人から聞いたこと・読んだことを伝える「〈普通形〉そうです」と、見たこと・聞こえたことから自分で判断する「〜ようです」を扱う課です。どちらも文の終わりに付いて話し手の「確かさ」の度合いを表しますが、情報の出どころが違います。最大の山は、第43課で習った様態の「降りそうです・おいしそうです」と、この課の伝聞の「降るそうです・おいしいそうです」が同じ「そうです」で接続だけが違うことで、ここを板書の二列で最初に分けておかないと、あとの課まで混乱が残ります。「〜ようです」は、な形容詞が「な」、名詞が「の」になる接続を、第26課の「んです」の板書と並べて確かめます。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習とつなぎ) | 10分 | 第43課の様態の「そうです」を絵カードで数枚回す(雨が降りそうです・このケーキはおいしそうです)。続けて第33課の「〜と言っていました」で、教師が学生から聞いたことを伝える。「聞いたことを伝える言い方はもう一つある」と言ってこの課に入る |
| 文型1(〈普通形〉そうです) | 45分 | スマートフォンのニュース画面や新聞の写真を見せて「ニュースによると、あした雨が降るそうです」。普通形の四列にそのまま「そうです」を付ける板書。な形容詞と名詞は「だ」が残ることを赤で示す |
| 様態と伝聞の比べ(第43課との違い) | 35分 | 黒板を二列に分け、左に第43課(降りそうです・おいしそうです・元気そうです)、右にこの課(降るそうです・おいしいそうです・元気だそうです)。同じ絵を見せて「見て思う」か「聞いた」かを学生に選ばせる。ここで十分時間を取る。1コマ目はここまで。終わりに同じ絵カードで「見て思う/聞いた」を1分で言い分けさせる |
| 文型2(〜ようです) | 45分 | 2コマ目の最初に二列の板書を書き直し、3分で様態と伝聞を確かめてから入る。教室の外の音・ぬれた傘・電気の消えた部屋の写真などで「どうも〜ようです」。な形容詞は「な」、名詞は「の」になる接続を、第26課の「んです」の板書(名詞も「な」)と並べて違いを示す。「音/声/におい/味がします」もここで場面の材料として入れる |
| 会話 | 20分 | 知り合いの婚約の知らせを人から聞いて話題にする流れ。「〜そうです」で聞いたことを伝え、相手の驚きや感想と区別させる |
| 練習C・問題 | 25分 | 練習Cは「ニュースを伝える」「様子から判断する」の二つの場面をペアで。問題の聴解は教室で、文法の書く問題は宿題に |
ニュース・新聞・人の話など、ほかから得た情報を、自分の判断を加えずにそのまま相手に伝える言い方です(伝聞)。話し手は「わたしはそう聞いた」と言っているだけなので、内容が本当かどうかの責任は情報の出どころにあります。だれから聞いたか・どこで読んだかは「〜によると」「〜の話では」で文の前に置くことが多いです。第33課の「〜と言っていました」はある人が言ったことを伝えるのに対して、「〜そうです」はニュースや一般の情報にも広く使えます。
普通形+そうです(V: 降るそうです・降らないそうです・降ったそうです/いA: 寒いそうです・寒かったそうです/なA: 静かだそうです/N: 雨だそうです。なA・N の「だ」は残る。「そう」の部分は過去・否定にしない(*降るそうでした、*降るそうじゃありません)。否定や過去は前の普通形で言う)
情報源の絵カード(テレビ・新聞・先生・友達)と内容の絵カード(雪・地震・休み・店ができた など)を組み合わせて、「〜によると、〜そうです」の代入練習(練習Bの型)。な形容詞と名詞のカードを多めに混ぜ、「だそうです」を何度も言わせる。次に、各自がスマートフォンで見た最近のニュースを一つ選び、ペアの相手に「〜によると、〜そうです」で伝え、相手は「そうですか。〜」と感想を返す(練習Cの型)。
見たこと・聞こえたこと・においなど、その場の様子を手がかりにして、話し手が「たぶんこうだ」と判断する言い方です(推量)。はっきり確かめたわけではないので断定は避けますが、手がかりがあるぶん、ただの想像よりは根拠がある言い方になります。「どうも」を前に置くと「よく分からないが、どうも〜らしい」という気持ちが強まります。第32課の「〜でしょう」が予想や見通しを言うのに対して、「〜ようです」は目の前の手がかりから判断していることが前に出ます。
普通形+ようです(V: 降るようです・降らないようです・降ったようです/いA: 寒いようです/なA: 静かなようです〔だ→な〕/N: 留守のようです〔だ→の〕。過去は「静かだったようです」「留守だったようです」でそのまま)
状況の絵カード(ぬれた道・店の前の行列・消えた電気・赤い顔・閉まったシャッター など)を見せて「〜ようです」の代入練習(練習Bの型)。な形容詞・名詞になる絵(静かな教室・休みの店・病気の人)を混ぜて、「な」「の」を何度も言わせる。次に、教師が教室の外で物音を立てたり、においのある物(コーヒー・カレーの粉)を持ってきたりして、学生が「〜がしますね。〜ようです」と判断を言い合う(練習Cの型)。最後に文型1と混ぜて、カードの裏に「聞いた」「見た」と書き、どちらの言い方を使うかを選ばせる。
この課の新出語は、伝聞の材料になる知らせや出来事の語(事故・地震・婚約 など)と、「〜ようです」の手がかりになる感覚の語(音・声・におい・味と「〜がします」)が中心です。「〜によると」と「どうも」は単語として説明せず、それぞれ文型1・文型2の文の中で、文ごと口に入れます。「においがします」「音がします」は、「見えます・聞こえます」(第27課)と同じく自然に感じるものを「が」で言う形として並べて見せると入りやすいです。
会話は、知り合いが婚約したという知らせを人から聞いて、それを話題にする流れの課です(細部は手元の教科書で確かめてください)。芯は題にもなっている「婚約したそうです」で、話し手が自分で確かめたことではなく聞いたことを伝えている点を、聞き手の驚きや感想の言い方と分けて気づかせます。最初はCDか教師の読みで「だれが、何を、だれから聞いたか」だけをつかませ、役割を替えて二回読んだら、知らせの部分を学生が考えた別の知らせ(だれかが国へ帰る・引っ越す・赤ちゃんが生まれた など)に置き換えて再現させます。うわさ話になりやすい題材なので、置き換えはクラスにいない架空の人で行います。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題は問題の文法部分と、「最近のニュース」を一つ選んで「〜によると、〜そうです」で三文、身の回りの様子から判断したことを「〜ようです」で二文書くこと。次のコマの最初に、様態・伝聞・ようです の三列の接続をカードテスト(「雨・降る」「おいしい」「静か」「留守」を三つの形に)で確かめてから宿題を発表させ、第48課につなぐ。三列の板書は伝聞と推量の確認に以後も使うので、写真に撮っておく。
第47課の伝聞の「そうです」と第43課の様態の「そうです」は、どう区別させればいいですか?
黒板を二列に分け、左に様態(降りそうです・おいしそうです・元気そうです)、右に伝聞(降るそうです・おいしいそうです・元気だそうです)を並べて、接続の違いを最初に見せます。そのうえで同じ絵カードを見せ、「見て思った」か「人から聞いた」かを学習者に選ばせてから言わせます。この確認は1回で終わらせず、2コマ目の最初と練習Cの前にも入れます。
「〜ようです」と伝聞の「〜そうです」の違いは、どう説明しますか?
「〜そうです」は人の話やニュースをそのまま伝えるだけで、話し手は判断していません。「〜ようです」は、自分が見たこと・聞こえたこと・においなどの手がかりから、話し手が「たぶんこうだ」と判断しています。説明を重ねるより、カードの裏に「聞いた」「見た」と書いて選ばせるほうが早く定着します。
「〜ようです」で名詞が「の」、な形容詞が「な」になるのは、どう覚えさせますか?
普通形の四列を書き、「だ」を消して、な形容詞に「な」、名詞に「の」を赤で書きます。隣に第26課の「〜んです」(名詞も「な」)と、この課の「〜そうです」(「だ」が残る)の列を並べ、名詞の行だけを指して比べさせます。「静か・留守・雨・休み」を三つの形に変えるカードテストを、次のコマの最初にも短く入れます。
「雨が降るそうでした」のような誤りは、どう直しますか?
「そう」の部分は過去にも否定にもならない、と板書の右端に書いて固定します。過去のことは前の普通形で「降ったそうです」、否定は「降らないそうです」と言い直させます。「降りますそうです」のように丁寧形に付ける誤りも、普通形の四列に戻して直します。
第47課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と文型1「〈普通形〉そうです」、第43課の様態との比べまで、2コマ目は文型2「〜ようです」と会話、練習C・問題です。様態と伝聞の区別が弱いクラスでは、比べの時間を延ばし、問題の書く部分を宿題に回します。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。