みんなの日本語 初級Ⅱ 第33課「これはどういう意味ですか」の教案
『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「これはどういう意味ですか」
動詞の命令形と禁止形が初めて出る課です。「止まれ」「入るな」のような強い言い方を、標識や掲示、スポーツの応援、急ぐときの一言として読んだり聞いたりして分かることが中心で、学習者が自分から人に使う場面はごく限られます。後半は、読めない字や分からない言葉を「何と書いてありますか」「どういう意味ですか」と人に聞き、聞いた話を「〜と言っていました」でほかの人に伝え、「〜と伝えていただけませんか」で伝言を頼むところまで進みます。命令形・禁止形は「作れる・分かる」まで、使うのは標識と応援と緊急のとき、と最初に線を引いておくと、目上の人に「待て」と言ってしまう事故を防げます。後半の四つの文型は、どれも第21課の引用の「と」の続きなので、「と」の前に何が入るかを毎回板書で囲みます。
このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ
この課のねらい(Can-do)
- 動詞を命令形と禁止形に変えられ、「止まれ」「入るな」「がんばれ」のような標識や掲示、応援の言葉の意味が分かる
- 読めない字や標識について「何と書いてありますか」「何と読みますか」と聞き、「〜と書いてあります」「〜と読みます」で答えられる
- 「〜はどういう意味ですか」と聞き、「〜は〜という意味です」で言葉や標識の意味を説明できる
- ほかの人から聞いた話を「〜と言っていました」で伝え、「〜と伝えていただけませんか」で伝言を頼める
進め方と時間配分
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
| 導入(復習とつなぎ) | 10分 | 第17課の「〜ないでください」、第14課の「〜てください」を教師への頼み方として一往復だけ言わせる。次に道の標識の写真(止まれ)を見せ、「同じ『してください』でも、道ではこう書きます」と言って、この課の強い言い方へつなぐ。辞書形のグループ分けの板書(第18課)を横に戻しておく |
| 文型1(V命令形/V禁止形・作り方) | 40分 | グループI→II→IIIの順に命令形を板書し、辞書形→命令形の口頭練習。続けて禁止形は「辞書形+な」だけ、と一行で足す。最後に「だれが、だれに、どんなときに使うか」を、標識・応援・緊急・男の友達どうし、の四つの絵で板書に整理する |
| 文型2・3(「〜」と書いてあります/読みます、〜は〜という意味です) | 40分 | 教室の中や駅の掲示の写真(禁煙・使用中・非常口など)を見せ、「何と書いてありますか」「何と読みますか」「どういう意味ですか」の三つの問いを順に出す。答えの枠「〜と書いてあります」「〜と読みます」「〜は〜という意味です」を縦に並べ、「と」と「という」を色チョークで囲む |
| 文型4・5(〜と言っていました/〜と伝えていただけませんか) | 40分 | 教師が教室の外へ出て、事務の人の話を聞いてきたふりをして「事務の人が、あしたは授業がないと言っていました」。次に電話の絵で「すみませんが、先生に、少し遅れると伝えていただけませんか」。頼む人・伝える人・聞く人の三人の矢印を板書にして、どこで「言っていました」、どこで「伝えて」を使うかを見せる |
| 会話 | 20分 | 読めない字の書いてある紙を見せて、人に読み方と意味を聞く流れの会話。「何と読むんですか」「どういう意味ですか」が芯なので、紙の中身を学生が持ってきた写真や教室の掲示に置き換えて再現させる |
| 練習C・問題 | 30分 | 練習Cは「標識の意味を聞く」「聞いた話を伝える」「電話で伝言を頼む」の三つの場面。伝言は三人一組の伝言ゲームにすると文型4と5が一度に回る。問題は聞き取りを教室で、残りは宿題に |
学習項目 1 V命令形/V禁止形
意味・はたらき文型 1・活用
この項目は命令形と禁止形の作り方として扱います。命令形は「書け」「食べろ」のように、相手に強く「しなさい」と言う形、禁止形は「書くな」「食べるな」のように、強く「してはいけない」と言う形です。どちらもとても強い言い方なので、会話で使うのは、男性が親しい友達や年下の人に言うとき、上の立場の人が下の人に言うとき、火事など急いで知らせるとき、スポーツの応援(がんばれ)などに限られ、標識や掲示(止まれ)でよく目にします。作り方は、命令形がグループIは辞書形の最後の音を う段 から え段 に変える(書く→書け)、グループIIは「る」を「ろ」に替える(食べる→食べろ)、グループIIIは「する→しろ」「来る→来い(こい)」で、禁止形はどのグループも辞書形に「な」を付けるだけです。
接続
命令形: グループI 辞書形のう段→え段(書く→書け)/グループII る→ろ(見る→見ろ)/グループIII する→しろ、来る→来い(こい)。禁止形: 辞書形+な(行くな・見るな・するな・来るな)
形
グループI: 行く→行け、急ぐ→急げ、話す→話せ、待つ→待て、遊ぶ→遊べ、読む→読め、止まる→止まれ、走る→走れ、言う→言えグループII: 食べる→食べろ、見る→見ろ、起きる→起きろ、逃げる→逃げろ、やめる→やめろグループIII: する→しろ、来る→来い(こい)、注意する→注意しろ禁止形: 行く→行くな、触る→触るな、食べる→食べるな、する→するな、来る→来るな(くるな)
導入
- 標識の写真から形を取り出す道の標識「止まれ」の写真を見せ、「止まってください」と同じ意味だと確かめてから、板書に「止まる→止まれ」と書き、「る」が「れ」に変わったところを色チョークで囲む。あいうえお表を貼って「く→け」「す→せ」「む→め」と う段 から え段 へ指でなぞると、グループIの規則が目で分かる。次に「入るな」と書いた紙をドアに貼り、学生がドアに近づいたら教師が首を振って紙を指す。「入らないでください」と同じ意味、と言って「辞書形+な」を板書の右端に書く。
- 板書の形と、だれが使うか黒板を三列にして、左から I「う・く・ぐ・す・つ・ぶ・む・る」→「え・け・げ・せ・て・べ・め・れ」、II「る→ろ」、III「する→しろ/来る→来い」。その右に禁止形の列を一本立て、「辞書形+な」とだけ書く。板書の下に、標識・スポーツの応援・火事・男の友達どうしの四つの絵を並べ、それぞれに「止まれ」「がんばれ」「逃げろ」「早く来い」を添える。最後に先生と社長の絵を描き、その横に大きな×と「〜てください/〜ないでください」と書いて、使う相手を目で区別させる。
板書案
命令形 〔I〕う段→え段 〔II〕る→ろ 〔III〕する→しろ・来る→来い(こい)
止まる → 止まれ 食べる → 食べろ
禁止形 辞書形 + な
入る → 入るな 来る → 来るな(くるな)
〔赤〕え段の音・「ろ」・「な」を丸で囲む
使う場面: 標識・応援・火事・男の友達どうし 〔赤〕先生・店の人には 〜てください/〜ないでください
場面と発話(自作)
- 辞書形→命令形の口頭練習。教師が絵カードを見せて「急ぐ」と言う。急げ。
- サッカーの試合を見に行った。友達のチームの選手が走っているので、大きい声で応援する。がんばれ! 走れ!
- 工場で、機械のそばに書いてある紙を、日本人の同僚が読んで教えてくれる。「触るな」と書いてありますよ。危ないですから、触らないでください。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
絵カード20枚を速いテンポで「辞書形→命令形」、次に同じカードで「辞書形→禁止形」。I・II・III を混ぜて出し、間違えたカードだけ戻してもう一度。最後に標識・応援・火事の絵カードを見せ、その場面で言う一言を命令形か禁止形で言わせる(練習Bの型)。普段の頼み方は「〜てください/〜ないでください」に言い換える往復を一度入れ、強さの違いを口で確かめる。
- 口頭絵カードか語をキューにして変換させる。キューの例は「急ぐ」→「急げ」、「起きる」→「起きろ」、「来る」→「来い」、「触る(禁止)」→「触るな」。最初はグループごとに全体で、次に I・II・III を混ぜて個人指名にし、テンポを上げる。言えなかった語は板書の三列を指してもう一度。最後は標識・応援・火事の絵だけを見せ、場面をキューにして一言を言わせる。
- ペア「標識クイズ」。Aは教師が手描きした標識の絵カード(止まれ・入るな・触るな・急げ など)を伏せて持ち、一枚ずつ見せる。Bは命令形か禁止形で読み上げ、続けて「〜てください」「〜ないでください」に言いかえる。5枚で役を交替する。言いかえを毎回入れるので、強い形と丁寧な頼み方を一往復で比べられる。
- 産出「応援メッセージ」。友達やクラスメートが試合・試験・発表の前にいる場面を一つ選び、命令形の応援を二つ(がんばれ・負けるな など)と、その人への丁寧な一言(がんばってください)を並べて書き、発表する。教師が見るのは、グループIIの「ろ」、「来い」、禁止形が辞書形から作れているか、そして命令形を目上の人に向けていないか。
つまずきと手当て
- グループIIの命令形をグループIの作り方で作る(*食べれ、*見れ)。グループIIは「る→ろ」、と三列の板書の真ん中を指して「食べろ」「見ろ」と言い直させる
- 辞書形が「る」で終わるグループIの動詞をグループIIの作り方で作る(*帰ろ、*走ろ)。可能形・意向形と同じく、帰る・走る・入る・知るはグループI、と第18課のグループ分けの札に戻す
- 「来る」の命令形を「*来ろ」「*きろ」と言う。「来い(こい)」は一つだけ違う形、とふりがなを大きく書き、「来ない(こない)」「来よう(こよう)」と並べて「こ」の仲間だと示す
- 禁止形をます形から作る(*行きますな)。辞書形+な、と板書の右端の列を指す。なお「行きな」は「行きなさい」のくだけた言い方で、反対の意味になるので、ます形の「ます」をとって「な」を付けないように注意させる
- 命令形を先生や店の人に使う(先生に「待て」)。強すぎて失礼になるので、人に頼むときは「〜てください」、やめてほしいときは「〜ないでください」、と板書の×の絵に戻す。女性は友達どうしでも命令形をあまり使わないことにも一言触れる
既習の文型との違い
- 〈Vて形〉ください(第14課)「待ってください」は相手に頼む丁寧な言い方で、だれに使っても失礼になりません。「待て」は強く命じる形で、使える相手と場面がかぎられます。覚えたての命令形を店や職場で使うと失礼になるので、同じ意味の二つを縦に並べ、場面の絵で使い分けます。
- 〈Vない形〉ないでください(第17課)「触らないでください」はない形から、「触るな」は辞書形から作ります。元の形が違うので、ない形の「触ら」に「な」を付けて「*触らな」と言う誤りが出ます。板書で、ないでください はない形の列、禁止形は辞書形の列、と色を分けて元の形を見せます。
関連する文型
学習項目 2 「〜」と書いてあります/読みます
意味・はたらき文型 2
「入り口に『禁煙』と書いてあります」「この漢字は『いりぐち』と読みます」のように、紙や標識に何が書かれているか、字をどう読むかを言う文型です。「と」は第21課の「〜と言います」と同じ引用の「と」で、書かれている言葉や読み方をそのまま「 」に入れて前に置きます。「書いてあります」は第30課の「〜てあります」で、だれかが書いて、その字がいまそこにある、という状態を表します。聞くときは「何と書いてありますか」「何と読みますか」と、「何を」ではなく「何と(なんと)」を使います。文法の用語で言えば、「 」の中は書かれた言葉をそのまま入れる直接引用で、第21課から続く引用の「と」の使い道を、話した言葉から書かれた字や読み方へ広げたものです。
接続
〈場所〉に+「〜」と+書いてあります/N(字)は+「〜」と+読みます。問いは「何と書いてありますか」「何と読みますか」
形
入り口に「禁煙」と書いてありますこの漢字は「でぐち」と読みますあの紙に何と書いてありますか——「使用中」と書いてありますすみません、この字は何と読みますか
導入
- 教室の掲示を指して聞く教室や廊下に貼ってある掲示(禁煙・非常口・使用中など)の写真を見せ、教師が「あそこに何と書いてありますか」と聞く。学生が字を読めたら「『禁煙』と書いてあります」と板書し、「と」を色チョークで囲む。次に一字だけ指して「この字は何と読みますか」と聞き、「『きん』と読みます」と答えさせる。板書の枠は「〈場所〉に「 」と書いてあります」「N は「 」と読みます」の二行にして、「 」の中に何でも入ることを見せる。
- 「何を」と「何と」板書に「何を書きましたか」と「何と書いてありますか」を並べ、上は書いた物(手紙・作文)を聞く、下は書かれている言葉そのものを聞く、と短く添える。「何と」は「なんと」と読む、とふりがなを書く。第21課の「何と言いましたか」の板書があれば横に並べると、同じ「と」だと気づく。
板書案
〈場所〉に 「 」 と 書いてあります
ドアに 「使用中」 と 書いてあります。
N(字)は 「 」 と 読みます
この字は 「で」 と 読みます。
問い: 何と(なんと) 書いてありますか/読みますか
〔赤〕「と」を丸で囲む 〔青〕「 」の中には言葉がそのまま入る
場面と発話(自作)
- 駅で、ドアに紙が貼ってあるが漢字が読めない。近くの駅員に聞く。すみません、あの紙に何と書いてありますか。
- 日本語のクラスで、教科書にない漢字が出てきた。隣の学生に聞く。この漢字は何と読みますか。
- 会社の新しい同僚が、会議室を使ってもいいか迷っている。ドアの札を指して教える。ドアに「使用中」と書いてありますから、今は使えませんよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
掲示や標識の写真カードで「何と書いてありますか」「〜と書いてあります」の問答(練習Bの型)を10枚。次に同じカードの漢字一字を指して「何と読みますか」「〜と読みます」。最後に、学生が町や学校で撮ってきた写真を見せ合い、読めない字を聞き合うやり取り(練習Cの型)にする。答えは必ず「と」までつけて言う、と約束しておく。
- 口頭掲示の写真カードをキューにする。例は「禁煙」の写真→「『禁煙』と書いてあります」、「非常口」の札→「『非常口』と書いてあります」、「出口」の「出」の字を指す→「『で』と読みます」。教師が「何と書いてありますか」「何と読みますか」と聞き、全体→個人で答えさせる。答えに「と」が抜けたら、板書の赤い丸を指して言い直させる。
- ペア情報差の「掲示さがし」。Aは駅の中の絵(掲示の字が書き込んである)、Bは同じ絵で掲示の部分が空いている物を持つ。Bが「トイレのドアに何と書いてありますか」と聞き、Aが「『使用中』と書いてあります」と答え、Bが自分の絵に書き込む。5か所で交替し、最後に二枚を並べて合っているか確かめる。
- 産出「町の字の写真報告」。学生が町や学校で読めなかった字の写真を一枚持ってきて(なければ教師の用意した写真から選んで)、クラスの前で「これは〜で撮りました。ここに〜と書いてあります」と説明し、読めない字は「この字は何と読みますか」とクラスに聞く。教師が見るのは「と」と「何と(なんと)」の読み、「書いてあります」が「書いています」になっていないか。
つまずきと手当て
- 書いてある言葉を聞くのに「何を書いてありますか」「『禁煙』を書いてあります」と「を」を使う。「〜を〜てある」の形そのものは言えるが、書かれている言葉そのものを言うときは引用の「と」が自然、と第21課の「何と言いましたか」の板書に戻す
- 「書いてあります」と「書いています」を混ぜる(入り口に「禁煙」と書いています)。文としては言えるが意味が変わる。「書いています」はだれかがいま書いている、「書いてあります」は書かれた字がそこにある、と第30課の板書で区別する
- 「何と」を「なにと」と読む。「なんと」とふりがなを付け、「何と言いましたか」も同じ読みだと確かめる
- 「読みます」の問いを「どう読みますか」「何の読みですか」と言い分けられず混乱する。「どう読みますか」でも通じるが、この課の答えの形に合わせて「何と読みますか」で練習する、と決めておく
既習の文型との違い
- 「文」/〈普通形〉と言います(第21課)「と」は同じ引用の「と」で、第21課は人が言った言葉、この課は書かれた字や読み方を受けます。だから問いも同じ形で「何と言いましたか」「何と書いてありますか」になります。第21課の板書を横に貼り、「と」の前に言葉そのものが入る点をそろえて見せます。
- 〜に〜が〈Vて形〉あります(第30課)第30課の「ドアに紙が貼ってあります」は物を「が」で言い、この課の「紙に『禁煙』と書いてあります」は書かれた言葉を「と」で受けます。「何が書いてありますか」「地図が書いてあります」のように物として言うのも自然なので、間違いにはしません。言葉そのものを言うときだけ「と」、と二つの文を並べて線を引きます。
関連する文型
学習項目 3 〜は〜という意味です
意味・はたらき文型 3
「『土足禁止』は『靴で入るな』という意味です」「『無料』はお金がいらないという意味です」のように、言葉や標識、マークの意味を説明する文型です。「という」の前には、言いかえた言葉や、普通形の文が入ります。説明したい言葉を「は」で示し、意味を「〜という意味です」で言います。意味を聞くときは「〜はどういう意味ですか」と聞きます。命令形・禁止形は標識の意味を説明するときによく「という」の前に入るので、文型1とつなげて練習できます。
接続
N(言葉・標識)+は+「〜」/普通形+という意味です。問いは「〜はどういう意味ですか」
形
「土足禁止」は靴で入るなという意味です「無料」はお金がいらないという意味ですこのマークはどういう意味ですか——ここでたばこを吸ってはいけないという意味です「使用中」は今だれかが使っているという意味です
導入
- マークの絵で意味を聞く禁煙・非常口・ごみの分け方などのマークを描いたカードを見せ、教師が「このマークはどういう意味ですか」と聞く。学生がジェスチャーで答えたら、教師が「たばこを吸うなという意味です」と言い、板書に「〜は「 」という意味です」の枠を書いて「という」を色チョークで囲む。文型1の禁止形がそのまま枠に入ることを見せると、命令形・禁止形を「使う」のではなく「意味を説明する」ための形として練習できる。
- 漢字の言葉を学生の言葉で言いかえる「割引」「無料」「出口」のような漢字の言葉を板書し、意味を知っている学生に、知っている易しい言葉で言いかえさせる。教師は答えを「『無料』はお金がいらないという意味です」の枠に入れて書き直す。「という」の前は普通形で、「いらないです」ではなく「いらない」になることを、第20課の普通形の板書と並べて確かめる。
板書案
N は 「 」/普通形 という 意味です
「土足禁止」 は 靴で 入るな という 意味です。
「無料」 は お金が いらない という 意味です。
問い: 〜は どういう 意味ですか
〔赤〕という 〔青〕という の前は 普通形・命令形・禁止形
場面と発話(自作)
- スーパーの値札に分からない漢字がある。店の人に聞く。すみません、この「割引」はどういう意味ですか。
- お寺の入り口で、友達が靴で上がろうとしている。止めて説明する。待って。「土足禁止」は靴で入るなという意味ですよ。
- 日本語の先生が、新しい言葉「非常口」の意味を学生に説明する。「非常口」は、火事のとき、ここから外に出るという意味です。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
標識・マーク・漢字の言葉のカードで「〜はどういう意味ですか」「〜は〜という意味です」の問答(練習Bの型)を10枚。前半は禁止形・命令形で答えるカード、後半は普通形の文で答えるカードにする。最後に、自分の国の標識やジェスチャーを一つ選んで、その意味をクラスの人に説明するやり取り(練習Cの型)にする。
- 口頭マークや漢字の言葉のカードをキューにする。例は禁煙のマーク→「たばこを吸うなという意味です」、「無料」→「お金がいらないという意味です」、「使用中」→「今だれかが使っているという意味です」。教師が「どういう意味ですか」と聞き、最初は前半を教師が言って後半を学生が続ける形から、全部を一人で言う形へ進める。丁寧形で言ったら普通形に直してもう一度。
- ペア「意味あてクイズ」。Aは漢字の言葉のカード、Bは意味を書いたカードを持つ。Aが「『割引』はどういう意味ですか」と聞き、Bが自分のカードから選んで「安くなるという意味です」と答える。合っていたら二枚を並べて置き、全部そろったら役を交替する。答えのカードを読み上げるだけにならないよう、二回目はカードを伏せて自分の言葉で言わせる。
- 産出「わたしの国のマーク紹介」。自分の国の標識やジェスチャーを一つ選んで絵に描き、「これは〜という意味です」とクラスに説明する。聞き手は一つ質問する(どこにありますか・日本にもありますか)。教師が見るのは「という」の抜けと、「という」の前が普通形になっているか。
つまずきと手当て
- 「という」を落とす(*靴で入るな意味です、*お金がいらない意味です)。文や命令形のあとには「という」が要る、と枠の「という」を指して言い直させる
- 「という」の前を丁寧形にする(お金がいりませんという意味です)。「 」に入れた言葉の引用なら言えなくはないが、自分の言葉で説明するときは普通形、と第20課の普通形の板書と並べる
- 意味を「何の意味ですか」と聞く。通じることも多いが、「何のためか」と聞こえることがあるので、言葉の意味を聞くときは「どういう意味ですか」、とかたまりで覚えさせる
- 名詞で言いかえるときに「だ」を付けるか迷う(出口だという意味です)。言葉を名詞で言いかえるときは「出口という意味です」と名詞に直接「という」を付ける、と一言で止める。文で説明する「あしたは休みだという意味です」は自然なので、ここで深入りしない
既習の文型との違い
- 「〜」と書いてあります/読みます(この課の文型2)文型2は字や読み方を見たまま言い、文型3は中身を別の言葉に言いかえます。「どういう意味ですか」と聞かれて「『きんえん』と読みます」と答えるずれがよく出ます。一つの掲示で「何と書いて」「何と読み」「どういう意味」の三つの問いを順に回すと、問いと答えの組がそろいます。
- 「文」/〈普通形〉と言います(第21課)「『ありがとう』は英語で何と言いますか」は言葉を聞く問い、「『ありがとう』はどういう意味ですか」は意味を聞く問いで、向きが逆です。学生は二つを混ぜて「*これは何と意味ですか」と言うことがあります。問いの形をかたまりで板書し、「何と」のあとは動詞、「どういう」のあとは「意味」と分けます。
関連する文型
学習項目 4 文/〈普通形〉と言っていました
意味・はたらき文型 4
「田中さんが、あしたの会議は10時からだと言っていました」のように、ほかの人から聞いたことを、その場にいない相手に伝えるときの文型です。第21課の「〜と言います」は、だれかが言ったことをそのまま報告したり、「日本では、家を出るとき『行ってきます』と言います」のように決まった言い方を説明したりするのに使いましたが、「言っていました」は、伝言や聞いた情報を「あの人がこう言っていましたよ」と渡すときによく使います。「と」の前は、言った言葉を「 」でそのまま入れるか、普通形にして入れます。名詞・な形容詞は「休みだ」「元気だ」のように「だ」を付けます。試験の用語で言えば、「 」に入れてそのまま言うのが直接引用、普通形に直して言うのが間接引用で、間接引用では「あした」「わたし」のような言葉を、伝える人の立場から言い直すことがあります。
接続
〈人〉が+「文」/普通形(名詞・な形容詞は 〜だ)+と言っていました
形
事務の人が、あしたは授業がないと言っていました石井さんが「すぐ戻ります」と言っていました部長は、会議は午後からだと言っていました中川さんは元気だと言っていましたよ
導入
- 教師が聞いてきた話を伝える教師がいったん教室の外へ出て、事務室で話を聞いてきたふりをして戻り、「事務の人が、あしたは授業がないと言っていました」と言う。学生が「本当ですか」と反応したところで、板書に「事務の人:あしたは授業がありません」と吹き出しで書き、その下に「事務の人が、あしたは授業がないと言っていました」と書き直す。「ありません→ない」と「と言っていました」を色チョークで囲み、聞いた話をほかの人に渡すときの形だと示す。
- 「言いました」との並べ方第21課の板書「〜と言いました」の横に「〜と言っていました」を並べ、上は「何と言ったか」を報告するとき、下は聞いた話や伝言を相手に渡すとき、と短く添える。細かい区別に入らず、この課では「伝言は『言っていました』」で練習する、と決めておく。
板書案
〈人〉が 「 」/普通形 と 言っていました
事務の人: 「あしたは 授業が ありません。」
→ 事務の人が、あしたは 授業が ない と 言っていました。
〔赤〕ありません → ない 〔赤〕と言っていました
名詞・な形容詞は 「〜だ」 と
矢印: 話した人 → わたし → その場にいなかった人
場面と発話(自作)
- アルバイト先で、店長から聞いた話を、あとで来た同僚に伝える。店長が、きょうは6時に店を閉めると言っていましたよ。
- クラスメートが休んでいる。先生から聞いたことを、電話でその人に伝える。先生が、あしたテストがあると言っていました。
- 国の友達から電話があった。いっしょに住んでいるルームメートにも伝える。国の友達が、来月日本へ遊びに来ると言っていました。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
吹き出しの絵カード(人の顔と、その人が言ったことば)で「〜が〜と言っていました」の言い換え(練習Bの型)を10枚。丁寧形の吹き出しを普通形に直して言うことに集中させる。次に三人一組の伝言ゲームにして、Aが言ったことを、BがCに「Aさんが〜と言っていました」で伝える(練習Cの型)。名詞・な形容詞の「だ」が抜けたら、吹き出しの文を指して言い直させる。
- 口頭吹き出しの絵カードをキューにする。例は店長「きょうは6時に閉めます」→「店長が、きょうは6時に閉めると言っていました」、先生「あしたはテストです」→「先生が、あしたはテストだと言っていました」、友達「かぜをひきました」→「友達が、かぜをひいたと言っていました」。丁寧形→普通形の変換が間に入るので、最初は普通形の部分だけを言わせ、次に文全体を。全体→個人の順。
- ペア情報差の伝言。Aにだけ「事務室からのお知らせ」のカード(時間・場所・持ち物)を渡す。Aが「事務の人が、〜と言っていました」でBに伝え、Bはメモを取りながら「何時からだと言っていましたか」と聞き返す。メモとカードを比べて合っているか確かめ、カードを替えて交替する。
- 産出「三人伝言ゲーム」。三人一組で、Aが自分の週末の予定や好きな物をBに一文で言い、BがCに「Aさんが〜と言っていました」で伝え、CがAに「〜と言っていましたが、本当ですか」と確かめる。役を回して三回。教師が見るのは、普通形への直し、名詞・な形容詞の「だ」、自分の言ったことに「言っていました」を使っていないか。
つまずきと手当て
- 「と」の前を丁寧形のまま言う(あした休みますと言っていました)。「 」を付けてそのまま言うときは丁寧形でもよいが、「 」を付けないときは普通形、と吹き出しと書き直しの板書を並べる
- 名詞・な形容詞の「だ」を落とす(会議は10時からと言っていました)。くだけた会話では聞くこともあるが、練習では「10時からだ」と「だ」まで言う、と第21課の板書に戻す
- 自分が言ったことに「言っていました」を使う(わたしは、あした休むと言っていました)。自分のことは「言いました」、聞いた話を渡すときは「言っていました」、と矢印の板書で区別する
- 「言っていました」を「*言いていました」と言う。て形は「言って」、と第14課のて形の札に戻す
既習の文型との違い
- 「文」/〈普通形〉と言います(第21課)第21課の「〜と言いました」は、だれが何と言ったかを報告する形です。この課の「〜と言っていました」は、聞いた話をその場にいなかった人に渡すときによく使い、伝言の場面で自然に聞こえます。初級では細かい違いに入らず、伝言は「言っていました」、と場面で覚えさせます。
- 〈普通形〉と思います(第21課)「と思います」は自分の考え、「と言っていました」は人の言葉です。同じ「普通形+と」の枠なので、「わたしは、あしたの試合は中止だと思います」と「田中さんが、あしたの試合は中止だと言っていました」を並べると、考えた人と言った人の違いが一目で分かります。学生が人の話を「〜と思います」で伝えてしまうときも、この二文に戻します。
関連する文型
学習項目 5 文/〈普通形〉と伝えていただけませんか
意味・はたらき文型 5
「田中さんに、少し遅れると伝えていただけませんか」のように、その場にいない人への伝言を、目の前の人に丁寧に頼む文型です。「伝えます」は人から聞いたことをほかの人に知らせる動詞で、知らせる相手を「に」で示し、伝えたい内容を「と」の前に入れます。内容は文型4と同じく、言葉をそのまま「 」に入れるか、普通形にします。頼み方の「〜ていただけませんか」は第26課で出た丁寧な頼み方で、電話で相手がいないときや、会社の受付で伝言を残すときによく使います。
接続
〈人〉に+「文」/普通形(名詞・な形容詞は 〜だ)+と伝えていただけませんか
形
田中さんに、少し遅れると伝えていただけませんか先生に、きょうは休むと伝えていただけませんか部長に「あしたの会議に出席します」と伝えていただけませんか——はい、わかりました。伝えておきます
導入
- 電話の絵で三人の関係を作る電話をかける人・電話に出た人・いない人の三人の絵を板書し、教師が電話をかける人の役で「もしもし、田中先生をお願いします」と始める(相手は「いない」と首を振る役)。「すみませんが、先生に、少し遅れると伝えていただけませんか」と言い、電話に出た人からいない人へ矢印を引いて「伝えます」と書く。いない人に「に」、伝える中身に「と」を色チョークで付ける。
- 伝言ゲームで文型4とつなぐ学生Aに「Bさんに、〜と伝えていただけませんか」と教師が頼み、AがBに「先生が〜と言っていました」と伝える、という一往復をクラスの前で見せる。頼むときは「伝えていただけませんか」、渡すときは「言っていました」と、同じ中身が二つの文型を通ることを、矢印の板書で一度に見せる。返事の「伝えておきます」は第30課の「〜ておきます」として、かたまりで入れる。
板書案
〈人〉に 「 」/普通形 と 伝えていただけませんか
課長に、少し 遅れる と 伝えていただけませんか。
——はい、伝えておきます。
〔赤〕人 に 〔赤〕中身 と
絵: わたし →(頼む)→ 電話に出た人 →(伝える)→ いない人
場面と発話(自作)
- 朝、電車が止まって会社に遅れそうだ。会社に電話したが、課長はまだ来ていない。電話に出た同僚に頼む。すみませんが、課長に、電車が止まったから、30分ぐらい遅れると伝えていただけませんか。
- 熱が出て学校を休む。学校の事務室に電話して、担任の先生への伝言を頼む。すみません、田中先生に、きょうは熱があるから休むと伝えていただけませんか。
- 友達の家に行ったが、友達は出かけていた。友達のお母さんに頼む。あした学校で本を返すと伝えていただけませんか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
「いない人」と「伝えたいこと」の二枚組のカードで「〜に、〜と伝えていただけませんか」の言い換え(練習Bの型)を10枚。伝えたいことを丁寧形のカードで出して、普通形に直して言わせる。次に電話の場面の役割練習(練習Cの型)で、電話をかける人・出る人を交代し、出た人は「はい、伝えておきます」で受け、そのあと三人目に「〜さんが、〜と言っていました」で伝えるところまで回す。
- 口頭二枚組のカード(いない人+伝えたいこと)をキューにする。例は「課長/30分遅れます」→「課長に、30分遅れると伝えていただけませんか」、「先生/きょうは休みます」→「先生に、きょうは休むと伝えていただけませんか」、「田中さん/あした電話します」→「田中さんに、あした電話すると伝えていただけませんか」。全体で枠を言ってから個人へ。返事の「はい、伝えておきます」も全体で言わせる。
- ペア電話のロールプレイ。Aは電話をかける人で、ロールカードに「だれに・何を」が書いてある。Bは電話に出た人で、相手は今いないと答える役。Aが伝言を頼み、Bはメモを取って「〜ですね。伝えておきます」と中身を言い直して確かめる。Bのメモとカードを比べてから、カードを替えて交替する。
- 産出「伝言リレー」。文型4とつなぐ三人の活動で、AがBに電話のつもりで「Cさんに〜と伝えていただけませんか」と頼み、BはメモしてCに「Aさんが〜と言っていました」と伝え、CはAへの返事を考えて言う。伝言の中身は学生が自分で作る(遅れる・休む・物を返す・会う時間を変える など)。教師が見るのは「に」と「と」、普通形への直し、頼む文と伝える文の動詞の取り違え。
つまずきと手当て
- 伝える相手を「を」で言う(*課長を伝えていただけませんか)。人は「に」、中身は「と」、と電話の板書の矢印で確かめる
- 中身を丁寧形のまま入れる(少し遅れますと伝えて……)。「 」を付けないときは普通形、と文型4と同じ枠に戻す
- 「伝えていただけませんか」を「伝えてください」で済ませる。間違いではないが、伝言は相手に手間をかける頼みなので、会社や学校では「〜ていただけませんか」、と第26課の頼み方の板書と並べる
- 「伝えます」と「言います」を混ぜる(課長に、遅れると言っていただけませんか)。通じることもあるが、ほかの人に知らせてもらうときは「伝えます」、と三人の矢印の板書で動詞を言い分ける
既習の文型との違い
- 〈Vて形〉いただけませんか(第26課)第26課では、相手自身に何かをしてもらう頼みとして使いました。この課は、相手に、ほかの人へ言葉を運んでもらう頼みで、間に「〜に〜と」が入って文が長くなります。学生は長さに負けて「と」を落とし、「*課長に遅れる伝えていただけませんか」と言うので、「人に/中身と/伝えていただけませんか」の三つに切って板書します。
- 〈Vて形〉ください(第14課)「伝えてください」も形は正しく、友達どうしなら十分です。ただ伝言は相手に手間をかける頼みなので、電話や受付では「伝えていただけませんか」のほうが自然です。間違いとして直すのではなく、相手と場面で選ぶ、と二つを並べて見せます。
関連する文型
語彙の扱い
この課の新出語は、命令形・禁止形の練習に使う動詞(逃げます・騒ぎます・投げます・守ります など)と、標識や掲示の漢字の言葉(禁煙・立入禁止・非常口・使用中・無料・割引 など)、伝言に使う「伝えます」が中心です。動詞は辞書形・命令形・禁止形を1組にして絵カードで出し、文型1の代入練習にそのまま使います。標識の言葉は意味を言葉で説明する前に写真で見せ、文型2・3の「何と書いてありますか」「どういう意味ですか」の材料にします。下の語は、この課の文型の練習で使いやすいものを選んだ一覧です。
この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)
- 止まります(とまります) 動いている人や車が、動かなくなります。 車が〜・信号で〜・電車が〜
道の標識を見て、自転車に乗っている友達に教える。「止まれ」と書いてありますから、ここで止まってください。
- 急ぎます(いそぎます) 時間がないので、早くします。 駅へ〜・仕事を〜
電車がもうすぐ出る。いっしょに走っている友達に言う。急げ! 電車が出るよ。
- 逃げます(にげます) 危ない所から、急いで離れます。 外へ〜・火事から〜
店で火事のベルが鳴った。まわりの人に大きい声で言う。逃げろ! 非常口はあそこだ!
- 触ります(さわります) 手を物や人に付けます。 機械に〜・作品に〜
美術館で、作品の前に紙がある。いっしょに来た友達に教える。「作品に触らないでください」と書いてありますよ。
- 伝えます(つたえます) 人から聞いたことを、ほかの人に知らせます。 先生に〜・時間を〜
会社に電話したが、課長は今いない。電話に出た人に頼む。課長に、あとでもう一度電話すると伝えていただけませんか。
- 戻ります(もどります) 前にいた所へ、また帰ります。 席に〜・会社に〜
会社の受付で、出かけている人がいつ帰るか聞く。田中さんは何時ごろ戻りますか。
- 遅れます(おくれます) 約束の時間より後になります。 授業に〜・10分〜・電車が〜
朝、バスが来ない。学校の事務室に電話する。すみません、先生に、10分ぐらい遅れると伝えていただけませんか。
- 意味(いみ) 言葉やマークが表していることです。 言葉の〜・〜が分かる
新聞に知らない言葉があった。日本人の友達に聞く。この言葉はどういう意味ですか。
- 禁煙(きんえん) たばこを吸ってはいけない、ということです。 〜の席・〜の部屋
レストランの入り口で、たばこを出した友達に言う。ここは禁煙ですから、たばこは外で吸ってください。
- 非常口(ひじょうぐち) 火事などのとき、外へ逃げるための出口です。 〜から出る・〜の場所
新しい会社のビルで、同僚に聞く。非常口はどこにありますか。
- 使用中(しようちゅう) 今だれかが使っている、ということです。 トイレが〜・会議室が〜
会議室のドアに札がかかっている。いっしょに来た同僚に言う。「使用中」と書いてありますから、あとで来ましょう。
- 無料(むりょう) お金がいらない、ということです。 〜の地図・〜です
駅の前に地図が置いてある。友達といっしょに見る。「無料」と書いてありますから、一枚もらいましょう。
会話の扱い
会話は、読めない字の書いてある紙を見せて、まわりの人に読み方と意味を聞き、内容が分かってから次にどうするかを決める、という流れの課です。「この漢字は何と読むんですか」「どういう意味ですか」のように、第26課の「〜んですか」と、この課の文型2・3が組み合わさって出ることが芯なので、「読み方を聞く→意味を聞く→分かったらお礼を言う」の三段で板書に骨組みを書いておきます。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、役割を替えて二回読んだら、紙の中身を学生が町で撮ってきた写真や教室の掲示に置き換えて再現させます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題と次のコマ
宿題は問題の文法部分と、町や学校で見つけた標識・掲示を二つ写真に撮り(またはノートに写し)、「〜と書いてあります」「〜は〜という意味です」で説明する文を書いてくること。次のコマの最初に命令形・禁止形のカードテスト(辞書形→命令形・禁止形・10語)をしてから写真の説明を発表させ、第34課の「〜とおりに」「〜たあとで」につなぐ。命令形・禁止形の板書(三列と禁止形の列、使う相手の絵)は、写真の発表まで残しておく。
よくある質問
第33課の命令形・禁止形は、学習者に使わせてもいいですか?
この課では、作れること・聞いて読んで分かることを中心にし、自分から使うのは応援・標識・火事のような急ぐときにしぼるのが安全です。人に頼むときは第14課の「〜てください」、やめてほしいときは第17課の「〜ないでください」を使う、と最初に板書で線を引きます。男性が親しい友達に使う例は見せてもよいですが、店や職場で使うと失礼になることを必ず添えます。
命令形の作り方はどの順で教えればいいですか?
第18課の辞書形のグループ分けに戻ってから、グループIの「う段→え段」、グループIIの「る→ろ」、グループIIIの「しろ・来い」の順に進めます。グループIはあいうえお表を指でなぞると規則が目で分かります。禁止形は「辞書形+な」だけなので、命令形が言えるようになってから最後に一行で足します。「来い(こい)」は一つだけ違う形なので、ふりがなを大きく書いて別に練習します。
「何と書いてありますか」と「何が書いてありますか」はどう違いますか?
「何と」は書かれている言葉そのものを聞く問いで、答えは「『禁煙』と書いてあります」の形になります。「何が」は書かれている物を聞く問いで、「地図が書いてあります」のように答えます。どちらも自然な日本語ですが、この課は字や標識の言葉を聞く練習なので「何と」でそろえ、「何を」は使わない、と押さえます。
「〜と言っていました」と「〜と言いました」の違いはどう説明しますか?
初級では、だれが何と言ったかを報告するときは「言いました」、聞いた話をその場にいなかった人に渡すときは「言っていました」、と場面で分けると分かりやすいです。理屈で説明するより、伝言ゲームや電話の練習で「言っていました」を何度も使わせるほうが定着します。自分が言ったことには「言っていました」を使わない点だけは、はっきり伝えます。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と命令形・禁止形の作り方、文型2・3の掲示の練習まで、2コマ目は文型4・5の伝言、会話、練習Cと問題です。命令形の定着が弱いクラスは、2コマ目の最初にカードテストを5分入れ、そのぶん問題の一部を宿題に回します。
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。