目で見たようすから判断を言う、様態の「そうです」の課です。動詞のます形に付けて「雨が降りそうです」と「もうすぐそうなりそうだ」という見通しを、形容詞に付けて「おいしそうです」「元気そうです」と「見た感じ」を言えるようになります。あわせて「ちょっと飲み物を買って来ます」のように、行って用事をして戻ってくることを一言で言う「〜て来ます」を扱います。この「そうです」は見たことからの判断で、人から聞いた話ではないという一点を最初にはっきりさせておくと、第47課の伝聞の「そうです」と出会ったときに崩れません。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習とつなぎ) | 10分 | 第32課の「〜でしょう」「〜かもしれません」を天気の絵で数枚回す。「天気予報で聞いたこと」と「いま空を見て思うこと」は違う、と言ってから、黒い雲の写真を見せて「雨が降りそうです」と言ってみせる |
| 文型1(Vます形そうです) | 35分 | 黒い雲・机の端の本・取れかけのボタンの絵で「〜そうです」。ます形から「ます」を取って「そうです」を付ける板書の枠を作り、「もうすぐ」「今にも」をいっしょに添える |
| 文型2(い形容詞・な形容詞そうです) | 50分 | 料理の写真・人の表情の写真で「おいしそうです」「元気そうです」。い形容詞は「い」を取る、な形容詞は「な」を取る、を色分けして板書し、「いい→よさそう」「ない→なさそう」を別枠に。名詞の前「〜そうなN」、動詞の前「〜そうにV」まで広げる |
| 「見て分かること」との線引き | 15分 | 赤いりんごの写真を見せ、「赤いです」とは言うが「赤そうです」とはふつう言わない、と一行で線を引く。見ればすぐ分かることには使わない。人の気持ちは「うれしそうです」で言う、を写真の人で確かめる |
| 文型3(Vて形来ます) | 30分 | 教師が「ちょっとコピーして来ます」と言って教室を出て、紙を持って戻る。「行きます→します→来ます」を往復の矢印で板書し、第13課の「〜に行きます」と並べる |
| 会話・練習C | 30分 | 会話は人のようすを見て話す流れなので、写真を使って「〜そうですね」と言い合う場面に置き換えて再現。練習Cは「料理・人・天気」の「そうです」と、「ちょっと〜て来ます」で席を外す場面の二本 |
| 問題 | 10分 | 聞き取りは教室で。「見た感じ」の「そうです」だけで解ける形なので、伝聞の話は持ち込まない。文法の書く問題は宿題に |
目の前のようすを見て、「もうすぐそうなる」「このままだとそうなる」と話し手が判断していることを言う文型です。黒い雲を見て「雨が降りそうです」、机の端に置いた本を見て「落ちそうです」のように、まだ起こっていないことの見通しを言います。根拠は話し手がいま見ているようすで、人から聞いた話ではありません。「今にも」「もうすぐ」といっしょに使うことが多く、名詞の前では「〜そうなN」の形になります。文法の用語では、話し手の判断を表すモダリティの一つで、「様態」の「そうだ」と呼ばれます。第47課の伝聞の「そうだ」とは付く形が違い(降りそう/降るそう)、教師向けの試験や参考書でもこの二つは並べて説明されます。
Vます形(「ます」を取った形)+そうです(降ります→降りそうです、落ちます→落ちそうです)
絵カード(黒い雲・傾いたコップ・切れかけのひも・倒れかけの自転車)で「降ります→降りそうです」の言い換え(練習Bの型)を、ます形の確認もかねて10枚。次に一枚の絵を見せて「どうなりそうですか」と聞き、学生が「〜そうですよ」「〜ましょうか」と気づいて声をかけるやり取り(練習Cの型)にする。
物や人のようすを見て、「見た感じ、〜だと思う」と言う文型です。ケーキを見て「おいしそうです」、友達の顔を見て「元気そうです」のように、まだ確かめていないこと(食べていない味、本人に聞いていない気持ち)を見た目から判断して言います。とくに他の人の気持ちは本人でなければ分からないので、「うれしいです」「寂しいです」と言い切らず、「うれしそうです」「寂しそうです」と言うのが自然です。反対に、色や形のように見ればすぐ分かることには、ふつう使いません。「〜そう」はな形容詞と同じように活用し、名詞の前では「〜そうなN」、動詞の前では「〜そうにV」になります。文法の用語では、イ形容詞・ナ形容詞の語幹に付く様態の「そうだ」で、「いい」「ない」だけが「よさそう」「なさそう」と形を変えます。また「うれしい」「寂しい」のような気持ちの形容詞は、言い切りの形ではふつう話し手自身のことにしか使わない(感情形容詞の人称の制限)ので、他の人の気持ちを言うときはこの形が受け皿になります。
いA(「い」を取る)+そうです(おいしい→おいしそうです)/なA(「な」を取る)+そうです(元気な→元気そうです)。いい→よさそうです、ない→なさそうです は形が変わる
写真カード(料理・荷物・人の表情・部屋)で「〜は〜そうです」の言い換え(練習Bの型)を、い形容詞・な形容詞・いい/ない を混ぜて12枚。続けて「〜そうなN」「〜そうにV」の言い換えを数枚。最後に、学生が持ってきた写真を見せ合い、「この人は〜そうですね」「この料理は〜そうですね」と言い合うやり取り(練習Cの型)にする。
どこかへ行って、そこで何かをして、また今いる場所へ戻ってくる、という一続きの動きを一言で言う文型です。「ちょっと飲み物を買って来ます」は「行く→買う→戻る」をまとめた言い方で、席や部屋を少しの間離れるときによく使います。「来ます」は「戻ってくる」の意味なので、今いる場所に戻ることが前提です。「〜て来ました」は、もう用事をして戻ったことを言います。「来ます」は話し手のいる場所に近づく動きを表す語なので(ダイクシス)、話し手のいる所に戻らない用事には使いません。
Vて形+来ます(買って来ます、コピーして来ます、見て来ました)。用事をする場所は「〈場所〉で」で添える
場所と用事の絵カード(コンビニ・パン/郵便局・切手/図書館・本を返す)で「〈場所〉で〜を〜て来ます」の言い換え(練習Bの型)を8枚。次に「どこへ行くんですか」「ちょっと〜て来ます」と、席を外す人と残る人のやり取り(練習Cの型)にし、「何か要りますか」「じゃ、〜をお願いします」まで続けさせる。
この課で扱う語は、「そうです」の材料になる形容詞(気持ちや見た感じを表す語)と、物のようすを表す動詞(落ちます・取れます のような語)が中心です。形容詞は写真カードと組にして「〜そうです」の形で何度も言わせ、動詞は ます形→「〜そうです」の1組で覚えさせます。人の気持ちを表す語は、本人が言う「〜です」と、人を見て言う「〜そうです」を並べて出すと、文型2のつまずきが減ります。
会話は、題のとおり、ある人のようすを見て「楽しそうです」と話す流れで、見たことから判断する「〜そうです」が芯になります。最初はCDか教師の読みで、誰のようすを、何を見て「そうです」と言っているのかをつかませます。役割を替えて二回読んだら、話題の人を学生の家族や友達の写真に置き換えて、「〜さんは〜そうですね」「ええ、毎日〜」と再現させます。写真を見ながら話す場面に限ると、人から聞いた話の言い方が混ざらず、第47課の伝聞との区別も保てます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題は問題の文法部分と、写真を1枚選んで「この人/この料理/この部屋は〜そうです」を三文(い形容詞・な形容詞・「〜そうなN」を一つずつ)と、「〜て来ます」を使って席を外すときの一言を一つ書くこと。次のコマの最初に「そうです」のカードテスト(形容詞→「〜そうです」10語・よさそう/なさそう を含む)をしてから写真の文を発表させ、第44課の「〜すぎます」「〜やすい/にくい」につなぐ。「い・な を消す」枠は第44課の「〜すぎます」でも同じ形なので、板書を残しておく。
第43課の「そうです」と第47課の「そうです」はどう区別して教えますか?
第43課は見たようすからの判断で、ます形や形容詞の「い・な」を取った形に付きます。第47課は人から聞いた話で、普通形に付きます(降りそうです/降るそうです、おいしそうです/おいしいそうです)。第43課では伝聞を持ち込まず、「見て思う」の枠を板書に残しておき、第47課で二つを並べて形と根拠の違いを整理すると崩れにくくなります。
「雨が降りそうです」と「雨が降るでしょう」の違いは何ですか?
「降りそうです」はいま見ている空のようすが根拠で、もうすぐ起こりそうなことを言います。「降るでしょう」は天気予報や知識からの推量で、目の前に根拠がなくても言えます。教室では黒い雲の写真と天気予報の画面を並べ、どちらの根拠でどちらの文を言うかを選ばせると分かりやすくなります。
「いい」と「ない」の「そうです」はどう見せればいいですか?
「いい → よさそうです」「ない → なさそうです」の二つだけを、規則の枠とは別の枠に板書します。「い」を消すだけだと「*いそうです」「*なそうです」になってしまうので、「この二つだけ形が違う」とはっきり言い、「この店はよさそうです」「時間がなさそうです」のような短い文で口に慣らします。宿題のカードテストにも必ず入れます。
人の気持ちを言うとき、なぜ「うれしそうです」と言うのですか?
日本語では「うれしい」「寂しい」のような気持ちの形容詞を、言い切りの形ではふつう話し手自身の気持ちにしか使わないからです(感情形容詞の人称の制限)。他の人の気持ちは本人でなければ分からないので、見たようすとして「うれしそうです」と言います。教室では学生が「この人はうれしいです」と言ったら「本当? 聞きましたか?」と返し、言い直させます。
第43課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は復習のあと文型1「〈Vます形〉そうです」と文型2の基本(い形容詞・な形容詞・よさそう/なさそう)まで。2コマ目は「見て分かること」との線引き、文型3「〈Vて形〉来ます」、会話と練習C、問題です。形容詞の数が多いクラスでは、2コマ目の最初に「そうです」のカードテストを入れると定着が確かめられます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。