を動かして進みます。 海で〜・プールで〜
    夏休みに友達と海へ行く話をしている。
    「わたしは泳げますよ。でも、速くは泳げません。」
  • 弾きます(ひきます) ピアノやギターで音楽をします。 ピアノを〜・ギターを〜
    パーティーで、何かできることを聞かれた。
    「ギターは弾けますが、ピアノは弾けません。」
  • 運転します(うんてんします) 車やバスを動かして、道を走らせます。 車を〜・バスを〜
    週末に遠くの店へ行きたい。友達に聞く。
    「田中さんは車が運転できますか。」
  • 使います(つかいます) 道具や物で、何かをします。お金の払い方にも使います。 カードを〜・パソコンを〜・はしを〜
    店に入る前に、入り口で店の人に聞く。
    「すみません、この店でカードが使えますか。」
  • 見えます(みえます) 見ようとしなくても、目に入ります。 山が〜・海が〜・よく〜
    新しい部屋の窓を開けて、友達に見せる。
    「ここから山が見えますよ。きれいでしょう。」
  • 聞こえます(きこえます) 聞こうとしなくても、音や声が耳に入ります。 音が〜・声が〜・よく〜
    電話の相手の声が小さい。
    「すみません、よく聞こえません。もう少し大きい声でお願いします。」
  • できます(できます) 前になかった建物や店などが、新しく生まれます。料理などが出来上がるときにも使います。 店が〜・友達が〜・ご飯が〜
    久しぶりに会った人に、町の様子を話す。
    「学校の隣に新しい病院ができました。」
  • 音(おと) 耳に聞こえるものです。物が動いたり当たったりして出ます。 車の〜・雨の〜・〜が大きい
    夜、窓の外がうるさくて眠れない。
    「外から車の音が聞こえますから、寝られません。」
  • 声(こえ) 人や動物が口から出す音です。 鳥の〜・子どもの〜・大きい〜
    朝、公園の近くの部屋で目が覚めた。
    「朝、鳥の声が聞こえます。」
  • はっきり(はっきり) よく分かるようすです。見たり聞いたりするものが、まちがいなく分かります。 〜見えます・〜聞こえます・〜言います
    山の上で、晴れた日に遠くを見ている。
    「きょうは天気がいいですから、海がはっきり見えますね。」
  • 一人で(ひとりで) ほかの人といっしょではなく、自分だけでします。 〜行きます・〜作ります・〜住みます
    日本に来て一か月。家族に電話で話す。
    「もう一人で電車に乗れます。心配しないでください。」

会話の扱い

会話は、人の家で手作りの物を見せてもらい、「何でも作れるんですね」と感心して、作った人が自分の夢を話す、という流れです。可能形に第26課の「〜んです」が付いた「作れるんですね」が芯で、可能形の普通形(作れる)に「んです」が接続することをここで気づかせます。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、役割を替えて二回読んだら、「何でも〜られるんですね」の部分を、学生の中で得意なことがある人(料理・歌・運転など)に置き換えて再現させます。感心する言い方(すごいですね・すばらしいですね)は意味を分解せず、表情と声の調子をつけてかたまりで入れます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

宿題は問題の文法部分と、「わたしができること・できないこと」を五つ(可能形三つ・「〜しか〜ません」一つ・「〜は〜ますが、〜は〜ません」一つ)で書くこと。次のコマの最初に可能形のカードテスト(ます形→可能形・10語)をしてから宿題の作文を発表させ、第28課の「〜ながら」「〜し、〜し」につなぐ。可能形の板書(三列と、を→が)は第28課以降も使うので、写真に撮っておく。

よくある質問

  • 第27課の可能形はどの順で教えればいいですか?

    第18課の「〜ことができます」を言わせたあと、教師が同じ意味の短い形として可能形を聞かせ、ます形からの作り方をグループI→II→IIIの順に板書します。グループIは「い段をえ段にして る」の一つの規則だけなので、て形より短く済みます。作れたらすぐ「書けます・書けません」と可能形のます形まで言わせ、可能形がグループIIの動詞として活用することを確かめてから文型1に入ります。

  • 可能形の文で「漢字を読めます」と「を」を使うのは間違いですか?

    会話では「を」もよく聞き、誤りとは言い切れません。ただ、この課の文型は「Nが可能V」なので、初級のうちは「が」に統一して練習します。学生に「日本人は『を』と言っていました」と聞かれたら、どちらも聞くが、授業では「が」の形で覚える、と答えておくと混乱しません。

  • 「見えます」と「見られます」の違いはどう教えますか?

    「見えます」は見ようとしなくても目に入るとき、「見られます」は見ようと思えば見ることができるときです。窓から見える山と、テレビで見られる試合の二つの例を並べ、板書に二行で書いて、それ以上の細かい区別には入りません。「聞こえます」と「聞けます」も同じ線で分けます。迷う例が出たら、目をつぶっても入ってくるかどうかで考えさせます。

  • 「〜しか〜ません」と「〜だけ」の違いは何ですか?

    「だけ」は肯定の文で、数や範囲を事実として言います。「しか」は必ず否定の文で使い、「それでは足りない」という気持ちが入ります。財布の千円を見せて、平気な顔の「千円だけあります」と、困った顔の「千円しかありません」を並べると伝わります。「だけ」を否定の文にすると意味が反対になる点も一度見せておきます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と可能形の作り方、文型1「Nが可能V」、文型2「見えます/聞こえます」まで。2コマ目は可能形のカードテストから入り、文型3の「できます」、文型4・5、会話、練習Cと問題です。可能形の作り方に時間がかかるクラスでは、文型2を2コマ目の最初に回してもかまいません。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

PRこの教科書

手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。