みんなの日本語 初級Ⅱ 第42課「ボーナスは何に使いますか」の教案
『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 本冊』 ・ 会話「ボーナスは何に使いますか」
目的を言う課です。「家を買うために、貯金しています」で何のために何をするかを、「このはさみは紙を切るのに使います」で道具や物が何の役に立つかを、「駅まで行くのに30分かかります」で何をするのにどれだけの時間やお金が要るかを言えるようにします。新しい活用形は出ないので、時間の大半は「ために」と第36課の「ように」の線引き、それに三つの「のに」の使い分けにあてます。「ために」の前は自分の意志でする動作、「ように」の前は自分では決められないこと、の一本の線を板書に残しておくのがこの課の芯です。後の第45課で逆接の「のに」が出るので、この課の「のに」は「〜するのに使う・〜するのにかかる」のように、後ろの語と組にして覚えさせます。
このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目3時間90分×2コマ
この課のねらい(Can-do)
- 「国へ帰るために、お金をためています」のように、自分が何のために何をしているかを言える
- 「家族のために働いています」で、だれのためにする行為かを言える
- 「このかばんは旅行に便利です」「この箱は物を入れるのに使います」で、物が何の役に立つかを説明できる
- 「家を建てるのに、お金がたくさんかかります」で、ある目的に必要な時間やお金を言い、たずねられる
進め方と時間配分
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
| 導入(復習とつなぎ) | 15分 | 第36課の「〜ように」を絵カードで2〜3枚回し(漢字が読めるように毎日練習します など)、「今日は、自分で決めてする目的の言い方」とだけ言う。学生に「どうして日本語を勉強していますか」と聞いて、答えを黒板に書きためておく |
| 文型1(〜ために) | 45分 | 書きためた答えを「〜ために、日本語を勉強しています」に組み替えて板書。次に「Nのために」で、目的(健康のために)と、だれかの役に立つ(家族のために)の二つを見せる。最後に「ように」と並べて線を引く |
| 文型2(〜のに/Nに 使います・便利です) | 35分 | はさみ・ふた・袋などの実物を出して「これは何に使いますか」。「紙を切るのに使います」と答え、動詞のときは「の」を入れること、名詞のときは「Nに」で済むことを並べて示す。「便利です」「いいです」「役に立ちます」に広げる |
| 文型3(〜のに/Nに かかります) | 35分 | 第11課の「〜から〜まで〜かかります」を思い出させてから、地図と値段のカードで「駅まで行くのに15分かかります」「家を建てるのにお金がたくさんかかります」。時間とお金の両方、「どのくらいかかりますか」の質問まで |
| 会話 | 25分 | ボーナスの使い道を話す流れで、「〜ために」で何のためにお金を使う・ためるかが出てくる。流れをつかんだら、使い道の部分を学生自身の計画に入れ替えて再現させる |
| 練習C・問題 | 25分 | 練習Cは「何のために〜か」「これは何に使うか」「〜のにどのくらいかかるか」の三つの場面でペアのやり取り。問題は聞き取りを教室で、文法の部分は宿題に |
学習項目 1 〈V辞書形〉/〈Nの〉ために、Vます
意味・はたらき文型 1
「〜ために」の前に目的を、後ろにその目的のためにする動作を言う文型です。「国へ帰るために、お金をためています」のように、前も後ろも同じ人が自分の意志でする動作になるのが基本で、前の動詞は辞書形を使います。名詞のときは「Nのために」で、「健康のために、毎朝走ります」のような目的のほかに、「家族のために、働きます」のように「その人の役に立つように・その人を思って」という意味にもなります。第36課の「〜ように」も目的を言いますが、「ように」の前は「読める」「忘れない」「上手になる」のように自分の意志だけでは決められないことが来る、という点で分かれます。
接続
V辞書形+ために/N+の+ために、(後ろは自分の意志でする動作)。前と後ろの主語は同じ
形
国へ帰るために、お金をためています日本の大学に入るために、毎日勉強しています健康のために、毎朝30分歩きます(目的)家族のために、一生懸命働きます(だれかの役に立つ)
導入
- 学生の「どうして」を組み替える「どうして日本語を勉強していますか」と学生に聞き、「日本で働きたいですから」「日本の大学に入りたいですから」などの答えを黒板に書く。それを教師が「日本で働くために、日本語を勉強しています」と言い直して、「〜たいですから」の部分が辞書形+ために に変わるのを線で結んで見せる。板書の枠は「[目的:V辞書形]ために、[すること]」。
- 「ために」と「ように」を並べる板書の左に「日本で働くために、日本語を勉強します」、右に第36課の「日本語が話せるように、毎日練習します」を書く。左の「働く」は自分で決めてすること、右の「話せる」は練習した結果そうなること、と色を変えて囲み、「自分で決めること→ために、自分で決められないこと→ように」と一行書いておく。細かい例外には入らず、この一本の線だけを残す。
板書案
[目的:V辞書形]ために、[すること]
日本で働きたいですから → 日本で働くために(矢印で結ぶ)
日本で働くために、日本語を勉強しています。
Nのために:健康のために(目的)/家族のために(だれかの役に立つ)
〔赤〕自分で決めること → ために 〔青〕自分で決められないこと → ように(第36課)
場面と発話(自作)
- 日本人の同僚に、仕事のあとで何をしているのか聞かれた。毎晩、日本語の学校に通っている。日本語の試験を受けるために、毎晩学校へ行っています。
- 友達に、最近お金を使わないねと言われた。来年、国で家を買うつもりでいる。国で家を買うために、今、お金をためているんです。
- 先生に、どうして毎朝早く起きて走っているのかと聞かれた。健康のために、毎朝走っています。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
絵カード(目的と動作の2枚1組: 車を買う+貯金する、論文を書く+図書館へ行く など)で「〜ために、〜ます」の言い換え(練習Bの型)を8組ほど。次に名詞のカード(健康・家族・子ども)で「Nのために」。最後にペアで「何のために〜ていますか」と聞き合い、自分の本当の目的で答えるやり取り(練習Cの型)にする。「ように」が来るべきカード(漢字が読める・忘れない)を1〜2枚混ぜ、学生に選ばせる。
- 口頭目的と動作の絵カードを2枚1組で出す(家の絵+お金の箱の絵、大学の絵+本の絵、試験の紙の絵+机で勉強する絵 など)。教師が「家を買う/お金をためます」と語のキューを言い、全体で「家を買うために、お金をためています」。慣れたら絵だけで個人に当てる。次に名詞のキュー(健康/毎朝走ります、子ども/働きます、試験/毎晩勉強します)で「Nのために」に替える。最後に「漢字が読める」「上手になる」のような、ように が入るカードを混ぜ、学生に ために か ように かを手を挙げて選ばせてから言わせる。
- ペアAは「どうして〜ていますか」と聞く役、Bは答える役。Bには「〜たいですから」の形で理由だけが書いてあるカード(日本で働きたいですから など)を配り、Bはそれを見ながら「日本で働くために、日本語を勉強しています」と、目的と動作の文に言い直して答える。Aは聞いた目的をメモに書き、合っているかBに見せて確かめる。4枚終わったら役を替え、カードも別の組にする。
- 産出「わたしの目標インタビュー」。教室を歩き回り、3人に「何のために〜ていますか」(日本語を勉強している・お金をためている・毎朝早く起きている など)と聞いてメモし、最後に一人分をクラスに紹介する(「〜さんは、〜ために、〜ています」)。教師は、ために の前が辞書形になっているか、名詞に「の」があるか、可能形や「なる」の前に ために を付けていないか(付けたら ように に言い直させる)を聞いて、その場で直す。
つまずきと手当て
- 可能形や「なる」など、自分の意志で決められない動詞に「ために」を付ける(×日本語が話せるために、練習します)。板書の「自分で決める→ために/決められない→ように」に戻し、第36課の「ように」で言い直させる
- 前の動詞を ます形・て形・ない形のままにする(×勉強しますために、×行ってために)。「ために」の前は辞書形、とカードの裏に辞書形を書いておき、言い換えのたびに確かめる
- 名詞に「の」を落とす(×家族ために、×健康ために)。「Nの予定です」と同じく、名詞のあとは「の」が要る、と既習の形と並べて示す
- 前と後ろで主語が違う文に使う(×子どもが大学に入るために、わたしは働きます)。初級ではこの形は「子どものために、働きます」か、第36課の「ように」で言わせる。日本語話者はくだけた話し方で主語の違う「ために」を使うこともあるが、教室ではまず同じ人の目的に絞る
既習の文型との違い
- 〈文〉から(理由)、〈文〉(第9課)「から」は理由を言う形で、前に「〜たいです」や丁寧形がそのまま来ます。「ために」は目的を言う形で、前は辞書形だけです。理由の文をそのままつなげて「*日本で働きたいですために」と言う学習者がいるので、導入で「〜たいですから」を「〜ために」に書き換える矢印を一度見せておきます。
- 〈場所〉へ〈Vます形〉/Nに行きます(第13課)「本を買いに行きます」も目的を言いますが、後ろは「行きます・来ます・帰ります」に限られ、前はます形です。「ために」は後ろの動作を選ばず、前は辞書形です。二つが混ざると「*本を買うに行きます」「*本を買いために」のような誤りになるので、ます形と辞書形のどちらが前に来るかを板書で並べます。
- 〈V1辞書形〉/〈V1 ない形ない〉ように、V2(第36課)どちらも目的ですが、「ように」の前は可能形・「なる」・ない形など、自分の意志だけでは決められないことが来ます。「ために」の前は自分で決めてする動作です。「*日本語が話せるために、毎日練習します」は「ように」で言い直させ、「自分で決める→ために」の一本の線に戻します。
関連する文型
学習項目 2 〜は〈V辞書形〉のに/Nに〜
意味・はたらき文型 2
物や道具が何をするときに役に立つかを言う文型です。「このはさみは花を切るのに使います」「このかばんは旅行に便利です」のように、主題(〜は)に物を置き、「〜のに」「Nに」のあとに「使います」「便利です」「いいです」「役に立ちます」「必要です」などが続きます。動詞のときは辞書形に「の」を付けて名詞のようにしてから「に」を付け、名詞のときは「Nに」だけです。ここの「のに」は「の(こと)+に(目的)」で、第45課で出る「〜のに(それなのに)」とは別のものです。
接続
Nは+V辞書形+の+に/N+に、+使います・便利です・いいです・役に立ちます など
形
この袋はごみを入れるのに使いますこのはさみは紙を切るのに便利ですこの自転車は買い物に便利です(名詞のとき)この本は日本の文化を知るのに役に立ちます
導入
- 実物で「何に使いますか」はさみ・缶切り・やかん・ふろしきなどの実物(なければ写真)を一つずつ出し、「これは何に使いますか」と聞く。教師が切る・開ける・お湯を沸かす動作をしながら「紙を切るのに使います」と答えて見せ、板書に「[物]は[V辞書形]のに 使います」の枠を書く。辞書形と「に」の間の「の」だけ色を変えておく。
- 動詞と名詞を並べる同じ物について「旅行するのに便利です」と「旅行に便利です」を板書に並べ、動詞なら「〜のに」、名詞なら「Nに」と示す。そのあと「使います」の所を「便利です/いいです/役に立ちます」に替えたカードを出し、述語が替わっても前の形は同じだと確かめる。
板書案
[物]は [V辞書形]〔赤〕の に 使います
このはさみは 紙を切るのに 使います。
動詞 → 〜のに / 名詞 → Nに(この自転車は 買い物に 便利です。)
使います・便利です・いいです・役に立ちます(述語のカードを差し替える)
〔青〕「のに」は いつも「使います・便利です」と組で
場面と発話(自作)
- 国から来た友達が、日本の台所で見たことのない道具を手に取った。何をする物か説明する。それは缶を開けるのに使います。
- 会社の同僚に、毎日乗っている小さい自転車のことを聞かれた。この自転車は軽いですから、買い物に便利ですよ。
- 日本語の勉強をはじめたばかりの友達に、自分が使っている辞書をすすめる。この辞書は、漢字の読み方を調べるのに役に立ちますよ。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
物の絵カードと動作の語(切る・開ける・計算する・包む など)のカードを組にして、「〜は〜のに使います」の言い換え(練習Bの型)。次に名詞のカード(旅行・仕事・料理)で「〜は〜に便利です」。最後に学生が自分の持ち物を一つ出し、「これは〜のに使います/〜に便利です」と紹介し、ほかの学生が「何に使いますか」と聞くやり取り(練習Cの型)にする。
- 口頭実物(はさみ・袋・ふたのある箱・電卓)を一つずつ持ち上げ、動作の語カード(切る・入れる・しまう・計算する)を添えてキューにする。教師「はさみ/紙を切る」→全体「このはさみは紙を切るのに使います」。次に名詞のキュー(自転車/買い物、かばん/旅行、辞書/勉強)で「〜に便利です」。最後に述語のカード(便利です・いいです・役に立ちます)を差し替え、前の形は変わらないことを口で何度も通させる。個人に当てるときは実物だけを見せて言わせる。
- ペア「これは何でしょうクイズ」。Aは物の絵カードを相手に見せずに持ち、「これは〜のに使います」「〜に便利です」とヒントを二つ言う。Bは物の名前を当て、外れたら「何に使いますか」と聞いてもう一つヒントをもらう。3枚当てたら役を替える。カードには、教室にない物(缶を開ける道具・傘立て・弁当箱 など)を入れて、名前を知らなくても使い道で説明できることに気づかせる。
- 産出「わたしの便利グッズ紹介」。前のコマで予告し、自分の持ち物を一つ(なければ携帯電話の写真)持って来させて、1分で「これは〜です。〜のに使います。〜に便利です」と紹介する。聞いている学生は一人一つ「どこで買いましたか」「何に使いますか」と質問する。教師は、辞書形のあとの「の」が落ちていないか、名詞に「のに」を付けていないか、使い方の説明を「〜ために使います」で通していないかを見る。
つまずきと手当て
- 「の」を落とす(×紙を切るに使います)。辞書形のあとにすぐ「に」は来ない、と板書の色を変えた「の」を指す
- 名詞に「のに」を付ける(×旅行のに便利です)。名詞は「Nに」、動詞は「〜のに」、と2行並べた板書に戻す
- 「〜ために使います」で言ってしまう(△このはさみは紙を切るために使います)。文法として誤りとまでは言いにくいが、物の使い方を説明するときは「のに」が自然な形だと伝え、この課では「のに」で言わせる
- 第45課の逆接の「のに」を先に知っている学生が混乱する。この課の「のに」はいつも「使います・便利です・かかります」と組で出てくる、と組のまま覚えさせる
既習の文型との違い
- 〈道具・手段〉でVます/〈言語〉でVます(第7課)「はさみで紙を切ります」は人がする動作を言う文で、道具は「で」で示します。この課の「このはさみは紙を切るのに使います」は物を主題にして、その使い道を説明する文です。二つが混ざると「*はさみに紙を切ります」のような助詞の誤りが出るので、同じはさみで二つの文を並べて板書します。
- 〈V辞書形〉のはAです(第38課)第38課で、辞書形に「の」を付けて動詞を名詞のようにする形(〜のは・〜のが・〜のを)を習っています。この課の「〜のに」も同じ「の」に「に」が付いたものだと見せると、「*紙を切るに使います」のような「の」の抜けが減ります。「のは」「のが」「のを」の列に「のに」を一行足す板書が使えます。
関連する文型
学習項目 3 〈V辞書形〉のに/Nに〜かかります
意味・はたらき文型 3
ある目的をはたすのに、どれだけの時間やお金が必要かを言う文型です。「駅まで行くのに30分かかります」「家を建てるのに、お金がたくさんかかります」のように、「〜のに」「Nに」で目的を言い、そのあとに時間やお金の量と「かかります」を続けます。第11課の「〜から〜まで〜かかります」は移動の時間でしたが、この課では「何をするのに」かを言えるので、仕事・勉強・買い物などにも広がります。「かかります」の代わりに「要ります」を使って、必要な物や量を言うこともできます。
接続
V辞書形+の+に/N+に、+時間・お金の量(助詞なし)+かかります(要ります)
形
うちから会社まで行くのに、1時間かかりますこの論文を書くのに、3か月かかりました車を買うのに、お金がたくさんかかります引っ越しにどのくらいかかりますか——10万円ぐらいかかります
導入
- 第11課の文から広げる地図を見せて「うちから駅まで15分かかります」を言わせ、それを教師が「駅まで行くのに15分かかります」と言い直す。次に「宿題をするのに」「料理を作るのに」と、移動でないことにも使えることを、時計の絵を添えて見せる。板書の枠は「[V辞書形]のに/[N]に、[時間・お金]かかります」。
- 値段のカードで「お金」に広げる家・車・旅行などの絵に値段のカードを付けて出し、「家を建てるのに、いくらかかりますか」と学生に予想させる。答えを「〜円ぐらいかかります」で言わせ、量の言い方(たくさん・少し・〜ぐらい)を板書に足す。最後に「どのくらいかかりますか」を質問の形として書いておく。
板書案
[V辞書形]のに/[N]に、[時間・お金]かかります
駅まで行くのに 15分 かかります。
引っ越しに 10万円ぐらい かかります。
〔赤〕量のことば + かかります(助詞なし) 〔青〕時間が/お金が かかります(量を言わないとき)
質問:〜のに どのくらい かかりますか。
場面と発話(自作)
- 新しく入ったアルバイトの人に、店から駅までの道を聞かれた。店から駅まで歩くのに、10分ぐらいかかります。
- 友達が日本で車の運転を習いたいと言っている。自分が習ったときのことを話す。運転を習うのに、お金も時間もたくさんかかりましたよ。
- 旅行会社で、家族旅行の相談をしている。この旅行に、全部でどのくらいかかりますか。
練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)
動作のカードと時間・値段のカードを組にして、「〜のに〜かかります」の言い換え(練習Bの型)を8組ほど。名詞のカード(引っ越し・旅行・結婚式)を混ぜて「Nに」も言わせる。最後にペアで、自分の国から日本へ来るのに・毎朝準備するのに・日本語の宿題をするのに「どのくらいかかりますか」と聞き合うやり取り(練習Cの型)にする。
- 口頭動作カードに時計の絵や値段のカードを組み合わせてキューにする(会社へ行く+1時間、車を買う+200万円、宿題をする+2時間)。教師が二つを順に見せ、全体で「会社へ行くのに1時間かかります」。次に名詞のカード(旅行+5万円、引っ越し+10万円)で「Nに」へ。「たくさん」と書いたカードを出したら「お金がたくさんかかります」と「が」付きで言わせ、量を言うときとの違いを口で確かめる。最後に教師がカードを見せて学生が「〜のに、どのくらいかかりますか」と質問を作る練習まで。
- ペア情報差の表で「どのくらいかかりますか」。Aは旅行会社の表(行き先ごとに、行くのにかかる時間と費用)を持ち、Bは同じ表の時間と費用の欄が空いた紙を持つ。Bは「京都へ行くのに、どのくらいかかりますか」「お金はいくらかかりますか」と聞いて空欄を埋め、終わったら二人で表を見比べる。次は別の表で役を替える。
- 産出「国から日本までの道のり発表」。自分の国の家から日本の今の家まで来るのに、何で、どのくらいの時間とお金がかかったかを3〜4文で準備させ、一人ずつ発表する。聞いている学生は「ビザの準備に、どのくらいかかりましたか」のように一つ質問する。教師は、量のことばに「を」「が」を付けていないか、過去のことを「行ったのに」ではなく辞書形のまま「かかりました」で言っているか、「どのくらい」の質問を自分で作れているかを見る。
つまずきと手当て
- 時間・お金に「を」や「が」を付ける(×30分をかかります)。量のことばのあとはそのまま「かかります」と、第11課の文と並べて示す。「お金がかかります」「時間がかかります」と量を言わないときは「が」が付く、の区別だけ板書に残す
- 「の」を落とす、名詞に「のに」を付ける(×行くにかかります、×引っ越しのにかかります)。文型2と同じ2行の板書(動詞〜のに/Nに)に戻す
- 「のに」の前を た形にする(×会社まで行ったのに1時間かかりました)。過去のことでも前は辞書形のままで、過去は「かかりました」で言う、と板書の文に「〜ました」を書き足して示す。「〜たのに」は第45課で別の意味になる
- 「かかります」と「要ります」の区別。どちらも使える文が多いが、「要ります」は必要な物(書類・道具)にも使え、時間には「かかります」が自然なことが多い、と例で示す程度にする
既習の文型との違い
- 〜から〜まで〈時間・期間〉かかります(第11課)第11課は二つの場所の間の移動にかかる時間を言う形でした。この課は「何をするのに」かを言えるので、「宿題をするのに2時間かかります」のように移動でないことにも、お金にも使えます。第11課の形に引かれて「*駅まで行くに10分かかります」と「の」を落とす学習者がいるので、二つの文を上下に並べ、変わる所だけ色を変えます。
- 〜は〈V辞書形〉のに/Nに〜(第42課 文型2)同じ「〜のに/Nに」で、後ろが「使います・便利です」なら物の使い道、「かかります」なら必要な時間やお金を言います。前の形は同じなので、違いは後ろの語で決まる、と述語のカードを差し替えて見せます。物を「〜は」で主題にするのは文型2の形で、文型3は主題がなくても言える点も添えておきます。
関連する文型
語彙の扱い
この課の新出語は、文型2の「〜のに使います」の材料になる身の回りの道具の語と、文型1の「Nのために」の材料になる社会や生活の抽象的な名詞(教育・平和・健康 など)が中心です。道具の語はできるだけ実物か写真で出し、「何に使いますか」と聞きながら入れると、語と文型が同時に練習できます。抽象名詞は意味を説明しすぎず、「〜のために働きます」の文の中で覚えさせます。
この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)
- ためます(ためます) お金を使わないで、少しずつ集めておきます。 お金を〜・旅行のお金を〜
友達に、最近外で食べないねと言われた。「国へ帰るために、お金をためているんです。」
- 貯金します(ちょきんします) お金を銀行などに入れて、使わないでおきます。 毎月〜・銀行に〜
会社の同僚に、給料をどう使っているか聞かれた。「車を買うために、毎月少し貯金しています。」
- 健康(けんこう) 体の調子がよくて、病気がないことです。 〜のために・〜にいい
先輩に、どうして毎日野菜をたくさん食べるのか聞かれた。「健康のために、野菜を食べるようにしています。」
- 一生懸命(いっしょうけんめい) 持っている力を全部使って、まじめにするようすです。 〜働きます・〜勉強します
日本人の知り合いに、どうして毎日遅くまで働くのか聞かれた。「国の家族のために、一生懸命働いています。」
- 役に立ちます(やくにたちます) 何かをするときに、助けになります。 仕事に〜・〜のに〜
日本語を勉強しはじめた友達に、自分の辞書をすすめる。「この辞書は漢字を調べるのに役に立ちますよ。」
- 便利(べんり) 使うと楽で、時間がかからないようすです。 〜に便利です・〜な道具
同僚に、いつも持っている小さいかばんのことを聞かれた。「このかばんは軽いですから、旅行に便利です。」
- はさみ(はさみ) 紙や布を切る道具です。 〜で切ります・〜を使います
教室で、学生がテープを手で切ろうとしている。「はさみはここにあります。テープを切るのに使ってください。」
- 袋(ふくろ) 物を入れて持って行く、紙やビニールの入れ物です。 〜に入れます・紙の〜
ルームメートに、台所の大きい袋のことを聞かれた。「その袋はごみを入れるのに使います。」
- 計算します(けいさんします) 数を足したり引いたりして、答えを出します。 お金を〜・電卓で〜
友達に、携帯電話の小さいアプリのことを聞かれた。「これは旅行のお金を計算するのに便利ですよ。」
- かかります(かかります) 何かをするのに、時間やお金が必要です。 時間が〜・お金が〜・〜分〜
新しく入った同僚に、毎朝何時に家を出るのか聞かれた。「うちから会社まで来るのに1時間かかりますから、7時に出ます。」
- 要ります(いります) それがないとできません。必要です。 お金が〜・書類が〜
市役所の窓口で、引っ越しの手続きについて聞く。「引っ越しの手続きに、何が要りますか。」
- 引っ越し(ひっこし) 住む所を変えて、別の家へ移ることです。 〜します・〜の準備
友達が来月引っ越すと言っている。自分の経験を話す。「わたしの引っ越しには、10万円ぐらいかかりましたよ。」
会話の扱い
会話は、ボーナスが出る時期に、その使い道を話す流れで、何のためにお金を使う・ためるかを「〜ために」で言うのが芯です。最初はCDか教師の読みで流れをつかませ、だれが何のためにお金を使いたいのかだけを聞いて確かめます。役割を替えて二回読んだら、使い道の部分を学生自身の本当の計画(国へ帰る・パソコンを買う・旅行する など)に置き換えて再現させます。「ために」の前に可能形や「なる」が入りそうになったら、その場で第36課の「ように」へ言い直させます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題と次のコマ
宿題は問題の文法部分と、「わたしの計画」を四つの文で書くこと(「〜ために、〜ています」二つ・「〜は〜のに使います/便利です」一つ・「〜のに〜かかります」一つ)。次のコマの最初に、「ために」と「ように」のどちらが入るかを選ぶ短い確認(6問ほど)をしてから作文を発表させ、第43課の「〜そうです」につなぐ。この課の「〜のに使います/かかります」の板書は、第45課で逆接の「のに」と見分けるときにもう一度使うので、写真に撮っておく。
よくある質問
第42課の「ために」と第36課の「ように」の違いはどう教えればいいですか?
「ために」の前は自分の意志でする動作、「ように」の前は可能形・「なる」・ない形のように自分の意志だけでは決められないこと、という一本の線で分けます。板書に「自分で決める→ために/決められない→ように」と一行書き、練習のカードに ように が入るものを1〜2枚混ぜて選ばせます。細かい例外には初級では入りません。
この課の「のに」と第45課の「のに」はどう区別させますか?
この課の「のに」は辞書形+「の」+「に」で、いつも後ろに「使います・便利です・役に立ちます・かかります」が来ます。第45課の「のに」は「それなのに」の意味で、前に普通形が来て、後ろに思っていたのと違うことが続きます。この課では「のに」を後ろの語と組にして覚えさせておくと、第45課で別のものとして入れやすくなります。
「紙を切るために使います」と「紙を切るのに使います」はどちらが正しいですか?
どちらも誤りとまでは言えませんが、物の使い道を説明するときは「〜のに使います」が自然です。「ために」は人が目的のために動作をする文の形として文型1で練習しているので、この課では物が主題の文は「のに」で言わせ、混ぜないようにします。
「Nのために」の二つの意味はどう見せればいいですか?
「健康のために走ります」の目的と、「家族のために働きます」のだれかの役に立つの二つを、板書で左右に分けて書きます。名詞が「健康・試験・旅行」のような事柄なら目的、「家族・子ども・国の人」のような人なら役に立つ相手、と名詞のカードを色分けすると見分けやすくなります。どちらも形は同じ「Nのために」です。
第42課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目で復習と文型1「〜ために」まで、2コマ目で文型2・3の「のに」と会話、練習C・問題を扱います。新しい活用形が出ない課なので、「ために/ように」の選び分けに時間を多めに取ってかまいません。
この課に関係する用語・解説・練習問題
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。