動作がいまどの段階にあるか(始まる直前・途中・終わった直後)を「〜ところです」で言い、終わってからまだ時間がたっていないと話し手が感じていることを「〜たばかりです」で言い、根拠があって当然そうなると判断していることを「〜はずです」で言う課です。三つとも、事実をそのまま言うのではなく、時間や判断について話し手がどう捉えているかを足す言い方です。「〜たところです」は終わった直後の一点、「〜たばかりです」は話し手の気持ちで短いという線引きと、「〜はずです」は根拠のある判断で、自分の意志には使わないことを、時間の矢印と予定表を使った場面で押さえるのが芯です。会話は修理してもらったばかりの物がまた故障して電話する流れで、第45課の「〜のに」とつながります。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習とつなぎ) | 10分 | 第14課の「〜ています」(今している)と第31課の「まだ〜ていません」を絵カードで数枚回す。「まだ食べていません」「食べています」「もう食べました」を時間の矢印の上に並べて書き、今日は「その前・途中・あと」を一つの言い方で言う、とだけ言う |
| 文型1(〜ところです) | 45分 | 教師がチョークを持って黒板の前に立ち、書く前・書いている途中・書き終わった直後で動作を止めて「書くところです/書いているところです/書いたところです」。板書は時間の矢印に三つの点。電話で「今いいですか」と聞かれて「今〜ところです」と答える場面まで |
| 文型2(〜たばかりです) | 35分 | 学生に日本へ来た時期を聞き、三か月前でも一年前でも「まだ来たばかりですね」と言えることを見せる。文型1の矢印の「あと」の一点と、「ばかり」の幅を並べて描き、時間の言葉(たった今・さっき/先週・先月)を二列に分ける。「買ったばかりのN」「〜たばかりなのに」も出す。1コマ目はここまで |
| 文型3(〜はずです) | 45分 | 時刻表・店の休みの案内・友達の言ったことのカードを根拠として見せて「12時に着くはずです」「休みのはずです」。根拠を指しながら言い、「たぶん〜でしょう」と並べて根拠のある判断だと示す。自分の予定は「つもり」と左右に分けて線を引く。2コマ目はここから。最初の5分で時間の言葉のカードを見せ、「ところ」と「ばかり」のどちらと使えるかを確かめてから入る |
| 会話 | 20分 | 修理してもらったばかりの物の具合がまた悪くなり、電話で修理を頼む流れ。「〜たばかりなのに」で第45課の「のに」とつなぐ。流れをつかんだら、故障した物を学生の身近な物に入れ替えて再現させる |
| 練習C・問題 | 25分 | 練習Cは「今いいですか→今〜ところです」「〜たばかりなのに」「〜から、〜はずです」の三つの場面でペアのやり取り。問題は聞き取りを教室で、文法の部分は宿題に |
ここでの「ところ」は場所ではなく、時間の流れの中の「点」を言います。辞書形に付くと動作が始まる直前(これから出かけるところです)、「〜ている」に付くと動作のちょうど途中(今、ご飯を食べているところです)、た形に付くと動作が終わった直後(たった今着いたところです)を表します。相手に「いま自分がどの段階にいるか」を伝えたいときの言い方で、電話や来客で「今いいですか」と聞かれて答える場面によく使います。「〜ています」が今している事実を言うのに対し、「〜ているところです」は「ちょうどその最中だ」とその時点を取り立てて言う感じがあります。
〈V辞書形〉ところです(直前)/〈Vて形〉いるところです(途中)/〈Vた形〉ところです(直後)。「ところ」は名詞なので「ところでした」「ところなんです」とも言える
時刻と動作を組にした絵カード(「7:00 起きる」など)を使い、教師が言う時刻に合わせて三つの形のどれかで答える代入練習(練習Bの型)。次に「今いいですか」「すみません、今〜ところなんです」「じゃ、あとでまた電話します」の電話のやり取りをペアで回す(練習Cの型)。形を取り違えたら、矢印の「前・途中・あと」の点を指させて選び直させる。
動作が終わってから、まだあまり時間がたっていないと話し手が感じていることを言う文型です。「〜たところです」が終わった直後のその時点だけを言うのに対し、「〜たばかりです」は話し手の気持ちで決まるので、「先月日本へ来たばかりです」「去年結婚したばかりです」のように、時間がかなりたっていても使えます。そのため「まだ慣れていない」という理由や、「まだ新しいのに」という不満の前置きによく使われ、「買ったばかりなのに、もう壊れました」のように第45課の「のに」と結びつきやすい形です。「〜たばかりのN」で名詞を説明することもできます。
〈Vた形〉ばかりです。名詞の前では「〈Vた形〉ばかりのN」、理由・逆接では「〜たばかりですから」「〜たばかりなのに」
「来た・始めた・買った・引っ越した」と時期を書いたカードで「〜たばかりです」の代入練習(練習Bの型)。続けて「〜たばかりですから、まだ〜ません」「〜たばかりなのに、もう〜」の後半を学生に作らせる。最後に、新しい物が壊れた・まだ慣れていないことを説明する場面のやり取り(練習Cの型)。時間の言葉のカードを混ぜ、「ところ」と言えるかどうかもその場で確かめる。
予定・規則・聞いた話などの根拠があって、話し手が「当然そうなる・そうであるに違いない」と判断していることを言う文型です。「たぶん来るでしょう」が推量を言うだけなのに対し、「来るはずです」には「きのう『行きます』と言っていたから」のような根拠があり、話し手の確信が強くなります。自分の意志で決めることには普通使わず(自分で決めた帰国を「来年国へ帰るはずです」とは言いません)、それは第31課の「つもりです」で言います。前に来る形は名詞を説明するときと同じで、な形容詞は「な」、名詞は「の」を付けます。教科書の文型は辞書形・ない形ですが、「もう着いたはずです」のようにた形も使えます。
〈V辞書形〉/〈Vない形〉ない+はずです、〈いA〉はずです、〈なA〉な+はずです、Nの+はずです(名詞を説明する形と同じ)
根拠のカード(時刻表・店の休みの案内・友達が言ったこと)と結論のカードを組にして、「〜から、〜はずです」の代入練習(練習Bの型)。動詞・い形容詞・な形容詞・名詞の順に広げ、否定(来ないはずです)も入れる。次に「〜はいつですか/どこですか」「〜から、〜はずですよ」のペアのやり取りで、根拠を必ず一つ添えて言わせる(練習Cの型)。
この課の新出語は、「〜ところです」「〜たばかりです」と組む時間の言葉(ちょうど・たった今 など)と、荷物が届く・バスが出る・学校を卒業する のように「いつ起こるか」が話題になる動詞、修理や問い合わせの電話の場面で使う語が中心です。時間の言葉は時間の矢印の板書の上に置き、どの言い方と組めるかを語といっしょに見せます。電話の決まった言い方は意味を分解せず、会話の中でかたまりで入れます。
会話は、修理してもらったばかりの物の具合がまた悪くなり、電話で修理を頼む流れです。題の「〜たばかりなのに」が芯で、第45課の「〜のに」(思っていたことと違って不満だ)と文型2が一つになった形です。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、何を、いつ直してもらって、いまどうなっているかだけを聞いて確かめます。役割を替えて二回読んだら、故障した物を学生の身近な物(エアコン・洗濯機・自転車 など)に入れ替えて再現させます。電話のはじめと終わりの決まった言い方は、意味を分解せずかたまりで入れます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題は問題の文法部分と、自分の一日から三つの時点を選んで「〜ところです」で書く文(前・途中・あと 各一つ)、「〜たばかりですから/なのに」の文二つ、「〜から、〜はずです」の文一つ。次のコマの最初に、時間の言葉のカードを見せて「ところ」と「ばかり」のどちらと使えるかを答える短い確認(6問ほど)をしてから作文を発表させ、第47課の「〜そうです」「〜ようです」につなぐ。「はず」の根拠の矢印の板書は、第47課で見たことや聞いたことから判断する言い方と比べるときにまた使うので、写真に撮っておく。
第46課の「〜たところです」と「〜たばかりです」の違いはどう教えればいいですか?
時間の矢印を一本引き、「ところ」は終わった直後の一点、「ばかり」はその点からの話し手の気持ちで短い幅、と描いて見せます。そのうえで時間の言葉を二列に分け、「たった今・さっき」は両方、「先週・先月・去年」は「ばかり」だけと板書します。説明よりも、学生の日本へ来た時期を使って「来たばかりですね」と言ってみせるほうが早く伝わります。
「〜ているところです」と「〜ています」の違いは何ですか?
「〜ています」はいま動作をしているという事実を言い、「〜ているところです」はちょうどその最中だと時点を取り立てて言います。電話や来客に「今、手が離せない」と返す場面で使うのが自然です。「ところ」は今の一点だけなので、習慣や職業(第15課・第28課の「〜ています」)には使いません。
「〜はずです」と「〜でしょう」「〜つもりです」はどう区別させますか?
「はず」は根拠があって当然そうなると判断する言い方なので、練習では必ず「〜から、」で根拠を前に付けさせます。根拠を言えないときは第32課の「たぶん〜でしょう」です。自分で決めることは第31課の「つもり」で言い、「はず」は使わない、と左右に分けた板書で示します。
第46課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習と「〜ところです」「〜たばかりです」まで、2コマ目は「〜はずです」と会話、練習C・問題です。「ところ」の三つの形の取り違えが多いクラスでは、2コマ目の最初に時間の言葉のカードで短い確認を入れてから進みます。
「〜ところです」の板書はどう組みますか?
黒板に横向きの時間の矢印を引き、三つの点に「前」「途中」「あと」と書きます。それぞれの点の上に「辞書形+ところです」「〜ている+ところです」「た形+ところです」、下に「今から」「今」「たった今」を置きます。この矢印は文型2の「ばかり」の幅を描くときにもそのまま使うので、消さずに残しておきます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。