動詞の意向形が初めて出る課です。第6課の「〜ましょう」を友達どうしの話し方に言い換える形として意向形を作り、それに「と思っています」を付けて、前から考えている自分の計画を言えるようにします。あわせて「まだ〜ていません」で「これからする」ことを、「〜つもりです」で決めている意志を、「〜予定です」で決まっている予定を言い分けます。意向形の作り方は第20課の普通形の板書のとなりで片づけ、そのあとは「意向形と思っています/つもりです/予定です」の三つを、どれだけ決まっているかの順に並べて見せるのがこの課の芯です。
目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。
| 段 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 導入(復習とつなぎ) | 10分 | 第20課の普通体の会話を一往復だけ思い出させ、「行きましょう」を友達に言うと何になるかを問いかける。答えが出ないところで「行こう」と言って見せ、普通形の板書(ます形・辞書形・ない形・た形)の列に「意向形」の欄を一つ足す |
| 文型1(V意向形・意向形の作り方) | 35分 | グループI→II→IIIの順に板書し、ます形→意向形の口頭練習。友達どうしの誘い「〜(よ)う」「〜(よ)うか」まで言わせて、「ましょう」「ましょうか」と1対1で対応することを確かめる |
| 文型2(〈V意向形〉と思っています) | 30分 | 教師の今年の計画をカレンダーで見せて「旅行しようと思っています」。「と思います」との違いは「いま決めた」か「前から考えている」か、で一本だけ線を引き、ほかの人の計画は「と思っています」で言う |
| 文型3(まだ〈Vて形〉いません) | 25分 | 「もう宿題を出しましたか」の問いに「いいえ、まだ出していません」。第7課の「もう〜ました」と並べ、「まだ〜ませんでした」と言わないことを板書で示す |
| 文型4・5(〜つもりです/〜予定です) | 35分 | 同じカレンダーで「来年国へ帰るつもりです」「来月東京へ出張する予定です」。意向形と思っています→つもりです→予定です、の順に「決まっている度合い」の矢印を板書する。「〜ないつもりです」と「Nの予定です」もここで |
| 会話 | 20分 | これからしようと思っていることを話す会話。「意向形と思っています」が芯なので、学生それぞれの「習いたいこと」に置き換えて再現させる |
| 練習C・問題 | 25分 | 練習Cは「週末どうする?(普通体の誘い)」「計画を聞く」「まだ〜ていない」の三つの場面。問題は聞き取りを教室で、残りは宿題に |
この項目は意向形の作り方として扱います。「行きましょう→行こう」「食べましょう→食べよう」のように、意向形は「〜ましょう」の普通形にあたり、友達や家族との普通体の会話で「いっしょにしよう」と誘うとき、「(自分が)しよう」と決めるときに使います。「〜ましょうか」は「〜(よ)うか」になります。作り方はグループで決まり、グループIは辞書形の最後の音を う段 から お段 に変えて「う」を付け(書く→書こう)、グループIIは「る」を「よう」に替え(食べる→食べよう)、グループIIIは「する→しよう」「来る→来よう(こよう)」です。
グループI: 辞書形のう段→お段+う(書く→書こう)/グループII: る→よう(見る→見よう)/グループIII: する→しよう、来る→来よう(こよう)。丁寧形の「〜ましょう」と同じ意味の普通形
絵カード20枚を速いテンポで「辞書形→意向形」、次に「ます形→意向形」。I・II・III を混ぜて出し、間違えたカードだけ戻してもう一度。最後に「〜ましょう/〜ましょうか」の文を教師が言い、学生が「〜(よ)う/〜(よ)うか」の普通体で言い返す(練習Bの型)。
「来年、大学院で勉強しようと思っています」のように、話し手がしようと考えている計画を言う文型です。「と思っています」は、その考えを少し前から持ち続けていることを表します。「と思います」も使えますが、こちらは話しているその時に考えた・決めた感じになることが多いです。ほかの人の計画を言うときは「〜さんは国へ帰ろうと思っています」のように「と思っています」を使い、「と思います」は使いません。
V意向形+と思っています(いま決めたときは「と思います」。ほかの人の計画は「と思っています」)
カレンダーと絵カードで「〜(よ)うと思っています」の代入練習(練習Bの型)を、グループI・II・IIIを混ぜて10枚。次にペアで「週末/夏休み/来年、何をしようと思っていますか」を聞き合い、相手の答えをクラスに「○○さんは〜(よ)うと思っています」と報告するやり取り(練習Cの型)にする。
「レポートはまだ書いていません」のように、ある動作がまだ終わっていない・まだしていないことを言う文型で、「これからする(つもりだ)」という気持ちが入ります。第7課の「もう〜ました」の問いへの否定の答えとして使うことが多く、「もう出しましたか——いいえ、まだ出していません」となります。「〜ませんでした」は過去のある時にしなかったことを言う形なので、「まだ」といっしょには使いません。短く「いいえ、まだです」と答えることもできます。
まだ+Vて形+いません(「もう〜ましたか」への否定の答え。「まだ〜ませんでした」とは言わない)
○×の付いた絵カードで「もう〜ましたか」「はい、もう〜ました/いいえ、まだ〜ていません」の問答(練習Bの型)を10枚。次に「旅行の準備」「引っ越しの準備」のチェックリストを見て、ペアで済んだこと・まだのことを聞き合い、「まだ〜ていませんから、これから〜」と次にすることまで言わせる(練習Cの型)。
「来年の3月に国へ帰るつもりです」のように、話し手がもう決めている意志や計画を言う文型です。「意向形と思っています」より、はっきり決めている感じが強くなります。しないと決めているときは「〜ないつもりです」を使います(「たばこはもう吸わないつもりです」)。人の意志を聞くときに使うこともできますが、目上の人に「〜つもりですか」と直接聞くと、失礼に聞こえることがあります。
V辞書形+つもりです/Vない形+ないつもりです(話し手が決めている意志)
絵カードで「〜(よ)うと思っています→〜つもりです」の言い換え、次に「〜ないつもりです」の言い換え(練習Bの型)を各5枚。そのあとペアで「卒業したら」「今年」「次の休み」について、するつもりのこと・しないつもりのことを一つずつ聞き合う(練習Cの型)。
「来月、大阪の支店へ出張する予定です」「会議は3時に終わる予定です」のように、もう決まっている予定を言う文型です。「つもりです」は話し手の意志ですが、「予定です」は会社やほかの人が決めたこと、時間割のように決まっていることにも使え、自分の意志とは限りません。そのため、会議・電車・式などの物や行事を主語にして言うこともできます。名詞には「の」を付けて「出張の予定です」「来週の予定です」とします。
V辞書形+予定です/N+の+予定です(もう決まっている予定。意志でなくてもよい)
スケジュール表のカードで「〜予定です」「Nの予定です」の代入練習(練習Bの型)。次に「つもり」と「予定」の聞き分けとして、教師が文を言い、学生が「意志」か「決まっている」かを指で示す。最後にペアで一週間のスケジュール表を交換し、「月曜日は何をする予定ですか」と聞き合う(練習Cの型)。
この課の新出語は、計画や予定を話すための語(続けます・見つけます・申し込みます・卒業します・受けます など)と、行事や場所の語(連休・結婚式・展覧会・本社・支店・大学院・温泉 など)が中心です。動詞は辞書形・意向形を1組にして絵カードで出し、文型1と文型2の代入練習にそのまま使います。行事や場所の語はカレンダーとスケジュール表に貼って、「〜予定です」「〜つもりです」の練習の材料にします。
会話は、題のとおり、これからしようと思っていることを話す流れで、「〈V意向形〉と思っています」が芯です。最初はCDか教師の読みで「だれが、何をしようと思っているか、なぜか」をつかませ、役割を替えて二回読んだら、「料理を習おう」の部分を学生それぞれが習いたいこと・始めたいこと(ピアノ・運転・ダンスなど)に置き換えて再現させます。聞き手が相手の計画に興味を示して質問を重ねるところは、文型2の「何をしようと思っていますか」、文型4・5の「いつ〜つもりですか」「〜予定ですか」を使える場所なので、置き換えのときに一問ずつ足させます。会話の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。
宿題は問題の文法部分と、「わたしの計画」を五文(意向形と思っています二つ・つもりです一つ・ないつもりです一つ・予定です一つ)で書くこと。次のコマの最初に意向形のカードテスト(辞書形→意向形・10語)をしてから作文を発表させ、第32課の「〜たほうがいいです」「〜でしょう」「〜かもしれません」につなぐ。意向形の板書(三列)と、「思っています→つもり→予定」の矢印は、作文の発表まで残しておく。
第31課の意向形はどの順で教えればいいですか?
「休みましょう=休もう」と、まず第6課の「〜ましょう」の普通体だと分からせてから作り方に入ります。作り方はグループI→II→IIIの順で、グループIは辞書形のう段をお段に変えて「う」を付ける規則をあいうえお表で見せます。グループIの「る」で終わる動詞(帰る・入る・走る)と「来よう(こよう)」の読みは別に取り出して練習します。
「〜(よ)うと思っています」「〜つもりです」「〜予定です」の違いは何ですか?
考えている計画が「〜(よ)うと思っています」、自分で決めた意志が「〜つもりです」、会社や時間割などで決まっていることが「〜予定です」です。板書に一本の矢印を引き、左から「考えている→決めている→決まっている」と並べると学習者が場所で覚えられます。電車や会議のように意志を持たないものは「予定です」しか使えない、という一例で境目を見せます。
「〜と思います」と「〜と思っています」はどう違いますか?
この課の範囲では、「と思います」はその場で考えた・決めたこと、「と思っています」は少し前から考え続けていることを言う、と説明します。ほかの人の計画を言うときは「田中さんは国へ帰ろうと思っています」の形にします。細かい使い分けにこだわりすぎず、計画を話すときは「と思っています」を基本にすれば十分です。
「まだ食べませんでした」と言う学習者にはどう説明しますか?
時間の線を板書し、「ませんでした」は「きのう食べませんでした」のように過去のある時にしなかったこと、「まだ食べていません」は今の時点でまだしていない状態だと分けて見せます。そのうえで「もう〜ましたか——いいえ、まだ〜ていません」を問いと答えの組で何度も言わせます。理屈よりも組で覚えさせるほうが定着します。
この課は何コマで終わりますか?
90分×2コマが目安です。1コマ目は導入と意向形の作り方、「〜(よ)うと思っています」まで、2コマ目は「まだ〜ていません」「〜つもりです」「〜予定です」と会話・練習Cです。意向形の形が定着していないクラスでは、2コマ目の最初に10語のカードテストを入れてから文型3に進みます。
この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。