日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅱ 第32課「無理をしないほうがいいですよ」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「無理をしないほうがいいですよ」

相手に助言する「〜たほうがいいです/〜ないほうがいいです」と、まだ分からないことを見込みの強さを変えて言う「〜でしょう」「〜かもしれません」を扱う課です。新しい活用形は出ず、第19課のた形・第17課のない形・第20課の普通形をそのまま使うので、形の練習より「どの形に付くか」と「どれくらい確かか」の線引きが芯になります。助言の文型は、肯定はた形・否定はない形という左右で違う形を板書で固定し、「〜でしょう」と「〜かもしれません」は、な形容詞と名詞で「だ」が消えることを同じ板書で一度に押さえます。天気・体の調子・試験や試合の結果など、先のことを話す場面を多く作ると、三つの文型が自然に混ざって使えます。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 体の調子が悪い人や困っている人に、「早く寝たほうがいいですよ」「無理をしないほうがいいですよ」と助言できる
  • 天気や予定について「午後は晴れるでしょう」と、たぶんそうなるという見込みを言える
  • 「もしかしたら、電車が遅れるかもしれません」と、そうなる可能性があることを言える
  • な形容詞・名詞の普通形に「でしょう」「かもしれません」を付けるとき、「だ」を落として正しく言える

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習とつなぎ)10分た形・ない形・普通形の作り方を絵カードで数枚ずつ回して思い出させる。教師が咳をしたり額に手を当てたりして「熱があるんです」と言い、学生に「どうしたらいいですか」と聞いて助言の場面を作る
文型1(〜たほうがいいです/〜ないほうがいいです)35分かぜ・寝不足・食べ過ぎなどの絵カードで「病院へ行ったほうがいいです」「お酒を飲まないほうがいいです」。板書で肯定=た形、否定=ない形を左右に分け、「なかったほうが」にならないことを確かめる
文型2(〜でしょう)30分天気予報の地図を貼り、晴れ・雨・雪のマークで「午後は晴れるでしょう」。動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の四段の板書で、な形容詞と名詞は「だ」を消すことを示す。第21課の上がり調子の「〜でしょう?」とは別物だと声の調子で区別する
文型3(〜かもしれません)30分財布が見つからない・友達が来ない場面で「教室に忘れたかもしれません」。文型2と同じ四段の板書の右に並べ、「でしょう」より確かさが低いことを目盛りの絵で見せる
会話25分体の具合が悪い人が医者に診てもらい、休むように勧められる流れ。「〜ないほうがいいですよ」と、相手の予定を気にかける言い方をかたまりで入れる
練習C35分①友達の悩みに助言する ②あしたの天気や予定について見込みを言い合う ③なくし物や遅れの理由を「〜かもしれません」で考える、の三つの場面。教師は困りごとの絵カードと天気のマークをキューに出す
問題15分聞き取りは教室で。文法の部分は宿題にして、次のコマの最初に「だ」の落とし方だけ口頭で確かめる

学習項目 1 〈Vた形〉/〈Vない形ない〉ほうがいいです

意味・はたらき文型 1

「病院へ行ったほうがいいです」「無理をしないほうがいいです」のように、相手のために「こうするのがいい」「こうしないのがいい」と助言する文型です。するほうを勧めるときは動詞のた形に、しないほうを勧めるときはない形に「ほうがいいです」を付けます。た形を使っていても過去の意味ではなく、これからのことについての助言です。相手にはっきり行動を勧める言い方なので、目上の人に使うと強く聞こえることがあり、会話では「〜ほうがいいですよ」と「よ」を付けて、相手を心配している気持ちを添えることが多いです。

接続

Vた形+ほうがいいです(する助言)/Vない形+ないほうがいいです(しない助言)。否定は「〜なかったほうが」にしない

形
熱がありますから、早く寝たほうがいいですよかぜのときは、お風呂に入らないほうがいいです日曜日はデパートが込みますから、土曜日に行ったほうがいいですよ無理をしないほうがいいですよ

導入

  • 教師がかぜをひいて見せる教師が咳をして額に手を当て、「熱があるんです。あした、仕事に行きます」と言うと、学生から「休んでください」などの声が出る。そこで「そうですね。休んだほうがいいですね」と受け、板書に「休みます→休んだ+ほうがいいです」と書く。続けて「お酒を飲みます?」と聞き、首を振らせて「飲まないほうがいいです」と、ない形のほうも出す。
  • 板書は左右で形を分ける黒板を左右に分け、左に「する ○ → Vた形+ほうがいいです」、右に「しない × → Vない形+ないほうがいいです」と書く。右の下に「×飲まなかったほうが」と書いて斜線を引いておく。た形のほうに「きのうのことではない、これから」と吹き出しを添えると、過去と取り違える学生が減る。

板書案

する ○ | Vた形 + ほうがいいです  しない × | Vない形 + ほうがいいです
休みます → 休んだ ほうがいいです。
飲みます → 飲まない ほうがいいです。 (「飲まなかった ほうが」に斜線)
〔赤〕た形・ない形 〔青〕吹き出し「きのうのことではない、これから」
〜んです。 → じゃ、〜たほうがいいですよ。(困りごと → 助言 の矢印)

場面と発話(自作)

  • 同じクラスの友達が、熱があるのに授業に来ている。顔が赤くてつらそうだ。きょうは早くうちへ帰って、寝たほうがいいですよ。
  • 寮に入ったばかりの後輩に、ごみの出し方を聞かれた。燃えないごみの日は水曜日だけだ。燃えないごみは、水曜日の朝に出したほうがいいですよ。
  • あした試験がある同僚が、夜遅くまで起きているつもりだと言う。あまり遅くまで起きていないほうがいいですよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

困りごとの絵カード(熱・のどが痛い・道が分からない・お金がない)を見せ、教師が言う動詞で「〜たほうがいいです」「〜ないほうがいいです」に言い換える代入練習(練習Bの型)を、肯定と否定を混ぜて10枚。次にペアの一人が絵カードの困りごとを「〜んです」で話し、もう一人が「じゃ、〜たほうがいいですよ」と助言するやり取り(練習Cの型)にする。

  1. 口頭教師が困りごとの絵カード(熱がある・のどが痛い・歯が痛い・道が分からない・お金がない)を見せ、続けて動詞のカード(病院へ行きます・薬を飲みます・地図を見ます・お酒を飲みます)を出す。学生は全体で「病院へ行ったほうがいいです」と言い換え、次に教師が首を振る動作をキューにして「お酒を飲まないほうがいいです」と否定に切り替える。肯定と否定を混ぜて回し、最後は一人ずつ当てる。
  2. ペア一人に困りごとカード、もう一人に助言カード(する/しない の印だけが付いた動詞カード3枚)を配る。Aが「すみません、熱があるんです」と言い、Bは手元のカードから合うものを選んで「じゃ、早く寝たほうがいいですよ」と答える。Aは「そうですね」と受けて、もう一つ「〜ないほうがいいですか」と聞き返す。3往復したら役とカードを替える。
  3. 産出「お悩み相談ロールプレイ」。学生が自分の本当の小さな困りごと(よく寝られない・漢字が覚えられない・部屋が寒い など)を紙に書いて箱に入れ、引いた人が相談役になって二つ以上助言する。教師が見て直すのは、否定が「ない形+ほうがいい」になっているか、文末に「よ」を付けて相手を気づかう調子が出ているか、目上の役に強すぎる言い方をしていないか。

つまずきと手当て

  • 否定を過去の形にする(×飲まなかったほうがいいです)。肯定がた形なので否定もそろえてしまう。左右の板書の斜線を指し、否定は「ない」のまま、と言い直させる
  • た形を過去の意味だと思い、「きのう病院へ行ったほうがいいです」と言う。この文型はこれからのことの助言、と吹き出しの板書に戻す。過去のことを悔やむ言い方はこの課では扱わない
  • 第12課の比べる「ほう」と混ぜて「*行くのほうがいいです」と、動詞のあとに「の」を入れる。名詞を比べる文(バスよりタクシーのほうがいいです)と、動詞のた形に付く助言の文(タクシーで行ったほうがいいです)を並べて板書する
  • 先生や上司に「先生、休んだほうがいいです」と強く言ってしまう。目上の人には「〜たほうがいいと思います」のように少しやわらげるか、言わずに心配だけ伝えるほうが自然なことが多い、と一言添える

既習の文型との違い

  • 〈Vない形〉ないでください(第17課)「〜ないでください」は話し手が相手に「しないでほしい」と頼む・指示する言い方で、決めるのは話し手です。「〜ないほうがいいです」は相手のためを思って勧める言い方で、するかしないかを決めるのは相手に残ります。二つの形が混ざって「*飲まないでほうがいいです」と言う学生がいるので、「で」の有無を板書で並べて見せます。
  • N1 とN2 とどちらがAですか。 / …N1 のほうがAです(第12課)第12課の「ほう」は二つの名詞を比べてどちらかを選ぶ言い方で、名詞に「の」を付けて「バスのほうが速いです」となります。この課の「ほう」は動詞のた形・ない形に直接付き、「の」は入りません。比べる文の形に引かれて「*行ったのほうがいいです」と言う誤りが出るので、名詞の文と動詞の文を上下に並べて「の」の位置を確かめます。
  • 〈普通形(〜だ→〜な)〉んですが、 / 疑問詞〈Vた形〉らいいですか(第26課)第26課の「どうしたらいいですか」は助言を求める側の言い方で、この課の「〜たほうがいいですよ」はそれに答える側の言い方です。二つをペアの練習で組にすると、聞く・答えるのやり取りが自然に回ります。答えの文で「たら」と「た+ほう」が混ざって「*行ったらほうがいいです」と言う学生がいるので、聞く文と答える文を左右に分けて書きます。
関連する文型

学習項目 2 〈普通形(なA・N 〜だ)〉でしょう

意味・はたらき文型 2

「午後は晴れるでしょう」のように、まだはっきりしていないことを、話し手が「たぶんそうなる・そうだ」と見込んで言う文型です。天気予報やニュースのように、知っていることから先のことを推し量って言うときによく使います。動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の普通形に付けますが、な形容詞と名詞は「だ」を取って「静かでしょう」「雨でしょう」の形にします。「たぶん」「きっと」と一緒に使うことが多く、「きっと」を付けると確かさが高くなります。第21課の上がり調子の「〜でしょう?」は相手に確かめる言い方で、ここの下がり調子の「でしょう」とは働きが違います。

接続

V・いA の普通形+でしょう/なA・N の普通形(「だ」を取る)+でしょう(静かだ→静かでしょう、雨だ→雨でしょう)

形
あしたは晴れるでしょうあしたの試験は難しいでしょうあの公園は夜は静かでしょう(な形容詞は「だ」を取る)東京はあしたも雨でしょう(名詞は「だ」を取る)

導入

  • 天気予報の地図で日本地図を貼り、各地に晴れ・曇り・雨・雪のマークを置いて、教師が天気予報の人のように「あした、北海道は寒いでしょう」「大阪は晴れるでしょう」と読む。「あしたのことは、まだ分かりません。でも、たぶん」と言いながら「たぶん」のカードを見せ、板書に「〈普通形〉+でしょう」の枠を書く。学生に地図の別の町を指させて、同じように言わせる。
  • 四段の板書で「だ」を消す板書を四段にして、上から「降る」「寒い」「静かだ」「雨だ」と普通形を書き、それぞれに「でしょう」を付ける。な形容詞と名詞の段の「だ」に斜線を引き、「静か+でしょう」「雨+でしょう」と書き直す。この板書は文型3でもそのまま使うので、右側を空けておく。最後に、上がり調子で「あした、休みでしょう?」と言って見せ、下がり調子の「でしょう」と声で比べさせる。

板書案

〈普通形〉 + でしょう (下がり調子 ↘)
V 降る → 降るでしょう / いA 寒い → 寒いでしょう
なA 静か だ → 静かでしょう / N 雨 だ → 雨でしょう(〔赤〕「だ」に斜線)
あしたは たぶん 晴れるでしょう。
〔青〕右側を空けておく(文型3の「かもしれません」の列を足す)

場面と発話(自作)

  • あした友達と山へ行く予定だ。天気が心配な友達に、天気予報で見たことを伝える。天気予報を見ました。あしたはたぶん晴れるでしょう。
  • 初めて日本の冬を過ごす後輩に、北海道へ旅行に行くと言われた。二月の北海道は、とても寒いでしょう。暖かいコートを持って行ったほうがいいですよ。
  • クラスメートが、あしたの試験で何が出るか心配している。先生が授業で何度も言っていた文法がある。きっとこの文法が出るでしょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

天気マークのカードと地名カードを組み合わせ、「〜は〜でしょう」の代入練習(練習Bの型)をする。動詞(降る・晴れる)、い形容詞(暑い・寒い)、な形容詞(静か・にぎやか)、名詞(雨・雪)を混ぜて、「だ」を落とせるかを確かめる。次にペアで「あしたの天気」「来週の試験」「週末の店」について「〜はどうでしょうか」「たぶん〜でしょう」と見込みを言い合う(練習Cの型)。

  1. 口頭日本地図に天気マークを貼り、教師が地名と天気のカードを組で出す(札幌・曇る/大阪・晴れ/東京・雨/沖縄・暑い/京都・寒い)。学生は全体で「札幌は曇るでしょう」「東京は雨でしょう」と言う。な形容詞(静か・にぎやか)と名詞(雨・休み)の段では教師が「だ」のカードを持って見せ、学生が手で払うしぐさをしてから言わせると、「だ」を落とすことが体で残る。慣れたら一人ずつ指名する。
  2. ペアAに「あしたの天気予報」の地図(マーク入り)、Bに地名だけの白い地図を渡す情報差の練習。Bが「あした、福岡はどうでしょうか」と聞き、Aが地図を見て「福岡はたぶん曇るでしょう」と答え、Bが白い地図にマークを書き込む。5か所終わったら地図を見せ合って答え合わせをし、役を替える。
  3. 産出「天気予報キャスター」。グループで自分の国や町のあしたの天気予報を作り、一人がキャスターになって前で読む。天気のほかに「週末の駅は込むでしょう」「海は人が多いでしょう」のような一言を一つ足させる。教師が見て直すのは、な形容詞・名詞の「だ」が落ちているか、丁寧形に付けていないか、文末が下がり調子になっているか。

つまずきと手当て

  • な形容詞・名詞の「だ」を残す(×静かだでしょう、×雨だでしょう)。四段の板書の斜線を指して、自分で言い直させる
  • 第26課の「〜んです」の形に引かれて「×静かなでしょう」「×雨なでしょう」と言う。「んです」の前は「な」、「でしょう」の前は何も付かない、と二つを並べて書く
  • 丁寧形に付けて「×行きますでしょう」「×寒いですでしょう」と言う。この文型は普通形に付く、と枠の「普通形」を色チョークで囲む
  • 自分がこれからすることに使う(×わたしはあした図書館へ行くでしょう)。自分の予定ははっきり言うか、第31課の「〜つもりです」「〜と思っています」を使う、と言い分けを示す

既習の文型との違い

  • 〈普通形〉でしょう?(第21課)第21課の「〜でしょう?」は上がり調子で、相手も知っていることを「そうですよね」と確かめる言い方です。この課の「でしょう」は下がり調子で、話し手がまだ分からないことを見込んで言います。形は同じなので、教師が両方を声に出して、学生に上がるか下がるかを手で示させて区別します。
  • 〈普通形〉と思います(推量)(第21課)「と思います」の前では、な形容詞と名詞の「だ」が残ります(静かだと思います・雨だと思います)。「でしょう」の前では「だ」が消えます(静かでしょう・雨でしょう)。学生は二つを混ぜて「*静かと思います」「*雨だでしょう」と言いやすいので、同じ四段の板書の横に「と思います」の列を一つ足して、「だ」のあるなしを見比べさせます。
  • 〈V/いA/なA/N 普通形(〜だ→〜な)〉んですか(第26課)第26課の「〜んです」の前では、な形容詞と名詞の「だ」が「な」に変わります(静かなんです・休みなんです)。「でしょう」の前では「な」も付きません。「*静かなでしょう」は「んです」の形が残った誤りなので、「だ→な」「だ→なし」を二段で並べて書きます。
関連する文型

学習項目 3 〈普通形(なA・N 〜だ)〉かもしれません

意味・はたらき文型 3

「あしたは風が強いかもしれません」のように、そうなる可能性があることを言う文型です。「でしょう」が「たぶんそうなる」と見込むのに対して、「かもしれません」は「そうならないこともあるが、そうなる可能性もある」という言い方で、確かさはふつう「でしょう」より低くなります。接続は「でしょう」と同じで、動詞・い形容詞の普通形はそのまま、な形容詞と名詞は「だ」を取ります(暇かもしれません・休みかもしれません)。「もしかしたら」と一緒に使うと、可能性が低いことを言う感じがはっきりします。

接続

V・いA の普通形+かもしれません/なA・N の普通形(「だ」を取る)+かもしれません(否定は「行かないかもしれません」)

形
あしたは風が強いかもしれません財布を教室に忘れたかもしれません(た形にも付く)あの店は月曜日は休みかもしれません(名詞は「だ」を取る)もしかしたら、きょうは行けないかもしれません

導入

  • なくし物の場面を演じる教師がかばんやポケットを探し、「あれ? かぎがありません」。学生に「どこにありますか」と聞かれる形にして、「うーん、教室に忘れたかもしれません。……トイレかもしれません」と、場所を一つずつ挙げていく。どれも「たぶん」とは言えないことを顔と手ぶりで見せ、板書の四段(文型2)の右に「かもしれません」の列を足す。
  • 確かさの目盛りを描く板書の横に縦の目盛りを描き、上から「〜です(はっきり)」「きっと〜でしょう」「たぶん〜でしょう」「〜かもしれません」と並べる。天気の絵で「夕方は雨になります」「夕方は雨になるでしょう」「夕方は雨になるかもしれません」を言い比べ、傘を持って行くかどうかを学生に決めさせると、確かさの違いが体で分かる。数字で何パーセントとは言わず、上下の順だけ見せる。

板書案

〈普通形〉 + かもしれません
降る → 降るかもしれません / 行かない → 行かないかもしれません
暇 だ → 暇かもしれません / 休み だ → 休みかもしれません(〔赤〕「だ」に斜線・文型2と同じ位置)
確かさの目盛り:〜です > きっと〜でしょう > たぶん〜でしょう > 〜かもしれません
もしかしたら、電車が遅れているかもしれません。

場面と発話(自作)

  • 約束の時間を過ぎても友達が来ない。一緒に待っている人が心配している。電車が遅れているかもしれません。もう少し待ちましょう。
  • 週末に買い物に行く店について友達に聞かれた。その店が日曜日に開いているか、よく知らない。あの店は日曜日は休みかもしれません。電話して聞いたほうがいいですよ。
  • あした会社のサッカーの試合がある。少しかぜをひいていて、出られるか分からないと同僚に伝える。もしかしたら、あしたの試合に出られないかもしれません。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

文型2と同じカード(天気・地名)に、なくし物・遅れの絵カードを足して、「〜かもしれません」の代入練習(練習Bの型)をする。動詞のた形・ない形、な形容詞、名詞を混ぜる。次にペアで「友達がまだ来ません」「かぎがありません」などの困りごとカードを引き、もう一人が理由を「〜かもしれません」で二つ以上言い、最後に「じゃ、〜たほうがいいですよ」で助言して終わるやり取り(練習Cの型)にすると、課の三つの文型がつながる。

  1. 口頭教師がかばんの中を探しながら、場所のカード(教室・トイレ・食堂・電車の中)を一枚ずつ出す。学生は全体で「教室に忘れたかもしれません」「電車の中かもしれません」と言う。次に「先生がまだ来ません」の絵を見せ、理由のカード(電車が遅れる・寝ている・かぜをひいた・休み)で「〜かもしれません」に言い換える。動詞のた形・ない形、名詞を混ぜて回し、最後に目盛りを指して「でしょう」と言い分けさせる。
  2. ペアAが困りごとカード(友達が来ません・かぎがありません・店が閉まっています)を引いて言い、Bが理由を「〜かもしれません」で二つ言う。Aはその中から一つ選んで「じゃ、〜たほうがいいですね」と自分で行動を決める。文型1とつなげて3往復したら役を替える。理由を二つ言えないときは、教師が理由カードを1枚渡して助ける。
  3. 産出「なぞの写真あてゲーム」。教師が一部だけ見せた写真(建物の角・料理の端・人の手など)を出し、学生がグループで「〜でしょう」「〜かもしれません」を使って中身を当てる。自信があれば「きっと〜でしょう」、自信がなければ「もしかしたら〜かもしれません」と、言い方で自信の強さを表すのがルール。教師が見て直すのは、「だ」の落とし方、否定が普通形になっているか、確かさの語と文末の組み合わせが合っているか。

つまずきと手当て

  • な形容詞・名詞の「だ」を残す(×暇だかもしれません、×学生だかもしれません)。文型2と同じ四段の板書で、同じところに斜線があることを確かめる
  • 否定を丁寧形にして「×行きませんかもしれません」と言う。否定も普通形の「行かない」に付ける、と板書に「行かない+かもしれません」を書き足す
  • 確かなことにまで「かもしれません」を使い、答えをぼかしてしまう(自分の名前や、決まっている予定など)。分かっていることは「〜です」「〜ます」ではっきり言う、と目盛りの一番上を指す
  • 「きっと〜かもしれません」のように、確かさの違う言葉を重ねる。「きっと」は「でしょう」と、「もしかしたら」は「かもしれません」と組むことが多い、と目盛りの板書で組み合わせを示す

既習の文型との違い

  • 〈普通形(なA・N 〜だ)〉でしょう(第32課 文型2)形の作り方は同じですが、確かさが違います。「でしょう」は「たぶんそうなる」、「かもしれません」は「そうならないこともあるが、そうなる可能性もある」です。どちらも「だ」を落とす点は共通なので、学生が迷うのは形ではなく選び方で、傘を持って行くかどうかのような、確かさで行動が変わる場面で言い比べさせます。
  • 〈普通形〉と思います(推量)(第21課)「と思います」は話し手の考えとして言う言い方で、「かもしれません」は可能性があることを言う言い方です。形の上では、「と思います」の前は「だ」が残り(休みだと思います)、「かもしれません」の前は「だ」が消えます(休みかもしれません)。学生の「*休みだかもしれません」は「と思います」の形が残った誤りなので、二つを並べて書きます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、天気と空の語(晴れる・曇る・風・空 など)、体の調子と病気の語(熱・けが・かぜ など)、試験や試合の結果の語(合格する・失敗する・出る など)が中心で、どれも「でしょう」「かもしれません」で先のことを言う材料になります。天気の語は地図とマークのカードに、体の語は困りごとの絵カードにして、文型1〜3の代入練習にそのまま使います。「たぶん」「きっと」「もしかしたら」のような確かさを表す語は、単語だけで説明せず、確かさの目盛りの板書の中で文型と組にして覚えさせます。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 無理をします(むりをします) 体の調子が悪いのに、がんばって続けます。 仕事で〜・体の調子が悪いのに〜
    かぜをひいている同僚が、夜遅くまで会社に残ると言う。
    「無理をしないほうがいいですよ。」
  • 休みます(やすみます) 仕事や学校に行かないで、体を楽にします。 会社を〜・学校を〜・ゆっくり〜
    熱がある友達が、あしたアルバイトに行くと言う。
    「あしたは休んだほうがいいですよ。」
  • 晴れます(はれます) 雲が少なくて、空が青くなります。 空が〜・あしたは〜
    週末に山へ行く友達が、天気を気にしている。
    「天気予報を見ました。たぶん晴れるでしょう。」
  • 曇ります(くもります) 雲が多くなって、空が白くなります。 空が〜・午後から〜
    朝は晴れているが、洗濯物を外に干すか迷っている。
    「午後は曇るかもしれません。」
  • 込みます(こみます) 人や車がたくさんいて、いっぱいになります。 電車が〜・道が〜・店が〜
    日曜日にデパートへ行く後輩に話す。
    「日曜日は込むでしょう。土曜日に行ったほうがいいですよ。」
  • 遅れます(おくれます) 決まった時間より、あとになります。 電車が〜・約束に〜・授業に〜
    約束の時間になっても友達が来ない。
    「バスが遅れているかもしれません。」
  • 合格します(ごうかくします) 試験で、よい点を取って、通ります。 試験に〜・大学に〜
    毎日よく勉強しているクラスメートが、試験を心配している。
    「たくさん勉強しましたから、きっと合格するでしょう。」
  • 出ます(でます) 試合や会議に、選手や人として加わります。 試合に〜・会議に〜
    足が痛いチームの友達に、あしたの試合のことを聞かれた。
    「足が痛いんですか。あしたの試合に出ないほうがいいですよ。」
  • たぶん(たぶん) はっきり分からないが、そうなると思うときに言います。 〜晴れるでしょう・〜来るでしょう
    あしたのパーティーに先生が来るか、友達に聞かれた。
    「先生はたぶん来るでしょう。」
  • きっと(きっと) 「たぶん」より強く、そうなると思うときに言います。 〜合格するでしょう・〜大丈夫でしょう
    大切な発表の前に、友達が心配している。
    「たくさん練習しましたから、きっと大丈夫でしょう。」
  • もしかしたら(もしかしたら) そうなる可能性は少ないが、ないとは言えないときに言います。 〜休みかもしれません・〜遅れるかもしれません
    先週の会議で会った人の名前が、よく思い出せない。
    「もしかしたら、石井さんかもしれません。」

会話の扱い

会話は、体の具合が悪い人が医者に診てもらい、医者から休むように勧められる流れの課です。芯は題にもなっている「〜ないほうがいいですよ」で、医者が相手の予定や体を気にかけて助言する言い方を、「よ」の付いた声の調子ごと入れます。最初はCDか教師の読みで、だれがどこで何に困っているかだけをつかませ、役割を替えて二回読んだら、症状(熱・のど・けが など)と相手の予定(試合・旅行・試験 など)を置き換えて、学生同士で医者と患者のやり取りを再現させます。医者が使うような決まった言い方は分解せず、かたまりで入れます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

宿題は問題の文法部分と、「あしたのわたし」について三文(「〜でしょう」一つ・「〜かもしれません」一つ・自分への助言「〜たほうがいいです/〜ないほうがいいです」一つ)を書くこと。次のコマの最初に、な形容詞と名詞の「だ」を落とす口頭テスト(静かだ→静かでしょう/かもしれません・10語)をしてから宿題を発表させ、第33課の命令形・禁止形につなぐ。確かさの目盛りの板書は、後の課で推量の言い方が増えるときにも使うので写真に撮っておく。

よくある質問

  • 第32課の「〜たほうがいいです」は、なぜ過去のた形を使うのですか?

    形はた形ですが、意味は過去ではなく、これからのことについての助言です。学生には理由を説明するより、「きのうのことではない、これから」という吹き出しを板書に添えて、形と意味を分けて覚えさせるほうが早く定着します。否定はない形のままで、「なかったほうが」にしないことを同じ板書で押さえます。

  • 「〜たほうがいい」と「〜るほうがいい」の違いは教えますか?

    辞書形に付く「〜るほうがいい」も使われますが、目の前の相手に具体的に勧める場面では、た形のほうがよく使われます。初級のこの課では形をた形とない形の二つに絞り、辞書形の形は学生から出たときに「そう言うこともあります」と受ける程度にとどめます。最初から二つ並べると、どちらを使えばいいか迷う学生が増えます。

  • 「〜でしょう」と「〜かもしれません」の違いはどう教えればいいですか?

    縦の目盛りを板書し、「〜です」「きっと〜でしょう」「たぶん〜でしょう」「〜かもしれません」の順に並べて、確かさの上下だけを見せます。何パーセントと数字で言うより、傘を持って行くかどうかのように、確かさで行動が変わる場面で言い比べさせると違いが分かります。接続は同じなので、形の練習は四段の板書一つで両方できます。

  • な形容詞と名詞の「だ」が消えるのは、どう板書すればいいですか?

    動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の四段に普通形を書き、な形容詞と名詞の段の「だ」に赤で斜線を引いてから「でしょう」「かもしれません」を付けます。横に第21課の「と思います」(だが残る)と第26課の「んです」(だ→な)の列を並べると、三つの形の違いを一度に見比べられます。この板書は後の課の推量の形でも使えます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と文型1「〜たほうがいいです」、文型2「〜でしょう」まで。2コマ目は文型3「〜かもしれません」、会話、練習C、問題です。新しい活用形は出ないので、た形・ない形・普通形が定着していないクラスでは、1コマ目の最初の復習を長めに取ります。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

PRこの教科書

手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。