日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

みんなの日本語 初級Ⅱ 第46課「先週直してもらったばかりなのに、また……」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「先週直してもらったばかりなのに、また……」

動作がいまどの段階にあるか(始まる直前・途中・終わった直後)を「〜ところです」で言い、終わってからまだ時間がたっていないと話し手が感じていることを「〜たばかりです」で言い、根拠があって当然そうなると判断していることを「〜はずです」で言う課です。三つとも、事実をそのまま言うのではなく、時間や判断について話し手がどう捉えているかを足す言い方です。「〜たところです」は終わった直後の一点、「〜たばかりです」は話し手の気持ちで短いという線引きと、「〜はずです」は根拠のある判断で、自分の意志には使わないことを、時間の矢印と予定表を使った場面で押さえるのが芯です。会話は修理してもらったばかりの物がまた故障して電話する流れで、第45課の「〜のに」とつながります。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 「今から出かけるところです」「今、書いているところです」「たった今着いたところです」で、動作が始まる前・途中・終わった直後のどこにあるかを言える
  • 「先月日本へ来たばかりです」で、自分の気持ちとしてまだ間もないことを言い、「〜たばかりのN」「〜たばかりなのに」で物の説明や不満を言える
  • 「〜たところです」と「〜たばかりです」を、いっしょに使う時間の言葉(たった今・先月 など)で使い分けられる
  • 予定や聞いた話を根拠に「〜はずです」で当然そうなると判断を言い、自分の意志は「つもりです」で言うと区別できる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習とつなぎ)10分第14課の「〜ています」(今している)と第31課の「まだ〜ていません」を絵カードで数枚回す。「まだ食べていません」「食べています」「もう食べました」を時間の矢印の上に並べて書き、今日は「その前・途中・あと」を一つの言い方で言う、とだけ言う
文型1(〜ところです)45分教師がチョークを持って黒板の前に立ち、書く前・書いている途中・書き終わった直後で動作を止めて「書くところです/書いているところです/書いたところです」。板書は時間の矢印に三つの点。電話で「今いいですか」と聞かれて「今〜ところです」と答える場面まで
文型2(〜たばかりです)35分学生に日本へ来た時期を聞き、三か月前でも一年前でも「まだ来たばかりですね」と言えることを見せる。文型1の矢印の「あと」の一点と、「ばかり」の幅を並べて描き、時間の言葉(たった今・さっき/先週・先月)を二列に分ける。「買ったばかりのN」「〜たばかりなのに」も出す。1コマ目はここまで
文型3(〜はずです)45分時刻表・店の休みの案内・友達の言ったことのカードを根拠として見せて「12時に着くはずです」「休みのはずです」。根拠を指しながら言い、「たぶん〜でしょう」と並べて根拠のある判断だと示す。自分の予定は「つもり」と左右に分けて線を引く。2コマ目はここから。最初の5分で時間の言葉のカードを見せ、「ところ」と「ばかり」のどちらと使えるかを確かめてから入る
会話20分修理してもらったばかりの物の具合がまた悪くなり、電話で修理を頼む流れ。「〜たばかりなのに」で第45課の「のに」とつなぐ。流れをつかんだら、故障した物を学生の身近な物に入れ替えて再現させる
練習C・問題25分練習Cは「今いいですか→今〜ところです」「〜たばかりなのに」「〜から、〜はずです」の三つの場面でペアのやり取り。問題は聞き取りを教室で、文法の部分は宿題に

学習項目 1 〈V辞書形〉/〈Vて形〉いる/〈Vた形〉ところです

意味・はたらき文型 1

ここでの「ところ」は場所ではなく、時間の流れの中の「点」を言います。辞書形に付くと動作が始まる直前(これから出かけるところです)、「〜ている」に付くと動作のちょうど途中(今、ご飯を食べているところです)、た形に付くと動作が終わった直後(たった今着いたところです)を表します。相手に「いま自分がどの段階にいるか」を伝えたいときの言い方で、電話や来客で「今いいですか」と聞かれて答える場面によく使います。「〜ています」が今している事実を言うのに対し、「〜ているところです」は「ちょうどその最中だ」とその時点を取り立てて言う感じがあります。

接続

〈V辞書形〉ところです(直前)/〈Vて形〉いるところです(途中)/〈Vた形〉ところです(直後)。「ところ」は名詞なので「ところでした」「ところなんです」とも言える

形
これから出かけるところです(直前)今、レポートを書いているところです(途中)たった今、駅に着いたところです(直後)今いいですか——すみません、今から会議に出るところなんです

導入

  • 教師の動作を止めて三つの点を作る教師がチョークを持って黒板の前に立ち、書く前に止まって「今から書くところです」、書きながら「今、書いているところです」、書き終えてすぐ「たった今、書いたところです」。黒板に横向きの時間の矢印を引き、三つの点に「前」「途中」「あと」と書いて、それぞれの上に「辞書形+ところです」「〜ている+ところです」「た形+ところです」を置く。動作と点を指でつなぎながら、学生にも三つを言わせる。
  • 電話の「今いいですか」で使う教師が電話をかける身ぶりで学生に「今いいですか」と聞き、学生には絵カード(ご飯を食べる・シャワーを浴びる・うちを出る)を一枚ずつ渡しておく。カードの角に「前」「途中」「あと」の札を付けておき、札に合わせて「すみません、今〜ところなんです」と答えさせる。答えたら教師が「じゃ、あとでまた電話します」と返し、やり取りの形まで見せる。

板書案

──●前──────●途中──────●あと──→(時間)
V辞書形 + ところです / Vている + ところです / Vた + ところです
今から 手紙を 書く ところです。
今、手紙を 書いている ところです。 たった今、書いた ところです。
〔赤〕ところ 〔青〕三つの点に「前」「途中」「あと」の札 〔黄〕点の下に 今から・今・たった今
今いいですか →「すみません、今〜ところなんです」→「じゃ、あとでまた電話します」

場面と発話(自作)

  • 友達から電話で「これから駅の前で会えますか」と誘われた。ちょうどうちを出ようとしていた。ちょうどよかったです。今から出かけるところです。
  • 会社で上司に「あの資料、できましたか」と聞かれた。まだ作っている途中だ。すみません、今作っているところです。あと30分ぐらいでできます。
  • 待ち合わせに遅れると友達から電話が来た。自分もちょうど今、店に着いた。大丈夫ですよ。わたしもたった今着いたところですから。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

時刻と動作を組にした絵カード(「7:00 起きる」など)を使い、教師が言う時刻に合わせて三つの形のどれかで答える代入練習(練習Bの型)。次に「今いいですか」「すみません、今〜ところなんです」「じゃ、あとでまた電話します」の電話のやり取りをペアで回す(練習Cの型)。形を取り違えたら、矢印の「前・途中・あと」の点を指させて選び直させる。

  1. 口頭教師が札と絵カードを組にして出す。「〔前〕シャワーを浴びる」→ 全体で「今からシャワーを浴びるところです」、「〔途中〕晩ご飯を作る」→「今、晩ご飯を作っているところです」、「〔あと〕駅に着く」→「たった今、駅に着いたところです」。全体で言えたら一人ずつ指名し、札だけを替えて同じ動詞で三つの形を続けて言わせる。最後は札を外し、教師が動作の前・途中・あとで止まるのを見て学習者が言う。
  2. ペアAは電話をかける人、Bは電話を受ける人。Bだけが絵カードと札(前・途中・あと)を持ち、Aには見せない。A「もしもし、今いいですか」→ B「すみません、今〜ところなんです」→ A「じゃ、あとでまた電話します」。AはBの答えを聞いて、Bが前・途中・あとのどこにいたかを当てる。3枚で役を交替する。
  3. 産出「わたしの一日 電話ロールプレイ」。学習者が自分の一日から時刻を一つ選び(朝7時半・夜9時 など)、その時刻にかかってきた電話に、自分がふだんその時にしていることで答える。教師は、まだしていないことにた形を使っていないか、「今から」と辞書形・「たった今」とた形が合っているか、「なんです」で断る理由として言えているかを見て、その場で矢印の点を指して直す。

つまずきと手当て

  • 辞書形とた形を取り違える(まだ食べていないのに「食べたところです」と言ってしまう)。動作をする前か後かを自分で確かめさせ、矢印の「前」と「あと」の点を指して言い直させる
  • 時間がたったことに使う(一年前のことを「去年日本へ来たところです」と言ってしまう)。た形の「ところ」は終わってすぐの一点だけ、と矢印に点が一つしかないことを示し、文型2の「ばかり」へつなぐ
  • 「ところ」を場所の意味に取り、「〜ところに」「〜ところで」と続けてしまう。この課では時間の点で、「です」で文を終える形だけを使う、と最初に言っておく
  • 「〜ているところです」を習慣にも使う(習慣のことを「毎朝ジョギングしているところです」と言ってしまう)。「ところ」は今のその時点だけで、習慣は第15課・第28課の「〜ています」、と分ける

既習の文型との違い

  • 〈Vて形〉います(第14課)第14課の「〜ています」は、いま動作をしているという事実を言います。「〜ているところです」は同じ動作でも、ちょうどその最中で手が離せない、という時点を取り立てて言うので、電話や来客への返事に向いています。「〜ています」は第15課・第28課で習慣や職業にも広がりますが、「ところ」は今の一点だけなので、習慣のことには使いません。
  • まだ〈Vて形〉いません(第31課)「まだ食べていません」は、まだしていないという事実だけを言い、すぐ食べるかどうかは言いません。「今から食べるところです」は、もうすぐ始めることまで含みます。同じように「もう食べました」は済んだという事実、「食べたところです」は終わってすぐという時間の近さを言うので、時間がたっていれば「もう〜ました」を使います。
関連する文型

学習項目 2 〈Vた形〉ばかりです

意味・はたらき文型 2

動作が終わってから、まだあまり時間がたっていないと話し手が感じていることを言う文型です。「〜たところです」が終わった直後のその時点だけを言うのに対し、「〜たばかりです」は話し手の気持ちで決まるので、「先月日本へ来たばかりです」「去年結婚したばかりです」のように、時間がかなりたっていても使えます。そのため「まだ慣れていない」という理由や、「まだ新しいのに」という不満の前置きによく使われ、「買ったばかりなのに、もう壊れました」のように第45課の「のに」と結びつきやすい形です。「〜たばかりのN」で名詞を説明することもできます。

接続

〈Vた形〉ばかりです。名詞の前では「〈Vた形〉ばかりのN」、理由・逆接では「〜たばかりですから」「〜たばかりなのに」

形
先月日本へ来たばかりですさっき昼ご飯を食べたばかりですから、まだおなかがいっぱいですこれはきのう買ったばかりのパソコンですこの時計は買ったばかりなのに、もう動きません

導入

  • 学生の「日本へ来た日」で幅を見せる学生一人ずつに「いつ日本へ来ましたか」と聞き、来た時期を文型1の時間の矢印に書き込む。三か月前の学生にも一年前の学生にも「まだ来たばかりですね」と言い、「ところ」の一点と、「ばかり」の幅(気持ちで短い)を矢印の上に並べて描く。その下に時間の言葉を二列に書き、「たった今・さっき」は両方、「先週・先月・去年」は「ばかり」だけ、と分ける。
  • 新しい物の実物で「〜たばかりなのに」教師が新しいペンを出して「きのう買ったばかりのペンです」。次にそのペンで書けないふりをして、困った顔で「買ったばかりなのに……」。第45課の「のに」の板書を横に出して、「新しいのに、だめ」という気持ちがこの形でよく出ることを見せる。板書は「〈Vた形〉ばかりです/ばかりのN/ばかりなのに」の三段。

板書案

Vた + ばかりです
先月 日本へ 来た ばかりです。
きのう 買った ばかりの パソコン / 買った ばかり なのに、もう 動きません。
〔赤〕ところ=あとの一点 〔青〕ばかり=矢印の上の括弧(話し手の気持ちで短い)
たった今・さっき → ところ/ばかり | 先週・先月・去年 → ばかり だけ

場面と発話(自作)

  • アルバイトの面接で、日本語の会話について聞かれた。日本へ来てまだ二か月だ。日本へ来たばかりですから、まだ日本語が上手に話せません。
  • 先週買った時計がもう動かなくなった。買った店に持って行く。この時計、先週買ったばかりなのに、もう動かないんです。
  • 同僚に「昼ご飯に行きませんか」と誘われたが、少し前に食べ終わったところだ。すみません、さっき食べたばかりなんです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「来た・始めた・買った・引っ越した」と時期を書いたカードで「〜たばかりです」の代入練習(練習Bの型)。続けて「〜たばかりですから、まだ〜ません」「〜たばかりなのに、もう〜」の後半を学生に作らせる。最後に、新しい物が壊れた・まだ慣れていないことを説明する場面のやり取り(練習Cの型)。時間の言葉のカードを混ぜ、「ところ」と言えるかどうかもその場で確かめる。

  1. 口頭動詞と時期のカードを出す。「日本へ来る・二か月前」→ 全体で「二か月前に日本へ来たばかりです」、「日本語の勉強を始める・先月」→「先月始めたばかりです」、「このアパートに引っ越す・先週」→「先週引っ越したばかりです」。次に教師が「だから?」と聞いて「〜たばかりですから、まだ〜ません」の後半を足させ、最後に「きのう買う・かさ」で「きのう買ったばかりのかさです」の名詞の形まで個人で言わせる。
  2. ペアAは店の人、Bは買った物が壊れて店に来た客。Bだけが「物・買った時期・どうなったか」のカード(かさ・先週・開かない/自転車・先月・ブレーキがきかない など)を持つ。B「すみません、この〜、〜買ったばかりなのに、もう〜んです」→ A「それは困りましたね。ちょっと見せてください」。Aは聞き取った時期と様子をメモに書いてBに確かめる。2枚で交替する。
  3. 産出「来たばかりの自己紹介」。学習者が、最近始めたこと・来たこと・引っ越したことを一つ選び、「〜たばかりですから、まだ〜」を入れて3文で自己紹介する。聞いた学習者は「いつ〜ましたか」と一つ質問する。教師は、先月や去年と「ところ」を組み合わせていないか、名詞の前で「ばかりの」になっているか、「なのに」の後ろが不満や意外なことになっているかを見る。

つまずきと手当て

  • 「〜たところです」と同じだと思い、先月・去年と組み合わせてしまう(「去年結婚したところです」と言ってしまう)。時間の言葉の二列の板書に戻り、「先月・去年」は「ばかり」の列だけ、と指させる
  • 辞書形や「〜ている」に付ける(「来るばかりです」「食べているばかりです」と言ってしまう)。この課の「ばかり」はた形だけ、と板書で囲む。「〜てばかりいます」(そればかりする)は別の言い方で、この課では扱わない
  • 名詞の前で「の」を落とす(*買ったばかりパソコン)。名詞の前では「ばかりの」、と「ところ」と同じく名詞のように扱うことを板書の二段目で示す

既習の文型との違い

  • 〈V辞書形〉/〈Vて形〉いる/〈Vた形〉ところです(第46課 文型1)「〜たところです」は終わった直後の一点で、「たった今」「ちょうど今」と組みます。「〜たばかりです」は話し手が短いと感じていれば幅があってよく、「先月」「去年」とも組みます。学習者は二つを同じものと覚えて「去年結婚したところです」と言いがちなので、時間の言葉の二列の板書で、「たった今・さっき」は両方、それより前は「ばかり」だけ、と分けます。
  • 〈普通形〉のに、〜(第45課)第45課の「〜のに」は、思っていたことと違う結果への不満や意外さを言います。「〜たばかりなのに」はその前半に「まだ新しい・まだ時間がたっていない」という理由を入れた形で、「新しいから壊れないと思っていた」という期待がはっきりします。後ろに不満や意外なことが来ない文(「買ったばかりなのに、毎日使っています」など)は不自然なので、後ろの内容を確かめさせます。
関連する文型

学習項目 3 〈V辞書形〉/〈Vない形〉ない/〈いA〉/〈なA〉な/Nのはずです

意味・はたらき文型 3

予定・規則・聞いた話などの根拠があって、話し手が「当然そうなる・そうであるに違いない」と判断していることを言う文型です。「たぶん来るでしょう」が推量を言うだけなのに対し、「来るはずです」には「きのう『行きます』と言っていたから」のような根拠があり、話し手の確信が強くなります。自分の意志で決めることには普通使わず(自分で決めた帰国を「来年国へ帰るはずです」とは言いません)、それは第31課の「つもりです」で言います。前に来る形は名詞を説明するときと同じで、な形容詞は「な」、名詞は「の」を付けます。教科書の文型は辞書形・ない形ですが、「もう着いたはずです」のようにた形も使えます。

接続

〈V辞書形〉/〈Vない形〉ない+はずです、〈いA〉はずです、〈なA〉な+はずです、Nの+はずです(名詞を説明する形と同じ)

形
会議は3時に終わるはずです(予定が根拠)あの人はお酒を飲まないはずです(本人がそう言っていた)駅の前のアパートは高いはずです/朝の公園は静かなはずですきょうは日曜日ですから、銀行は休みのはずです

導入

  • 時刻表を根拠として見せる新幹線の時刻表(教師が作った簡単なものでよい)を貼り、「10時に東京を出ますから、12時半に大阪に着くはずです」と、時刻表を指しながら言う。板書は「根拠 → 〜はずです」の矢印。次に時刻表を外して「たぶん着くでしょう」と言い、根拠があると「はず」、無いと「たぶん〜でしょう」になることを二つ並べて見せる。
  • 前に来る形を名詞の説明と並べ、「つもり」と線を引く第8課の「静かな町」、第22課の名詞を説明する形を思い出させ、「はず」は名詞と同じ、と言って「静かなはずです」「休みのはずです」を書く。動詞・い形容詞はそのまま、否定は「ない」まで、と四段の枠にする。最後に「わたし」が主語のカードで「来年国へ帰るつもりです」を出し、「つもり(自分で決める)」と「はず(根拠から判断する)」を左右に並べて線を引く。

板書案

〔根拠〕 ──→ 〜はずです
V辞書形・Vない/いA/なA な/N の + はずです
10時に 出ますから、12時半に 着く はずです。
きょうは 日曜日ですから、銀行は 休みの はずです。
〔赤〕根拠の矢印と「な」「の」 〔青〕根拠が無いとき → たぶん〜でしょう
左:つもり(自分で決める)|右:はず(根拠から判断する)

場面と発話(自作)

  • 友達三人で待ち合わせ。一人がまだ来ないが、きのう電話で「行きます」と言っていた。大丈夫ですよ。きのう「行きます」と言っていましたから、もうすぐ来るはずです。
  • 同僚に「駅の前の銀行へ行きましょう」と言われた。きょうは日曜日だ。きょうは日曜日ですから、銀行は休みのはずですよ。
  • 国の友達に荷物を送った。友達から電話で「まだ届かない」と言われた。おととい送ったので、もう届く日だ。おととい送りましたから、きょうは届くはずです。もう少し待ってください。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

根拠のカード(時刻表・店の休みの案内・友達が言ったこと)と結論のカードを組にして、「〜から、〜はずです」の代入練習(練習Bの型)。動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の順に広げ、否定(来ないはずです)も入れる。次に「〜はいつですか/どこですか」「〜から、〜はずですよ」のペアのやり取りで、根拠を必ず一つ添えて言わせる(練習Cの型)。

  1. 口頭根拠のカードを出して結論を言わせる。時刻表「10:00発・12:30着」→ 全体で「12時半に着くはずです」、カレンダー「日曜日・銀行」→「銀行は休みのはずです」、吹き出し「お酒は飲みません」→「あの人はお酒を飲まないはずです」。続けて品詞を替えるキュー(駅の前のアパート・高い/夜の図書館・静か)で「高いはずです」「静かなはずです」まで個人で言わせ、慣れたら必ず「〜から、」で根拠を前に付けて言わせる。
  2. ペアBだけが予定表(会議の時間・店の休みの日・バスの時刻)を持ち、Aは空欄のある同じ表を持つ。A「会議は何時に終わりますか」→ B「予定表では3時までですから、3時に終わるはずです」。Aは聞いて空欄を埋め、最後に二人で表を見比べる。表を替えて役を交替する。
  3. 産出「心配しないで ロールプレイ」。友達が来ない・荷物が届かない・店がまだ開かない、の場面カードを引き、心配している相手に根拠を一つ挙げて「〜から、〜はずです。もう少し待ちましょう」と安心させる。相手役は「本当ですか」と一度聞き返す。教師は、根拠を言っているか、な形容詞・名詞の「な」「の」が入っているか、自分の意志のことに「はず」を使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 自分の予定・意志に使う(自分で決めた予定を「わたしはあしたテニスをするはずです」と言う)。自分で決めることは「つもり」、と左右の板書に戻す。会社などに決められた予定なら言えることもあるが、初級では「自分の意志は つもり」で止める
  • な形容詞・名詞の接続を落とす(*静かはずです・*休みはずです)。名詞の前と同じ「な」「の」、と四段の枠を指す
  • 根拠のない思いつきに使う(初めて見た人について「あの人は優しいはずです」と言う)。「たぶん〜でしょう」「〜と思います」との違いは「なぜそう言えるかを言えるかどうか」、と根拠の矢印を指して、根拠を一言添えさせる
  • 否定を「はず」のほうに付ける(「来ないだろう」と言いたいのに「来るはずじゃありません」と言う)。意味が変わることがあるので、この課では「来ないはずです」のように前の動詞を否定にする形だけを練習する

既習の文型との違い

  • 〈普通形〉でしょう(第32課)「でしょう」は話し手の推量で、根拠を言わなくても使えます。「はず」は予定・規則・聞いた話から当然そうなると判断するので、「〜から」で根拠を言えるときに使います。形も違い、「でしょう」は「静かでしょう」「休みでしょう」ですが、「はず」は名詞の前と同じで「静かなはずです」「休みのはずです」になるので、学習者は「*静かはずです」のように混ぜやすいです。
  • 〈V辞書形〉/〈Vない形ない〉つもりです(第31課)「つもり」は自分で決めた意志、「はず」は根拠からの判断です。自分で決めた予定を「来年国へ帰るはずです」と言うと、誰かが決めたことのように聞こえるので、自分のことは「つもりです」で言わせます。人のことでも、本人が「行きます」と言っていたなら「行くはずです」と言えます。
  • 〈V辞書形〉/〈Nの〉予定です(第31課)「予定です」は決まっている予定そのものを言い、「はず」はその予定を根拠にした話し手の判断を言います。「会議は3時に終わる予定です」は予定表を読む言い方で、「3時に終わるはずです」は予定表から考えた結論です。根拠の矢印の板書で、「予定」を矢印の左(根拠)、「はず」を右(結論)に置くと分けやすくなります。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は、「〜ところです」「〜たばかりです」と組む時間の言葉(ちょうど・たった今 など)と、荷物が届く・バスが出る・学校を卒業する のように「いつ起こるか」が話題になる動詞、修理や問い合わせの電話の場面で使う語が中心です。時間の言葉は時間の矢印の板書の上に置き、どの言い方と組めるかを語といっしょに見せます。電話の決まった言い方は意味を分解せず、会話の中でかたまりで入れます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • ちょうど(ちょうど) ある時とぴったり同じ時に、ということです。 〜今・〜いい
    友達から「今から行ってもいいですか」と電話が来た。ちょうど仕事が終わった。
    「いいですよ。ちょうど今、仕事が終わったところです。」
  • たった今(たったいま) ほんの少し前、ということです。「さっき」よりもっと近い時です。 〜着いた・〜終わった・〜帰った
    会社に電話がかかってきた。相手が話したい人は、もう帰ってしまった。
    「すみません、たった今帰ったところなんです。」
  • さっき(さっき) 少し前、ということです。きょうの、あまり前ではない時に使います。 〜食べた・〜電話した
    同僚に「お茶を飲みに行きませんか」と誘われた。
    「すみません、さっき飲んだばかりなんです。」
  • 出かけます(でかけます) 用事があって、うちや会社から外へ行きます。 買い物に〜・うちを〜
    母から電話が来た。かばんを持って、くつをはいたところだ。
    「ごめん、今から出かけるところなんだ。あとで電話するね。」
  • 着きます(つきます) 行こうとしていた場所に行きます。 駅に〜・空港に〜・うちに〜
    迎えに来る友達に、電車の中からメールを書く。
    「3時に駅に着くはずです。改札の前で待っていてください。」
  • 届きます(とどきます) 送った物や手紙が、相手のところへ行きます。 荷物が〜・手紙が〜・メールが〜
    国の家族に荷物を送った。家族から「まだ来ない」と電話があった。
    「おととい送りましたから、あしたには届くはずだよ。」
  • 故障します(こしょうします) 機械が壊れて、ちゃんと動かなくなります。 エアコンが〜・車が〜
    先月買った洗濯機が動かない。店に電話する。
    「先月買ったばかりなのに、洗濯機が故障したんです。」
  • 直します(なおします) 壊れた物を、また使えるようにします。 自転車を〜・パソコンを〜
    きのう店で直してもらった自転車から、また変な音がする。同じ店に持って行く。
    「きのう直してもらったばかりなのに、また音がするんです。」
  • 卒業します(そつぎょうします) 学校の勉強を全部終わって、学校を出ます。 大学を〜・高校を〜
    会社の新しい同僚に、仕事のことを聞かれた。
    「春に大学を卒業したばかりですから、まだわからないことが多いです。」
  • 引っ越します(ひっこします) 住む所を変えて、新しいうちへ移ります。 新しいアパートに〜・東京へ〜
    隣の部屋の人にあいさつする。
    「先週引っ越したばかりの森です。よろしくお願いします。」
  • 始まります(はじまります) 会議や授業などが、その時からあります。 会議が〜・授業が〜・映画が〜
    友達から電話が来た。映画館の席に座ったところだ。
    「ごめん、今から映画が始まるところなんだ。」
  • 休み(やすみ) 仕事や学校、店などがない日のことです。 店が〜だ・あしたは〜
    同僚が「きょう郵便局へ行きます」と言った。きょうは祝日だ。
    「きょうは祝日ですから、郵便局は休みのはずですよ。」

会話の扱い

会話は、修理してもらったばかりの物の具合がまた悪くなり、電話で修理を頼む流れです。題の「〜たばかりなのに」が芯で、第45課の「〜のに」(思っていたことと違って不満だ)と文型2が一つになった形です。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、何を、いつ直してもらって、いまどうなっているかだけを聞いて確かめます。役割を替えて二回読んだら、故障した物を学生の身近な物(エアコン・洗濯機・自転車 など)に入れ替えて再現させます。電話のはじめと終わりの決まった言い方は、意味を分解せずかたまりで入れます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

宿題は問題の文法部分と、自分の一日から三つの時点を選んで「〜ところです」で書く文(前・途中・あと 各一つ)、「〜たばかりですから/なのに」の文二つ、「〜から、〜はずです」の文一つ。次のコマの最初に、時間の言葉のカードを見せて「ところ」と「ばかり」のどちらと使えるかを答える短い確認(6問ほど)をしてから作文を発表させ、第47課の「〜そうです」「〜ようです」につなぐ。「はず」の根拠の矢印の板書は、第47課で見たことや聞いたことから判断する言い方と比べるときにまた使うので、写真に撮っておく。

よくある質問

  • 第46課の「〜たところです」と「〜たばかりです」の違いはどう教えればいいですか?

    時間の矢印を一本引き、「ところ」は終わった直後の一点、「ばかり」はその点からの話し手の気持ちで短い幅、と描いて見せます。そのうえで時間の言葉を二列に分け、「たった今・さっき」は両方、「先週・先月・去年」は「ばかり」だけと板書します。説明よりも、学生の日本へ来た時期を使って「来たばかりですね」と言ってみせるほうが早く伝わります。

  • 「〜ているところです」と「〜ています」の違いは何ですか?

    「〜ています」はいま動作をしているという事実を言い、「〜ているところです」はちょうどその最中だと時点を取り立てて言います。電話や来客に「今、手が離せない」と返す場面で使うのが自然です。「ところ」は今の一点だけなので、習慣や職業(第15課・第28課の「〜ています」)には使いません。

  • 「〜はずです」と「〜でしょう」「〜つもりです」はどう区別させますか?

    「はず」は根拠があって当然そうなると判断する言い方なので、練習では必ず「〜から、」で根拠を前に付けさせます。根拠を言えないときは第32課の「たぶん〜でしょう」です。自分で決めることは第31課の「つもり」で言い、「はず」は使わない、と左右に分けた板書で示します。

  • 第46課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と「〜ところです」「〜たばかりです」まで、2コマ目は「〜はずです」と会話、練習C・問題です。「ところ」の三つの形の取り違えが多いクラスでは、2コマ目の最初に時間の言葉のカードで短い確認を入れてから進みます。

  • 「〜ところです」の板書はどう組みますか?

    黒板に横向きの時間の矢印を引き、三つの点に「前」「途中」「あと」と書きます。それぞれの点の上に「辞書形+ところです」「〜ている+ところです」「た形+ところです」、下に「今から」「今」「たった今」を置きます。この矢印は文型2の「ばかり」の幅を描くときにもそのまま使うので、消さずに残しておきます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。