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みんなの日本語 初級Ⅰ 第21課「わたしもそう思います」の教案

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』 ・ 会話「わたしもそう思います」

第20課で作った普通形を、初めて文の中に入れて使う課です。「〜と思います」で見込みと意見を言う、「〜と言います」で人の言葉を伝える、「〜でしょう?」で相手に同意を求める、の三つの働きが、どれも「中の文は普通形・文末は丁寧形」という同じ骨組みでできています。文型が四つありますが、教えることの芯は一つで、「と」や「でしょう」の前で丁寧形を普通形に戻す動きを、口が勝手に動くまで繰り返すことです。名詞・な形容詞の「だ」が「と思います」の前では要り、「でしょう?」の前では要らない、という違いだけは板書で並べて見せます。会話は久しぶりに会った知り合いと飲みながら、日本の生活について意見を言い合う場面です。

このページについて教科書の会話・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。文型の表記は出版社のシラバス一覧に合わせています。
学習項目4時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • はっきり分からないことを「たぶん〜と思います」で、自分の見込みとして言える
  • 「〜についてどう思いますか」と聞かれて「〜と思います」で意見を言い、同じ意見なら「わたしもそう思います」で返せる
  • 人が言ったことを「『〜』と言いました」「〜と言いました」の二つの形で伝えられる
  • 相手も知っている・感じているはずのことを「〜でしょう?」と文末を上げて確かめ、「ええ、〜」で応じられる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(復習と前の課のつなぎ)10分第20課の普通形の変換を、ます形のカードを見せて即答させる形で速く回す(動詞の肯定・否定・過去、い形容詞、な形容詞と名詞の「だ」)。ここが出ないとこの課の四つの文型は全部止まるので、5分は取る。普通形の表は黒板の端に残しておく
文型1(〈普通形〉と思います 推量)40分あしたの天気・来ていない学生の居場所など、教室の中で「分からないこと」を聞いて「たぶん〜と思います」を引き出す。板書は「 普通形 + と思います」の枠と、丁寧形→普通形の矢印。名詞と な形容詞の「だ」をここで出す
文型2(〈普通形〉と思います 意見)40分日本の電車・食べ物の写真で「〜についてどう思いますか」を聞き、答えの「〜と思います」と、賛成の「わたしもそう思います」をセットで入れる。推量と形が同じなので、板書は文型1の枠をそのまま使う。1コマ目はここまで
文型3(「文」/〈普通形〉と言います)30分伝言ゲームで「〇〇さんは『〜』と言いました」から始め、「」を外して普通形にする。挨拶の説明(食べる前に「いただきます」と言います)で現在形も出す。2コマ目は文型1・2の「と思います」を1分で言わせてから入る
文型4(〈普通形〉でしょう?)30分暑い日・静かな教室など、全員が同じように感じていることで「〜でしょう?」を上げ調子で言い、「ええ」を引き出す。な形容詞と名詞に「だ」が付かないことを、文型1の板書と並べて見せる
会話15分「しばらくですね」「〜でも飲みませんか」の決まり文句をかたまりで入れてから、飲みながら意見を言い合う流れをロールプレイ。「わたしもそう思います」で締める
練習C・問題15分ペアで話題を選んで意見を言い合う活動と、三人一組の伝言ゲーム。問題の聴解は授業内で、書く部分は宿題に

学習項目 1 〈普通形〉と思います(推量)

意味・はたらき文型 1

はっきり分からないことについて、「たぶんこうだろう」という話し手の見込みを言う文型です。「あしたは寒いと思います」のように、「思います」の前に普通形の文をそのまま入れます。「と」は前の文を「思います」の中身として引く印で、ここでは意味を説明せず「と思います はセット」と覚えさせます。名詞と な形容詞の現在肯定は「休みだと思います」「便利だと思います」のように「だ」が要ります。「違うと思う」ことは「来ないと思います」のように中の文を否定にして言い、「〜と思いません」の形はこの課では出しません。副詞「たぶん」をいっしょに使うと、見込みであることがはっきりします。

接続

普通形(V/いA/なA+だ/N+だ。否定・過去も普通形)+と思います。文末の「思います」は丁寧形のまま

形
Vる/Vない/Vた+と思いますいA(〜い/〜くない)+と思いますなA+だ+と思いますN+だ+と思いますたぶん〜と思います

導入

  • 窓の外とあしたの天気で「分からないこと」を聞く窓の外の空を見ながら「あしたは雨ですか」と聞く。学生は分からないので黙るか「わかりません」と言う。そこで教師が「たぶん…」と間を置いて「あしたは雪が降ると思います」と言い、板書に「あしたは 雪が 降ります」→「あしたは 雪が 降る と思います」と、丁寧形を普通形に戻して「と思います」を足す矢印を書く。続けて「あしたは寒いですか」→「たぶん寒いと思います」、「あさっては休みですか」→「たぶん休みだと思います」と、い形容詞と名詞(「だ」つき)を同じ枠で出す。説明は「分からないとき、たぶん+と思います」の一言で止める。
  • 来ていない学生の居場所を聞く欠席の学生の席を指して「〇〇さんはきょう来ますか」と聞き、「来ると思います」「来ないと思います」の両方を学生から取る。「来ません と思います」が出たら、板書の矢印を指して普通形に戻させる。次に「〇〇さんは今どこですか」→「うちだと思います」「会社だと思います」で名詞の「だ」をもう一度。第20課の普通形の表を黒板の端に残しておき、迷った学生はそこを見て自分で直す。

板書案

普通形 + と思います
あしたは 寒いです → 寒い → たぶん 寒いと思います。
田中さんは 来ません → 来ない → 来ないと思います。
あの店は 休みです → 休み〔赤〕だ → 休みだと思います。
〔青〕丁寧形→普通形 の矢印 〔赤〕なA・N は「だ」 「たぶん」は文の頭に小さく

場面と発話(自作)

  • 会社で、同僚に来週の会議の時間を聞かれた。はっきり覚えていない。たぶん10時だと思います。
  • 友だちと出かける前に、空を見たら暗い。午後は雨になると思います。傘を持って行きましょう。
  • クラスメートに、先生がきょう来るかどうか聞かれた。きのう先生は風邪だった。きょうは来ないと思います。きのう風邪でしたから。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カード(天気・時計・人の居場所・値段)を見せて、まず丁寧形で言わせ、次に「と思います」を付けて普通形に直す二段階の代入練習(練習Bの型)。名詞と な形容詞のカードを多めに混ぜて「だ」を定着させる。そのあとペアで「あしたの天気は?」「〇〇さんは今どこ?」「この店は高い?」のようにカードの質問を引いて「たぶん〜と思います」で答え合う(練習Cの型)。

  1. 口頭「?」の札を黒板に貼り、絵カードと語でキューを出す(「あした・寒いです」「田中さん・来ません」「あの店・休みです」「テスト・難しかったです」「駅・遠いです」)。全体で「たぶん寒いと思います」と言わせてから個人に当てる。慣れたらキューを丁寧形の文から絵だけに減らし、な形容詞と名詞のカードを続けて出して「だ」の付け落ちを拾う。否定のキュー(「来ません」)は必ず「来ないと思います」の形で返させる。
  2. ペアAは質問カード(「山田さんは今どこ?」「あの店はきょう休み?」「あしたのテストは難しい?」)、Bはヒントカード(会社の机にかばんがある絵・シャッターが閉まった絵・先生がたくさん宿題を出した絵)を持つ。Aが質問し、Bはヒントだけを見て「たぶん〜と思います」で答え、Aは「そうですか」で受ける。答えが分からないことなので言い切らせない。4枚で役を替える。
  3. 産出活動「あしたの予想」。一人ずつ、あしたや来週のことを三つ予想して言う(天気・クラスのだれか・テレビの試合など)。言ったあとで、ほかの学生が「わたしもそう思います」か「わたしは〜と思います」で返すと文型2への橋になる。教師が見るのは、「と」の前が普通形か、なA・Nに「だ」があるか、否定が中の文に入っているか(「降らないと思います」)の三点。

つまずきと手当て

  • 丁寧形のまま入れる(「雨が降りますと思います」「高いですと思います」)。板書の矢印に戻り、「と」の前は普通形、と毎回指で確かめる。普通形の変換そのものが怪しければ第20課の表に戻る
  • 名詞・な形容詞の「だ」が落ちる(「休みと思います」「便利と思います」)。逆に い形容詞に「だ」を付ける(「寒いだと思います」)も出る。普通形の表の「だ」の列を指さして、名詞と な形容詞だけ、と確かめる
  • 否定を「〜と思いません」で作る(「来ると思いません」)。この課では「来ないと思います」の形に統一する。「と思いません」は誤りではないが使う場面が限られるので、教師が知っておく程度でよい

既習の文型との違い

  • 言い切りの文 〜ます/〜です(初級前半の課)「あしたは雨です」は話し手が分かっていることとして言い切る形で、「あしたは雨だと思います」は分からないことを見込みとして言う形です。学習者は確かでないことを言い切ってしまうか、逆に丁寧形のまま「と思います」を付けて「*雨ですと思います」と言います。教師が窓の外を見て迷うしぐさをすると、言い切れない場面だと伝わります。
  • 動詞普通形、動詞文普通体(第20課)第20課では普通形を文の終わりに置いて、友だちとの会話の文そのものにしました。この課では普通形を「と思います」の中に入れ、文の終わりは「思います」の丁寧形のままです。普通形だけで終わる文と、普通形を中に入れて丁寧形で終わる文を二段に書いて、だれに向けた文かで使い分けを確かめます。
関連する文型

学習項目 2 〈普通形〉と思います(意見)

意味・はたらき文型 2

物事について自分がどう考えるかを言う文型です。「日本の電車は便利だと思います」のように、形は文型1とまったく同じで、違いは中身が「分からないことの見込み」ではなく「自分の考え」であることです。意見を聞くときは「日本の交通についてどう思いますか」と、話題を「〜について」で示して「どう思いますか」と聞きます。答えは「〜と思います」で返し、相手と同じ意見なら「わたしもそう思います」と言います。「そう」は相手が言った内容を指します。「思います」は話し手自身の考えを言う形なので、相手の考えは「〜と思いますか」と質問の形で聞きます。

接続

普通形+と思います(文型1と同じ)。質問は「Nについてどう思いますか」「〜と思いますか」。賛成は「わたしもそう思います」

形
Nについて どう思いますか——〜と思います。〜と思いますか——はい、〜と思います。/いいえ、〜ないと思います。わたしもそう思います

導入

  • 日本の電車の写真で意見を聞く朝の駅の写真を見せて、まず「日本の電車は便利ですか」と聞き、「はい、便利です」を取る。次に同じ写真で「日本の電車について、どう思いますか」と聞き方を変え、教師が自分で「便利だと思います。でも、朝は人が多いと思います」と答えて見せる。板書は「N について どう思いますか」→「〜と思います」を上下に並べ、「どう思いますか」の答えは「と思います」で終わる、と線で結ぶ。写真を食べ物・町・学校の順に替えて、学生に答えさせる。
  • 賛成の「わたしもそう思います」を手を挙げて一人の学生が意見を言ったら、同じ考えの人に手を挙げさせ、全員で「わたしもそう思います」と言う。違う意見の学生には「わたしは〜と思います」と言わせ、「も」と「は」の違いを板書で並べる。「そう」の下に小さく「=〇〇さんの意見」と書いておくと、「そうです」との混同が減る。

板書案

N について どう思いますか。
——〜と思います。
この町について どう思いますか。——静かだと思います。でも、駅が遠いと思います。
わたし〔赤〕も そう思います(同じ意見) / わたし〔青〕は 〜と思います(違う意見)
そう = 〇〇さんの意見(下に小さく)

場面と発話(自作)

  • 日本に来て半年の友だちに、日本の生活について聞かれた。料理はおいしいと思います。でも、家は高いと思います。
  • 会社の会議で、新しいデザインについて意見を求められた。いいデザインだと思います。
  • クラスメートが「日本語は難しい」と言った。自分も同じ考えだ。わたしもそう思います。漢字が難しいですから。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

写真カード(日本の電車・食べ物・町・アルバイト)を見せて「〜についてどう思いますか」「〜と思います」の問答を全体で回す(練習Bの型)。次にペアで、話題のカードを一枚引いて片方が意見を言い、もう片方が「わたしもそう思います」か「わたしは〜と思います」で返す(練習Cの型)。最後に自分の国と日本を比べて一つ意見を言わせると、会話につながる。

  1. 口頭写真カード(この町・日本の食べ物・漢字・アルバイト・朝の電車)を見せ、「漢字について、どう思いますか」とキューを出す。全体で「難しいと思います」「おもしろいと思います」と答え、個人に当てる。次に同じカードで「〜から」を足して理由を一つ言わせる(「難しいと思います。たくさんありますから」)。最後に教師が一つ意見を言い、全員で「わたしもそう思います」を返す練習を入れる。
  2. ペアBには〇か×の札を伏せて配る。Aが話題カードを引いて意見を言い、Bは札を見て、〇なら「わたしもそう思います」、×なら「わたしは〜と思います」と自分の意見で返す。Aは「どうしてですか」と聞き、Bは「〜から」で一言答える。札があるので、賛成しかしない学生も反対の形を言うことになる。3枚で役を替える。
  3. 産出活動「意見リレー」。4人で一つの話題(日本の生活・スマートフォン・アルバイト・この学校の食堂)を選び、一人目が意見と理由を言い、次の人が賛成か反対かを言ってから自分の意見を足す。一周したら、グループの一人が「〇〇さんは〜と言いました」とクラスに報告する(文型3の予告になる)。教師は「と思います」の形、理由の「から」の位置、相手の考えを「〇〇さんは〜と思います」と言い切っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 「どう思いますか」に「便利です」とだけ答える。通じるが、ここでは「と思います」までを一つのかたまりとして言わせる。板書の線を指して「どう思いますか → と思います」を確かめる
  • 「あなたは〜と思います」のように相手や第三者の考えを言い切る。「思います」は自分の考えだけ、相手の考えは「〜と思いますか」で聞く、と板書に書く。第三者が言ったことなら文型3の「〜と言いました」で伝えさせる
  • 「わたしもそう思います」を「わたしもそうです」と言う。「そうです」は「同じです」の意味になり、意見の賛成にならないことを、二つを並べて見せる

既習の文型との違い

  • 〈普通形〉と思います(推量)(この課の文型1)形は同じで、中身が「分からないことの見込み」か「自分の考え」かだけが違います。見込みには「たぶん」が付き、意見には付けないのが普通です。学習者が意見に「たぶん」を付けて自信のない言い方にしてしまうことがあるので、「たぶん」は分からないことにだけ、と例を二つ並べます。
  • そうですね(初級前半の会話の相づち)「そうですね」は相手の話に合わせる相づちや、考えるあいだのつなぎにも使い、賛成かどうかははっきりしません。「わたしもそう思います」は相手の意見と同じ考えだと言い切る形です。意見を聞かれて「そうですね」だけで終わる学生には、そのあとに「わたしも〜と思います」を続けさせます。
関連する文型

学習項目 3 「文」/〈普通形〉と言います

意味・はたらき文型 3

人が言ったことを伝える文型です。言った言葉をそのまま「」に入れて「『あした休みます』と言いました」と言う形と、内容だけを普通形にして「あした休むと言いました」と言う形の二つがあります。「」に入れるときは言葉がそのままなので丁寧形のまま、普通形にするときは「です・ます」が消えます。誰が言ったかは「〜は」で示し、多くは過去の「言いました」で使います。「食べる前に『いただきます』と言います」のように、挨拶や決まり文句を説明するときは現在形になります。人が言ったことを聞くときは「〇〇さんは何と言いましたか」です。

接続

「文」+と言います/普通形+と言います。言った人は「〜は」。言った相手は「〜に」

形
〈人〉は「〜」と言いました〈人〉は 普通形 と言いました〈人〉は何と言いましたか(場面)に「〜」と言います

導入

  • 伝言ゲームで言った言葉をそのまま伝える学生Aに「あした休みます」と声に出して言わせ、教師が学生Bに「Aさんは何と言いましたか」と聞く。Bが言葉をそのまま繰り返したら、板書に「Aさん は 『あした休みます』 と言いました」と「」つきで書く。次に「」を消して「あした休む と言いました」と普通形に直し、文型1の矢印と同じだ、と並べて示す。Aに「わたしは行きません」のように「わたし」入りで言わせると、普通形にするときに「わたし」をそのまま残す学生が出るので、「Aさんは行かないと言いました」と直して見せる。
  • 挨拶の説明で現在形を出す教師が食べる動作をして「食べる前に、『いただきます』と言います」。寝る前、出かける前、朝起きてからと動作を替え、学生に挨拶を言わせてから「〜前に/〜てから、『〜』と言います」で説明させる(「とき」は第23課なのでまだ使わない)。「言いました」と「言います」の違いは、一度言った言葉を伝えるか、いつも言う言葉を説明するか、と一言で押さえる。

板書案

〈人〉は 「 文 」 と言いました。
〈人〉は 普通形 と言いました。
田中さんは「レポートはあした出します」と言いました。
→ 田中さんは レポートは あした出す と言いました。
〔赤〕「 」あり=言葉のまま 〔青〕「 」なし=普通形
中の文の「あした」「出す」は変えない 変えるのは「言いました」だけ

場面と発話(自作)

  • 風邪で休んだ友だちから頼まれて、先生に伝える。田中さんは、きょうは休むと言いました。
  • 母と電話で話したあと、友だちに聞かれた。母は来月日本へ来ると言いました。
  • 日本人の友だちに、寝る前の挨拶を教えてもらったので、クラスで話す。日本では寝る前に「おやすみなさい」と言います。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が短い文(「あした会議があります」「この本はおもしろいです」)を言い、学生に「先生は『〜』と言いました」→「先生は〜と言いました」の順で言わせる代入練習(練習Bの型)。次に三人一組の伝言: AがBに一言伝え、CがBに「Aさんは何と言いましたか」と聞き、Bが普通形で伝える(練習Cの型)。役を回して全員が「伝える側」をやる。

  1. 口頭教師が短い文を言う(「きょうは宿題がありません」「あしたテストをします」「この本はおもしろかったです」「会議は3時からです」)。全体で「先生は『〜』と言いました」と言葉のまま返し、続けて「先生は〜と言いました」と普通形に直す。二つを交互に言わせたあと、教師が「先生は何と言いましたか」と聞いて個人に当てる。名詞文のキュー(「あしたは休みです」)で「休みだと言いました」の「だ」も確かめる。
  2. ペアAに伝言メモのカード(「部長より: 会議は4時からです」「母より: 来月日本へ行きます」「先生より: あしたは教室が変わります」)を配る。Bは「〇〇さんは何と言いましたか」と聞き、Aはメモを見ないで普通形で伝える。Bは聞いた内容をメモに書き、最後に二人でカードと照らし合わせる。言葉がずれたところが、普通形の変換か時制のどちらで崩れたかを二人で探す。
  3. 産出活動「インタビュー報告」。隣の人に週末のこと・国の料理・好きなスポーツを三つ聞き、メモを見ながらクラスに「〇〇さんは〜と言いました」で報告する。仕上げに「わたしの国では、食べる前に『〜』と言います」で国の挨拶を一つ紹介させる。教師は、報告の中に「わたし」が残っていないか(相手の「わたし」は「〇〇さん」に変わる)、「と」が落ちていないか、中の文の時制を勝手に過去にしていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 普通形に直す形で丁寧形が残る(「休みますと言いました」)。「」があれば言葉そのまま、無ければ普通形、と板書の二つの形を指で行き来させる
  • 「と」が落ちる(「休む言いました」)。文型1の「と思います」と同じで「と」は必ず入る、と枠で固定する
  • 言った時が過去なので、中の文まで過去にしてしまう(「あした来ます」を伝えて「あした来たと言いました」)。中の文は言った人の言葉のまま、変えるのは「言いました」だけ、と板書で中と外を線で分ける
  • 「言います」と「話します」を取り違える(「来ると話しました」は言えなくはないが、この課では人の言葉を伝える形を「と言いました」にそろえる)。言葉をそのまま引くのが「言います」、話題について話すのが「話します」(「日本について話しました」)、と例を並べる

既習の文型との違い

  • 〈普通形〉と思います(この課の文型1・2)「と思います」は話し手自身の考えを言う形で、「〜と言いました」は他の人の言葉にも自分の言葉にも使えます。他の人の考えを伝えたい学習者が、田中さんの考えのつもりで「田中さんは忙しいと思います」と言うと、聞き手には話し手の見込みとして伝わります。人が口にしたことなら「と言いました」に替える、と主語で分けます。どちらも「と」の前が普通形で、そこは同じだと板書で揃えます。
  • Nについて話します(既習の動詞「話します」)「話します」は話題を「〜について」で示して、話す行為そのものを言う動詞です。「言います」は言った言葉や内容を「と」で受けます。「来月帰ると話しました」も日本語として言えなくはありませんが、この課では人の言葉を伝える形を「と言いました」にそろえます。逆に「日本について言いました」は不自然なので、「と」の前に言葉が来るなら「言います」、話題が来るなら「話します」と、二つの枠を並べて見せます。
関連する文型

学習項目 4 〈普通形〉でしょう?

意味・はたらき文型 4

相手も同じように知っている、または感じているはずのことを、「そうですよね?」と確かめる文型です。「この料理、おいしいでしょう?」のように文末を上げて言い、相手は「ええ、おいしいです」「ええ、そうですね」と応じます。「ですか」の質問が「分からないから聞く」のに対して、「でしょう?」は「自分はそう思っていて、相手の同意を求める」形です。普通形に付きますが、な形容詞と名詞は「静かでしょう?」「休みでしょう?」のように「だ」を付けません。ここは文型1の「だと思います」と逆なので、必ず並べて見せます。文末を下げて言う推量の「〜でしょう」は第32課で扱うので、この課では上げ調子の確認だけにします。

接続

普通形(なA・Nは「だ」を付けない)+でしょう?(文末を上げる)

形
Vる/Vた+でしょう?いA(〜い/〜かった)+でしょう?なA+でしょう?(「だ」なし)N+でしょう?(「だ」なし)——ええ、〜です。/ええ、そうですね。

導入

  • 全員が同じように感じていることで「ええ」を引き出す暑い日に窓を閉めて少し待ってから「暑いでしょう?」と文末を上げて言い、学生の「ええ」を待つ。板書に「暑い + でしょう?」と書き、文末に上向きの矢印を付ける。続けて「きょうは月曜日でしょう?」「この教室は静かでしょう?」と名詞・な形容詞で言い、板書を文型1の「月曜日だと思います」の隣に置いて、「でしょう?」には「だ」が無いことを丸で囲んで示す。「きのうの試合、見たでしょう?」で過去の形も一つ出す。
  • 自分の物を見せて同意を求める教師が新しい時計や旅行の写真を見せて「いいでしょう?」「きれいでしょう?」と言い、学生に「ええ、いいですね」と返させる。次に学生に自分のかばんやスマートフォンの写真を見せながら同じことを言わせる。相手が見て分かることにだけ使う、というこの文型の条件が、物を見せる動作で自然に伝わる。

板書案

普通形 + でしょう?(↗)
この料理、おいしいでしょう? ——ええ、おいしいですね。
静か〔赤〕だ と思います / 静か でしょう?(〔赤〕「だ」なし)
休み〔赤〕だ と思います / 休み でしょう?
答え: ええ、〜です。/ええ、そうですね。(「でしょう」は返さない)

場面と発話(自作)

  • 友だちを自分がよく行く店に連れてきた。料理が来たあとで。ここの料理、おいしいでしょう?——ええ、とてもおいしいです。
  • 日本へ来たばかりの友だちと、朝の電車に乗ったあとで。朝の電車は人が多いでしょう?——ええ、ほんとうに多いですね。
  • きのうサッカーの試合があった。見たはずのクラスメートに。きのうの試合、おもしろかったでしょう?

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

絵カード(暑い・おいしい・きれい・休み・静か)で「〜でしょう?」を言わせる代入練習(練習Bの型)。文末を上げないものは言い直させ、な形容詞と名詞のカードで「だ」が付かないことを確かめる。そのあとペアで、自分の持ち物や写真を見せて「〜でしょう?」と言い、相手が「ええ、〜ですね」で返す(練習Cの型)。最後に文型1と混ぜ、「分からないこと→と思います」「相手も知っていること→でしょう?」を選ばせる。

  1. 口頭教室の中の状況と写真をキューにする(窓を閉めた暑い教室・きれいな公園の写真・カレンダーの日曜日・人が多い朝の電車の写真・料理の写真)。教師が語だけ言い(「暑い」「きれい」「日曜日」)、全体で「暑いでしょう?」と文末を上げて言わせる。手を下から上へ動かして上げ調子を見せ、下がった学生は言い直す。続けて教師が「〜でしょう?」と言い、学生が「ええ、〜ですね」と返す形も回す。
  2. ペアAがスマートフォンの写真(国の料理・自分の町・家の犬など)を一枚見せて「〜でしょう?」と言い、Bは写真を見て「ええ、〜ですね」で返す。Bは一言「どこですか」「何ですか」と聞き足す。写真を見せる側だけが「でしょう?」を言う形なので、相手が見て分かることに使う、という条件が自然に守られる。3枚で役を替える。
  3. 産出活動「ふるさと自慢」。一人ずつ自分の町の写真を一枚クラスに見せ、「〜でしょう?」で同意を求める文を二つ、「〜と思います」で自分の意見を一つ言う。聞く側は「ええ、〜ですね」で返し、一人が質問する。教師は、なA・Nに「だ」を付けていないか、文末が上がっているか、写真で見えないことにまで「でしょう?」を使っていないかを見る。

つまずきと手当て

  • な形容詞・名詞に「だ」を付ける(「静かだでしょう?」「休みだでしょう?」)。文型1で「だ」を入れたばかりなので出やすい。「と思います」の列と「でしょう?」の列を板書に並べ、「だ」の有る無しを丸で対比する
  • 文末を下げて言い、確かめる意味が消える。学生には「上げないと別の意味になる」とだけ言い、教師の後について上げ調子で何度も言わせる
  • 「〜でしょう?」と聞かれて「はい、〜でしょう」と返す。答えは「ええ、〜です」「ええ、そうですね」で、「でしょう」を繰り返さない、と答えの形まで板書する
  • 相手が知らないはずのことに使う(初対面の人に「わたしの国は寒いでしょう?」)。相手が見て・聞いて分かることだけ、と「物を見せる」導入に戻って確かめる

既習の文型との違い

  • 〜ですか(第1課の疑問文)「おいしいですか」は答えが分からないから聞く質問で、答えは「はい」か「いいえ」です。「おいしいでしょう?」は話し手がもうそう思っていて、相手に「ええ」と言ってもらうための形です。料理を出した人が「おいしいですか」と聞くと相手の感想を尋ねることになり、「おいしいでしょう?」と言うと自信を持って勧めることになる、と二つの場面で比べます。
  • 〈普通形〉と思います(この課の文型1)どちらも普通形に付きますが、なA・Nの「だ」が「と思います」の前では要り、「でしょう?」の前では要りません。学習者は続けて習うので「*静かだでしょう?」や「*静かと思います」と入れ替えて言いがちです。板書の二つの列を残したまま、なA・Nのカードで両方の形を交互に言わせます。
  • 〜ね(既習の終助詞)「暑いですね」は二人が今同じことを感じているときに、確かめ合う言い方です。「暑いでしょう?」は、話し手が先にそう思っていて、相手にも同じだと認めてほしい言い方で、相手がまだ何も言っていないときにも使えます。迷う学生には、まず「〜ね」で通じる場面かを考えさせ、相手の返事を引き出したいときに「でしょう?」を使う、と整理します。
関連する文型

語彙の扱い

この課の新出語は「思います」「言います」の二つの動詞が文型の芯で、あとは意見の話題になる名詞(政治・ニュース・試合・アルバイト・意見・デザイン・交通 など)と、文型とセットで働く副詞(たぶん・きっと・ほんとうに・そんなに)です。副詞は単独で出さず、「たぶん→と思います」「そんなに→〜ない」のように、いっしょに使う形とつないで入れます。「〜について」は助詞のかたまりとして「〜についてどう思いますか」の形でだけ出し、「しばらくですね」「しかたがありません」「〜でも飲みませんか」は会話の決まり文句として意味を分解せずに場面つきで覚えさせます。

この課の練習で使う語(12語・意味・連語・例文)

  • 思います(おもいます) 頭の中で考えます。分からないことの見込みや、自分の意見を言うときに使います。 〜と〜・そう〜
    同僚に、あしたの会議に部長が来るかと聞かれた。
    「たぶん来ると思います。」
  • 言います(いいます) 言葉を口に出します。人が口に出した言葉を伝えるときにも使います。 「〜」と〜・〜に〜・何と〜
    電話を受けたあと、同僚に聞かれた。
    「山田さんは、きょうは遅くなると言いました。」
  • たぶん(たぶん) はっきりは分かりませんが、そうだと考えるときに言います。文の終わりの「と思います」といっしょに使います。 〜休みだと思います・〜来ないと思います
    友だちに、あの店がきょう開いているかと聞かれた。
    「日曜日ですから、たぶん休みだと思います。」
  • きっと(きっと) とても強くそう思うときに言います。「たぶん」より確かな気持ちです。 〜勝つと思います・〜大丈夫だと思います
    友だちが、あした大事な試合に出る。
    「たくさん練習しましたから、きっと勝つと思います。」
  • 意見(いけん) あることについて、自分が考えていることです。 〜を言います・〜を聞きます・同じ〜
    会議で、部長が新しく入った社員に聞く。
    「新しい店について、意見を言ってください。」
  • ニュース(ニュース) テレビやインターネットで知らせる、新しい出来事です。 〜を見ます・テレビの〜・けさの〜
    朝、教室で隣の学生に話しかける。
    「けさのニュース、見たでしょう?」「ええ、見ました。」
  • 試合(しあい) サッカーや野球などで、二つのチームや二人が勝ち負けを決めることです。 〜を見ます・〜に勝ちます・〜に負けます
    きのうサッカーの試合があった。見たはずの友だちに。
    「きのうの試合、すごかったでしょう?」
  • 勝ちます(かちます) 試合などで、相手より強くて勝負に勝ちます。「負けます」の反対です。 試合に〜・〜チームに〜
    試合を見なかった友だちに、家族から聞いた結果を伝える。
    「兄は、日本のチームが勝ったと言いました。」
  • 負けます(まけます) 試合などで、相手より弱くて勝てません。「勝ちます」の反対です。 試合に〜・〜チームに〜
    友だちに、今夜の試合はどうかと聞かれた。
    「あのチームは強いですから、たぶん負けないと思います。」
  • 役に立ちます(やくにたちます) 何かをするときに使えて、助けになります。 〜に〜・仕事に〜・とても〜
    日本語の授業のあと、友だちと辞書の話をする。
    「この辞書は、とても役に立つと思います。」
  • 不便(ふべん) 使いにくくて、困ることが多いようすです。「便利」の反対です。 交通が〜・〜な所
    部屋を探している友だちに、駅から遠い部屋について聞かれた。
    「駅から遠いですから、ちょっと不便だと思います。」
  • 交通(こうつう) 電車やバスなどで、人が行ったり来たりすることです。 〜が便利です・〜が不便です・日本の〜
    国の友だちと電話で、今住んでいる町の話をする。
    「この町は電車もバスも多いです。交通は便利だと思います。」

会話の扱い

会話は、久しぶりに会った知り合いどうしが「しばらくですね」と挨拶し、「〜でも飲みませんか」と誘って、飲みながら日本の生活について感想と意見を言い合い、「わたしもそう思います」で相づちを打つ、という流れの場面と見られます。文型の説明より、前半の決まり文句(しばらくですね/お元気ですか/〜でも飲みませんか)をかたまりで言えるようにすることと、後半で文型2の「〜と思います」「わたしもそう思います」が自然な相づちとして出てくることを押さえます。「〜でも飲みませんか」の「でも」は例を挙げる言い方で、文の頭に置く逆接の「でも」(既習)とは別物なので、ここでは分解せず誘いの決まり文句として入れます。ロールプレイは、学生どうしが「久しぶりに会った」設定で始め、話題を日本の食べ物・電車・アルバイトに替えて二回。二回目は賛成の「わたしもそう思います」だけでなく、「わたしは〜と思います」で違う意見を言う形も入れると、文型2の練習Cにそのままつながります。

宿題と次のコマ

練習Bを書いて提出。問題の聴解は授業内で済ませ、読んで書く部分を宿題にする。あわせて、自分の国と日本について「〜と思います」で三つ、家族や友だちが最近言ったことを「〜は〜と言いました」で二つ書かせ、次のコマの最初にペアで読み合う。次のコマは第22課の名詞修飾(普通形で名詞を説明する形)に進み、普通形がまた中心になるので、黒板の端の普通形の表と「だ」の有る無しの対比は消さずに残しておく。

よくある質問

  • 第21課の「〜と思います」はどの順で教えればいいですか?

    最初の10分で第20課の普通形を速く言わせ、出ない形をここで直しておきます。次に「分からないこと」の場面で推量の「たぶん〜と思います」を入れ、形が定着してから、同じ枠のまま意見の「〜についてどう思いますか」に移ります。推量と意見は形が同じなので、先に形を固めてから中身を広げると、意見の練習で形が崩れません。

  • 「〜と思います」の前の「だ」と、「〜でしょう?」の前の「だ」はどう教えますか?

    な形容詞と名詞は「静かだと思います」のように「と思います」の前で「だ」が要り、「静かでしょう?」の前では要りません。い形容詞と動詞はどちらも普通形のままです。文型1の板書を消さずに残し、文型4に入ったときに隣へ「でしょう?」の列を書いて、「だ」の有る無しを赤の丸と×で並べます。なA・Nのカードで二つの形を交互に言わせると、混ざりにくくなります。

  • 「『〜』と言いました」と「〜と言いました」の違いはどう説明しますか?

    「」に入れるのは言った言葉そのままなので丁寧形のまま、「」を外すと内容だけを伝える形になり、普通形にします。導入では学生に一言言わせ、まず「」つきで繰り返させてから「」を消して普通形に直す、という順で見せます。中の文の時制は変えず、相手の「わたし」は「〇〇さん」に替わる、という二点を板書の下に書いておきます。

  • この課は何コマで終わりますか?

    90分×2コマが目安です。1コマ目は普通形の復習と文型1・2の「〜と思います」まで、2コマ目は文型3「〜と言います」、文型4「〜でしょう?」、会話と練習C・問題です。普通形がまだ出ないクラスでは、1コマ目の復習を20分に延ばし、練習Cの意見の活動を次の課の頭に回します。

  • この課の「〜でしょう?」と第32課の「〜でしょう」は何が違いますか?

    この課の「〜でしょう?」は文末を上げて、相手も知っている・感じているはずのことに「ええ」と言ってもらう確認の言い方です。第32課の「〜でしょう」は文末を下げて、天気予報のように話し手の推量を言う形です。この課では上げ調子の確認だけを扱い、学習者から下げ調子が出たら、別の意味になるので今は上げて言う、とだけ伝えます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

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